リチウムイオン二次電池
【課題】金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、短絡を防ぐことが可能なリチウムイオン二次電池を得る。
【解決手段】リチウムイオン二次電池D1は、正極シートと負極シートをセパレータを介して捲回した捲回電極群21と、捲回電極群21を収納する電池容器11を有するリチウムイオン二次電池D1であって、捲回電極群21と電池容器11との間に伸縮性を有するゴム系絶縁性樹脂シート12を設けたことを特徴としている。これによれば、金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、電池容器11内に進入した金属異物に沿ってゴム系絶縁性樹脂シート12を伸張させて、金属異物と捲回電極群21の正極シート及び負極シートとの間にゴム系絶縁性樹脂シート12を介在させることができる。
【解決手段】リチウムイオン二次電池D1は、正極シートと負極シートをセパレータを介して捲回した捲回電極群21と、捲回電極群21を収納する電池容器11を有するリチウムイオン二次電池D1であって、捲回電極群21と電池容器11との間に伸縮性を有するゴム系絶縁性樹脂シート12を設けたことを特徴としている。これによれば、金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、電池容器11内に進入した金属異物に沿ってゴム系絶縁性樹脂シート12を伸張させて、金属異物と捲回電極群21の正極シート及び負極シートとの間にゴム系絶縁性樹脂シート12を介在させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載されるリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池と比較してエネルギー密度が高いため、昨今では主にデジタルカメラやノート型パソコン、携帯電話などのポータブル機器に多く使用されている。また近年は環境問題に対応すべく、電気自動車用や電力貯蔵用を目的とする、大型のリチウムイオン二次電池の研究開発が活発に行われている。特に、自動車産業界においては、動力源としてモータを用いる方式の電気自動車や内燃機関とモータとの両方を用いるハイブリッド方式の電気自動車の開発が進められており、その一部はすでに実用化されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池、特に車載用については、内在するエネルギーが非常に大きいため、高い安全性と信頼性が求められる。車載用では、車両事故を想定してリチウムイオン二次電池に金属異物が外部から貫通し、広範囲な短絡を引き起こした場合でも安全性に影響を与える事象を招かないことが必要である。
【0004】
上記のような短絡が発生した場合の対策として、コア(軸芯)の内壁の一部に連設された導電性部材を有し、係る導電性部材の内部にエネルギー放出用の負荷を設ける構造が提案されている(特許文献1)。また、電極組立体とケースの間に第1の導電板と近接して重なる第2の導電板を配置して、貫通または圧壊の際に前記導電板が最も先に短絡される構造が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−118604号公報
【特許文献2】特開2011−119260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、特許文献2における方法では、電池に短絡自体が生じることに変わりはなく、短絡時に発熱を生じることが懸念される。また意図的に短絡経路を設けることは、衝撃や振動など、想定以外の状況で短絡が生じ、安全性が損なわれる事象を招く恐れがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、短絡を防ぐことが可能なリチウムイオン二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池は、正極シートと負極シートをセパレータを介して捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収納する電池容器を有するリチウムイオン二次電池であって、前記捲回電極群と前記電池容器との間に伸縮性を有するゴム系絶縁性樹脂シートを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、電池容器内に進入した金属異物に沿ってゴム系絶縁性樹脂シートを伸張させて、金属異物と正極シート及び負極シートとの間にゴム系絶縁性樹脂シートを介在させることができる。したがって、金属異物が正極シート及び負極シートに直接接触して短絡が発生するのを防ぐことができ、広範囲な短絡によって生じる電池温度の過度の上昇を防止することができる。また、衝撃や振動など、想定以外の状況での短絡発生が生じる可能性も排除できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群の一部を展開した状態を示す外観斜視図。
【図2】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の外観斜視図。
【図4】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の電池作製工程のフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群、およびゴム系絶縁性樹脂シートの配置状態を説明するイメージ図。
【図6】図5のVI−VI線断面図であり、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図。
【図7A】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池のゴム系絶縁性樹脂シートによる短絡防止メカニズムを説明する模式図。
【図7B】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池のゴム系絶縁性樹脂シートによる短絡防止メカニズムを説明する模式図。
【図8A】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図。
【図8B】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図。
【図8C】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図。
【図9A】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の円筒形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図。
【図9B】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の円筒形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図9を参照して、本発明のリチウムイオン二次電池の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群の一部を展開した状態を示す外観斜視図である。扁平形捲回電極群21は、一定幅の未塗工部1aを有する正極シート1と、一定幅の未塗工部2aを有する負極シート2を、セパレータ3、4を介して、互いの未塗工部1a、2aが逆になるように、より詳しくは、幅方向一方側と他方側に分かれて配置されるように、重ね合わせた状態で捲回することによって構成されている。
【0013】
<電極作製(正極シート)>
