説明

リセット回路および電子機器

【課題】リセット対象部を良好にリセットさせる。
【解決手段】実施形態のリセット回路および電子機器は、入力部と、リセット部と、を備える。前記入力部には、BIOSを実行する実行部を有するリセット対象部に設けられた異常検出部から出力された異常検出信号が入力される。前記リセット部は、前記入力部に前記異常検出信号が入力された場合、前記リセット対象部をリセットさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リセット回路および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BIOSを搭載するPC等の電子機器では、電源スイッチをオンとすると電源供給が開始され、BIOSを用いてハードウェアを初期化する起動処理が実行される。例えば、この起動処理時に何らかの要因によりエラーが発生した場合、処理の停止や暴走等の不具合現象が発生する。
【0003】
このような不具合現象の対策として、一部の機器では起動処理時にウォッチドッグタイマを起動し、電子機器にPCIリセットをかけることで不具合現象を回避している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PCIリセットは、BIOSからのリセットであり、BIOSを実行するCPUやチップセット等のハードウェアが原因でエラーが発生した場合には、リセットがかけられないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のリセット回路および電子機器は、入力部と、リセット部と、を備える。前記入力部には、BIOSを実行する実行部を有するリセット対象部に設けられた異常検出部から出力された異常検出信号が入力される。前記リセット部は、前記入力部に前記異常検出信号が入力された場合、前記リセット対象部をリセットさせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態にかかる電子機器の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるリセット回路が実行するリセット処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、実施形態にかかる電子機器の実施形態を詳細に説明する。
【0008】
図1に示すように、電子機器1は、機器本体10と、この機器本体10に接続されたリセット回路20と、を備えている。電子機器1は、例えばPC(Personal Computer)やPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末等である。本実施形態では、機器本体10がリセット対象部に相当する。
【0009】
機器本体10は、CPU(Central Processing Unit)11と、チップセット12と、電源回路13と、AND回路15と、ゲートアレイ16と、記憶部17と、を備えている。
【0010】
CPU11は、記憶部17に記憶されたBIOS(Basic Input/Output System)や所定の制御プログラムを実行し、電子機器1を構成する各部の動作を制御する。CPU11には、記憶部17や電源スイッチ14、表示器(図示せず)、キーボード(図示せず)等がチップセット12を介して接続されている。CPU11は、チップセット12や記憶部17、図示しない入出力部(I/O)と共に、マザーボード(図示せず)に実装されている。CPU11は、チップセット12とによって制御部を構成している。CPU11は、記憶部17に記憶されたBIOSを実行して所定の初期化処理等の処理を実行する。CPU11は、BIOSを実行する実行部に相当する。
【0011】
チップセット12は、記憶部17に記憶されたBIOSを実行して、所定の初期化処理等の処理を実行する。チップセット12には、AND回路15を介して電源スイッチ14が接続されている。また、チップセット12には、AND回路15を介してリセット回路20のリセット部23が接続されている。チップセット12は、BIOSを実行する実行部に相当する。
【0012】
記憶部17は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有して構成されている。記憶部17は、BIOSや制御プログラムをROMに記憶している。BIOSには、電子機器1が備える各部の初期化処理にかかるプログラムや設定が含まれている。また、BIOSには、後述するウォッチドッグタイマが計時するカウント値のクリアを行うクリア信号を、CPU11から所定周期で出力させるためのプログラムが含まれている。
【0013】
