説明

リソバクチンフラグメントの特異的製造方法

本発明は、化学的および酵素的修飾の組合せを利用する、リソバクチン誘導体の特異的な製造方法に関する。特に、本発明は、化学的還元および得られる生成物のキモトリプシンによる切断による、リソバクチン誘導体4−11の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的および酵素的修飾を組み合わせることによる、リソバクチン誘導体の標的化された製造方法に関する。特に、本発明は、化学的還元および得られる生成物のキモトリプシンによる切断による、リソバクチンフラグメント4−11の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソバクチンは、細菌の細胞壁生合成に作用する新規抗生物質を見出すためのスクリーニングプログラムに由来する環状デプシペプチドである(O'Sullivan J. et al. (1988) J. Antibiot. 41 (12), 1740-1744 and Bonner, D. P. et al. (1988) J. Antibiot. 41 (12), 1745-1751; Tymiak, A. A. et al. (1989) J. Org. Chem. 54, 1149-1157)。それは、グラム陽性の好気性および嫌気性の細菌に対して強い活性を示す。珍しい特徴は、分子中に非タンパク質構成アミノ酸が多数あることである。3個のβ−ヒドロキシアミノ酸(2S,3R)−β−ヒドロキシロイシン、(2S,3R)−β−ヒドロキシフェニルアラニンおよび(2S,3S)−β−ヒドロキシアスパラギンに加えて、D−アミノ酸のD−ロイシンおよびD−アルギニン並びにアロ−スレオニンもある。この天然産物リソバクチンの複雑さと大きさは、標的化された化学修飾への大障害である。
【0003】
従って、本発明の目的は、リソバクチンフラグメントを使用する新規抗生物質の製造を可能にするために、リソバクチンフラグメントの標的化された合成のための新規かつ代替的な合成方法を提供することである。
【発明の開示】
【0004】
解決方法は、化学的修飾段階、例えば水素化と組み合わせた、標的化された酵素的切断、標的化された酵素的生成および後続のリソバクチンフラグメントの連結により与えられる。
【0005】
リソバクチンおよび加水分解により得られる鎖式形態(「鎖式リソバクチン」;式(I)の化合物)の、ペプシン、トリプシン、キモトリプシンおよび粘膜ペプチダーゼなどの酵素による酵素的分解実験は、酵素的分解を、全く(例えばペプシンの場合)または不適切にしか示さなかった(R. A. Blackburn et. al. (1993) Drug Metab. Dispos. 21(4), 573-579)。非常に遅く非効率的なリソバクチンの酵素的切断は、使用したバッファー中での加水分解による開環後にのみ起こる。このことは、望まざる副反応として、(2S,3S)−β−ヒドロキシアスパラギンでの側鎖のアミド分解を導く。つまり、β−ヒドロキシアスパラギンユニットがβ−ヒドロキシアスパラギン酸ユニットに変換される。
【0006】
驚くべきことに、リソバクチンフラグメント4−11は、ジヒドロリソバクチン(式(II)の化合物)およびオクタヒドロリソバクチン(式(III)の化合物)並びに両成分の混合物から、キモトリプシンでの酵素的切断により高い効率で定量的に製造できることが見出された。切断は非常に迅速に起こるので、フラグメント1−3および4−11は、実質的に反応パートナー(基質と酵素)の組み合わせの後に形成される。アミノ酸側鎖における望まざる副反応は起こらない。
【0007】
【化1】

【化2】

【0008】
ジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチンは、リソバクチンの水素による水素化分解的開環により得られ、ここで、(2S,3R)−β−ヒドロキシフェニルアラニンユニットは、フェニルアラニンまたは3−シクロヘキシルアラニンユニットに変換される。得られるリソバクチンフラグメントであるジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチンを、次いで酵素的分解に使用する。
【0009】
驚くべきことに、ジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチンは、他の酵素にも良好な基質であるので、酵素の選択により他のフラグメントも高収率で製造できる。
【0010】
本発明は、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンの製造方法に関する。その方法では、水素化触媒の存在下、溶媒中で水素を用いる水素化分解的開環により、リソバクチンをジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンに変換する。
【0011】
水素化触媒は、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウムおよび白金触媒、またはラネーニッケルである。これらの触媒は、塩(例えば二酸化白金、塩化ロジウム(III))として、または担持された触媒(例えばパラジウム/炭素(5−30%)またはロジウム/炭素(5%))として、使用できる。担持された触媒に適する担持物質は、例えば、活性炭、珪藻土、シリカゲル、ベントナイト、カオリン、軽石、アルミノケイ酸または酸化アルミニウムである。好ましい担持物質は、活性炭である。
【0012】
二金属性(bimetallic)触媒または他の複数成分の触媒も使用できる。
好ましいのは、パラジウム触媒、例えばパラジウム/炭素(5−30%)であり、特に好ましいのはパラジウム/炭素(10%)である。
【0013】
水素化分解的開環は、一般的に、溶媒中、好ましくは室温ないし150℃の温度範囲、好ましくは室温ないし80℃の温度範囲で、大気圧ないし200barの気圧範囲で、好ましくは3ないし80barの圧力範囲で行う。
【0014】
溶媒は、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなどのアルコール、または、アルコールの水との混合物、または酢酸もしくは酢酸水溶液、またはTHF−水混合物、またはジオキサン−水混合物、または上述の溶媒の他の三成分混合物、例えばイソプロパノール−水−酢酸である。好ましいのは、イソプロパノール−水混合物である。
【0015】
本発明はさらに、リソバクチンフラグメント4−11およびリソバクチンフラグメント1−3の製造方法に関する。その方法では、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンを酵素的に切断し、リソバクチンフラグメント4−11およびリソバクチンフラグメント1−3を得る。
【0016】
好ましいのは、真核生物のセリンプロテアーゼまたは微生物のセリンプロテアーゼを酵素として使用する、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンの酵素的切断である。
【0017】
真核生物のセリンプロテアーゼは、例えば、キモトリプシン、カテプシンG、キマーゼまたはキモトリプシンファミリーの他の酵素、または芳香族性アミノ酸の後ろで切断する他の真核生物のセリンプロテアーゼであり、好ましいのはキモトリプシンである。
【0018】
微生物のセリンプロテアーゼは、例えば、サブチリシン、プロテイナーゼK、ストレプトマイセスプロテアーゼAまたは芳香族性アミノ酸の後ろで切断する他の酵素であり、好ましいのは、サブチリシンである。
【0019】
本発明はさらに、より小さいリソバクチンフラグメントを与えるジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンの酵素的切断方法に関する。
【0020】
従って、本発明はさらに、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンを酵素的に切断してリソバクチンフラグメント3−11および/またはリソバクチンフラグメント5−11および/またはリソバクチンフラグメント4−10および/またはリソバクチンフラグメント1−9を得ることを特徴する、リソバクチンフラグメント3−11および/またはリソバクチンフラグメント5−11および/またはリソバクチンフラグメント4−10および/またはリソバクチンフラグメント1−9の製造方法に関する。
【0021】
好ましいのは、メタロプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼを酵素として使用する、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンの酵素的切断である。
メタロプロテアーゼは、例えば、サーモリシンまたはミコリシン(mycolysin)である。
システインプロテアーゼは、例えば、パパイン、ブロメラインまたはフィシン(ficin)である。
【0022】
酵素的切断は、一般的に、水性切断バッファー中、C−Cアルコールまたはアセトニトリルを添加して、好ましくは10℃ないし40℃の温度範囲、好ましくは6ないし9のpH範囲で、大気圧下に行う。
【0023】
水性切断バッファーは、例えば、炭酸水素アンモニウムおよび尿素、またはリン酸ナトリウム、システインおよびEDTA、またはナトリウムテトラボレート、またはそれによりpH6ないし9の緩衝範囲が含まれる他の添加物を含有し、好ましいのは、炭酸水素アンモニウムおよび尿素である。
【0024】
−Cアルコールは、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールであり、好ましいのはメタノールである。
特に好ましくは、酵素的切断は、30℃ないし37℃の温度範囲で行う。
反応媒体中のアルコール濃度は、0%ないし40%、好ましくは10%ないし15%である。
酵素の基質(ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチン)に対する比は、1:1ないし1:4000、好ましくは1:25ないし1:100である。
【0025】
本発明はさらに、リソバクチン誘導体を合成するためのリソバクチンフラグメント4−11の使用に関する。
これらのリソバクチン誘導体は、リソバクチンの環系の1個またはそれ以上のアミノ酸が置換されている誘導体である。
【0026】
本発明はさらに、鎖式リソバクチン誘導体の製造方法に関し、その方法では、リソバクチンフラグメント4−11を、C末端の芳香族性または疎水性アミノ酸を有するトリペプチドと、C1−4−アルコールを添加したバッファー媒体中で反応させる。ここで、トリペプチドは、遊離酸またはエステルの形態で存在し、反応媒体中のC1−4−アルコールの濃度は40%より高い。
【0027】
−Cアルコールは、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールであり、好ましいのはメタノールである。
【0028】
好ましいのは、リソバクチンフラグメント4−11およびトリペプチドH−D−X−Y−Phe−ORまたはH−D−X−Y−(3−シクロヘキシル)Ala−ORから、メタノールを添加したバッファー媒体中で、鎖式リソバクチン誘導体を酵素的に合成する方法であり、ここで、反応媒体中のメタノール濃度は40%より高く、
Rは、水素またはC−C−アルキル、好ましくはエチルまたはメチル、特に好ましくはメチルを表し、
D−Xは、D配置の天然または合成α−アミノ酸を表し、
そして、Yは、L配置の天然または合成α−アミノ酸を表す。
【0029】
特に好ましいのは、メタノールを添加したバッファー媒体中(反応媒体中のメタノール濃度は40%より高い)で、キモトリプシンを酵素として使用する、リソバクチンフラグメント4−11およびトリペプチドH−D−Leu−Leu−Phe−Oメチル、H−D−Leu−Leu−Phe−OH、H−D−Leu−Leu−(3−シクロヘキシル)Ala−OメチルまたはH−D−Leu−Leu−(3−シクロヘキシル)Ala−OHから鎖式リソバクチン誘導体を酵素的に合成する方法である。
【0030】
図面の説明
図1:キモトリプシンによる分取的酵素的切断(実施例11)の時間経過。ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチンの混合物のキモトリプシンによる分取的酵素的切断のHPLC図の重ね書き。分離条件は、実施例30の説明で報告する通りである(UV検出210nm)。
図2:キモトリプシンによるオクタヒドロリソバクチンの酵素的切断(実施例5)の時間経過。オクタヒドロリソバクチンのキモトリプシンによる酵素的切断のCZE図の重ね書き。分離条件は、実施例31の説明で報告する通りである(UV検出210nm)。
【0031】
定義
ジヒドロリソバクチン:D−Leu−Leu−Phe−Leu(OH)−Leu−D−Arg−Ile−アロ−Thr−Gly−Asn(OH)−Ser
オクタヒドロリソバクチン:D−Leu−Leu−Ala(3−シクロヘキシル)−Leu(OH)−Leu−D−Arg−Ile−アロ−Thr−Gly−Asn(OH)−Ser
リソバクチンフラグメント4−11:Leu(OH)−Leu−D−Arg−Ile−アロ−Thr−Gly−Asn(OH)−Ser
リソバクチンフラグメント1−3:D−Leu−Leu−PheまたはD−Leu−Leu−Ala(3−シクロヘキシル)
【0032】
化学的および酵素的反応並びに分析的特徴解析の過程で使用される方法を、以下に列挙する。
【実施例】
【0033】
実施例
略号
【表1】

