説明

リラックス装置

【課題】身体を揺動させることでリラックス効果を付与した後にリフレッシュ効果を付与することができるリラックス装置を提供する。
【解決手段】コントローラ24には、リラックス揺動から切り替わり、背もたれ部31を傾動させるリクライニング機構を制御して背もたれ部31を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させ、リラックス状態にあった使用者をリフレッシュさせるようになっている。またコントローラ24により時間経過に伴って背もたれ部31を段階的に起立させるように、リクライニング機構が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者にリラックス効果及びリフレッシュ効果を付与することができるリラックス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子型の身体支持部材に腰掛けた使用者の身体を揺動させることでリラックス効果を付与するリラックス装置が例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1のリラックス装置では、身体支持部材を前後方向に揺動させる揺動駆動装置(特許文献1では加振手段)を備え、その揺動駆動装置により身体支持部材を1Hz以下の周波数で揺動させるとともに、0.2Hz以下の変動幅で周波数を漸次変化させて使用者に対してリラックス効果を与えている。
【特許文献1】特開2000−42112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のリラックス装置では、身体を揺動させることで使用者に対してリラックス効果を付与し、身体等の緊張を解きほぐして、例えば睡眠に導くことも可能となるが、その後に使用者に対して覚醒等のリフレッシュ効果を効果的に与えるものは無く、その開発が望まれていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、身体を揺動させることでリラックス効果を付与した後にリフレッシュ効果を付与することができるリラックス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者が着座可能な座部の後部に背もたれ部が傾動可能に固定される身体支持手段と、該身体支持手段を揺動動作させる揺動駆動手段と、該揺動駆動手段を制御して前記身体支持手段をリラックス揺動させる制御手段とを備えたリラックス装置であって、前記制御手段には、前記リラックス揺動から切り替わり、前記背もたれ部を傾動させる傾動機構を制御して前記背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させ、リラックス状態にあった前記使用者をリフレッシュさせるリフレッシュ制御手段が備えられることをその要旨とする。
【0006】
この発明では、制御手段には、リラックス揺動から切り替わり、背もたれ部を傾動させる傾動機構が制御されて背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作され、リラックス状態にあった使用者をリフレッシュさせるリフレッシュ制御手段が備えられる。つまり、背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させることで、使用者の上半身(特に頭部)が動かされ、特に平衡感覚を司る三半規管の移動軌跡が変わって揺れ感が変化する刺激を与えるとともに、使用者の身体の関節等が動かされることで運動感覚も刺激され、使用者に対してリフレッシュ効果を付与することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリラックス装置において、前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させつつ、時間経過に伴って前記背もたれ部を段階的に起立させるように、前記傾動機構を制御することをその要旨とする。
【0008】
この発明では、リフレッシュ制御手段により、背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させつつ、時間経過に伴って背もたれ部を段階的に起立させるように、傾動機構が制御される。つまり、背もたれ部を完全に起立した状態と完全にリクライニングした状態となるように繰り返し動作させるのではなく、背もたれ部を段階的に起立状態となるように起立方向の動作とリクライニング方向の動作を繰り返し行うことで、使用者の上半身が段階的に起こされるため、使用者の血圧等の急激な変化が抑えられ、使用者にかかる負荷を抑制することができる。また、最終的に背もたれ部を起立状態とすることで、使用者の身体(上半身)が確実に起こされた状態となり、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のリラックス装置において、前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部のリクライニング方向への動作の動作量と比較して、その前後の前記背もたれ部の起立方向への動作の動作量が大きくなるように前記傾動機構を制御することをその要旨とする。
【0010】
