説明

リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場

本発明は、消毒薬や抗生剤などの有害薬品を使用することなく養魚場の水質を持続的に改善させることができ、冷却部と加熱部を備えて寒さおよび暑さなど温度の急激な変化に関係なく運用することができる、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場に関する。本発明の養魚場は、床材を内側に備え、水で満たされた多数の水槽と、水槽の内側に設けられ、一側と他側が前記水槽の外部に突出した波形管と、水槽から排出された水が貯留され、水槽へ流水貯水部からのアルカリ水または酸性水を供給し、内部には吸着板を備えた濾過部と、前記波形管を通して循環する水を加熱させる加熱部と、波形管を通して循環する水を冷却させる冷却部と、水槽の上面の一側端から他側端まで繋がるように設けられる多数のカバー支持紐とを含んでなる。本発明によれば、消毒薬や抗生剤などの有害薬品を使用することなく、自然かつ環境調和的方式で養魚場の水質を容易で持続的に改善させることができ、冷却部と加熱部を備えて寒さおよび暑さなど温度の変化に関係なく、温水性魚類および冷水性魚類を場所を問わずにどこでも養うことができる、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場に係り、詳しくは、消毒薬や抗生剤などの有害薬品を使用することなく養魚場の水質を持続的に改善させることができ、冷却部と加熱部を備えて寒さや厚さなど気温の急激な変化に関係なく運用することができる、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場に関する。
【背景技術】
【0002】
養魚場の水質は、余剰餌および魚類の排泄物が養魚場の底部に沈澱および堆積し、閉鎖的な循環過程によって汚染物質が引き続き蓄積されるため、持続的な水質管理が行われなければ必然的に富栄養化水質に転落してしまう。
【0003】
一般な陸上式養魚場は、殆ど閉鎖された1つの空間であって、少量の有機性または無機性汚染物質が流入しても、その生態系は不均衡をもたらす。大部分の養魚場が一応汚染し始めると、汚染源が遮断されるとしても、汚染度が増加し続けるという特性がある。よって、各養魚場に合う適切で経済的な水質保存または水質改善が急な課題である。
【0004】
通常、水質を悪化させる因子は、周辺の空気変化および水質汚染による悪性細菌、バクテリアおよびその他ウイルスの個体数の増加、水中の毒性物質量の増加、アンモニアなどの有害ガスを放出する有機物の生成、植物性プランクトンによる動物性プランクトンの増加により溶存酸素の不足現象、水の透明度低下、pHの低下、急激な害虫の出没などである。
【0005】
そこで、かかる問題を解決するために、養魚場に化工薬品などの抗生剤、消毒薬、猛毒性薬品を撒布する方法を試みているが、持続的な薬品撒布による残留成分が蓄積されながら魚類が斃死してしまうという問題点がある。
【0006】
また、従来の養魚場では水の温度を上昇させるために熱水を直接供給したが、このような方法は、養魚場内の水の温度を均一に加熱させないうえ、熱水の入る部分は急激な温度上昇により自浄能力のある好気性バクテリアなどが生きられないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、その目的は、消毒薬や抗生剤などの有害薬品を使用することなく、自然かつ環境調和的方式で養魚場の水質を容易で持続的に改善させることができ、冷却部と加熱部を備えて寒さおよび暑さなど温度の変化に関係なく、温水性魚類および冷水性魚類を場所を問わずにどこでも養うことができる、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、合成樹脂材質の半円柱状をし、合成樹脂材質の床材を内側に備えた水入りの多数の水槽と、前記水槽の内側に設けられ、一側と他側が前記水槽の外部に突出した波形管と、前記水槽から排出された水が酸性水とアルカリ水に分類されて貯留される流水貯水部と、前記水槽から排出された水が貯留され、前記水槽へ前記流水貯水部からのアルカリ水または酸性水を供給し、内部には吸着板を備えた濾過部と、前記波形管を通して循環する水を加熱させる加熱部と、前記波形管を通して循環する水を冷却させる冷却部と、前記水槽の上面の一側端から他側端まで繋がるように設けられる多数のカバー支持紐とを含んでなる、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場を提供する。
【0009】
前記水槽から排出される水のうち、9%〜11%は流水貯水部に貯留され、89%〜91%は濾過部に貯留され得る。
【0010】
前記加熱部は練炭ボイラーおよび油ボイラーを含んでもよい。
【0011】
