説明

リグノセルロース材料用処理剤

【課題】寸法安定性に優れ、且つ、水の吸収が抑制されたリグノセルロース材料を提供すること、並びに、寸法安定性に優れ、且つ、低吸水性のリグノセルロース複合材料、及び、紙製品又は木材製品を提供すること
【解決手段】(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物を含むリグノセルロース材料用処理剤を使用してリグノセルロース材料を処理してリグノセルロース複合材料を得る。また、前記リグノセルロース複合材料を用いて紙製品又は木材製品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロース材料用処理剤に関する。また、本発明は、前記リグノセルロース材料用処理剤を使用するリグノセルロース材料の処理方法並びに当該リグノセルロース材料を用いた紙製品又は木材製品の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材の乾燥、湿潤による反り、割れ、ねじれ、伸縮等の変形防止のために、ポリエチレングリコール(PEG)処理、フェノール樹脂含浸処理、不飽和ポリエステル樹脂含浸処理(特公昭53-5722号参照)、アセチル化処理等が知られている。しかし、これらの方法では、水による木材の変形防止は十分では無かった。
【0003】
一方、特公平5-6481号公報には、多価カルボン酸又はその誘導体を含浸したリグノセルロース材料を加熱処理することにより、リグノセルロース材料構成成分の間に三次元網目構造を形成させ、このリグノセルロース材料から製造される木質ボード等の寸法安定性を改善することが提案されている。
【0004】
特開平7-150131号公報には、塩基性窒素基含有オルガノポリシロキサンと有機又は無機酸の塩、液状の撥水性作用物質、及び、水を含む組成物で木材を処理する方法が記載されている。
【0005】
特開2002-241744号公報には、アルコキシ基含有有機ケイ素化合物とアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させたものを含む基材処理用水系撥水剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭53−5722号公報
【特許文献2】特公平5−6481号公報
【特許文献3】特開平7−150131号公報
【特許文献4】特開2002−241744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、本発明者らは、特公平5-6481号公報の方法では木質ボード等の水による変形は改善されるものの、水の吸収自体を抑えることはできないことを見出した。多量の水を吸収する木質ボード等は台所、浴室等のいわゆる水周りへの使用が困難であったり、カビが発生しやすかったり、冬季の凍結による寸法安定性の劣化などの不具合が存在する。
【0008】
また、特開平7-150131号公報や特開2002-241744号公報の方法では、有機酸として多価カルボン酸を使用したとしても、多価カルボン酸がアミノ基や塩基性窒素基と塩を形成するため、木質ボード等の水による変形が改善されず、また撥水性も十分でないことが判明した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、寸法安定性に優れ、且つ、低吸水性の、リグノセルロース材料、並びに、当該リグノセルロース材料からなる紙製品又は木材製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、
(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、
(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物
を含むリグノセルロース材料用処理剤によって達成される。
【0011】
前記多価カルボン酸の誘導体は、カルボン酸無水物、又は、多価カルボン酸及び多価アルコールの反応物であることができる。
【0012】
前記ケイ素原子結合官能基は、エポキシ基、カルビノール基、及び、カルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有することが好ましい。
【0013】
前記ケイ素化合物はオルガノシラン又はオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0014】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤は多価アルコールを更に含むことができる。
【0015】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤はエステル化触媒を更に含むことができる。
【0016】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤は溶液又はエマルジョンの形態であることができる。
【0017】
本発明は、前記リグノセルロース材料用処理剤及びリグノセルロース材料を含むリグノセルロース複合材料、並びに、当該リグノセルロース複合材料からなる紙製品又は木材製品にも関する。
【0018】
前記リグノセルロース複合材料は有機樹脂バインダーを更に含むことができる。
【0019】
具体的には、本発明が目的とするリグノセルロース複合材料、並びに、紙製品又は木材製品は、
(1)前記リグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程を含むリグノセルロース材料の処理方法;
(2)前記リグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程を含むリグノセルロース複合材料の製造方法;並びに
