説明

リチウム複合金属酸化物およびその製造方法

【課題】高い容量を示すことが可能な非水電解質二次電池に有用なリチウム複合金属酸化物を提供する。
【解決手段】式(A)で表されるリチウム複合金属酸化物であって、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、結晶構造が、六方晶系、空間群R−3mに帰属する構造を含み、該晶系、該空間群に基づいて算出した格子定数aが2.87Å以下であるリチウム複合金属酸化物。
LixNiO2±δ (A)
(ここで、1.05≦x≦1.30であり、−0.1≦δ≦0.1である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質に用いられるリチウム複合金属酸化物に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム複合金属酸化物は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池に正極活物質として用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話用途やノートパソコン用途等の小型電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型電源においても、適用が試みられている。
【0003】
従来のリチウム複合金属酸化物としては、特許文献1に、層状岩塩型構造といわれる、六方晶系、空間群R−3mを有し、該晶系、該空間群に基づいて算出した格子定数aが2.88Åであり、格子定数cが14.19Åであり、組成式LiNiO2で表されるリチウム二次電池用正極材料用のリチウム複合金属酸化物が具体的に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3167518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のリチウム複合金属酸化物を正極活物質として用いて得られる非水電解質二次電池は、高い容量を要求される用途、すなわち自動車用途や電力貯蔵用途において十分なものではない。本発明の目的は、高い容量を示すことが可能な非水電解質二次電池に有用なリチウム複合金属酸化物、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記事情に鑑み種々検討した結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0007】
<1> 式(A)で表されるリチウム複合金属酸化物であって、
CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、結晶構造が、六方晶系、空間群R−3mに帰属する構造を含み、該晶系、該空間群に基づいて算出した格子定数aが2.87Å以下であるリチウム複合金属酸化物。
LixNiO2±δ (A)
(ここで、1.05≦x≦1.30であり、−0.1≦δ≦0.1である。)
<2> 格子定数cが14.19Å以上14.22Å以下の範囲にあり、格子体積が100.5Å3以上101.5Å3以下の範囲にある前記<1>に記載のリチウム複合金属酸化物。
<3> 格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)が4.94以上4.97以下である前記<1>または<2>に記載のリチウム複合金属酸化物。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物を、正極活物質として含有してなる正極。
<5> 前記<4>記載の正極を有してなる非水電解質二次電池。
<6> 以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含むリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(1)Niを含有する水溶液とLiを含有するアルカリとを接触させて共沈物を生成し、共沈物スラリーを得る工程
(2)得られた共沈物スラリーを固液分離して固形分を得る工程
(3)得られた固形分とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を300℃以上550℃以下の温度で保持して焼成して、第1のリチウム複合金属酸化物を得る工程
(4)得られた第1のリチウム複合金属酸化物と、リチウム化合物とを混合して得られる混合物を600℃以上800℃以下の温度で保持して焼成して第2のリチウム複合金属酸化物を得る工程
<7> 工程(3)において、仕込みNi量に対して、Li換算で1.0モル倍以上2.0モル倍以下のリチウム化合物を添加する前記<6>に記載のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
<8> 工程(4)において、仕込みNi量に対して、Li換算で1.0モル倍以上2.0モル倍以下のリチウム化合物を添加する前記<6>または<7>に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来のリチウム二次電池に比し、高い容量を示す非水電解質二次電池を与えることができるリチウム複合金属酸化物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、下記式(A)で表されるリチウム複合金属酸化物であって、CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、結晶構造が、六方晶系、空間群R−3mに帰属する構造を含み、該晶系、該空間群に基づいて算出した格子定数aが2.87Å以下であることを特徴とするリチウム複合金属酸化物に関する。
LixNiO2±δ (A)
(ここで、1.05≦x≦1.30であり、−0.1≦δ≦0.1である。)
【0010】
本発明のリチウム複合金属酸化物の結晶構造(晶系)及び空間群は、CuKαを線源とし、かつ回折角2θの測定範囲を10°以上90°以下とする粉末X線回折測定を行い、その結果をもとにリートベルト解析(例えば「粉末X線解析の実際−リートベルト法入門−」2002年2月10日発行、日本分析化学会X線分析研究懇談会編、参照。)を行って結晶構造を解析し、該結晶構造における空間群を決定することで特定したものであり、格子定数は、該結晶構造(晶系)、空間群に基づいて算出した値である。
【0011】
本発明のリチウム複合金属酸化物において、格子定数aが2.87Åを上回ると、該リチウム複合金属酸化物を正極活物質とした正極の容量が十分ではない。より高容量の正極を得るために、格子定数aは、2.84Å以上2.87Å以下であることがより好ましい。
【0012】
また、前記式(A)式において、Li/Niモル比に相当するxが1.05未満であると、得られる非水電解質二次電池は、サイクル特性が十分でなく、xが1.30を超えると、容量が十分でない。サイクル特性を高めるために、xが1.05以上1.25以下であることが好ましく、1.06以上1.10以下であることがより好ましい。
