説明

リグニン誘導体を含む炭素繊維組成物

本発明は、特定の炭素含有量及び/又は特定のアルコキシ含有量を有する天然リグニン誘導体並びに炭素繊維におけるその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリグノセルロース供給原料から回収した天然リグニン誘導体、及びその応用に関する。特に、本発明は天然リグニン誘導体を利用する組成物、使用、処理及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然のリグニンは、全ての植物バイオマスの必須成分を含む有機高分子に架橋された、自然に生じる無定形の複合体である。リグニンの化学構造は、異なる構造単位(例えば、フェニルプロパン単位)が体系的な秩序をもって互いに結合していないという意味において、不規則である。天然リグニンは、様々な程度にメトキシ修飾された2種のモノリグノールモノマー(トランス−コニフェリルアルコール及びトランス−シナピルアルコール)及び第三の非メトキシ修飾モノリグロール(トランス−p−クマリルアルコール)を多数含むことが知られている。これらのモノリグノールの様々な組み合わせは、特定の結合を介して重合して天然リグニン高分子を形成するフェニルプロパノイド構造の3つの成分、すなわちグアヤシルモノリグノール、シリンギルモノリグノール及びp−ヒドロキシフェニルモノリグノールをそれぞれ含む。
【0003】
パルプ化の間にリグノセルロースバイオマスから天然リグニンを抽出すると、一般にリグニン分解が生じて、不規則な成分の多数の混合物となる。更に、リグニン断片はパルプ化処理において用いられるいかなる化学物質とも反応し得る。その結果、生成するリグニン断片はリグニン誘導体及び/又は工業リグニンと呼ばれ得る。そのような分子の複雑な混合物を明らかにし、特徴付けることは困難であるので、リグニン誘導体は通常、使用されるリグノセルロース植物材料並びにそれらがリグノセルロース植物材料から生成及び回収される方法、すなわち、広葉樹(hardwood)リグニン、針葉樹(softwood)リグニン、及び一年生植物繊維リグニン、によって説明される。
【0004】
天然(native)リグニンはパルプ化処理の間に部分的に解重合されてパルプ液に可溶なリグニン断片になり、その後セルロースパルプから分離される。リグニン及び多糖類断片、並びに抽出物を含むパルプ化後の液体は、パルプ化処理に応じて、一般に「ブラック液(black liquor)」又は「消耗液(spent liquor)」と呼ばれる。そのような液体は一般に副産物と考えられ、それらを消費して、蒸煮化学物質の回収に加えてエネルギー価を回収するのが慣行である。しかしながら、これらの液体からリグニン誘導体を沈殿させる及び/又は回収することもまた可能である。セルロースパルプを他のリグノセルロース成分から分離するのに用いられるそれぞれのタイプのパルプ化処理も、物理化学的、生物化学的及び構造的特性において大きく異なるリグニン誘導体を生成する。
【0005】
リグニン誘導体が再生可能なバイオマス源から得られることを考えれば、特定の工業プロセスにおいてこれらの誘導体を使用する利益がある。例えば、米国特許第5,173,527号明細書は、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂においてリグニン−セルロース系材料を使用することを提案している。A. Gregorovaらは、そのラジカル除去特性のため、ポリプロピレンにリグニンを使用することを提案している(A. Gregorova et al., リグニンのラジカル除去能並びに最初の及び再利用されたポリプロピレンの処理安定化におけるその効果, Journal of Applied Polymer Science 106-3 (2007) pp. 1626-1631)。しかしながら、抽出リグニン誘導体の大規模な商業的用途は、特にパルプや紙の製造で採用されている従来のパルプ化処理において分離されるものは、例えば、その化学的及び機能的不一致のために、制限されている。この不一致は、例えば、原料供給及び特定の抽出/生成/回収条件の変化によるものであってもよい。これらの問題は、様々な抽出方法によって生産されたリグニン誘導体の分子構造の複雑さ並びに回収リグニン誘導体の構造的な一致及び結合性の確実なルーチン分析の実施の困難さによって、更に複雑になる。
【0006】
炭素繊維は、多くの応用においてそれを有用にする、特定の機械的及び生理化学的特性を有することが知られている。例えば、炭素繊維は高い引っ張り強さ、低い密度、低い質量、及び/又は低い熱膨張を有し得る。炭素繊維の個々のストランドは共により合わされて、そのものとして使用され又は織物へ織られ得る糸を形成し得る。炭素繊維の糸はまた、巻きつけられ又は形作られて炭素繊維補強プラスチックのような合成材料を形成し得るプラスチック樹脂と混合され得る。しかしながら、炭素繊維含有合成物は同様の大きさの鉄材よりも特定の利点を有し得るが、炭素繊維の製造の高いコストのため、炭素繊維含有合成物は通常、はるかに高価である。
【0007】
炭素繊維は一般に、重合されたアクリロニトリル(ポリアクリロニトリル)の炭化によって製造される。ポリアクリロニトリルは多段階の処理により炭素繊維へと変換され、第一工程は、ポリアクリロニトリルを300℃に加熱し、水素結合を壊し酸素原子を付加して、それによって耐火性かつ安定な材料を作ることである。この新しい材料は次に、不活性ガス中において1500℃から3000℃の間に加熱することによって炭化されて、ほぼ100%炭素を含む材料を生じる。炭化された材料は、次に表面処理を施され、エポキシ樹脂によって糊付けされて、炭素繊維が保護される。異なるグレードの炭素繊維が、炭化温度の選択によって生産され得る。例えば、非常に高い引っ張り強さを有する炭素繊維は、1500℃と2000℃の間の温度で形成され、高い係数(すなわち、より弾性がある)を有する炭素繊維は、例えば、3000℃までのより高温での炭化により生産される。
【0008】
クラフトパルプ化処理から回収されたリグニン誘導体(すなわち、市販用クラフトリグニン)及びオルガノソルブ(organosolv)処理から回収されたリグニン誘導体は、ポリアクリロニトリルから生産された炭素繊維に部分的に又は完全に取って代わって使用され得る低コスト炭素繊維の製品と評価されている。例えば、米国特許第3,461,082号明細書では、アルカリ−リグニン、チオリグニン、又はリグニンスルホン酸塩から炭化リグニン繊維を製造する方法が提案された。J.F. Kadlaらは市販用クラフトリグニンを炭素繊維の製造に使用することを提案した(J.F. Kadla et al., 2002, 合成繊維用途のためのリグニンベース炭素繊維, Carbon 36: 1119-1124)。 S. Kuboらは酢酸オルガノソルブリグニンを炭素繊維の製造に使用することを提案した(S. Kubo et al., 1998, 大気(Atmospheric)酢酸パルプ化による針葉樹リグニンからの炭素繊維の調製 36: 1119-1124)。残念ながら、これらのシステムのそれぞれにおいて、揮発性物質、灰及び微粒子を除去するために必要な精製工程のため、製造コストは有意には減少しない。更に、精製されたリグニンは、炭素繊維を形成するためにコポリマー及び可塑剤の添加が必要である。S. Kuboらはアルセル(Alcell)(登録商標)オルガノソルブリグニンを炭素繊維の製造に使用することを提案した(S. Kubo et al., 2004, ポリ(エチレンオキシド)/オルガノソルブリグニン混合物:熱特性、化学構造と混合物の性質との関係, Macromolecules 37: 6904-6911)。しかしながら、彼らは、少量のアルセル(登録商標)リグニンがポリ(エチレンオキシド)の結晶度を増大する一方で、25%超のアルセル(登録商標)リグニンを組み込むことが結晶度及び結晶ドメインサイズを妨げることを発見した。他の研究者は炭素繊維組成物にリグニン誘導体を使用することを示唆している。例えば、米国特許第6,765,028号明細書、WO2009/028969号パンフレット、米国特許第7,678,358号明細書、米国特許第5,344,921号明細書、米国特許第2010/0311943号明細書を参照のこと。