前記カバー支持紐は、前記水槽の一側端の長さの24%〜26%地点とこれに対応する他側端の長さの24%〜26%地点とを結ぶ第1カバー支持紐、前記水槽の一側端の長さの49%〜51%地点とこれに対応する他側端の長さの49%〜51%地点とを結ぶ第2カバー支持紐、および前記水槽の一側端の長さの74%〜76%地点とこれに対応する他側端の長さの74%〜76%地点とを結ぶ第3カバー支持紐を含んでもよい。
【0012】
前記水槽は空気供給部を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明によれば、消毒薬や抗生剤などの有害薬品を使用することなく、自然且つ環境調和的方式で養魚場の水質を容易で持続的に改善させることができ、冷却部と加熱部を備えて寒さおよび暑さなど温度の変化に関係なく、温水性魚類および冷水性魚類を場所を問わずにどこでも養うことができる、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係るリサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る水槽を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施し得る程度に詳細に説明するために、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例に係る年間を通じて運用することが可能な養魚場を示すブロック図、図2は本発明の一実施例に係る水槽を示す斜視図である。
本発明の一実施例に係る年間を通じて運用することが可能な養魚場は、図1に示すように、水で満たされて魚類(図示せず)が生息する第1水槽100、第2水槽200、濾過部300、第1加熱部400、第2加熱部500、冷却部600および空気供給部700から構成される。
【0017】
本発明では、魚類の生息する水槽を第1水槽100と第2水槽200の2つに示したが、魚類の種類または魚類の生態特性などに応じて必要であればさらに追加して備えてもよい。
【0018】
水槽100、200は、下水管などとして使用されていた円筒状の合成樹脂材質(リサイクル再生プラスチック)の管を長さ方向に半分ずつ分けて使用する。よって、水槽100、200は、半円柱状をし、下水管などとして使用しているリサイクル資材をリサイクルするので、施設費用を画期的に節減することができ、環境を保存することができる。
【0019】
参考として、本発明では、合成樹脂材質の管を、魚類を養殖する水槽100、200として使用したが、必要に応じて農作物や草花などの植物、宮入貝や田螺などの貝類、魚類の餌となるミジンコなどを生産するための用途として使用することもできる。
【0020】
水槽100、200の内側底部には合成樹脂材質の第1床材130と第2床材230がそれぞれ設けられる。
【0021】
床材130、230は、地面から伝達される冬季の冷気または夏季の熱気を遮断させることができるので、保温材の役目もする。
【0022】
水槽100、200の内側下部には温水または冷水が循環する第1波形管190と第2波形管290がそれぞれ設けられ、波形管190、290の一側と他側は水槽100、200の一側にそれぞれ突出する。
【0023】
水槽100、200の外部には、温水を供給する第1加熱部400と第2加熱部500が設けられるとともに、冷水を供給する冷却部600が設けられる。
【0024】
第1加熱部400の他側と第2加熱部500の一側とは互いに連結され、第1加熱部400の一側には、第1加熱部400と第2加熱部500で温められた温水が排出されて流れるように第1循環管430が連結される。
【0025】
よって、波形管190、290の一側はそれぞれ第1循環管430に連結されて温水の供給を受け、温水は水槽100、200内の波形管190、290を通して循環しながら、水槽100、200に満たされた水の温度を上昇させる。
【0026】
ここで、温水の温度は魚類によって18℃〜38℃に調節することができる。これは温水性魚類が温度の変化に幅広く適用されるようにするためである。
【0027】
波形管190、290を通して流れる温水は、水槽100、200に満たされた水の温度を間接にゆっくり上昇させるので、水槽100、200に生息する魚類がストレスを少なく受け、自浄能力のある微生物なども生存することができる。
【0028】
次いで、波形管190、290に沿って循環した温水は波形管190、290の他側から排出され、波形管190、290の他側は第2加熱部500の他側に連結される第2循環管530にそれぞれ連結され、波形管190、290の他側から排出される水はさらに温められるために第1加熱部400と第2加熱部500へ供給される。
【0029】
しかも、第2循環管530の一側には、水の循環を円滑にするためにモーターポンプなどの第1動力部510が設けられる。
【0030】