この発明では、リフレッシュ制御手段により、背もたれ部のリクライニング方向への動作の動作量と比較して、その前後の背もたれ部の起立方向への動作の動作量が大きくなるように傾動機構が制御される。つまり、リクライニング方向への動作の動作量より起立方向への動作の動作量を大きくすることで、リクライニング方向への動作時の角度が時間経過に伴って段階的に起立方向に近づき、リクライニング方向への動作及び起立方向への動作においても時間経過に伴って段階的に起立方向に近づく動作となる。これにより、使用者の上半身が段階的に起こされるため、使用者の血圧等の急激な変化が抑えられ、使用者にかかる負荷を抑制することができる。また、背もたれ部が時間経過に伴って起立状態に近づく動作とされることで、使用者の身体(上半身)が徐々に起こされた状態となり、リフレッシュ効果を付与することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリラックス装置において、前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部のリクライニング方向への動作よりも起立方向への動作の方の動作速度が速くなるように前記傾動機構を制御することをその要旨とする。
【0012】
この発明では、リフレッシュ制御手段により、背もたれ部のリクライニング方向への動作よりも起立方向への動作の方の動作速度が速くなるように傾動機構が制御される。これにより、背もたれ部の起立方向への動作が際立ち、使用者が背もたれ部の起立感を感じやすくなるため、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリラックス装置において、前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部の起立方向への動作の動作速度が前記背もたれ部の起立方向への動作とリクライニング方向への動作とが繰り返されるたびに漸増するように前記傾動機構を制御することをその要旨とする。
【0014】
この発明では、リフレッシュ制御手段により、背もたれ部の起立方向への動作の動作速度が背もたれ部の起立方向への動作とリクライニング方向への動作とが繰り返されるたびに漸増するように傾動機構が制御される。つまり、時間の経過に伴って背もたれ部の起立方向への動作の動作速度が漸増され、使用者は時間の経過に伴って背もたれ部の起立感を感じやすくなる。そのため、リラックス状態の使用者を急激に覚醒状態と導くのではなく、徐々に覚醒状態へと導くため、より効果的なリフレッシュ効果を付与することが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリラックス装置において、前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部のリクライニング方向の動作と起立方向の動作とで動作方向が切り替わる際に、所定時間停止されるように前記傾動機構を制御可能に構成されるものであり、前記背もたれ部のリクライニング方向の動作から起立方向の動作に切り替わる際の停止時間よりも、前記背もたれ部の起立方向の動作からリクライニング方向の動作に切り替わる際の停止時間の方が長くなるように前記傾動機構を制御することをその要旨とする。
【0016】
この発明では、リフレッシュ制御手段は、背もたれ部のリクライニング方向の動作と起立方向の動作とで動作方向が切り替わる際に、所定時間停止されるように傾動機構を制御可能に構成される。そして、そのリフレッシュ制御手段により、背もたれ部のリクライニング方向の動作から起立方向の動作に切り替わる際の停止時間よりも、背もたれ部の起立方向の動作からリクライニング方向の動作に切り替わる際の停止時間の方が長くなるように傾動機構が制御される。つまり、起立方向に動作された背もたれ部の停止時間をリクライニング方向に動作された背もたれ部の停止時間よりも長くすることで、起立側の位置に長く背もたれ部を停止できるため、使用者の上半身が鉛直方向に近い起立方向側に位置し、使用者をより好適に覚醒状態に導くことができる。そのため、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリラックス装置において、前記身体支持手段は、前後方向に揺動動作されるものであり、前記リフレッシュ制御手段は、前記身体支持手段の後方への揺動動作に合わせて、前記背もたれ部の起立方向への動作が行われるように前記傾動機構を制御することをその要旨とする。
【0018】
この発明では、身体支持手段は前後方向に揺動動作され、リフレッシュ制御により、身体支持手段の後方への揺動動作に合わせて、背もたれ部の起立方向への動作が行われるように傾動機構が制御される。つまり、身体支持手段の後方への揺動動作に合わせて背もたれ部を起立方向(前方)に動作させることで、使用者は背もたれ部の起立感を感じやすくなり、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリラックス装置において、前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部の起立方向への動作に合わせて、前記揺動動作の周波数及び振幅の少なくとも一方を増加させるように前記揺動駆動手段を制御することをその要旨とする。
【0020】