【発明の概要】
【0009】
本発明は炭素繊維の製造に適した天然リグニン誘導体を提供し、前記天然リグニン誘導体は特定のアルコキシ含有量及び/又は特定の炭素含有量を有する。本発明のリグニン誘導体は、許容される引っ張り強さ及び許容される弾性係数を有する炭素繊維を生産するための、許容される紡糸性性能特性を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は非アセチル化広葉樹リグニン誘導体のHSQCスペクトルを示す(矢印はエトキシル基に相当するシグナルを表す)。
【図2】図2は非アセチル化広葉樹リグニン誘導体の定量13C NMRスペクトルを示す。
【図3】図3はアセチル化広葉樹リグニン誘導体の定量13C NMRスペクトルを示す。
【図4】図4は炭素繊維製造の主要な段階のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は特定のアルコキシ含有量及び/又は特定の炭素含有量を有する天然リグニン誘導体を提供する。理論によって縛られることを望まないが、より高いアルコキシ含有量及び/又は炭素含有量を有するリグニン誘導体は、炭素繊維を生産するための好ましい紡糸性性能を有し、合成した繊維は好ましい引っ張り強さ及び好ましい弾性係数を有すると考えられる。従って、より高いアルコキシ含有量及び/又はより高い炭素含有量を有する天然リグニン誘導体を選択することで、より良い性能特性を有する製品となり得る。
【0012】
本発明の天然リグニン誘導体は、0.45mmol/g以上のアルコキシ含有量及び/又は約64.5%以上の炭素含有量を有する。例えば、約0.5mmol/g以上、約0.6mmol/g以上、約0.7mmol/g以上、約0.8mmol/g以上、約0.9mmol/g以上、約1mmol/g以上、約1.1mmol/g以上、約1.2mmol/g以上のアルコキシ含有量である。本発明のリグニン誘導体は、例えば、約65。0%以上、約66.0%以上、約67.0%以上、約68.0%以上、約69.0%以上の炭素含有量を有してもよい。
【0013】
前記リグニン誘導体は、C1−C6アルコキシ基;C1−C4アルコキシ基;C1−C3アルコキシ基;メトキシ及び/又はエトキシ;エトキシのようないかなる適切なアルコキシ基を含んでもよい。本発明のリグニン誘導体は、約0.5mmol/g以上、約0.6mmol/g以上、約0.7mmol/g以上、約0.8mmol/g以上、約0.9mmol/g以上、約1mmol/g以上、約1.1mmol/g以上、約1.2mmol/g以上のエトキシ含有量を有してもよい。本発明のリグニン誘導体は、例えば、約3.75mmol/g以下、3.5mmol/g以下、3.25mmol/g以下、3mmol/g以下、2.75mmol/g以下、2.5mmol/g以下、2.25mmol/g以下、2mmol/g以下、1.9mmol/g以下、1.8mmol/g以下、1.7mmol/g以下、1.6mmol/g以下、1.5mmol/g以下、1.4mmol/g以下、1.3mmol/g以下のエトキシ含有量を有してもよい。
【0014】
アルコキシ基の定量化は高分解能13C NMR分光法を用いて実施され得る。例えば、エトキシル基含有量の定量化は高分解能13C NMR分光法によって実施され得る。エトキシル基の同定は、2D NMR HSQC分光法によって確認され得る。2D NMRスペクトルは、逆幾何学(inverse geometry)を用いて高感度の低温に冷やされた5mmTCLプローブを備えるBruker 700 MHz UltraShield Plus 標準ボア(standard bore)磁気分光計によって記録されてもよい。取得パラメーターは以下の通りである:標準Brukerプラスプログラムhsqcetgp、温度298K、90°パルス、パルス遅延(d1)1.1秒、及び取得時間60m秒。
【0015】
炭素(C)含有量の定量化は、適切な元素分析機器を用いる元素分析によって実施され得る。例えば、試料は、Perkin-Elmer 2400シリーズ元素分析器中、975℃で純酸素環境において燃焼されて、CO2、H2O、N2、及びSO2を生成し得る。微量元素は、500℃で還元領域においてこのガス混合物から除去された。均質なガス混合物を正確に既知の体積、温度、及び圧力にし、成分ガスを分離するカラムに通し、続いて熱伝導性検出を行った。
【0016】
本発明は、リグノセルロースバイオマス供給原料のパルプ化中又はパルプ化後に回収された天然リグニン誘導体を提供する。前記パルプは広葉樹、針葉樹、一年生植物繊維、及びその組み合わせを含むいかなる適切なリグノセルロース供給原料由来であってもよい。
【0017】
広葉樹供給原料は、アカシア(Acacia);アフゼリア(Afzelia);シンセパルム・デュロイフィカム(Synsepalum duloificum);ネムノキ(Albizia);ハンノキ(Alder)(例えば、グルチノーザハンノキ(Alnus glutinosa)、ルブラハンノキ(Alnus rubra));リンゴ(Applewood);イチゴノキ(Arbutus);トネリコ(Ash)(例えば、F.ニグラ(F. nigra)、F.クアドラングラタ(F. quadrangulata)、セイヨウトネリコ(F. excelsior)、F.ペンシルバニカランセオラタ(F. pennsylvanica lanceolata)、F.ラチフォリア(F. latifolia)、F.プロファンダ(F. profunda)、アメリカトネリコ(F. americana));ヤマナラシ(Aspen)(例えば、P.グランディデンタタ(P. grandidentata)、ヨーロッパヤマナラシ(P. tremula)、P.トレムロイデ(P. tremuloides));オーストラリアンレッドセダー(Australian Red Cedar)(トーナ・シリアタ(Toona ciliata));アイナ(Ayna)(ディステモナントバス・ベントバミアナス(Distemonantbus bentbamianus));バルサ(Balsa)(オクロマ・ピラミダレ(Ochroma pyramidale));シナノキ(Basswood)(例えば、T.アメリカナ(T. americana)、T.ヘテロフィラ(T. heterophylla));ブナ(Beech)(例えば、F.シルバチカ(F. sylvatica)、F.グランディフォリア(F. grandifolia));カバノキ(Birch);(例えば、ベツラ・ポプリフォリア(Betula populifolia)、B.ニグラ( B. nigra)、B.パピリフェラ(B. papyrifera)、B.レンタ(B. lenta)、B.アレガニエンシス/B.ルテア(B. alleghaniensis/B. lutea)、B.ペンデュラ(B. pendula)、B.