正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物と、導電助剤として鱗片状黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを重量比85:10:5で混合し、これに分散溶媒のN−メチルピロリドン(NMP)を添加、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極金属箔)の両面に塗工した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより、塗工部(正極合剤層)1bの幅が80mm、厚さが130μm、電極長が4mの正極シート1を得た。なお、アルミニウム箔の長尺方向の片側端部には、連続して形成した未塗工部1aを配し、その部分を正極リードとした。
【0014】
<電極作製(負極シート)>
負極活物質として非晶質炭素粉末、結着剤としてPVDFを添加し、これに分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔(負極金属箔)の両面に塗工した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより、塗工部(負極合剤層)2bの幅が84mm、厚さが110μm、電極長が4.4mの負極シート2を得た。なお、圧延銅箔の長尺方向の片側端部には、連続して形成した未塗工部2aを配し、その部分を負極リードとした。
【0015】
<電池組立>
上記作製した正極シート1と負極シート2を、これら両極が直接接触しないように幅90mm、厚さ30μmのポリエチレン製からなる微多孔性のセパレータ3およびセパレータ4と重ね合わせて捲回して扁平形捲回電極群21を作製した。扁平形捲回電極群21は、正極シート1、負極シート2、セパレータ3、セパレータ4とも長尺方向に10Nの荷重をかけて伸展しつつ、各電極(正極シート1、負極シート2)の端面およびセパレータ3、4の端面が一定位置になるように蛇行制御しながら作製した。扁平形捲回電極群21の捲回中心部には、セパレータ3およびセパレータ4を一層以上配した。このとき、正極未塗工部1aと負極未塗工部2aとが、それぞれ扁平形捲回電極群21の互いに反対側の端部(捲回軸方向一方側の端部と捲回軸方向他方側の端部)に位置するようにした。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の分解斜視図である。
リチウムイオン二次電池D1は、扁平形捲回電極群21と、扁平形捲回電極群21を収容する角形の電池容器11と、電池容器11の開口部を封口する電池蓋9を有する。
【0017】
電池容器11は、深絞り加工により形成されており、底壁部の一対の長辺部からそれぞれ立ち上がり対峙する幅広壁部PWと、底壁部の一対の短辺部からそれぞれ立ち上がり対峙する幅狭壁部PNとを有する。
【0018】
電池蓋9は、電池容器11の開口部を閉塞する矩形の平板部材からなり、その長辺方向中間位置には、電池容器11内に非水電解液を注液するための注液孔10が設けられている。そして、電池蓋9には、負極外部端子7と負極集電板5、及び、正極外部端子8と正極集電板6が、図示していない絶縁部材を介してあらかじめ取り付けられている。負極外部端子7と負極集電板5は電気的に導通され、正極外部端子8と正極集電板6も電気的に導通されている。
【0019】
扁平形捲回電極群21は、超音波溶接により正極集電板6に正極未塗工部1aが接合され、負極集電板5に負極未塗工部2aが接合されている。そして、扁平形捲回電極群21と電池容器11の幅広壁部PWとの間には、本発明の特徴構成であるゴム系絶縁性樹脂シート12が介在されている。
【0020】
ゴム系絶縁性樹脂シート12は、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側にそれぞれ配置されている。また、本実施の形態では、扁平形捲回電極群21の捲回中心部の中心穴部21a(図1を参照)にも、ゴム系絶縁性樹脂シート12が配置されている。
【0021】
これら複数のゴム系絶縁性樹脂シート12のうち、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側に配置される一対のゴム系絶縁性樹脂シート12は、例えば図示していない両面テープや接着剤等によって扁平形捲回電極群21に固定されている。そして、扁平形捲回電極群21の少なくともセパレータの範囲を覆う大きさを有している。本実施の形態では、扁平形捲回電極群21の捲回軸方向の長さとほぼ同一の横長さと、扁平形捲回電極群21の捲回軸方向に沿う方向でかつ扁平形捲回電極群21の扁平厚さ方向に直交する方向の長さとほぼ同一の縦長さを有している。
【0022】
また、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに配置されるゴム系絶縁性樹脂シート12は、セパレータの捲回軸方向の長さとほぼ同一の横長さと、中心穴部21aの長径とほぼ同一の縦長さを有している。
【0023】
なお、図2では、説明の便宜上、ゴム系絶縁性樹脂シート12が透明性を有する部材からなるように示しているが、透明性を有している必要はない。それから、特に図示していないが、扁平形捲回電極群21には、正極集電板6と負極集電板5、及び、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側に配置された一対のゴム系絶縁性樹脂シート12を含む全体を外側から覆うように、絶縁保護シートが被せられており、絶縁保護シートが被せられた状態で電池容器11内に挿入されている。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の外観斜視図である。リチウムイオン二次電池D1は、電池容器11の開口部が電池蓋9で密閉されている。電池蓋9は、電池容器11に溶接される。
【0025】
そして、溶接後に非水電解液が電池蓋9の注液孔10から電池容器11内に注入される。扁平形捲回電極群21全体を浸潤可能な所定量の非水電解液を電池容器11内に注入した後、注液孔10は密閉され、リチウムイオン二次電池D1が完成される。非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の電池作製工程を説明するフローチャートである。
【0027】
電池作製工程は、電極作製工程S1と電池組み立て工程S2を有する。電極作製工程S1では、混練S11、塗工S12、プレスS13、スリットS14の順に行い、電極原反(正極シート1と負極シート2)を作製する。混練S11では、活物質と導電助剤および結着剤を所定の重量比で混合し、これに分散溶媒を添加して所定の固形分濃度、粘度に調整したスラリを作製する。
【0028】
塗工S12では、所定厚さの金属箔基材の両面に前記スラリを、所定の幅および所定の重量だけ塗布し、その後溶媒のみを乾燥により除去することで、塗工後電極を作製する。プレスS13では、前記塗工後電極を所定の厚さまでロールプレスにより圧縮することで、プレス後電極を作製する。スリットS14では、前記プレス後電極を、所定の塗工部幅、および所定の未塗工部幅に裁断し、電極原反を作製する。
【0029】
電池組み立て工程S2では、電極作製工程S1で作製した電極原反(正極シート1と負極シート2)を用い、捲回S21、集電板溶接S22、缶挿入S23、缶溶接S24、注液S25の工程を経て、リチウムイオン二次電池D1を作製する。
【0030】
捲回S21では、正極シート1と負極シート2を、両極が直接接触しないように、セパレータ3、4を介して、場合により捲回軸芯を用い、共に捲回して捲回電極群21を作製する。また、正極シート1及び負極シート2の端面およびセパレータ3、4の端面が一定位置になるように蛇行制御しながら、正極未塗工部1aと負極未塗工部2aとが、捲回電極群21の互いに反対側の端部(捲回軸方向一方側と他方側)に位置するように作製する。それから、捲回電極群21の捲回中心部の中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置する。