冷却部600の一側には、冷却部600で冷却された冷水が排出されて流れるように第1冷却管610の一側が連結され、第1冷却管610の他側は第1循環管430に連結されることにより、波形管190、290へ冷水を供給し、水槽100、200に満たされた水の温度を冷却させる。
【0031】
ここで、冷水の温度は魚類に応じて0℃〜17℃に調節することができる。これは冷水性魚類が温度の変化に幅広く適用されるようにするためである。
【0032】
波形管190、290を通して流れる冷水も、水槽100、200に満たされた水の温度を間接にゆっくり冷却させるので、水槽100、200に生息する魚類がストレスをあまり受けない。
【0033】
次いで、波形管190、290に沿って循環した冷水は、第1循環管530を通して流れており、冷却部600の他側に一側が連結され且つ他側が第2循環管530に連結される第2冷却管630へ流れて、さらに冷却されるために冷却部600へ供給される。
【0034】
このように、波形管190、290を通して水槽100、200に満たされた水の温度をゆっくり加熱または冷却させることにより、水質の変化に敏感な好気性バクテリアなどの微生物の生存を最大限保護することができ、魚類に発生する各種疾病を予防することができるため、良質の魚類を生産することができる。
【0035】
ここで、第1循環管430の一側と第2循環管530の一側には第1転換弁450と第2転換弁550がそれぞれ設けられるが、冷却部600を稼動して冷水を波形管190、290へ供給する際には、冷却部600から排出される冷水が第1加熱部400と第2加熱部500へ流入するのを防止するために、第1弁450と第2弁550を遮断させる。
【0036】
同様に、第1冷却管610の一側と第2冷却管630の一側には第1冷却弁650と第2冷却弁670がそれぞれ設けられるが、第1加熱部400または第2 加熱部500を稼動して温水を波形管190、290へ供給する際には、加熱部400、500から排出される温水が冷却部600へ流入するのを防止するために、第1冷却弁650と第2冷却弁670を遮断させる。
【0037】
しかも、第1加熱部400としては練炭ボイラーを備え、第2加熱部500としては油ボイラーを備える。
【0038】
よって、第1加熱部400および第2加熱部500のいずれか一方のみを稼動しても温水を水槽100、200へ供給することができるから、第2加熱部500の油が稼動中に切れてしまうと、第1加熱部400のみで温水を供給することができ、逆に第1加熱部400の稼動中に練炭が切れてしまうと、第2加熱部500のみで温水を供給することができる。
【0039】
特に、冬季に加熱部400、500のいずれか1つが故障してももう1つの加熱部によって水槽100、200の水の温度を上昇させることができるから、魚類が凍死してしまうなどの被害がなく、2つの加熱部400、500のいずれか1つが故障してももう1つの加熱部によって他の加熱部が暖められるので、冬季に凍って破裂する被害などがない。
【0040】
よって、加熱部400、500と冷却部600を調節して養魚場を年間を通じて運用することができる。
【0041】
また、本発明に係る練炭ボイラーと油ボイラーの他に、電気ボイラー(図示せず)または太陽熱集熱ボイラー(図示せず)などをさらに備えてもよい。
【0042】
よって、練炭ボイラーまたは油ボイラーの稼動を行うことができなくなると、電気ボイラーを稼動させることができる。また、急激な停電になっても、1日〜3日間熱エネルギーを供給することが可能な太陽熱集熱ボイラーを稼動させることができる。
【0043】
一方、第1水槽100には鯉や鰻などの温水性魚類を養い、第2水槽200には鱒、鮭などの冷水性魚類を養おうとすれば、第1水槽100は加熱部400、500を介して温水を供給し、第2水槽200は冷却部600を介して冷水を供給する。よって、温水性魚類と冷水性魚類を同時に養うことができる。
【0044】
しかも、水槽100、200には水中の酸素を供給するための空気供給部700が設けられる。
【0045】
空気供給部700は、空気が通る空気流入管710を水槽100、200にそれぞれ挿入させ、挿入された空気流入管710の一側に設けられた多数の第1空気供給口730を介して第1水槽100に空気を供給し、多数の第2空気供給口750を介して第2水槽200に空気を供給する。
【0046】
したがって、水槽100、200に供給される空気は、水槽100、200の内部全域を循環しながら、水槽100、200に満たされた水の溶存酸素を均一に保って水質を浄化し安定化させる。
【0047】
第1水槽100の一側には、第1水槽100に満たされた水が排出されるように第1流水口110が設けられ、第2水槽200の一側には、第2水槽200に満たされた水が排出されるように第2流水口210が設けられる。
【0048】