プベセンス(B. pubescens));ブラックビーン(Blackbean);ブラックウッド(Blackwood);ボコテ(Bocote);ボクセルダー(Boxelder);ツゲ(Boxwood);ブラジル木(Brazilwood);ブビンガ(Bubinga);トチノキ(Buckeye)(例えば、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)、エスカラス・グラブラ(Aesculus glabra)、エスカラス・フラバ/エスカラス・オクタンドラ(Aesculus flava/Aesculus octandra));バタグルミ(Butternut);キササゲ(Catalpa);サクラ(Cherry)(例えば、プラナス・セロチナ(Prunus serotina)、プラナス・ペンシルバニカ(Prunus pennsylvanica)、セイヨウミザクラ(Prunus avium));クラブウッド(Crabwood);クリ(Chestnut);コーチウッド(Coachwood);ココボロ(Cocobolo);コルクウッド(Corkwood);ハコヤナギ(Cottonwood)(例えば、ポプラ・バルサミフェラ(Populus balsamifera)、アメリカクロヤマナラシ(Populus deltoides)、ポプラ・サーゲンチー(Populus sargentii)、ポプラ・ヘテロフィラ(Populus heterophylla));カカムバーツリー(Cucumbertree);ミズキ(Dogwood)(例えば、 ハナミズキ(Cornus florida)、コーナス・ナッタリー(Cornus nuttallii));カキノキ(Ebony)(例えば、ジオスピロ・カージー(Diospyros kurzii)、ジオスピロ・メラニダ(Diospyros melanida)、ジオスピロ・クラシフロラ(Diospyros crassiflora));ニレ(Elm)(例えば、アメリカニレ(Ulmus americana)、オウシュウニレ(Ulmus procera)、ウルム・ソマシー(Ulmus thomasii)、ウルム・ルブラ(Ulmus rubra)、セイヨウニレ(Ulmus glabra));ユーカリ(Eucalyptus);グリーンハート(Greenheart);グレナジラ(Grenadilla);ガム(Gum)(例えば、ヌマミズキ(Nyssa sylvatica)、ユーカリ(Eucalyptus globulus)、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)、ニサ・アクアチカ(Nyssa aquatica));ペカン(Hickory)(例えば、カーヤ・アルバ(Carya alba)、カーヤ・グラブラ(Carya glabra)、カーヤ・オバタ(Carya ovata)、カーヤ・ラシニオサ(Carya laciniosa));シデ(Hornbeam);アサダ(Hophornbeam);



イロコ(Iroko);硬質樹木(Ironwood)(例えば、バンキライ(Bangkirai)、カロライナシデ(Carpinus caroliniana)、トキワギョリョウ(Casuarina equisetifolia)、チョリクバンガーピア・サバーゲンティー(Choricbangarpia subargentea)、コパイフェラ(Copaifera spp.)、ユーシデロキシロン・ズワゲリ(Eusideroxylon zwageri)、グアジャカム・オフィシナル(Guajacum officinale)、グアジャカム・サンクタム(Guajacum sanctum)、ホペア・オドラタ(Hopea odorata)、イペ(Ipe)、クルギオデンドロン・フェレアム(Krugiodendron ferreum)、リョノサムナス・リョニー(Lyonothamnus lyonii)(L.フロリバンダス(L. floribundus))、テツザイノキ(Mesua ferrea)、オリーブ(Olea spp.)、オルネヤ・テソタ(Olneya tesota)、オストリャ・バージニアナ(Ostrya virginiana)、パルロチア・ペルシカ(Parrotia persica)、タベビア・セラチフォリア(Tabebuia serratifolia));



ジョトバ(Jotoba);レースウッド(Lacewood);月桂樹(Laurel);リンバ(Limba);リグナムビタエ(Lignum vitae);ロカスト(Locust)(例えば、ニセアカシア(Robinia pseudacacia)、アメリカサイカチ(Gleditsia triacanthos));マホガニー(Mahogany);カエデ(Maple)(例えば、サトウカエデ(Acer saccharum)、ブラック・メープル(Acer nigrum)、トネリコバノカエデ(Acer negundo)、アセル・ラブラム(Acer rubrum)、アセル・サッカリナム(Acer saccharinum)、セイヨウカジカエデ(Acer pseudoplatanus));メランチ(Meranti);ムピンゴ(Mpingo);オーク(Oak)(例えば、カーカス・マクロカーパ(Quercus macrocarpa)、カーカス・アルバ(Quercus alba)、カーカス・ステラタ(Quercus stellata)、カーカス・ビコロー(Quercus bicolor)、カーカス・バージニアナ(Quercus virginiana)、カーカス・ミカクシー(Quercus michauxii)、カーカス・プリナス(Quercus prinus)、カーカス・ムレンバージー(Quercus muhlenbergii)、カーカス・クリソレピス(Quercus chrysolepis)、カーカス・ライラタ(Quercus lyrata)、カーカス・ロバー(Quercus robur)、カーカス・ペトラエア(Quercus petraea)、カーカス・ルブラ(Quercus rubra)、カーカス・ベルチナ(Quercus velutina)、カーカス・ローリフォリア(Quercus laurifolia)、カーカス・ファルカタ(Quercus falcata)、カーカス・ニグラ(Quercus nigra)、カーカス・フェロス(Quercus phellos)、カーカス・テクサナ(Quercus texana));オベチェ(Obeche);



オレゴンミートル(Oregon Myrtle);マートル(California Bay Laurel);セイヨウナシ(Pear);ポプラ(Poplar)(例えば、P.バルサミフェラ(P. balsamifera)、ヨーロッパクロヤマナラシ(P. nigra)、ハイブリッドポプラ(Hybrid Poplar)(ポプラ×カナデンシス(Populus × canadensis)));ラミン(Ramin);赤杉(Red cedar);シタン(Rosewood);サラノキ(Sal);ビャクダン(Sandalwood);サッサフラス(Sassafras);サチンウッド(Satinwood);シルキーオーク(Silky Oak);シルバーワトル(Silver Wattle);スネークウッド(Snakewood);サワーウッド(Sourwood);スペインスギ(Spanish cedar);アメリカンシカモア(American sycamore);チーク(Teak);クルミ(Walnut)(例えば、ジャグラン・ニグラ(Juglans nigra)、ペルシアグルミ(Juglans regia));ヤナギ(Willow)(例えば、サリクス・ニグラ(Salix nigra)、サリクス・アルバ(Salix alba));イエローポプラ(Yellow poplar)(ユリノキ(Liriodendron tulipifera));竹(Bamboo);パームウッド(Palmwood);及びその組み合わせ/ハイブリッドを含む。
【0018】
