説明

リンク型変位計の測定方法およびリンク型変位計の測定装置

【課題】トンネルの築造やシ−ルドトンネルの拡幅に好適で、リンク型変位計ユニットを継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測する、リンク型変位計の新規な計測法を提供する。
【解決手段】変位センサ26,27を内蔵した一対のリンク22,23の一端部を互いに異軸方向に回動可能に連結したリンク型変位計ユニット21を設ける。前記変位計ユニット21を所定数連結して計測域に配置する。 前記各変位センサ26,27の信号を制御装置31に入力する。前記制御装置31を介して前記信号を演算処理するリンク型変位計の測定方法である。前記計測域を移動する移動体9にリンク型変位計ユニット21を同動可能に装着する。前記移動体9の移動位置に応じて、前記移動体9と計測基準位置との間に一または複数のリンク型変位計ユニット21を接続する。前記変位計ユニット21の変位センサ信号と計測基準位置を基に、移動体9の移動位置を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトンネルの築造やシ−ルドトンネルの拡幅に好適で、リンク型変位計ユニットを継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測する、リンク型変位計の新規な計測法を提供し、例えば地中を掘進する先端装置の移動位置を精密かつ正確に計測するとともに、先端装置の作動と姿勢制御並びにその修正作動を実現して正確な推進工を施工でき、更に地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山等の困難な計測地での位置計測を促せる、リンク型変位計の測定方法およびリンク型変位計の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネルの築造や上下水道の新設、シ−ルドトンネルの拡幅、シ−ルド駅の施工に際しては、推進工法を駆使したボ−リング工が採用され、その施工に際しては、推進手段によって推進管を地山に推進し、前記推進管の先端部に掘削装置を備えた先端装置を設け、地山を掘削しながら推進管を地山へ推進させるため、掘削位置と推進管の推進位置を遂次計測し、それらの姿勢を制御し管理する必要がある。
【0003】
例えば、シ−ルドトンネルの拡幅に際し、シ−ルドトンネル内に曲線ボ−リング装置を構成する推進装置を設置し、該推進装置から曲管状の外管を順次継ぎ足して地山へ推進し、前記外管の内部に曲管状の内管を順次継ぎ足して収容し、該内管の先端部に掘削装置を設け、該掘削装置によって地山を掘削しながら、内管と外管とを一緒に地山へ推進し、一方、前記先端側の内管内に孔芯測定器として、光ファイバジャイロを設置し、該ジャイロによって外管ないし内管の推進位置と方向を検出し、その信号によって掘削装置の進路を修正するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、前記光ファイバジャイロは、高価で精密な取り付けを要し、設置に手間が掛かる上に、ジャイロ自身が回転体であるため、振動による影響を受け易く、またケ−ブルワイヤの送り出し量によって移動量を測定するため、振動やケ−ブルワイヤの伸びによって測定値に誤差を生じ易く、しかも内管の内側に設けた保護管に移動可能に収容されるため、狭隘な内管内では保護管のスペ−ス確保が難しい、という問題があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、推進管の内部に光ファイバジャイロを収容した走行管を移動可能に収容し、該走行管の端部に互いに係合可能な雌雄側継手を設け、該継手を介して隣接する走行管を屈曲可能に連結するとともに、走行管の下側に引抜伝達部材を屈曲可能に連結し、前記走行管を推進管の内外に出入り可能にしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、光ファイバジャイロを、ヨ−角方向変位を検出する一軸型光ファイバジャイロに構成し、構成を簡潔かつ小形化するとともに、推進管の