第1流水口110には第1水槽100から排出される水の流れる流水管120が連結され、第2流水口210も第2水槽200から排出される水が流れるように流水管120に連結される。
【0049】
濾過部300は、水槽100、200と同じ材質および形態を有し、一側には流水管120に連結される流入口310が設けられ、流水管120へ流れる水の供給を受ける。
【0050】
濾過部300の内部には、流水管120から供給を受けた水に含まれた異物やスラッジ(sludge)などを除去するための吸着板330が設けられる。
【0051】
濾過部300の他側には濾過部300から排出される水の流れる供給管350が連結され、水槽100、200の他側には供給管350から水の供給を受けられる第1供給口170および第2供給口270が設けられる。
【0052】
しかも、第1供給口170と第2供給口270の付近には第1水槽100および第2水槽200へ供給される水の量を調節することが可能な第1供給弁360と第2供給弁370がそれぞれ設けられ、供給管350の一側には水が円滑に流れるようにするためにモーターポンプなどの第2動力部390が設けられる。
【0053】
このように設けられた本発明に係る水槽100、200で魚類が生活していて、水が酸性化するおそれがある。
【0054】
すると、濾過部300は、アルカリ水を供給管350を通して第1供給口170と第2供給口270へ供給して中和させ、水槽100、200で酸性化した水は比重が軽いため水面側へ移動し、第1流水口110と第2流水口210を開いて酸性化水を排出させる。
【0055】
次いで、酸性化水は流水管120に沿って流れていて、濾過部300に貯留されるが、この際、水槽100、200から排出される水のうち、9%〜11%は流水管120の端部に設けられた流水貯水部150に貯留され、残り89%〜91%は濾過部300にさらに貯留される。
【0056】
流水貯水部150は酸性水貯水部151とアルカリ水貯水部153に分けられる。
【0057】
よって、水槽100、200から酸性水が排出されると、酸性水貯水部151に貯留され、アルカリ水が排出されると、アルカリ水貯水部153に貯留される。
【0058】
また、水槽100、200から排出される水によって酸性水またはアルカリ水に分類されるように貯留させるために、酸性水貯水部151の一側には第1流水弁251が設けられ、アルカリ水貯水部の一側には第2流水弁252が設けられる。
【0059】
よって、水槽100、200から酸性水が排出されると、第1流水弁251は開き、第2流水弁253は遮断させることにより、酸性水を酸性水貯水部151に貯留させる。
【0060】
逆に、水槽100、200からアルカリ水が排出されると、第1流水弁251は遮断させ、第2流水弁253は開くことにより、アルカリ水をアルカリ水貯水部153に貯留させる。
【0061】
流水貯水部150に貯留された水は濾過部300に供給されるようにするが、酸性水貯水部153の他側とアルカリ水貯水部153の他側には濾過部300に連結される補充水管259が設けられる。
【0062】
しかも、酸性水貯水部151の他側には第1補充弁255が設けられ、アルカリ水貯水部153の他側には第2補充弁257が設けられる。
【0063】
よって、濾過部300へ酸性水を供給するためには、第1補充弁255を開き、第2補充弁257を遮断させ、補充水管259を通して酸性水を供給する。逆に、濾過部300へアルカリ水を供給するためには、第1補充弁255を遮断させ、第2補充弁257を開いてアルカリ水を供給する。
【0064】
一方、水槽100、200から排出されて濾過部300に貯留された酸性化水は供給管350を通してさらに第1水槽100と第2水槽200へ供給されるが、これは、水質環境が急に変わると魚類に各種疾病が誘発されるから、既存の水質環境と類似するようにするために、水槽100、200から排出される水の相当量をさらに水槽100、200へ供給するのである。
【0065】
逆に、本発明に係る水槽100、200で魚類が生活していて、水がアルカリ化すると、第1流水口110と第2流水口210を開いてアルカリ化水を排出させる。
【0066】
アルカリ化水は、流水管120に沿って流れていて、濾過部300に貯留されるが、同様に、水槽100、200から排出される水のうち、9%〜11%は流水管120の端部に設けられた流水貯水部150に貯留され、残り89%〜91%が濾過部300にさらに貯留される。
【0067】
濾過部300に貯留された水は供給管350を通してさらに第1水槽100と第2水槽200へ供給されるが、そのような理由は上記のとおりである。
【0068】
アルカリ化水が濾過部300に貯留されると、酸性化させて水槽100、200に供給させるが、水を酸性化させるためには濾過部300に貯留された水に蚊の幼虫やカゲロウの幼虫などの水生昆虫を含ませると、酸性になる。或いは、酸性水貯水部151に貯留された酸性水の供給を流水貯水部150から受け、水槽100、200に供給させればよい。