【0031】
集電板溶接S22では、正極集電板6と負極集電板5に、捲回電極群21の正極未塗工部1aと負極未塗工部2aをそれぞれ超音波溶接により接合する。なお、正極集電板6と負極集電板5は、予め電池蓋9に取り付けられており、正極外部端子8及び負極外部端子7に接続されている。
【0032】
缶挿入S23では、捲回電極群21が電池容器11内に挿入される。その際、捲回電極群21の平担面と、対向する電池容器11の幅広壁部PWとの間には、ゴム系絶縁性樹脂シート12が配置される。また、捲回電極群21及びゴム系絶縁性樹脂シート12の外側には、図示していない絶縁保護シートが被せられる。
【0033】
缶溶接S24では、電池蓋9と電池容器11をレーザー溶接して開口部を封口する。注液S25では、電池容器11内に、所定量の非水電解液を電池蓋9の注液孔10から電池容器11内に注入する。注液孔10は、図示していない注液栓が取り付けられて、レーザー溶接により密閉される。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群、およびゴム系絶縁性樹脂シートの配置状態を説明するイメージ図、図6は、図5のVI−VI線断面図であり、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図である。
【0035】
図5及び図6に示す構成例は、扁平形捲回電極群21の作製後に、扁平形捲回電極群21の平坦部両側と電池容器11との間にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置し、さらに扁平形捲回電極群21の内周部である中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製されたものである。
【0036】
ゴム系絶縁性樹脂シート12は、扁平形捲回電極群21の平坦部両側と電池容器11の幅広壁部PWとの間に配置され、さらに、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aにも配置されており、合計で3枚が配置されている。
【0037】
これら複数のゴム系絶縁性樹脂シート12のうち、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側に配置される一対のゴム系絶縁性樹脂シート12は、扁平形捲回電極群21の少なくともセパレータの範囲を覆う大きさを有している。また、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに配置されるゴム系絶縁性樹脂シート12は、セパレータの捲回軸方向の長さとほぼ同一の横長さと、中心穴部21aの長径とほぼ同一の縦長さを有している。
【0038】
ゴム系絶縁性樹脂シート12には、伸縮性を有するウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴムのうち少なくとも1種以上から成る絶縁性樹脂シートを用いることが可能である。
【0039】
図7Aと図7Bは、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池のゴム系絶縁性樹脂シートによる短絡防止メカニズムを説明する模式図である。なお、図中では、電池容器11とゴム系絶縁性樹脂シート12との間に介在される絶縁保護シートについては省略している。
【0040】
扁平形捲回電極群21の平坦面と電池容器11の幅広壁部PWとの間に配置されたゴム系絶縁性樹脂シート12は、電池容器11の外部から金属異物14が突き刺されたときあるいは貫通したときに、金属異物14に沿って伸びることで、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐ。
【0041】
例えば図7Aに示すように、金属異物14が電池容器11を突き破って扁平形捲回電極群21に扁平厚さ方向一方側である図中上方から他方側である図中下方に向かって突き刺された場合に、ゴム系絶縁性樹脂シート12は、金属異物14の周りを被覆するように伸張されて、金属異物14と扁平形捲回電極群21との間に介在される。したがって、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐことができる。
【0042】
そして図7Bに示すように、金属異物14が電池容器11を突き破って扁平形捲回電極群21に突き刺されて、その先端部分が扁平形捲回電極群21の中心穴部21aよりも深く突き進んだときは、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに配置されたゴム系絶縁性樹脂シート12が、金属異物14に沿って伸びることで、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐことができる。
【0043】
したがって、電池容器11の幅広壁部PWと扁平形捲回電極群21との間のゴム系絶縁性樹脂シート12が破れても、中心穴部21aに配置されているゴム系絶縁性樹脂シート12が金属異物14の周りを被覆するように金属異物14に沿って伸び、扁平形捲回電極群21と金属異物14との間に介在される。したがって、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐことができ、短絡による過度の電池温度上昇を回避できる。そして、上記構成を有するリチウムイオン二次電池によれば、従来技術のように、衝撃や振動など、想定以外の状況での短絡が発生するリスクもない。
【0044】
なお、本発明は、上述の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上述の構成では、二枚のゴム系絶縁性樹脂シート12を、扁平形捲回電極群21の扁平厚さ方向両側にそれぞれ配置して、両面テープ等で固定する場合について説明したが、ゴム系絶縁性樹脂シート12を扁平形捲回電極群21の外側に捲回して固定する構成としてもよい。
【0045】
また、上記構成では、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに、ゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入して配置する場合について説明したが、このゴム系絶縁性樹脂シート12を省略して中心穴部21aに設けない構成としてもよい。
【0046】
また、上記構成では、ゴム系絶縁性樹脂シート12とは別に、絶縁保護シートを設けて、捲回電極群21及びゴム系絶縁性樹脂シート12の外側に絶縁保護シートを被せる構成の場合について説明したが、絶縁保護シートをゴム系絶縁性樹脂シート12と同一の素材により形成して、電池容器11と捲回電極群21との間のゴム系絶縁性樹脂シート12を省略する構成としてもよい。
【0047】
図8A〜図8Cは、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図である。
【0048】
図8Aに示す構成例は、ゴム系絶縁性樹脂シート12を表面に配置した捲回軸芯13を使用して扁平形捲回電極群21を作製し、その扁平形捲回電極群21の平坦部両側と電池容器11との間にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0049】
図8Aに示す構成例によれば、扁平形捲回電極群21を形成した後に、その中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入する作業を省略することができる。したがって、製造時間の短縮を図ることができ、また、工数の削減により製造コストを低減することができる。
【0050】
図8Bに示す構成例は、扁平形捲回電極群21を作製した後に、扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置し、かつ、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0051】