【0013】
また、前記式(A)式の酸素量(2±δ)におけるδは、−0.1以上0.1以下の範囲である。
【0014】
本発明のリチウム複合金属酸化物において、より高容量の正極を得るためには、格子定数cが14.19Å以上14.22Å以下であることが好ましく、格子体積が100.5Å3以上101.5Å3以下であることが好ましい。
【0015】
本発明のリチウム複合金属酸化物において、より高容量の正極を得るためには、格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)が4.94以上4.97以下であることが好ましい。
【0016】
本発明のリチウム複合金属酸化物を製造する方法として、以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含む製造方法を挙げることができる。
(1)Niを含有する水溶液とLiを含有するアルカリとを接触させて共沈物を生成し、共沈物スラリーを得る工程
(2)得られた共沈物スラリーを固液分離して固形分を得る工程
(3)得られた固形分とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を300℃以上550℃以下の温度で保持し、仮焼物を得る工程
(4)得られた仮焼物と、リチウム化合物とを混合して得られる混合物を600℃以上800℃以下の温度で保持する工程
【0017】
以下、各工程について説明する。
【0018】
(1)の工程において、Niを含有する水溶液は、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などの水溶性属塩、塩化物などの水溶性ハロゲン化物などの水溶性化合物を水に溶解させて調整することができる。Niを含有する原料が水に難溶性の酸化物、水酸化物、金属材料である場合には、これらの原料を酸を含有する水溶液に溶解させて、Niを含有する水溶液を得ることができる。
この中でも、Niの硝酸塩を水に溶解して得られる水溶液が好ましい。
【0019】
上記(1)の工程において、アルカリ源としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物、またはアンモニア水などを用いることができ、通常、これらを水に溶解させて、水溶液として用いる。該水溶液におけるアルカリの濃度は、通常0.1〜20M程度、好ましくは0.5〜10M程度である。
また、リチウム複合金属酸化物の結晶純度を高める観点から、アルカリとしては水酸化リチウムの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。
なお、(1)の工程において、アルカリとして水酸化リチウムの無水物および/または水和物を用いた場合、共沈物スラリーにはリチウムが含まれる。
【0020】
工程(1)における接触(液相混合)の方法としては、Niを含有する水溶液にアルカリ水溶液を添加して混合する方法、アルカリ水溶液にNiを含有する水溶液を添加して混合する方法、水にNiを含有する水溶液およびアルカリ水溶液を添加して混合する方法を挙げることができる。これらの混合時には、攪拌を伴うことが好ましい。また、上記の接触の方法の中では、アルカリ水溶液にNiを含有する水溶液を添加して混合する方法は、pH変化を保ちやすい点で好ましく用いることができる。この場合、アルカリ水溶液に、Niを含有する水溶液を添加混合していくに従い、混合された液のpHが低下していく傾向にあるが、このpHが9以上、好ましくは10以上となるように調節しながら、Niを含有する水溶液を添加するのがよい。
【0021】
上記Niを含有する水溶液およびアルカリ水溶液の溶媒に用いられる水は、好ましくは純水および/またはイオン交換水である。また、本発明の効果をそこなわない範囲で、アルコールなど水以外の有機溶媒や、pH調整剤などを含んでいてもよい。
【0022】
次いで、工程(2)として、共沈物スラリーを固液分離して固形分を得る。該共沈物スラリーから固液分離して固形分を得る方法としては、濾過、遠心分離、溶媒留去などが挙げられる。方法が簡便であるため、濾過を用いる方法が好ましく用いられる。
【0023】
乾燥は、通常、熱処理によって行うが、送風乾燥、真空乾燥等によってもよい。また、乾燥の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、大気雰囲気が好ましい。乾燥を熱処理によって行う場合には、通常50〜300℃で行い、好ましくは100〜200℃程度である。
【0024】
次いで、工程(3)として、上記により得られる固形分とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を300以上550℃以下の温度で保持して焼成して第1のリチウム複合金属化合物を得る。
リチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができ、反応性が高いことから水酸化リチウムが好ましく用いられる。
【0025】
工程(3)において、均一な製品を製造しやすいという意味で、焼成温度が300℃以上550℃以下である。
【0026】
次いで、工程(4)において、上記により得られる第1のリチウム複合金属化合物とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を600℃以上800℃以下の温度で保持して焼成して第2のリチウム複合金属化合物を得る。リチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができ、反応性が高いことから水酸化リチウムが好ましく用いられる。
【0027】
工程(4)において得られる第2のリチウム複合金属化合物には、結晶構造が、六方晶系、空間群R−3mに帰属する構造を含み、格子定数aが2.87Å以下であるが含まれる。なお、工程(4)において、焼成温度が600℃を下回ると空間群R−3mに帰属する構造が得られ難くなるため、好ましくなく、800℃を上回ると、得られる非水電解質二次電池は、容量が十分ではないため、好ましくない。
【0028】
次に、上記工程(3)および工程(4)における混合の方法について説明する。リチウム化合物と固形分または第1のリチウム複合金属化合物との混合方法は、乾式混合、湿式混合のいずれであってもよく、簡便性の観点で、好ましくは乾式混合である。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等が挙げられる。
【0029】
工程(3)において、均一な第1のリチウム複合金属化合物を得られやすくなるため、仕込みNi量比に対してリチウム化合物を1.0倍以上2.0倍以下添加することが好ましい。
【0030】
工程(4)において、第2のリチウム複合金属化合物を用いて得られる非水電解質二次電池の容量を高めるため、仕込みNi量比に対してリチウム化合物を1.0倍以上2.0倍以下添加することが好ましい。
【0031】
