説明

リモコン及びリモコンユニット

【課題】太陽電池の反射光が使用者にとって眩しいものとならないように構成されたリモコン及びリモコンユニットを提供する。
【解決手段】前面部に透光パネル2及び太陽電池3が設けられており、該前面部が上下方向となるように設置されるリモコン1において、該リモコン1の設置状態において該太陽電池3が水平方向よりも下方を指向している。太陽電池3は上下多段に設けられている。各太陽電池3の側面から突設された軸4にピニオン5が設けられている。各ピニオン5がラック6に噛合しており、操作片7によってラック6を上下動させることにより太陽電池3の俯角が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を備えたリモコン及びリモコンユニットに係り、特にトイレルームに設置するのに好適なリモコン及びリモコンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池を上向きに設けることにより受光光量を増大させ、発電効率を向上させたトイレルーム用リモコンが特開平8−223652号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−223652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池は光を反射するので、特開平8−223652号公報のように太陽電池を上向きに設けた場合、反射光がトイレ使用者(着座者、介添者、男子小用使用者、清掃作業者など)にとって眩しくなることがある。
【0005】
本発明は、太陽電池の反射光が使用者にとって眩しいものとならないように構成されたリモコン及びリモコンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のリモコンは、前面部に太陽電池が設けられており、該前面部が上下方向となるように設置されるリモコンにおいて、該リモコンの設置状態において該太陽電池が水平方向よりも下方を指向していることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のリモコンは、請求項1において、複数枚の太陽電池が上下に多段に設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のリモコンは、請求項1又は2において、前記太陽電池が俯角変更可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のリモコンは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記太陽電池が左右方向の指向角度変更可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明(請求項5)のリモコンユニットは、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリモコンと、該リモコンによって操作可能な機器本体とを有するリモコンユニットであって、該機器本体は、該リモコンに向けて電磁波を照射する電磁波照射手段を備えており、該リモコンは、電磁波を受信して蓄電する蓄電手段を備えているものである。
【0011】
請求項6のリモコンユニットは、請求項5において、該機器本体は便器に設置されるトイレ用機器であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリモコンは、太陽電池が水平方向よりも下方を指向しているので、太陽電池の反射光が使用者に入射することが防止ないし抑制され、眩しさが解消される。太陽電池を上下に多段に設けることにより、太陽電池の俯角を大きくしてもリモコンの厚み増加を小さくすることができる。
【0013】
太陽電池の俯角を変更可能とすることにより、反射の方向を調整することができる。
【0014】
太陽電池を左右方向の指向角度変更可能とすることにより、太陽電池を光源を指向するように配向させ、太陽電池の受光光量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係るリモコンの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】太陽電池の傾動機構を示す斜視図である。
【図4】(a)図は別の実施の形態に係るリモコンの断面図、(b)図はその太陽電池の傾動機構を示す斜視図である。
【図5】太陽電池のさらに別の傾動機構を示す斜視図である。
【図6】異なる実施の形態に係る太陽電池の回動機構を示す斜視図である。
【図7】実施の形態に係るリモコンを備えたトイレルームの斜視図である。
【図8】図7の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0017】
第1図〜第3図は第1の実施の形態に係るリモコンを示すものであり、第1図はリモコンの斜視図、第2図は第1図のII−II線断面図、第3図は太陽電池の傾動機構を示す斜視図である。
【0018】
このリモコン1はトイレルームなどの部屋の壁に取り付けられる長方形の盤状のものであり、その前面の上部に透光パネル2が設けられ、該透光パネル2の裏側に複数枚(この実施の形態では3枚)の太陽電池3が設置されている。
【0019】