図8Bに示す構成例によれば、扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を巻き付けることによって、ゴム系絶縁性樹脂シート12を扁平形捲回電極群21に簡単に固定配置することができる。したがって、ゴム系絶縁性樹脂シート12の取り付け作業の簡略化を図ることができ、リチウムイオン二次電池の組み立て作業性を向上することができる。
【0052】
図8Cに示す構成例は、ゴム系絶縁性樹脂シート12を表面に配置した捲回軸芯13を使用して扁平形捲回電極群21を作製し、その扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0053】
図8Cに示す構成例によれば、扁平形捲回電極群21を形成した後に、その中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入する作業を省略することができる。したがって、製造時間の短縮を図ることができ、また、工数の削減により製造コストを低減することができる。そして、扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を巻き付けることによって、ゴム系絶縁性樹脂シート12を扁平形捲回電極群21に簡単に固定配置することができる。したがって、ゴム系絶縁性樹脂シート12の取り付け作業の簡略化を図ることができ、リチウムイオン二次電池の組み立て作業性を向上することができる。
【0054】
本発明のリチウムイオン二次電池は、角形に限定されるものではなく、円筒形であってもよい。図9A、図9Bは、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の円筒形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図である。
【0055】
図9Aに示す構成例は、円筒形捲回電極群22を作製した後に、円筒形捲回電極群22の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置し、かつ、円筒形捲回電極群22の内周部である中心穴部22aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。そして、図示していない円筒形の電池容器内に収容される。
【0056】
図9Aに示す構成によれば、扁平形捲回電極群21と同様に、電池容器に金属異物が突き刺されあるいは貫通したときに、金属異物と円筒形捲回電極群22との間にゴム系絶縁性樹脂シート12を介在させることができ、円筒形捲回電極群22の短絡を防ぐことができる。
【0057】
図9Bに示す構成例は、ゴム系絶縁性樹脂シート12を表面に配置した捲回軸芯13を使用して円筒形捲回電極群22を作製する。そして、その円筒形捲回電極群22の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0058】
図9Bに示す構成によれば、扁平形捲回電極群21を形成した後に、その中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入する作業を省略することができる。したがって、製造時間の短縮を図ることができ、また、工数の削減により製造コストを低減することができる。
【0059】
本実施形態では、バインダとしてPVDFを例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などを使用するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態ではEC、DMCの混合溶液中にLiPF6を溶解した非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いるようにしてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。例えば、電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトニル等またはこれら2種類以上の混合溶媒を用いるようにしてもよく、混合配合比についても制限されるものではない。
【0061】
実施例として用いたゴム系絶縁性樹脂シートの種類、および物性値を下の表に示す。なお、伸びは、ゴム系絶縁性樹脂シートを破断するまで引っ張ったときの元の長さに対する伸びた長さの比である。そして、引き裂き強度は、ゴム系絶縁性樹脂シートを引き裂いたときに要した力によって求められる機械的強度であり、JIS K−6252に規定された試験方法によりトラウザ形試験片を作製して求めた。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例として用いたゴム系絶縁性樹脂シートの種類、および物性値を下の表に示す。
【表2】
【0064】
本発明に用いるゴム系絶縁性樹脂シート12としては、その物性値からウレタンゴム、二トリルゴム、エチレンプロピレンゴムが好適である。また、その厚みとしては、0.1mmから1.0mmが好適であり、さらに好適には0.5mmから1.0mmである。厚みが薄いと過度の温度上昇を抑制する効果が弱くなり、厚みが厚いと電池の容量が目減りしてしまう。さらに、伸びとしては350%以上800%以下、引裂き強度は30N/mm以上53N/mm以下が好適である。
【0065】
本発明は、上記実施形態によって制限されるものでない。例えば、ゴム系絶縁性樹脂シート12の材質は、ウレタンゴム、二トリルゴム、エチレンプロピレンゴムのいずれか一つに限定されるものではなく、これらのうち少なくとも一種以上からなるものであればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 正極シート(正極電極)
1a 正極未塗工部
1b 正極塗工部
2 負極シート(負極電極)
2a 負極未塗工部
2b 負極塗工部
3 セパレータ
4 セパレータ
5 負極集電板
6 正極集電板
7 負極外部端子
8 正極外部端子
9 電池蓋
10 注液口
11 電池容器
12 ゴム系絶縁性樹脂シート
13 捲回軸心
14 金属異物
21 扁平形捲回電極群
22 円筒形捲回電極群
D1 リチウムイオン二次電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載されるリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池と比較してエネルギー密度が高いため、昨今では主にデジタルカメラやノート型パソコン、携帯電話などのポータブル機器に多く使用されている。また近年は環境問題に対応すべく、電気自動車用や電力貯蔵用を目的とする、大型のリチウムイオン二次電池の研究開発が活発に行われている。特に、自動車産業界においては、動力源としてモータを用いる方式の電気自動車や内燃機関とモータとの両方を用いるハイブリッド方式の電気自動車の開発が進められており、その一部はすでに実用化されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池、特に車載用については、内在するエネルギーが非常に大きいため、高い安全性と信頼性が求められる。車載用では、車両事故を想定してリチウムイオン二次電池に金属異物が外部から貫通し、広範囲な短絡を引き起こした場合でも安全性に影響を与える事象を招かないことが必要である。
【0004】
上記のような短絡が発生した場合の対策として、コア(軸芯)の内壁の一部に連設された導電性部材を有し、係る導電性部材の内部にエネルギー放出用の負荷を設ける構造が提案されている(特許文献1)。また、電極組立体とケースの間に第1の導電板と近接して重なる第2の導電板を配置して、貫通または圧壊の際に前記導電板が最も先に短絡される構造が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−118604号公報