【0034】
参考文献
ペプチドおよびシクロデプシペプチドの命名法について、以下を参照:
1. A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds (Recommendations 1993), 1993, Blackwell Scientific publications.
2. Nomenclature and symbolism for amino acids and peptides. Recommendations 1983. IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature, UK. Biochemical Journal 1984, 219, 345-373, 並びに引用文献。
【0035】
LC−MS、HR−MSおよびHPLCの一般的方法
方法1(LC−MS):装置タイプMS:Micromass ZQ;装置タイプHPLC:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0036】
方法2(分取用HPLC;対称;トリフルオロ酢酸):装置:Gilson Abimed HPLC;UV検出器210nm;バイナリポンプシステム;カラム:SymmetryPrep(商標)C18, Waters, 7 μm; 300 x 19 mm;溶離剤A:0.05%トリフルオロ酢酸を含む水、溶離剤B:0.05%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル;グラジエント:0−5分5%B、流速20ml/分、5−30分、5から60%Bへの勾配、以下の流速上昇を伴う:6分から22ml/分、10分から23ml/分、15分から24ml/分;30−35分60%から98%Bへの勾配、38分から21ml/分への流速低下を伴う;40−45分10%B。
【0037】
方法3(ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチンのHPLCによる分取的分離方法):カラム:SymmetryPrep(商標)C18, Waters, 7 μm 300 x 19 mm;流速25ml/分;室温;溶離剤A:0.2%TFAを含む水、溶離剤B:アセトニトリル、0−10分グラジエント:80%A、20%Bから35%Aへ、65%B;10.01−15分:80%A、20%B;検出210nm。画分をLC−MS(方法1)を利用して監視し、アセトニトリルをロータリーエバポレーターで除き、凍結乾燥する。
【0038】
方法4(分析用HPLC 1100, ZQ2, Phenomenex, Synergi, Hydro-RP):装置タイプHPLC:HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex, MercuryMS, Synergi 2μ Hydro-RP 20 x 4 mm;溶離剤A:水/0.05%ギ酸、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0.0−2.5分、90−30%A、流速1−2ml/分、2.5−3.0分、30−5%A、流速2.0ml/分、3.0−4.5分、5%A;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0039】
方法5(TOF−HR−MS):TOF−HR−MS−ESI+スペクトルを、Micromass LCT 装置(キャピラリー電圧:3.2kV、コーン電圧:42V、ソース温度:120℃、脱溶媒和温度:280℃)を使用して記録する。このために、シリンジポンプ(Harvard Apparatus)をサンプル導入用に使用する。ロイシンエンケファリン(Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu)を標準として使用する。
【0040】
方法6(HPLC):装置タイプHPLC:HP 1100 Series; UV DAD カラム: Zorbax Eclipse XBD-C8 (Agilent), 150 mm x 4.6 mm, 5 μm;溶離剤A:HClO5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−1分10%B、1−4分10−90%B、4−5分90%B;流速:2.0ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210および254nm。
【0041】
方法7(HPLC):カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;溶離剤A:HClO5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B、0.5分2%B、4.5分90%B、9分90%B;流速:0.75ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0042】
方法8(HPLC):カラム:Kromasil RP-18, 250 mm x 4 mm, 5 μm;溶離剤A:HClO5ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分5%B、10分95%B;流速:1ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0043】
方法9(HPLC):カラム:Kromasil RP-18, 250 mm x 4 mm, 5 μm;溶離剤A:HClO2ml/水1l、溶離剤B:アセトニトリル;均一濃度:45%B、55%A;流速:1ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0044】
方法10(HPLC):装置:DAD (G1315B)、バイナリポンプ (G1312A)、オートサンプラー (G1313A)、溶媒脱気装置 (G1379A) およびカラムサーモスタット (G1316A)を有する Agilent 1100;カラム:Agilent Eclipse XDB-C8 4.6 x 150 x 5 mm;カラム温度:40℃;溶離剤A:70%過塩素酸0.05%を含む水;溶離剤B:メタノール;流速:2.00ml/分;均一濃度:0−7分55%B。
【0045】
方法11(HPLC):分析用HPLC方法、ブロメライン/キモトリプシン切断。酵素切断産物または出発化合物約20μgを、300SB-C18 カラム (4.6 mm x 125 mm; 3.5 μm マテリアル;孔直径300Å)でクロマトグラフィーする。溶離剤として、アセトニトリル/TFAグラジエントを使用する。溶離剤A:0.1%TFAを含む水、溶離剤B:0.1%TFAを含む60%アセトニトリル/40%水;グラジエント:0分0%B、2分10%B、50分80%B、52分100%B、55分0%B、60分0%B;流速:0.7ml/分;カラム温度:40℃;検出:210nm。
【0046】
ジヒドロ−、オクタヒドロリソバクチンおよび酵素的切断産物のタンパク質化学的特徴解析
装置
Applied Biosystems のタンパク質配列決定装置 Procise(商標)を使用して、配列解析を実施する。標準的配列決定プログラムを使用する。配列決定装置、様々な配列決定プログラム並びにPTH検出システムは、操作用手引き書である User's Manual Set, Protein Sequencing System Procise(商標)(1994), Applied Biosystems Forster City, CA 94404, U.S.A に詳細に記載されている。
配列決定装置を操作するための試薬およびPTH検出用のHPLCカラムは、Applied Biosystems から入手する。
【0047】
Agilent の HP1100 HPLC システムを使用して、HPLC分析を実施する。Agilent (D-Waldbronn) の Zorbax 300SB-C18 カラム(4.6mmx150mm;3.5μmマテリアル;孔直径300Å)を分離用に使用する。
使用する試薬は、HPLC品質のものであり、Merck (D-Darmstadt)から入手する。
【0048】
キャピラリー電気泳動モデル270A−HTは、Applied Biosystems 社製のものである。一般的に、サンプルを種々の時間をかけて水圧で注入する。使用するキャピラリーカラム(直径50μmx長さ72cm)は、Applied Biosystems 社製のものである。分離プログラムおよび分析装置の機能は、その装置の手引き書に詳細に記載されている(User's manual capillary electrophoresis system model 270A HT; Applied Biosystems Forster City, CA 94404, U.S.A.; 1989)。
使用する試薬は、生化学品質のものであり、Merck (D-Darmstadt) または Sigma (D-Deisenhofen)から入手する。
【0049】
アミノ酸の分析は、Eppendorf/Biotronik の LC3000 アミノ酸分析装置を使用して実施する。わずかに改変した Eppendorf/Biotronik の標準的分離プログラムを使用する。分離プログラムおよび分析装置の機能は、装置の手引き書に詳細に記載されている (Handbuch des aminosaeureanalysators LC 3000 [handbook of the LC 3000 amino acid analyzer], Wissenschaftliche Geraete GmbH Biotronik, Maintal, 1996)。
使用する試薬は、生化学品質のものであり、Merck (D-Darmstadt)、Fluka (D-Neu-Ulm) または Sigma (D-Deisenhofen)から入手する。
【0050】
分子量は、Micromass (Manchester, UK)のZQ−1システムを使用して決定する。そのために、フラグメントをRP−18−HPLCクロマトグラフィー(HP1100システム)を利用して分離し、分子量を電子スプレーイオン化法(ESI)により測定する。外部較正を実施する。較正およびシステムの機能は、装置の手引き書に詳細に記載されている。
使用する酵素および化学物質は、生化学品質のものであり、Fluka, Calbiochem (D-Heidelberg) および Sigma から入手する。
【0051】
分取用クロマトグラフィーソース 15RPC 用の物質は、Amersham Bioscience (D-Freiburg)から入手する。分取的分離は、Amersham Bioscience の AEKTA(商標)システムを使用して実施する。
【0052】
本発明で言及される化合物は、塩、溶媒和物または塩の溶媒和物の形態であってもよい。
本発明の目的上好ましいは、本発明により製造できるか、または使用可能である化合物の、生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明により製造できるか、または使用可能である化合物の単離または精製に使用できる塩または混合塩も含まれる。
【0053】
本発明により製造できるか、または使用可能である化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0054】
本発明により製造できるか、または使用可能である化合物の生理的に許容し得る塩には、通常の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩も含まれる。
【0055】
本発明の目的上、溶媒和物は、本発明により製造できるか、または使用可能である化合物の、溶媒分子との配位により固体または液体状態で錯体を形成する形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。
【0056】
実施例1
D−ロイシル−N−{(3S,6S,12S,15S,18R,21S,24S,27S,28R)−6[(1S)−2−アミノ−1−ヒドロキシ−2−オキソエチル]−18−(3−{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}プロピル)−12−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−3(ヒドロキシメチル)−24−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル]−21−イソブチル−15−[(1S)−1−メチルプロピル]−2,5,8,11,14,17,20,23,26−ノナオキソ−28−フェニル−1−オキサ−4,7,10,13,16,19,22,25−オクタアザシクロオクタコサン−27−イル}−L−ロイシンアミドビストリフルオロアセテート
{D−ロイシル−L−ロイシル−[(3R)−3ヒドロキシ−L−フェニルアラニル)]−[(3R)−3−ヒドロキシ−L−ロイシル]−L−ロイシル−D−アルギニル−L−イソロイシル−L−アロスレオニル−グリシル−[(3S)−3−ヒドロキシ−L−アスパラギニル]−L−セリン−C1.11−O3.3−ラクトンビストリフルオロアセテート}(リソバクチン)
【化3】