上記工程(3)または工程(4)において、必要に応じ、焼成後の生成物を水洗処理後、濾過、乾燥工程を追加してもよい。
また、上記工程(3)または工程(4)において、焼成雰囲気としては、酸素雰囲気が好ましい。ここで、酸素雰囲気とは、酸素を50%以上含む雰囲気をいう。
【0032】
本発明のリチウム複合金属酸化物を正極活物質として有する電極は、非水電解質二次電池用正極として好適である。
【0033】
本発明のリチウム複合金属酸化物を用いて、例えば、次のようにして、非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
【0034】
前記正極は、前記正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造する。前記導電材としては炭素材料を用いることができ、炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着性を低下させ、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。通常、正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100重量部に対して5〜20重量部である。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
【0035】
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;が挙げられる。また、これらの2種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、正極集電体との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。
【0036】
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの導電体を用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、および有機溶媒を用いてペースト化し、正極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、正極活物質、導電材、バインダー、有機溶媒からなるペーストを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル等のエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)等のアミド系溶媒;が挙げられる。
【0037】
正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法および静電スプレー法が挙げられる。以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
【0038】
上記の正極を用いて、非水電解質二次電池を製造する方法として、リチウム二次電池を製造する場合を例に挙げて、次に説明する。すなわち、セパレータ、負極および上記の正極を、積層および巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解液を含浸させて製造することができる。
【0039】
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
【0040】
前記負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、および負極材料単独からなる電極を挙げることができる。負極材料としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。また、これらの負極材料を混合して用いてもよい。
【0041】
前記の負極材料につき、以下に例示する。前記炭素材料として、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。前記酸化物として、具体的には、SiO2、SiOなど式SiOx(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;TiO2、TiOなど式TiOx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物;V25、VO2など式VOx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物;Fe34、Fe23、FeOなど式FeOx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物;SnO2、SnOなど式SnOx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;WO3、WO2など一般式WOx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物;Li4Ti512、LiVO2などのリチウムとチタンおよび/またはバナジウムとを含有する複合金属酸化物;を挙げることができる。前記硫化物として、具体的には、Ti23、TiS2、TiSなど式TiSx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物;V34、VS2、VSなど式VSx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物;Fe34、FeS2、FeSなど式FeSx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物;Mo23、MoS2など式MoSx(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物;SnS2、SnSなど式SnSx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物;WS2など式WSx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物;Sb23など式SbSx(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物;Se53、SeS2、SeSなど式SeSx(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物;を挙げることができる。前記窒化物として、具体的には、Li3N、Li3-xxN(ここで、AはNiおよび/またはCoであり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用して用いてもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。また、これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持して、電極として用いられる。
【0042】
