説明

リライタブルプリンタ

【課題】インレット形状の異なるRFIDタグに対しても適切なデータの読み出し又は書き出しを行うことが可能なリライタブルプリンタを提供する。
【解決手段】給紙口側に配され、感熱記録媒体Mの印刷層に印刷された画像を消去する消去部3と、排紙口側に配され、印刷層に画像を印刷する印刷部4と、感熱記録媒体Mを載置し得る載置部61を有し、消去部3と印刷部4との間の搬送経路上で載置部61を運搬する運搬機構6と、搬送経路上に設けられ、感熱記録媒体MのRFIDタグに対してデータの読み出し及び書き込みを行う第1リーダライタ7、第2リーダライタ8とを備え、運搬機構6を、載置部61に載置した感熱記録媒体MのRFIDタグとリーダライタとの相対距離を変更することによってRFIDタグとリーダライタ7、8とで定まる固有の通信距離に調整する調整機構Xとして機能させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可逆的に発色及び消色可能な印刷層を有する感熱記録媒体に対して、印刷層への画像の印刷及び印刷層に印刷された画像の消去を行うリライタブルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、同じ印刷対象物に対して印刷処理及び消去処理を繰り返し行うことによって紙等の印刷対象物の使用量を削減することが可能なプリンタとして、熱可逆的に発色及び消色する印刷層を有する例えばシート状の感熱記録媒体に対して、印刷層への画像の印刷及び印刷層に印刷された画像の消去を行うリライタブルプリンタが注目されている。
【0003】
この種の感熱記録媒体には、感熱記録媒体に関するデータ、例えば、印刷層の画像が消去されているか否か、消去された印刷層に次に印刷する画像が何であるか、画像の更新履歴、或いは書き換え回数等のデータを管理できるように、各感熱記録媒体にRFID(Radio Frequency Identification)タグを埋め込み又は貼り付けたものが考えられており、このようなRFIDタグ付の感熱記録媒体に対しては、プリンタ内の搬送経路上に設けた単一のリーダライタにより、RFIDタグに対してデータの読み出し又は書き込みを行うことができるようにしたリライタブルプリンタが考えられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−150765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同じ周波数帯のRFIDタグであってもRFIDタグ全体の形状、換言すればインレットの形状が異なれば、RFIDタグとリーダライタとの最適な通信距離も異なる。
【0006】
しかしながら、従来のリライタブルプリンタは、単一のリーダライタにより、搬送経路上において所定位置に到達した感熱記録媒体のRFIDタグに対してデータの読み書きを行うものであるため、あるインレット形状のRFIDタグに対しては最適な通信距離を確保できるものの、異なるインレット形状のRFIDタグに対しては最適な通信距離を確保することができず、全てのRFIDタグに対して適切なデータの読み出し又は書き込みを行うことができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、インレット形状の異なるRFIDに対しても適切なデータの読み出し又は書き出しを行うことが可能なリライタブルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明のリライタブルプリンタは、RFIDタグを付帯し、且つ熱可逆的に発色及び消色可能な印刷層を有する感熱記録媒体に対して、印刷層への画像の印刷及び印刷層に印刷された画像の消去を行うものであって、給紙口側に配され、印刷層に印刷された画像を消去する消去部と、排紙口側に配され、印刷層に画像を印刷する印刷部と、感熱記録媒体を載置し得る載置部を有し、消去部と印刷部との間の搬送経路上で載置部を運搬する運搬機構と、搬送経路に対して設けられ、搬送中の感熱記録媒体に付帯されたRFIDタグに対してデータの読み書きを行い得るリーダライタと、載置部に載置した感熱記録媒体のRFIDタグとリーダライタとの相対距離を変更することによって、RFIDタグとリーダライタとで定まる固有の通信距離に調整する調整機構とを備えていることを特徴とする。
【0009】
ここで、「画像」とは、感熱記録媒体の印刷層に印刷可能な写真やイラスト、図形に加えて、文字や記号も含む概念である。また、「データ」とは、印刷層の画像が消去されているか否か、消去された印刷層に次に印刷する画像が何であるか、画像の更新履歴、或いは書き換え回数等、RFIDタグ自体又はRFIDタグを付帯した感熱記録媒体に関する情報であり、「画像」と区別するために「データ」という用語を用いる。
【0010】
このようなものであれば、調整機構によってRFIDタグとリーダライタとの通信距離を調整することにより、RFIDタグ全体の形状、換言すればインレットの形状が異なる場合であっても、各RFIDタグとリーダライタとの適正な通信距離を調整することができ、インレット形状の異なるRFIDに対しても適切なデータの読み出し又は書き出しを行うことができる。