推進距離を測定する距離測定手段と、ヨ−角の相対角度変化と推進距離の積分演算により、先導体の平面座標変化と推進管の平面線形を算出するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、これらの装置は、光ファイバジャイロを要するため、何れも高価であり、そのうえ前者のものは、走行管に小形ジャイロからなる測量ロボットを収容し、該走行管を弾性バンドを介して支持板に取り付けているため、不安定で測定誤差を生じ易く、また走行管を推進管の中央に配置し、該走行管の下方に送泥管や排泥管、引き抜き伝達部材を配置しているため、推進管が大径化するとともに、走行管の引き出し時に送排泥管を同動させるため、多大の労力と手間を要して作業性が悪い、等の問題があった。
【0008】
一方、後者のものは、一軸型光ファイバジャイロやレベルセンサを要するため、設備費が上昇するとともに、それらの設置が煩雑で手間が掛かり、しかもそれらを先導体の内部に設置しているため、それらの故障による修理や推進作業の復旧が難しい問題があった。
【0009】
このような問題を解決するものとして、出願人は、地盤変状の計測手段として、地盤の計測場所の両端間にリンクケ−スを設置し、該リンクケ−スの内側に、複数の計測ユニットを中間パイプを介してリンク状に接続し、その両端部を不動点に固定して設置し、不動点間の地盤の変位を複数の計測手段で計測し、その計測デ−タをコンピュ−タに伝送して、施工現場の地盤の変状を監視するようにした、リンク型変位計とその計測法を提案している。
【0010】
前記計測ユニットは、差動トランス等の計測手段を備えた第1および第2リンクパイプを有し、該リンクパイプの一端を対向して配置し、該対向端部間にコマを配置し、該コマに第1および第2リンクパイプの一端を上下方向および水平方向に回動自在に連結し、各リンクパイプの回動変位を前記計測手段を介して計測可能にする一方、前記第1および第2リンクパイプの他端に前記中間パイプの一端を連結し、この他端に隣接する計測ユニットのリンクパイプを連結し、前記第1および第2リンクパイプの自在連結部の外側にロ−ラを備えた環状枠を配置し、該ロ−ラを介して前記計測ユニットをリンクケ−ス内に移動可能にしている(例えば、特許文献4参照)。
【0011】
前記計測法は、計測区間の変状を施工後に計測する場合に好適であるが、施工中の変状を施工区間毎に計測し、または刻々と変化する変状を追跡して計測し、その計測デ−タを基に施工を監理し制御することに対応できなかった。
特に、この問題は、施工が視覚的に監視可能な地上で行われる場合は、一定の対応が可能であるが、施工が視覚的に監視不可能な地中で行われる場合に緊要で、前記計測法の改良が望まれていた。
【0012】
【特許文献1】特公平7−76507号公報
【特許文献2】特開2004−76565号公報
【特許文献3】特開2003−247826号公報
【特許文献4】特許第3607662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこのような問題を解決し、例えばトンネルの築造やシ−ルドトンネルの拡幅に好適で、リンク型変位計ユニットを継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測する、リンク型変位計の新規な計測法を提供し、例えば地中を掘進する先端装置の移動位置を精密かつ正確に計測するとともに、先端装置の作動と姿勢制御並びにその修正作動を実現して正確な推進工を施工でき、更に地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山等の困難な計測地での位置計測を促せる、リンク型変位計の測定方法およびリンク型変位計の測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、変位センサを内蔵した一対のリンクの一端部を互いに異軸方向に回動可能に連結したリンク型変位計ユニットを設け、該変位計ユニットを所定数連結して計測域に配置し、前記各変位センサの信号を制御装置に入力し、該制御装置を介して前記信号を演算処理するリンク型変位計の測定方