この発明では、リフレッシュ制御手段により、背もたれ部の起立方向への動作に合わせて、揺動動作の周波数及び振幅の少なくとも一方を増加させるように揺動駆動手段が制御される。これにより、起立方向への動作と同時に揺動動作の周波数及び振幅の少なくとも一方の変化が起こるため、使用者が身体支持手段の動作変化及び背もたれ部の起立方向への動作に気づきやすく、より効果的にリフレッシュ効果を付与することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリラックス装置において、前記背もたれ部にはエアポンプにより膨縮動作されて人体を押圧するエアバッグが備えられ、前記リフレッシュ制御手段は、前記傾動機構により前記背もたれ部をリクライニング方向に動作させる際に、前記エアポンプにより前記エアバッグを膨張動作させることをその要旨とする。
【0022】
この発明では、背もたれ部にはエアポンプにより膨縮動作されて人体を押圧するエアバッグが備えられる。そして、リフレッシュ制御手段により、傾動機構を制御して背もたれ部がリクライニング方向に動作される際に、エアポンプを制御してエアバッグが膨張動作される。つまり、リクライニング方向(後方)に背もたれ部を動作させる際に、背もたれ部に備えられたエアバッグを前方に膨張させることで、リクライニング方向への動作感を低減させるとともに、使用者の上半身の重みがエアバッグにかかるため、エアバッグの刺激量を好適に付与して、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、身体を揺動させることでリラックス効果を付与した後にリフレッシュ効果を付与することができるリラックス装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のリラックス装置の概略構成図を示す。図1に示すように、リラックス装置10は、その基台11の底部11aが図示しない床面に載置されるとともに、基台11に設けられた揺動駆動手段としての揺動駆動装置12と該揺動駆動装置12により揺動される身体支持手段としての身体支持部材13とを備えている。
【0025】
揺動駆動装置12は、モータ20と、減速機21と、クランク機構22と、リンク部材23とから構成されている。
モータ20は、基台11の底部11a上面に設けられるとともに、前記底部11a上面に設けられる制御手段及びリフレッシュ制御手段としてのコントローラ24によりその駆動が制御されている。減速機21は、基台11の底部11a上面に設けられるとともに、前記モータ20と駆動連結され、モータ20の駆動力を減速出力するものである。
【0026】
クランク機構22は、2つの接続部材22a,22bから構成されるとともに、減速機21の回転駆動を半径の極めて大きな円弧運動に変換するものである。接続部材22aは、その基端が減速機21の出力軸と一体回転可能に接続されるとともに、その先端が接続部材22bの基端と回転可能に接続されている。接続部材22bの先端は、身体支持部材13が固定される四角枠状のベース部25の下部と接続されている。
【0027】
前記基台11には、その底部11aから上方向に突設される支持枠11bが備えられており、2つのリンク部材23はそれらの基端が各支持枠11b上部に所定間隔を有して回転可能に連結されるとともに、各先端がベース部25の下部と回転可能に連結されている。つまり、この2本のリンク部材23は、基端を中心として回動するようになっており、クランク機構22からの駆動力を基に、ベース部25に固定される身体支持部材13をロッキングチェア等のように前後方向に揺動させている。尚、本実施形態では、身体支持部材13が後方から前方へ移動する際の経路を往路とし、前方から後方へ移動する際の経路を復路としている。
【0028】
ベース部25の上部には、椅子型の身体支持部材13を構成する座部30がベース部25と一体移動可能に固定されており、座部30の後部に傾動可能に固定された背もたれ部31と、座部30の前部に固定されたオットマン32と、座部30の左右両側に固定された肘掛け部33とが設けられている。
【0029】
背もたれ部31は、図2に示すように、該背もたれ部31を傾動させる傾動機構としてのリクライニング機構34がコントローラ24により制御され、背もたれ部31を適宜傾動させるようになっている。
【0030】
また、背もたれ部31には、上段両側に左右一対のエアバッグ40,41が使用者の左右肩部に対応して内装されるとともに、中段に背中用エアバッグとしてのエアバッグ42,43,44が使用者の背部(背中上段、背中中段及び背中下段)に対応して内装され、下段両側にエアバッグ45,46が使用者の左右腰部に対応して内装されている。座部30左右には、2つのエアバッグ47,48が使用者の臀部及び大腿部に対応して内装されている。使用者の各部位に対応して設けられたエアバッグ40〜48は、図示しない接続ホースを介し、座部30の下部に設けられたエアポンプ49に向けて取り回されている。エアポンプ49は、前記コントローラ24によりその駆動が制御され、各エアバッグ40〜48の膨縮動作が可能となっている。
【0031】
次に、上記の様に構成されたリラックス装置10の動作について図1〜図4を用いて説明する。