【0011】
特に、リライタブルプリンタの運搬機構が、調整機構を兼ねるものであれば、別途専用の調整機構を設ける必要がなく、構造の簡素化及びコストの削減に資する。
【0012】
また、本発明のリライタブルプリンタにおいて、消去部及び印刷部を相互に高さ位置を異ならせて設け、運搬機構が、載置部を上下移動させるものであれば、リライタブルプリンタの設置面積を小さく抑え、プリンタの大型化を防止することができるとともに、リーダライタを、上下移動する載置部に対して接離する位置に設けることにより、載置部の高さ方向に沿った直線移動を利用してリーダライタとの相対距離を変更することができ、リーダライタを可動させる機構が不要となり、構造のさらなる簡素化を図ることができる。
【0013】
さらに、リーダライタをリライタブルプリント内における搬送経路上に複数配置していれば、RFIDタグとリーダライタとのデータ通信をより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RFIDタグ全体(インレット)の形状が異なる場合であっても、調整機構によってRFIDタグとリーダライタとの相対距離を変更してRFIDタグとリーダライタとで定まる固有の通信距離に調整することにより、各RFIDタグとリーダライタとの適正な通信距離を調整することができ、インレット形状の異なるRFIDに対しても適切なデータの読み出し又は書き出しを行うことができる。また、運搬機構が、調整機構を兼ねているため、専用の調整機構が不要となり、構造の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るリライタブルプリンタの全体概略図。
【図2】同実施形態における感熱記録媒体の平面図を模式的に示す図。
【図3】同実施形態における感熱記録媒体の側面図を模式的に示す図。
【図4】同実施形態に係るリライタブルプリンタの簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るリライタブルプリンタ1は、RFIDタグMaを付帯し、且つ熱可逆的に発色及び消色可能な印刷層Mbを有する感熱記録媒体Mに対して、印刷層Mbへの画像の印刷及び印刷層Mbに印刷された画像の消去を行うものである。本実施形態において、「画像」とは、写真やイラスト、図形に加えて、文字や記号も含む概念である。
【0018】
感熱記録媒体Mは、図2及び図3(図2、図3はそれぞれ感熱記録媒体Mの平面図、側面図を模式的に示す図である)に示すように、基材たるベース層Mcと、印刷層Mbと、これらベース層Mcと印刷層Mbとの間に挟み込んだRFIDタグMaとを備えたシート状の積層体である。ベース層Mc及び印刷層Mbは、例えばA3やA4等の用紙サイズに裁断されたものであり、これらベース層Mc及び印刷層Mbをシート本体と捉えた場合、感熱記録媒体MはRFIDタグMaをシート本体に内蔵したものといえる。
【0019】
印刷層Mbは、例えば主としてロイコ染料と可逆顕色剤とを用いてなり、加熱温度や加熱後の冷却速度の相違によって発色状態と消色状態とに切り替わるものである。
【0020】
RFIDタグMaは、例えばコイル状の導電性材料からなり外部と交信可能なアンテナと、アンテナに接続され、固有の識別子を有するICチップとを備え、アンテナを介して後述するリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)と非接触状態にてICチップ(より具体的にはICチップ内のメモリ)にデータの書き込みや読み出し、書き換えが可能なものである。
【0021】
リライタブルプリンタ1は、図1及び図4に示すように、給紙口21を有する給紙部2と、給紙口21から挿入される感熱記録媒体Mの印刷層Mbに印刷された画像を消去する消去部3と、消去部3を通過した感熱記録媒体Mの印刷層Mbに画像を印刷する印刷部4と、印刷部4を通過した感熱記録媒体Mを外部へ排出するための排出口51を有する排紙部5とを備えたものである。
【0022】
給紙部2は、印刷層Mbに画像を印刷した感熱記録媒体Mを複数枚重ねて載置可能な給紙トレイ22と、給紙トレイ22に載置された感熱記録媒体Mを1枚ずつ順次消去部3に向かって送り出す送りローラとを備えたものである。
【0023】
消去部3は、感熱記録媒体Mの印刷層Mbを加熱する消去ヘッド31と、消去ヘッド31に対向配置された消去用プラテンローラ32とを備えたものである。
【0024】
印刷部4は、感熱記録媒体Mの印刷層Mbを加熱する印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41に対向配置された印刷用プラテンローラ42とを備えたものである。本実施形態では、消去ヘッド31及び印刷ヘッド41として、それぞれサーマルヘッドを適用している。
【0025】
本実施形態のリライタブルプリンタ1は、印刷部4を消去部3の上方に配置しており、消去部3を通過した感熱記録媒体Mは運搬機構6により印刷部4に搬送される。
【0026】
