説明

リモートコントロールシステム及び遠隔機器制御装置

【課題】棒型インターフェイスとしての遠隔機器制御装置を実現し、リモコンのデザインを自由にすることを可能とすることを目的とする。
【解決手段】棒型の遠隔機器制御装置1aと被制御機器2aとを備えるリモートコントロールシステムにおいて、遠隔機器制御装置1aは、動作を検出する動作検出部100aと、検出された動作を解析し指示情報として認識する解析部101aと、解析部101aで認識された指示情報を被制御機器2aに送信する発信部102aとを備え、被制御機器2aは、発信部102aから発信された指示情報を受信する受信部200aと、指示情報に応じて実行される処理プログラムを記憶する指示テーブル201aと、指示情報を受信した際に、指示テーブル201aに記憶された処理プログラムに従って処理をする処理部202aとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートコントロールシステム及び遠隔機器制御装置に関し、特に、デザインが自由なリモートコントロールシステム及び遠隔機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受像機や、画像記録装置、オーディオ装置、衛星放送チューナー装置、電灯装置、空調装置など、家庭やオフィスなど、多くの家電機器や電子機器で、遠隔操作制御装置を使用することができる。
【0003】
この遠隔操作装置は、リモコンと称することが多い。(以降、リモコンと略す)
リモコンの基本的な構成としては、機能を示すボタンを複数持ち、そのボタンを押すことによって、機能を選択するものがほとんどである。
【0004】
つまり、ユーザは、機能の選択をボタンの選択をすることによって、操作被対象装置のコントロールをしている。
【0005】
例えば、テレビジョン受像機のリモコンであれば、チャンネル変更ボタン、音量変更ボタン、入力切替ボタンなど複数のボタンを備える。
【0006】
画像記録装置のリモコンであれば、再生開始ボタン、再生終了ボタン、早送りボタン、巻き戻しボタンなど、テレビジョン受像機と同様に、機能の数だけ、その機能を示すボタンを備える。
【0007】
昨今、この家電機器、電子機器の機能が飛躍的に増えることによって、リモコンのボタンも多くなり過ぎ、ダイヤル型選択装置やページ切り替え装置などを備えたリモコンが登場した。
【0008】
このようなリモコンは、全ての人に使いやすいわけではなく、特にお年寄りや子供などにとっては複雑過ぎるものとなってしまった。
【0009】
そこで、これを解決する1つの手段として、特許文献1に示すような加速度検出装置を備えたリモコンが考案されている。また、似たような遠隔機器制御装置として、加速度検出装置を搭載したパソコン用マウスなども登場している。
【特許文献1】特開2003−333361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらのリモコンは、空中での動作を追随するために、三次元方向の加速度センサ装置や傾きセンサ装置を搭載することで、この機能を実現可能としている。
【0011】
しかし、空中での移動や方向を検出するために、ユーザに上方向を意識させる形状をしているものがほとんどである。
【0012】
使用するユーザに対して、リモコンの持ち方などを強要することを強いている発明がほとんどである。
【0013】
リモコンのデザインに関しても、前記の問題を意識したデザインである必要性があり、自由な形で遠隔機器制御装置を作ることができなかった。
【0014】
遠隔操作装置の最もシンプルな形の1例として、杖のような形状の棒型インターフェイスである遠隔機器制御装置や球形の遠隔機器制御装置などを実現することはできなかった。
【0015】
そこで、本発明は、棒型インターフェイスとしての遠隔機器制御装置を実現し、リモコンのデザインを自由にすることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、棒型の遠隔機器制御装置と被制御機器とを備えるリモートコントロールシステムにおいて、遠隔機器制御装置は、動作を検出する動作検出部と、前記検出された動作を解析し指示情報として認識する解析部と、前記解析部で認識された指示情報を前記被制御機器に送信する発信部とを備え、前記被制御機器は、前記発信部から発信された指示情報を受信する受信部と、前記指示情報に応じて実行される処理プログラムを記憶する指示テーブルと、前記指示情報を受信した際に、前記指示テーブルに記憶された処理プログラムに従って処理をする処理部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明は、棒型の遠隔機器制御装置と被制御機器とを備えるリモートコントロールシステムにおいて、遠隔機器制御装置は、動作を検出する動作検出部と、前記動作検出部で検出された動作を前記被制御機器に送信する発信部とを備え、前記被制御機器は、前記発信部から発信された動作を受信する受信部と、前記検出された動作を解析し指示情報として認識する解析部と、前記指示情報に応じて実行される処理プログラムを記憶する指示テーブルと、前記指示情報を認識した際に、前記指示テーブルに記憶された処理プログラムに従って処理をする処理部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、速度センサや加速度センサや傾きセンサなどを用いた遠隔操作装置において、非常にシンプルな形状の棒型インターフェイスの実現が可能となる。