説明

リモートコンソール機構を備えたサーバシステム

【課題】
1つ以上のサーバモジュールを搭載可能なサーバシステムにおいて、ローカルコンソール装置の軽減し、システムの構築、変更時の管理を容易なサーバシステムを提供する。また、全てのサーバモジュールにそれぞれコンソール装置を装備する場合と同等以上の利便性を提供する。
【解決手段】
1つ以上のサーバモジュール10と管理モジュール20が実装されるサーバシステム1において、サーバモジュール10にKVM変換コントローラ103と管理モジュール20にネットワークスイッチ203を装備し、管理モジュール20がネットワーク構成、コンソール使用ユーザ情報、KVM構成管理を行うことで、柔軟なコンソール環境の提供を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1つ以上のサーバモジュールを操作するためのリモートコンソール機構を装備したサーバシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つ以上のサーバモジュールの操作を1組のコンソール装置で集約する場合、1組のコンソール装置(ディスプレイ装置、キーボード、マウス)をKVM(Keyboard,Video,Mouse)切替え装置を介して複数のサーバモジュールのビデオコネクタ、キーボードコネクタ、マススコネクタと接続し、操作対象のサーバモジュールをKVM切替え装置で切替えながら使用することが一般的であった。
【0003】
また、これらKVM信号をサンプリングし、LAN上のパケットに変換することでリモート端末(PC等)のディスプレイ装置、キーボード、マウスをあたかもサーバローカルなディスプレイ、キーボード、マウスとして使用可能となっている。
【0004】
そして、従来のブレードシステムでは管理モジュールに上述のKVM切替機構とKVM−ネットワーク変換機構を持ち、リモート端末からサーバモジュール選択指示を行い、選択された1つのサーバモジュールの画面をリモート端末に表示することで複数サーバモジュールの遠隔操作を可能としていた。
【0005】
【特許文献1】特開2005−149100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のブレードシステムにおいては、管理モジュールのKVM切替機構とKVM−ネットワーク変換機構を使用するために、1つのリモート端末から1つサーバモジュールを操作している場合、他のリモート端末から他のサーバモジュールの操作を行うことはできず、ある特定の時間帯に着目すると管理モジュールで集約されている複数のサーバモジュールの内、操作可能なサーバモジュールは1台に制限される。
【0007】
また、リモート端末からのユーザ認証、アカウント管理においても管理モジュールで一元的に管理されるため、ユーザ認証、アカウント管理をそれぞれのサーバモジュール(システム)毎に管理することは困難である。
【0008】
また、複数サーバモジュールの内、1つのサーバモジュールにおいて障害発生などで保守作業が必要になった場合も、この復旧作業中は他のサーバモジュールに対する操作は制限される場合が多い。
【0009】
本発明は、ブレードシステムにおいて複数のリモート端末から複数のサーバモジュールへの操作を可能とすることで個別にローカルコンソールを配置した場合の利便性を維持しつつブレードシステム特有のケーブルレス及び運用の効率化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的を達成するために、本発明は請求項1記載のように1つ以上のサーバモジュールとリモート端末との接続を管理する管理モジュールを有するサーバシステムであって、それぞれのモジュールを接続する配線を配置された基板を備えた筐体を有することによって、コンソール装置接続に必要なケーブルを外部ネットワークに接続するためのケーブルのみとすることで、コンソール構築が容易となる。また、管理モジュールとそれぞれのモジュールとの接続を共通にし、それぞれのモジュールはモジュール単位で挿抜が可能とするとで、サーバモジュール増設などのシステム変更も他サーバモジュールの電源停止などを伴わず可能なため容易に対応できる。
【0011】
また、本発明は請求項3記載のKVM−ネットワーク変換機構を各サーバモジュールに搭載し、請求項2記載のネットワーク管理機能をもった管理モジュールとを接続し、このネットワーク管理機構を経由して外部ネットワークと接続するよう構成することによって、それぞれのサーバモジュールとそれぞれのリモート端末とを必要なときに接続可能となる。これにより、それぞれのサーバモジュールを同時に操作可能となりそれぞれのサーバにローカルコンソール設備を設置する場合と同等の利便性を提供する。
【0012】
また、リモート端末はそれぞれのサーバモジュールに対して選択的に接続することが可能なため、ケーブル接続変更などのシステム変更を伴わずにシステムで必要とされるコンソール設備が最少なシステムを構築することが可能である。