(3)前記リグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程、
前記リグノセルロース複合材料を加熱する工程
を含む紙製品又は木材製品の製造方法によって得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤は、多価カルボン酸又はその誘導体のカルボキシ基とリグノセルロース材料のセルロース鎖の水酸基との間でエステル結合を形成することによって当該セルロース鎖を架橋し、リグノセルロース材料構成成分間に三次元網目状構造を形成することによって、リグノセルロース材料の変形を防止して寸法安定性を高める一方、ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物の作用によってリグノセルロース材料の吸水性を低減することができる。
【0021】
したがって、本発明のリグノセルロース材料用処理剤を用いてリグノセルロース材料を処理することによって、寸法安定性に優れ、且つ、低吸水性のリグノセルロース複合材料を提供することができる。
【0022】
また、本発明によって、寸法安定性に優れ、且つ、水の吸収性が抑制された紙製品又は木材製品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(A)成分の多価カルボン酸又はその誘導体は、1分子中に2個以上のカルボキシ基を有する化合物であり、カルボキシ基の他に水酸基を含有してもよい。(A)成分の多価カルボン酸又はその誘導体は2種類以上の混合物であってもよい。具体的には以下のものが挙げられる:シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸等の二価のカルボン酸;トリメリト酸、クエン酸等の三価のカルボン酸;ピロメリット酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸等の四価のカルボン酸;及び、アクリル酸重合体、アクリル酸−アクリル酸メチル共重合体等のアクリル酸共重合体、メタクリル酸重合体、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等のメタクリル酸共重合体等のポリカルボン酸。マレイン酸、コハク酸、クエン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸が好ましい。
【0024】
多価カルボン酸の誘導体としては、上記の多価カルボン酸の無水物、炭素原子数1〜10のアルキルエステル化物、シリルエステル化物、アミド化物等が例示される。多価カルボン酸の無水物が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0025】
多価カルボン酸の誘導体は、多価カルボン酸と多価アルコールとの反応物であってもよい。多価アルコールとしては、具体的には以下のものが挙げられる:エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の二価のアルコール類;グリセリン(1,2,3-プロパン-トリオール)、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン等の三価のアルコール類;スクロース、グルコース、トレハロース、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、マンニトール等の糖類又は糖アルコール類;及び、ポリビニルアルコール等のポリアルコール類。入手の容易さの点ではグリセリンが好ましい。
【0026】
多価カルボン酸と多価アルコールとの反応物は、多価アルコール中の水酸基1モルに対して多価カルボン酸中のカルボン酸基が1.2〜3.0となる量で、多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合反応させて得られた化合物であることが好ましい。例えば、無水マレイン酸とグリセリンとの反応物の場合、無水マレイン酸の融点(52.6℃)以上で無水マレイン酸とグリセリンの混合物を加熱、攪拌すればよい。
【0027】
(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物は、少なくとも1つのケイ素原子結合官能基を有するケイ素化合物である限り特に限定されるものではない。(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物は2種類の混合物であってもよい。前記ケイ素化合物としては、シラン又はポリシロキサンが好ましく、オルガノシラン又はオルガノポリシロキサンがより好ましい。
【0028】
オルガノシランは、一般式:R(Si)R4−a
(式中、Rはケイ素原子結合官能基を表し;Rは一価炭化水素基を表し;aは1〜4の整数を表す)で表されるものが好ましい。
【0029】
一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等の炭素原子数2〜30のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜30のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素原子数7〜30のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子で置換された基(例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等)が挙げられる。一価炭化水素基は、非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基であることが好ましく、非置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