また、上方向にとらわれずデザイン性を重視した遠隔操作装置を実現することが可能になる。遠隔操作制御装置のユーザインターフェイス等の用途に有能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
【0020】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態としての遠隔機器制御装置及び制御システムの基本構成を示す図である。
【0021】
場合によっては、図1に示す構成に機器の補充や除外を行う場合もあるが、基本構成は図1に則るものとする。
【0022】
図1において、1aは遠隔機器制御装置を示している。
【0023】
遠隔機器制御装置1aは、動作検出部100a、解析部101a及び発信部102aを備える。
【0024】
なお、遠隔機器制御装置1aは解析部101aを別の情報機器に備える形態をとり、分離していてもよい。
【0025】
2aは被制御機器を示している。
【0026】
被制御機器2aは、受信部200a、指示テーブル201a及び処理部202aを備える。
【0027】
次に各部の詳細を説明する。
【0028】
遠隔機器制御装置1aは、多機能なボタンを配置せず、被制御機器2aの一部の機能を簡単に操作することを可能にすることを目的とし設計される。
【0029】
そのため、その形状は手で把持したり、着用したりしやすいものとする。
【0030】
本実施形態ではその代表的な形状として棒型インターフェイスを考え、以下、遠隔機器制御装置1aの形状は「棒型インターフェイス」として説明する。ただし、形状はこれに限定されるわけではない。
【0031】
動作検出部100aは、加速度センサ、角加速度センサ又は傾きセンサなどで構成され、ユーザが遠隔機器制御装置1aを用いて行う「振る」、「回す」といった動作を検出する。
【0032】
ここで、ユーザが行う操作は幾通りが想定されるため、本明細書ではそれらをまとめて「動作する」で説明する。
【0033】
動作パターンの検出方法は後記する。
【0034】
解析部101aは、MPU、ROM又はRAMなどで構成される。
【0035】
解析部101aでは、ユーザが空中にて「振る」及び「回す」等の動作を元とし動作パターンを読み取った場合、ユーザ指示情報として認識する。
【0036】
他にも解析部101aによって被制御機器2aに文字入力をしたり、認証をかけたりすることも可能となる。
【0037】
発信部102aは、独自の無線/有線による信号、無線/有線ネットワーク、赤外線発光素子、超音波発信機などで構成され、解析部101aで得た情報を受信部200aに送信する。
【0038】
解析部101aを別の情報機器に備える形態の場合、動作検出部100aで検出された動作に関する情報を受信部200aに直接送信する。
【0039】
受信部200aは、独自の無線/有線による信号、無線/有線ネットワーク、赤外線受光部、超音波受信機などで構成される。受信部200aは、解析部101aで得た情報、動作検出部100aで検出された動作パターンの情報で検出された情報を受信する。
【0040】
指示テーブル201aは、メモリ、ハードディスクなどで構成され、受信部200aで受信した情報とそれに応じて実行される処理プログラムへの指示の内容の関係を保持するテーブルとなる。
【0041】
処理部202aは、MPU、ROMやRAMなどで構成される。指示テーブル201aを参照しながら、それに応じた処理プログラムを呼び出したり、解析部101aからの情報に合わせたプログラム処理をしたりする。
【0042】
そしてその処理結果を被制御機器2aに命令として発信する。
【0043】
例えば、テレビのチャンネルを変える動作を受信部200aで受信した場合に、指示テーブル201aで記録されている受信信号と動作処理の対応するデータから判別し実際にテレビのチャンネルを変更することが可能となる。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態としての遠隔機器制御装置及び制御システムの基本構成を示す図である。
【0045】
図2で示される基本構成は、図1で示される基本構成とは、解析部の位置が遠隔機器制御装置にあるか被制御機器にあるかが違っている。
【0046】