また、前記金属として、具体的には、リチウム金属、シリコン金属およびスズ金属が挙げられる。また、前記合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Siなどのリチウム合金;Si−Znなどのシリコン合金;Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金;Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金;を挙げることもできる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる。)。
【0043】
上記負極材料の中で、電位平坦性が高い、平均放電電位が低い、サイクル特性が良いなどの観点からは、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
【0044】
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンおよびポリプロピレンを挙げることができる。
【0045】
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの導電体を挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
【0046】
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、前記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、前記の材料が積層されていてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。
【0047】
セパレータは、好ましくは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する。非水電解質二次電池においては、通常、正極−負極間の短絡等が原因で電池内に異常電流が流れた際に、電流を遮断して、過大電流が流れることを阻止(シャットダウン)する機能を有することが好ましい。ここで、シャットダウンは、通常の使用温度を越えた場合に、セパレータにおける多孔質フィルムの微細孔を閉塞することによりなされる。そしてシャットダウンした後、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持することが好ましい。かかるセパレータとしては、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムが挙げられ、該フィルムをセパレータとして用いることにより、本発明における二次電池の耐熱性をより高めることが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
【0048】
以下、前記の耐熱多孔層と多孔質フィルムとが互いに積層された積層フィルムについて説明する。
【0049】
前記積層フィルムにおいて、耐熱多孔層は、多孔質フィルムよりも耐熱性の高い層であり、該耐熱多孔層は、無機粉末から形成されていてもよいし、耐熱樹脂を含有していてもよい。耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有することにより、塗工などの容易な手法で、耐熱多孔層を形成することができる。耐熱樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホンおよびポリエーテルイミドを挙げることができ、耐熱性をより高めるためには、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホンおよびポリエーテルイミドが好ましく、より好ましくは、ポリアミド、ポリイミドまたはポリアミドイミドである。さらにより好ましくは、芳香族ポリアミド(パラ配向芳香族ポリアミド、メタ配向芳香族ポリアミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の含窒素芳香族重合体であり、とりわけ好ましくは芳香族ポリアミド、製造面で、特に好ましいのは、パラ配向芳香族ポリアミド(以下、パラアラミドということがある。)である。また、耐熱樹脂として、ポリ−4−メチルペンテン−1および環状オレフィン系重合体を挙げることもできる。これらの耐熱樹脂を用いることにより、積層フィルムの耐熱性、すなわち、積層フィルムの熱破膜温度をより高めることができる。これらの耐熱樹脂のうち、含窒素芳香族重合体を用いる場合には、その分子内の極性によるためか、電解液との相性、すなわち、耐熱多孔層における保液性も向上する場合があり、非水電解質二次電池製造時における電解液の含浸の速度も高く、非水電解質二次電池の充放電容量もより高まる。
【0050】
かかる積層フィルムの熱破膜温度は、耐熱樹脂の種類に依存し、使用場面、使用目的に応じ、選択使用される。より具体的には、耐熱樹脂として、上記含窒素芳香族重合体を用いる場合は400℃程度に、また、ポリ−4−メチルペンテン−1を用いる場合は250℃程度に、環状オレフィン系重合体を用いる場合は300℃程度に、夫々、熱破膜温度をコントロールすることができる。また、耐熱多孔層が、無機粉末からなる場合には、熱破膜温度を、例えば、500℃以上にコントロールすることも可能である。
【0051】
上記パラアラミドは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等のパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
【0052】
前記の芳香族ポリイミドとしては、芳香族の二酸無水物とジアミンとの縮重合で製造される全芳香族ポリイミドが好ましい。該二酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。該ジアミンの具体例としては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’−メチレンジアニリン、3,3’−ジアミノベンソフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンおよび1,5−ナフタレンジアミンが挙げられる。また、溶媒に可溶なポリイミドが好適に使用できる。このようなポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合物のポリイミドが挙げられる。
【0053】
前記の芳香族ポリアミドイミドとしては、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるもの、芳香族二酸無水物および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としてはイソフタル酸およびテレフタル酸が挙げられる。また芳香族二酸無水物の具体例としては無水トリメリット酸が挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリレンジイソシアネートおよびm−キシレンジイソシアネートが挙げられる。