【0069】
同様に、酸性化水が濾過部300に貯留されると、アルカリ化させて水槽100、200に供給させるが、この際はアルカリ水貯水部153に貯留されたアルカリ水の供給を流水貯水部150から受け、水槽100、200に供給させればよい。
【0070】
一方、第1水槽100および第2水槽200のいずれか1つに満たされた水が酸性化またはアルカリ化になれる。
【0071】
この際は、該当する水槽にのみ濾過部300を介して満たされた水を中和させる。
【0072】
例えば、第1水槽100のみが酸性化した場合には、第2供給口270および第2供給弁370を遮断させ、第1供給口170および第2供給弁360を開くことにより、第1水槽100にアルカリ水を供給する。
【0073】
続いて、第2流水口210を遮断させ、第1流水口110のみを開き、酸性化水を排出させて濾過部300に貯留させる。
【0074】
参考として、第1水槽100または第2水槽200から排出される水を流水貯水部150に貯留せず、全て濾過部300に貯留させるためには、第1流水弁251と第2流水弁252を遮断させることにより、流水貯水部150に貯留される水が無いようにすればよい。
【0075】
逆に、第1水槽100または第2水槽200から排出される水を全て流水貯水部150に貯留させるためには、流入口310を遮断させ、第1流水弁251または第2流水弁252を開くことにより、流水貯水部150に全て貯留されるようにすればよい。
【0076】
第1水槽100または第2水槽200から排出されて濾過部300に貯留される水および流水貯水部150から供給を受けた水に含まれた異物やスラッジなどは、吸着板330を介して濾過され、異物やスラッジなどが濾過されたきれいな水が供給管350を通して第1水槽100と第2水槽200へ供給される。
【0077】
また、第1水槽100と第2水槽200にも魚類の排泄物や餌の滓などの異物が存在するが、これらは底部に備えられた床材130、230に沈澱する。
【0078】
このような異物により細菌や害虫などが発生すると、魚類が斃死するおそれがあるため、本発明に係る床材130、230は周期的に交換し、交換周期は2年とすることが好ましい。
【0079】
よって、吸着板を介して水中の異物やスラッジなどを1次的に濾過し、床材130、230を介しても水中の異物を2次的に除去することができるため、消毒薬などの有害薬品を撒布するなどの防除を行う必要がない。
【0080】
また、本発明に係る水槽100、200は、半円状を呈するので、水面から底部までの深さが中心にくるほど深くなる。よって、水が深くなるにつれて、水圧も変わる。
【0081】
したがって、魚類の種類によって、好む生息地の深さが異なるため、様々な種類の魚類を同じ水槽100、200で養うことができる。
【0082】
水槽100、200の上面には、一側端から他側端に繋がるように第1カバー支持紐810、第2カバー支持紐820および第3カバー支持紐830が設けられるが、水槽100、200をカバー850で覆うと、カバー支持紐810、820、830がカバー850を支持し、カバー850が水面に垂下しなくなる。
【0083】
カバー850は、光を遮断させることが可能な材質であり、黒色を使用することが好ましい。よって、カバー850は、遮光網を用いることができ、太陽光の65%〜75%を遮断させることができるものを使用する。こうすることにより、水槽100、200で魚類と共生する微生物が生活するのには適するためである。
【0084】
第1カバー支持紐810は、水槽100、200の一側端の長さの24%〜26%地点とこれに対応する他側端の長さの24%〜26%地点とを結ぶように設けられ、第2カバー支持紐820は、水槽100、200の一側端の長さの49%〜51%地点とこれに対応する他側端の長さの49%〜51%地点とを結ぶように設けられる。そして、第3カバー支持紐830は、水槽100、200の一側端の長さの74%〜76%地点とこれに対応する他側端の長さの74%〜76%地点とを結ぶように設けられる。
【0085】
一方、水槽100、200の一部のみカバー850を覆う必要が生じることもあるが、カバー850を水槽100、200の縁部から第1カバー支持紐810までのみ覆うと、水槽100、200の上面面積の約25%程度を覆うことになる。
【0086】
カバー850を水槽100、200の縁部から第2カバー支持紐820までのみ覆うと、水槽100、200の上面面積の約50%程度を覆うことになる。
【0087】
同様に、カバー850を水槽100、200の縁部から第3カバー支持紐830までのみ覆うと、水槽100、200の上面面積の約75%程度を覆うことになる。
【0088】
このような方式で、カバー支持紐810、820、830によって所望の広さだけ水槽100、200をカバー850で覆うことができる。