コントローラ24は、揺動駆動装置12を駆動して身体支持部材13のリラックス揺動を実施するモード単独、若しくはそのリラックス揺動と各エアバッグ40〜48及び背もたれ部31とを連動するモード等、各種の作動モードが設定されている。その中で、リフレッシュ機能を有するリラックス揺動モードがある。この作動モードでは、先ず使用者に対してリラックス効果を付与する[リラックス揺動]が実施され、所定時間経過すると[リラックス揺動]から[リフレッシュ揺動]へと切り替わって作動モードが終了するようになっている。尚、図3は、その作動モードにおける身体支持部材13が揺動駆動装置12により揺動される際の振幅及び周波数の変化について示している。
【0032】
[リラックス揺動]
先ず、コントローラ24は、座部30と背もたれ部31との間のリクライニング角度θを起立状態(例えばリクライニング角度θ=120度)からリクライニング状態(例えばリクライニング角度θ=150度)となるように、リクライニング機構34を制御して背もたれ部31を所定角度(例えば30度)傾動させる。この時、背もたれ部31の作動速度は漸減するように制御される。そして、コントローラ24は、使用者を覚醒状態からリラックス状態に導くように、時間経過に伴って身体支持部材13の揺動動作の揺動間隔(周波数)を例えば0.35Hzから開始し、所定時間Aまでの間で0.2Hzまで0.05Hz刻みで漸減させるようにモータ20を制御するとともに、揺動動作の揺れ幅(振幅)にランダムなゆらぎを付与するようにモータ20を制御してリラックス揺動を行うようになっている。
【0033】
さらに、コントローラ24は、所定時間Aまでエアポンプ49を駆動させて、背もたれ部31や座部30に設けた複数のエアバッグ40〜48を、適宜、膨脹収縮動作させて使用者の身体をさすったり、伸ばしたりして筋肉を弛緩させるようなマッサージ効果を付与するようにしている。
【0034】
所定時間A経過後、所定時間Bまで、コントローラ24は、前記の最終動作、つまり身体支持部材13を本実施形態の周波数の下限値である周波数0.2Hzで、振幅にゆらぎが生じるようにモータ20を制御し、使用者を更にリラックス状態から睡眠状態となるように揺動を続ける。また、所定時間A,B間では、コントローラ24はエアポンプ49の駆動を停止させてエアバッグ40〜48の動作を停止させるようになっている。
【0035】
[リフレッシュ揺動]
所定時間B経過後、コントローラ24は、使用者を睡眠状態(リラックス状態)から覚醒状態へと誘うように、揺動動作の周波数を0.2Hzから0.3Hz、0.3Hzから0.4Hz、0.4Hzから0.6Hzとなるように段階的に変化させるべくモータ20を制御する。この時、周波数の変化のタイミングは、身体支持部材13の揺動動作が例えば10往復した後に変化するようにコントローラ24にて制御されている。また、コントローラ24は、周波数の変化のタイミングと同期させて振幅の大きさを段階的に増加するようにモータ20を制御する。
【0036】
そして、コントローラ24は、上述の動作と並行して、図4に示すように背もたれ部31を起立方向(前方)の動作とリクライニング方向(後方)の動作とを繰り返し行われるようにリクライニング機構34を制御する。詳述すると、座部30と背もたれ部31とがなすリクライニング角度θがリクライニング状態(リクライニング角度θ=150度)から起立方向である前方へ背もたれ部31を動作させてリクライニング角度θ=140度となるようにリクライニング機構34を制御する。その後、コントローラ24は、リクライニング角度θ=140度からリクライニング方向である後方へ背もたれ部31を動作させてリクライニング角度θ=150度となるようにリクライニング機構34を制御する。その後、コントローラ24は、リクライニング角度θ=150度から起立方向である前方へ背もたれ部31を動作させてリクライニング角度θ=130度となるようにリクライニング機構34を制御する。その後、コントローラ24は、リクライニング角度θ=130度の状態からリクライニング方向である後方へ背もたれ部31を動作させてリクライニング角度θ=150度となるようにリクライニング機構34を制御する。その後、コントローラ24は、リクライニング角度θ=150度の状態から起立方向である前方へ背もたれ部31を動作させてリクライニング角度θ=120度となるようにリクライニング機構34を制御して、リフレッシュ揺動では最終的に背もたれ部31が起立状態となるリクライニング角度θ=120度となるように設定されている。
【0037】
このように、背もたれ部31を起立方向(前方)とリクライニング方向(後方)とに繰り返し動作させることで、使用者の上半身(特に頭部)が動かされ、特に平衡感覚を司る三半規管の移動軌跡が変わって揺れ感が変化する刺激を与えるとともに、使用者の身体の関節等が動かされることで運動感覚も刺激され、使用者に対してリフレッシュ効果を付与することができる。また、上述のように時間経過に伴って、段階的に起立されるように起立方向(前方)とリクライニング方向(後方)とに繰り返し動作させることで、使用者の上半身が段階的に起こされるため、使用者の血圧等の急激な変化が抑えられ、使用者にかかる負荷を抑制することができる。また、最終的に背もたれ部31を起立状態とすることで、使用者の身体(上半身)が確実に起こされた状態となり、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0038】