【0057】
発酵:
培養培地:
YM:酵母−麦芽寒天:D−グルコース(4g/l)、酵母抽出物(4g/l)、麦芽抽出物(10g/l)、Lewatit 水1l。滅菌(20分間、121℃)前に、pHを7.2に調節する。
HPM:マンニトール(5.4g/l)、酵母抽出物(5g/l)、肉ペプトン(3g/l)。
作業用一時保存物:凍結乾燥系統(ATCC53042)を、YM培地50ml中で増殖させる。
【0058】
フラスコ発酵:1lの三角フラスコ中のYM培地150mlまたはHPM培地100mlを、作業用一時保存物2mlで播種し、240rpmの振盪機上、30−48時間28℃で増殖させる。
【0059】
30l発酵:フラスコ発酵物(HPM培地)300mlを使用して、無菌の栄養培地溶液(1mlの消泡剤SAG5693/l)30lを播種する。この培養物を、21時間、28℃、300rpmおよび滅菌空気0.3vvmによる通気で増殖させる。pHを1M塩酸でpH=7.2に一定に保つ。培養期間中に、全部で880mlの1M塩酸を添加する。
【0060】
主培養(200l):1lの三角フラスコ中のYM培地15x150mlを、作業用一時保存物2mlで播種し、振盪機上、28℃で、48時間、240rpmで増殖させる。この培養物2250mlを使用して、無菌の栄養培地溶液(YM)(1mlの消泡剤SAG5693/l)200lを播種し、それを、18.5時間、28℃、150rpmおよび滅菌空気0.3vvmによる通気で増殖させる。
【0061】
毎時間のサンプル(50ml)を取り、発酵過程を確認する。メタノール1ml(0.5%トリフルオロ酢酸)をこの培養ブロス2mlに添加し、0.45μmフィルターを通して混合物を濾過する。この懸濁液30μlを、HPLC(方法6および方法7)を利用して分析する。
18.5時間後、17000rpmで主培養の培養ブロスを上清と沈降物に分離する。
【0062】
単離:
上清(183l)を濃トリフルオロ酢酸または水酸化ナトリウム溶液を使用してpH6.5−7に調節し、Lewapol カラム (OC 1064、60l容量)に負荷する。続いて、純水、水/メタノール1:1および続いて純粋なメタノール(0.1%トリフルオロ酢酸を含有する)で溶出を実施する。この有機相を真空で濃縮し、水性残留物11.5lを残す。
【0063】
残存する水相をシリカゲルC18に結合させ、分離する(MPLC, Biotage Flash 75, 75 x 30 cm, KP-C18-WP, 15-20 μm, 流速:30ml;溶離剤:アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水;グラジエント:10%、15%および40%アセトニトリル)。実施例1Aの大部分を含有する40%アセトニトリル相を真空で濃縮し、続いて凍結乾燥する(約13g)。この固体の混合物を1.2gずつ、最初に分取用HPLC(方法1)により、続いて Sephadex LH-20 (5x70cm、アセトニトリル/水1:1、各場合で0.05%トリフルオロ酢酸を含有する)のゲル濾過により、さらに分取用HPLC(方法8)で、分離する。
この方法により、2250mgの実施例1を得る。
【0064】
沈降物を4lのアセトン/水4:1に取り、Celite 2kgを添加し、トリフルオロ酢酸を使用して混合物をpH=6に調節し、撹拌し、遠心分離する。溶媒を真空で濃縮し、残渣を凍結乾燥する。得られる凍結乾燥物(89.9g)をメタノールに取り、濾過し、濃縮し、シリカゲル(方法5)で分離する。次いで、実施例1Aをゲル濾過(Sephadex LH-20、5x68cm、水/アセトニトリル9:1(0.05%トリフルオロ酢酸を含有する)、流速:2.7ml/分、画分サイズ13.5ml)により精製し、純粋な物質を得る。
この方法により447mgの実施例1を得る。
【0065】
HPLC (方法 6): Rt = 6.19 分
MS (ESIpos): m/z = 1277 [M + H]+
1H NMR (500.13 MHz, d6-DMSO): δ = 0.75 (d, 3H), 0.78 (d, 6H), 0.80 (t, 3H), 0.82 (d, 3H), 0.90 (d, 3H), 0.91 (d, 3H), 0.92 (d, 3H), 0.95 (d, 3H), 0.96 (d, 3H), 1.05 (m, 1H), 1.19 (d, 3H), 1.25 (m, 2H), 1.50 (m, 4H), 1.51 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.61 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.84 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.86 (m, 1H), 1.89 (m, 1H), 1.95 (m, 1H), 2.75 (m, 2H), 3.40 (m, 1H), 3.52 (m, 2H), 3.53 (dd, 1H), 3.64 (m, 2H), 3.66 (m, 1H), 3.68 (dd, 1H), 3.73 (m, 2H), 4.00 (dd, 1H), 4.02 (br., 1H), 4.13 (br., 1H), 4.32 (dd, 1H), 4.39 (t, 1H), 4.55 (m, 1H), 4.75 (dd, 1H), 5.19 (t, 1H), 5.29 (d, 1H), 5.30 (br., 1H), 5.58 (m, 2H), 6.68 (m, 3H), 6.89 (d, 1H), 6.93 (m, 3H), 6.94 (br., 1H), 6.98 (d, 1H), 7.12 (br., 1H), 7.20 (br., 2H), 7.23 (m, 2H), 7.42 (m, 2H), 7.54 (d, 1H), 7.58 (d, 1H), 8.32 (br., 1H), 9.18 (br., 1H), 9.20 (m, 2H), 9.50 (br., 1H).
【0066】
13C-NMR (125.77 MHz, d6-DMSO): δ = 10.3, 15.3, 19.0, 19.2, 19.6, 20.0, 20.9, 22.0, 22.4, 23.0, 23.2, 24.3, 24.4, 25.0, 25.4, 26.0, 27.8, 30.9, 35.4, 39.5, 40.8, 40.9, 41.6, 44.1, 51.5, 52.7, 55.9, 56.2, 56.4, 57.9, 58.8, 60.2, 61.1, 62.6, 70.1, 71.6, 71.7, 75.5, 128.1, 128.6, 136.7, 156.8, 168.2, 170.1, 170.4, 171.2, 171.5, 171.9, 172.2, 172.4, 173.7.
シグナルの割当ては、文献に記載の割当てに従い実施した (T. Kato, H. Hinoo, Y. Terui, J. Antibiot., 1988, 61, 719-725)。
【0067】
実施例2および実施例3
D−Leu−Leu−Phe−[(3R)−Leu(3−OH)]−Leu−D−Arg−Ile−aThr−Gly−[(3S)−3−Asn(3−OH)]−Ser−トリフルオロアセテート(ジヒドロリソバクチン)および
D−Leu−Leu−Ala(3−シクロヘキシル)−[(3R)−Leu(3−OH)]−Leu−D−Arg−Ile−aThr−Gly−[(3S)−3−Asn(3−OH)]−Ser−トリフルオロアセテート(オクタヒドロリソバクチン)
【化4】