運搬機構6は、感熱記録媒体Mを載置し得る載置部61と、この載置部61を消去部3と印刷部4との間の搬送経路上で昇降移動させるリフト部62とを備えたものである。載置部61は、トレイ状をなし、リンクメンバ621等から構成されるリフト部62によって水平姿勢を保持したまま最下降位置(U)と最上昇位置(T)との間で高さ方向に移動可能なものである。
【0027】
そして、本実施形態に係るリライタブルプリンタ1は、図4に示すように、消去部3と印刷部4との間の搬送経路上に、感熱記録媒体MのRFIDタグMaに対してデータの読み出し及び書き込みを行うリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)を設けている。本実施形態では、最下降位置(U)に位置付けた載置部61よりもさらに下方に第1リーダライタ7を設けるとともに、最上昇位置(T)に位置付けた載置部61よりもさらに上方に第1リーダライタ7とは異なる周波数帯に対応する第2リーダライタ8を設けている。これら第1リーダライタ7及び第2リーダライタ8は、載置部61の可動範囲を高さ方向に挟む位置に相互に離間して設けられている。第1リーダライタ7はHF帯に対応するものであり、第2リーダライタ8はUHF帯に対応するものである。
【0028】
したがって、感熱記録媒体MのRFIDタグMaがHF帯のものである場合には、第1リーダライタ7とデータ通信を行う一方、RFIDタグMaがUHF帯のものである場合には、第2リーダライタ8とデータ通信を行う。ここで「データ通信を行う」とは、リーダライタからRFIDタグMaにデータが書き込まれる、又はRFIDタグMaに書き込まれているデータがリーダライタにて読み出される、これらのうち少なくとも何れか一方を行うことを意味する。もちろん、「データ通信を行う」には、RFIDタグMaへの書き込み、及びRFIDタグMaからの読み出しの両方を行うことや、書き込み及び読み出しを複数回繰り返して行うことも含まれる。なお、本実施形態における「データ」とは、印刷層Mbの画像が消去されているか否か、消去された印刷層Mbに次に印刷する画像が何であるか、画像の更新履歴、或いは書き換え回数等、RFIDタグMa自体又はRFIDタグMaを付帯した感熱記録媒体Mに関する情報等の何れか又は当該画像に関連する情報等を意味する。
【0029】
上述した各部のうち、消去部3、運搬機構6、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)及び印刷部4は筐体9内に配置されている。
【0030】
次に、本実施形態に係るリライタブルプリンタ1の操作手順、動作及び作用について説明する。
【0031】
先ず、印刷層Mbに画像が印刷され発色状態にある感熱記録媒体Mを給紙部2の給紙トレイ22にセットする。次いで、給紙口21から消去部3に搬送された感熱記録媒体Mを下方から消去用プラテンローラ32で押圧支持し、消去ヘッド31により印刷層Mbを加熱し、徐冷することにより印刷層Mbの画像は消去される。引き続き、消去部3を通過して印刷層Mbの画像が消去された消去状態にある感熱記録媒体Mは、図示しない送りローラで消去部3と印刷部4との間の搬送経路上に送られ、最下降位置(U)に位置付けた載置部61に水平姿勢で載置される。感熱記録媒体MのRFIDタグMaがHF帯のものであれば、最下降位置(U)に位置付けた載置部61に載置した時点で第1リーダライタ7と最も近接し、この第1リーダライタ7とデータ通信を行う。そして、搬送機構のリフト部62により載置部61が水平姿勢のまま上方へ移動する。載置部61が最上昇位置(T)に到達した時点で、感熱記録媒体MのRFIDタグMaは第2リーダライタ8に近接する。したがって、感熱記録媒体MのRFIDタグMaがUHF帯のものであれば、載置部61が最上昇位置(T)に到達した時点で第2リーダライタ8とデータ通信を行う。
【0032】
ところで、同じ周波数帯のRFIDタグMaであってもRFIDタグ全体(インレット)の形状が異なれば、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との最適な通信距離も異なる。つまり、RFIDタグMaがリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)に最も近接した時点がRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との最適な通信距離とは限らない。
【0033】
このような点を考慮し、本実施形態のリライタブルプリンタ1は、載置部61に載置した感熱記録媒体MのRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との相対距離を変更することによってRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)とで定まる固有の通信距離に調整する調整機構Xを備えている。本実施形態では、リフト部62によって載置部61を高さ方向に移動させることにより、この載置部61に載置した感熱記録媒体MのRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との相対距離を変更する。そして、感熱記録媒体MのRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との相対距離が変更する過程で、各RFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との最適な通信距離を自動的に検出し、その検出位置で載置部61を一時的に停止させて、RFIDタグMaに対してデータ通信を行う。