法において、計測域を移動する移動体にリンク型変位計ユニットを同動可能に装着し、前記移動体の移動位置に応じて、前記移動体と計測基準位置との間に一または複数のリンク型変位計ユニットを接続し、前記変位計ユニットの変位センサ信号と計測基準位置を基に、移動体の移動位置を演算するようにして、計測域の全域にリンク型変位計を設置して計測域の変状を計測する、従来のリンク型変位計による計測法に代わって、リンク型変位計ユニットを遂次継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測するようにして、リンク型変位計の新規な計測法を提供するとともに、刻々移動する移動体の移動位置を正確に計測し、例えば地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山、樹木の高所等の困難な計測地での位置計測や変状の計測を実行可能にしている。
【0015】
請求項2の発明は、前記移動体に一または複数のリンク型変位計ユニットを装着可能な管体を接続し、該管体を推進して移動体を移動させ、移動体に前記リンク型変位計ユニットを同動させて、移動体の位置計測を精密かつ正確に行なうようにしている。
請求項3の発明は、前記制御装置から移動体の駆動部に制御信号を入力し、該駆動部の作動を制御して、移動体の位置や姿勢制御並びにそれらの修正を実現するとともに、移動体の既定の進路を監視するようにしている。
請求項4の発明は、前記管体内に前記リンク型変位計ユニットを管軸方向に配置して、リンク型変位計ユニットの回収や再設置を実現し、非常時やメンテナンスに応じられるようにしている。
【0016】
請求項5の発明は、前記移動体に最先のリンク型変位計ユニットを着脱可能に装着し、該最先のリンク型変位計ユニットに後行のリンク型変位計ユニットを連結し、後行のリンク型変位計ユニットを前記管体に組み込んで順次連結する組み立ての合理化を実現するとともに、リンク型変位計ユニットの回収時やメンテナンス時には管体からの出し入れを実現し得るようにしている。
請求項6の発明は、前記最先のリンク型変位計ユニットを前記移動体から切り離し、一または複数のリンク型変位計ユニットを管体の内外へ移動可能にし、リンク型変位計ユニットの回収やメンテナンス時に、前記変位計ユニットを押し引きして容易に応じられるようにしている。
請求項7の発明は、前記移動体と管体を、地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山へ移動させ、困難な計測地での計測を実現し得るようにしている。
請求項8の発明は、前記移動体と管体を、直線または曲線状に移動させ、計測環境および計測条件に応じた計測法を選択し得るようにしている。
【0017】
請求項9の発明は、変位センサを内蔵した一対のリンクの一端部を互いに異軸方向に回動可能に連結したリンク型変位計ユニットを設け、該変位計ユニットを所定数連結可能に設け、該変位計ユニットを計測域に配置する一方、前記各変位センサの信号を入力可能な制御装置を設け、該制御装置を介して前記信号を演算処理可能なリンク型変位計の測定装置において、計測域を移動可能な移動体を設け、該移動体にリンク型変位計ユニットを同動可能に装着し、前記移動体の移動位置に応じて、前記移動体と計測基準位置との間に一または複数の変位計ユニットを接続可能に設け、前記制御装置にリンク型変位計ユニットの変位センサ信号と計測基準位置信号とを入力可能に設け、前記制御装置を介し移動体の移動位置を演算可能にし、計測域の全域にリンク型変位計を設置して計測域の変状を計測する、従来のリンク型変位計による計測法に代わって、リンク型変位計ユニットを遂次継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測する新規な計測法を実現するとともに、刻々移動する移動体の移動位置を正確に計測し、例えば地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山、樹木の高所等の困難な計測地での位置計測や変状の計測を実現し得るようにしている。