【0068】
水素化方法1:
実施例1の化合物(リソバクチン、250mg、170μmol)を、イソプロパノール/水(2:1、60ml)に溶解し、1atmの水素下、Pd(10%、炭素上)200mgの存在下で水素化する。LC−MS(方法1)を利用して反応過程を追跡する。実質的に完全な変換の後(>95%)、触媒を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、濾液を凍結乾燥する。この粗生成物中、LC−MSによると、生成物は以下の通りに分布している:ジヒドロリソバクチン約74%、オクタヒドロリソバクチン約12%。残渣をHPLC(方法2)により精製する。適する画分の凍結乾燥後、純粋な化合物実施例2を得る(81.5mg、理論値の31%)。
LC-MS: (方法 1): Rt = 1.56 分 ES+: m/z = 1279 [M + H]+, 640.1 [M + 2H]2+; ES-: m/z = 1277 [M - H]-, 638.1 [M - 2H]2-.
ヒドロリソバクチンのペプチド配列について、表1参照。
【0069】
水素化方法2:
水素圧3atm下の水素化により、それ以外は水素化方法1と同一の方法で、LC−MSにより測定される粗生成物中の以下の分布が得られる:ジヒドロリソバクチン約80%、オクタヒドロリソバクチン約17%。HPLC精製(方法2)の後、純粋な化合物実施例2を得る(86mg、理論値の33%)。
【0070】
水素化方法3:
3bar水素での水素化期間を延長して、またはより高い圧力(80bar水素圧まで)を使用して、割合的により多くのオクタヒドロリソバクチンを得ることができる。殆どの場合、ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチンの粗製混合物を分離せず、直接酵素的切断に使用する。
【0071】
水素化方法4:
以下の場合でも、化合物オクタヒドロリソバクチンは純粋な形態で単離される:
リソバクチン(実施例1、1.04g、0.69mmol)を、イソプロパノール/水(2:1、90ml)に溶解し、3atm水素下、7日間、Pd(10%、炭素上)200mgの存在下で水素化する。触媒を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、濾液からイソプロパノールをロータリーエバポレーターで除き、次いで凍結乾燥する。この粗生成物中、生成物はLC−MS(方法1)によると以下の通りに分布している:ジヒドロリソバクチン約65%、オクタヒドロリソバクチン約35%。残渣をHPLC(方法2、続いて方法3)により精製する。ジヒドロリソバクチン(実施例2)(280mg、理論値の27%)およびオクタヒドロリソバクチン(実施例3)(212mg、理論値の20%)を得る。
LC-MS: (方法 1): Rt = 1.63 分 ESIpos.: m/z = 643.3 (100) [M + 2H]2+; ESIneg.: m/z = 1283 [M - H]-, 641.2 [M - 2H]2-.
【0072】
水素化方法5:
高圧の水素下での水素化の実施例として、40℃、50bar水素で4日後、LC−MS(方法1)によると以下の粗製混合物を得る:ジヒドロリソバクチン45%およびオクタヒドロリソバクチン45%。
【0073】
水素化方法6:
リソバクチンビストリフルオロアセテート(実施例1、500mg、0.33mmol)を、イソプロパノール/水2:1(30ml)に溶解する。アルゴン保護気体雰囲気下、10パーセントパラジウム/炭素(100mg)を添加する。反応混合物を、圧力オートクレーブ中、80−70bar水素および室温で、48時間撹拌する(脱気後)。10%パラジウム/炭素(100mg)を再度この反応に添加する。反応混合物を、再度、圧力オートクレーブ中、80−70bar水素および室温で、48時間撹拌する(脱気後)。ここで、HPLC(例えば方法4)を利用して、リソバクチンは全く検出できない。反応混合物をガラスフリット(孔サイズ2または3)を通して濾過し、真空で濃縮し、再度メタノール/0.2%氷酢酸に取り、シリンジフィルター(Biotage, PTFE)を通して濾過し、真空で濃縮し、高真空下に乾燥させる。生成物(ジヒドロリソバクチン80%、オクタヒドロリソバクチン20%)496mg(定量的)を得る。
【0074】
水素化方法7:
リソバクチンモノトリフルオロアセテートモノアセテート(5mg、3.45μmol)を、イソプロパノール(2ml)、水(0.25ml)および酢酸(0.05ml)の混合物中で、二酸化白金(20mg)の存在下、80barおよび50℃で水素化する。17時間後、圧力を緩和し、システムをアルゴンで換気し、マイクロフィルターを利用して懸濁液から触媒を除く。濾液(方法4)のLC−MS分析は、理論値の7%のオクタヒドロリソバクチン(R=1.54分、方法4)を示す。
【0075】
水素化方法8:
リソバクチンビストリフルオロアセテート(実施例1A、10g、6.65mmol)を、イソプロパノール/水9:2(110ml)に溶解する。アルゴン保護気体雰囲気下、パラジウム/炭素(10%;5g)を添加する。反応混合物(脱気後)を、圧力オートクレーブ中、水素圧80−70bar、40℃で、12時間撹拌する。パラジウム/炭素(10%;5g)をこの反応に再度添加する。反応混合物(脱気後)を、圧力オートクレーブ中、水素圧80−70bar、40℃で、12時間再度撹拌する。反応混合物(脱気後)を、圧力オートクレーブ中、水素圧80−70bar、40℃で、12時間もう一度撹拌する。ここで、分析用HPLC(方法10)を利用してリソバクチンはもはや検出できない。珪藻土を通して反応混合物を濾過し、真空で濃縮し、高真空下で乾燥させる。生成物(ジヒドロリソバクチン60%、オクタヒドロリソバクチン40%)9.17g(理論値の99%)を得る。
【0076】
水素化方法9:
リソバクチンビストリフルオロアセテート(実施例1A、5g、3.32mmol)を、イソプロパノール/水9:2(110ml)に溶解する。アルゴン保護気体雰囲気下、パラジウム/炭素(10%;5g)を添加する。反応混合物(脱気後)を、圧力オートクレーブ中、水素圧80bar、40℃で、12時間撹拌する。珪藻土を通して反応混合物を濾過し、真空で濃縮し、高真空下に乾燥させる。各回でリソバクチンビストリフルオロアセテート5.0gを使用して、水素化をさらに3回繰り返す(全部で4回)。合わせた生成物画分として、生成物(ジヒドロリソバクチン:オクタヒドロリソバクチン、約5:4)18.27gを得る。
【0077】
実施例4
ジヒドロリソバクチンのキモトリプシン切断、酵素/基質比1:50
ジヒドロリソバクチン200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。キモトリプシン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。HPLC、キャピラリーゾーン電気泳動、配列解析、アミノ酸分析、またはMS研究による分析まで、サンプルを−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0078】
実施例5
オクタヒドロリソバクチンのキモトリプシン切断、酵素基質比1:50
オクタヒドロリソバクチン200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。キモトリプシン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0079】
実施例6
ジヒドロ−/オクタヒドロリソバクチン混合物の分析的キモトリプシン切断、酵素基質比1:25
ジヒドロ−(59%)およびオクタヒドロリソバクチン(34%)200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。キモトリプシン8μg(1:25)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0080】
実施例7
ジヒドロ−/オクタヒドロリソバクチン混合物の分析的キモトリプシン切断、酵素基質比1:400
ジヒドロ−(59%)およびオクタヒドロリソバクチン(34%)150μgをエタノール15μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)126μlを添加する。キモトリプシン0.38μg(9μlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール/切断バッファー、0.2mg/ml;1:400)を添加し、反応を37℃で実施する。25μlのアリコートを0、0.5、1、3時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA25μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0081】
実施例8
基質濃度6mg/mlのジヒドロ−/オクタヒドロリソバクチン混合物の分析的キモトリプシン切断
ジヒドロ−(59%)およびオクタヒドロリソバクチン(34%)900μgを、メタノール15μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)99μlを添加する。キモトリプシン36μg(36μlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25)を添加し、反応を37℃で実施する。25μlのアリコートを、0、0.5、1、3時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA25μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0082】
実施例9
溶媒濃度30%メタノールでのジヒドロ−/オクタヒドロリソバクチン混合物の分析的キモトリプシン切断
ジヒドロ−(59%)およびオクタヒドロリソバクチン(34%)150μgを、メタノール45μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)99μlを添加する。キモトリプシン6μg(6μlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25)を添加し、反応を37℃で実施する。25μlのアリコートを、0、0.5、1、3時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA25μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0083】
実施例10
室温で切断するジヒドロ−/オクタヒドロリソバクチン混合物の分析的キモトリプシン切断
ジヒドロ−(59%)およびオクタヒドロリソバクチン(34%)200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。キモトリプシン8μg(8μlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25)を添加し、反応を室温(20−25℃)で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
キモトリプシン切断生成物のペプチド配列について、表2を参照。
【0084】
実施例11
フラグメント4−11
[(3R)−Leu(3−OH)]−Leu−D−Arg−Ile−aThr−Gly−[(3S)−3−Asn(3−OH)]−Serトリフルオロアセテート
【化5】