【0054】
また、イオン透過性をより高めるためには、耐熱多孔層の厚みは、1〜10μm、さらには1〜5μm、特に1〜4μmという薄い耐熱多孔層であることが好ましい。また、耐熱多孔層は微細孔を有し、その孔のサイズ(直径)は通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、さらに、耐熱多孔層は、後述のフィラーを含有することもできる。
【0055】
前記積層フィルムにおいて、多孔質フィルムは、微細孔を有し、シャットダウン機能を有することが好ましい。この場合、多孔質フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。多孔質フィルムにおける微細孔のサイズは通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。多孔質フィルムの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。非水電解質二次電池において、通常の使用温度を越えた場合には、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムは、それを構成する熱可塑性樹脂の軟化により、微細孔を閉塞することができる。
【0056】
前記熱可塑性樹脂は、非水電解質二次電池における電解液に溶解しないものを選択すればよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂および熱可塑性ポリウレタン樹脂を挙げることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。より低温で軟化してシャットダウンさせるためには、ポリエチレンを含有することが好ましい。ポリエチレンとして、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレンを挙げることができ、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを挙げることもできる。多孔質フィルムの突刺し強度をより高めるためには、該フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、少なくとも超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。また、多孔質フィルムの製造面において、熱可塑性樹脂は、低分子量(重量平均分子量1万以下)のポリオレフィンからなるワックスを含有することが好ましい場合もある。
【0057】
また、積層フィルムにおける多孔質フィルムの厚みは、通常3〜30μmであり、さらに好ましくは3〜25μmである。また、本発明において、積層フィルムの厚みとしては、通常40μm以下、好ましくは、30μm以下である。また、耐熱多孔層の厚みをA(μm)、多孔質フィルムの厚みをB(μm)としたときには、A/Bの値が、0.1以上1以下であることが好ましい。
【0058】
また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、耐熱多孔層は、1種以上のフィラーを含有していてもよい。フィラーは、その材質として、有機粉末、無機粉末またはこれらの混合物のいずれから選ばれるものであってもよい。フィラーを構成する粒子は、その平均粒子径が、0.01〜1μm以下であることが好ましい。
【0059】
前記有機粉末としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独または2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリメタクリレート;などの有機物からなる粉末が挙げられる。該有機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機粉末の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
【0060】
前記無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉末が挙げられ、これらの中でも、導電性の低い無機物からなる粉末が好ましく用いられる。具体的に例示すると、アルミナ、シリカ、二酸化チタンまたは炭酸カルシウム等からなる粉末が挙げられる。該無機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機粉末の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。ここで、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であることがより好ましく、さらにより好ましいのは、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であり、その一部または全部が略球状のアルミナ粒子である実施形態である。因みに、耐熱多孔層が、無機粉末から形成される場合には、上記例示の無機粉末を用いればよく、必要に応じてバインダーと混ぜて用いればよい。
【0061】
耐熱多孔層が耐熱樹脂を含有する場合のフィラーの含有量としては、フィラーの材質の比重にもよるが、例えば、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子である場合には、耐熱多孔層の総重量を100重量部としたとき、フィラーの重量は、通常5〜95重量部であり、20〜95重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜90重量部である。これらの範囲は、フィラーの材質の比重により、適宜設定できる。
【0062】
フィラーの形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等の形状が挙げられ、いずれの粒子も用いることができるが、均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。略球状粒子としては、粒子のアスペクト比(粒子の長径/粒子の短径)が1以上1.5以下である粒子が挙げられる。粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡写真により測定することができる。
【0063】
本発明において、セパレータは、イオン透過性との観点から、ガーレー法による透気度において、透気度が50〜300秒/100ccであることが好ましく、50〜200秒/100ccであることがさらに好ましい。また、セパレータの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
【0064】