請求項10の発明は、前記制御装置の制御信号を移動体に出力可能に設け、該移動体の作動を制御可能にし、移動体の位置や姿勢制御とそれらの修正を実現するとともに、移動体の既定の進路を監視するようにしている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明は、計測域を移動する移動体にリンク型変位計ユニットを同動可能に装着し、前記移動体の移動位置に応じて、前記移動体と計測基準位置との間に一または複数のリンク型変位計ユニットを接続し、前記変位計ユニットの変位センサ信号と計測基準位置を基に、移動体の移動位置を演算するから、計測域の全域にリンク型変位計を設置して計測域の変状を計測する、従来のリンク型変位計による計測法に代わって、リンク型変位計ユニットを遂次継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測するようにして、リンク型変位計の新規な計測法を提供するとともに、刻々移動する移動体の移動位置を正確に計測し、例えば地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山等の困難な計測地での位置計測や変状の計測を実行することができる。
【0019】
請求項2の発明は、前記移動体に一または複数のリンク型変位計ユニットを装着可能な管体を接続し、該管体を推進して移動体を移動させるから、移動体に前記リンク型変位計ユニットを同動させて、移動体の位置計測を精密かつ正確に行なうことができる。
請求項3の発明は、前記制御装置から移動体の駆動部に制御信号を入力し、該駆動部の作動を制御するから、移動体の位置や姿勢制御並びにそれらの修正を実現するとともに、移動体の既定の進路を監視することができる。
請求項4の発明は、前記管体内に前記リンク型変位計ユニットを管軸方向に配置するから、リンク型変位計ユニットの回収や再設置を実現し、前記変位計ユニットの回収やメンテナンスに応ずることができる。
【0020】
請求項5の発明は、前記移動体に最先のリンク型変位計ユニットを着脱可能に装着し、該最先のリンク型変位計ユニットに後行のリンク型変位計ユニットを連結するから、後行のリンク型変位計ユニットを前記管体に組み込んで順次連結する組み立ての合理化を実現するとともに、リンク型変位計ユニットの回収時やメンテナンス時には管体からの出し入れを実現することができる。
請求項6の発明は、前記最先のリンク型変位計ユニットを前記移動体から切り離し、一または複数のリンク型変位計ユニットを管体の内外へ移動可能にするから、リンク型変位計ユニットの回収やメンテナンス時に、前記変位計ユニットを押し引きして容易に応ずることができる。
請求項7の発明は、前記移動体と管体を、地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山へ移動させるから、困難な計測地での計測を実現することができる。
請求項8の発明は、前記移動体と管体を、直線または曲線状に移動させるから、計測環境および計測条件に応じた計測法を選択することができる。
【0021】
請求項9の発明は、計測域を移動可能な移動体を設け、該移動体にリンク型変位計ユニットを同動可能に装着し、前記移動体の移動位置に応じて、前記移動体と計測基準位置との間に一または複数の変位計ユニットを接続可能に設け、前記制御装置にリンク型変位計ユニットの変位センサ信号と計測基準位置信号とを入力可能に設け、前記制御装置を介し移動体の移動位置を演算可能にしたから、計測域の全域にリンク型変位計を設置して計測域の変状を計測する、従来のリンク型変位計による計測法に代わって、リンク型変位計ユニットを遂次継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測する新規な計測法を実現することができるとともに、刻々移動する移動体の移動位置を正確に計測し、例えば地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山、樹木の高所等の困難な計測地での位置計測や変状の計測を実現することができる。