例えば、本発明のための広葉樹供給原料は、アカシア、ヤマナラシ、ブナ、ユーカリ、カエデ、カバノキ、ガム、オーク、ポプラ、及びその組み合わせ/ハイブリッドから選択されてもよい。本発明のための前記広葉樹供給原料は、ポプラ(Populus spp.)(例えば、ポプラ・トレムロイデ(Populus tremuloides))、ユーカリ(Eucalyptus spp.)(例えば、ユーカリ)、アカシア(例えば、ミモザアカシア(Acacia dealbata))、及びその組み合わせ/ハイブリッドから選択されてもよい。
【0019】
本発明は広葉樹バイオマスからのリグニン誘導体を提供し、前記誘導体は0.45mmol/g〜約1.4mmol/g;約0.5mmol/g〜約1.3mmol/g;約0.6mmol/g〜約1.2mmol/gのエトキシ含有量、及び/又は約67.5%〜約75.5%;約68.0%〜約72.5%の炭素含有量を有する。
【0020】
針葉樹供給原料はナンヨウスギ(Araucaria)(例えば、ナンヨウスギ(A. cunninghamii)、パラナマツ(A. angustifolia)、チリマツ(A. araucana));針葉樹スギ(softwood Cedar)(例えば、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、アメリカネズコ(Thuja plicata)、ニオイヒバ(Thuja occidentalis)、ヌマヒノキ(Chamaecyparis thyoides)、カリトロプシス・ノートカテンシス(Callitropsis nootkatensis));イトスギ(Cypress)(例えば、ヒノキ(Chamaecyparis)、カプレサス・タキソジウム(Cupressus Taxodium)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)、ラクウショウ(Taxodium distichum)、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)、ローソンヒノキ(Chamaecyparis lawsoniana)、イタリアイトスギ(Cupressus semperviren));ロッキーマウンテンドーグラファー(Rocky Mountain Douglas fir);ユーロピアンエー(European Yew);モミ(Fir)(例えば、バルサムモミ(Abies balsamea)、ヨーロッパモミ(Abies alba)、アビエス・プロセラ(Abies procera)、アビエス・アマビリス(Abies amabilis));ツガ(Hemlock)(例えば、カナダツガ(Tsuga canadensis)、ツガ・メーテンシアナ(Tsuga mertensiana)、アメリカツガ(Tsuga heterophylla));カウリマツ(Kauri);カヤ(Kaya);カラマツ(Larch)(例えば、ラリックス・デシデュア(Larix decidua)、カラマツ(Larix kaempferi)、ラリックス・ラリシナ(Larix laricina)、ラリックス・オクシデンタリス(Larix occidentalis));マツ(Pine)(例えば、ピヌス・ニグラ(Pinus nigra)、ピヌス・バンクシアナ(Pinus banksiana)、ピヌス・コントータ(Pinus contorta)、ピヌス・ラジアタ(Pinus radiata)、ピヌス・ポンデロサ(Pinus ponderosa)、ピヌス・レシノサ(Pinus resinosa)、ピヌス・シルベストリス(Pinus sylvestris)、ピヌス・ストロバス(Pinus strobus)、ピヌス・モンチコラ(Pinus monticola)、ピヌス・ランバーチアナ(Pinus lambertiana)、ピヌス・タエダ(Pinus taeda)、ピヌス・パルストリス(Pinus palustris)、ピヌス・リギダ(Pinus rigida)、ピヌス・エチナタ(Pinus echinata));セコイア(Redwood);リム(Rimu);トウヒ(Spruce)(例えば、ドイツトウヒ(Picea abies)、ピセア・マリアナ(Picea mariana)、ピセア・ルベンス(Picea rubens)、シトカトウヒ(Picea sitchensis)、ピセア・グラウカ(Picea glauca));スギ(Sugi);及びその組み合わせ/ハイブリッドを含む。
【0021】
例えば、ここで使用され得る針葉樹供給原料はスギ;モミ;マツ;トウヒ;及びその組み合わせを含む。本発明のための針葉樹供給原料は、テーダマツ(loblolly pine)(ピヌス・タエダ(Pinus taeda))、ラジアータマツ(radiata pine)、バンクスマツ(jack pine)、トウヒ(例えば、ホワイト、インテリア、ブラック)、ダグラスファー(Douglas fir)、ピヌス・シルベストリス、ドイツトウヒ、及びその組み合わせ/ハイブリッドから選択されてもよい。本発明のための前記針葉樹供給原料はマツ(例えば、ピヌス・ラジアタ、ピヌス・タエダ);トウヒ;及びその組み合わせ/ハイブリッドから選択されてもよい。
【0022】
本発明は針葉樹バイオマスからのリグニン誘導体を提供し、前記誘導体は約0.35mmol/g〜約1.4mmol/g;約0.45mmol/g〜約1.3mmol/g;約0.5mmol/g〜約1.2mmol/g;約0.6mmol/g〜約1.1mmol/gのエトキシ含有量、及び/又は66.5%〜約80.0%;約67.0%〜約75.5%;約67.5%〜約73.5%の炭素含有量を有する。
【0023】
一年生植物繊維供給原料は、一成長期にその成長を完了し、それ故に毎年植えられる植物である一年生植物に由来するバイオマスを含む。一年生植物の例には、亜麻、麦わら(小麦、大麦、カラスムギ)、バガス、稲わら、トウモロコシわら(corn stover)、トウモロコシ穂軸、大麻、果肉、アルファグラス(alfa grass)、スイッチグラス、及びその組み合わせ/ハイブリッドがある。トウモロコシ穂軸、コーンファイバー、トウモロコシ蒸留粕(DDGs)、フルーツピール(fruit peal)、種、などのような産業残留物もまた、一般に食用作物や果物のような一年生植物繊維バイオマス由来であるので、一年生植物と考えてもよい。例えば、一年生植物繊維供給原料は、小麦わら、トウモロコシわら、トウモロコシ穂軸、バガス、及びその組み合わせ/ハイブリッドから選択されてもよい。
【0024】
本発明は一年生植物繊維バイオマスからのリグニン誘導体を提供し、前記誘導体は約0.25mmol/g〜約1.4mmol/g;約0.35mmol/g〜約1.3mmol/g;約0.45mmol/g〜約1.2mmol/g;約0.5mmol/g〜約1.1mmol/gの、エトキシ含有量のようなアルコキシ含有量、及び/又は64.5%〜約75.5%;約65.0%〜約72.5%;約65.5%〜約70.5%の炭素含有量を有する。
【0025】
天然リグニン誘導体は、天然リグニンをセルロース及び他のバイオマス成分から分離するために用いられる処理のタイプによって異なるであろう。あらゆる適切な処理がここでは用いられ得るが、クラフトパルプ化、亜硫酸塩パルプ化(sulphite pulping)、及びASAMオルガノソルブパルプ化は、誘導体を特定の使用のためには不適切にし得る著しい量の有機的に結合した硫黄を含む天然リグニン誘導体を生成するであろう。
【0026】
アルセル(Alcell)(登録商標)処理のようなオルガノソルブ処理は、天然リグニン構築物を過度に変える又は損傷することなくバイオマスから高度に精製されたリグニン誘導体及び他の有用な物質を分離するために使用され得る。従って、そのような処理はバイオマスを構成する全成分からの価値を最大にするために用いられ得る。
【0027】
アルセル(登録商標)処理の記載は米国特許第 4,764,596号明細書(参照により本願に組み込まれる)に見出すことができる。前記処理は一般に、(a)60%エタノール/40%水、(b)約180℃〜約210℃の温度、(c)約20気圧〜約35気圧の圧力、及び(d)5〜120分の処理時間、を含む条件下において、繊維バイオマス供給原料を主にエタノール/水溶媒溶液でパルプ化又は前処理することを含む。天然リグニン誘導体は、天然リグニンから、可溶性ヘミセルロース、他の炭水化物及び樹脂、有機酸、フェノール、及びタンニンのような抽出物も受け取る他のパルプ液へ分別される。分別された天然リグニン誘導体及び繊維バイオマス供給原料からの他の抽出物を含むオルガノソルブパルプ液は、しばしば「ブラック液」と呼ばれる。オルガノソルブパルプ化によって放出された有機酸及び抽出物は約5以下のpHレベルまで有意にブラック液を酸性にする。パルプ化処理の間に生産されたセルロースパルプからの分離の後、天然リグニン誘導体は、減圧とその後の冷水でのフラッシング(flashing)によってブラック液から回収される。前記減圧とその後の冷水でのフラッシングにより分別された天然リグニン誘導体を沈殿にし、それによって標準の固体/液体分離処理によってそれらを回収できる。米国特許第7,465,791号明細書及びPCT特許出願公報WO 2007/129921号パンフレットによって例示される様々な開示は、バイオリファイニング(biorefining)の間に繊維バイオマス供給原料から回収される分別された天然リグニン誘導体の収量を増大する目的で、アルセルオルガノソルブ処理の変更を記載する。標準的な触媒を使用した場合に、アルセルオルガノソルブ処理条件の変更は、(a)35%〜85%(w/w)エタノールの範囲から選択された値への、パルプ液のエタノール濃度の調整、(b)100℃〜350℃の範囲から選択された値への温度の調整、(c)5気圧〜35気圧の範囲から選択された値への圧力の調整、(d)20分〜約2時間以上の範囲の持続時間への処理時間の調整、(e)3:1〜15:1以上への液体対木材比の調整、(f)1〜6.5以上の範囲への蒸煮液のpHの調整を含んだ。
【0028】
本発明は天然リグニン誘導体を製造するための方法を提供し、前記方法は以下の工程、
(a)繊維バイオマス供給原料を有機溶媒/水溶液とパルプ化する工程、
(b)セルロースパルプ又は前処理された基質をパルプ液又は前処理溶液から分離する工程、
(c)天然リグニン誘導体を回収する工程、
を含む。
【0029】
前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、及びその組み合わせのような短鎖第一級及び第二級アルコールから選ばれてもよい。例えば、前記溶媒はエタノールであってよい。前記アルコール溶液は質量で約20%以上、約30%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上のエタノールを含んでもよい。
【0030】
前記方法の工程(a)は約100℃以上、約120℃以上、約140℃以上、約160℃以上、約170℃以上、又は約180℃以上の温度で実施されてもよい。前記方法は約300℃以下、約280℃以下、約260℃以下、約240℃以下、約220℃以下、約210℃以下、約205℃以下、又は約200℃以下の温度で実施されてもよい。
【0031】
前記方法の工程(a)は、約5気圧以上、約10気圧以上、約15気圧以上、約20気圧以上、約25気圧以上、又は約30気圧以上の圧力で実施されてもよい。前記方法は約150気圧以下、約125気圧以下、約115気圧以下、約100気圧以下、約90気圧以下、又は約80気圧以下の圧力で実施されてもよい。
【0032】
前記繊維バイオマスは工程(a)の溶媒溶液で約1分以上、約5分以上、約10分以上、約15分以上、約30分以上処理されてもよい。前記繊維バイオマスは工程(a)の溶媒溶液でその操作温度において約360分以下、約300分以下、約240分以下、約180分以下、約120分以下処理されてもよい。
【0033】
前記パルプ液のpHは、例えば、約1〜約6又は約1.5〜約5.5であってもよい。
【0034】
本発明は、0.45mmol/g以上のアルコキシ含有量及び/又は64.5%以上の炭素含有量を有するリグニン誘導体の製造方法を提供し、前記方法は以下の工程、
a)容器内で繊維バイオマス供給原料を有機溶媒/水溶媒溶液とパルプ化又は前処理して液体を形成する工程であって、
i.前記溶液が質量で約30%以上の有機溶媒を含み;及び
ii.前記液体のpHが約1〜約6;
である工程、
b)前記液体を約100℃以上に加熱する工程、
c)高めた温度を1分以上維持する工程
d)パルプ液からセルロースパルプを分離する工程、
e)天然リグニン誘導体を回収する工程、
を含む。
【0035】
本発明は、0.45mmol/g以上のアルコキシ含有量を有する広葉樹リグニン誘導体の製造方法を提供し、前記方法は以下の工程、
a)容器内で広葉樹バイオマスを含む繊維供給原料を有機溶媒/水溶媒溶液とパルプ化又は前処理をして液体を形成する工程であって、
i.前記溶液が質量で約30%以上の有機溶媒を含み;及び
ii.前記液体のpHが約1〜約6;
である工程、
b)前記液体を約100℃以上に加熱する工程、
c)高めた温度を1分以上維持する工程、
d)セルロースパルプをパルプ液から分離する工程、
e)天然リグニン誘導体を回収する工程、
を含む。
【0036】
本発明は、0.35mmol/g以上のアルコキシ含有量を有する針葉樹リグニン誘導体の製造方法を提供し、前記方法は以下の工程、
a)容器内で針葉樹バイオマスを含む繊維供給原料を有機溶媒/水溶媒溶液とパルプ化又は前処理をして液体を形成する工程であって、
i.前記溶液が質量で約30%以上の有機溶媒を含み;及び
ii.前記液体のpHが約1〜約6;
である工程、
b)前記液体を約100℃以上に加熱する工程、
c)高めた温度を1分以上維持する工程、
d)セルロースパルプをパルプ液から分離する工程、
e)天然リグニン誘導体を回収する工程、
を含む。
【0037】
本発明は、0.25mmol/g以上のアルコキシ含有量を有する一年生植物繊維リグニン誘導体の製造方法を提供し、前記方法は以下の工程、
a)容器内で一年生植物繊維バイオマスを含む繊維供給原料を有機溶媒/水溶媒溶液とパルプ化又は前処理をして液体を形成する工程であって、
i.前記溶液が質量で約30%以上の有機溶媒を含み;及び
ii.前記液体のpHが約1〜約5.5;
である工程、
b)前記液体を約100℃以上に加熱する工程、
c)高めた温度及び圧力を1分以上維持する工程、
d)セルロースパルプをパルプ液から分離する工程、
e)天然リグニン誘導体を回収する工程、
を含む。
【0038】
本発明における天然リグニン誘導体は、炭素繊維に組み込まれてもよい。本発明の誘導体を有する炭素繊維の製造方法の一態様のフローチャートが図4に示されている。
【0039】
リグニン試料は、スピナレットを備えた適切な熱混合押出機に置かれてもよい。模範的な適切なスピナレットは約0.8mm(1/32インチ)スピナレットである。そのような装置は典型的に、約130℃〜300℃の範囲の温度で約74m*min-1の最大巻上げ速度を有する。リグニンを紡いで繊維にするための他の適切な装置は、一穴ノズルを有する融合紡糸機に例示される。そのような装置は、0.30mmの穴を有するノズルと共に提供されたときには、約130℃〜約300℃の範囲の温度で典型的に約140〜250m*min-1の巻上げ速度を有する。本発明の天然リグニン誘導体からこのようにして生産された繊維は、炭化に先立って安定化されてもよい。適切な安定化方法は、繊維を250℃まで徐々に加熱し、次に繊維をこの温度で一定時間保持することである。熱安定化(thermostabilized)繊維は、次に約1000℃〜約3000℃の範囲の温度で不活性雰囲気において炭化されてもよい。
【0040】
天然リグニン誘導体は、繊維の押し出しの前にポリアクリロニトリル又は他の互換性のあるポリマーと混合されてもよい。前記リグニン誘導体は約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上の混合物を含んでよい。ポリアクリロニトリル又は他の互換性のあるポリマー及びリグニン誘導体の混合物を含む繊維は、次に熱安定化及び炭化され得る。
【0041】
本発明の天然リグニン誘導体又はポリアクリロニトリル若しくは他の互換性のあるポリマー及び本発明のリグニン誘導体の混合物を含む炭素繊維は、ポリマーを含む合成材料を補強するために使用されてもよい。それらは非ポリマー材料を補強するために使用されてもよい。前記繊維はまた、織物や繊維製品に織られてもよい。
【0042】
本明細書において議論されるあらゆる態様は、実施され得る、又はあらゆる他の態様、方法、組成物若しくは発明の特徴に対して組み合わされ得ることが予期され、逆もまた同様である。
【0043】
別に定義しない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。別に特定しない限り、本願で言及される全ての特許、出願、公開された出願及び他の刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。このセクションで述べられる定義が、参照により本願に組み込まれる特許、出願、公開された出願及び他の刊行物において述べられる定義に反する又は矛盾する場合は、このセクションにおいて述べられる定義が参照によって本願に組み込まれる定義に優先する。本願における参照の引用は、そのような参照が本発明に対する先行技術であるとものとしては、解釈されることも考えられることもない。
【0044】
用語の例を含む本願明細書における例の使用は、説明の目的のみのためであり、本願発明の態様の範囲及び意味を制限することを意図してはいない。数値範囲は範囲を定義する数を含む。本願明細書において、「含む(comprising)」という単語は制限のない用語として使用され、「含むが制限されない(including, but not limited to)」という表現と実質的に等しく、「含む(comprise)」という単語は同じ意味を有する。
【0045】
本発明は、実質的にここに記載された全ての態様、変更及び変化、並びに例及び図に関して全ての態様、変更及び変化を含む。いくつかの変化及び変更が、特許請求の範囲において定義されたように、本発明の範囲から出発することなくなされ得ることは、当業者にとって明らかである。そのような変更の例は、実質的に同じ方法において同じ結果を達成するために、本発明のあらゆる特徴との周知の等価物の置換を含む。
【0046】
本発明は以下の実施例において更に説明される。しかしながら、これらの実施例は説明の目的のみのためであり、いかなる方法においても本発明の範囲を制限するために用いられるべきではないことが理解される。
【実施例】
【0047】
実施例1:広葉樹供給原料からのリグニン誘導体の回収
広葉樹供給原料片は(1)カナダのブリティッシュコロンビア州で育ったヤマナラシ(P.トレムロイデ);(2)チリで育ったアカシア(ミモザアカシア);及び(3)チリで育ったユーカリ(E.ニテン(E. nitens))から準備した。それぞれの供給原料の3つの試料を、酸触媒作用を受けたエタノールオルガノソルブパルプ化処理を用いて個別にパルプ化し、それぞれの試料に異なるパルプ化条件を用いた(表1、2及び3)。
【0048】
表1:液体対木材比6:1でのヤマナラシ木片試料のパルプ化条件

【0049】
表2:液体対木材比6:1でのアカシア木片試料のパルプ化条件

【0050】
表3:液体対木材比6:1でのユーカリ木片試料のパルプ化条件

【0051】
それぞれの木片試料のため、まずエタノールパルプ化溶媒を特定の濃度に調整し、その後に水でエタノールを部分的に希釈し、適切な量の硫酸を加えて目的の最終酸性度を得た。最後に、エタノール溶液を水で更に希釈して目的のエタノール濃度を得た。
【0052】
それぞれの最初の繊維バイオマスサブサンプルのリグニン含有量は、「バイオマス中の構造性炭水化物及びリグニンの測定」と題名のついた国立再生可能エネルギー研究所(NREL)技術報告−実験室分析法(TP-510-42618 (25 April 2008))に記載されている方法を用いて測定した。次に、繊維バイオマス試料を圧力容器(2L又は7Lパール反応装置(Parr Instrument Company, Moline, IL, USA))(100〜700g odwチップ)に加えた後、pHを調節したエタノールベースのパルプ化溶媒を液体:木材比6:1で容器に加えた。次に前記容器を加圧して表1〜3に記載した目的温度まで上げた(ヤマナラシ、アカシア、ユーカリを個別に)。次にバイオマス試料を特定の時間「煮沸」し、その後、パルプ化処理を止めた。パルプ化の後、圧力容器の内容物を水圧式20トン手動ショッププレス(manual shop press)(Airco, China)へ移した。まずプレスにおいてパルプ化材料を圧搾して液体を搾り出すことで、液体を固体から分離した。次に搾り出した液体を粗い絹のふるいに通して濾過して、搾り出した小片残留物を液体流(liquor stream)から分離した。次に、目の細かい濾紙(Whatman No 1)に通す濾過によって液体流から微粒子を分離した。回収された微粒子は、パルプ化バイオマスの冷却の間に液体から抽出され及び自己沈殿した(self-precipitated out)リグニン誘導体を表す。この微粒子リグニンは本願明細書において自己沈殿リグニン誘導体(すなわち「SPL」)と呼ばれる。濾過した液体中にまだ残っている可溶性リグニン誘導体は冷水での希釈によって沈殿させた。冷水での希釈により沈殿したリグニン誘導体は沈殿リグニン、すなわち「PL」と呼ばれる。SPL及びPLリグニン誘導体の乾燥質量を測定した後、それぞれのリグニン誘導体の相対収量を、パルプ化前に最初のバイオマス試料について測定した総天然リグニン(酸不溶性リグニン及び酸可溶性リグニンの合計)値を参照して決定した。
【0053】
リグニン試料を以下の工程によってアセチル化した。まず、300mgの試料を量ってBuchi Multivapor P-12チューブに入れ、真空オーブン中40℃で一晩乾燥した。オーブンから取り出した後、乾燥試料を湿気の吸収から防ぐためにそれぞれのチューブ(stube)を金属ホイルの背のついた(metal foil-backed)キャップで封をした。1.5mlのピリジン及び1.5mlの無水酢酸をそれぞれの試料に加えた。チューブ内容物をボルテックスミキサーによってリグニンが完全に溶解するまで混合した。試料チューブにきつく封をして、ドラフトチャンバーにおいて最低2日間放置し、アセチル化反応を完了するまで進行させた。この期間の終わりに15mlのエタノールをそれぞれの試料に加え、続いてMultivapor P-12中50℃で最大の達成可能な真空下における回転蒸発(rotary evaporation)をした。9つのそれに続く回転蒸発工程を実施し、それぞれをアセトン(チューブ内のあらゆる固体リグニンを溶解するために〜1−2mL)及びエタノール(前記同様、15mL)の添加によって進行した。一度すべての無水酢酸及び酢酸を除去し、2mLのアセトンをチューブに加えて試料を溶解した。この溶液をガラスピペットによってラベルの付いたシンチレーションバイアルに移し、チューブを0.5〜1.0mLのアセトンで洗浄し、そのアセトンもシンチレーションバイアルに移した。シンチレーションバイアル中のリグニン溶液に2.0〜3.0mLのナノ純水(nanopure water)を加え、その後に混合し、リグニンを溶液外へ沈殿させた。バイアルを真空オーブン中40℃で乾燥した。乾いて多孔性固体となったリグニン試料をその後砕いて微粒子にした。1.0mLのナノ純水の添加及び乾燥の2つのその後の工程を実施し、微量の伴出したアセトンを除去した。
【0054】
非アセチル化リグニン試料及びアセチル化リグニン試料を200mgの目的質量でラベルの付いた2.0mLスクリューキャップガラスバイアルへ量り取り、40℃の真空オーブン中で一晩乾燥した。オーブンから取り出してすぐに、試料の乾燥を確実にするためにバイアルにキャップをしてきつく封をした。排気真空乾燥器中にバイアルを放置して室温まで冷却し、質量を量った。1,3,5−トリオキサン及びクロミウムアセチルアセトネートをバイアルへ量り取り、それぞれ333.3mg/mL及び50mg/mLの濃度でd6−ジメチルスルホキシドに溶解して内部標準原液を調製した。それぞれのリグニン試料バイアルに600μLのd6−ジメチルスルホキシドを加えて、バイアルをサーモミキサー中に40℃で置き、リグニンが完全に溶解するまで1400rpmで混合した。他よりも溶解性が低く、サーモミキサーにおけるより長い時間又はボルテックス混合さえも必要となる。前もって調製した原液の60μLアリコート(aliquot)をそれぞれの試料に加え、短時間混合を継続して均質な溶液にした。資料をサーモミキサーから取り外し、室温まで冷却してラベルの付いたNMRチューブへ550μLを移した。
【0055】
NMRスペクトルを、300KでDMSO-d6におけるカルシウム30%溶液の試料を使用してクリオプローブを備えたBruker 700 MHz分光計に記録した。化学シフトはTMS(0.0ppm)を参照した。より正確なベースラインを保証するために、特にカルボニル領域(215−185ppm)において、240−(−40)ppm間隔でスペクトルを記録した。定量13C−NMR用に以下の条件が提供される:
1.逆ゲート測定(Inverse gate detection)
2.90°パルス
3.全原子核の完全な緩和はクロミニウム(III)アセチルアセトネートの添加により達成され、1.2秒の取得時間及び1.7秒の緩和遅延が用いられる。
スペクトルは、フーリエ変換され、フェーズされ(phase)、TMSシグナルを基準(0ppm)として使用して校正され、ベースラインは多項式関数を用いて補正された。ベースラインの補正は、ゼロに調節される以下の間隔基準(interval references)を用いてなされた:(220−215ppm)−(185−182ppm)−(97−92ppm)−(5−(−20)ppm)。0とされる他の領域はない。定量13CNMRスペクトルにおけるシグナルは、2D HSQC NMR及び周知のデータベースの基準で割り当てられた。ベースライン補正の後、スペクトルは内部標準(IS)、トリオキサンの領域を基準として用いてまとめられた。それぞれのスペクトルは、少なくとも2回処理され(記載されたように)、定量化の良好な再現性を保証した。特定部分の量の計算は以下のようになされた:
【0056】
非アセチル化リグニン:X (mmol/g lignin) = IX*mIS/(30mLig*IIS)*1000
アセチル化リグニン:X (mmol/g lignin) = IX*mIS/(30mLig*IIS - 42*IOHtotal * mIS)*1000
Xは特定部分の量であり、IX、 IIS及び IOHtotalは特定部分、内部標準及び総OH基の共鳴値であり、これに対してmLig及びmISはリグニン及び内部標準の質量である。エトキシ基の数値はアセチル化及び非修飾(非アセチル化)の両方のスペクトルから計算される。データは表1〜3に示されている。炭素(C)含有量の定量化は、Perkin-Elmer 2400シリーズ元素分析器中、975℃での純酸素環境における燃焼によって測定された。データは表1〜3に示されている。
【0057】
実施例2:針葉樹供給原料からのリグニン誘導体の回収
針葉樹供給源片を:(1)ブリティッシュコロンビア州で育ったハイブリッドトウヒ材:(2)チリで育ったラジアータマツ:(3)東南アメリカで育ったテーダマツから準備した。それぞれの供給原料からの3試料を、酸触媒作用を受けたエタノールパルプ化処理を用いて個別にパルプ化し、それぞれの試料に異なるパルプ化条件を用いた(表4、5及び6)。
【0058】
表4:液体対木材比6:1でのハイブリッドトウヒ木片試料のパルプ化条件

【0059】
表5:液体対木材比6:1でのラジアータマツ木片試料のパルプ化条件

【0060】
表6:液体対木材比6:1でのテーダマツ木片試料のパルプ化条件

【0061】
それぞれの木片試料のため、まずエタノールパルプ化溶媒を特定の濃度に調整し、その後に水でエタノールを部分的に希釈し、適切な量の硫酸を加えて目的の最終酸性度を得た。最後に、エタノール溶液を水で更に希釈して目的のエタノール濃度を得た。
【0062】
それぞれの繊維バイオマスサブサンプルの最初のリグニン含有量は、NREL法(NREL/TP-510-42618 (April 2008))を用いて測定した。次に、繊維バイオマス試料を圧力容器(2L又は7Lパール反応装置(Parr Instrument Company, Moline, IL, USA))(100〜700g odwチップ)に加えた後、pHを調節したエタノールベースのパルプ化溶媒を液体:木材比6:1で容器に加えた。次に前記容器を加圧して表8〜10に記載した目的温度まで上げた(トウヒ、ラジアータマツ、テーダマツを個別に)。次にバイオマス試料を特定の時間「煮沸」し、その後、パルプ化処理を止めた。パルプ化の後、圧力容器の内容物を水圧式20トン手動ショッププレス(Airco, China)へ移した。まずプレスにおいてパルプ化材料を圧搾して液体を搾り出すことで、液体を固体から分離した。次に搾り出した液体を粗い絹のふるいに通して濾過して、搾り出した小片残留物を液体流から分離した。次に、目の細かい濾紙(Whatman No 1)に通す濾過によって液体流から微粒子を分離した。回収された微粒子は、パルプ化バイオマスの冷却の間に液体から抽出され及び自己沈殿したリグニン誘導体を表す。この微粒子リグニンは本願明細書において自己沈殿リグニン誘導体(すなわち「SPL」)と呼ばれる。濾過した液体中にまだ残っている可溶性リグニン誘導体は冷水での希釈によって沈殿させた。冷水での希釈により沈殿したリグニン誘導体は沈殿リグニン、すなわち「PL」と呼ばれる。SPL及びPLリグニン誘導体の乾燥質量を測定した後、それぞれのリグニン誘導体の相対収量を、パルプ化前に最初のバイオマス試料について測定した総天然リグニン(酸不溶性リグニン、酸可溶性リグニン)値を参照して決定した。
リグニン誘導体試料のエトキシ含有量及び炭素含有量は、実施例1に記載されたのと同様に測定し、表4〜6に示されている。
【0063】
実施例3:一年生植物供給原料からのリグニン誘導体の回収
2つの一年生植物繊維供給原料材料を:(1)ヨーロッパで生産されたトウモロコシ穂軸、(2)ブラジルで育ち加工されたサトウキビから生産されたバガス、及び(3)カナダのアルバータ州で生産された小麦わらから準備した。それぞれの供給原料の3試料を、酸触媒作用を受けたエタノールパルプ化処理を用いて個別にパルプ化し、それぞれの試料に異なるパルプ化条件を用いた(表7、8及び9)。
【0064】
表7:液体対木材比6:1での小麦わら試料のパルプ化条件

【0065】
表8:液体対木材比6:1でのバガス試料のパルプ化条件

【0066】
表9:液体対木材比6:1でのトウモロコシ穂軸試料のパルプ化条件

【0067】
それぞれのバイオマス試料のため、まずエタノールパルプ化溶媒を特定の濃度に調整し、その後に水でエタノールを部分的に希釈し、適切な量の硫酸を加えて目的の最終酸性度を得た。最後に、エタノール溶液を水で更に希釈して目的のエタノール濃度を得た。
【0068】
それぞれの繊維バイオマスサブサンプルの最初のリグニン含有量は、NREL法(NREL/TP-510-42618 (April 2008))を用いて測定した。次に、繊維バイオマス試料を圧力容器(2L又は7Lパール反応装置(Parr Instrument Company, Moline, IL, USA))(100〜700g odwチップ)に加えた後、pHを調節したエタノールベースのパルプ化溶媒を液体:木材比6:1で容器に加えた。次に前記容器を加圧して表14〜15に記載した目的温度まで上げた(バガス、トウモロコシ穂軸を個別に)。次にバイオマス試料を特定の時間「煮沸」し、その後、パルプ化処理を止めた。パルプ化の後、圧力容器の内容物を水圧式20トン手動ショッププレス(Airco, China)へ移した。まずプレスにおいてパルプ化材料を圧搾して液体を搾り出すことで、液体を固体から分離した。次に搾り出した液体を粗い絹のふるいに通して濾過して、搾り出した小片残留物を液体流から分離した。次に、目の細かい濾紙(Whatman No 1)に通す濾過によって液体流から微粒子を分離した。回収された微粒子は、パルプ化バイオマスの冷却の間に液体流から抽出され及び自己沈殿したリグニン誘導体を表す。この微粒子リグニンは本願明細書において自己沈殿リグニン誘導体(すなわち「SPL」)と呼ばれる。濾過した液体中にまだ残っている可溶性リグニン誘導体は冷水での希釈によって沈殿させた。冷水での希釈により沈殿したリグニン誘導体は沈殿リグニン、すなわち「PL」と呼ばれる。SPL及びPLリグニン誘導体の乾燥質量を測定した後、それぞれのリグニン誘導体の相対収量を、パルプ化前に最初のバイオマス試料について測定した総天然リグニン(酸不溶性リグニンと酸可溶性リグニンの合計)値を参照して決定した。
リグニン誘導体試料のエトキシ含有量及び炭素含有量は、実施例1に記載されたのと同様に測定し、表4〜6に示されている。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、向上した紡糸性、その引っ張り強さ及び弾性係数によって評価されるように、結果として生じる炭素繊維の改善した工学特性を有するリグニン誘導体の製造方法及び化学特性の記載を提供する。本発明におけるリグニン誘導体は紡がれてリグニン繊維に、及び続いて炭化されて炭素繊維になり得、その収量は45%超、引っ張り強さは388〜550MPaより高く、弾性係数は30〜60GPa超である。これらのリグニン誘導体のリグニン繊維への紡糸性は100m/minを超え得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
64.5質量%以上の炭素含有量を有するリグニン誘導体。
【請求項2】
66.5質量%以上の炭素含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項3】
68.5質量%以上の炭素含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項4】
69.5質量%以上の炭素含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項5】
0.45mmol/g以上のアルコキシ含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項6】
約0.6mmol/g以上のアルコキシ含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項7】
0.45mmol/g以上のエトキシ含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項8】
約0.6mmol/g以上のエトキシ含有量を有する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項9】
リグニンが広葉樹バイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項10】
リグニンが針葉樹バイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項11】
リグニンが一年生植物繊維バイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項12】
リグニンがポプラ、ユーカリ、アカシア、又はその組み合わせ/ハイブリッドを含むバイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項13】
前記バイオマスがポプラ・トレムロイデ、ユーカリ、ミモザアカシア、又はその組み合わせ/ハイブリッドを含む、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項14】
リグニンがマツ、トウヒ、又はその組み合わせ/ハイブリッドを含むバイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項15】
リグニンがピヌス・ラジアタ、ピヌス・タエダ、BCトウヒ、及びその組み合わせ/ハイブリッドを含むバイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項16】
リグニンが小麦わら、バガス、トウモロコシ穂軸、又はその組み合わせ/ハイブリッドを含むバイオマスに由来する、請求項1に記載のリグニン誘導体。
【請求項17】
約67.5質量%〜約75.5質量%の炭素含有量を有する広葉樹リグニン誘導体。
【請求項18】
0.45mmol/g〜約1.4mmol/gのエトキシ含有量を有する、請求項17に記載の広葉樹リグニン誘導体。
【請求項19】
約66.5質量%〜約80.0質量%の炭素含有量を有する針葉樹リグニン誘導体。
【請求項20】
約0.35mmol/g〜約1.4mmol/gのエトキシ含有量を有する、請求項19に記載の針葉樹リグニン誘導体。
【請求項21】
約64.5質量%〜約75.5質量%の炭素含有量を有する一年生植物繊維リグニン誘導体。
【請求項22】
約0.25mmol/g〜約1.4mmol/gのアルコキシ含有量を有する、請求項21に記載の一年生植物繊維リグニン誘導体。
【請求項23】
請求項1に記載のリグニン誘導体を含む炭素繊維組成物。
【請求項24】
炭素繊維における請求項1に記載のリグニン誘導体の使用。
【請求項25】
炭素繊維の製造方法であって、以下の工程、
a バイオマスを収集する工程、
b 請求項1に記載のリグニン誘導体を抽出する工程、
c 繊維を溶融紡糸する工程、
d 繊維を安定化する工程、及び
e 繊維を炭化する工程、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−519691(P2013−519691A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553159(P2012−553159)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/CA2011/000184
【国際公開番号】WO2011/097721
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509328021)リグノル イノヴェイションズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】