説明

リキャップされたコンベアベルト及びコンベアベルトのリキャップ方法

【課題】リキャップ後のコンベアベルトを再度リキャップする際に、カバーゴムをリキャップし易くし、コンベルトの長寿命化を図り得るリキャップ方法を提供する。また、かかるリキャップ方法によりリキャップされたコンベアベルトを提供する。
【解決手段】コンベアベルト1は、補強芯体が埋設された本体ベルト5と、該本体ベルト5上に配置されたカバーゴム9とを具える。かかるカバーゴム9をリキャップするにあたり、カバーゴム9の少なくとも一部を剥ぎ取る工程と、カバーゴム9の剥ぎ取られた部分17に、少なくとも1層の繊維層11を内部に有するリキャップゴム13を貼り合わせる工程とを含むコンベアベルトのリキャップ方法である。また、かかるリキャップ方法によりリキャップされたコンベアベルト1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、補強芯体が埋設された本体ベルトと、該本体ベルト上に配置されたカバーゴムとを具え、かかるカバーゴムの少なくとも一部分がリキャップゴムであるコンベアベルトに関するものである。また、この発明は、補強芯体が埋設された本体ベルトと、該本体ベルト上に配置されたカバーゴムとを具えるコンベアベルトのリキャップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題、省資源化の観点から製品の使用寿命の長期化が強く求められていて、これはコンベアベルトに関しても例外ではない。このコンベアベルトは、その各部位ごとに使用寿命が異なり、特にカバーゴムは、補強芯体を有する本体ベルト等の他の部位に比べて使用寿命が短い。そこで、このカバーゴムをリキャップすることにより、コンベアベルトの使用寿命の長期化が図られている。このカバーゴムのリキャップは、摩耗や損傷したカバーゴムのみを除去した後に新しい未加硫カバーゴムを貼りなおし加硫することによって行われる。
【0003】
従って、コンベアベルトをリキャップするためには、摩耗や損傷した部分のカバーゴムを取り除く作業が必要である。この、カバーゴムの除去は、バフ処理によって行うのが主流である。このバフ処理は、カバーゴムの摩耗や損傷状態に応じて手作業で行なわれるため、多大な時間と労力を必要とし、また補強芯体を傷つけずに除去面を平滑に仕上げるために熟練した作業を必要とする。
【0004】
これに対し、特許文献1には、カバーゴムとスチールコードを有する本体ベルトとの境界に繊維層の帆布を配設することにより、カバーゴムと本体ベルトとの間の結合力を弱化させ、本体ベルトからのカバーゴムの容易な引き剥がしを可能とする技術が開示されている。
【特許文献1】実開平2−64508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、コンベアベルトをリキャップするためのリキャップゴム及びそれを用いたリキャップ方法については全く検討されていない。
【0006】
そこで、この発明の目的は、これまで充分に着目、検討されてこなかったコンベアベルトのリキャップ方法について改良を図ることにより、リキャップ後のコンベアベルトにおけるカバーゴムを剥し易くして、繰り返しリキャップすることを容易とする方法を提供することにある。このような繰り返しリキャップすることまで考慮したリキャップ方法を確立することによって、コンベアベルトの更なる長寿命化を図ることが可能となる。また、この発明の更なる目的は、かかるリキャップ方法を実施することにより補修されたコンベアベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、第一発明は、補強芯体が埋設された本体ベルトと、本体ベルト上に配置されたカバーゴムとを具え、かかるカバーゴムの少なくとも一部がリキャップゴムであるコンベアベルトにおいて、リキャップゴム内に、少なくとも1層の繊維層を具えることを特徴とするコンベアベルトである。
【0008】
また、第一発明のコンベアベルトにおいて、リキャップゴムの繊維層の本体ベルト側にあるゴムの引裂強度が、当該ゴム以外のゴム部分の引裂強度よりも小さいことが好ましい。
【0009】
更に、第一発明のコンベアベルトにおいて、リキャップゴム内に、少なくとも2層の繊維層を具え、繊維層間にあるゴムの引裂強度が、その他のリキャップゴム部分の引裂強度よりも小さいことが好ましい。
【0010】
更にまた、第一発明のコンベアベルトにおいて、リキャップゴム内に、少なくとも2層の繊維層を具え、繊維層間にあるゴムの引裂強度及び繊維層の本体ベルト側にあるゴムの引裂強度が、リキャップゴム内のその他のゴム部分の引裂強度よりも小さいことが好ましい。
【0011】
加えて、第一発明のコンベアベルトにおいて、リキャップゴム内に少なくとも3層の繊維層を具え、かかる繊維層間にあるゴムの引裂強度は、本体ベルト側程大きいことが好ましい。
【0012】
加えてまた、第一発明のコンベアベルトにおいて、繊維層は、帆布であることが好ましい。なお、ここでいう「帆布」とは、繊維と繊維とを織ってなる織物を指すものとする。
【0013】