【0013】
また、筐体内の各モジュールの構成管理や運用管理を行う管理モジュールに、コンソール管理機能を追加することにより、コールドスタンバイ構成を構築したシステムでサーバモジュールの障害発生時の交替発生時に、それぞれのサーバモジュールに物理的に構成されているコンソール管理情報を交替先サーバモジュールに引継ぐことによって、リモート端末使用者は、交替の発生を意識せず当該システムの操作を継続することが可能となる。
【0014】
また、請求項5記載のネットワーク管理機構を有した管理モジュールにおいて使用用途別に遠隔操作経路を定義、変更を可能とすることで複数のサーバモジュールに対する操作経路を使用用途別に分離することが可能になり、リモート端末の不正使用、操作誤りによるサーバモジュールの誤った操作を防止することが可能である。また、1つ以上のサーバモジュールで保守作業が必要になった場合も、本機能を用いて保守操作対象サーバモジュールと保守操作を行うリモート端末を通常運用経路から分離することによって、正常に稼動している他のサーバモジュールの運用に影響を与えることなく保守作業可能となり、システムの稼働率を向上させることが可能となる
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、システムに必要なコンソール設備を軽減することが可能となり、かつ、システム構築、変更を容易なサーバシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良な形態を図面とともに説明する。
【実施例1】
【0017】
先ず、本発明による実施例1について図1を用いて説明する。図1に示すようにサーバシステム1は1つ以上のサーバモジュール10と筐体内の各モジュールを管理する管理モジュール20を有する。管理モジュール20と各々サーバモジュール10はモジュール間を接続するための配線が配置されたバックプレーン30(基板)にて接続される。
【0018】
サーバモジュール10はコンソール装置を接続するための画面データ出力を制御するVGA(Video Graphics Array)コントローラ101とキーボード、マウス信号の入出力信号を制御するUSB(Universal Serial Bus)コントローラ102を装備し、それらの入出力信号をLAN(Local Area Network)で送受信可能なネットワークアダプタ機能を内蔵したKVM変換コントローラ103と接続される。そしてこのKVM信号を送受信するLANインタフェースは管理モジュールに搭載されたネットワークスイッチ203に接続される。
【0019】
管理モジュール20は、筐体内の状態管理、構成管理を行うモジュールであり、制御用マイコン201と管理情報を保存する記憶装置202、複数の外部ネットワークや筐体内の各々サーバモジュール10とのデータの送受信を行うことを目的としたネットワークスイッチ203を装備し、本ネットワークスイッチ203の構成管理機能によってアクセス経路設定、変更が可能である。
【0020】
また、サーバシステム1はLAN50に管理モジュールを介して接続されており、本LAN50にはリモート端末60が接続される。リモート端末60にはネットワークを介してサーバモジュール10との間で送受信されるKVMデータを自装置のディスプレイ、キーボード、マウス装置に対して実行するプログラムを内蔵する。
【0021】
これらの構成によりリモート端末60aは、LAN50を介して同一ネットワーク上に存在するサーバモジュール10aとリモート端末60bはサーバモジュール10dと各々通信することにより同時にサーバの操作を行うことが可能である。
【0022】
次にKVM変換コントローラ103について詳細に説明する。KVM変換コントローラは、VGAコントローラ102から出力されるビデオデータをサンプリングし、画面データに変更があった場合にネットワークアダプタ機能を介してリモート端末60に出力する。また、リモート端末60のマウス、キーボード操作に伴う制御信号パケットがネットワークアダプタ機能を介して入力され、そのデータをUSBコントローラ102に出力する。また、KVM変換コントローラは接続を許すリモート端末の識別情報、ユーザの識別情報を管理しており、不正なユーザ、端末からの操作要求に関しては操作を許可しない。
【0023】
