説明

リニアモータ

【課題】本発明は、信頼性の向上を図るようにしたリニアモータを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のリニアモータ8では、ベースヨーク41には、第1のマグネット群48及び第2のマグネット群49の延在方向に対して略直交する方向に突出する位置決め用突出部41a,41cが設けられ、突出部41a,41cの先端面41b,41dがサイドヨークの外面から突出しているので、ベースヨーク41と突出部41a,41cの先端面41b,41dとをヨーク収納部33の壁面に突き当てると、第1のサイドヨーク42及び第2のサイドヨーク43をヨーク収納部33に対して非接触な状態にすることができる。これにより、コイル50cの設計上の移動方向とコイル50cに作用するローレンツ力の向きとの誤差が大きくなることが抑制されるので、コイル50cのスムーズな移動が確保され、リニアモータ8の信頼性の向上が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ装置の駆動部等に利用されるリニアモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2003−88088号公報がある。この公報に記載されたリニアモータは、例えば半導体素子の表面に回路パターンを描画するための電子ビーム描画システムに組み込まれ、電子ビームを照射する電子銃に対して半導体素子の位置を調整するステージ装置を駆動させるものである。このリニアモータは、ステージ装置のベースに固定されると共に、互いに対向する第1の側壁部及び第2の側壁部と第1の側壁部及び第2の側壁部を連結する連結部とからなるコの字状のヨークと、第1の側壁部の内面に固定された一列の第1の永久磁石群と、第1の永久磁石群に対向するように第2の側壁部の内面に固定された一列の第2の永久磁石群と、第1の永久磁石群と第2の永久磁石群との間に配置されると共に、ベース上を移動するステージに連結されたコイルユニットと、ヨークの周囲に設けられ、第1及び第2の永久磁石群とコイルユニットとから生じる磁束が外部へ漏れることを防止するためのシールド体とを備えている。ヨークが固定されるステージ装置のベースは、上方に開口した断面コの字形状をなしており、コの字状のヨークは、第1の側壁部の角部がベースの内側の隅部に突き当てられた状態でベースに固定されている。
【特許文献1】特開2003−88088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述した従来のリニアモータに設けられた第1の永久磁石群と第2の永久磁石群とは、N極とS極とが交互に配列されている。また、第1の永久磁石群と第2の永久磁石群とは、永久磁石のN極とS極とが対向するように配置されている。そして、第1の永久磁石群と第2の永久磁石群との間に吸引力が生じ、この吸引力によって、第1の側壁部及び第2の側壁部はそれぞれ内側に倒れこむ方向に応力を受ける。そして、ベースの内側の隅部に第1の側壁部の角部を突き当て、ベースに対してヨークの位置決めを行うにあたり、ベースに突き当てられた第1の側壁部の倒れこみ変形量と比べて、第2の側壁部の倒れこみ変形量が大きくなるため、コイルユニットを中心とした第1の永久磁石群と第2の永久磁石群との対称性が崩れてしまう。コイルユニットを中心とした第1の永久磁石群と第2の永久磁石群との対称性が崩れると、コイルユニットの設計上の移動方向とコイルユニットに作用するローレンツ力の向きとの誤差が大きくなるため、コイルユニットのスムーズな移動が妨げられ、リニアモータの信頼性が低下するという問題があった。
【0004】
本発明は、信頼性の向上を図るようにしたリニアモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のリニアモータは、一列の第1のマグネット群と、第1のマグネット群に対向して配列された一列の第2のマグネット群と、第1のマグネット群と第2のマグネット群とを支持するヨークと、第1のマグネット群と第2のマグネット群との間に配置されたコイルと、を有するリニアモータにおいて、ヨークは、第1のマグネット群が固定された第1のサイドヨークと、第2のマグネット群が固定された第2のサイドヨークと、第1のサイドヨークと第2のサイドヨークとが固定されたベースヨークとを有し、ベースヨークには、第1及び第2のマグネット群の延在方向に対して略直交する方向に突出する位置決め用突出部が設けられ、突出部の先端面は、第1のサイドヨーク及び第2のサイドヨークのうち少なくとも一方の外面から突出していることを特徴とする。
【0006】