【0085】
基質濃度1mg/mlのジヒドロリソバクチンの分取的キモトリプシン切断
ジヒドロリソバクチン2x80mg(アミノ酸分析により測定される純粋なペプチド35.3μmolおよび33.8μmol)を、メタノール各8mlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)各69mlを添加する。酵素の添加前に、溶液を乾燥キャビネット中で37℃に温める。キモトリプシン3.2mg(3.2mlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25;事前に37℃に加熱)を添加し、反応を37℃で実施する。200μlのアリコートを、0.5、1時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA200μlで停止する。サンプルをHPLCにより酵素切断と並行して15分の内に分析する(保持時間:フラグメント4−11約3.6分、フラグメント1−3(LLF)約9.6分、条件:溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA、グラジエント:0分30%B、10分80%B、11分100%B、12分30%B、15分30%B;流速0.7ml/分、40℃、UV検出210nm)。約70分後に、アセトニトリル3mlおよびTFA約0.6mlで酵素反応を停止する。溶液のpHは、1ないし2である。溶液を分取的に分離するまで−20℃で保存できる。
【0086】
フラグメント1−3および4−11の分取的分離
切断溶液2x約80mlをフィルター(0.2μm)を通して濾過し、次いで合わせる。溶液を各約38.5mlに4分割し(全部で154ml)、アセトニトリル/TFAグラジエントを使用して、Source 15RPC カラム(3ml)で各々をクロマトグラフィーする。条件:溶媒A0.1%TFA、溶媒B0.1%TFA/アセトニトリル;グラジエント:40分間で0%Bから45%Bへ;流速2ml/分;UV検出210nm。4回の実行を連続的に行い、画分を同じチューブに集める。得られるクロマトグラムは、同一である。
フラグメント4−11(R=約15分)および1−3(LLF)(R=約25分)を合わせ、水で1:1に希釈し、次いで凍結乾燥する。
【0087】
各々のプールのアリコート200μlを、アミノ酸分析、分析用HPLC、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、配列解析および質量分析のために別々に凍結乾燥する。
アミノ酸分析によると、フラグメント4−11の収量は、68.3μmol(理論値の99%)、フラグメント1−3は67.4μmol(理論値の98%)である。
【0088】
実施例12
1mg/mlのジヒドロ/オクタヒドロリソバクチン混合物の分取的キモトリプシン切断
バッチ1
ジヒドロ−(56%)およびオクタヒドロリソバクチン(21%)2x700mg(アミノ酸分析により測定される純粋なペプチドとして存在するジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチン682μmol)を、メタノール各70mlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)各602mlを添加する。酵素の添加前に、溶液を乾燥キャビネット中で37℃に温める。キモトリプシン28mg(28mlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25;37℃に事前に加熱)を添加し、反応を37℃で実施する。200μlのアリコートを0.5、1時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA200μlで停止する。サンプルをHPLCにより酵素切断と並行して15分の内に分析する(保持時間:フラグメント4−11約3.6分、フラグメント1−3(LLF)約9.6分、フラグメント1−3(LL(3−シクロヘキシル)A)約11.3分、条件:溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA、グラジエント:0分30%B、10分80%B、11分100%B、12分30%B、15分30%B;流速0.7ml/分、40℃、UV検出210nm)。酵素反応を約60分後にアセトニトリル30mlおよびTFA約6mlで停止する。溶液のpHは、1ないし2である。溶液を分取的に分離するまで−20℃で保存できる。
【0089】
バッチ2
ジヒドロ−(45%)およびオクタヒドロリソバクチン(48%)775mg(アミノ酸分析により測定される純粋なペプチドとして存在するジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチン468μmol)を、メタノール77.5mlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)667mlを添加する。酵素の添加前に、溶液を乾燥キャビネット中で37℃に温める。キモトリプシン31mg(31mlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25;37℃に事前に加熱する)を添加し、反応を37℃で実施する。200μlのアリコートを、0.5、1時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA200μlで停止する。サンプルをHPLCにより酵素切断と並行して15分の内に分析する(保持時間:フラグメント4−11約3.6分、フラグメント1−3(LLF)約9.6分、フラグメント1−3(LL(3−シクロヘキシル)A)約11.3分)(溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA、グラジエント:0分30%B、10分80%B、11分100%B、12分30%B、15分30%B;流速0.7ml/分、温度:40℃、UV検出210nm)。酵素反応を60分後にアセトニトリル30mlおよびTFA約6mlで停止する。溶液のpHは、1ないし2であろう。溶液を分取的に分離するまで−20℃で保存できる。
【0090】
フラグメント1−3および4−11の分取的分離
切断バッチ1および2を、フィルター(0.2μm)を通して濾過し、次いで合わせる。溶液を数個に分割し、Source 15RPC カラムでアセトニトリル/TFAグラジエントを使用して各々を上記の通りにクロマトグラフィーする。各実行を連続的に行い、画分を同じチューブに集める。得られるクロマトグラムは同一である。
フラグメント4−11(Rt.約15分)を合わせ、1:1に水で希釈し、次いで凍結乾燥する。
フラグメント4−11の凍結乾燥後の収量は、1.1g(1095μmol)である。切断物質の出発量1150μmolに対して、フラグメント4−11の収率は理論値の95%である。
【0091】
実施例13
基質濃度3mg/mlのジヒドロ/オクタヒドロリソバクチン混合物の分取的キモトリプシン切断
ジヒドロ−(52%)およびオクタヒドロリソバクチン(37%)の混合物2x0.995gをメタノール各33mlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)各257mlを添加する。酵素の添加前に、溶液を乾燥キャビネット中で37℃に温める。キモトリプシン39.6mg(39.6mlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、1mg/ml;1:25;37℃に事前に加熱する)を添加し、反応を37℃で実施する。200μlのアリコートを、0.5、1時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA200μlで停止する。サンプルをHPLCにより酵素切断と並行して15分の内に分析する(保持時間:フラグメント4−11約3.6分、フラグメント1−3(LLF)約9.6分、フラグメント1−3(LL(3−シクロヘキシル)A)約11.3分)(溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA、グラジエント:0分30%B、10分80%B、11分100%B、12分30%B、15分30%B;流速:0.7ml/分、温度:40℃、UV検出210nm)。酵素反応を60分後にアセトニトリル30mlおよびTFA約2.5mlで各々停止する。溶液のpHは、1ないし2であろう。溶液を分取的に分離するまで−20℃で保存できる。
【0092】
実施例14
基質濃度5mg/mlのジヒドロ/オクタヒドロリソバクチン混合物の分取的キモトリプシン切断
ジヒドロ−(約40%)およびオクタヒドロリソバクチン(約60%)10gをメタノール200mlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)1700mlを添加する。酵素の添加前に溶液を乾燥キャビネット中で37℃に温める。キモトリプシン400mg(100mlのキモトリプシン溶液水/エチレングリコール1:1、4mg/ml;1:25;37℃に事前に加熱)を添加し、反応を37℃で実施する。200μlのアリコートを、0.5、1時間後に取り、酵素切断を30%アセトニトリル/0.1%TFA200μlで停止する。サンプルをHPLCにより酵素切断と並行して15分の内に分析する(保持時間フラグメント4−11約3.6分、フラグメント1−3(LLF)約9.6分、フラグメント1−3(LLA(3−シクロヘキシル))約11.3分)(溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA、グラジエント0分30%B、10分80%B、11分100%B、12分30%B、15分30%B;流速0.7ml/分、温度:40℃、UV検出210nm)。酵素反応を60分後にアセトニトリル75mlおよびTFA約15mlで停止する。溶液のpHは1ないし2であろう。溶液を分取的に分離するまで−20℃で保存できる。
