説明

リモコンシステム及びその制御方法

【課題】通話中に電文の送信を行うと通話音声にノイズが載り、会話できにくくなる。
【解決手段】通話判別部は、通信路をモニタして、リモコン間で通話中であるか否かを判定する。電文長判定部は所定の設定値以上の電文長の長さの電文送信を禁止する。通話制御部は通話中であれば、所定の設定値以上の電文の送信を中止する。これによって、電文長の長い電文の送信によって、通信路を占有することを回避し、通話音声にノイズが載らないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体制御装置及びリモコン装置の通信を行うリモコンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリモコンシステムにおける本体制御装置及びリモコン装置の通信に関する技術として、例えば、特許文献1に示す技術がある。
【0003】
図5は、特許文献1に開示されている従来の技術を示すブロック図である。
【0004】
特許文献1には、本体制御装置501は、リモコン装置506と通信線509を介して、通信する構成が開示されている。
【0005】
通話判別部502は、通信線509をモニタして、リモコン装置間で通話しているか否かを判別し、その通話判別結果を出力する。重要度判定部503は、これから送信しようする電文の重要度を判定し、重要度判定結果を出力する。データ通信制御装置は、通話判別結果と重要度判定結果を入力として、その重要度が所定の設定値以上であれば、通話中であっても、送信しようとする電文の送信を許可し、そうでない場合は送信を禁止する。
【0006】
通話中であっても重要度の高い電文の送信は許可するので、リモコン装置と本体制御装置の状態、設定を一致させつつ、通話を継続できる。また、重要度の低い電文の送信は禁止するので、通話音声に載るノイズを減らすことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−314888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、以下の課題を有していた。即ち、予め設定された重要度以下の電文の送信は禁止するが、重要度の高い電文の送信は許可するので、重要度の高い電文の電文長が長い場合や、頻繁に重要度の高い電文の送信要求が発生すると、通信路が電文送信のために占有されて、この結果、通話音声が途切れ、通話音声にノイズが載る恐れがあった。また、リモコン装置から応答要求のあった電文にのみ、本体制御装置から応答電文を送信する場合であっても、応答要求のあった応答電文を送信することによって通信路を占有することになるので、同様に音声通話にノイズが載る可能性がある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、より高い品質の通話音声を提供可能なリモコンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のリモコンシステムは、複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定する通話判定部と、電文長が所定値以上であるか否かを判定する電文長判定部と、通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行うよう制御する通信制御部と、を備えた構成である。
【0011】
この構成により、通話中に所定の長さ以上の電文長の電文の送信を禁止するので、通話中に通信路を電文送信によって占有する時間を短くし、通話音声にノイズが載る事を抑制することができる。そのため、音声通話の品質をより向上することができる。
【0012】
また、本発明のリモコンシステムは、複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定する通話部と、電文送信の周期長が所定の周期長以下であるか否かを判定する周期性判定部と、通話中に、所定の周期長以下の電文送信である場合は電文送信を行わず、所定の周期長より長い電文送信または突発的な電文送信である場合は電文送信を行うよう制御する通信制御部と、を備えた構成である。
【0013】
この構成により、通話中に短周期の電文送信を禁止するので、通話音声が短い周期で途切れることを抑制できる。そのため、通話音声の品質をより向上することが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予め設定した電文長よりも長い電文を通話中に送信しないので、通話中に通信路を占有する時間が短くなり、通話音声が途切れてノイズが載ることを抑制すできる。また、電文長が短くても、電文周期の短い電文を送信することを禁止するので、短い周期で通話音声が途切れることを抑制できる。そのため、通話音声の品質をより向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるリモコンシステムを示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるリモコンシステムの制御を示すフロー図