請求項10の発明は、前記制御装置の制御信号を移動体に出力可能に設け、該移動体の作動を制御可能にしたから、移動体の位置や姿勢制御とそれらの修正を実現できるとともに、移動体の既定の進路を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をトンネルの施工に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図7において1は立坑等の発進基地で、該発進基地1に推進装置として曲線ボ−リング装置2が設置されている。
実施形態の曲線ボ−リング装置2は、発進基地1から後述の推進管を下向きにして地中へ推進可能にしており、前記ボ−リング装置2は、発進基地1上に設置した架枠3に機枠4を載置し、該機枠4に曲線状のガイド面5aを形成したガイドフレ−ム5を連結している。
【0023】
前記ガイドフレ−ム5の両側に、反力受6とパイプホルダ7が設置され、該パイプホルダ7は地山8に推進する移動体としての先端装置9の外殻を形成する管体としての先導管10と、該管10に接続する管体としての推進管11を保持可能にしている。実施形態の推進管11は、長さ4m、半径10mの曲管に形成されている。
前記曲線ボ−リング装置2は、前記先導管10および推進管11を保持可能なチャッキング装置12と、先後行の推進管11を継ぎ足して接続する管接続装置13とを備え、これらの装置12,13を前記ガイド面5aに沿って移動可能にしている。
【0024】
前記チャッキング装置12の上部に、推進シリンダ14が揺動かつ摺動可能に装着され、該推進シリンダ14にピストンロッド15が伸縮可能に設けられ、該ピストンロッド15の先端部を、前記反力受6の上部に揺動自在に支持している。
【0025】
すなわち、前記曲線ボ−リング装置2は、前記ピストンロッド15を伸長して推進シリンダ14を変位させ、該シリンダ14にチャッキング装置12を同動させて、該チャッキング装置12に保持した先導管10ないし推進管11を、その移動分推進可能にしている
【0026】
前記先端装置9は先導管10の内側に着脱可能に収容され、推進時は先導管10に一体に装着されていて、その先端部に掘削装置(図示略)が設けられ、該掘削装置ないし先端装置9の移動位置を、後述する制御装置を介して遂次計測され、その作動と移動位置および姿勢を制御されている。
【0027】
前記先導管10の後端部に最先行の推進管11の一端が接続され、その他端に後行の推進管11の一端が接続され、この他端に次後行の推進管11の一端が接続されている。以降、推進管11の端部に後行の推進管11の端部が順次継ぎ足されて接続されている。
【0028】
図中、16は発進基地1の口切り部に設置した口元管で、先導管10ないし推進管11を挿入可能にしており、17,18は先端装置9に接続した送泥管と排泥管である。
なお、先導管10ないし推進管11内にダクト(図示略)が配管され、その内部に給気管と油圧管、各種の電源コ−ド(共に図示略)が収容されている。
【0029】
前記各推進管11の内面底部に、断面略U字形状のリンクガイド19が管軸方向に取り付けられ、該リンクガイド19の内側に先端装置9の位置計測手段である、リンク型変位計20が移動可能に収容されている。
この場合、前記リンクガイド19はU字形断面ないし鞘状に形成する代わりに、例えば角管または円管状の閉合形断面に形成することも可能である。
【0030】
前記リンク型変位計20は、複数のリンク型変位計ユニット21を揺動可能に接続して構成され、該変位計ユニット21は、一対のリンク22,23と、一対のリンクアーム24,25とで構成されている。
前記リンク22,23は同形かつ同長、実施形態では長さ50cm、一辺が約6cmの角管状に形成され、その一端部内に前記リンク22,23のピッチングおよびロ−リング量を計測可能な、変位センサとして、差動トランス26,27を設置し、その変位検出方向を互いに異軸方向、つまり水平方向および垂直方向に配置している。
【0031】
前記リンク22,23の一端部は対向して配置され、該対向端部の間に立方体状の枢着ブロック28が配置され、該ブロック28の相直交する平行端面にピン29,30を介して、前記リンク22,23の一端部が回動可能に連結されている。