【0089】
しかも、水槽100、200の水面には、水質状態を測定し、測定された結果を伝送するためのセンサー部(図示せず)を設置してもよい。センサー部は、水槽100、200に貯留された水の温度を測定するための温度センサー(図示せず)、溶存酸素を測定するための溶存酸素センサー(図示せず)、pHを測定するためのpHセンサー(図示せず)、および水位または濁度などを測定するための水位および濁度センサー(図示せず)から構成できる。
【0090】
必要に応じて、アンモニア性窒素または硝酸塩などの濃度を測定することが可能なセンサーも設置してもよい。
【0091】
一方、空気供給部700はリングブロワーを使用することが好ましく、水槽100、200内に設けられる第1空気供給口730および第2空気供給口750の個数は魚類の量に応じて調節することができる。
【0092】
したがって、水槽100、200に魚類がたくさん生息すると、比例的に水質を速く安定化させるために、空気供給部730、750の個数を多数にすることが好ましい。
【0093】
よって、水質を速く安定化させ、未生物が生活するのに最適の環境を提供することができ、いずれの魚類でも短期間内に育成することができ、無公害で良質の魚類を生産することができる。
【0094】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明が必ずしもこれに限定されるのではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想から逸脱することなく様々な置換、変形または変更を加え得ることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0095】
100:第1水槽 190:第1波形管
200:第2水槽 290:第2波形管
300:濾過部 330:吸着板
400:第1加熱部 500:第2加熱部
600:冷却部 810:第1カバー支持部
820:第2カバー支持部 830:第3カバー支持部
850:カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材質の半円柱状を呈し、合成樹脂材質の床材を内側に備えた水入りの多数の水槽と、
前記水槽の内側に設けられ、一側と他側が前記水槽の外部に突出した波形管と、
前記水槽から排出された水が酸性水とアルカリ水に分類されて貯留される流水貯水部と、
前記水槽から排出された水が貯留され、前記水槽へ前記流水貯水部からのアルカリ水または酸性水を供給し、内部には吸着板を備えた濾過部と、
前記波形管を通して循環する水を加熱させる加熱部と、
前記波形管を通して循環する水を冷却させる冷却部と、
前記水槽の上面の一側端から他側端まで繋がるように設けられる多数のカバー支持紐とを含んでなることを特徴とする、リサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場。
【請求項2】
前記水槽から排出される水のうち、9%〜11%は流水貯水部に貯留され、89%〜91%は濾過部に貯留されることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場。
【請求項3】
前記加熱部は練炭ボイラーおよび油ボイラーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場。
【請求項4】
前記カバー支持紐は、
前記水槽の一側端の長さの24%〜26%地点とこれに対応する他側端の長さの24%〜26%地点とを結ぶ第1カバー支持紐と、
前記水槽の一側端の長さの49%〜51%地点とこれに対応する他側端の長さの49%〜51%地点とを結ぶ第2カバー支持紐と、
前記水槽の一側端の長さの74%〜76%地点とこれに対応する他側端の長さの74%〜76%地点とを結ぶ第3カバー支持紐とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場。
【請求項5】
前記水槽は空気供給部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル資材を用いたインキュベーター式養魚場。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−517224(P2012−517224A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549056(P2011−549056)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007971
【国際公開番号】WO2010/090396
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511192115)
【Fターム(参考)】