本発明のリニアモータによれば、例えばステージ装置のヨーク収納部にヨークを位置決め固定するにあたって、ベースヨークと突出部の先端面とをヨーク収納部の壁面に突き当てると、第1のサイドヨーク及び第2のサイドヨークをヨーク収納部に対して非接触な状態にすることができる。その結果、第1のマグネット群と第2のマグネット群との間に生じる吸引力によって、第1のサイドヨークと第2のサイドヨークとが内側に倒れ込むように変形しても、第1のサイドヨーク及び第2のサイドヨークの変形量はほぼ同じになるので、第1のマグネット群と第2のマグネット群との対称性を保つことができ、コイルと第1のマグネット群との間隔と、コイルと第2のマグネット群との間隔とを等しい状態に保つことができる。これにより、コイルの設計上の移動方向とコイルに作用するローレンツ力の向きとの誤差が大きくなることが抑制されるので、コイルのスムーズな移動が確保され、リニアモータの信頼性の向上が図られる。さらに、第1のサイドヨークと第2のサイドヨークとが内側に倒れこみ変形しても、ベースヨークと突出部の先端面とによる突き当て精度にはほとんど影響がないので、コイルと第1のマグネット群との間隔と、コイルと第2のマグネット群との間隔とを等しい状態に保つことができる。このことは、結果としてリニアモータの信頼性の向上に寄与する。
【0007】
また、突出部は、第1のサイドヨーク及び第2のサイドヨークのうち少なくとも一方を貫通して、サイドヨークの外面から突出部の先端面が突出していると好適である。このような構成により、ベースヨークの突出部をサイドヨークの下方や側方から突出させる場合と比べて、ベースヨークの小型化すなわちリニアモータの小型化が図られる。
【0008】
また、位置決め用突出部は、ベースヨークと一体に設けられていると好適である。このような構成によれば、突出部の先端面とベースヨークとを高精度な位置関係にすることができるので、ヨーク収納部に対するヨークの位置決めを精度良く行うことができる。また、リニアモータの構造の簡素化と共に、リニアモータの組立て作業の迅速化が図られる。
【0009】
また、位置決め用突出部は、ベースヨークと別体に設けられていると好適である。このような構成によれば、突出部の長さや材質の選択が容易であり、このことは、リニアモータの汎用性の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リニアモータの信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るリニアモータを備えたXYステージ装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面に示すように、X軸及びY軸は水平面上で互いに90度をなし、鉛直方向をZ軸方向と定め、以下必要な場合にX軸、Y軸、Z軸を用いる。
【0012】
[第1の実施形態]
図1に示すように、ステージ装置1は、ベース2のX軸方向における両側に配置された枠部3と、ベース2上に並設されてY軸方向に延在する一対の石定盤5と、石定盤5に沿ってY軸方向へ移動する可動ステージ7と、可動ステージ7の駆動部として機能する一対のリニアモータ8と、を備えている。
【0013】
図1及び図2に示すように、リニアモータ8は、可動ステージ7のX軸方向における外側でY軸方向に延在するヨーク40と、可動ステージ7に連結されたコイルユニット50とから構成されている。
【0014】
リニアモータ8の固定子として機能するヨーク40は、枠部3の上端に形成されたヨーク収納部33に配置されている。ヨーク収納部33は、XY平面と平行な底面33aを有する底部33bと、X軸方向における外側で底面33aからZ軸方向に突出する側壁33cとからなる。ヨーク収納部33は、底面33aと側壁33cの側面33dとによって断面L字状に構成されている。
【0015】
図2〜図5に示すように、ヨーク40は、ボルト45によってヨーク収納部33の側壁33cに固定されるベースヨーク41と、Z軸方向におけるベースヨーク41の一方の端部からX軸方向に突出する板状の第1のサイドヨーク42と、第1のサイドヨークと対向するようにZ軸方向におけるベースヨーク41の他方の端部からX軸方向に突出する板状の第2のサイドヨーク43とからなる。ヨーク40は、ベースヨーク41と、第1のサイドヨーク42と、第2のサイドヨーク43とによって略コ字形状に構成されている。
【0016】
第1のサイドヨーク42のX軸方向における一方の端部は、ボルト46によってベースヨーク41の側面に固定されている。第1のサイドヨーク42の他方の端部側の内面には、Y軸方向でN極とS極とが交互になるようにマグネットが配列された一列の第1のマグネット群48が固定されている。同様に、第2のサイドヨーク43のX軸方向における一方の端部は、ボルト47によってベースヨーク41の側面に固定されている。第2のサイドヨーク43の他方の端部側の内面には、第1のマグネット群48と対向するようにY軸方向でN極とS極とが交互になるようにマグネットが配列された一列の第2のマグネット群49が固定されている。
【0017】