【0030】
オルガノポリシロキサンの分子構造は特に制限されないが、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖を有する直鎖状、網目状、樹枝状(デンドリマー状)等が例示される。直鎖状又は一部分岐鎖を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンが好ましい。オルガノポリシロキサンは単一の重合体又は共重合体のいずれであってもよく、また、2種類以上の重合体の混合物であってもよい。
【0031】
オルガノポリシロキサンの25℃における粘度は特に制限されず、25℃で液状から半固体の生ゴム状であってよい。ただし、取り扱い作業性の点からオルガノポリシロキサンは25℃で液状であることが好ましく、25℃の動粘度が1〜1,000,000mm/sであることが好ましく、5〜20,000mm/sであることが好ましく、5〜10,000mm/sであることが好ましい。オルガノポリシロキサンはシロキサン単位を一分子中に1〜10,000個含むことが好ましく、1〜1,000個含むことがより好ましく、2〜100個含むことが最も好ましい。
【0032】
ケイ素原子結合官能基とはケイ素原子に結合した官能基を意味しており、その種類は特に限定されるものではない。但し、本発明において、ケイ素原子結合官能基はアルコキシ基ではない。本発明の有機ケイ素化合物はケイ素原子結合官能基としてアルコキシ基を含有しないが、その他の基としてアルコキシ基を含有してもよい。しかし、本発明の有機ケイ素化合物はアルコキシ基を全く含有しないことが好ましい。特に、ポリシリケート等のアルコキシシラン又はその部分加水分解物は親水性が強いため、これを含む処理剤で処理されたリグノセルロース材料は撥水性が劣る場合がある。
【0033】
ケイ素原子結合官能基は、塩基性窒素含有基以外の反応性官能基であり、リグノセルロース材料中のセルロースの水酸基と多価カルボン酸の存在下又は不存在下に反応する炭素原子結合酸素原子含有の反応性官能基であることが好ましい。また、ケイ素原子結合官能基は(A)成分のカルボニル基と保存中に室温で反応しないことが好ましい。このようなケイ素原子結合官能基は、カルボキシ基、エポキシ基、カルビノール基、アクリル基、アミド基、メルカプト基、及び、フェノール基からなる群から選択される基が好ましい。なかでも、カルボキシ基、エポキシ基、及び、カルビノール基が好ましい。なお、これらの基はケイ素原子に直接結合してもよいが、二価炭化水素基、アルキレンオキシアルキレン基等の他の基を介して間接的に結合してもよい。
【0034】
二価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜30のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜30のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。二価炭化水素基は、非置換の炭素原子数1〜30の二価炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0035】
オルガノポリシロキサンが有するケイ素原子結合官能基以外の基としては、既述したような一価炭化水素基が好ましい。
【0036】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端カルボキシデシル基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ヒドロキシエトキシプロピル基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端グリシドキシプロピル基封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルエポキシシクロヘキシルエチルシロキサン共重合体等が例示される。
【0037】
(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物は(A)多価カルボン酸又はその誘導体100質量部に対して1〜10,000質量部であることが好ましく、5〜1,000質量部であることがより好ましく、5〜300質量部であることが更により好ましく、10〜100質量部であることが最も好ましい。(A)多価カルボン酸又はその誘導体100質量部に対して(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物が1質量部より少ないと吸水性低減効果が発揮されない恐れがあり、(A)多価カルボン酸又はその誘導体100質量部に対して(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物が10,000質量部より多いとコスト面で不利となる恐れがある。
【0038】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤は更に多価アルコールを含んでもよい。多価アルコールとしては既述したものを使用することができる。2種類以上の多価アルコールを含んでもよい。多価アルコールの配合量は特に限定されるものではないが、多価アルコール中の水酸基1モルに対して多価カルボン酸又はその誘導体中のカルボン酸基が1.2〜3.0となる量であることが好ましい。