【図3】本発明の実施の形態2におけるリモコンシステムを示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2におけるリモコンシステムの制御を示すフロー図
【図5】従来のリモコンシステムを示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、2つ以上のリモコン装置と、前記リモコン装置を制御する本体制御装置を備えたリモコンシステムであって、前記本体制御装置が、複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定する通話判定部と、電文長が所定値以上であるか否かを判定する電文長判定部と、通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行うよう制御する通信制御部と、を備えたものである。
【0017】
上記構成により、通話中であれば、予め設定した電文長以上の電文の送信を禁止するので、長い電文の送信によって通信路が占有され、それによって通話音声が送信できないために通話音声が途切れ、ノイズが載ることを抑制することができる。
【0018】
第2の発明は、2つ以上のリモコン装置と、前記リモコン装置を制御する本体制御装置を備えたリモコンシステムであって、前記本体制御装置が、複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定する通話部と、電文送信の周期長が所定の周期長以下であるか否かを判定する周期性判定部と、通話中に、所定の周期長以下の電文送信である場合は電文送信を行わず、所定の周期長より長い電文送信または突発的な電文送信である場合は電文送信を行うよう制御する通信制御部と、を備えたものである。
【0019】
上記構成により、通話中であれば、予め設定した電文周期以下の電文の送信を禁止するので、短い周期での電文の送信によって通話音声が周期的に分断され、それによって通話音声に周期的なノイズが載ることを抑制することができる。また、短周期のノイズが音声通話に載らないので、使用者がノイズに気付きにくいと言う利点もある。
【0020】
第3の発明は、特に第2の発明において、前記本体制御装置が、電文長が所定値以上であるか否かを判定する電文長判定部をさらに備え、前記通信制御部が、通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行うよう制御するものである。
【0021】
以下、本発明のリモコンシステムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるリモコンシステムの本体制御装置のブロック図であり、図2は、同実施の形態のリモコンシステムの本体制御装置における通信制御のアルゴリズムを説明するためのフロー図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態1における本体制御装置は、リモコン装置間で通話しているか否かを判定して、通話判定結果を出力する通話判定部102と、予め電文長を設定可能であって、送信要求のあった電文の電文長がそれ以上の長さであるか否かを判定し、電文長判定結果を出力する電文長判定部101と、通話中であり、且つ、送信要求のあった電文長が予め設定された値以上であれば、その電文の送信を禁止する通信制御部103と、通信制御に基づき電文を送信、または受信する通信部104とを備えている。
【0024】
通話判定部102は常時受信電文をモニタしていて、その中に通話要求があった場合、以後通話中になるものと判断して、通話判定結果=1(通話中を示す)を送信する。電文長判定部101は、送信要求のあった電文の電文長と予め設定された電文長を比較し、予め設定された電文長よりも長い場合は電文長判定結果=1(電文長が予め設定された電文長よりも長いことを示す)を送信する。通信制御部103は、電文長判定結果と通話判定結果を入力として、両者が1(通話中であり、かつ、送信要求のある電文の電文長が設定値を超えている)であれば、送信要求があっても電文の送信を許可しない。通信部104は送信許可のあった電文だけを送信する。
【0025】
次に、本実施の形態のリモコンシステムの動作を説明する。
【0026】
