説明

リモコン送信器

【課題】照明器具のように天井面などの高所に設置された器具に対しても、利便性の高いリモコン送信器を提供する。
【解決手段】リモコン送信器10は、照明器具のように高所に設置された器具を遠隔操作するための光信号を照射する第一発光部2及び第二発光部3と、送信器本体1の操作面に設けられた操作部4とを備える。送信器本体1の操作面を上側に向けた状態で操作部4を操作すると、第一発光部2の発光素子2a、2bから上方に向けて光信号が出力され、第二発光部3の発光素子3a〜3bから前方に向けて光信号が出力される。発光素子2a、2bの指向特性を決定する角度θaは、発光素子3a〜3cの指向特性を決定する角度θbよりも大きな値に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば照明器具などを操作するのに用いられるリモコン送信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば照明器具などの種々の器具を遠隔から操作するためのリモコン送信器が提供されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の照明制御ユニットでは、光源を制御する為の制御回路に制御用の信号を送信するリモコンを備えており、使用者がこのリモコンの表面に設けられたスイッチを操作することで、光源からの光出力が調整される。
【0003】
また特許文献1に記載されたリモコンのリモコン本体は板状をなし、一端側の端面に赤外線で通信を行う為の送信部が設けられており、この端面と直交する側面に操作用のスイッチが設けられている。すなわち、使用者がこのリモコン送信器を使用する場合には、リモコン本体を手に持ち、送信部が設けられた端面を操作対象の器具に向けてスイッチを押し操作することで、送信部から赤外線による制御信号が器具に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−63742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作対象となる器具が壁面などの低所に設置されている場合には、リモコン送信器を机などに置いた状態であっても、送信部からの信号を器具で受信可能な場合がある。この場合には、リモコン本体を手で持ち上げることなく、スイッチを押し操作して、器具を遠隔からリモコン操作することが可能である。
【0006】
しかしながら、照明器具のように天井面などの高所に設置された器具を操作対象とした場合、リモコン送信器を机などに置いた状態のままでは、送信部からの信号を高所に設置された器具で受信することはできなかった。そのため、リモコン送信器を手に持ってからスイッチを押し操作する必要があり、利便性が高いとはいえなかった。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、照明器具のように天井面などの高所に設置された器具に対しても、利便性の高いリモコン送信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願のリモコン送信器は、器具本体の一側面となる操作面に設けられた操作部と、操作部からの操作に応じて器具を制御する為の光信号を照射する第一発光素子及び第二発光素子とを備え、第一発光素子は、操作面を上側に向けた状態で上方に向けて光信号を照射し、第二発光素子は、操作面を上側に向けた状態で側方に向けて光信号を照射し、第一発光素子の指向特性が、第二発光素子の指向特性よりも広角に設定されていることを特徴とする。
【0009】
このリモコン送信器において、第二発光素子の出力は、第一発光素子からの出力よりも大きいことが好ましい。
【0010】
また上述のリモコン送信器において、制御信号は照明器具を制御するための照明制御信号であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本願のリモコン送信器によれば、特に照明器具のように天井面などの高所に設置された器具に対して、遠隔から操作する際の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願の実施の形態にかかるリモコン送信器を示す概略側面図である。
【図2】同リモコン送信器を示す概略上面図である。
【図3】同リモコン送信器の前方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本願の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態にかかるリモコン送信器10は、天井面のような高所に設置された照明器具(図示せず)を遠隔から操作するための装置である。このリモコン送信器10を使用者が操作することにより、照明器具の調光制御回路(図示せず)へ制御用の光信号を送信し、照明器具を点灯又は消灯させたり、点灯レベルの調整をしたりする。なお以下の説明においては、図1における上下をリモコン送信器10の上下とし、図1の右側をリモコン送信器10の前方側として説明を行う。