第二発明は、補強芯体としてスチールコードが埋設された本体ベルトと、本体ベルトの搬送面側に配置されたカバーゴムとを具えるコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、カバーゴムの少なくとも一部を剥ぎ取る工程と、カバーゴムの剥ぎ取られた部分に、少なくとも1層の繊維層を内部に有するリキャップゴムを貼り合わせる工程と、を含むことを特徴とするコンベアベルトのリキャップ方法である。
【0014】
また、第二発明のリキャップ方法において、カバーゴム内に1層の繊維層を有するコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、カバーゴムの少なくとも一部を剥ぎ取り、繊維層をコンベアベルト内に残留させる工程と、カバーゴムの剥ぎ取られた部分に、内部に少なくとも1層の繊維層を有するリキャップゴムを貼り合わせる工程と、を含むことが好ましい。
【0015】
更に、第二発明のコンベアベルトにおいて、カバーゴム内に1層の繊維層を有するコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、カバーゴムの少なくとも一部を、繊維層の少なくとも一部とともに剥ぎ取る工程と、剥ぎ取られた部分に、内部に少なくとも1層の繊維層を有するリキャップゴムを貼り合わせる工程と、を含むことが好ましい。
【0016】
あるいは、第二発明のリキャップ方法において、カバーゴム内に少なくとも2層の繊維層を有するコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、2層の繊維層間のゴムを引き裂き、繊維層のうち前記スチールコードに近い一方の繊維層を残留させつつ他方の繊維層を前記カバーゴムの少なくとも一部とともに剥ぎ取る工程と、カバーゴムの剥ぎ取られた部分に、少なくとも1層の繊維層を内部に有するリキャップゴムを貼り合わせる工程と、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、リキャップゴムの構成及びコンベアベルトのリキャップ方法について改良を図ることにより、リキャップ後のコンベアベルトを再度リキャップする際に、カバーゴムを剥し易くし、繰り返しリキャップすることを容易とするリキャップ方法を提供することが可能となる。従って、コンベアベルトの長寿命化を図ることが可能となる。また、この発明によれば、かかるリキャップ方法を実施することにより補修されたコンベアベルトを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施形態を説明する。図1(a)〜(d)は、この発明に従うコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。図2(a)〜(d)は、この発明に従うその他のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。図3は、図2(d)に示すリキャップ後のコンベアベルトの繊維層間の拡大断面図である。図4(a)〜(e)は、従来のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。図5(a)〜(e)、図6(a)〜(e)及び図7(a)〜(e)は、この発明に従うその他のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【0019】
図1(a)に示すように、コンベアベルト1は、補強芯体としてのスチールコード3が埋設された本体ベルト5と、この本体ベルト5の搬送面7側に配置されたカバーゴム9とを具える。なお、カバーゴム9は、搬送面7側のみならず反対の本体ベルト5側にも設けることもできる。かかるコンベアベルト1が、図1(b)に示すように、摩耗や損傷してしまった場合には、その摩耗や損傷した部分を剥ぎ取って、剥ぎ取られた部分に繊維層11を有するリキャップゴム13を配することによりコンベアベルト1を補修する。以下にその詳細を説明する。
【0020】
はじめに、図1(a)に示すコンベアベルト1が、長期使用等により、図1(b)に示すように摩耗や損傷してしまった場合には、図1(c)に示すように、バフ処理等により、摩耗や破損してしまった部分15を取り除く。次いで、図1(d)に示すように、カバーゴム9の剥ぎ取られた部分17(凹み部)に、1層の繊維層11cを有する未加硫のリキャップゴム13を貼り付けて、加硫することで、コンベアベルト1を再度使用することが可能となる。
【0021】
これによれば、カバーゴム9のリキャップされた部分が再度摩耗や損傷した場合には、新たな繊維層11を用いて、摩耗や損傷した部分15を剥ぎ取ることができ、バフ処理によりカバーゴム9を除去した場合に比べ、時間と労力を大幅に節約することができ、摩耗や損傷した部分の剥ぎ取りが容易となる。そのことから、繊維層11を有するリキャップゴムによりリキャップし続ける限りは、カバーゴム9を何度でも繰り返し容易にリキャップすることが可能となる。このとき、リキャップゴム13内の、繊維層11の本体ベルト9側にあるゴム部分19の引裂強度を、リキャップゴム13内のその他のゴム部分の引裂強度よりも小さくすることが好ましい。なぜなら、引裂強度の小さなゴム部分が裂け易くなっていることから、リキャップされた部分を再度リキャップする場合に、繊維層11が剥ぎ取り易くなっており、コンベアベルト1のリキャップが容易となるからである。