通話判定部102は常時受信パケットをモニタする。その中に通話要求を見つけた場合には通話判定結果=1(通話中)を出力する(ステップ201)。また、電文長判定部101は送信要求のあった電文の電文長を入力とし、予め設定済みの電文長と比較する。もしも、入力された電文長が設定値よりも長い場合は、電文長判定結果=1(電文長が長い)を出力する(ステップ202)。通信制御部103は通話判定結果と電文長判定結果を入力として、通話中に電文長の長い電文の送信要求がある場合はその電文の送信を禁止する(ステップ203)。通信部104は、電文の送信禁止が入力されると、該当の電文の送信を保留する(ステップ204)。通話が終了すると、通信許可となるので、その時点で送信を開始する。
【0027】
本発明によれば、通話中に長い電文を送信することによって、通信路を占有することを回避することが出来る。従って、通話音声データ以外の信号を送信することで、音声通話に載るノイズを最小限に抑えることが出来る。通常、電文長の長い電文は使用量などを表す数値,グラフのデータであって、ふろ・給湯・発電機能などのリモコンと本体制御装置とのデータの一貫性を保つ必要の無いものに限定されるので、通話中に電文長の長いデータ送信を禁止しても、システムの動作には悪影響は無い。
【0028】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるリモコンシステムの本体制御装置のブロック図であり、図4は、同実施の形態のリモコンシステムの本体制御装置における通信制御のアルゴリズムを説明するためのフロー図である。
【0029】
以下、実施の形態1と同様の構成要素については同一の番号を振り、その説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、本実施の形態2におけるリモコンシステムは、本体制御装置と、複数のリモコン装置からなる構成であって、本体制御装置は、リモコン装置間で通話しているか否かを判定して、通話判定結果を出力する通話判定部102と、予め電文の電文周期を設定可能であって、送信要求のあった電文の電文周期がそれ以下であるか否かを判定し、電文周期判定結果を出力する電文周期判定部301と、通話中であり、且つ、送信要求のあった電文の電文周期が予め設定された値以下であれば、その電文の送信を禁止する通信制御部302と、通信制御に基づき電文を送信、または受信する通信部104とを備えている。
【0031】
通話判定部102は常時、受信電文をモニタしていて、その中に通話要求があった場合、以後通話中になるものと判断して、通話判定結果=1(通話中を示す)を送信する。
【0032】
電文周期判定部301は、送信要求のあった電文の電文周期と予め設定された周期を比較し、予め設定された周期よりも短い場合は電文周期判定結果=1(電文周期が予め設定された周期よりも短いことを示す)を送信する。通信制御部302は、電文周期判定結果と通話判定結果を入力として、両者が1(通話中であり、かつ、送信要求のある電文の電文周期が設定値以下である)であれば、送信要求があっても電文の送信を許可しない。通信部104は送信許可のあった電文だけを送信する。
【0033】
次に、図4を用いて、本実施の形態のリモコンシステムの動作を説明する。
【0034】
通話判定部102は常時受信電文をモニターする。その中に通話要求を見つけた場合には通話判定結果=1(通話中)を出力する(ステップ401)。また、電文周期判定部301は送信要求のあった電文の電文周期を入力とし、予め設定済みの周期と比較する。この時、もしも、入力された電文周期が設定値よりも短い場合は、電文周期判定結果=1(周期が短い)を出力する(ステップ402)。通信制御部302は通話判定結果と電文周期判定結果を入力として、通話中に電文周期の短い電文の送信要求がある場合はその電文の送信を禁止する(ステップ403)。通信部104は、電文の送信禁止が入力されると、該当の電文の送信を保留する(ステップ404)。通話が終了すると、通信許可となるので、その時点で送信を開始する。
【0035】
本発明によれば、通話中に電文周期の短い電文を送信することで、通話音声に短い周期でのノイズが載ることを回避することが出来るので、ユーザーは通話音声にノイズが載っていることを気付きにくくなる。また、短周期でノイズが載ることによって通話音声が途切れがちになり、その結果、ユーザーが通話内容を認識することが困難になるが、これも避けることが可能となり、合せてユーザーに高品位な通話機能を提供することができるようになる。
【0036】
なお、電文長判定部と、電文周期判定部の両方を備えた構成とすることも可能である。本構成であれば、通信制御部は、電文長が長いもの、または/かつ、電文周期の短いもの送信を禁止することが可能となるので、短期間に短い電文送信を繰り返すケースにも対応して、通話音声にノイズが載る事を避けることが可能となる。エネルギーの使用量をリモコン装置に表示するための本体制御装置からの電文送信が、複数の短い電文に分かれてい
て、それらが短期間に送信されるケースに対処して送信を禁止できる。
【0037】
また、本発明のリモコンシステムは給湯システムに包含され、リモコン装置が住宅内で浴室と台所のようにお湯(水)を使う2つ以上の部屋に別々に設置され、両者間で通話することで、浴室や台所で便利にお湯を使うことが可能となる。