この基本構成は、遠隔機器制御装置1bの形状やコスト面を考慮し、被制御機器2bや別の情報機器に解析部101bの役割を持たす形態もかまわないものとする。
【0047】
このようにすることで、解析部1bのコストの低下や小型化を行うことが可能になる。
【0048】
次に、動作パターンの検出方法について説明する。
【0049】
図3は、ユーザが上に振った時に動作検出部で検出する垂直方向の加速度グラフ(a)と速度グラフ(b)と変位グラフ(c)と角速度グラフ(d)である。
【0050】
そこで、加速度グラフ(a)について説明をする。
【0051】
ユーザが遠隔機器制御装置1を上に向かって振り始めたとき、加速度グラフ(a)にはプラス方向に波形が生じる。しばらく上方向に振られるため波形はそのままプラス方向に向かうことになる。
【0052】
つぎに上に振り終えるとき、遠隔機器制御装置1に減速がかかる。
【0053】
つまり加速度グラフ(a)にはマイナス方向の波形が生じる。
【0054】
完全に振り終えるまで波形はマイナス方向に向かい、最終的に遠隔機器制御装置1を振り上げたところで止めると、波形は0に収束する。
【0055】
この加速度グラフ(a)の時間和をとると、速度グラフ(b)を得ることになり、速度グラフ(b)の時間和をとると、変位グラフ(c)を得ることになる。
【0056】
なお、この間に傾きセンサが検出する角速度の変位は、角速度グラフ(d)に示す。
【0057】
角速度には、変位がほとんどないことから、遠隔機器制御装置を回転するような動作は、この間に行っていないことがわかる。
【0058】
図4は、遠隔機器制御装置1(棒型インターフェイス)の一つの具体的なシステム例を示す概念図である。
【0059】
図4では、遠隔機器制御装置1を家庭で用いるシステムを想定している。
【0060】
図4では、それぞれ電灯2a、エアコン2b、電子レンジ2e、テレビ2c及びビデオ2dを制御する例を示している。
【0061】
それぞれの装置は、棒型インターフェイス1の中に制御のための動作と信号の変換テーブルが予め記録されている。
【0062】
例えば、電灯2aの例であると、上に二回振ることによって、電源onを指示したり、下に二回振ることによって、電源offを指示したりすることができる。
【0063】
同様に、エアコン2bでも、同様の動作が可能である。
【0064】
そして、さらに加えて、右に二回振ることで、温度の上昇を指示し、左に二回振ることで、温度の下降を指示することが可能となる。
【0065】
このようにして、図4中の他の装置、テレビ2cやビデオ2d、電子レンジ2eに関しても制御が行うことが可能である。
【0066】
また、1つの棒型インターフェイスに、複数の機器制御のための動作と信号の変換テーブルが予め記録してあっても良い。この場合、1つの棒型インターフェイスによって複数の機器が制御可能になる。
【0067】
図4の例では、家庭内でのシステムを想定したが、例えば、自動車内でのカーナビ、エアコン、ステレオの制御や企業、学校での電灯、エアコン、テレビ、プロジェクターの制御等にも利用することができる。
【0068】
次に、棒型インターフェイスの実現についての概要を示す。
【0069】
棒型インターフェイスは、その形状から、棒の上方向を決定することができない。
【0070】
そのため、棒型インターフェイスの実現には、この上方向の決定ということが、最も重要な点である。
【0071】
内蔵されている各種センサは、それぞれの基準三次元軸を持っているため、リモコン全体の上方向と、各種センサの基準軸の上方向が一致している必要がある。
【0072】
従来では、この上方向のリモコンの形状を工夫することで、解決を行ってきた。
【0073】
例えば、手の形状にあわせて握ると上方向が決定したりするものである。
【0074】
しかし、棒型インターフェイスは、シンプルな形状であるために、ユーザの視点からだと、上方向の判別ができない。
【0075】
そこで、このリモコンの上方向と、各種センサの基準軸の上方向が一致する方法を後記する方法で解決している。
【0076】
この手法の概要は、リモコンを扱うユーザの動作から、リモコンの上方向を決定する手法を取っている。
【0077】
通常、ユーザがリモコンを使う場合、初期状態として、リモコンは、テーブル又は床などにおいてあるものを使う。
【0078】
この時点での各種センサは、完全に停止している数値を読み取ることが可能である。
【0079】
さらに、ユーザがこのリモコンを持ち上げるとき、ユーザから見た場合に、リモコンを上方向に持ち上げる加速度が生じる。
【0080】
そして、さらに、ユーザは持ち上げてリモコンを持っている状態では、手振れによる微小な振動を検出すると同時に、大きな変動をしない状態を生じる。
【0081】
しかし、実際には、ユーザから見た上方向と、各種センサの基準軸が、一致しているとは言えない。
【0082】