【0022】
あるいは、図1(d)に示す工程に換えて、図2に示すように、摩耗や損傷した部分15をバフ処理して取り除いた後(図2(c)を参照)、取り除かれた部分17に2層の繊維層11a、11b(ここでは、搬送面7側の繊維層を繊維層11aとし、本体ベルト5側の繊維層を繊維層11bとする)を有するリキャップゴム13を配する(図2(d)を参照)ことによりコンベアベルト1を補修することが好ましい。これによれば、カバーゴム9の剥ぎ取られた部分17に、繊維層11を有するリキャップゴム13を貼り付け、リキャップされた部分に新たな繊維層11を配することにより、リキャップされた部分が再度摩耗や損傷した場合に、新たな繊維層11を用いて摩耗や損傷した部分を剥ぎ取ることができることから、繊維層11を有するリキャップゴムによりリキャップし続ける限りは、カバーゴム9を何度でも繰り返し容易に補修することが可能となる。また、コンベアベルト1の補修した部分には、常に2層の繊維層11a、11bがあり、リキャップ時に1層の繊維層11bを残しつつ、搬送面7側の繊維層11aのみを剥ぎ取ることから、1層の繊維層11のみを具えているコンベアベルト1の繊維層11を剥ぎ取る場合に、繊維層11とともに繊維層11近傍のゴム部分が、スチールコード3が露出するほどに過剰に剥ぎ取られてしまう問題が生じることなく、リキャップすることができる。このとき、リキャップゴム13において、繊維層11a、11b間にあるゴム部分21の引裂強度を、リキャップゴム13内のその他のゴム部分の引裂強度よりも小さくすることが好ましい。なぜなら、リキャップされた部分を再度リキャップする場合に、繊維層11a、11b間のゴム部分21が裂け易くなっていることから、繊維層11aが剥ぎ取り易く、リキャップが容易となるからである。あるいは、繊維層11aを具えないリキャップゴム13により、リキャップした場合であっても、繊維層11bが残っていることから、繊維層11bを用いて再度リキャップを容易に実施することができる。
【0023】
また、図2に示す繊維層11a、11b間のゴム部分21には、図3に示すように、繊維層11a、11bに隣接して配置された比較的引裂強度が高い、つまり引き裂け難い高引裂ゴム部材23、23と、これら2層の高引裂ゴム部材23、23間に配置された、高引裂ゴム部材23、23より引裂強度が低い、つまり引き裂け易い低引裂ゴム部材25とを有することが好ましい。JIS K6301B形法に準じて計測した高引裂ゴム部材23、23と低引裂ゴム部材25との引裂強度の差は、コンベアベルト1の耐久性能を考慮すると30N/mm以下とすることが好ましく、後述するような低引裂ゴム部材25の優先的な引裂けを確実に生じさせるという観点からは、5N/mm以上であることが好ましい。高引裂ゴム部材23、23と低引裂ゴム部材25との間に引裂強度の差を生じさせるにあたっては、高引裂ゴム部材23、23の引裂強度を増大させても良いし、低引裂ゴム部材25の引裂力を低下させても良く、例えば、ゴム部材の引裂力を低下させるにあたっては、ゴム部材に炭酸カルシウム等の無機充填物を配合したり、NR/SBRブレント配合の場合には、SBR比率を上げたりすることができる。
【0024】
これによれば、カバーゴム9の一部を繊維層11bとともに剥ぐに際し、低引裂ゴム部材25に優先的に引裂けを生じさせ、カバーベルト9に残った繊維層11bの表面上に、リキャップ用の新たなリキャップゴム13との優良な接合をもたらすゴム材料(高引裂ゴム部材23、23)を確実に残留させることができ、リキャップゴム13と繊維層11a、11bとの間に高い接着力を確保することができる。また、低引裂ゴム部材25を優先して引き裂くことができるので、引裂面を平滑にすることができ、この観点からいえば、低引裂ゴム部材25の厚さを高引裂ゴム部材23、23の厚さに比べ小さくすれば、引裂けによって生じる引裂面の凸凹をより小さなものとすることができる。
【0025】
なお、繊維層11は、例えば、繊維を織った織物(帆布)や、編物、不織布等で構成することができ、繊維素材としては、綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。ただし、コンベアベルト1は補強芯体としてのスチールコード3を中立軸としてコンベア機体のプーリ(図示省略)で屈曲を受けるため、伸縮性のある繊維層とすることが好ましい。よって、繊維層11を織物や編物から構成する場合には、伸縮性を高めるためにナイロンを使用したり、製織構造や縦糸・横糸密度を工夫したり、コンベアベルト1の長手方向に繊維を傾斜させたバイアス構造にしたりすることができる。なお、繊維層11を帆布で構成した場合は、ウインチ等でカバーゴム9の一部を繊維層11とともに引き剥がす際に、その柔軟性により剥し易くなり、また破断強さが安定しているので途中で繊維層11が千切れるおそれがない。