すなわち、前記リンク22の一端部は、ピン29を中心に垂直方向へ回動可能に連結され、前記リンク23の一端部は、ピン30を中心に水平方向へ回動可能に連結されている
【0032】
前記枢着ブロック28の両端部に、一対の支持枠(図示略)が前記リンク22,23に向けて突設され、該支持枠の先端部に金属製の棒状コア(図示略)が突設され、該コアを差動トランス26,27のコイル(図示略)に挿入可能に配置していて、前記コアの変位を電圧または電流に変換し、前記リンク22の垂直変位とリンク23の水平変位を検出し、その検出デ−タを後述する信号系統を介して、制御装置31を構成するパ−ソナルコンピュ−タ等の演算器32へ遂次入力可能にしている。
【0033】
前記演算器32は、前記各リンク型変位計20の検出デ−タを刻々と取り入れ、これらを予め記憶した情報と後述する前記絶対基準位置を基に、掘削装置ないし先端装置9の現在位置を演算し、更にその演算位置と記憶した施工計画位置との誤差を演算するようにしている。
そして、前記誤差の許容範囲の内外を比較判定し、前記誤差が許容範囲を越える場合は、施工訂正制御信号を掘削装置ないし先端装置9へ出力し、これらの姿勢を制御して施工を訂正し、前記誤差が許容範囲内の場合は現状の施工を続行可能にさせている。
【0034】
前記リンクアーム24,25は、隣接するリンク型変位計ユニット21,21の間、すなわち前記リンク22,23の対向端部と反対側の端部間に配置され、これは両側のリンク22,23に同動可能な二つのスライドリンク(図示略)を伸縮可能に装着して構成され、この一方に前記制御装置31に接続する信号系統が装備されている。実施形態のリンクアーム24,25は、最大2.5m伸長可能に構成されている。
したがって、実施形態のリンク型変位計ユニット21は、略3〜6mに伸縮変位し、推進管11内に2〜3個のリンク型変位計ユニット21が収容されている。
図中、33,34はリンク22,23の端部周面に形成した、リンクアーム24,25の取り付け用の切欠孔である。
【0035】
前記各リンク22,23の対向端部の外側に略U字形断面の支持金具35が配置され、該金具35にリンク22,23がピン29と同軸位置に回動可能に支持されている。
前記支持金具35は架設板36に取り付けられ、該架設板36に台枠37,37の上部が固定され、その下部にロ−ラ38,38が回転自在に軸支され、該ロ−ラ38,38がリンクガイド19の底面に走行可能に収容されている。
【0036】
前記台枠37,37の両端部に同様な台枠39,39が離間して配置され、これらの台枠37,39が継手板40を介して連結されている。
前記台枠37,39に、複数のロ−ラブラケット41,42が離間して取り付けられ、その上部の屈曲片にロ−ラ43,43が回転自在に軸支され、該ロ−ラ43,43がリンクガイド19の屈曲片の内面に転動かつ係合可能に配置されている。
【0037】
この他、図中44は、最先位置に配置した変位計ユニット21のリンク23の先端に突設した牽引ロッドで、該ロッド44の先端を先端装置9の後端部に設けた電磁石等の装着片45に着脱可能に装着され、推進時に装着片45を磁化して牽引ロッド44を吸着し、先端装置9にリンク型変位計20を同動可能にしている。
【0038】
このように構成した本発明のリンク型変位計は、複数のリンク型変位計ユニット21を揺動可能に接続し、該変位計ユニット21を、一対のリンク22,23と、一対のリンクアーム24,25とで構成する。
このうち、前記リンク22,23を同形かつ同長の角管状に形成し、その一端部内に該リンク22,23のピッチングおよびロ−リング量を計測可能な差動トランス26,27を設置し、その変位検出方向を互いに異軸方向、つまり水平方向および垂直方向に配置する
【0039】
前記リンク22,23の一端部を対向して配置し、その対向端部の間に立方体状の枢着ブロック28を配置し、該ブロック28の相直交する平行端面にピン29,30を介して、前記リンク22,23の一端部を回動可能に連結する。
すなわち、リンク22の一端部を、ピン29を中心に垂直方向へ回動可能に連結し、リンク23の一端部を、ピン30を中心に水平方向へ回動可能に連結する。
【0040】