二次電池において、電解液は、通常、電解質および有機溶媒を含有する。電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C49SO3)、LiC(SO2CF33、Li210Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、通常、これらの中でもフッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32およびLiC(SO2CF33からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いる。
【0065】
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの2種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒および環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
【0066】
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機系固体電解質を用いてもよい。これら固体電解質を用いて、安全性をより高めることができることがある。また、本発明の非水電解質二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
【実施例】
【0067】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、リチウム複合金属酸化物(正極活物質)の評価、充放電試験およびサイクル試験は、次のようにして行った。
【0068】
(1)充放電試験用正極の作製
正極活物質と導電材(アセチレンブラックと黒鉛とを9:1(重量比)で混合したもの)との混合物に、バインダーとしてPVdF(N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。)を、活物質:導電材:バインダー(PVdF)=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、正極を得た。
【0069】
(2)充放電試験用非水電解質二次電池(コインセル)の作製
(1)により得られた正極を用いて、コインセル(宝泉株式会社製)の下蓋にAl箔面を下に向けて正極を置き、その上に後述する積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み16μm))を置き、ここに電解液(エチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。))を300μl注入した。次に、負極として金属リチウムを用いて、前記金属リチウムを積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめて非水電解質二次電池(コイン型電池R2032)を作製した。
なお、電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。また、上記積層フィルムセパレータの製造方法は後述する。
【0070】
(3)充放電試験
上記のコイン型電池を用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施した。充放電試験における0.2C放電容量を、それぞれ以下のようにして求めた。
【0071】
<充放電試験>
試験温度25℃
充電最大電圧4.8V、充電時間10時間、充電電流0.3mA/cm2
放電最小電圧1.5V、放電時間10時間、放電電流0.3mA/cm2
【0072】
(4)サイクル試験用正極(錠剤電極)の作製
正極活物質を120℃で12時間乾燥した。該正極活物質とアセチレンブラックとを5mgずつ秤量し、めのう乳鉢上で混合し、さらに、PTFE0.5mgを加え、錠剤状に成型することで、錠剤型成型体を得た。該錠剤型成型体をSUS板上に載せ、Alメッシュを重ね、SUS板で挟み、錠剤型成型体とAlメッシュとを圧着させ、120℃で12時間乾燥し、錠剤電極を得た。
(5)サイクル試験用非水電解質二次電池の作製
グローブボックス内にて、HSフラットセル(宝泉株式会社製)の下部中央に錠剤電極を置き、電解液(LiPF6/EC+DMC(5:5))を0.1ml滴下した。セパレータ(2枚)とガラス製濾紙を該電解液に浸漬後に、前記錠剤電極上に載せ、金属リチウム箔を載せた。そして、凸型の押さえを載せ、バネを入れ、上蓋を載せ、蝶ねじで締め付けることにより電池を作製した。
(6)サイクル試験
上記の電池を用いて、以下に示す条件でサイクル試験を実施した。サイクル試験における充電容量、放電容量およびサイクル維持率を、それぞれ以下のようにして求めた。
【0073】
<サイクル試験>
試験温度30℃
充電最大電圧4.8V、充電電流0.1mA/cm2
放電最小電圧2.2V、放電電流0.1mA/cm2
初回充放電効率(%)=1サイクル目の放電容量(mAh/g)/1サイクル目の充電容量(mAh/g)
サイクル維持率(%)=50サイクル目の放電容量(mAh/g)/1サイクル目の放電容量(mAh/g)
【0074】
(7)リチウム複合金属酸化物の評価
1.リチウム複合金属酸化物の組成分析
粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析法(SII製SPS3000)を用いて測定した。
【0075】
2.リチウム複合金属酸化物のBET比表面積の測定
測定する粉末1gを窒素雰囲気中150℃、15分間乾燥した後、マイクロメリティックス製フローソーブII2300を用いて測定した。
【0076】
3.リチウム複合酸化物のX線回折法による結晶構造(晶系及び空間群)の評価、格子定数の算出
試料粉末をガラス試料板に充填し、リガク製回転陰極型X線回折装置RU−200Bを用いて、以下の測定条件にて測定した。
測定条件
線源:CuKα
電圧:40kV
電流:200mA
測定範囲(2θ):10°〜87°

得られたX線回折プロファイルから、試料の結晶構造(晶系及び空間群)を特定し、格子定数を算出した。
【0077】
比較例1
1.リチウム複合金属酸化物の製造と評価
水酸化リチウム一水和物と水酸化ニッケルとをLi:Niのモル比が1.02:1となるように秤量し、乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物を焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中700℃で20時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成物F1を得て、これを粉砕し、該焼成物を焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中750℃で20時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成物F2を得て、これを粉砕して粉末状のリチウム複合金属酸化物G1を得た。前記G1の粉末X線回折測定を行い、解析を行ったところ、リチウム複合金属酸化物G1は、六方晶、空間群R−3mであることが分かった。X線回折測定にて、得られたピークを六方晶、空間群R−3mに基づいて解析し、格子定数を算出した。その結果、格子定数aは2.877Å、格子定数cは14.196Å、格子体積は101.7Å3、格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)は、4.934であった。結果を表1にまとめて示す。