【0034】
すなわち、本実施形態では、運搬機構6が、「調整機構X」としても機能している。
【0035】
また、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との最適な通信距離が一度検出されたRFIDタグMaについては、そのRFIDタグMaの種類(インレット形状)と検出された最適な通信距離とを相互に関連付けて、リライタブルプリンタ1自体の記憶部又はリライタブルプリンタ1に通信可能に接続したコンピュータの記憶部に記憶させる。そして、記憶部に記憶されたRFIDタグMaと同種のRFIDタグMaを付帯する感熱記録媒体Mが消去部3と印刷部4との間の搬送経路に搬送された場合、その感熱記録媒体Mは、付帯しているRFIDタグMaの種類に関連付けて記憶されているリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との最適な通信距離に調整機構X(本実施形態では運搬機構6)によって自動的に位置付けられ、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)とデータ通信を行うように設定している。
【0036】
RFIDタグMaの種類を識別してそのRFID(具体的にはそのRFIDを付帯した感熱記録媒体M)をリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)と最適な通信距離に位置付ける態様としては、給紙部2から消去部3までの間の所定箇所に設けたインレット形状読取手段によって読み取ったインレット形状に基づいてRFIDタグMaの種類を識別し、そのRFIDタグMaの種類と関連付けて記憶されている最適な通信距離に位置付ける態様が挙げられる。なお、RFIDタグMaの種類が目視で識別可能な場合には、その目視した情報に基づくRFIDタグMaの種類をリライタブルプリンタ1自体の入力部又はリライタブルプリンタ1に通信可能に接続したコンピュータの入力部に入力し、その入力されたRFIDタグMaの種類と関連付けて記憶されている最適な通信距離に位置付ける態様であってもよい。
【0037】
本実施形態のリライタブルプリンタ1は、感熱記録媒体Mに付帯させたRFIDタグMaを水平姿勢に保持したまま、垂直方向に離間して設けた第1リーダライタ7及び第2リーダライタ8に接離させることにより、第1リーダライタ7又は第2リーダライタ8がRFIDタグMaに対して垂直方向からデータの読み出し及び書き込みを行えるようにしている。
【0038】
載置部61が最上昇位置(T)に到達した後、感熱記録媒体Mは、図示しない送りローラで印刷部4に搬送され、印刷用プラテンローラ42に押圧支持された状態で、印刷ヘッド41により印刷層Mbを加熱し、急冷することにより、感熱記録媒体Mの印刷層Mbに画像が印刷され、感熱記録媒体Mはその画像が目視可能な状態に発色した発色状態となる。印刷層Mbに印刷される画像は、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)とRFIDタグMaとのデータ通信によりRFIDタグMaに書き込まれたデータに基づく画像、又は予めユーザによって入力された画像である。
【0039】
印刷部4を通過して発色状態にある感熱記録媒体Mは、図示しない送りローラで排紙部5の排紙口から外部へ排出され、排紙部5の排紙トレイに積み重ねられる。
【0040】
このように、本実施形態に係るリライタブルプリンタ1は、感熱記録媒体Mを載置部61に載置した状態で運搬機構6によって消去部3から印刷部4へ搬送する過程で、RFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との通信距離を調整することにより、RFIDタグMa全体(インレット)の形状が異なる場合であっても、各RFIDタグMaとリーダライタとの適正な通信距離を調整することができ、インレット形状の異なるRFIDに対しても適切なデータの読み出し又は書き出しを行うことができる。
【0041】
さらに、運搬機構6が、載置部61に載置した感熱記録媒体MのRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との相対距離を変更することによってRFIDタグMaとリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との通信距離を調整する調整機構Xとして機能するため、別途専用の調整機構Xを設ける必要がなく、構造の簡素化及びコストの削減を図ることができる。
【0042】
