説明

リモコン装置

【課題】 複数の表示部を備えたリモコン装置において、前記複数の表示部の点滅周期を同期させることが可能なリモコン装置を提供する。
【解決手段】 操作部2の操作による設定の変更や表示部3の表示内容を演算処理する制御部4とを備えたリモコン装置1において、複数の表示部3にて点滅表示を行うための点滅周期を生み出す通常点滅用タイマ6と、操作部2の操作によって始動し、複数の表示部3の少なくとも一つの表示部3bにて一定期間点滅表示を行うための点滅周期を生み出す一定期間点滅用タイマ7とを備え、制御部4は、操作部2の操作により通常点滅用タイマ6から一定期間点滅用タイマ7に切り換えて一定期間点滅用タイマ7による一定期間点滅を行い、一定期間点滅表示後に、一定期間点滅用タイマ7から通常点滅用タイマ6に切り換えて通常点滅用タイマ6による点滅表示に戻すものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機等の遠隔制御に用いられるリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリモコン装置は、表示部と、この表示部を点滅させる点滅手段を有するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと言う)を備えており、例えば、空調機が故障するなど前記空調機の状態に変化が生じた場合に、前記表示部を点滅させて、故障発生状態であることを使用者に注意喚起するものであった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−272097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリモコン装置では、例えば、前記空調機の状態(前記リモコン装置の状態も含む)を使用者に注意喚起するため前記表示部を点滅させているとき(仮に、第1の点滅周期と言い、この周期は、点灯が0.5秒、消灯が0.5秒)に、さらに、別の注意喚起を行うために前記表示部を点滅させる場合(仮に、第2の点滅周期と言い、第1の点滅周期と点滅周期が同一)に、別の注意喚起を行う事項を発端として、前記マイコンは、前記点滅手段の周期を再スタートさせ、前記表示部を一定期間点滅(第2の点滅周期)とした後、周期を変更することなく前記表示部の点滅(第1の点滅周期)を継続するものであった。
【0005】
前記リモコン装置が、前記表示部を、複数、例えば、第1の表示部、第2の表示部とし、2つ備え、かつ、前記各表示部に前記点滅手段を設けていた場合、前記各表示部が、前記第1の点滅周期で、同期して点滅している状態で、仮に一方の表示部に対して、別の注意喚起を行うために前記表示部を点滅させると、前記一方の表示部の前記点滅手段の周期を再スタートさせて、前記表示部を一定期間点滅(第2の点滅周期)とした後、周期を変更することなく前記表示部を点滅(第1の点滅周期)とした場合に、前記第1、第2の表示部の点滅が、同期せず、見栄えが悪く、効果的な注意喚起ができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、複数の表示部を備えたリモコン装置において、前記複数の表示部の点滅周期を同期させることが可能なリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリモコン装置は、運転モードや設定温度の変更などを行う操作部と、現在の運転モードや設定温度などを表示する複数の表示部と、前記操作部の操作による設定の変更や前記表示部の表示内容を演算処理する制御部とを備えたリモコン装置において、前記複数の表示部にて点滅表示を行うための点滅周期を生み出す通常点滅用タイマと、前記操作部の操作によって始動し、前記複数の表示部の少なくとも一つの表示部にて一定期間点滅表示を行うための点滅周期を生み出す一定期間点滅用タイマとを備え、前記制御部は、前記操作部の操作により前記通常点滅用タイマから前記一定期間点滅用タイマに切り換えて前記一定期間点滅用タイマによる一定期間点滅を行い、一定期間点滅表示後に、前記一定期間点滅用タイマから前記通常点滅用タイマに切り換えて前記通常点滅用タイマによる点滅表示に戻すものである。
【0008】
また、前記通常点滅用タイマを前記制御部に設けたものである。
【0009】
また、前記一定期間点滅用タイマを前記制御部に設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の表示部を備えたリモコン装置において、前記複数の表示部の点滅周期を同期することが可能なリモコン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態のブロック図。
【図2】同実施形態の表示部の動作を示すタイミングチャート。
【図3】同実施形態の処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。
【0013】
本発明の実施形態の説明は、空気調和機を遠隔操作するリモコン装置1に基づいて行う。本実施形態のリモコン装置1は、前記空気調和機の運転モードや設定温度の変更などを行う操作部2と、現在の運転モードや設定温度や使用者への注意喚起などを表示する表示部3と、操作部2の操作による設定の変更や表示部3の表示内容を演算処理する制御部4とを備えている。また、制御部4は、中央処理装置(以下、CPUという)5と、通常点滅用タイマ6と、一定期間点滅用タイマ7と、表示部用バッファ8とを備えている。なお、9は、水晶振動子である。