また、上述したリクライニング機構34による背もたれ部31の繰り返し傾動動作終了後、コントローラ24は、エアポンプ49を制御してエアバッグ42,43,44に空気を供給して背中を持ち上げるようにし、背中伸ばしを行うようになっている。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)コントローラ24には、リラックス揺動から切り替わり、背もたれ部31を傾動させるリクライニング機構34を制御して背もたれ部31を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させ、リラックス状態にあった使用者をリフレッシュさせる機能が備えられる。つまり、背もたれ部31を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させることで、使用者の上半身(特に頭部)が動かされ、特に平衡感覚を司る三半規管の移動軌跡が変わって揺れ感が変化する刺激を与えるとともに、使用者の身体の関節等が動かされることで運動感覚も刺激され、使用者に対してリフレッシュ効果を付与することができる。
【0040】
(2)コントローラ24により、背もたれ部31を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させつつ、時間経過に伴って背もたれ部31を段階的に起立させるように、リクライニング機構34が制御される。つまり、背もたれ部31を完全に起立した状態と完全にリクライニングした状態となるように繰り返し動作させるのではなく、背もたれ部31を段階的に起立されるように起立方向の動作とリクライニング方向の動作を繰り返し行うことで、使用者の上半身が段階的に起こされるため、使用者の血圧等の急激な変化が抑えられ、使用者にかかる負荷を抑制することができる。また、最終的に背もたれ部31を起立状態とすることで、使用者の身体(上半身)が確実に起こされた状態となり、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0041】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、リフレッシュ揺動時に、背もたれ部31の起立方向への動作とその直後のリクライニング方向への動作との動作量が同じとなるように制御しつつ、時間経過に伴って段階的に背もたれ部31の両方向への動作量が大きくなるように構成したが、これに限らない。例えば、図5に示すように、リクライニング角度θを時間経過に伴って順に150度、140度、145度、130度、135度、120度と変化するように構成、つまり、リクライニング方向への動作の前後の起立方向への動作の動作量が大きくなるような構成を採用してもよい。このように、リクライニング方向への動作の動作量より起立方向への動作の動作量を大きくすることで、リクライニング方向への動作時の角度が時間経過に伴って段階的に起立方向に近づき、リクライニング方向への動作及び起立方向への動作においても時間経過に伴って段階的に起立方向に近づく動作となる。そのため、使用者の上半身が段階的に起こされるため、使用者の血圧等の急激な変化が抑えられ、使用者にかかる負荷を抑制することができる。また、背もたれ部が時間経過に伴って起立状態に近づく動作とされることで、使用者の身体(上半身)が徐々に起こされた状態となり、リフレッシュ効果を付与することができる。
【0042】
・上記実施形態では、特に言及していないが、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)でコントローラ24により背もたれ部31のリクライニング方向の動作と起立方向の動作とで動作方向が切り替わる際に、所定時間停止されるように傾動機構としてのリクライニング機構34を制御するような構成を採用してもよい。ここで、例えば図6に示すように、コントローラ24(図2参照)により、リクライニング方向から起立方向に動作方向が切り替わる際の停止時間t1よりも起立方向からリクライニング方向に動作方向が切り替わる際の停止時間t2の方が長くなるようにリクライニング機構34(図2参照)が制御される構成としてもよい。このような構成とすることで、起立側の位置に長く背もたれ部31を停止できるため、使用者の上半身が鉛直方向に近い起立方向側に位置し、使用者をより好適に覚醒状態に導くことができる。そのため、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0043】
また、上述した前記停止時間t1より前記停止時間t2の方が長くなるようにリクライニング機構34を制御する構成において、更に停止時間t2が時間経過に伴って漸増、つまり背もたれ部31のリクライニング方向の動作と起立方向の動作とが繰り返されるたびに、背もたれ部31を起立側の位置に長く停止される構成を採用してもよい。
【0044】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば図7に示すように、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)で、背もたれ部31をリクライニング方向に動作させる動作速度よりも起立方向に動作させる動作速度の方が速くなるような構成を採用してもよい。このような構成とすることで、背もたれ部31の起立方向への動作が際立ち、使用者が背もたれ部31の起立感を感じやすくなるため、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0045】