【0014】
リモコン送信器10は、図1乃至図3に示すように、送信器本体1と、この送信器本体1から所定の方向に光信号を出力する第一発光部2及び第二発光部3とを備える。第一発光部2及び第二発光部3は、それぞれ、送信器本体1に収納された回路基板6の表面に実装され、その一部が送信器本体1から露出した状態で、送信器本体1に収納されている。この回路基板6には、制御回路(図示せず)が実装されており、制御回路は、後述する操作部4の操作入力に応じて、第一発光部2及び第二発光部3の両方から光信号を出力させる。
【0015】
送信器本体1は、例えば樹脂成形品からなり、内部に回路基板6を収納するための空間を有する略箱状に形成されている。また送信器本体1の後方側における上下方向の寸法は、前方側における上下方向の寸法よりも長い寸法に設定されている。これにより、送信器本体1の後方側には、回路基板6の表面に実装された制御回路の動作用電源となる乾電池を収納するための空間が形成される。また送信器本体1の上面には、後述する発光素子2a、2bや、操作部4及び表示部5の一部を露出するための開口(図示せず)が必要に応じて設けられている。すなわち、送信器本体1は図1に示す向きで置かれた状態で、上面が操作面となるよう設定されている。
【0016】
第一発光部2は、何れも赤外線からなる光信号を照射する2つの発光素子2a、2bからなり、発光素子2a、2bは、何れもリモコン送信器10の上方に光信号を出力するよう設定されている。より具体的には、発光素子2a、2bは、リモコン装置3の下面の法線を中心軸として(図1の軸A)、この軸Aと母線との角度が角度θaとなる略円錐状の範囲に光信号を照射するよう設定している。すなわち、第一発光部2は、リモコン送信器10の操作面を上にして机などに置いた場合に、発光素子2a、2bからの光信号がリモコン装置3の真上を中心とする範囲に照射されるよう設定されている。なお、第一発光部2を構成する発光素子2a、2bは、その個数を2個に限定するものではなく、1個でも良いし、3個以上であっても良い。
【0017】
第二発光部3は、何れも赤外線からなる光信号を照射する3つの発光素子3a〜3cからなり、発光素子3a〜3cは、何れもリモコン送信器10の前方に光を照射するよう設定されている。より具体的には、リモコン装置3の下面と平行な線を中心軸として(図1の軸B)、この軸Bと母線との角度が角度θbとなる略円錐状の範囲に光が照射されるように設定されている。なお、第二発光部3を構成する発光素子3a〜3cは、その個数を3個に限定するものではなく、1個乃至2個でも良いし、また、4個以上であっても良い。
【0018】
なお、発光素子2a、2bの指向特性(指向角)を決定する軸Aとの角度θaは、発光素子3a〜3cの指向特性を決定する軸Bとの角度θbよりも大きな値に設定されている。また、発光素子3a〜3cからの光出力は、発光素子2a、2bからの光出力よりも高い値に設定されている。
【0019】
操作部4は、照明器具を遠隔から操作する操作内容に合わせて設けられた複数のボタンからなり、本実施の形態では、送信器本体1の操作面にボタン4a〜4cが少なくとも配置されている。ここで、ボタン4aは、照明器具の点灯・消灯を切り替えるための「点灯/消灯ボタン」であり、ボタン4bは、照明器具の点灯レベルを下げる「調光下げボタン」であり、ボタン4cは、照明器具の点灯レベルを上げる「調光上げボタン」である。これらのボタン4a〜4cの何れかを押し操作することで、各々のボタン4a〜4cに対応する光信号が第一発光部2及び第二発光部3から出力される。なお、各ボタン4a〜4cの周囲又は表面には、各々の機能が理解できるように、「点灯/消灯」「明るく」「暗く」などの文字や、ピクトグラムが印字されている。
【0020】
またリモコン送信器10は、使用者により設定された点灯開始時刻になると自動的に照明器具を点灯させる光信号を出力する「留守番機能」や、所定の点灯継続時間が経過すると照明器具を消灯させる光信号を出力する「タイマー機能」を備えている。これらの機能を実現するため、送信器本体1の操作面に表示部5が設けられている。
【0021】
表示部5は、「留守番機能」の点灯開始時刻や「タイマー機能」の点灯継続時間を表示する液晶パネル5aや、点灯開始時刻及び点灯継続時間を設定するための操作ボタン5b〜5dを構成要素として備えている。使用者は、液晶パネル5aに表示された文字情報などを確認しながら、操作ボタン5b〜5dを操作することで、点灯開始時刻や点灯継続時間を設定するとともに、「留守番機能」や「タイマー機能」の有効・無効を切り替えることができる。
【0022】
このリモコン送信器10を使用者が手に持った状態で照明器具の調光レベルを下げ操作するには、リモコン送信器10の前方側を照明器具に向けて操作部4のボタン4bを押し操作する。これにより、調光レベルを下げる光信号が第一発光部2及び第二発光部3から出力され、第二発光部3から出力された光信号が照明器具に届いて照明器具の調光レベルが1段階低い調光レベルに切り替わる。すなわち、使用者は従来のリモコン送信器を用いて照明器具を遠隔操作する際と同じように、リモコン送信器10を用いて遠隔操作することができる。