そこで、このようなユーザの初期時に誰もが必ず行う動作を検出し、ユーザから見た上方向(以降、グローバル座標系)と各種センサの基準軸(棒型インターフェイス座標系)のずれを補正することで、リモコンの上方向としてユーザが認識している状態(グローバル座標系)と、棒型インターフェイス座標系の補正のための補正角度θを検出する。
【0083】
この補正角度θは、上記のユーザがリモコンをテーブルや床においている状態の検出と、ユーザが上方向に持ち上げた状態の検出と、ユーザが手に持った状態での手振れを生じながらも、大きなセンサの値変動がない状態の検出によって、決定することができる。(このときの判定のための閾値は任意である)。
【0084】
その後、各種センサで得られた数値(棒型インターフェイス座標系)の値を、グローバル座標系の値に変換して、解析部101aで評価を行う。
【0085】
このような動作によって、棒型インターフェイスの上方向を決定し、リモコンの形状を自由にすることが可能となる。
【0086】
以降、その詳細を説明する。
【0087】
図5は、棒型インターフェイスの外見とその棒型インターフェイスの座標系を示している。
【0088】
図5(a)は、棒型インターフェイスの側面図を示している。棒型インターフェイス1に対して、縦方向にY座標を設定し、横方向にX座標を設定する。
【0089】
また、図5(b)は、棒型インターフェイスの正面図を示している。
【0090】
棒型インターフェイス1に対して、横方向は、図5(a)と同様に、X座標を設定し、X軸及びY軸と垂直にZ座標を設定する。図5(a)及び(b)におけるX軸は、一致している。
【0091】
このX、Y及びZの3軸は、それぞれ直交しており、この座標軸を基準軸として、棒型インターフェイスの三次元座標を構成している。
【0092】
この固有の座標系は、棒型インターフェイス座標系という名称で今後呼ぶこととする。
【0093】
この棒型インターフェイス座標は、棒型インターフェイスに内蔵された各種センサの値をそのまま反映し、読み取った値の座標系として用いられる。
【0094】
なお、棒型インターフェイスの形状は、図5に示される形を厳守する必要はなく、各種デザインを選ぶことが可能である。
【0095】
また、座標軸の方向や原点の配置も、自由に選ぶことが可能である。
【0096】
本実施形態では、棒という形に限定をして説明を行う。
【0097】
図6は、棒型インターフェイスの座標系と、グローバル座標系との関わりを示す図である。
【0098】
図6(a)は、棒型インターフェイス座標系とグローバル座標系が一致している場合を示している。
【0099】
棒型インターフェイス座標系とは、図5で示している座標軸であり、各種センサの値が、この座標系を基準に示されている。
【0100】
グローバル座標系とは、棒型インターフェイスの方向とは関係なく、対地面に対して、鉛直(又は水平)方向の座標系である。
【0101】
対地面に対して、鉛直(又は水平)方向の座標系は、すなわち、棒型インターフェイスを使用するユーザにとって、感覚的に最も自然で絶対な座標系である。
【0102】
それゆえに、棒型インターフェイスを使用するユーザにとって、上に振るという行為やシンボルを空中に表記するという行為は、このグローバル座標系の値を基準にして操作されることになる。
【0103】
1は、棒型インターフェイスであり、図5の棒型インターフェイス正面図の図5(b)の方向と同一の方向から見た棒型インターフェイスを示している。
【0104】
本実施形態で示している棒型インターフェイスの形状は円状である。
【0105】
そのため、床面などに置いた場合に転がる場合がある。つまり、棒型インターフェイス座標軸の上方向がグローバル座標軸と比べて、絶えず変わる可能性が高い。
【0106】
図6(a)で示す図では、この2つの座標軸が完全に一致している場合を示している。
【0107】
図6(a)において、座標軸は、棒型インターフェイス座標系とグローバル座標系が一致している。
【0108】
この場合は、棒型インターフェイス座標系とグローバル座標系の値は、一致しており、特に問題は生じない。
【0109】
しかし、図6(b)では、棒型インターフェイスが横方向に回転してしまっている。
【0110】
そのため、図6(b)に示すように、棒インターフェイス座標系とグローバル座標系とが一致していない。
【0111】
このような場合、棒型インターフェイスの座標系をグローバル座標系に修正する必要がある。
【0112】
もし、棒型インターフェイスの座標系(x、z)がグローバル座標系(gx、gz)に対して、補正角度θだけ回転しているとすると。
【0113】
棒型インターフェイスの座標系は、数1で示されるようにグローバル座標系(gx、gz)に変換することが可能となる。
【0114】
【数1】

図6及び式では、二軸に関してのみ例を示しているが、これを三軸同時に行うことで、三次元での棒インターフェイスの動作(棒型インターフェイス座標系)をグローバル座標系として表現することが可能となる。
【0115】
このときの補正角度θをどのようにして決定するかに関しては、最も大きなポイントであり、決定の手法について説明する。
【0116】
図7は、棒型インターフェイスの座標系を三次元的に表現している図である。
【0117】
よって、棒型インターフェイス1の場合だと、その棒型インターフェイス座標系は、グローバル座標系へ変換され、読み取ったセンサの値は、グローバル座標系の値として、計算されることになる。
【0118】
図8は、棒型インターフェイスの状態遷移図を示した図である。
【0119】
図6及び図7ではこの座標変換に関して、棒型インターフェイス座標系からグローバル座標系への変換には、その角度を示す補正角度θを決定する必要があることを示唆した。
【0120】
その補正角度θを決定するために、棒型インターフェイスは、図8で示される状態遷移を経て、補正角度θを決定することが可能となる。
【0121】
ユーザは、床においてある棒型インターフェイスを持ち上げる(動作(1))。
【0122】
次に、持ち上げた棒型インターフェイスを空中で若干時間停止させる(動作(2))。
【0123】
そして、リモコン操作となるシンボルを空中に描く動作を行う(動作(3))。
【0124】
このような動作(1)−動作(3)を期待して、棒型インターフェイスはグローバル座標系の基準を決める。
【0125】
動作(2)において、空中での若干数の停止時間を判別することで、動作対象が決定し、棒型インターフェイスがどう持たれているか(どちらの方向が上をしめしているか)を判定することが可能となる。
【0126】
実際の状態遷移に関して説明をする。
【0127】
初期状態を示す701から棒型インターフェイスの状態が開始される。
【0128】
初期状態は、棒型インターフェイスが、床においてあるという状態を想定しており、初期化を行うことで、状態遷移710が発生する。
【0129】
そして、静止状態702になる。
【0130】
この状態は、棒型インターフェイスが、床やテーブルなどの上で完全に静止した状態であることを示している。
【0131】
この状態では、センサの値を常に監視する状態となっているため、定期的に、初期状態701に状態を遷移717をさせ、電力を抑えることも可能である。
【0132】
この場合、起動一定時間の後に、状態遷移710が発生して、再び、静止状態702となる。
【0133】
この状態から、ユーザが棒型インターフェイスを持ち上げる。
【0134】
この持ち上げは、加速度センサ等の急激な変化値となって現れる。
【0135】
この変化がある閾値を超える値を検知すると状態遷移711が発生する。
【0136】
そして、棒型インターフェイスの状態は、持ち上げ途中状態703になる。
【0137】
この状態は、ユーザの振り上げ動作中であることを示している。
【0138】
つまり、この状態は動作(1)に相当する。
【0139】
そのため、この上向きへの動作(ユーザは持ち上げている)は、特に機器への制御シンボル動作を示しているわけではないので、家電制御用シンボル動作としては比較を行わない。
【0140】
この状態から速度センサなどの値が、ある閾値を下回った場合に、状態遷移712が発生する。
【0141】
そして、棒型インターフェイスは、持ち上げ静止状態704となる。
【0142】
この状態は、前記の動作(2)に相当する。
【0143】
持ち上げ静止状態704の特徴としては、棒型インターフェイスは、加速度センサの値が手ぶれによる微小な変動がありながらも、ある閾値を下回る状態を一定時間維持することである。
【0144】
この持ち上げ静止状態704のときの傾きセンサの値が、図6及び図7で説明した棒型インターフェイス座標系とグローバル座標系との差角度θである。
【0145】
棒型インターフェイスは、この値である補正角度θを記憶する。
【0146】
この状態から、再び、ユーザが制御のためのシンボルを空中に描くとする。(動作(3)に相当する)
そうすると、持ち上げ静止状態704のときの加速度センサの値が、ある閾値を超えることで、状態遷移713が発生する。
【0147】
こうして、棒型インターフェイスは、コマンド中状態705状態になる。
【0148】
この状態では、ユーザは、動作(3)を行っている状態であり、棒型インターフェイスは、加速度情報などを記憶し続ける。
【0149】
その際の座標系は、補正角度θの値を用いて、棒型インターフェイス座標系からグローバル座標系に変換を行いながら記録をする。
【0150】
この状態から、ユーザが動作(3)を終了した場合、再び加速度センサの値がある閾値を下回る。
【0151】
これが発生すると状態遷移714が発生する。
【0152】
そして、状態は、コマンド判定待ち状態706になる。
【0153】
この状態では、図1の201で示されるように、処理部202が、空中に書かれたシンボルデータから、指示テーブル201に記載されたデータベースを参照する。このようにすることによって、実際に書かれたシンボルから動作させるべき操作を選択して、制御信号を送ることが可能となる。
【0154】
最後に、一定時間の手振れを含む静止時間が続いた場合、状態遷移715が発生し、再びコマンドが発生するのを待つ。
【0155】
また、もし床などに置かれた場合、手振れを含まない静止時間が発生する。
【0156】
これによって状態遷移716が発生し、棒型インターフェイスは、再び持ち上げられるのを待つ静止モード702になる。
【0157】
図9は、状態遷移について加速度センサや変位の値から示す図である。
【0158】
図9では、便宜的に、棒型インターフェイス座標系X軸速度802aの値及びグローバル座標系GX軸速度802bの値を示している。また、棒型インターフェイス座標系X軸方向加速度801aの値及びグローバル座標系GX軸加速度801bの値も示している。また、棒型インターフェイス座標系X軸傾きセンサ805aの値及びグローバル座標系GX軸傾きセンサ805bの値も示している。
【0159】
棒型インターフェイス座標系の示す数値は、動作検出部100aに搭載されているセンサの値である。
【0160】
静止状態807a/807bの場合は、各センサの値の変更はない。
【0161】
ここで重要な点は、センサの値に変動が全く生じないことである。
【0162】
また、このときの特徴的な値としては、傾きセンサの値805aがある程度の値を持って停止していることである。
【0163】
これは、棒型インターフェイスが、ある程度水平に対して転がっている状態で停止していることを意味している。
【0164】
持ち上げ判定処理のために、各センサの値から変位情報を求める必要がある。
加速度の変位量806aは、802a及び804aから求められる。この値は、数2で与えられる。
【0165】
【数2】

この値が必要な理由は、棒型インターフェイスが転がっていて、方向性が分かっていない場合であっても棒型インターフェイスの動作を検出するためである。
【0166】
この変位量806aがある閾値を超えた場合に、状態が持ち上げ状態808a/808bに移行する。
【0167】
この状態は、ユーザが棒型インターフェイスを持ち上げて手元に持っていくまでの状態を示している。
【0168】
この状態では、制御シンボル動作としての動作ではないために、持ち上げ途中動作と判定をして、特に家電制御のための制御シンボル動作としては判定しない。
【0169】
この状態に移行後、再び速度値802aがある一定の閾値を下回り、かつ、一定時間、その状態が維持された場合、持ち上げ静止状態809a/809bに移行する。
【0170】
この状態の特徴は、ある程度数値に微小な変化が生じる。これは、ユーザが棒型インターフェイスを持っている場合に生じる手振れの値である。
【0171】
この値が一定時間続くことで、持ち上げ静止状態809a/809bの確認を行う。このときの傾きの数値である補正角度θをとして、各センサの値(棒型インターフェイス座標系)から、グローバル座標系の値を計算することが可能となる。
【0172】
補正の手法等に関しては上記の通り説明を行った。
【0173】
この補正は、他の軸などの値も関わり、実際には、他の軸の値も関連した前出の手法を元にした計算が行われる。
【0174】
このようにして、補正して得られたグローバル座標系の値が、801b、802b、803b、804b及び805bである。
【0175】
また、持っている間に角度が若干変わってしまう可能性がある。そのために、グローバル座標に関しても変位量806bを計算して、状態の変位に関して判定が行われる。この変位量は数3で得られる。
【0176】
【数3】

これらの値は、再び静止状態になるまで、算出が行われる。
【0177】
こうして得られたグローバル座標系の変位量806bが、ある閾値を超えた場合に、コマンド受付状態810になる。
【0178】
これ以降の制御シンボル動作を加速度や速度の履歴によって解釈する方法に関しては、本特許では既存の方法を用いることによって実現している。
【0179】
図10は、図8で説明をした状態遷移図と、図9で説明をした「静止状態」から「持ち上げ途中状態」「持ち上げ静止状態」までのセンサ変位をさらに実現するソフトウェアの「静止状態」から「持ち上げ途中状態」「コマンド中状態」までのフローチャートを示す図である。
【0180】
初期状態は、901から開始される。この状態は、図8で示されている701から初期状態である。
【0181】
902にて、最初の状態を静止状態702に変更を行う。
【0182】
この状態が棒型インターフェイスの開始状態となる。
【0183】
この処理では、各センサの初期化等が実施される。
【0184】
また棒型インターフェイスの物理的状態としては、床やテーブルの上に置かれた状態を想定して初期化が行われる。
【0185】
903にて、センサの値を読み込む。
【0186】
そして、904にてセンサの値の評価を行う。ここでは、状態が703になるために、前記のある一定の閾値を超えたかどうかの判定を行う。
【0187】
この判定904にて、閾値を超えたかどうかの判定によって、棒型インターフェイスが持ち上げられた動作であるかどうかを判定が可能である。
【0188】
その後すぐ、905にて状態を、持ち上げ途中状態に変更をする。
【0189】
さらに、再び、906によってセンサの値を読み続ける。
【0190】
この読み取った数値の判定は、907によって行われる。この判定では、ユーザが棒型インターフェイスを手に持った状態で空中に停止しているかどうかを判定することによって行われる。
【0191】
そのため、図9に示すように、一定時間の静止状態でかつ、各センサの値が設定された閾値以下の状態が維持されているかどうかを判定することによって、この状態を判定できる。
【0192】
907で手の持った状態を判定すると、908によって、状態を持ち上げ静止状態に変更を行う。
【0193】
この状態での各種センサの値(特に傾きセンサによる棒型インターフェイスの座標系とグローバル座標系の角度の差)から上記で説明した補正角度θの値を決定することができる。
【0194】
この処理は、909によって行われる。アルゴリズムに関しては、上記で示した通りである。
【0195】
この初期化後、さらに、910にて、センサの値が読み取られる。
【0196】
このセンサの値は、棒型インターフェイス座標系上での値であるために、911によって、グローバル座標系に変換された値に変更される。
【0197】
そして、912によって、ある一定の閾値を超えたセンサ値を検出した場合に、持ち上げ静止状態から、コマンド中状態に913によって変更される。
【0198】
この状態から、棒型インターフェイスの動作は、機器への制御のための制御シンボル動作を書くための動作として判定される。
【0199】
914によってセンサの値を読み込み、915によって棒型インターフェイス座標系の値が、グローバル座標系の値に変換される。
【0200】
そして、916によって、得られたグローバル座標系上でのセンサの値の変化度合いが、指示テーブルで記録されている制御シンボル動作の動作変化と一致するかどうかの照合が行われる。
【0201】
917によってその判定が行われる。
【0202】
このようにして、制御シンボル動作の動作が、実際の機器動作と結びつくことが可能となる。
【0203】
そして、最後に918によって、動作が終了後、再びコマンド判定待ち状態に変更され、新しいコマンドの入力を待つ状態となる。
【0204】
このように、棒型インターフェイスの上方向を決定するための主要な処理について説明を行った。
【0205】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、棒型インターフェイスの傾き角を、傾きセンサを用いている。
【0206】
しかし、第二の実施形態では、センサ系の座標から、グローバル座標系の値に変換する際の補正角度θを以下の算出によって求めることもできる。
【0207】
棒型インターフェイスは、この値である補正角度θを記憶する。
【0208】
この補正角の計算は、数4のとおりである。
【0209】
【数4】

この角度の計算は、状態703のとき、909の処理によって計算される。
【0210】
また、上式の値ZとXは、それぞれ、808aの状態で示されるときのX軸速度802a及びZ軸速度804aの平均速度である。
【0211】
このような計算によって、持ち上げられた方向がどちらであるかを認識することが可能になる。
【0212】
この値θは、702の状態で初期化される。
【0213】
以上説明したように、棒型インターフェイスの上方向を決定することが可能となり、杖のようなシンプルなデザインの遠隔操作制御装置を実現することが可能になる。
【0214】
なお、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0215】
本発明は、テレビジョン受像機や、画像記録装置、オーディオ装置、衛星放送チューナー装置、電灯装置、空調装置など、家庭やオフィスなどの多くの家電機器や電子機器で使用される遠隔操作制御装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】本発明の一実施形態としての遠隔機器制御装置及び制御システムの基本構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての遠隔機器制御装置及び制御システムの基本構成を示す図である。
【図3】ユーザが上に振った時に動作検出部で検出する垂直方向の加速度グラフ(a)と速度グラフ(b)と変位グラフ(c)と角速度グラフ(d)である。
【図4】遠隔機器制御装置1(棒型インターフェイス)の一つの具体的なシステム例を示す概念図である。
【図5】棒型インターフェイスの外見とその棒型インターフェイスの座標系を示している。