ゲートアレイ16は、ウォッチドッグタイマ16aを有している。ウォッチドッグタイマ16aは、電源スイッチ14の押下等により電源回路13から電力の供給が開始されると計時を開始する。また、ウォッチドッグタイマ16aは、CPU11からクリア信号を受け付けると計時したカウント値をクリアした後、再度計時を開始する。ゲートアレイ16は、ウォッチドッグタイマ16aのカウント値を監視し、そのカウント値が予め定められた時間(タイムアウト値)を経過すると、WDT(ウォッチドッグタイマ)信号をリセット回路20の入力部21に入力する。即ち、ゲートアレイ16は、CPU11からのクリア信号を監視することで、機器本体10を監視している。ここで、本実施形態では、WDT信号が、異常検出部から出力される異常検出信号に相当する。なお、クリア信号は、CPU11ではなく、チップセット12が出力するようにしてもよい。
【0014】
電源回路13は、電子機器1の各部へ電力を供給する電源ユニットである。電源回路13は、ユーザによる電源スイッチ14の押下に応じてオンとオフとを切り替え、オン時において各部への電力供給を開始する。また、電源回路13は、リセット回路20の制御に従い、自己の状態をオフ(電源遮断状態)からオン(電源供給状態)へ移行したり、オフからオンへ移行したりする。
【0015】
リセット回路20は、プログラマブルロジックデバイスによって構成されている。詳細には、リセット回路20は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)によって構成されている。リセット回路20は、別の言い方をするとパワーサイクルリセット回路である。リセット回路20は、ゲートアレイ16、AND回路15および電源回路13と接続されている。リセット回路20は、入力部21と、電圧検出部22と、リセット部23と、を備える。リセット回路20は、電源回路13から常時電力を供給されており、機器本体10がオフ状態であっても動作する。また、リセット回路20は、機器本体10のBIOSを実行しない。つまり、リセット回路20は、機器本体10のBIOSに対して独立して動作する。
【0016】
入力部21には、機器本体10に設けられたゲートアレイ16から出力されたWDT信号が入力される。
【0017】
電圧検出部22は、電源回路13を監視して、機器本体10で用いられる電源の電圧値を検出する。
【0018】
リセット部23は、入力部21にWDT信号が入力されていない状態、即ち機器本体10が正常状態である場合には、電源オン(ON)信号を、機器本体10のAND回路15に入力する。したがって、機器本体10が正常状態である場合、電源スイッチ14がオンされると、AND回路15には、電源スイッチ14からの電源オン信号と、リセット部23からの電源オン信号が入力されるので、AND回路15から電源オン信号がチップセット12を介して電源回路13に入力される。これにより、電源回路13が機器本体10の各部に起動電力を供給する。一方、AND回路15にリセット部23から電源オン信号が入力されている状態で、電源スイッチ14がオフされると、電源スイッチ14から電源オフ(OFF)信号がAND回路15に入力され、AND回路15から電源オフ信号がチップセット12を介して電源回路13に入力される。これにより、電源回路13が各部への電力供給を遮断する。
【0019】
一方、リセット部23は、電源スイッチ14がオンされた状態で、入力部21にWDT信号が入力された場合、即ち機器本体10が異常状態となった場合には、機器本体10をリセットさせる。詳細には、リセット部23は、機器本体10が異常状態となった場合には、機器本体10の電源をオフおよびオンして、機器本体10を再起動させる。本実施形態では、リセット部23は、機器本体10に対して電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に、機器本体10に対して電源オン信号を出力する。より詳細には、リセット部23は、電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に電圧検出部22が検出した電圧値が規定の閾値よりも低い場合、機器本体10に対して電源オン信号を出力する。上記の規定時間は、例えば、オン状態の機器本体10の各部が良好にオフ状態に移行するのに必要な時間である。
【0020】
この際、機器本体10では電源スイッチ14がオンされた状態であるので、リセット部23からAND回路15に電源オフ信号が入力されると、電源オフ信号がAND回路15からチップセット12を介して電源回路13に入力される。これにより、電源回路13が各部への電力供給を遮断する。一方、AND回路15にリセット部23から電源オン信号が入力されると、電源オン信号がAND回路15からチップセット12を介して電源回路13に入力される。これにより、電源回路13が各部へ起動電力を供給する。以上のとおり、リセット部23は、機器本体10をリセットさせる信号(電源オン信号、電源オフ信号)を機器本体10に出力する出力部として機能する。
【0021】
以下に、図2を参照して、リセット回路20が実行するリセット処理の流れについて説明する。
【0022】
まず、入力部21が、機器本体10のゲートアレイ16からのWDT信号の入力を待機する(ステップS1のNo)。入力部21にWDT信号が入力された場合(ステップS1のYes)、リセット部23が、機器本体10に電源オフ信号を出力する(ステップS2)。これにより、機器本体10において、電源回路13が電力供給の遮断を開始する。
【0023】