【0078】
前記G1の組成分析を行ったところ、Li:Niのモル比は、1.02:1.00であり、BET比表面積は0.9m2/gであった。結果を表1にまとめて示す。
【0079】
2.非水電解質二次電池の充放電試験
前記G1を用いてコイン型電池を作製し、充放電試験を行ったところ、0.2Cにおける放電容量は、251mAh/gであった。
3.非水電解質二次電池のサイクル試験
前記G1を用いて電池を作製し、サイクル試験を行ったところ、1サイクル目の充電容量は、240mAh/gであり、1サイクル目の放電容量は、197mAh/gであり、初回充放電効率は、82%であった。また、50サイクル目の放電容量は、121mAh/gであり、サイクル維持率は、60%と十分ではなかった。
【0080】
実施例1
1.遷移金属複合水酸化物の製造と評価
Niの水溶性塩として硝酸ニッケル(II)を72.7g(0.25molに相当)秤量し、純水500mlに溶解してNiを含有する水溶液を得た。また、無水水酸化リチウムを60g秤量し、純水1000mlに溶解して、アルカリ金属水溶液を得た。次いで、反応槽内に前記アルカリ金属水溶液を投入し、さらに、送液ポンプを用いて、Niを含有する水溶液を、1時間あたり250mlの速度で投入することで、共沈を行い、沈殿物を生成させ、反応槽内に空気を導入しながら、攪拌翼により24時間攪拌し、共沈物スラリーを得た。また、得られた共沈物スラリーについて、固液分離を行い、共沈物Q1を得た。
【0081】
2.リチウム複合金属酸化物の製造と評価
前記Q1と水酸化リチウム一水和物とを仕込みNi量(mol)に対するLi量(mol)が1.0倍となるように秤量し、蒸留水150mlに投入し、攪拌・分散し、100℃で6時間乾燥して、混合物B1を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中400℃で20時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、粉砕し、蒸留水で洗浄を行い、ろ過し、100℃で12時間乾燥して、リチウム複合水酸化物C1を得た。該リチウム複合水酸化物と水酸化リチウム一水和物とを仕込みNi量(mol)に対するLi量(mol)が2.0倍となるように秤量し、蒸留水200mlに投入し、攪拌により溶解後、該焼成物を入れ、分散し、100℃で12時間乾燥して、混合物D1を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中650℃で20時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、粉砕し、蒸留水で洗浄を行い、ろ過し、100℃で6時間乾燥して、粉末状のリチウム複合金属酸化物E1を得た。前記E1の粉末X線回折測定を行い、解析を行ったところ、リチウム複合金属酸化物E1は、六方晶、空間群R−3mであることが分かった。X線回折測定にて、得られたピークを六方晶、空間群R−3mに基づいて解析し、格子定数を算出した。その結果、格子定数aは2.863Å、格子定数cは14.202Å、格子体積は100.8Å3、格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)は、4.960であった。結果を表1にまとめて示す。
【0082】
前記E1の組成分析を行ったところ、Li:Niのモル比は、1.07:1.00であり、BET比表面積は4.4m2/gであった。結果を表1にまとめて示す。
【0083】
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記E1を用いてコイン型電池を作製し、充放電試験を行ったところ、0.2Cにおける放電容量は、303mAh/gと高かった。
4.非水電解質二次電池のサイクル試験
前記E1を用いて電池を作製し、サイクル試験を行ったところ、1サイクル目の充電容量は、211mAh/gであり、1サイクル目の放電容量は、193mAh/gであり、初回充放電効率は、91%と高かった。また、50サイクル目の放電容量は、154mAh/gであり、サイクル維持率は、80%であり、比較例1のサイクル維持率に比して、高かった。
【0084】
実施例2
1.リチウム複合金属酸化物の製造
水酸化リチウム一水和物を仕込みNi量(mol)に対するLi量(mol)が2.0倍となるように秤量し、蒸留水200mlに投入し、攪拌により溶解後、実施例1と同様の操作で得た共沈物Q2を入れ、分散し、100℃で12時間乾燥して、混合物B2を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中550℃で20時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、粉砕し、蒸留水で洗浄を行い、ろ過し、100℃で6時間乾燥して、粉末状のリチウム複合金属酸化物C2を得た。前記C2の粉末X線回折測定を行い、解析を行ったところ、リチウム複合金属酸化物C2は、六方晶、空間群R−3mであることが分かった。X線回折測定にて、得られたピークを六方晶、空間群R−3mに基づいて解析し、格子定数を算出した。その結果、格子定数aは2.865Å、格子定数cは14.199Å、格子体積は101.0Å3、格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)は、4.955であった。結果を表1にまとめて示す。
【0085】
前記C2の組成分析を行ったところ、Li:Niのモル比は、1.22:1.00であり、BET比表面積は10.4m2/gであった。結果を表1にまとめて示す。
【0086】
2.非水電解質二次電池の充放電試験
前記C2を用いてコイン型電池を作製し、充放電試験を行ったところ、0.2Cにおける放電容量は、349mAh/gと高かった。
【0087】
実施例3
1.リチウム複合金属酸化物の製造
焼成温度を600℃とした以外は、実施例2と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物C3を得た。前記C3の粉末X線回折測定を行い、解析を行ったところ、リチウム複合金属酸化物C3は、六方晶、空間群R−3mであることが分かった。X線回折測定にて、得られたピークを六方晶、空間群R−3mに基づいて解析し、格子定数を算出した。その結果、格子定数aは2.866Å、格子定数cは14.202Å、格子体積は101.1Å3、格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)は、4.955であった。結果を表1にまとめて示す。