太陽電池3は横長の長方形板状であり、第2図の通り水平よりも所定角度θだけ下方を指向するように設置されている。太陽電池の左右の端面から水平に軸4が突設され、各軸4がリモコン1のケーシングの軸受部(図示略)に回動可能に支持されている。各太陽電池3の右側の軸4の先端にピニオン5が設けられ、該ピニオン5がラック6に噛合している。ラック6は、リモコン1のハウジングに設けられた案内溝(図示略)に上下動可能に支持されている。
【0020】
リモコン1の右端面には、このラック6の突片6a(第3図)に連結された操作片7(第1図)が上下動可能に配置されている。この操作片7を上下に動かすことにより、ラック6が上下動し、ピニオン5が回転し、太陽電池3の俯角θが変更される。
【0021】
なお、リモコン1の前面には各種のスイッチが設置されている。
【0022】
このように構成されたリモコンにおいては、太陽電池3が下方を指向して設置されているので、反射光が直接にトイレ使用者などの人の顔に当ることが防止され、眩しさが解消される。なお、操作片7を上下動させることにより太陽電池3の俯角θを調整することができる。
【0023】
この実施の形態では太陽電池3を横長とし、上下に多段に設けているので、各太陽電池3の上下幅が小さい。従って、リモコン1の厚みdを小さくしても俯角θを大きくとることが可能である。
【0024】
ただし、本発明では、太陽電池を上下に1段にのみ設けてもよい。第4図はかかるリモコンの一例を示すものであり、(a)図はリモコン1Aの第2図と同様箇所の断面図、(b)図は太陽電池の一部の斜視図である。
【0025】
このリモコン1Aでは、透光パネル2の裏側に、該透光パネル2と略同一大きさの1枚の太陽電池3Aが設けられている。この太陽電池3Aの右端側の軸4にはハンドル8が取り付けられている。このハンドル8はリモコン1Aのケーシングの右側面の外部に配置されている。このハンドル8をR方向に回すことにより、太陽電池3Aの俯角θが調整される。このリモコン1Aは、俯角θを大きくするためには厚みを大きくする必要があるが、太陽電池3Aの傾動機構がシンプルである。
【0026】
本発明では、第5図のように、太陽電池3Aをユニバーサルリンク9によってリモコンケーシングの俯仰方向及び左右方向回動可能に支持し、ハンドル8付きの横軸4だけでなく、ハンドル8A付きの縦軸4Aを太陽電池3Aに取り付け、俯角θだけでなく左右方向の指向角度のいずれも調整可能としてもよい。
【0027】
本発明では、第6図のように複数の縦長の太陽電池3Cを並列に、かつ各々が斜め下向きとなるように配置し、太陽電池3Cの上下両端面から軸4Cを上下に突設して軸受け(図示略)によって支持し、左右方向の指向角度を調整可能としてもよい。この実施の形態では、上側の軸4Cにピニオン5Cが固着され、各ピニオン5Cが共通のラック6Cに噛合している。ラック6Cの突片の6aに操作片(図示略。この操作片は、リモコンケーシングの上端面に配置されている。)が係合している。該操作片を左右にスライド操作してラック6Cを左右に動かすことにより、各太陽電池3Cの左右の指向方向が調整される。これにより、各太陽電池を光源(例えば便座ボックスの発光体)に向けて配列することができ、発電量を多くすることが可能となる。
【0028】
第1図〜第3図の構成を有したリモコンをトイレルームの壁面に設置し、温水洗浄装置等をリモートコントロールするよう構成した便器設備を第7,8図に示す。
【0029】
第7図の通り、洋風便器10の後部上面に便座ボックス12が設置され、この便座ボックス12に便座14及び便蓋16が起倒自在に枢支されている。この便座ボックス12の右側面(便器着座者にとっての右側面。以下、同様。)には手動式フラッシュハンドル18が設けられている。また、この便座ボックス12の左側の上角縁には、可視光透過材料よりなる光照射部20と、赤外線透過材料よりなるセンサ配置部22とが設けられている。センサ配置部22内には人体検知手段センサ(図示略)が配置されている。便座ボックス12内の電気回路は、図示しないコード、プラグを介して商用電源(AC100V)から給電される。この洋風便器10は、図示しないホース及び止水栓を介して水道水が供給可能とされている。
【0030】
トイレルームの左側の壁面にはリモコン30が着脱自在に掛止されている。
【0031】
このリモコン30の前面下半部に、臀部を洗浄するためのシャワースイッチ30a及びビデスイッチ30b、温風を吹き出すための乾燥スイッチ30c、洗浄強さを調節する洗浄強さ調節ダイヤル30d、洗浄及び乾燥を停止させるストップスイッチ30sが設けられている。さらに、このリモコン30の前面下半部には、便座ボックス12の光照射部20からの信号を受信する受信手段32が設けられている。リモコン30の前面上半部の可視光透過部の裏側には、太陽電池33が設けられている。リモコン30の上面には、洋風便器10に大量(例えば約6L)の洗浄水を供給する大用フラッシュスイッチ30e、少量(例えば5L)の洗浄水を供給する男子小用フラッシュスイッチ30fが設けられている。リモコン30の前面上部には、制御信号の発信部34が設けられている。
【0032】
図示は省略するが、リモコン30内には、太陽電池33で発電された電力を蓄電するためのキャパシタのほか、制御回路が設置されている。この制御回路や送信部等はキャパシタから給電される。
【0033】