リセット部23は、電源オフ信号を出力したならば、規定時間だけ待機してから(ステップS3)、機器本体10の電源電圧が規定の閾値よりも低くなったかを判定する(ステップS4)。この機器本体10の電源電圧の値は、電圧検出部22によって検出された電圧値である。リセット部23は、機器本体10の電源電圧が規定の閾値よりも低くなっていない場合には(ステップS4のNo)、ステップS3に戻り、ステップS3,S4の処理を繰り返し行う。
【0024】
リセット部23は、機器本体10の電源電圧が規定の閾値よりも低くなった場合には(ステップS4のYes)、電源オン信号を機器本体10に出力する(ステップS5)。これにより、機器本体10において、電源回路13が電力供給を開始する。このようにして機器本体10がリセットされる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態では、BIOSを実行するCPU11やチップセット12を有する機器本体10に設けられたゲートアレイ16から出力された異常検出信号が、リセット回路20の入力部21に入力された場合、リセット回路20のリセット部23が機器本体10をリセットさせる。したがって、CPU11等のハードウェアが原因で機器本体10にエラーが生じた場合であっても、BIOSによらずに、リセット回路20によって機器本体10を良好にリセットさせることができる。
【0026】
また、リセット部23は、機器本体10に対して電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に、機器本体10に対して電源オン信号を出力する。したがって、機器本体10の各部がオフ状態に移行するのを電源オン信号で遮るのを抑制することができる。
【0027】
また、リセット部23は、電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に電圧検出部22が検出した電圧値が規定の閾値よりも低い場合、機器本体10に対して電源オン信号を出力する。したがって、機器本体10にリセット動作を良好に行わせることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、リセット回路20がプログラマブルロジックデバイスによって構成された例を説明したが、これに限るものではなく、リセット回路20は、プログラマブルロジックデバイス以外の回路によって構成されていてもよい。
【0029】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1…電子機器
10…機器本体(リセット対象部)
11…CPU(実行部)
12…チップセット(実行部)
16…ゲートアレイ(異常検出部)
20…リセット回路
21…入力部
22…電圧検出部
23…リセット部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2008−140072号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BIOSを実行する実行部を有するリセット対象部に設けられた異常検出部から出力された異常検出信号が入力される入力部と、
前記入力部に前記異常検出信号が入力された場合、前記リセット対象部をリセットさせるリセット部と、
を備えるリセット回路。
【請求項2】
前記リセット部は、前記リセット対象部に対して電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に、前記リセット対象部に対して電源オン信号を出力する請求項1に記載のリセット回路。
【請求項3】
前記リセット対象部で用いられる電源の電圧値を検出する電圧検出部を備え、
前記リセット部は、電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に前記電圧検出部が検出した電圧値が規定の閾値よりも低い場合、前記リセット対象部に対して前記電源オン信号を出力する請求項2に記載のリセット回路。
【請求項4】
当該リセット回路は、プログラマブルロジックデバイスによって構成されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載のリセット回路。
【請求項5】
BIOSを実行する実行部および異常検出部を有するリセット対象部と、
前記異常検出部から出力された異常検出信号が入力される入力部、および前記入力部に前記異常検出信号が入力された場合、前記リセット対象部をリセットさせるリセット部を有するリセット回路と、
を備える電子機器。
【請求項6】
前記リセット部は、前記リセット対象部に対して電源オフ信号を出力してから規定時間が経過した後に、前記リセット対象部に対して電源オン信号を出力する請求項5に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−41503(P2013−41503A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179064(P2011−179064)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】