【0014】
操作部2は、前記空気調和機の運転モードや設定温度の変更などを行うために、複数のボタン2aを備えている。使用者が操作したボタン2aに応じた信号を制御部4へ伝えるものである。
【0015】
表示部3は、本実施形態では、第1の表示部3aと第2の表示部3bとからなる複数の表示部で構成されている。各表示部3a、3bとも、日の字型に発光ダイオード(以下、LEDという)を配置した7セグメントLED3a1、3b1〜3b4を備えている。7セグメントLED3a1、3b〜3b4は、個々のセグメントを構成するLEDが、制御部4に接続されている。第1の表示部3aは、前記空気調和機の運転モードなどを表示するものであり、第2の表示部3bは、設定温度や使用者への注意喚起などを表示するものである。
【0016】
本実施形態では、第1の表示部3aは、空気調和機の運転モードを表示するものであり、第2の表示部3bは、空気調和機の運転状況や設定温度を切り換えて表示するものである。
【0017】
制御部4は、マイクロコンピュータで構成されており、CPU5やメモリ8などを備えており、本実施形態では、複数のタイマを内蔵している。本実施形態では、通常点滅用タイマ6と、一定期間点滅用タイマ7とを備えている。
【0018】
通常点滅用タイマ6は、8ビットタイマからなり、水晶発振子9を用いた信号から作り出された時間をカウントし、第1、第2の表示部3a、3bを点滅表示するために、点滅の周期を計測するものである。本実施形態の表示部3a、3bの点滅の周期は、1Hzであり、0.5秒の点灯と0.5秒の消灯を繰り返すものである。
【0019】
一定期間点滅用タイマ7も通常点滅用タイマ6と同様で、第2の表示部3aのみを点滅表示するために、点滅の周期を計測するものである。本実施形態の第2の表示部3bの点滅の周期は、1Hzであり、0.5秒の点灯と0.5秒の消灯を繰り返すものである。
【0020】
表示部用バッファ8は、CPU5で演算し求めた表示部3a、3bの表示用データを一時的に保存しておくものである。
【0021】
次に、本実施形態のリモコン装置1の処理と動作について、図2、3を用いて説明する。
【0022】
リモコン装置1の処理は、開始してステップS1で、通常点滅用タイマ6を起動する。ステップS2で、前記空気調和機やリモコン装置1の状態をサンプリングする。
【0023】
ステップS3では、ステップS2で検知した状態が、通常周期で点滅して表示するか否かを判定する。点滅して表示する場合は、YESで、ステップS4へ進み、点滅せずに表示する場合は、NOで、ステップS5へ進む。
【0024】
ステップS4では、CPU5が生成し、表示用バッファ8に保存した表示用データを通常点滅用タイマ6の周期によって点灯と消灯を行う設定とする。
【0025】
ステップS5では、ステップS2で検知した状態が、一定期間点滅して表示するか否かを判定する。点滅して表示する場合は、YESで、ステップS6へ進み、点滅せずに表示する場合は、NOで、ステップS11へ進む。
【0026】
ステップS6では、一定期間点滅用タイマ7が起動中であるか否かを判定する。起動していない場合はNOで、ステップS7へ進み、起動中の場合はYESで、ステップS8へ進む。
【0027】
ステップS7では、一定期間点滅用タイマ7を起動する。
【0028】
ステップS8では、一定期間点滅用タイマ7が、起動してから一定期間(2秒)を経過したか否かを判定する。一定期間が経過していない場合は、NOで、ステップS9へ進み、一定期間が経過した場合は、YESで、ステップS11へ進む。
【0029】
ステップS9では、CPU5が生成し表示用バッファ8に保存した表示用データを一定期間点滅用タイマ7の周期によって点灯と消灯を行う設定とする。
【0030】
ステップS10では、表示用バッファ8に保存した表示用データを設定した点滅タイマの周期によって、点灯と消灯を行う。
【0031】
ステップS11では、一定期間点滅用タイマ7を停止し、ステップS10へ進む。
【0032】
次に、リモコン装置1の動作について、以下の状況を例にとって、説明する。
【0033】
リモコン装置1と前記空気調和機との状況は、以下のとおりである。前記空気調和機の状況は、霜取り状態であり、リモコン装置1は、第1の表示部3aが、「−」を点滅表示し、第2の表示部3bが、「−DF−」を点滅表示し、霜取り状態を報知中に、リモコン装置1の操作部2を操作したが、リモコン装置1が、操作部2の操作を無効と判断し、操作部2の操作を受け付けないという状況を、第2の表示部3bにて「−−−−」という点滅表示によって報知するという状態である。
【0034】
以下、リモコン装置1の動作について、時間の経過に沿って説明する。
【0035】
操作部2の操作が、行われる以前の状況について説明する。リモコン装置1は、ステップS2で、前記空気調和機が、霜取り状態であることを検知する。
【0036】
ステップS3で、前記空気調和機の霜取り状態は、通常周期で点滅して表示する場合に該当するので、ステップS4へ進み、ステップS4で、CPU5が生成し表示用バッファ8に保存した表示用データを通常点滅用タイマ6の周期によって点灯と消灯を行う設定とする。なお、表示用データは、第1の表示部3aが、「−」で、第2の表示部3bが、「−DF−」である。
【0037】
ステップS5の判定で、NOと判定し、ステップS11へ進む。
【0038】
ステップS11で、一定期間点滅用タイマ7を停止し、ステップS10へ進む。
【0039】
ステップS10にて、表示用バッファ8に保存した表示用データを設定した通常点滅用タイマ6の周期によって、第1、第2の表示部3a、3bの表示部の点灯と消灯を同期させて行う。
【0040】
次に、操作部2が操作された時について説明する。リモコン装置1は、ステップS2で、前記空気調和機が、霜取り状態であることと、リモコン装置1の操作部2が操作されたことを検知する。ステップS3、ステップS4は、同一の処理を行うので、説明は省略し、ステップS5の処理を説明する。
【0041】
ステップS5では、前記空気調和機の霜取り状態では、操作部2の操作を受け付けず、操作無効を一定期間の点滅によって表示する場合に該当するために、YESと判定し、ステップS6へ進む。
【0042】
ステップS6では、一定期間点滅用タイマ7が起動中でないと判定し、ステップS7へ進む。
【0043】
ステップS7では、一定期間点滅用タイマ7を起動する。
【0044】
ステップS8では、一定期間点滅用タイマ7が起動してから一定期間(2秒)を経過していないでの、NOと判定し、ステップS9へ進む。
【0045】
ステップS9では、CPU5が生成し表示用バッファ8に保存した表示用データを一定期間点滅用タイマ7の周期によって点灯と消灯を行う設定とする。なお、表示用データは、第1の表示部3aが、「−」で、第2の表示部3bが、「−−−−」である。
【0046】
ステップS10では、表示用バッファ8に保存した表示用データを設定した一定期間点滅用タイマ7の周期によって、第2の表示部3bの点灯と消灯を行い、第1の表示部3aは、通常点滅用タイマ6の周期によって、点灯と消灯を行う。本実施形態では、表示部3の表示内容は、「−−−−」となり、点滅周期は、一定期間点滅用タイマ7の点滅周期に切り替わって点滅する。この時、第1の表示部3aと第2の表示部3bとは、異なる周期にて、点灯と消灯を開始し、2秒間継続する。
【0047】
次に、操作部2が操作されて2秒経過した時について説明する。なお、ステップS2からステップS5は、同一の処理を行うので説明は省略し、ステップS6の処理から説明する。
【0048】
ステップS6では、一定期間点滅用タイマ7が起動中と判定し、ステップS8へ進む。 ステップS8では、一定期間点滅用タイマ7が起動してから一定期間(2秒)を経過したので、YESとなり、ステップS11へ進み、ステップS11で、一定期間点滅用タイマ7を停止し、ステップS10へ進む。
【0049】
ステップS10では、表示用バッファ8に保存した表示用データを設定した通常点滅用タイマ6の周期によって、第1、第2の表示部3a、3bと同期させて点灯と消灯を行う。本実施形態では、第2の表示部3bの表示内容は、「−DF−」となり、点滅周期は、通常点滅用タイマ6の点滅周期に切り替わって点滅する。
【0050】
以上のように構成したことによって、本発明は、複数の表示部3a、3bを備えたリモコン装置1において、複数の表示部3a、3bの点滅周期を同期することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、複数の表示部を備え、複数の表示部において、点滅表示するリモコン装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 リモコン装置
2 操作部
2a ボタン
3 表示部
3a 第1表示部
3a1 7セグメントLED
3b 第2表示部
3b1〜3b4 7セグメントLED
4 制御部
5 CPU
6 通常点滅用タイマ
7 一定期間点滅用タイマ
8 表示用バッファ
9 水晶振動子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードや設定温度の変更などを行う操作部と、現在の運転モードや設定温度などを表示する複数の表示部と、前記操作部の操作による設定の変更や前記表示部の表示内容を演算処理する制御部とを備えたリモコン装置において、前記複数の表示部にて点滅表示を行うための点滅周期を生み出す通常点滅用タイマと、前記操作部の操作によって始動し、前記複数の表示部の少なくとも一つの表示部にて一定期間点滅表示を行うための点滅周期を生み出す一定期間点滅用タイマとを備え、前記制御部は、前記操作部の操作により前記通常点滅用タイマから前記一定期間点滅用タイマに切り換えて前記一定期間点滅用タイマによる一定期間点滅を行い、一定期間点滅表示後に、前記一定期間点滅用タイマから前記通常点滅用タイマに切り換えて前記通常点滅用タイマによる点滅表示に戻すことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記通常点滅用タイマを前記制御部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記一定期間点滅用タイマを前記制御部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のリモコン装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−2364(P2012−2364A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134677(P2010−134677)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】