【0026】
また、予め繊維層11をカバーゴム内に具えるコンベアベルト1についての、一般的なリキャップ方法では、図4に示すように、摩耗や損傷した部分を囲むように切込みX、Xを入れ(図4(c)を参照)、摩耗や損傷した部分を繊維層11とともに例えばウインチ等を使用して剥ぎ取り(図4(d)を参照)、次いで、リキャップゴム13によりリキャップすると(図4(e)を参照)、リキャップされた部分の繊維層11が無くなってしまう。そのことから、リキャップされた部分が再度摩耗や損傷した場合に、バフ処理等が必要となり、コンベアベルト1を容易に補修することができなくなる問題がある。それに対し、この発明のリキャップ方法を採用することにより、図5(a)〜(e)に示すように、カバーゴム9に繊維層11を具えるコンベアベルトの摩耗や損傷した部分を剥ぎ取り(図5(a)〜(d)を参照)、カバーゴム9の剥ぎ取られた部分17に、繊維層11aを有するリキャップゴム13を貼り付け(図5(e)を参照)、リキャップされた部分に新たな繊維層11aを配することにより、リキャップされた部分が再度摩耗や損傷した場合であっても、新たな繊維層11aを用いて摩耗や損傷した部分を剥ぎ取ることができることから、繊維層11cを有するリキャップゴムによりリキャップし続ける限りは、カバーゴムを何度でも繰り返し容易に補修することが可能である。
【0027】
あるいは、図6(a)に示すように、スチールコード3が埋設された本体ベルト5と、かかる本体ベルト5の搬送面7側に配置されたカバーゴム9とを具え、カバーゴム9内に2層の繊維層11a、11bが配されているコンベアベルト1が、図4(b)に示すように、摩耗や損傷してしまった場合には、その摩耗や損傷した部分を剥ぎ取って(図4(c)〜(d)を参照)、剥ぎ取られた部分に1層の繊維層11cを有するリキャップゴム13を配する(図4(e)を参照)ことによりコンベアベルト1を補修する。これにより、カバーゴム9のリキャップされた部分が再度摩耗や損傷した場合においても、新たな繊維層11cを用いて摩耗や損傷した部分を剥ぎ取ることができることから、繊維層11cを有するリキャップゴムによりリキャップし続ける限りは、カバーゴム9を何度でも繰り返し容易に補修することが可能である。また、コンベアベルト1が常に2層の繊維層11a(部分的に11cを含む)、11bを具えており、リキャップ時に1層の繊維層11bを残しつつ、搬送面7側の繊維層11a(部分的に11cを含む)のみを剥ぎ取ることから、1層の繊維層11のみを具えているコンベアベルト1の繊維層11を剥ぎ取る場合に、繊維層11とともに繊維層11近傍のゴム部分が、スチールコードが露出するほどに過剰に剥ぎ取られてしまう問題が生じることなく、リキャップすることができる。
【0028】
あるいは、図7(a)に示すように、繊維層11aは、コンベアベルト1の長手方向(図7の左右方向)に複数に分割されていることが好ましい。なぜなら、このコンベアベルト1のカバーゴム9に局所的な摩耗や損傷(図7(b)を参照)が生じた場合に、図7(c)に示すように繊維層11を切断することなく、必要に応じてカバーゴム9を剥ぎ取ることができるので、リキャップを更に容易とすることができるからである。また、図示例では、リキャップゴム13内に1層の繊維層11dを具えているが、複数層の繊維層11を具えたリキャップゴム13を使用することも可能である。
【0029】
更に、繊維層11の層数を増やせば増やすほどリキャップを行い得る回数は増加するので、繊維層11の層数に依存して、リキャップ可能回数の増加を図ることができる。また、リキャップゴム内の繊維層11間のゴムの引裂強度を搬送面7側程高く設定することが好ましい。このようにすれば、複数回に亘ってリキャップを行う場合に、搬送面7側に近い方の繊維層11間を確実に引き裂くことができ、誤って本体ベルト5寄りの他のゴム層13bを引き裂くおそれがないからである。
【0030】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上の説明から明らかなように、この発明によって、リキャップ後のコンベアベルトを再度リキャップする際に、カバーゴムを剥し易くし、繰り返しリキャップし易くするリキャップ方法を提供することが可能となった。従って、コンベアベルトの長寿命化を図ることが可能となった。また、この発明によって、上記リキャップ方法を実施することにより補修されたコンベアベルトを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)〜(d)は、この発明に従うコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【図2】(a)〜(d)は、この発明に従うその他のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【図3】図2(d)に示すコンベアベルトの繊維層間の拡大断面図である。