【0093】
フラグメント4−11を上記の通りに数回実施する分取用HPLCにより単離する。
使用するキモトリプシンバッチの活性(70U/mg)を、タンパク質インターロイキン−4二重変異タンパク質Arg(121)→Asp(121)/Tyr(124)→Asp(124)(BAYER Healthcare AG, D-Wuppertal)を使用する対照の切断により確認する。
【0094】
実施例15
ジヒドロリソバクチンのサブチリシン切断
ジヒドロリソバクチン200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。サブチリシン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
サブチリシン切断生成物のペプチド配列について、表3を参照。
【0095】
実施例16
オクタヒドロリソバクチンのサブチリシン切断
オクタヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。サブチリシン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
サブチリシン切断生成物のペプチド配列について、表3を参照。
【0096】
使用するサブチリシンバッチの活性(約12U/mg)を、タンパク質インターロイキン−4二重変異タンパク質Arg(121)→Asp(121)/Tyr(124)→Asp(124)(BAYER Healthcare AG, D-Wuppertal)を使用する対照の切断により確認する。
【0097】
実施例17
ジヒドロリソバクチンのサーモリシン切断
ジヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/5mM塩化カルシウムpH7.45)190μlを添加する。サーモリシン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
サーモリシン切断生成物のペプチド配列について、表4を参照。
【0098】
実施例18
オクタヒドロリソバクチンのサーモリシン切断
オクタヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1M炭酸水素アンモニウム/0.5M尿素pH8)190μlを添加する。サーモリシン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
サーモリシン切断生成物のペプチド配列について、表4を参照。
【0099】
使用するサーモリシンバッチの活性(約55U/mg)を、タンパク質インターロイキン−4二重変異タンパク質Arg(121)→Asp(121)/Tyr(124)→Asp(124)(BAYER Healthcare AG, D-Wuppertal)を使用する対照の切断により確認する。
【0100】
実施例19
ジヒドロリソバクチンのパパイン切断
ジヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1Mリン酸ナトリウム/10mMシステイン、2mM EDTA pH6.5)190μlを添加する。パパイン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
パパイン切断生成物のペプチド配列について、表5を参照。
【0101】
実施例20
オクタヒドロリソバクチンのパパイン切断
オクタヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1Mリン酸ナトリウム/10mMシステイン、2mM EDTA pH6.5)190μlを添加する。パパイン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
パパイン切断生成物のペプチド配列について、表5を参照。
【0102】
使用するパパインバッチの活性(約11U/mg)を、タンパク質インターロイキン−4二重変異タンパク質Arg(121)→Asp(121)/Tyr(124)→Asp(124)(BAYER Healthcare AG, D Wuppertal)を使用する対照の切断により確認する。
【0103】
実施例21
ジヒドロリソバクチンのプロテイナーゼK切断
ジヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1MナトリウムテトラボレートpH9)190μlを添加する。プロテイナーゼK4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
プロテイナーゼK切断生成物のペプチド配列について、表6を参照。
【0104】
実施例22
オクタヒドロリソバクチンのプロテイナーゼK切断
オクタヒドロリソバクチン200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1MナトリウムテトラボレートpH9)190μlを添加する。プロテイナーゼK4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
プロテイナーゼK切断生成物のペプチド配列について、表6を参照。
【0105】
使用するプロテイナーゼKバッチの活性(約30U/mg)を、タンパク質インターロイキン−4二重変異タンパク質Arg(121)→Asp(121)/Tyr(124)→Asp(124)(BAYER Healthcare AG, D-Wuppertal)を使用する対照の切断により確認する。
【0106】
実施例23
ジヒドロリソバクチンのブロメライン切断
ジヒドロリソバクチン200μgをメタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1Mリン酸ナトリウム、10mMシステイン、2mM EDTA pH6.5)190μlを添加する。ブロメライン4g(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
ブロメライン切断生成物のペプチド配列について、表7を参照。
【0107】
実施例24
オクタヒドロリソバクチンのブロメライン切断
オクタヒドロリソバクチン200μgを、メタノール10μlに溶解し、次いで切断バッファー(0.1Mリン酸ナトリウム、10mMシステイン、2mM EDTA pH6.5)190μlを添加する。ブロメライン4μg(1:50)を添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、酵素切断をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
ブロメライン切断生成物のペプチド配列について、表7を参照。
【0108】
使用するブロメラインバッチの活性(約4U/mg)を、タンパク質インターロイキン−4二重変異タンパク質Arg(121)→Asp(121)/Tyr(124)→Asp(124)(BAYER Healthcare AG, D Wuppertal)を使用する対照の切断により確認する。
【0109】
実施例25
キモトリプシンによるジヒドロリソバクチンの酵素的合成
800μgのペプチドLeu−Leu−PheOMeおよび100μgのペプチド4−11を、メタノール200μlに溶解し、次いで合成バッファー(0.1MナトリウムテトラボレートpH9)200μlを添加する。キモトリプシン24μgを添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、合成をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
ジヒドロリソバクチンを、HPLCおよびCZEを使用して検出する。
【0110】
実施例26
キモトリプシンによるジヒドロリソバクチン誘導体の酵素的合成
800μgのペプチドBoc−Leu−Leu−PheOMeを、テトラクロロメタン200μlに溶解し、次いで100μgのペプチド4−11を含有する合成バッファー(0.1MナトリウムテトラボレートpH9)200μlを添加する。キモトリプシン24μgを添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、合成をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
ジヒドロリソバクチン誘導体をHPLCおよびCZEにより検出する。
【0111】
実施例27
キモトリプシンによるオクタヒドロリソバクチンの酵素的合成
800μgのペプチドLeu−Leu−Ala(3−シクロヘキシル)OMeおよび100μgのペプチド4−11を、メタノール200μlに溶解し、次いで合成バッファー(0.1MナトリウムテトラボレートpH9)200μlを添加する。キモトリプシン24μgを添加し、反応を37℃で実施する。30μlのアリコートを、0、0.5、1、3、6および24時間後に取り、合成をアセトニトリル/1%TFA30μlで停止する。サンプルを分析するまで−20℃で保存する。
オクタヒドロリソバクチンをHPLCおよびCZEにより検出する。
【0112】
実施例28
N末端配列解析
3nmolのフラグメントを60%アセトニトリル/0.1%TFAに溶解し、Polybren(登録商標)で事前にインキュベートした配列決定装置のシートに負荷する。通常の配列決定装置のサイクルを使用して、タンパク質を配列決定する。40pmolのPTH標準を使用するオンラインHPLCを利用して、PTH−アミノ酸を同定する。非タンパク質構成アミノ酸を、標準的アミノ酸に対するそれらの相対的位置により同定する。ペプチドの純度を第1PTHサイクルのアミノ酸から見積もる。様々なペプチドを4ないし12の段階で配列決定する。表1ないし7は、決定されたタンパク質配列を示す。
【0113】
表1:基質のペプチド配列
【表2】