【0023】
また、このリモコン送信器10の操作面を上に向けて床や机に置いた状態で、照明器具の調光レベルを下げ操作するには、使用者がリモコン送信器10を置いたままの状態で、操作部4のボタン4bを押し操作する。これにより、調光レベルを下げる光信号が第一発光部2及び第二発光部3から出力される。ここで、第一発光部2から出力された光信号は、リモコン送信器10の真上を中心とする所定の範囲まで到達し、この範囲に設置された照明器具がこの光信号を受信して、照明器具の調光レベルが1段階低い調光レベルに切り替わる。これにより、使用者が手でリモコン送信器10を持ち上げることなく、照明器具を遠隔操作することができる。
【0024】
なお、上述の「留守番機能」や「タイマー機能」を使用する際には、表示部5を用いて設定をした後、リモコン送信器10の操作面を上に向けて床や机に置いておく。これにより、「留守番機能」では点灯開始時刻になった時点で、「タイマー機能」では点灯継続時間が経過した時点で、照明器具を点灯又は消灯させる光信号が第一発光部2及び第二発光部3の両方から出力される。ここで、第一発光部2から出力された光信号は、リモコン送信器10の真上を中心とする所定の範囲まで到達し、この範囲に設置された照明器具がこの光信号を受信して点灯又は消灯する。すなわち、リモコン送信器10の操作面を上に向けて床や机に置いておけば、照明器具が「留守番機能」や「タイマー機能」を有していない場合でも、照明器具の点灯状態を時間経過に応じて制御することが可能となる。
【0025】
このようにして、照明器具のように天井面などの高所に設置された器具を遠隔操作する場合において、床や机にリモコン送信器10を置いたままの状態で遠隔操作することが可能となり、利便性を高めることができる。
【0026】
また、発光素子2a、2bの指向特性を決定する軸Aとの角度θaは、発光素子3a〜3cの指向特性を決定する軸Bとの角度θbよりも大きな値に設定されている。これにより、リモコン送信器10を床や机に置いた場合では、上方の広い範囲に光信号が照射されるので、使用者が遠隔操作の対象となる器具にリモコン送信器10を向けなくても、確実に光信号を器具に送信することができる。また角度θbが狭いので、遠隔操作の対象となる器具に向けてリモコン操作を行った場合に、他の器具で光信号が受信される可能性が低くなる。なお、角度θaは、その下限値を25°とすることが好ましく、上限値を90°とすることが好ましい。また、角度θbは、角度θaよりも小さな角度で、その下限値を4°とすることが好ましく、上限値を25°とすることが好ましい。
【0027】
また、発光素子3a〜3cからの光出力は発光素子2a、2bからの光出力よりも高いため、使用者が遠隔操作の対象となる器具の直下からは遠い位置に居る場合でも、リモコン送信器10の前方を器具に向けることで光信号を器具まで届かせることができる。これにより、使用者と遠隔操作の対象となる器具との距離や位置関係に関わらず、光信号が器具に届く可能性を高めて利便性を向上させることができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、リモコン送信器10による遠隔操作の対象となる器具として、調光機能を有する照明器具を用いて説明を行ったが、例えばエアコンのように高所に設置される器具に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 リモコン送信器
1 送信器本体
2 第一発光部
2a、2b 発光素子(第一発光素子)
3 第二発光部
3a〜3c 発光素子(第二発光素子)
4 操作部
5 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体の一側面となる操作面に設けられた操作部と、前記操作部からの操作に応じて器具を制御する為の光信号を照射する第一発光素子及び第二発光素子とを備え、前記第一発光素子は、前記操作面を上側に向けた状態で上方に向けて前記光信号を照射し、前記第二発光素子は、前記操作面を上側に向けた状態で側方に向けて前記光信号を照射し、前記第一発光素子の指向特性が、前記第二発光素子の指向特性よりも広角に設定されていることを特徴とするリモコン送信器。
【請求項2】
前記第二発光素子の出力は、前記第一発光素子からの出力よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のリモコン送信器。
【請求項3】
前記制御信号は、照明器具を制御するための照明制御信号であることを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載のリモコン送信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−227747(P2012−227747A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93791(P2011−93791)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】