【図6】棒型インターフェイスの座標系と、グローバル座標系との関わりを示す図である。
【図7】棒型インターフェイスの座標系を三次元的に表現している図である。
【図8】棒型インターフェイスの状態遷移図を示した図である。
【図9】状態遷移について加速度センサや変位の値から示す図である。
【図10】「静止状態」から「持ち上げ途中状態」「コマンド中状態」までのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0217】
1 遠隔機器制御装置
2 被制御機器
100 動作検出部
101 解析部
102 発信部
200 受信部
201 指示テーブル
202 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒型の遠隔機器制御装置と被制御機器とを備えるリモートコントロールシステムにおいて、
遠隔機器制御装置は、動作を検出する動作検出部と、
前記検出された動作を解析し指示情報として認識する解析部と、
前記解析部で認識された指示情報を前記被制御機器に送信する発信部とを備え、
前記被制御機器は、前記発信部から発信された指示情報を受信する受信部と、
前記指示情報に応じて実行される処理プログラムを記憶する指示テーブルと、
前記指示情報を受信した際に、前記指示テーブルに記憶された処理プログラムに従って処理をする処理部とを備えることを特徴とするリモートコントロールシステム。
【請求項2】
棒型の遠隔機器制御装置と被制御機器とを備えるリモートコントロールシステムにおいて、
遠隔機器制御装置は、動作を検出する動作検出部と、
前記動作検出部で検出された動作を前記被制御機器に送信する発信部とを備え、
前記被制御機器は、前記発信部から発信された動作を受信する受信部と、
前記検出された動作を解析し指示情報として認識する解析部と、
前記指示情報に応じて実行される処理プログラムを記憶する指示テーブルと、
前記指示情報を認識した際に、前記指示テーブルに記憶された処理プログラムに従って処理をする処理部とを備えることを特徴とするリモートコントロールシステム。
【請求項3】
前記動作検出部は、固有の座標軸を有していて、前記固有の座標軸と対地面に対しての基準の座標軸との角度を計測することで前記遠隔機器制御装置の向きを検出することを特徴とする請求項1又は2記載のリモートコントロールシステム。
【請求項4】
前記遠隔機器制御装置は、前記遠隔機器制御装置を移動させ、当該移動させた地点で停止させ、操作の対象となる動作を行うことで制御を行うことを特徴とする請求項3記載のリモートコントロールシステム。
【請求項5】
前記角度は、傾きセンサの値によって求められることを特徴とする請求項3記載のリモートコントロールシステム。
【請求項6】
前記角度は、加速度センサの値によって求められることを特徴とする請求項3記載のリモートコントロールシステム。
【請求項7】
前記角度は、逆正接によって求められることを特徴とする請求項6記載のリモートコントロールシステム
【請求項8】
棒型の遠隔機器制御装置と被制御機器とを備えるリモートコントロールシステムの遠隔機器制御装置において、
動作を検出する動作検出部と、
前記検出された動作を解析し指示情報として認識する解析部と、
前記解析部で認識された指示情報を前記被制御機器に送信する発信部とを備えることを特徴とする遠隔機器制御装置。
【請求項9】
棒型の遠隔機器制御装置と被制御機器とを備えるリモートコントロールシステムの遠隔機器制御装置において、
動作を検出する動作検出部と、
前記動作検出部で検出された動作を前記被制御機器に送信する発信部とを備えることを特徴とする遠隔機器制御装置。
【請求項10】
前記動作検出部は、固有の座標軸を有していて、前記固有の座標軸と対地面に対しての基準の座標軸との角度を計測することで前記遠隔機器制御装置の向きを検出することを特徴とする請求項8又は9記載の遠隔機器制御装置。
【請求項11】
前記遠隔機器制御装置は、前記遠隔機器制御装置を移動させ、当該移動させた地点で停止させ、操作の対象となる動作を行うことで制御を行うことを特徴とする請求項10記載の遠隔機器制御装置。
【請求項12】
前記角度は、傾きセンサの値によって求められることを特徴とする請求項10記載の遠隔機器制御装置。
【請求項13】
前記角度は、加速度センサの値によって求められることを特徴とする請求項10記載の遠隔機器制御装置。
【請求項14】
前記角度は、逆正接によって求められることを特徴とする請求項13記載の遠隔機器制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−295186(P2007−295186A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119458(P2006−119458)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】