【0114】
表2:キモトリプシン切断の様々なペプチド(1−3)またはペプチドフラグメント(1−3)の配列解析
【表3】

*PTHAla(3−シクロヘキシル)は、使用したPTHシステムではピークとして検出可能ではない。
【0115】
表3:ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチン(1−4)のサブチリシン切断の様々なペプチドおよびペプチドフラグメントの配列解析。切断生成物4−10は、大部分が24時間後に漸く形成される。
【表4】

*PTHAla(3−シクロヘキシル)は、使用したPTHシステムではピークとして検出可能ではない。
【0116】
表4:ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチン(1−3)のサーモリシン切断の様々なペプチドおよびペプチドフラグメントの配列解析
【表5】

*PTHAla(3−シクロヘキシル)は、使用したPTHシステムではピークとして検出可能ではない。
【0117】
表5:ジヒドロ−(1,2,3,4)およびオクタヒドロリソバクチン(1,2,3,5)のパパイン切断の様々なペプチドおよびペプチドフラグメントの配列解析。切断生成物4−10は、24時間後にのみ大量に形成される。
【表6】

*PTHAla(3−シクロヘキシル)は、使用したPTHシステムではピークとして検出可能ではない。
【0118】
表6:ジヒドロ−(1,2)およびオクタヒドロリソバクチン(3,4)のプロテイナーゼK切断の様々なペプチドおよびペプチドフラグメントの配列解析
【表7】

【0119】
表7:鎖式リソバクチン(1,4)、ジヒドロ−(2,4)およびオクタヒドロリソバクチン(3,4)のブロメライン切断の様々なペプチドおよびペプチドフラグメントの配列解析
【表8】

*PTHAla(3−シクロヘキシル)は、使用したPTHシステムではピークとして検出可能ではない。
【0120】
実施例29
アミノ酸分析
アミノ酸分析は、タンパク質の特徴解析に重要な定性的かつ定量的なパラメーターである。タンパク質含有量に加えて、既知の一次構造の場合、個々のアミノ酸の数が測定される。リソバクチン誘導体およびペプチドフラグメントのアミノ酸分析は、一次構造からの理論値と良好に一致する(表8)。非タンパク質構成アミノ酸は、対応する標準の存在下でのみ定量される。
【0121】
リソバクチン誘導体およびペプチドフラグメント100μgを、6N塩酸200μlに溶解し、166℃で1時間加水分解する。サンプル約5nmolをアミノ酸分析装置に導入する。アミノ酸の量を4nmolアミノ酸標準により測定する。
【0122】
表8:ジヒドロ−、オクタヒドロリソバクチン、ジヒドロ−+オクタヒドロリソバクチン、フラグメント4−11および1−3のアミノ酸分析。整数は、Ile=1またはLeu=2に基づく。
【表9】