【特許文献2】特開2011−119260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、特許文献2における方法では、電池に短絡自体が生じることに変わりはなく、短絡時に発熱を生じることが懸念される。また意図的に短絡経路を設けることは、衝撃や振動など、想定以外の状況で短絡が生じ、安全性が損なわれる事象を招く恐れがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、短絡を防ぐことが可能なリチウムイオン二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池は、正極シートと負極シートをセパレータを介して捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収納する電池容器を有するリチウムイオン二次電池であって、前記捲回電極群と前記電池容器との間に伸縮性を有するゴム系絶縁性樹脂シートを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属異物が突き刺さったときあるいは貫通したときに、電池容器内に進入した金属異物に沿ってゴム系絶縁性樹脂シートを伸張させて、金属異物と正極シート及び負極シートとの間にゴム系絶縁性樹脂シートを介在させることができる。したがって、金属異物が正極シート及び負極シートに直接接触して短絡が発生するのを防ぐことができ、広範囲な短絡によって生じる電池温度の過度の上昇を防止することができる。また、衝撃や振動など、想定以外の状況での短絡発生が生じる可能性も排除できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群の一部を展開した状態を示す外観斜視図。
【図2】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の外観斜視図。
【図4】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の電池作製工程のフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群、およびゴム系絶縁性樹脂シートの配置状態を説明するイメージ図。
【図6】図5のVI−VI線断面図であり、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図。
【図7A】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池のゴム系絶縁性樹脂シートによる短絡防止メカニズムを説明する模式図。
【図7B】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池のゴム系絶縁性樹脂シートによる短絡防止メカニズムを説明する模式図。
【図8A】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図。
【図8B】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図。
【図8C】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図。
【図9A】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の円筒形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図。
【図9B】本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の円筒形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図9を参照して、本発明のリチウムイオン二次電池の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群の一部を展開した状態を示す外観斜視図である。扁平形捲回電極群21は、一定幅の未塗工部1aを有する正極シート1と、一定幅の未塗工部2aを有する負極シート2を、セパレータ3、4を介して、互いの未塗工部1a、2aが逆になるように、より詳しくは、幅方向一方側と他方側に分かれて配置されるように、重ね合わせた状態で捲回することによって構成されている。
【0013】
<電極作製(正極シート)>
正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物と、導電助剤として鱗片状黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを重量比85:10:5で混合し、これに分散溶媒のN−メチルピロリドン(NMP)を添加、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極金属箔)の両面に塗工した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより、塗工部(正極合剤層)1bの幅が80mm、厚さが130μm、電極長が4mの正極シート1を得た。なお、アルミニウム箔の長尺方向の片側端部には、連続して形成した未塗工部1aを配し、その部分を正極リードとした。
【0014】
<電極作製(負極シート)>
負極活物質として非晶質炭素粉末、結着剤としてPVDFを添加し、これに分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔(負極金属箔)の両面に塗工した。その後、乾燥、プレス、裁断することにより、塗工部(負極合剤層)2bの幅が84mm、厚さが110μm、電極長が4.4mの負極シート2を得た。なお、圧延銅箔の長尺方向の片側端部には、連続して形成した未塗工部2aを配し、その部分を負極リードとした。
【0015】
<電池組立>
上記作製した正極シート1と負極シート2を、これら両極が直接接触しないように幅90mm、厚さ30μmのポリエチレン製からなる微多孔性のセパレータ3およびセパレータ4と重ね合わせて捲回して扁平形捲回電極群21を作製した。扁平形捲回電極群21は、正極シート1、負極シート2、セパレータ3、セパレータ4とも長尺方向に10Nの荷重をかけて伸展しつつ、各電極(正極シート1、負極シート2)の端面およびセパレータ3、4の端面が一定位置になるように蛇行制御しながら作製した。扁平形捲回電極群21の捲回中心部には、セパレータ3およびセパレータ4を一層以上配した。このとき、正極未塗工部1aと負極未塗工部2aとが、それぞれ扁平形捲回電極群21の互いに反対側の端部(捲回軸方向一方側の端部と捲回軸方向他方側の端部)に位置するようにした。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の分解斜視図である。
リチウムイオン二次電池D1は、扁平形捲回電極群21と、扁平形捲回電極群21を収容する角形の電池容器11と、電池容器11の開口部を封口する電池蓋9を有する。
【0017】
電池容器11は、深絞り加工により形成されており、底壁部の一対の長辺部からそれぞれ立ち上がり対峙する幅広壁部PWと、底壁部の一対の短辺部からそれぞれ立ち上がり対峙する幅狭壁部PNとを有する。
【0018】
電池蓋9は、電池容器11の開口部を閉塞する矩形の平板部材からなり、その長辺方向中間位置には、電池容器11内に非水電解液を注液するための注液孔10が設けられている。そして、電池蓋9には、負極外部端子7と負極集電板5、及び、正極外部端子8と正極集電板6が、図示していない絶縁部材を介してあらかじめ取り付けられている。負極外部端子7と負極集電板5は電気的に導通され、正極外部端子8と正極集電板6も電気的に導通されている。