また、コントローラ24により、背もたれ部31の起立方向への動作の動作速度が背もたれ部31の起立方向への動作とリクライニング方向への動作とが繰り返されるたびに漸増するようにリクライニング機構が制御される構成を採用してもよい。つまり、時間の経過に伴って背もたれ部31の起立方向への動作の動作速度が漸増され、使用者は時間の経過に伴って背もたれ部31の起立感を感じやすくなる。そのため、リラックス状態の使用者を急激に覚醒状態と導くのでは、徐々に覚醒状態へと導くため、より効果的なリフレッシュ効果を付与することが可能となる。
【0046】
・上記実施形態では、特に言及していないが、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)で身体支持部材13の後方への移動中(復路中)に背もたれ部31の起立方向の動作を行うような構成してもよく、特に図8に示すように身体支持部材13の後方へ移動し始めるタイミングと背もたれ部31の起立方向(前方)へ動作し始めるタイミングとが同じとなるような構成を採用してもよい。このように、身体支持部材13の後方への揺動動作に合わせて背もたれ部31を起立方向(前方)に動作させることで、使用者は背もたれ部31の起立感を感じやすくなり、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。
【0047】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば図9に示すように、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)で、周波数の増加に合わせて背もたれ部31を起立方向に動作させる構成を採用してもよい。また、リフレッシュ揺動時に振幅の増加に合わせて背もたれ部31を起立方向に動作させる構成を採用してもよい。このような構成とすることで、起立方向への動作と同時に揺動動作の周波数及び振幅の少なくとも一方の変起こるため、使用者が身体支持部材13の動作変化及び背もたれ部31の起立方向への動作に気づきやすく、より効果的にリフレッシュ効果を付与することができる。
【0048】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば図10に示すように、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)で、背もたれ部31がリクライニング方向に動作されるタイミングと例えば背もたれ部31に設けられたエアバッグ40〜46の膨張されるタイミングとを同じとするような構成を採用してもよい。このような構成によれば、リクライニング方向に背もたれ部31を動作させる際に、背もたれ部31に備えられたエアバッグ40〜46を膨張させることで、使用者に与えるリクライニング方向への動作感を低減させるとともに、使用者の上半身の重みがエアバッグ40〜46にかかるため、エアバッグ40〜46の刺激量を好適に付与して、より効果的なリフレッシュ効果を付与することができる。尚、エアバッグ40〜46の内の少なくとも1つの膨張タイミングと背もたれ部31のリクライニング方向に動作されるタイミングとが同じであれば同様の効果を奏することができる。
【0049】
・上記実施形態では、特に言及していないが、例えば、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)で、背もたれ部31が起立方向に動作されるタイミングと例えば背もたれ部31に設けられたエアバッグ40〜46の膨張されるタイミングとを同じとするような構成を採用してもよい。このような構成とすることで、背もたれ部31の起立方向の動作に、起立方向と同方向(前方)に膨張されるエアバッグ40〜46の動作が加わるため、使用者の身体(上半身)の起立量を大きくし、効果的なリフレッシュ効果を付与することが可能となる。
【0050】
・上記実施形態では、リフレッシュ揺動時(所定時間B経過後)に、背もたれ部31をリクライニング方向と起立方向とに常時繰り返す構成としたが、例えば、起立方向の動作が複数回続いた後にリクライニング方向の動作が行われる構成や、リクライニング方向の動作が複数回続いた後に起立方向の動作が行われる構成を採用してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、身体支持部材13を前後方向に揺動動作させる構成としたが、これに限らず、例えば左右方向に揺動動作させる構成としてもよい。
・上記実施形態では、身体支持部材13(座部30と背もたれ部31)にエアバッグ40〜48)を設けているが、設けなくてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、所定時間Aや所定時間Bとでコントローラ24による各部の制御が切り替わるように構成されているが、これに限らず、例えば使用者がコントローラ24による各部の制御を切り替え可能なスイッチを設けて、使用者の所望のタイミングで切り替えをおこなってもよい。
【0053】
・上記実施形態では、特に言及していないが、リラックス揺動やリフレッシュ揺動に対応した音楽や振動を付与する構成を追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態におけるリラックス装置の概略構成図である。
【図2】身体支持部材の斜視図である。
【図3】揺動動作の振幅及び周波数について説明するための説明図である。