特に、本実施形態に係るリライタブルプリンタ1は、消去部3及び印刷部4を相互に高さ位置を異ならせて設け、運搬機構6の載置部61を上下移動させる構成としているため、リライタブルプリンタ1を設置する設置面に直に接する面積、つまりリライタブルプリンタ1の設置面積を小さく抑え、リライタブルプリンタ1の大型化を防止することができるとともに、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)を、上下移動する載置部61に接離する位置に設けることにより、載置部61の高さ方向に沿った直線移動を利用してリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)との相対距離を変更することができ、リーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)を可動させる機構が不要となり、構造の簡素化が図られている。
【0043】
加えて、リライタブルプリンタ1に複数のリーダライタ(第1リーダライタ7、第2リーダライタ8)を配置しているため、RFIDタグMaに対するデータ通信をより確実に行うことができる。本実施形態では、相互に異なる周波数帯に対応可能な第1リーダライタ7と第2リーダライタ8とを配置しているため、異なる周波数帯のRFIDタグMaに対しても適切にデータ通信を行うことができる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、運搬機構6が調整機構Xを兼ねている態様を例示したが、これに限らず、調整機構が、所定位置で停止させた載置部に対してリーダライタを接離動作させることにより、載置部に載置した感熱記録媒体のRFIDタグとリーダライタとの相対距離を変更し、RFIDタグとリーダライタとの通信距離を調整するものであってもよい。或いは、調整機構が、載置部及びリーダライタをそれぞれ相互に接離する方向に移動させることにより、載置部に載置した感熱記録媒体のRFIDタグとリーダライタとの相対距離を変更し、RFIDタグとリーダライタとの通信距離を調整するものであっても構わない。
【0045】
また、消去部と印刷部とを水平方向に並べて配置し、運搬機構が、消去部と印刷部との間の搬送経路上において載置部を水平方向に運搬するものであってもよい。この場合、調整機構は、水平方向に移動する載置部に載置した感熱記録媒体のRFIDタグとリーダライタとの相対距離を変更することによってRFIDタグとリーダライタとの通信距離を調整するものとなる。
【0046】
また、消去部と印刷部との間の搬送経路上にリーダライタを1つだけ配置する態様であっても構わない。
【0047】
感熱記録媒体は、シート状のものに限らず、カード状のものであってもよく、また、RFIDタグ内蔵型に代えてRFIDタグを貼り付けたものであっても構わない。
【0048】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…リライタブルプリンタ
3…消去部
4…印刷部
6…運搬機構
61…載置部
7、8…リーダライタ(第1リーダライタ、第2リーダライタ)
M…感熱記録媒体
Ma…RFIDタグ
Mb…印刷層
X…調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを付帯し、且つ熱可逆的に発色及び消色可能な印刷層を有する感熱記録媒体に対して、前記印刷層への画像の印刷及び前記印刷層に印刷された画像の消去を行うリライタブルプリンタであって、
給紙口側に配され、前記印刷層に印刷された画像を消去する消去部と、
排紙口側に配され、前記印刷層に画像を印刷する印刷部と、
前記感熱記録媒体を載置し得る載置部を有し、前記消去部と前記印刷部との間の搬送経路上で当該載置部を運搬する運搬機構と、
前記搬送経路に対して設けられ、搬送中の前記感熱記録媒体に付帯された前記RFIDタグに対してデータの読み書きが可能なリーダライタと、
前記載置部に載置された前記感熱記録媒体のRFIDタグと前記リーダライタとの相対距離を変更することによって、前記RFIDタグと前記リーダライタとで定まる固有の通信距離に調整する調整機構とを具備していることを特徴とするリライタブルプリンタ。
【請求項2】
前記運搬機構が、前記調整機構を兼ねている請求項1に記載のリライタブルプリンタ。
【請求項3】
前記消去部及び前記印刷部を相互に高さ位置を異ならせて設け、
前記運搬機構が、前記載置部を上下移動させるものであり、
前記リーダライタを、上下移動する前記載置部に対して接離する位置に設けている請求項1又は2の何れかに記載のリライタブルプリンタ。
【請求項4】
前記リーダライタを複数配置している請求項1乃至3の何れかに記載のリライタブルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−231544(P2010−231544A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78970(P2009−78970)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】