前記枢着ブロック28は、両端部に一対の支持枠(図示略)を前記リンク22,23に向けて突設し、該支持枠の先端部に金属製の棒状コア(図示略)を突設し、該コアを差動トランス26,27のコイル(図示略)に挿入可能に配置し、前記コアの変位を電圧または電流に変換し、前記リンク22の垂直変位とリンク23の水平変位を検出可能にする。
【0041】
前記リンクアーム24,25は、二つのスライドリンク(図示略)を伸縮可能に装着して構成し、この一方のスライドリンクに制御装置31に接続する信号系統を装備する。
そして、一方のスライドリンクを、前記リンク22,23の対向端部と反対側端部のリンク22に取り付け、他方のスライドリンクを、隣接するリンク型変位計ユニット21のリンク23に取り付ける。
【0042】
こうして、一対のリンク22,23に、一対のリンクアーム24,25を連結して、一つのリンク型変位計ユニット21を組み立て、該ユニット21を推進管11の長さに応じて複数製作し、これをリンクアーム24,25を介して連結する。
【0043】
また、リンク型変位計ユニット21を収容かつ移動可能な鞘状若しくは管状のリンクガイド19を製作し、該ガイド19を各推進管11の小湾曲側内面の軸方向に沿って、ビス等を介して着脱可能に取り付ける。
このように本発明のリンク型変位計の基本構成は、従来のものと略同一である。
【0044】
次に、前記リンク型変位計を用いて、地中を移動する掘削装置ないし先端装置9の位置を制御する場合は、発進基地1に推進装置である曲線ボ−リング装置2を設置し、そのチャッキング装置12に最先行の推進管11を装着する。
前記最先行の推進管11の先端に先導管10を接続し、該管10内に先端装置9をチャッキングして取り付け、該先端装置9の先端部に拡縮ビットを備えた掘削装置を取り付け、後端部に送排泥管17,18とダクト(図示略)を接続し、該ダクトに各種導管と電源ケ−ブルを収容する。
【0045】
前記最先行の推進管11の底部側内面に設置したリンクガイド19に、推進管11の長さに応じて予め接続した複数のリンク型変位計ユニット21を収容し、そのロ−ラ38,43をリンクガイド19の底部および側面の内面に転動可能に配置する。
また、最先端位置のリンク23に突設した牽引ロッド44を、先端装置9の後端部に取り付けた装着片45に装着する。実施形態では装着片45に通電して磁化し、該装着片45に牽引ロッド44を吸着している。この状況は図9のようである。
【0046】
そして、リンクア−ム24,25の各スライドリンクの一方に設けた信号系統を、制御装置31に接続し、差動トランス26,27の検出変位を制御装置31へ入力可能にする
その際、推進管11の移動位置の演算基準となる絶対基準位置、例えば不動に設置された口元管16の位置(x,y,z)を、例えばトランシット(図示略)等で精密に測定し、その測定値を制御装置31へ入力する。
【0047】
このように本発明の主要部であるリンク型変位計は、従来の高価なジャイロないし光ファイバ−ジャイロや、その絶対位置を検出するセンサを要せず、また衝撃等に繊細で精密な取り付けを要する特別な計測器を要しないから、これを容易に取り付けられ、これを低廉に提供し得る。
【0048】
このような状況の下で、掘削装置を発進基地1の口切り部に位置付け、該掘削装置を駆動して地山8を掘削するとともに、曲線ボ−リング装置2を駆動し、その推進シリンダ14を伸長してチャッキング装置12を移動し、該チャッキング装置12に取り付けた推進管11を地中へ下向きに送り出す。
【0049】
このようにすると、リンクガイド19が推進管11と同動し、該ガイド19に収容した複数のリンク型変位計ユニット21が牽引ロッド44に牽引されて、
掘削装置ないし先端装置9と一体に移動し、前記変位計ユニット21が重力作用によって下向きに正確に移動する。
【0050】
その際、リンク22は枢支部であるピン29を中心に垂直方向へ回動変位し、リンク23は枢支部であるピン30を中心に水平方向へ回動変位し、前記垂直方向の回動変位が差動トランス26の棒状コア(図示略)の移動量で計測され、また前記水平方向の回動変位が差動トランス27の棒状コア(図示略)の移動量で計測され、これらの計測量が電圧値等の電気量に変換されて、制御装置31に刻々と入力される。