シャワースイッチ30aを押すと、便座ボックス12に設けられたシャワーノズル(図示略)が前進し、その先端から温水が噴出し、使用者臀部のシャワー洗浄(肛門洗浄)が行われる。ビデスイッチ30bを押すと、同様に便座ボックス12の本体部に設けられているビデノズル(図示略)が前進し、その先端から温水が噴出して人体臀部の温水洗浄(ビデ洗浄)が行われる。洗浄強さ調節ダイヤル30dを回すことにより、洗浄強さ(温水噴出量)が調節される。
【0034】
乾燥スイッチ30cを押すと、便座ボックス12内の温風ファンが作動し、人体臀部に温風が吹き付けられて乾燥が行われる。
【0035】
ストップスイッチ30sを押すと、これらシャワーノズル、ビデノズルまたは温風ファンの作動が停止される。フラッシュスイッチ30e(大用)又は30f(小用)を操作することにより、洋風便器10の便鉢内に水が供給され、便器洗浄が行われる。
【0036】
トイレ室内に人が居ないときには、光照射部20は光を照射せず、リモコン30はスリープモードとなっている。このスリープモードにあっては、スイッチ類30a〜30f、30sが操作不能な状態(スイッチが押されても信号を送信しない状態)となっている。これにより、リモコン30のエネルギー消費量が低減される。
【0037】
人が入室すると、便座ボックス12の光照射部20からリモコン30に向けて光が照射される。この光をリモコン30の太陽電池33が受光して発電し、この電力をキャパシタが蓄電する。
【0038】
また、リモコン30がこの光を受信すると、リモコン30がウェークアップモードとなる。このウェークアップモードにあっては、スイッチ30a〜30f、30sが操作可能な状態(スイッチが押されたときに信号を送信する状態)となっている。
【0039】
このウェークアップモードにおいて、使用者がリモコン30の各スイッチ30a〜30f、30sを操作することにより、便座ボックス12の各機器が上記のように作動する。
【0040】
使用者がトイレ室から退室し、便座ボックス12の人体検知センサが人体を非検知となると、光照射部20からの光照射が停止し、リモコン30が上記スリープモードに切り換わる。
【0041】
本実施の形態に係るリモコンユニットによると、人体検知時に、便座ボックス12からリモコン30に向けて光を照射することにより、リモコン30のキャパシタを充電することができる。太陽電池33によって光の一部が反射しても、太陽電池33が下向きとなっているので、反射光が使用者の顔に当らず、眩しさが防止される。また、人体非検知時には、光照射を停止し、リモコンをスリープモードとするので、省電力化を図ることができる。
【0042】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0043】
上記実施の形態では、便座ボックス12とそのリモコンとからなるリモコンユニットを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、キッチンの給湯器、エアコン、テレビなどの壁付けリモコン等にも適用可能である。
【0044】
本発明では、リモコンの透光パネルの表面に、斜めに入射する光を透光パネルの表面で反射させることなく取り込み、太陽電池に向けて透過させるための多数の微細な凹凸形状部を設けてもよい。このような凹凸形状としては、プリズム形、四角推形などの多角推形、円錐形などが例示される。プレート面を平坦とした場合の平坦面と、該凹凸形状の斜面との交差角度は5〜85°特に30〜80°程度であることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
1,30 リモコン
3,3A,3C,33 太陽電池
10 洋風便器
12 便座ボックス
20 光照射部
30 リモコン
32 受信手段
33 太陽電池
34 発信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部に太陽電池が設けられており、該前面部が上下方向となるように設置されるリモコンにおいて、
該リモコンの設置状態において該太陽電池が水平方向よりも下方を指向していることを特徴とするリモコン。
【請求項2】
請求項1において、複数枚の太陽電池が上下に多段に設けられていることを特徴とするリモコン。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記太陽電池が俯角変更可能に設けられていることを特徴とするリモコン。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記太陽電池が左右方向の指向角度変更可能に設けられていることを特徴とするリモコン。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリモコンと、該リモコンによって操作可能な機器本体とを有するリモコンユニットであって、
該機器本体は、該リモコンに向けて電磁波を照射する電磁波照射手段を備えており、
該リモコンは、電磁波を受信して蓄電する蓄電手段を備えているリモコンユニット。
【請求項6】
請求項5において、該機器本体は便器に設置されるトイレ用機器であることを特徴とするリモコンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−256631(P2011−256631A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132983(P2010−132983)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】