【0088】
前記C3の組成分析を行ったところ、Li:Niのモル比は、1.21:1.00であり、BET比表面積は3.9m2/gであった。結果を表1にまとめて示す。
【0089】
2.非水電解質二次電池の充放電試験
前記C3を用いてコイン型電池を作製し、充放電試験を行ったところ、0.2Cにおける放電容量は、322mAh/gと高かった。
【0090】
【表1】

【0091】
(参考例)
積層フィルムセパレータの製造例
(1)スラリー状塗工液の製造
NMP4200gに塩化カルシウム272.7gを溶解した後、パラフェニレンジアミン132.9gを添加して完全に溶解させた。得られた溶液に、テレフタル酸ジクロライド243.3gを徐々に添加して重合し、パラアラミドを得て、さらにNMPで希釈して、濃度2.0重量%のパラアラミド溶液(A)を得た。得られたパラアラミド溶液100gに、アルミナ粉末(a)2g(日本アエロジル社製、アルミナC、平均粒子径0.02μm)とアルミナ粉末(b)2g(住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒子径0.3μm)とをフィラーとして計4g添加して混合し、ナノマイザーで3回処理し、さらに1000メッシュの金網で濾過、減圧下で脱泡して、スラリー状塗工液(B)を製造した。パラアラミドおよびアルミナ粉末の合計重量に対するアルミナ粉末(フィラー)の重量は、67重量%となる。
【0092】
(2)積層フィルムの製造および評価
多孔質フィルムとしては、ポリエチレン製多孔質膜(膜厚12μm、透気度140秒/100cc、平均孔径0.1μm、空孔率50%)を用いた。厚み100μmのPETフィルムの上に上記ポリエチレン製多孔質膜を固定し、テスター産業株式会社製バーコーターにより、該多孔質膜の上にスラリー状塗工液(B)を塗工した。PETフィルム上の塗工された該多孔質膜を一体にしたまま、貧溶媒である水中に浸漬させ、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)を析出させた後、溶媒を乾燥させて、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層された積層フィルム1を得た。積層フィルム1の厚みは16μmであり、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)の厚みは4μmであった。積層フィルム1の透気度は180秒/100cc、空孔率は50%であった。積層フィルム1における耐熱多孔層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察をしたところ、0.03〜0.06μm程度の比較的小さな微細孔と0.1〜1μm程度の比較的大きな微細孔とを有することがわかった。なお、積層フィルムの評価は以下の方法で行った。
【0093】
<積層フィルムの評価>
(A)厚み測定
積層フィルムの厚み、多孔質フィルムの厚みは、JIS規格(K7130−1992)に従い、測定した。また、耐熱多孔層の厚みとしては、積層フィルムの厚みから多孔質フィルムの厚みを差し引いた値を用いた。
(B)ガーレー法による透気度の測定
積層フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいて、株式会社安田精機製作所製のデジタルタイマー式ガーレー式デンソメータで測定した。
(C)空孔率
得られた積層フィルムのサンプルを一辺の長さ10cmの正方形に切り取り、重量W(g)と厚みD(cm)を測定した。サンプル中のそれぞれの層の重量(Wi(g))(iは1からnの整数)を求め、Wiとそれぞれの層の材質の真比重(真比重i(g/cm3))とから、それぞれの層の体積を求めて、次式より空孔率(体積%)を求めた。
空孔率(体積%)=100×{1−(W1/真比重1+W2/真比重2+・・+Wn/真比重n)/(10×10×D)}
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、従来のリチウム二次電池に比し、高い容量を示す非水電解質二次電池を得ることができ、該二次電池は、特に、高い容量を要求される用途、すなわち自動車用や電力貯蔵用の非水電解質二次電池に極めて有用となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)で表されるリチウム複合金属酸化物であって、
CuKα線を使用した粉末X線回折測定において、結晶構造が、六方晶系、空間群R−3mに帰属する構造を含み、該晶系、該空間群に基づいて算出した格子定数aが2.87Å以下であることを特徴とするリチウム複合金属酸化物。
LixNiO2±δ (A)
(ここで、1.05≦x≦1.30であり、−0.1≦δ≦0.1である。)
【請求項2】
格子定数cが14.19Å以上14.22Å以下の範囲にあり、格子体積が100.5Å3以上101.5Å3以下の範囲にある請求項1に記載のリチウム複合金属酸化物。
【請求項3】
格子定数cを格子定数aで除した値(c/a)が4.94以上4.97以下である請求項1または2に記載のリチウム複合金属酸化物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物を、正極活物質として含有してなることを特徴とする正極。
【請求項5】
請求項4記載の正極を有してなることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項6】
以下の(1)、(2)、(3)および(4)の工程をこの順で含むことを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
(1)Niを含有する水溶液とLiを含有するアルカリとを接触させて共沈物を生成し、共沈物スラリーを得る工程
(2)得られた共沈物スラリーを固液分離して固形分を得る工程
(3)得られた固形分とリチウム化合物とを混合して得られる混合物を300℃以上550℃以下の温度で保持して焼成して、第1のリチウム複合金属酸化物を得る工程
(4)得られた第1のリチウム複合金属酸化物と、リチウム化合物とを混合して得られる混合物を600℃以上800℃以下の温度で保持して焼成して第2のリチウム複合金属酸化物を得る工程
【請求項7】
工程(3)において、仕込みNi量に対して、Li換算で1.0モル倍以上2.0モル倍以下のリチウム化合物を添加する請求項6に記載のリチウム複合金属酸化物の製造方法。
【請求項8】
工程(4)において、仕込みNi量に対して、Li換算で1.0モル倍以上2.0モル倍以下のリチウム化合物を添加する請求項6または7に記載の製造方法。

【公開番号】特開2013−56801(P2013−56801A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196101(P2011−196101)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】