第1のマグネット群48と第2のマグネット群49とは、マグネットのN極とS極とが対向するように配置されており、第1のマグネット群48と第2のマグネット群49との間には、互いに引き合う吸引力が生じている。
【0018】
リニアモータ8の可動子として機能するコイルユニット50は、Y軸方向に連結された複数のコイル50cがケースで覆われてなり、X軸方向における両端に拡張部50a,50bを有する板状の部材である。コイルユニット50の一方の拡張部50aは、Y軸スライダ13の上壁部13aから上方へ向かって突出する支持壁部13dの上端部に連結され、他方の拡張部50bは、ヨーク40内に収容されている。拡張部50bの先端とベースヨーク41の内面41fとの間には、微小な隙間が形成されている。
【0019】
コイルユニット50は、第1のマグネット群48とコイルユニット50との間隔S1と、第2のマグネット群49とコイルユニット50との間隔S2とが等しい状態で配置されている。コイルユニット50のコイル50cは、第1のマグネット群48と第2のマグネット群49とのN極とS極のパターンにあわせて磁極が変化するように通電され、第1のマグネット群48と第2のマグネット群49との間でそれぞれ反発力を発生させることで、可動ステージ7を移動させる。
【0020】
ベースヨーク41には、Z軸方向における両側から突出する断面矩形状の突出部41a,41cが形成されている。突出部41aは、第1のサイドヨーク42側に複数形成され、これらの突出部41aは、それぞれY軸方向で互いに離間している。突出部41aは、第1のサイドヨーク42のX軸方向における一方の端部に形成されたコの字状の切り欠き42bに挿通され、突出部41aの先端面41bは、第1のサイドヨーク42の外面42aから突出している。同様に、突出部41cは、第2のサイドヨーク29側に複数形成され、これらの突出部41cは、それぞれY軸方向で互いに離間している。突出部41cは、第2のサイドヨーク43のX軸方向における一方の端部に形成されたコの字状の切り欠き43bに挿通され、突出部41cの先端面41dは、第2のサイドヨーク43の外面43aから突出している。
【0021】
以上の構成を有するリニアモータ7によれば、ヨーク収納部33にヨーク40を位置決め固定するにあたり、ベースヨーク41の外面41gをヨーク収納部33の側面33dに突き当て、突出部41aの先端面41bをヨーク収納部33の底面33aに突き当てることで、ヨーク収納部33の底面33aと第1のサイドヨーク42との間に隙間S3を形成することができる。その結果、第1のマグネット群48と第2のマグネット群49との間に生じる吸引力によって、第1のサイドヨーク42と第2のサイドヨーク43とが内側に倒れ込むように変形しても、第1のサイドヨーク42及び第2のサイドヨーク43の変形量はほぼ同じになるので、第1のマグネット群48と第2のマグネット群49との対称性を保つことができ、コイルユニット50と第1のマグネット群48との間隔S1と、コイルユニット50と第2のマグネット群49との間隔S2とを等しい状態に保つことができる。これにより、コイルユニット50の設計上の移動方向(Y軸方向)とコイルユニット50のコイル50cに作用するローレンツ力の向きとの誤差が大きくなることが抑制されるので、コイルユニット50のスムーズな移動が確保され、リニアモータ8の信頼性の向上が図られる。
【0022】
さらに、第1のサイドヨーク42と第2のサイドヨーク43とが内側に倒れこみ変形しても、ベースヨーク41と突出部41aの先端面41bとによる突き当て精度にはほとんど影響がないので、コイルユニット50と第1のマグネット群48との間隔S1と、コイルユニット50と第2のマグネット群49との間隔S2とを等しい状態に保つことができる。このことは、結果としてリニアモータ8の信頼性の向上に寄与する。
【0023】
また、突出部41a,41cは、ベースヨーク41と一体に設けられているので、突出部41a,41cの先端面41b,41dとベースヨーク41とを高精度な位置関係にすることができる。従って、ヨーク収納部33に対するヨーク40の位置決めを精度良く行うことが可能となる。また、リニアモータ8の構造の簡素化と共に、リニアモータ8の組立て作業の迅速化が図られる。さらに、突出部41a,41cは、それぞれ第1のサイドヨーク42及び第2のサイドヨーク43を貫通して設けられているので、ベースヨーク41の突出部をサイドヨークの下方から突出させる場合と比べて、X軸方向におけるベースヨーク41の小型化すなわちリニアモータ8の小型化が図られる。
【0024】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るリニアモータは、第1の実施形態と比較してヨークの構成が相違している。
【0025】