【0019】
扁平形捲回電極群21は、超音波溶接により正極集電板6に正極未塗工部1aが接合され、負極集電板5に負極未塗工部2aが接合されている。そして、扁平形捲回電極群21と電池容器11の幅広壁部PWとの間には、本発明の特徴構成であるゴム系絶縁性樹脂シート12が介在されている。
【0020】
ゴム系絶縁性樹脂シート12は、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側にそれぞれ配置されている。また、本実施の形態では、扁平形捲回電極群21の捲回中心部の中心穴部21a(図1を参照)にも、ゴム系絶縁性樹脂シート12が配置されている。
【0021】
これら複数のゴム系絶縁性樹脂シート12のうち、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側に配置される一対のゴム系絶縁性樹脂シート12は、例えば図示していない両面テープや接着剤等によって扁平形捲回電極群21に固定されている。そして、扁平形捲回電極群21の少なくともセパレータの範囲を覆う大きさを有している。本実施の形態では、扁平形捲回電極群21の捲回軸方向の長さとほぼ同一の横長さと、扁平形捲回電極群21の捲回軸方向に沿う方向でかつ扁平形捲回電極群21の扁平厚さ方向に直交する方向の長さとほぼ同一の縦長さを有している。
【0022】
また、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに配置されるゴム系絶縁性樹脂シート12は、セパレータの捲回軸方向の長さとほぼ同一の横長さと、中心穴部21aの長径とほぼ同一の縦長さを有している。
【0023】
なお、図2では、説明の便宜上、ゴム系絶縁性樹脂シート12が透明性を有する部材からなるように示しているが、透明性を有している必要はない。それから、特に図示していないが、扁平形捲回電極群21には、正極集電板6と負極集電板5、及び、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側に配置された一対のゴム系絶縁性樹脂シート12を含む全体を外側から覆うように、絶縁保護シートが被せられており、絶縁保護シートが被せられた状態で電池容器11内に挿入されている。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の外観斜視図である。リチウムイオン二次電池D1は、電池容器11の開口部が電池蓋9で密閉されている。電池蓋9は、電池容器11に溶接される。
【0025】
そして、溶接後に非水電解液が電池蓋9の注液孔10から電池容器11内に注入される。扁平形捲回電極群21全体を浸潤可能な所定量の非水電解液を電池容器11内に注入した後、注液孔10は密閉され、リチウムイオン二次電池D1が完成される。非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の電池作製工程を説明するフローチャートである。
【0027】
電池作製工程は、電極作製工程S1と電池組み立て工程S2を有する。電極作製工程S1では、混練S11、塗工S12、プレスS13、スリットS14の順に行い、電極原反(正極シート1と負極シート2)を作製する。混練S11では、活物質と導電助剤および結着剤を所定の重量比で混合し、これに分散溶媒を添加して所定の固形分濃度、粘度に調整したスラリを作製する。
【0028】
塗工S12では、所定厚さの金属箔基材の両面に前記スラリを、所定の幅および所定の重量だけ塗布し、その後溶媒のみを乾燥により除去することで、塗工後電極を作製する。プレスS13では、前記塗工後電極を所定の厚さまでロールプレスにより圧縮することで、プレス後電極を作製する。スリットS14では、前記プレス後電極を、所定の塗工部幅、および所定の未塗工部幅に裁断し、電極原反を作製する。
【0029】
電池組み立て工程S2では、電極作製工程S1で作製した電極原反(正極シート1と負極シート2)を用い、捲回S21、集電板溶接S22、缶挿入S23、缶溶接S24、注液S25の工程を経て、リチウムイオン二次電池D1を作製する。
【0030】
捲回S21では、正極シート1と負極シート2を、両極が直接接触しないように、セパレータ3、4を介して、場合により捲回軸芯を用い、共に捲回して捲回電極群21を作製する。また、正極シート1及び負極シート2の端面およびセパレータ3、4の端面が一定位置になるように蛇行制御しながら、正極未塗工部1aと負極未塗工部2aとが、捲回電極群21の互いに反対側の端部(捲回軸方向一方側と他方側)に位置するように作製する。それから、捲回電極群21の捲回中心部の中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置する。
【0031】
集電板溶接S22では、正極集電板6と負極集電板5に、捲回電極群21の正極未塗工部1aと負極未塗工部2aをそれぞれ超音波溶接により接合する。なお、正極集電板6と負極集電板5は、予め電池蓋9に取り付けられており、正極外部端子8及び負極外部端子7に接続されている。
【0032】
缶挿入S23では、捲回電極群21が電池容器11内に挿入される。その際、捲回電極群21の平担面と、対向する電池容器11の幅広壁部PWとの間には、ゴム系絶縁性樹脂シート12が配置される。また、捲回電極群21及びゴム系絶縁性樹脂シート12の外側には、図示していない絶縁保護シートが被せられる。
【0033】
缶溶接S24では、電池蓋9と電池容器11をレーザー溶接して開口部を封口する。注液S25では、電池容器11内に、所定量の非水電解液を電池蓋9の注液孔10から電池容器11内に注入する。注液孔10は、図示していない注液栓が取り付けられて、レーザー溶接により密閉される。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群、およびゴム系絶縁性樹脂シートの配置状態を説明するイメージ図、図6は、図5のVI−VI線断面図であり、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図である。
【0035】
図5及び図6に示す構成例は、扁平形捲回電極群21の作製後に、扁平形捲回電極群21の平坦部両側と電池容器11との間にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置し、さらに扁平形捲回電極群21の内周部である中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製されたものである。
【0036】
ゴム系絶縁性樹脂シート12は、扁平形捲回電極群21の平坦部両側と電池容器11の幅広壁部PWとの間に配置され、さらに、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aにも配置されており、合計で3枚が配置されている。
【0037】
これら複数のゴム系絶縁性樹脂シート12のうち、扁平形捲回電極群21の厚さ方向両側に配置される一対のゴム系絶縁性樹脂シート12は、扁平形捲回電極群21の少なくともセパレータの範囲を覆う大きさを有している。また、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに配置されるゴム系絶縁性樹脂シート12は、セパレータの捲回軸方向の長さとほぼ同一の横長さと、中心穴部21aの長径とほぼ同一の縦長さを有している。
【0038】
ゴム系絶縁性樹脂シート12には、伸縮性を有するウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴムのうち少なくとも1種以上から成る絶縁性樹脂シートを用いることが可能である。
【0039】
図7Aと図7Bは、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池のゴム系絶縁性樹脂シートによる短絡防止メカニズムを説明する模式図である。なお、図中では、電池容器11とゴム系絶縁性樹脂シート12との間に介在される絶縁保護シートについては省略している。
【0040】
扁平形捲回電極群21の平坦面と電池容器11の幅広壁部PWとの間に配置されたゴム系絶縁性樹脂シート12は、電池容器11の外部から金属異物14が突き刺されたときあるいは貫通したときに、金属異物14に沿って伸びることで、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐ。
【0041】
例えば図7Aに示すように、金属異物14が電池容器11を突き破って扁平形捲回電極群21に扁平厚さ方向一方側である図中上方から他方側である図中下方に向かって突き刺された場合に、ゴム系絶縁性樹脂シート12は、金属異物14の周りを被覆するように伸張されて、金属異物14と扁平形捲回電極群21との間に介在される。したがって、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐことができる。
【0042】
そして図7Bに示すように、金属異物14が電池容器11を突き破って扁平形捲回電極群21に突き刺されて、その先端部分が扁平形捲回電極群21の中心穴部21aよりも深く突き進んだときは、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに配置されたゴム系絶縁性樹脂シート12が、金属異物14に沿って伸びることで、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐことができる。
【0043】
したがって、電池容器11の幅広壁部PWと扁平形捲回電極群21との間のゴム系絶縁性樹脂シート12が破れても、中心穴部21aに配置されているゴム系絶縁性樹脂シート12が金属異物14の周りを被覆するように金属異物14に沿って伸び、扁平形捲回電極群21と金属異物14との間に介在される。したがって、金属異物14による扁平形捲回電極群21の短絡を防ぐことができ、短絡による過度の電池温度上昇を回避できる。そして、上記構成を有するリチウムイオン二次電池によれば、従来技術のように、衝撃や振動など、想定以外の状況での短絡が発生するリスクもない。
【0044】
なお、本発明は、上述の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上述の構成では、二枚のゴム系絶縁性樹脂シート12を、扁平形捲回電極群21の扁平厚さ方向両側にそれぞれ配置して、両面テープ等で固定する場合について説明したが、ゴム系絶縁性樹脂シート12を扁平形捲回電極群21の外側に捲回して固定する構成としてもよい。
【0045】
また、上記構成では、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aに、ゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入して配置する場合について説明したが、このゴム系絶縁性樹脂シート12を省略して中心穴部21aに設けない構成としてもよい。
【0046】
また、上記構成では、ゴム系絶縁性樹脂シート12とは別に、絶縁保護シートを設けて、捲回電極群21及びゴム系絶縁性樹脂シート12の外側に絶縁保護シートを被せる構成の場合について説明したが、絶縁保護シートをゴム系絶縁性樹脂シート12と同一の素材により形成して、電池容器11と捲回電極群21との間のゴム系絶縁性樹脂シート12を省略する構成としてもよい。
【0047】
図8A〜図8Cは、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の扁平形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの他の構成例を説明する断面図である。
【0048】
図8Aに示す構成例は、ゴム系絶縁性樹脂シート12を表面に配置した捲回軸芯13を使用して扁平形捲回電極群21を作製し、その扁平形捲回電極群21の平坦部両側と電池容器11との間にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0049】
図8Aに示す構成例によれば、扁平形捲回電極群21を形成した後に、その中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入する作業を省略することができる。したがって、製造時間の短縮を図ることができ、また、工数の削減により製造コストを低減することができる。
【0050】
図8Bに示す構成例は、扁平形捲回電極群21を作製した後に、扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置し、かつ、扁平形捲回電極群21の中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0051】
図8Bに示す構成例によれば、扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を巻き付けることによって、ゴム系絶縁性樹脂シート12を扁平形捲回電極群21に簡単に固定配置することができる。したがって、ゴム系絶縁性樹脂シート12の取り付け作業の簡略化を図ることができ、リチウムイオン二次電池の組み立て作業性を向上することができる。
【0052】
図8Cに示す構成例は、ゴム系絶縁性樹脂シート12を表面に配置した捲回軸芯13を使用して扁平形捲回電極群21を作製し、その扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0053】
図8Cに示す構成例によれば、扁平形捲回電極群21を形成した後に、その中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入する作業を省略することができる。したがって、製造時間の短縮を図ることができ、また、工数の削減により製造コストを低減することができる。そして、扁平形捲回電極群21の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を巻き付けることによって、ゴム系絶縁性樹脂シート12を扁平形捲回電極群21に簡単に固定配置することができる。したがって、ゴム系絶縁性樹脂シート12の取り付け作業の簡略化を図ることができ、リチウムイオン二次電池の組み立て作業性を向上することができる。
【0054】
本発明のリチウムイオン二次電池は、角形に限定されるものではなく、円筒形であってもよい。図9A、図9Bは、本発明の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の円筒形捲回電極群とゴム系絶縁性樹脂シートの構成例を説明する断面図である。
【0055】
図9Aに示す構成例は、円筒形捲回電極群22を作製した後に、円筒形捲回電極群22の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置し、かつ、円筒形捲回電極群22の内周部である中心穴部22aにゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。そして、図示していない円筒形の電池容器内に収容される。
【0056】
図9Aに示す構成によれば、扁平形捲回電極群21と同様に、電池容器に金属異物が突き刺されあるいは貫通したときに、金属異物と円筒形捲回電極群22との間にゴム系絶縁性樹脂シート12を介在させることができ、円筒形捲回電極群22の短絡を防ぐことができる。
【0057】
図9Bに示す構成例は、ゴム系絶縁性樹脂シート12を表面に配置した捲回軸芯13を使用して円筒形捲回電極群22を作製する。そして、その円筒形捲回電極群22の外周部にゴム系絶縁性樹脂シート12を配置することによって作製される。
【0058】