【図4】(a)〜(e)は、従来のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【図5】(a)〜(e)は、この発明に従うその他のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【図6】(a)〜(e)は、この発明に従うその他のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【図7】(a)〜(e)は、この発明に従うその他のコンベアベルトのリキャップ工程を示した図である。
【符号の説明】
【0033】
1 コンベアベルト
3 スチールコード
5 本体ベルト
7 搬送面
9 カバーゴム
11a、11b、11c 繊維層
13 リキャップゴム
15 摩耗や破損した部分
17 剥ぎ取られた(取り除かれた)部分
19 繊維層の本体ベルト側にあるゴム部分
21 繊維層間のゴム部分
23 高引裂ゴム部材
25 低引裂ゴム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強芯体が埋設された本体ベルトと、該本体ベルト上に配置されたカバーゴムとを具え、該カバーゴムの少なくとも一部分がリキャップゴムであるコンベアベルトにおいて、
前記リキャップゴム内は、少なくとも1層の繊維層を具えることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
前記リキャップゴムにおいて、繊維層の本体ベルト側にあるゴムの引裂強度が、当該ゴム以外のゴム部分の引裂強度よりも小さい、請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項3】
前記リキャップゴム内に、少なくとも2層の繊維層を具え、該繊維層間にあるゴムの引裂強度が、その他のリキャップゴム部分の引裂強度よりも小さい、請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項4】
前記リキャップゴム内に、少なくとも2層の繊維層を具え、該繊維層間にあるゴムの引裂強度及び繊維層の本体ベルト側にあるゴムの引裂強度が、リキャップゴム内のその他のゴム部分の引裂強度よりも小さい、請求項1に記載のコンベアベルト。
【請求項5】
前記リキャップゴム内に、少なくとも3層の繊維層を具え、該繊維層間にあるゴムの引裂強度は、本体ベルト側程大きい、請求項3又は4に記載のコンベアベルト。
【請求項6】
前記繊維層は、帆布である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンベアベルト。
【請求項7】
補強芯体としてスチールコードが埋設された本体ベルトと、該本体ベルトの搬送面側に配置されたカバーゴムとを具えるコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、
前記カバーゴムの少なくとも一部を剥ぎ取る工程と、
前記カバーゴムの剥ぎ取られた部分に、少なくとも1層の繊維層を内部に有するリキャップゴムを貼り合わせる工程とを含むことを特徴とするコンベアベルトのリキャップ方法。
【請求項8】
前記カバーゴム内に1層の繊維層を有するコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、
カバーゴムの少なくとも一部を剥ぎ取り、前記繊維層をコンベアベルト内に残留させる工程と、
前記カバーゴムの剥ぎ取られた部分に、内部に少なくとも1層の繊維層を有するリキャップゴムを貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする請求項7に記載のコンベアベルトのリキャップ方法。
【請求項9】
前記カバーゴム内に1層の繊維層を有するコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、
カバーゴムの少なくとも一部を、前記繊維層の少なくとも一部とともに剥ぎ取る工程と、
前記剥ぎ取られた部分に、内部に少なくとも1層の繊維層を有するリキャップゴムを貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする請求項7に記載のコンベアベルトのリキャップ方法。
【請求項10】
前記カバーゴム内に少なくとも2層の繊維層を有するコンベアベルトにおいて、カバーゴムをリキャップするにあたり、
前記2層の繊維層間のゴムを引き裂き、該繊維層のうち前記スチールコードに近い一方の繊維層を残留させつつ他方の繊維層を前記カバーゴムの少なくとも一部とともに剥ぎ取る工程と、
前記カバーゴムの剥ぎ取られた部分に、少なくとも1層の繊維層を内部に有するリキャップゴムを貼り合わせる工程とを含むことを特徴とする請求項7に記載のコンベアベルトのリキャップ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−23995(P2010−23995A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188430(P2008−188430)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】