図6〜図9に示すように、ヨーク60は、ボルト45によってヨーク収納部33の側壁33cに固定された厚板状のベースヨーク61と、ボルト46によってベースヨーク61の一方の側面に固定された板状の第1のサイドヨーク62と、ボルト47によってベースヨーク61の他方の側面に固定された板状の第2のサイドヨーク63とからなる。ヨーク60は、ベースヨーク61と、第1のサイドヨーク62と、第2のサイドヨーク63とにより略コ字形状に形成されている。
【0026】
第1のサイドヨーク62の遊端側の内面には、一列の第1のマグネット群48が固定されている。第2のサイドヨーク63の遊端側の内面には、第1のマグネット群48に対向するように一列の第2のマグネット群48が固定されている。
【0027】
ベースヨーク61の第1のサイドヨーク62側の側面には、複数の打ち込みピン(突出部)64の先端部64cがそれぞれ圧入される複数の連結孔61aが設けられている。これらの連結孔61aは、Y軸方向で互いに離間するように配置されている。同様に、ベースヨーク61の第2のサイドヨーク63側の側面には、複数の打ち込みピン(突出部)65の先端部65cがそれぞれ圧入される複数の連結孔61bが設けられている。これらの連結孔61bは、Y軸方向で互いに離間するように配置されている。
【0028】
打ち込みピン64は、ヨーク収納部33に突き当てられる突き当て面(先端面)64dを有する円板状の頭部64aと、頭部64aから突出する円柱状の本体部64bと、本体部64bの先端面から突出する円柱状の先端部64cとからなる。打ち込みピン64の先端部64cは、本体部64bより径の小さな円柱形状をなしており、本体部64bの先端面は、突き当て面64dと平行になるように形成されている。打ち込みピン65も、同様の構造をなしている。
【0029】
第1のサイドヨーク62には、Z軸方向に打ち込みピン64の本体部64bが挿通される複数の貫通孔62bが形成されている。これらの貫通孔62bは、ベースヨークの61の連結孔61aに対応する位置に設けられている。貫通孔62bの内周面と打ち込みピン64の本体部64aの外周面との間には、隙間S4が形成されている。同様に、第2のサイドヨーク63には、Z軸方向に打ち込みピン65の本体部65bが挿通される複数の貫通孔63bが形成されている。これらの貫通孔63bは、ベースヨークの61の連結孔61bに対応する位置に設けられている。貫通孔63bの内周面と打ち込みピン65の本体部65aの外周面との間には、隙間S5が形成されている。
【0030】
打ち込みピン64は、第1のサイドヨーク62の貫通孔62bを通じて先端部64cがベースヨーク61の連結孔61aに圧入され、本体部64bの先端面がベースヨーク61の側面に当接されることで、ベースヨーク61と打ち込みピン64の突き当て面64dとの位置合わせがなされている。また、打ち込みピン64の頭部64aの突き当て面64dは、第1のサイドヨーク62の外面62aから突出している。同様に、打ち込みピン65は、第2のサイドヨーク63の貫通孔63bを通じて先端部65cがベースヨークの61の連結孔61bに圧入され、本体部65bの先端面がベースヨーク61の側面に当接されることで、ベースヨーク61と打ち込みピン65の突き当て面65dとの位置合わせがなされる。また、打ち込みピン65の頭部65aの突き当て面65dは、第2のサイドヨーク63の外面63aから突出している。
【0031】
以上の構成を有するリニアモータによれば、ヨーク収納部33にヨーク60を位置決め固定するにあたり、ベースヨーク61の外面61cをヨーク収納部33の側面33dに突き当て、打ち込みピン64の頭部64aの突き当て面64dをヨーク収納部33の底面33aに突き当てることで、ヨーク収納部33の底面33aと第1のサイドヨークとの間に隙間S6を形成することができる。従って、第1のマグネット群48と第2のマグネット群49との間に生じる吸引力によって、第1のサイドヨーク42と第2のサイドヨーク43とが内側に倒れ込むように変形しても、コイルユニット50と第1のマグネット群48との間隔S1と、コイルユニット50と第2のマグネット群49との間隔S2とを等しい状態に保つことができ、コイルユニット50の設計上の移動方向(Y軸方向)とコイルユニット50のコイル50cに作用するローレンツ力の向きとの誤差が大きくなることが抑制されるので、コイルユニット50のスムーズな移動が確保され、リニアモータの信頼性の向上が図られる。
【0032】
さらに、貫通孔62bの内周面と打ち込みピン64の本体部64aの外周面との間には、隙間S4が形成されているので、第1のサイドヨーク62と第2のサイドヨーク63とが内側に倒れこみ変形しても、ベースヨーク61と打ち込みピン64の突き当て面64dとによる突き当て精度にはほとんど影響がない。従って、コイルユニット50と第1のマグネット群48との間隔S1と、コイルユニット50と第2のマグネット群49との間隔S2とを等しい状態に保つことができる。このことは、結果としてリニアモータの信頼性の向上に寄与する。
【0033】
また、打ち込みピン64,65は、ベースヨーク61と別体に設けられているので、打ち込みピン64,65の長さや材質の選択が容易である。このことは、リニアモータの仕様に応じて、打ち込みピン64,65を磁性体又は非磁性体で構成したり、第1のサイドヨーク62とヨーク収納部33の底面33aとの隙間S6を調整したりすることを容易にし、リニアモータの汎用性の向上に寄与する。
【0034】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、突出部41a,41bは、第1のサイドヨーク42及び第2のサイドヨーク43を貫通して突出するものに限られず、サイドヨークの下方や側方からZ軸方向に突出する態様であってもよい。
【0035】
また、突出部41a,41bは、ベースヨーク41の両側ではなく、片側のみに設けてもよい。同様に、打ち込みピン64,65も片側のみに設けてもよい。
【0036】
また、打ち込みピン64,65の形状は、略円柱形状に限られず、四角柱形状であっても多角柱形状であってもよく、上述した打ち込みピンとしての機能を有する形状であればよい。また、ベースヨーク41,62は、Z軸方向でベースヨークに挿通されるボルトによって、ヨーク収納部33の底面33aに固定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るリニアモータを備えたXYステージ装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】リニアモータを示す断面図である。
【図3】リニアモータのヨークを示す斜視図である。
【図4】リニアモータのヨークを示す分解斜視図である。
【図5】リニアモータのヨークを示す平面図である。
【図6】第2の実施形態に適用されるリニアモータを示す断面図である。
【図7】図6に示されたリニアモータのヨークを示す斜視図である。
【図8】図6に示されたリニアモータのヨークを示す分解斜視図である。
【図9】図6に示されたリニアモータのヨークを示す平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…ステージ装置、2…ベース、3…枠部、5…石定盤、7…可動ステージ、8…リニアモータ、40,60…ヨーク、50…コイルユニット、34…ヨーク収納部、41,61…ベースヨーク、41a,41c…突出部、41b,41d…先端面、42,62…第1のサイドヨーク、43,63…第2のサイドヨーク、48…第1のマグネット群、49…第2のマグネット群、50c…コイル、64,65…打ち込みピン(突出部)、64d,65d…突き当て面(先端面)、S1〜S6…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列の第1のマグネット群と、前記第1のマグネット群に対向して配列された一列の第2のマグネット群と、前記第1のマグネット群と前記第2のマグネット群とを支持するヨークと、前記第1のマグネット群と前記第2のマグネット群との間に配置されたコイルと、を有するリニアモータにおいて、
前記ヨークは、
前記第1のマグネット群が固定された第1のサイドヨークと、
前記第2のマグネット群が固定された第2のサイドヨークと、
前記第1のサイドヨークと前記第2のサイドヨークとが固定されたベースヨークとを有し、
前記ベースヨークには、前記第1及び第2のマグネット群の延在方向に対して略直交する方向に突出する位置決め用突出部が設けられ、
前記突出部の先端面は、前記第1のサイドヨーク及び前記第2のサイドヨークのうち少なくとも一方の外面から突出していることを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記突出部は、前記第1のサイドヨーク及び前記第2のサイドヨークのうち少なくとも一方を貫通して、前記サイドヨークの外面から前記突出部の前記先端面が突出していることを特徴とする請求項1記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記位置決め用突出部は、前記ベースヨークと一体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記位置決め用突出部は、前記ベースヨークと別体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のリニアモータ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−29026(P2010−29026A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190152(P2008−190152)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】