図9Bに示す構成によれば、扁平形捲回電極群21を形成した後に、その中心穴部21aにゴム系絶縁性樹脂シート12を挿入する作業を省略することができる。したがって、製造時間の短縮を図ることができ、また、工数の削減により製造コストを低減することができる。
【0059】
本実施形態では、バインダとしてPVDFを例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などを使用するようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態ではEC、DMCの混合溶液中にLiPF6を溶解した非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いるようにしてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。例えば、電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトニル等またはこれら2種類以上の混合溶媒を用いるようにしてもよく、混合配合比についても制限されるものではない。
【0061】
実施例として用いたゴム系絶縁性樹脂シートの種類、および物性値を下の表に示す。なお、伸びは、ゴム系絶縁性樹脂シートを破断するまで引っ張ったときの元の長さに対する伸びた長さの比である。そして、引き裂き強度は、ゴム系絶縁性樹脂シートを引き裂いたときに要した力によって求められる機械的強度であり、JIS K−6252に規定された試験方法によりトラウザ形試験片を作製して求めた。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例として用いたゴム系絶縁性樹脂シートの種類、および物性値を下の表に示す。
【表2】
【0064】
本発明に用いるゴム系絶縁性樹脂シート12としては、その物性値からウレタンゴム、二トリルゴム、エチレンプロピレンゴムが好適である。また、その厚みとしては、0.1mmから1.0mmが好適であり、さらに好適には0.5mmから1.0mmである。厚みが薄いと過度の温度上昇を抑制する効果が弱くなり、厚みが厚いと電池の容量が目減りしてしまう。さらに、伸びとしては350%以上800%以下、引裂き強度は30N/mm以上53N/mm以下が好適である。
【0065】
本発明は、上記実施形態によって制限されるものでない。例えば、ゴム系絶縁性樹脂シート12の材質は、ウレタンゴム、二トリルゴム、エチレンプロピレンゴムのいずれか一つに限定されるものではなく、これらのうち少なくとも一種以上からなるものであればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 正極シート(正極電極)
1a 正極未塗工部
1b 正極塗工部
2 負極シート(負極電極)
2a 負極未塗工部
2b 負極塗工部
3 セパレータ
4 セパレータ
5 負極集電板
6 正極集電板
7 負極外部端子
8 正極外部端子
9 電池蓋
10 注液口
11 電池容器
12 ゴム系絶縁性樹脂シート
13 捲回軸心
14 金属異物
21 扁平形捲回電極群
22 円筒形捲回電極群
D1 リチウムイオン二次電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートと負極シートをセパレータを介して捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収納する電池容器を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記捲回電極群と前記電池容器との間に伸縮性を有するゴム系絶縁性樹脂シートを設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴムのうち少なくとも一種以上から成ることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記捲回電極群は、正極シートと負極シートをセパレータを介して扁平状に捲回した扁平形捲回電極群であり、
前記電池容器は、前記扁平形捲回電極群の平坦面に対向する一対の幅広壁部を有する角形の電池容器であり、
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、前記扁平形捲回電極群の平坦面と前記電池容器の幅広壁部との間に介在されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記捲回電極群は、正極シートと負極シートをセパレータを介して円筒状に捲回した円筒形捲回電極群であり、
前記電池容器は、前記円筒形捲回電極群を収容可能な円筒状の電池容器であり、
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、前記円筒形捲回電極群と前記電池容器の内壁部との間に介在されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、前記捲回電極群の捲回中心部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、扁平形捲回電極群の少なくともセパレータの範囲を覆う大きさを有していることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項1】
正極シートと負極シートをセパレータを介して捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収納する電池容器を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記捲回電極群と前記電池容器との間に伸縮性を有するゴム系絶縁性樹脂シートを設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴムのうち少なくとも一種以上から成ることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記捲回電極群は、正極シートと負極シートをセパレータを介して扁平状に捲回した扁平形捲回電極群であり、
前記電池容器は、前記扁平形捲回電極群の平坦面に対向する一対の幅広壁部を有する角形の電池容器であり、
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、前記扁平形捲回電極群の平坦面と前記電池容器の幅広壁部との間に介在されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記捲回電極群は、正極シートと負極シートをセパレータを介して円筒状に捲回した円筒形捲回電極群であり、
前記電池容器は、前記円筒形捲回電極群を収容可能な円筒状の電池容器であり、
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、前記円筒形捲回電極群と前記電池容器の内壁部との間に介在されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、前記捲回電極群の捲回中心部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記ゴム系絶縁性樹脂シートは、扁平形捲回電極群の少なくともセパレータの範囲を覆う大きさを有していることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2013−73809(P2013−73809A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212443(P2011−212443)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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