【0038】
さらに、前記給湯システムは、燃料電池装置をコアとする熱電併給システムであっても、ガスエンジンをコアとする熱電併給システムであっても構わないし、本発明のリモコンシステムを燃料電池装置またはガスエンジン装置側、あるいは給湯器側のどちらに配置しても構わない。
【0039】
さらに、熱電併給システムに限らず、給湯システム、ヒートポンプシステム、電気温水システムなどのモノジェネシステムのリモコン装置間の通話音声の品質確保にも有効である。
【0040】
なお、熱電併給システムにおいては、モノジェネシステムに比べると、電気、ガス、水道など一度に扱うデータ量が多くなるので、本体制御装置とリモコン装置間での電文長が長くなることは明白である。従って、本発明によるリモコンシステムでは、熱電併給システムにおいて、リモコン装置間の通話の品質を確保する上で有効である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明にかかるリモコンシステムは、ノイズの少ない、品質の高い通話音声を実現可能であるので、リモコン装置間で通話する機能を有するシステム全般に摘要できる。
【符号の説明】
【0042】
101 電文長判定部
102 通話判定部
103 通信制御部
104 通信部
301 電文周期判定部
302 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のリモコン装置と、前記リモコン装置を制御する本体制御装置を備えたリモコンシステムであって、
前記本体制御装置は、
複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定する通話判定部と、
電文長が所定値以上であるか否かを判定する電文長判定部と、
通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行うよう制御する通信制御部と、
を備えたことを特徴とするリモコンシステム。
【請求項2】
2つ以上のリモコン装置と、前記リモコン装置を制御する本体制御装置を備えたリモコンシステムであって、
前記本体制御装置は、
複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定する通話部と、
電文送信の周期長が所定の周期長以下であるか否かを判定する周期性判定部と、
通話中に、所定の周期長以下の電文送信である場合は電文送信を行わず、所定の周期長より長い電文送信または突発的な電文送信である場合は電文送信を行うよう制御する通信制御部と、
を備えたリモコンシステム。
【請求項3】
前記本体制御装置は、電文長が所定値以上であるか否かを判定する電文長判定部をさらに備え、
前記通信制御部は、通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行うよう制御する、請求項2に記載のリモコンシステム。
【請求項4】
浴室及び住宅内の浴室以外でお湯を使う第1の部屋に給湯を行う給湯システムを備え、
前記2つ以上のリモコン装置のうちの1つは、第1のリモコン装置であり、他の1つは第2のリモコン装置であり、
前記第1のリモコン装置は前記浴室に設置され、前記第2のリモコン装置は、前記第1の部屋に設置され、前記第1のリモコン装置と前記第2のリモコン装置との間で通話する、請求項1〜3のいずれかに記載のリモコンシステム。
【請求項5】
前記給湯システムは、熱電併給システムである、請求項4に記載のリモコンシステム。
【請求項6】
複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定し、かつ、電文長が所定値以上であるか否かを判定し、
通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行う、
リモコンシステムの制御方法。
【請求項7】
複数のリモコン間で通話中であるか否かを判定し、かつ、電文送信の周期長が所定の周期長以下であるか否かを判定し、
通話中に、所定の周期長以下の電文送信である場合は電文送信を行わず、所定の周期長より長い電文送信または突発的な電文送信である場合は電文送信を行う、
リモコンシステムの制御方法。
【請求項8】
電文長が所定値以上であるか否かをさらに判定し、
通話中に、所定の電文長以上の電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行わず、通話中に所定の電文長より短い電文送信の要求が発生した場合は電文送信を行う、請求項7に記載のリモコンシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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