【0039】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤は更にエステル化触媒を含んでもよい。エステル化触媒の種類は特には限定されないが、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫酸アルミニウム、ミョウバン等のルイス酸が好ましい。2種類以上のエステル化触媒を含んでもよい。エステル化触媒の配合量は、(A)多価カルボン酸又はその誘導体100質量部に対して0.1〜10,000質量部であることが好ましく、1〜1,000質量部であることがより好ましく、1〜300質量部であることが更により好ましい。
【0040】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤は、(A)多価カルボン酸又はその誘導体、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物、及び、必要に応じて他の任意成分を混合することにより調製することができる。これらの混合物が液状の場合はそのまま使用することができるが、特に固形状の場合は、所定の液体に溶解させて溶液として、或いは、所定の液体中に分散してエマルジョンとして使用することができる。液体としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール;アセトン等のケトン;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド等の極性の強い液体が好ましい。水、アルコールが特に好ましい。2種類以上の液体の混合物を使用してもよい。本発明のリグノセルロース材料用処理剤のエマルジョン化は、公知の方法で行うことができる。本発明のリグノセルロース材料用処理剤を水系エマルジョンとして使用する場合は、予め、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物の水中油型エマルジョンを調製し、これに(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、必要に応じて他の任意成分を配合することが好ましい。
【0041】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤中の(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物の濃度は特に限定されるものではなく、100%であってもよいが、1〜90質量%が好ましく、3〜80質量%がより好ましく、5〜70質量%が更により好ましい。
【0042】
本発明のリグノセルロース材料用処理剤に配合してもよい他の任意成分としては、例えば、芳香剤、消臭剤、防錆剤、難燃化剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、防虫剤、殺虫剤、抗ウイルス剤、光遮蔽・吸収剤、染料、顔料等を挙げることができる。
【0043】
本発明では、リグノセルロース材料を上記のリグノセルロース材料用処理剤で処理することによって、寸法安定性に優れ、且つ、水の吸収が抑制されたリグノセルロース複合材料を得ることができる。本発明におけるリグノセルロース材料とは、原木;木材;木片(チップ);木質繊維;セルロース繊維等を含む草木由来のリグノセルロース系材料であり、紙を含む。
【0044】
本発明では、そのようなリグノセルロース複合材料を使用して紙製品又は木材製品を製造してもよい。紙製品は少なくともその一部に紙を使用した製品であり、その種類は特に限定されないが、例えば、各種の記録用紙、段ボール用紙、ろ紙等を含む。木材製品は、少なくともその一部に木材を使用した製品であり、その種類は特に限定されないが、例えば、木質ボードを含む。ここで、木質ボードとは、集成材;合板;OSB(Oriented Strand Board)、パーティクルボード;インシュレーションボード、MDF(Medium Density Fiberboard)、ハードボード等のファイバーボード等の建築資材などに使用される木製ボードのことをいう。本発明は特に、紙の改質や木質ボードの製造に好適に使用することができる。
【0045】
本発明のリグノセルロース材料の処理方法及びリグノセルロース複合材料の製造方法は、前記リグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程を含む。
【0046】
リグノセルロース材料への前記リグノセルロース材料用処理剤の含浸又は塗布方法は特に限定されないが、リグノセルロース材料を前記リグノセルロース材料用処理剤又はその溶液若しくはエマルジョン中に大気圧下又は減圧下浸漬する方法、リグノセルロース材料表面に前記リグノセルロース材料用処理剤又はその溶液若しくはエマルジョンをスプレー、はけ塗り、ナイフコート等により塗布する方法、リグノセルロース材料と前記リグノセルロース材料用処理剤をミキサー中に投入して、必要に応じて、既述した液体と共に攪拌する方法等が例示される。リグノセルロース材料への前記リグノセルロース材料用処理剤の含浸を効率的に行うために、前記含浸又は塗布工程において前記リグノセルロース材料用処理剤及び/又はリグノセルロース材料を加熱することが好ましい。加熱によりリグノセルロース材料用処理剤のリグノセルロース材料への浸透が促進される場合があるからである。この場合の加熱温度は30〜100℃未満が好ましく、60〜100℃未満がより好ましい。
【0047】
前記リグノセルロース材料用処理剤の使用量は、リグノセルロース材料に対して(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物の合計が0.05〜100質量%、好ましくは0.1〜20質量%となる量であることが好ましい。
【0048】
前記リグノセルロース複合材料を、(A)多価カルボン酸又はその誘導体のエステル化反応を効率的に進行させるために、好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜300℃、更に好ましは100〜250℃で加熱してもよい。このような加熱工程を経ると更に寸法安定性に優れた、より低吸水性のリグノセルロース複合材料を得ることができる。
【0049】
また、本発明は、前記リグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布してリグノセルロース複合材料を得る工程、及び、前記リグノセルロース複合材料を加熱する工程を含む紙製品又は木材製品の製造方法にも関する。
【0050】
本発明の紙製品又は木材製品の製造方法における含浸又は塗布工程は既述したリグノセルロース材料の処理方法及び低吸水性のリグノセルロース複合材料の製造方法における含浸又は塗布工程と同様に実施することができるが、木片・木質繊維等のリグノセルロース材料を攪拌しながら前記リグノセルロース材料用処理剤と有機樹脂バインダーを投入することが好ましい。投入時に加熱を行ってもよい。
【0051】
有機樹脂バインダーは、リグノセルロース材料同士を接着し所望の形状、寸法に成形するための成分であり、従来公知のものを使用できる。具体的には、尿素樹脂、尿素―メラミン樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート系樹脂等が例示される。特に、耐水性に優れ、高い結合力及び広範囲な硬化温度を備え、高含水率の木材でも使用できること、並びに、ホルマリン放散の懸念がなく、水と混合可能で、液状であって取扱い作業性に優れる点からイソシアネート系樹脂であることが好ましい。イソシアネート系樹脂としては例えばpMDI(polymeric Methylene Diphenyl Diisocyanate)が例示される。
【0052】
本発明の紙製品又は木材製品の製造方法における加熱工程では、(A)多価カルボン酸又はその誘導体のエステル化反応を効率的に進行させるために、加熱温度が100℃以上であることが好ましく、100〜300℃がより好ましく、100〜250℃が更により好ましい。前記リグノセルロース材料用処理剤が木片・木質繊維等のリグノセルロース材料の表面に均一にいきわたるまで攪拌した後に、加熱することが好ましい。
【0053】
また、リグノセルロース材料がチップ状、繊維状、粉状などである場合、前記加熱工程を加圧下で行う、すなわち、熱圧成形を行うことが好ましい。熱圧成形の方法としては従来公知の方法を用いることができる。
【0054】
なお、本発明のリグノセルロース材料の処理方法、リグノセルロース複合材料の製造方法、及び、紙製品又は木材製品の製造方法では、(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物を別個にリグノセルロース材料に含浸又は塗布してもよい。例えば、(A)多価カルボン酸又はその誘導体をリグノセルロース材料に含浸又は塗布した後に(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物をリグノセルロース材料に含浸又は塗布してもよく、(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物をリグノセルロース材料に含浸又は塗布した後に(A)多価カルボン酸又はその誘導体をリグノセルロース材料に含浸又は塗布してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0056】
ろ紙の厚さ膨張率と重量増加率は、JIS A5905の方法に準じて測定した。また、木質ボードの厚さ膨張率と重量増加率はASTM D1037−06aに準じて測定した。なお、動粘度は25℃における測定値であり、%は質量%である。
【0057】
[実施例1]
無水マレイン酸0.012グラム、グリセリン 0.003グラム、分子鎖両末端カルボキシデシル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度150mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は21.3%、重量増加率は94%であった。
【0058】
[実施例2]
無水マレイン酸0.012グラム、グリセリン 0.003グラム、分子鎖両末端ヒドロキシエトキシプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度60mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は18.3%、重量増加率は82%であった。
【0059】
[実施例3]
無水マレイン酸0.012グラム、グリセリン 0.003グラム、分子鎖両末端グリシドキシプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度10mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は21.0%、重量増加率は71%であった。
【0060】
[実施例4]
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸0.0105グラム、グリセリン 0.0045グラム、分子鎖両末端カルボキシデシル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度150mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は16.8%、重量増加率は75%であった。
【0061】
[実施例5]
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸0.0105グラム、分子鎖両末端カルボキシデシル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度150mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は18.2%、重量増加率は94%であった。
【0062】
[実施例6]
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸0.0105グラム、分子鎖両末端ヒドロキシエトキシプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度60mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は19.1%、重量増加率は87%であった。
【0063】
[実施例7]
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸0.015グラム、分子鎖両末端カルボキシデシル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度150mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は18.1%、重量増加率は95%であった。
【0064】
[比較例1]
ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は32.4%、重量増加率は314%であった。
【0065】
[比較例2]
無水マレイン酸 32.0グラムとグリセリン 8.0グラムを65℃以上で加熱攪拌した。反応物が均一な液体になってからさらに1時間加熱攪拌を行い、無色透明物(室温では固体、製造時は液体) 39.8グラムを得た。
得られた反応物 0.015グラムをアセトン 7.5グラムに溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は21.0%、重量増加率は266%であった。
【0066】
[比較例3]
無水マレイン酸0.012グラムとグリセリン 0.003グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は22.2%、重量増加率は261%であった。
【0067】
[比較例4]
マレイン酸0.012グラムとグリセリン 0.003グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は22.0%、重量増加率は264%であった。
【0068】
[比較例5]
無水マレイン酸0.012グラムとグリセリン 0.003グラム、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度10mm2/s)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は22.8%、重量増加率は245%であった。
【0069】
[比較例6]
無水マレイン酸0.012グラムとグリセリン 0.003グラム、メチルシリケート51(多摩化学社製)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は22.5%、重量増加率は242%であった。
【0070】
[比較例7]
無水マレイン酸0.012グラムとグリセリン 0.003グラム、シリケート40(多摩化学社製)0.015グラムをアセトン7.5グラムにて溶解した。これを1%塩化鉄(III)水溶液1グラムと共に、ろ紙(アドバンテック東洋(株)製:No. 424、厚さ1mm、直径110mmφ)に浸し、風乾後、150℃のオーブンで10分間加熱処理した。このろ紙を室温で18時間、水中に浸した。水中に浸す前後のろ紙の厚さ膨張率は22.5%、重量増加率は212%であった。
【0071】
未処理のろ紙である比較例1、並びに、多価カルボン酸、又は、多価カルボン酸及び多価アルコール若しくはその反応物で処理された比較例2〜4、或いは、ケイ素原子結合官能基を含まないジメチルポリシロキサン、又は、アルコキシシランの部分加水分解縮合物で処理された比較例5〜7に比べて実施例1〜8は水を吸収しにくいので、ろ紙の膨張・重量増加が抑制されている。
【0072】
[実施例8]
マレイン酸1.22グラムとグリセリン0.26グラムを7.08グラムの水に溶解した。これにジメチルシロキサンメチルエポキシシクロヘキシルエチルシロキサンコポリマー(エポキシ基含有量1.2%、動粘度6,000mm2/s)を40%含有する水中油型のエマルジョン3.21グラムを混合した。木片 300グラムにこの溶液をスプレーにて加え、さらにpMDI (バイエル製Mondur 541) 15グラムを加えて混合した。十分に混ざり合った処理木片を200℃、圧力3.4 MPaで5分間プレスして 木質ボードを得た。得られた 木質ボードを室温で24時間含水した。含水前後の厚さ膨張率は15.7%、重量増加率は31.6%であった。
【0073】
[実施例9]
マレイン酸1.22グラムとグリセリン0.26グラムを6.03グラムの水に溶解した。これに45wt%濃度の塩化鉄(III)水溶液1.91グラム(塩化鉄(III)0.86グラム、水1.05グラム)およびジメチルシロキサンメチルエポキシシクロヘキシルエチルシロキサンコポリマー(エポキシ基含有量1.2%、動粘度6,000mm2/s)を40%含有する水中油型のエマルジョン3.21グラムを混合した。木片300グラムにこの溶液を加え、さらにpMDI (バイエル製Mondur 541) 15グラムを加えて混合した。十分に混ざり合った処理木片を200℃、圧力3.4 MPaで5分間プレスして 木質ボードを得た。得られた 木質ボードを室温で24時間含水した。含水前後の厚さ膨張率は15.8%、重量増加率は38.6%であった。
【0074】
[実施例10]
マレイン酸1.22グラムとグリセリン0.26グラムを6.03グラムの水に溶解した。これに45wt%濃度の塩化鉄(III)水溶液1.91グラム(塩化鉄(III)0.86グラム、水1.05グラム)およびジメチルシロキサンメチルエポキシシクロヘキシルエチルシロキサンコポリマー(エポキシ基含有量1.2%、動粘度6,000mm2/s)を40%含有する水中油型のエマルジョン3.21グラムを混合した。木片300グラムにこの溶液を加え、さらにpMDI (バイエル製Mondur 541) 15グラムを加えて混合した。十分に混ざり合った処理木片を150℃、圧力3.4 MPaで10分間プレスして 木質ボードを得た。得られた 木質ボードを室温で24時間含水した。含水前後の厚さ膨張率は17.7%、重量増加率は46.4%であった。
【0075】
[実施例11]
マレイン酸1.22グラムとグリセリン0.26グラムを7.95グラムの水に溶解した。これに45wt%濃度の塩化鉄(III)水溶液1.91グラム(塩化鉄(III)0.86グラム、水1.05グラム)。木片300グラムにこの溶液を加え、さらにpMDI (バイエル製Mondur 541) 15グラムと分子鎖両末端グリシドキシプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度10mm2/s)1.29グラムの混合液を加えて混合した。十分に混ざり合った処理木片を200℃、圧力3.4 MPaで5分間プレスして 木質ボードを得た。得られた 木質ボードを室温で24時間含水した。含水前後の厚さ膨張率は14.9%、重量増加率は58.6%であった。
【0076】
[実施例12]
マレイン酸1.22グラムとグリセリン0.26グラムを7.95グラムの水に溶解した。これに45wt%濃度の塩化鉄(III)水溶液1.91グラム(塩化鉄(III)0.86グラム、水1.05グラム)。木片300グラムにこの溶液を加え、さらにpMDI (バイエル製Mondur 541) 15グラムと分子鎖両末端ヒドロキシエトキシプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(動粘度45mm2/s)1.29グラムの混合液を加えて混合した。十分に混ざり合った処理木片を200℃、圧力3.4 MPaで5分間プレスして 木質ボードを得た。得られた 木質ボードを室温で24時間含水した。含水前後の厚さ膨張率は15.6%、重量増加率は36.8%であった。
【0077】
[比較例8]
木片300グラムにpMDI (バイエル製Mondur 541) 15グラムを加えて混合した。十分に混ざり合った処理木片を150℃、圧力3.4 MPaで10分間プレスして 木質ボードを得た。得られた 木質ボードを室温で24時間含水した。含水前後の厚さ膨張率は20.5%、重量増加率は95.0%であった。
【0078】
未処理の木質ボードである比較例8に比べて実施例8〜12は水を吸収しにくいので、木質ボードの膨張・重量増加が抑制されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)多価カルボン酸又はその誘導体、及び、
(B)ケイ素原子結合官能基含有ケイ素化合物
を含むリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項2】
前記多価カルボン酸の誘導体が、カルボン酸無水物、又は、多価カルボン酸及び多価アルコールの反応物である請求項1記載のリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項3】
前記ケイ素原子結合官能基が、エポキシ基、カルビノール基、及び、カルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する請求項1又は2記載のリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項4】
前記ケイ素化合物がオルガノシラン又はオルガノポリシロキサンである、請求項1乃至3のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項5】
更に多価アルコールを含む請求項1乃至4のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項6】
更にエステル化触媒を含む請求項1乃至5のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項7】
溶液又はエマルジョンの形態である、請求項1乃至6のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤及びリグノセルロース材料を含むリグノセルロース複合材料。
【請求項9】
更に有機樹脂バインダーを含む請求項8に記載のリグノセルロース複合材料。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載のリグノセルロース複合材料からなる紙製品又は木材製品。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程を含むリグノセルロース材料の処理方法。
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程を含むリグノセルロース複合材料の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれかに記載のリグノセルロース材料用処理剤をリグノセルロース材料に含浸又は塗布する工程、及び
前記リグノセルロース材料を加熱する工程
を含む紙製品又は木材製品の製造方法。

【公開番号】特開2011−201196(P2011−201196A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71750(P2010−71750)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】