【図4】背もたれ部の動作について説明するための説明図である。
【図5】別例における背もたれ部の動作について説明するための説明図である。
【図6】別例における背もたれ部の動作について説明するための説明図である。
【図7】別例における背もたれ部の動作速度について説明するための説明図である。
【図8】別例における背もたれ部の動作と身体支持部材の動作について説明するための説明図である。
【図9】別例における背もたれ部の動作と揺動動作の周波数について説明するための説明図である。
【図10】別例における背もたれ部の動作とエアバッグの膨縮動作について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0055】
10…リラックス装置、13…身体支持手段としての身体支持部材、24…制御手段及びリフレッシュ制御手段としてのコントローラ、30…座部、31…背もたれ部、34…傾動機構としてのリクライニング機構、40〜48…エアバッグ、49…エアポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座可能な座部の後部に背もたれ部が傾動可能に固定される身体支持手段と、該身体支持手段を揺動動作させる揺動駆動手段と、該揺動駆動手段を制御して前記身体支持手段をリラックス揺動させる制御手段とを備えたリラックス装置であって、
前記制御手段には、前記リラックス揺動から切り替わり、前記背もたれ部を傾動させる傾動機構を制御して前記背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させ、リラックス状態にあった前記使用者をリフレッシュさせるリフレッシュ制御手段が備えられることを特徴とするリラックス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリラックス装置において、
前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部を起立方向とリクライニング方向とに繰り返し動作させつつ、時間経過に伴って前記背もたれ部を段階的に起立させるように、前記傾動機構を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリラックス装置において、
前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部のリクライニング方向への動作の動作量と比較して、その前後の前記背もたれ部の起立方向への動作の動作量が大きくなるように前記傾動機構を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のリラックス装置において、
前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部のリクライニング方向への動作よりも起立方向への動作の方の動作速度が速くなるように前記傾動機構を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のリラックス装置において、
前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部の起立方向への動作の動作速度が起立方向への動作とリクライニング方向への動作とが繰り返されるたびに漸増するように前記傾動機構を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のリラックス装置において、
前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部のリクライニング方向の動作と起立方向の動作とで動作方向が切り替わる際に、所定時間停止されるように前記傾動機構を制御可能に構成されるものであり、前記背もたれ部のリクライニング方向の動作から起立方向の動作に切り替わる際の停止時間よりも、前記背もたれ部の起立方向の動作からリクライニング方向の動作に切り替わる際の停止時間の方が長くなるように前記傾動機構を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のリラックス装置において、
前記身体支持手段は、前後方向に揺動動作されるものであり、
前記リフレッシュ制御手段は、前記身体支持手段の後方への揺動動作に合わせて、前記背もたれ部の起立方向への動作が行われるように前記傾動機構を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のリラックス装置において、
前記リフレッシュ制御手段は、前記背もたれ部の起立方向への動作に合わせて、前記揺動動作の周波数及び振幅の少なくとも一方を増加させるように前記揺動駆動手段を制御することを特徴とするリラックス装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のリラックス装置において、
前記背もたれ部にはエアポンプにより膨縮動作されて人体を押圧するエアバッグが備えられ、
前記リフレッシュ制御手段は、前記傾動機構により前記背もたれ部をリクライニング方向に動作させる際に、前記エアポンプにより前記エアバッグを膨張動作させることを特徴とするリラックス装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate