説明

リモコン装置の取付け構造

【課題】取付板に対するリモコン装置本体の着脱を容易かつ適切に行なうことができ、また構成が簡易であって、リモコン装置本体を取付板に仮固定させるのに適するリモコン装置の取付け構造を提供する。
【解決手段】所望の壁面9に取り付けられる取付板3、リモコン装置本体1、および取付板3に設けられた係入用凹溝部33を備えているリモコン装置の取付け構造であって、リモコン装置本体1および取付板3の一方には、孔部34が設けられ、かつ他方には、リモコン装置本体1の外周縁の一部が係入用凹溝部33に係入している状態において孔部34に挿入可能な突起13が設けられており、この突起13は、その直径または幅が拡縮可能に弾性を有しており、かつこの突起13が孔部34に嵌入したときには、この突起13が圧縮変形してその外周面が孔部34の縁部に圧接するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器やその他の装置・機器類用のリモコン装置を家屋の台所や洗面所などの所望の壁面に取り付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、給湯器用のリモコン装置を台所の壁面に取り付ける場合、この壁面に金属製の取付板をネジ止めした後に、この取付板に対してリモコン装置本体をネジ止めし、その後このリモコン装置本体に化粧カバーを装着する手段がよく用いられている。ただし、リモコン装置本体の背面側には電気配線コードが接続されているのが通例であり、リモコン装置本体を取付板にネジ止めする際には、壁面および取付板に形成されている開口部に電気配線コードを通すような作業を行なう必要もある。したがって、前記した作業手順のみでは、作業者がリモコン装置本体を取付板に取り付ける際の作業が煩わしく、リモコン装置本体を誤って落下させ易いという不具合がある。このため、リモコン装置本体を取付板にネジ止めする前に、このリモコン装置本体を取付板に対して簡易な作業によって仮固定させることが可能な手段が新たに提案されることが望まれる。
【0003】
なお、従来においては、リモコン装置本体を取付板に簡易な作業で取り付けるための手段として、特許文献1に記載された手段がある。同文献に記載された手段においては、取付板の前面側およびリモコン装置本体の背面側のそれぞれに、断面略く字状の起立部を突設し、これら起立部どうしを係合させるようにしている。しかしながら、このような手段によれば、く字状の起立部が取付板とリモコン装置本体との間に介在するために、リモコン装置本体を取付板に接近させることが難しい。このため、リモコン装置本体が取付板および壁面から大きく嵩張って取り付けられることとなり、体裁の悪いものとなる。
【0004】
また、従来においては、特許文献2に記載された手段もある。同文献に記載された手段においては、凹溝状の2つの係合受け部を取付板に形成しておき、リモコン装置本体の外周縁の一部を一方の係合受け部に係合させる。また、リモコン装置本体の他の部分には、バネ性を有するフック状の係合用爪をリモコン装置本体の背面側に大きく突出しないように形成しておき、この係合用爪を他方の係合受け部に係合させる。このような手段によれば、特許文献1とは異なり、リモコン装置本体を取付板に接近させて取り付けることが可能である。しかしながら、このような手段によれば、メンテナンスなどを目的としてリモコン装置本体を取付板から取り外したい場合に、このリモコン装置本体を取付板の正面に引っ張るだけでは、このリモコン装置本体を取付板から離脱させることはできない。リモコン装置本体を取り外すには、工具を利用して係合用爪を押圧し、係合受け部から離脱させる作業を行なう必要がある。したがって、その作業は面倒である。
【0005】
【特許文献1】実開昭62−160261号公報
【特許文献2】特開平6−141375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、取付板に対するリモコン装置本体の着脱を容易かつ適切に行なうことができ、また構成が簡易であって、リモコン装置本体を取付板に仮固定させるのに適するリモコン装置の取付け構造を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供されるリモコン装置の取付け構造は、所望の壁面に取り付けられる取付板と、この取付板の正面に配されるようにしてこの取付板に取り付けられるリモコン装置本体と、前記取付板に設けられ、かつ前記リモコン装置本体の外周縁の一部を係入させるための係入用凹溝部と、を備えている、リモコン装置の取付け構造であって、前記リモコン装置本体および前記取付板の一方には、切欠き状または非切欠き状の孔部が設けられているとともに、他方には、前記リモコン装置本体の外周縁の一部が前記係入用凹溝部に係入している状態において前記孔部に挿入可能な突起が設けられており、この突起は、その直径または幅が拡縮可能に弾性を有しており、かつこの突起が前記孔部に挿入したときには、この突起が圧縮変形してその外周面が前記孔部の縁部に圧接するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、前記リモコン装置本体の外周縁の一部を前記取付板の係入用凹溝部に係入させるとともに、前記突起を前記孔部に挿入させるだけの簡易な作業によって、前記リモコン装置本体を取付板に取り付けることができる。前記突起が前記孔部に挿入されたときには、この突起は圧縮変形して前記孔部の縁部に圧接するために、前記突起が前記孔部から不用意に抜け外れることが防止され、リモコン装置本体を適正に取り付けることができる。したがって、リモコン装置本体を取付板にネジ止めなどの手段を用いて強固に取り付ける前の仮固定手段として好適である。また、重要な効果として、本発明によれば、前述した特許文献1とは異なり、リモコン装置本体と取付板との間にこれらを係合させるための係合手段が配置される無駄な空間スペースを生じないようにすることができる。したがって、リモコン装置本体を取付板に接触または接近させ、リモコン装置本体が取付板の正面に大きく嵩張った不体裁な形態にならないようにすることもできる。さらに、本発明によれば、リモコン装置本体をその正面方向に引っ張ることにより、前記突起を前記孔部から簡単に抜き外すことが可能である。したがって、メンテナンスなどを目的として、リモコン装置本体を取付板から取り外す場合の作業性も良好なものにすることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記突起は、その先端部から基端側に向けて延びる1または複数のスリットを備えていることにより前記弾性を有しており、前記突起の先端部には、この先端部が前記孔部に嵌入されるときに前記孔部の縁部に接触してこの突起の直径または幅を縮小させるための傾斜面が形成されている。
【0011】
このような構成によれば、簡易な構成により前記突起に所定の弾性を具備させることができ、その形成が容易となる。また、前記傾斜面が形成されていることにより、前記突起を孔部に挿入させる作業も円滑に行なうことができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記リモコン装置本体の背面側には配線コードが接続され、かつ前記取付板には、前記配線コードを通すための開口部が形成されており、前記リモコン装置本体は、その外周縁の一部を前記係入用凹溝部に係入させた状態において、この係入部分を支点として前記取付板と対面する方向に揺動可能であるとともに、前記リモコン装置本体の背面部全体を前記取付板に接近させることにより前記突起を前記孔部に嵌入可能な構成とされている。
【0013】
このような構成によれば、リモコン装置本体の背面側に接続された配線コードが取付板の開口部に通された方向にリモコン装置本体を移動させて取付板に取り付けることができるために、配線コードを始末する作業が容易となる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記取付板の係入用凹溝部は、前記取付板の下部から前方に突出して水平方向に延びる突出部、およびこの突出部の前端から上向きに起立する起立部によって規定されており、かつ前記リモコン装置本体は、その下部が前記突出部上に載置されることによってその重量が受けられる構成とされ、前記突起および孔部としては、前記リモコン装置本体の上部および前記取付板の上部に設けられて水平方向に間隔を隔てて並ぶ一対の突起および一対の孔部が設けられている。
【0015】
このような構成によれば、リモコン装置本体の重量が取付板によって受けられるために、突起に大きな負荷(リモコン装置本体の重量)が作用しないようにすることができる。したがって、前記突起がたとえば合成樹脂成形されたものであっても、容易に損傷しないようにすることが可能となる。また、前記構成によれば、リモコン装置本体の上部の水平方向に間隔を隔てた2箇所において突起と孔部とが嵌合するとともに、リモコン装置本体の下部が係入用凹溝部に係入しており、リモコン装置本体がそれら3箇所において支持されるために、リモコン装置本体が大きくがたつかないように安定的に支持することも可能となる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記突出部の水平方向の幅は、前記一対の突起および一対の孔部の間隔よりも大きくされている。
【0017】
このような構成によれば、前記突出部によってリモコン装置本体の下部をより安定的に支持することができ、リモコン装置本体のがたつきを抑制するのに一層好適となる。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記リモコン装置および前記取付板のそれぞれには、前記リモコン装置をネジ体を用いて前記取付板に固定させるための孔部が設けられているとともに、前記各突起は、水平方向に弾性変形可能である。
【0019】
このような構成によれば、ネジ体を用いてリモコン装置本体を取付板に確実かつ強固に取り付けることが可能となるが、そのネジ止めに利用されるリモコン装置本体および取付板のそれぞれの孔部が水平方向に位置ずれしている場合には、前記各突起を弾性変形させてリモコン装置本体を水平方向に変位させることにより、前記孔部どうしを適切に位置合わせすることができる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1〜図6は、本発明が適用されたリモコン装置の取付け構造およびこれに関連する構成の一例を示している。本実施形態のリモコン装置の取付け構造は、図1に示すように、たとえば給湯器用のリモコン装置Aが台所またはその他の部屋の壁面9に取り付けられた構造とされている。図2によく表われているように、リモコン装置Aは、リモコン装置本体1および化粧カバー2を具備して構成されており、リモコン装置本体1は、取付板3を利用して壁面9に取り付けられる。壁面9には、リモコン装置本体1の背面に接続された電力供給用および信号送受信用の複数の配線コードCを通すための開口部90が形成されている。
【0023】
取付板3は、金属板にプレス加工などを施して構成されたものであり、図3によく表われているように、正面視略矩形の枠状である。この取付板3の中央開口部30は、配線コードCを通すのに利用される。この取付板3には、図2に示すネジ体40を挿通させるための一対の孔部31a,31b、およびネジ体41を螺合させるための一対のネジ孔32が形成されている。これらに加え、取付板3には、係入用凹溝部33、および切欠き状の一対の孔部34も形成されている。
【0024】
係入用凹溝部33は、リモコン装置本体1の後述する突縁部14を係入させるための部分であり、取付板3の下縁部の一部に屈曲加工を施し、この取付板3の正面に突出した突出部33aと、この突出部33aの前端において上向きに起立した起立部33bとを形成することにより構成されている。一対の孔部34は、リモコン装置本体1に設けられている後述の突起13を挿入させるための部分であり、上下方向に延び、かつ上部が開口した切欠き状である。これら一対の孔部34は、取付板3の上縁部35に左右水平方向に適当な間隔L1を隔てて設けられている。好ましくは、係入用凹溝部33の水平方向の幅L2は、前記した間隔L1よりも大きくされている。取付板3の上縁部35は、その下方部分よりも適当な間隔L3だけ前方に突出した段差部として形成されており、取付板3を壁面9に取り付けた際にはこの上縁部35と壁面9との間に隙間が生じるようになっている。
【0025】
図4に示すように、リモコン装置本体1は、給湯器の運転のオン・オフや目標給湯温度の設定制御などを行なうための電気および電子回路(図示略)を備えた制御基板10が筐体11内に収容された構成を有している。制御基板10には、たとえば液晶パネルを利用したデータ表示部10aやスピーカ10bなども搭載されている(図5も参照)。筐体11は、データ表示部10aによる表示を筐体11の正面から目視し得るようにたとえば透明樹脂製とされている。また、この筐体11の前面部には、操作スイッチを構成する複数の操作用押圧部10cも形成されている。
【0026】
筐体11の上部には、リモコン装置本体1を取付板3にネジ止めするための一対のネジ体挿通孔12が形成されている。また、リモコン装置本体1を取付板3に仮固定させるための一対の突起13も設けられている。これら一対の突起13は、筐体11に一体成形されており、筐体11の背面方向に突出している。各突起13は、図4(b)によく表われているように、その先端部から基端部に向けて延びたスリット13aを有しており、このスリット13aを挟んで左右水平方向に並んだ一対の分割突起部13bを備えた構成とされている。この構成に基づき、突起13は水平方向の幅が拡縮可能な弾性を有しており、図6(b)に示すように、取付板3の孔部34に挿入されたときには、一対の分割突起部13bが互いに接近する方向に撓み変形し、その弾性復元力によって孔部34の縁部(より正確には、縁部内面)に圧接するようになっている。なお、スリット13aの深さ、または幅を変更することにより、突起13の弾性変形のし易さや、変形時の弾発力の大きさを好ましいものに設定することが可能である。各突起13は、円柱状の突起にスリット13aが形成された基本形態を有しているが、その先端部はたとえば略半球状に形成されており、先端寄りほどこの突起13の太さを小さくする傾斜面13cを有している。
【0027】
図4(a)に表われているように、筐体11の下面部の背面寄りの位置には、下向きに突出した突縁部14が形成されている。この突縁部14の左右幅方向の中央部は、取付板3の係入用凹溝部33に係入させるための部分である。ただし、本実施形態においては、突縁部14の幅方向中央部には、下部開口状の切欠き凹部14aが形成されている。また、この切欠き凹部14aの両端の一対の壁部14bは、上方ほどそれらの間隔が狭まるように傾斜した傾斜面とされている。
【0028】
図1および図2において、化粧カバー2は、リモコン装置本体1を保護しつつ、リモコン装置A全体の外観体裁を良好とする役割を果たすものであり、リモコン装置本体1の前面部およびその上下左右の周側面部を覆うことが可能な合成樹脂製のケース状である。この化粧カバー2には、リモコン装置本体1の操作用押圧部10cを押圧操作するための操作部20や、データ表示部10aを透視可能とする透明窓部21などが設けられている。リモコン装置本体1に対する化粧カバー2の取り付け手段としては、筐体11に対して化粧カバー2を外嵌する手段が採用され、また化粧カバー2が筐体11から容易に抜け外れないようにするための手段として、これらにはたとえば互いに係脱可能な凹凸状の係合用手段(図示略)が設けられている。本発明は、リモコン装置本体1と化粧カバー2との取り付け構造の簡易化を主眼とするものではなく、その取り付け手段としては種々の手段を採用することができる。
【0029】
次に、取付板3を利用してリモコン装置Aを壁面9に取付ける場合の作業手順、および作用について説明する。
【0030】
まず、取付板3については、ネジ体40を利用して壁面9に固定させる。次いで、図5(a)に示すように、リモコン装置本体1の突縁部14の幅方向中央部を係入用凹溝部33に係入させることにより、リモコン装置本体1の背面側を取付板3に対面させる(図6(a)も参照)。この状態においては、前記係入部分を中心として、リモコン装置本体1を前後方向(図5(a)の矢印N1方向)に揺動させることが可能であり、配線コードCを孔部90内に対してその正面から押し込むようにして、リモコン装置本体1を取付板3に接近させることができる。また、この接近により、図5(b)および図6(b)に示すように、突起13を孔部34に挿入させる。突起13は、孔部34に挿入されていない自然状態においては孔部34の幅よりも太いサイズであるが、その先端部にはこの突起13を先細状とする傾斜面13cが形成されているために、孔部34に対してその先端部からスムーズに嵌入させることができる。前記係入部分を支点としてリモコン装置本体1を取付板3に接近させる際には、突起13が前記係入部分を中心とする円弧軌跡を描きながら孔部34に向けて進行する。これに対し、孔部34は上下方向に延びた長孔とされ、またその上部が開口した切欠き状であるために、円弧軌跡で進行してくる突起13を取付板3の孔部34以外の部分に不当に干渉させるようなことなく、孔部34内に適切に挿入させることができる。
【0031】
突起13が孔部34に挿入された状態においては、この突起13の水平方向の幅が縮小するように変形し、その弾発力によってこの突起13の各分割突起部13bが孔部34の縁部に圧接する。その結果、突起13が孔部34から容易に抜け外れないようになる。一方、リモコン装置本体1の下部は、係入用凹溝部33に係入して保持されている。このようなことから、リモコン装置本体1の仮固定が適切に図られ、リモコン装置本体1が不用意に落下するといった不具合は適切に回避される。また、リモコン装置本体1の重量は突出部33aによって受けられており、突起13には大きく作用しないために、突起13の保護も好適に図られる。取付板3の突出部33aは、たとえば図4の仮想線で示すような配置とされ、筐体11の下面部に当接するが、この突出部33aの幅(図3に示した係入用凹溝部33の幅L2と同一)は、一対の孔部34および突起13の間隔L1よりも大きいために、リモコン装置本体1を上下方向にがたつきを生じないようにその姿勢を安定させるのに好ましいものとなる。なお、このような構成に代えて、たとえば図7に示すような構成とすることもできる。同図に示す構成においては、取付板3の突出部33aの幅方向両端のエッジ部33a’を、突縁部14の傾斜した一対の壁部14bに当接させている。このような構成であっても、リモコン装置本体1を安定させて支持することが可能である。
【0032】
前記したようにリモコン装置本体1を安定させた状態に仮固定させれば、その後にネジ体41を利用してリモコン装置本体1を取付板3に固定させる場合に、リモコン装置本体1を手で把持するような必要がなくなり、その作業が容易化される。また、この固定作業時においては、次に述べるような効果も得られる。すなわち、突起13は、水平方向に弾性変形可能であるために、リモコン装置本体1を左右水平方向に押圧し、この突起13を同方向に変形させることによって、リモコン装置本体1を取付板3に仮固定させたまま左右水平方向に変位させることが可能である。したがって、リモコン装置本体1のネジ体挿通用孔12と取付板3のネジ孔32とが左右水平方向に位置ずれしていたとしても、それらの位置合わせを行なって、適正なネジ止めが可能となる。リモコン装置本体1を取付板3に固定させた後には、化粧カバー2をリモコン装置本体1に取り付けることにより、図1に示したような態様でのリモコン装置Aの取り付けが完了する。
【0033】
このように、本実施形態のリモコン装置の取付け構造によれば、リモコン装置本体1を取付板3に対して簡易な作業によって安定的に仮固定させることができ、リモコン装置Aの取り付け作業が容易化される。また、本実施形態によれば、図5(b)および図6(b)に示すように、取付板3に対してリモコン装置本体1を接触または接近させることができ、リモコン装置本体1が取付板3の正面に大きく嵩張った不体裁な状態に取り付けられることも適切に回避することが可能である。リモコン装置Aの取り付け後においては、メンテナンスなどを目的としてこのリモコン装置Aを壁面9から取り外す場合があるが、リモコン装置本体1の仮固定状態は、このリモコン装置本体1を取付板3の前方に引っ張って突起13を孔部34から抜脱させることによって簡単に解除される。したがって、仮固定状態を解除するのに特殊な工具を用いたり、あるいは特殊な操作を行なう必要もなく、リモコン装置本体1の取り外し作業が煩雑化するといった不具合もない。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るリモコン装置の取付け構造の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0035】
上述した実施形態においては、突起に弾性を具備させる手段として、突起にスリットを形成しているが、このスリットは複数であってもよい。また、スリットの形状をたとえば断面十字状として1つの突起を4分割するなど、スリットの形状を種々の形状にすることもできる。さらに、突起に弾性を具備させる手段としては、スリットを形成する手段以外に、たとえば弾性部材を用いて突起を形成するといった他の手段を採用することもできる。
【0036】
突起が挿入される孔部は、前記した実施形態では、上部が開口した切欠き状の長孔とされているが、これに代えて、非切欠き状の孔として形成することも可能である。また、上述の実施形態では、突起をリモコン装置本体に形成し、かつ孔部を取付板に形成しているが、これとは反対に、突起を取付板に形成し、かつ孔部をリモコン装置本体に形成した構成とすることもできる。取付板の係入用凹溝部は、リモコン装置本体の重量を取付板によって受けるという観点からすると、取付板の下部に形成し、リモコン装置本体の下部を係入させることが好ましいものの、やはり本発明はこれとは異なる構成とすることができる。たとえば、係入用凹溝部が取付板の上部または水平方向一端部に形成される一方、突起および孔部がリモコン装置本体や取付板の下部または水平方向他端部に設けられた構成とすることもできる。
【0037】
取付板は、リモコン装置本体を壁面に取り付けるためのベースとなる部材であり、その具体的な形状や材質などは限定されない。この取付板は、複数の部材を用いて構成することもできる。本発明でいうリモコン装置本体とは、リモコン装置の主要部をなす部分であり、その具体的な構成はとくに限定されるものではない。本発明は、給湯器用のリモコン装置に限らず、壁面に取付けられる種々のリモコン装置の取り付けに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明が適用されたリモコン装置の取付け構造の一例を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示すリモコン装置の取付け構造の分解斜視図である。
【図3】取付板の一例を示す斜視図である。
【図4】(a)は、リモコン装置本体の一例を示す正面図であり、(b)は、(a)のIV−IV断面図である。
【図5】(a)は、リモコン装置本体を取付板に取り付ける前の状態を示す要部側面断面図であり、(b)は、リモコン装置本体を取付板に取り付けた後の状態を示す要部側面断面図である。
【図6】(a)は、リモコン装置本体を取付板に取り付ける前の状態を示す要部平面断面図であり、(b)は、リモコン装置本体を取付板に取り付けた後の状態を示す要部平面断面図である。
【図7】本発明の他の例を示す要部正面断面図である。
【符号の説明】
【0039】
A リモコン装置
C 配線ケーブル
1 リモコン装置本体
3 取付板
9 壁面
12 ネジ体挿通孔(孔部)
13 突起
13a スリット
13c 傾斜面
32 ネジ孔(孔部)
33 係入用凹溝部
33a 突出部
33b 起立部
34 孔部
41 ネジ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の壁面に取り付けられる取付板と、
この取付板の正面に配されるようにしてこの取付板に取り付けられるリモコン装置本体と、
前記取付板に設けられ、かつ前記リモコン装置本体の外周縁の一部を係入させるための係入用凹溝部と、
を備えている、リモコン装置の取付け構造であって、
前記リモコン装置本体および前記取付板の一方には、切欠き状または非切欠き状の孔部が設けられているとともに、他方には、前記リモコン装置本体の外周縁の一部が前記係入用凹溝部に係入している状態において前記孔部に挿入可能な突起が設けられており、
この突起は、その直径または幅が拡縮可能に弾性を有しており、かつこの突起が前記孔部に挿入したときには、この突起が圧縮変形してその外周面が前記孔部の縁部に圧接するように構成されていることを特徴とする、リモコン装置の取付け構造。
【請求項2】
前記突起は、その先端部から基端側に向けて延びる1または複数のスリットを備えていることにより前記弾性を有しており、
前記突起の先端部には、この先端部が前記孔部に嵌入されるときに前記孔部の縁部に接触してこの突起の直径または幅を縮小させるための傾斜面が形成されている、請求項1に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項3】
前記リモコン装置本体の背面側には配線コードが接続され、かつ前記取付板には、前記配線コードを通すための開口部が形成されており、
前記リモコン装置本体は、その外周縁の一部を前記係入用凹溝部に係入させた状態において、この係入部分を支点として前記取付板と対面する方向に揺動可能であるとともに、前記リモコン装置本体の背面部全体を前記取付板に接近させることにより前記突起を前記孔部に嵌入可能な構成とされている、請求項1または2に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項4】
前記取付板の係入用凹溝部は、前記取付板の下部から前方に突出して水平方向に延びる突出部、およびこの突出部の前端から上向きに起立する起立部によって規定されており、かつ前記リモコン装置本体は、その下部が前記突出部上に載置されることによってその重量が受けられる構成とされ、
前記突起および孔部としては、前記リモコン装置本体の上部および前記取付板の上部に設けられて水平方向に間隔を隔てて並ぶ一対の突起および一対の孔部が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項5】
前記突出部の水平方向の幅は、前記一対の突起および一対の孔部の間隔よりも大きくされている、請求項4に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項6】
前記リモコン装置および前記取付板のそれぞれには、前記リモコン装置をネジ体を用いて前記取付板に固定させるための孔部が設けられているとともに、
前記各突起は、水平方向に弾性変形可能である、請求項4または5に記載のリモコン装置の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−187069(P2008−187069A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20430(P2007−20430)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(503116659)ノーリツエレクトロニクステクノロジー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】