次に図2を用いてサーバモジュール障害時のシステム交替について説明する。サーバモジュール10aを現用系とサーバモジュール10bを待機系として構成されるコールドスタンバイ構成とする。それぞれのサーバモジュールは共用Disk装置30に搭載されるブートデバイス301を使用してシステム起動可能である。この構成で現用系のサーバモジュール10aにおいて障害が発生すると、サーバモジュール10aを停止させ待機系のサーバモジュール10bをブートデバイス301を使用して起動させることにより業務システムはサーバモジュール10aからサーバモジュール10bに引継がれる。また、サーバモジュール10aのKVM変換コントローラ103にてサーバモジュール単位で個別に管理される上述のリモート端末の管理情報104(識別情報、ユーザの識別情報)は管理モジュール20においても管理され、管理モジュール20は各サーバモジュールのKVM変換コントローラに対してこれらの情報の設定、変更、参照する機能を有する。よって、サーバモジュール10aの障害発生時の待機系サーバモジュール10bにシステム交替に同期して、管理モジュール20が管理情報104の設定、変更機能によりこれらの管理情報をサーバモジュール10aからサーバモジュール10bに引継ぐことによって、物理的なサーバ本体の切替えを実施後も同一リモート端末60aからサーバモジュール10aに操作していた環境のままサーバモジュール10bを操作可能となる。
【0024】
次に図3を用いてサーバモジュール10とリモート端末60とのアクセス経路管理について説明する。管理モジュール20は自モジュールに搭載するネットワークスイッチ203の構成管理、変更が可能である。また、管理モジュール20はサーバモジュール10に搭載されるKVM変換コントローラに搭載されるネットワークアダプタ機構に設定するネットワーク情報についても管理、変更が可能である。このため、使用者の設定によってサーバモジュール10aとリモート端末60a、60bはLAN50a、サーバモジュール10bとリモート端末60cはLAN50bというように個別ネットワークでの運用や、それぞれのサーバモジュールが属するネットワークを動的に変更することも可能である。このことにより、サーバの使用用途に合わせたリモート端末グループの分離や、動的なサーバモジュールのリモート端末グループ切替えによる利便性の高いコンソール環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】リモートコンソール機構を装備したサーバシステムの説明図である。
【図2】リモートコンソール機構を装備したサーバシステムにおけるサーバ交替処理の説明図である。
【図3】リモートコンソール機構を装備したサーバシステムにおけるアクセス経路管理についての説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 サーバシステム
10a、10b、10c、10d サーバモジュール
101 VGAコントローラ
102 USBコントローラ
103 KVM変換コントローラ
20 管理モジュール
201 制御用マイコン
202 記憶装置
203 ネットワークスイッチ
30 バックプレーン
50、50a、50b 外部LAN
60a、60b、60c リモート端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のサーバモジュールとそれらの操作を遠隔の端末(リモート端末)で操作可能とするための管理モジュールとを有するサーバシステムであってそれぞれのサーバモジュールと管理モジュールが挿抜可能なスロットとそれぞれの装置間を接続するための配線が配置された基板とを備えた筐体を有するサーバシステム。
【請求項2】
単一の筐体に実装された1つ以上のサーバモジュールに共通の配線を介して接続される管理モジュールであって、各々のコンソール操作をリモート端末から操作可能とするためのネットワーク管理機構を有する管理モジュール。
【請求項3】
ビデオ信号とキーボード、マウス信号をネットワークに出力する機構を備えたサーバモジュールであって、前記管理モジュールと接続されることによってリモート端末から操作可能なサーバモジュール。
【請求項4】
前記構成のサーバシステムであって、サーバモジュールの障害発生時に他のサーバモジュールに対してコンソール接続管理情報の引継ぎ機能を有し、障害発生時のコールドスタンバイ構成においてリモート端末側の設定変更を伴わず運用継続することが可能なサーバシステム。
【請求項5】
前記構成のサーバシステムであって、個々のサーバモジュール稼動状態などにより遠隔操作経路の切替え機能と使用用途に合わせた経路情報定義機能を有し、各々のサーバシステムの操作経路を分離することが可能なサーバシステム。
【請求項6】
リモート端末から操作可能な1つ以上のサーバモジュールとそのコンソール機構の構成管理を行う管理モジュールとを有することによって、サーバ運用において一切のローカルコンソール設備を不要とするサーバシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−123464(P2008−123464A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309790(P2006−309790)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】