【0123】
実施例30
逆相クロマトグラフィー
化学的に結合した逆相上のタンパク質のHPLCクロマトグラフィーにおいて、使用する相への結合は、タンパク質の疎水性相互作用を介して形成される。固定相へのそれらの結合の強度に応じて、ペプチドは有機溶媒(移動相)により置き換えられる。この理由で、この方法は、ペプチドの純度を評価し、酵素的切断の速度および得られる切断生成物を監視するのに良い基準である。ペプチドのジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチンは、RP−18相から約35分および約38分で、フラグメント4−11は約16分で、1−3(LLF)は約31分で、そして1−3(LLA(3−シクロヘキシル))は約37分で溶離する。図1は、キモトリプシンによる分取的酵素的切断(実施例11)の時間経過を示す。
【0124】
約20μgの酵素的切断の生成物および出発化合物ジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチンまたはそれらの混合物を、Zorbax 300SB-C18 カラム(4.6mmx150mm;3.5μmマテリアル;300Å孔直径)でクロマトグラフィーする。使用する溶離剤は、アセトニトリル/TFAグラジエントである。条件:溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA;流速0.7ml/分、カラム温度40℃、UV検出210nm、溶媒A0.1%TFA、溶媒B0.1%TFA/60%アセトニトリル;グラジエント:0分0%B、2分10%B、50分80%B、52分100%B、55分0%B、60分0%B。
【0125】
実施例31
キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)
キャピラリー電気泳動は、電場における電荷に基づくペプチドおよびタンパク質の分離を可能にする。分離の質は、使用するバッファー、pH、温度および添加物に依存する。使用するキャピラリーは、内直径50−100μmを有するいわゆる融合シリカカラムである。この方法は、ペプチドの純度の評価および酵素的切断生成物の形成の監視のために非常に良い基準である。ペプチドのジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチンは、キャピラリーカラムから約21分で、フラグメント4−11は約18分で、1−3(LLF)は約24分で、1−3(LLA(3−シクロヘキシル))は約22分で、脱アミド形態は2つのピークとして約30分(1−11)および24分(4−11)で溶離する。図2は、オクタヒドロリソバクチンのキモトリプシンによる酵素的切断(実施例5)の時間経過を示す。バッファー中で24時間後に、脱アミド生成物の大幅な増加が明確に見られる。
【0126】
約4ngの酵素的切断生成物または出発化合物ジヒドロリソバクチンおよびオクタヒドロリソバクチン、または混合物を、ガラスカラム(長さ72cm、内直径50μm)のキャピラリー電気泳動を利用して調査する。条件:電流90μA、カラム温度25℃、100mMリン酸バッファーpH3.0、UV検出210nm、3秒かけて加圧負荷。
【0127】
実施例32
HPLC−ESI−MSにより決定される分子量
ペプチドおよび酵素的切断の生成物を、RP−18−HPLCクロマトグラフィーにより分離し、電子スプレーイオン化法(ESI)により分子量を決定する。
【0128】
ジヒドロリソバクチンとオクタヒドロリソバクチンの混合物のキモトリプシン切断物約100μgを、Zorbax C18-HPLC カラムで以下の条件下で分離する:溶媒A0.1%TFA、溶媒B60%アセトニトリル/0.1%TFA;流速0.7ml/分、カラム温度40℃、UV検出210nm、溶媒A0.1%TFA、溶媒B0.1%TFA/60%アセトニトリル;グラジエント:0分0%B、2分10%B、50分80%B、52分100%B、55分0%B、60分0%B。ペプチドを質量分析機の大気圧イオン源に移し、そこでイオン化する。そこからイオンを質量分析機の高真空領域に移し、検出する。表9は、測定された分子量を示す。
【0129】
表9:理論上の分子量(MW)と比較した、ジヒドロリソバクチン、オクタヒドロリソバクチンおよび酵素的切断生成物の分子量(ダルトン)。
【表10】

【0130】
実施例33
混合物ジヒドロ/オクタヒドロリソバクチンの分取的キモトリプシン切断
ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチン(約5:4)18.27gを、メタノール365mlに溶解し、キモトリプシン(731mg)および切断バッファーで3654mlに希釈する。反応を30分間37℃で実施し、次いでTFA20mlおよびアセトニトリル150mlで停止する。酵素の添加前に、溶液を乾燥キャビネット中で37℃に温める。200μlのアリコートを、0および0.5時間後に取り、酵素切断を0.1%TFAを含む30%アセトニトリル/70%水200μlで停止する。サンプルをHPLCにより分析する(保持時間;フラグメント4−11約3.6分、フラグメント1−3(LLF)約9.6分、フラグメント1−3(LL(ヘキサヒドロ)F)約11.3分)(溶離剤A:0.1%TFAを含む水、溶離剤B:0.1%TFAを含む60%アセトニトリル/40%水、グラジエント:0分30%B、10分80%B、11分100%B、12分30%B、15分30%B;流速:0.7ml/分、カラム温度:40℃、検出:210nm)。あるいは、方法11を使用する。溶液を9x500mlの部分に分割し、分取的RP分離まで、−70℃で冷凍する。フラグメント4−11を分取用HPLCにより数回の実行で単離する。
【0131】
フラグメント1−3および4−11の分取的分離:
約800mlの切断溶液を、カートリッジ(0.2μm)を通して濾過し、約400mlずつ2つに分けて、メタノール/TFAグラジエントを使用して Source 15 RPC カラム(カラムサイズ:2360ml)でクロマトグラフィーする。溶離剤A:0.1%TFAを含む水、溶離剤B:0.1%TFAを含む100%メタノール;流速:30ml/分;検出215nm。グラジエントをカラム容積に従って実施する:適用後、カラムをカラム体積の3.6倍の溶離剤Aで洗浄し、次いでカラム体積の18倍で45%Bとし、カラム体積の0.67倍で100%Bとし、カラム体積の1.3倍の100%B、0.67倍で0%Bとし、平衡化のためにカラム体積の7倍の溶離剤A。
10.36g(理論値の77%)のフラグメント4−11を、生成物として得る。
HPLC/UV-Vis (方法 4): Rt = 0.5 分
LC-MS (方法 1): Rt = 1.0 分;
MS (ESIpos.): m/z (%) = 453.6 (100) [M + 2H]2+, 906 (10) [M + H]+.
MS (ESIneg.): m/z (%) = 904 (100) [M - H]-.
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、キモトリプシンによる分取的酵素的切断(実施例11)の時間経過である。ジヒドロ−およびオクタヒドロリソバクチンの混合物のキモトリプシンによる分取的酵素的切断のHPLC図の重ね書き。分離条件は、実施例30の説明で報告する通りである(UV検出210nm)。
【図2】図2は、キモトリプシンによるオクタヒドロリソバクチンの酵素的切断(実施例5)の時間経過である。オクタヒドロリソバクチンのキモトリプシンによる酵素的切断のCZE図の重ね書き。分離条件は、実施例31の説明で報告する通りである(UV検出210nm)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンの製造方法であって、水素化触媒の存在下、溶媒中で、水素を用いる水素化分解的開環により、リソバクチンをジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンに変換することを特徴とする、方法。
【請求項2】
パラジウム触媒を水素化触媒として使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イソプロパノール−水混合物を溶媒として使用する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リソバクチンフラグメント4−11およびリソバクチンフラグメント1−3の製造方法であって、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンを酵素的に切断してリソバクチンフラグメント4−11およびリソバクチンフラグメント1−3を得ることを特徴とする、方法。
【請求項5】
真核生物のセリンプロテアーゼまたは微生物のセリンプロテアーゼを酵素として使用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
キモトリプシンをセリンプロテアーゼとして使用する、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リソバクチンフラグメント3−11および/またはリソバクチンフラグメント5−11および/またはリソバクチンフラグメント4−10および/またはリソバクチンフラグメント1−9の製造方法であって、ジヒドロリソバクチンおよび/またはオクタヒドロリソバクチンを酵素的に切断してリソバクチンフラグメント3−11および/またはリソバクチンフラグメント5−11および/またはリソバクチンフラグメント4−10および/またはリソバクチンフラグメント1−9を得ることを特徴とする、方法。
【請求項8】
メタロプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼを酵素として使用する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リソバクチン誘導体の合成のための、リソバクチンフラグメント4−11の使用。
【請求項10】
鎖式リソバクチン誘導体の製造方法であって、リソバクチンフラグメント4−11を、C末端の芳香族性または疎水性アミノ酸を有するトリペプチドと、C1−4−アルコールを添加したバッファー媒体中で反応させることを特徴とし、ここで、トリペプチドは遊離酸またはエステルの形態で存在し、反応媒体中のC1−4−アルコールの濃度は40%より高いものである、方法。
【請求項11】
メタノールをC1−4−アルコールとして使用することを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−529970(P2008−529970A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539493(P2007−539493)
【出願日】平成17年10月22日(2005.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011364
【国際公開番号】WO2006/048140
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506207901)アイキュリス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】AiCuris GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】