【0051】
前記制御装置31は、前記入力された計測デ−タを条件に、予め記憶した情報と前記絶対基準位置を基に、掘削装置ないし先端装置9の現在位置を演算し、更にその現在位置と記憶した施工計画位置との誤差を演算する。
そして、前記誤差の許容範囲の内外を比較判定し、前記誤差が許容範囲を越える場合は、施工訂正制御信号を掘削装置ないし先端装置9へ出力し、これらの姿勢を制御して施工を訂正し、前記誤差が許容範囲内の場合は現状の施工を続行する。
【0052】
こうして、最先の推進管11をその長さ分、地中へ推進したところで、掘削装置と曲線ボ−リング装置2の駆動を停止し、後行の推進管11をチャッキング装置12に取り付け、該推進管11を管接続装置13を介して先行の推進管11に継ぎ足す。
すなわち、後行の推進管11内に予め取り付けたリンクガイド19を、先行の推進管11のリンクガイド19と同相位置に取り付け、先後のリンクガイド19を接続し開通する
【0053】
そして、前記継ぎ足したリンクガイド19内に、予め接続した複数のリンク型変位計ユニット21を収容し、相隣接する先後のリンク型変位計ユニット21を、リンクアーム24または25を介して接続するとともに、そのロ−ラ38,43をリンクガイド19の底部および側面の内面に転動可能に配置する。
【0054】
また、先行の送排泥管17,18に後行の送排泥管17,18を継ぎ足し、更に先行のダクトに後行のダクトを継ぎ足し、その内部に給気管と油圧管、各種の導管と電源ケ−ブルを収容する。
【0055】
こうして、後行の推進管11と送排泥管17,18、リンクガイド19、リンク型変位計ユニット21等を継ぎ足したところで、掘削装置と曲線ボ−リング装置2を駆動し、地山8の掘削を再開するとともに、推進シリンダ14を伸長してチャッキング装置12を移動し、該チャッキング装置12に取り付けた推進管11を地中へ送り出す。
【0056】
このようにすると、先後のリンクガイド19が先後の推進管11と同動し、該ガイド19に収容した複数のリンク型変位計ユニット21が牽引ロッド44に牽引されて、掘削装置ないし先端装置9と一体に移動し、前記変位計ユニット21が重力作用によって下向きに正確に移動する。
【0057】
その際、リンク22はピン29を中心に垂直方向へ回動変位し、リンク23はピン30を中心に水平方向へ回動変位し、前記垂直および水平方向の回動変位が差動トランス26,27でそれぞれ計測され、これらの計測量が電圧値等の電気量に変換されて、制御装置31に刻々と入力される。
【0058】
前記制御装置31は、前記入力された計測デ−タを条件に、予め記憶した情報と前記絶対基準位置を基に、掘削装置ないし先端装置9の現在位置を演算し、更にその現在位置と記憶した施工計画位置との誤差を演算する。
そして、前記誤差の許容範囲の内外を比較判定し、前記誤差が許容範囲を越える場合は、施工訂正制御信号を掘削装置ないし先端装置9へ出力し、これらの姿勢を制御して施工を訂正し、前記誤差が許容範囲内の場合は現状の施工を続行する。
【0059】
以降、推進管11を所定量推進し、推進管11と送排泥管17,18、リンクガイド19とリンク型変位計ユニット21等を順次継ぎ足し、掘削装置と曲線ボ−リング装置2の駆動を再開し、リンク型変位計ユニット21による先端装置9の位置計測を再開する。
そして、前記計測デ−タと絶対基準位置を基に、制御装置31によって掘削装置ないし先端装置9の現在位置を演算し、更にその現在位置と記憶した施工計画位置との誤差を演算し、掘削装置ないし先端装置9の訂正制御作動または現状の施工を続行する。
【0060】
こうして、掘削装置ないし先端装置9が到達基地(図示略)に到達したところで、掘削装置と曲線ボ−リング装置2の駆動を停止し、リンク型変位計20を回収する。
その場合は、先ず装着片45の磁化を解除し、牽引ロッド44との吸着を解除して、最後端部のリンク型変位計ユニット21を保持し、これを発進基地1側へ引張る。
【0061】
このようにすると、各リンク型変位計ユニット21のロ−ラ38,43が、リンクガイド19の内面を走行して発進基地1側へ引き出され、容易かつ速やかに回収される。
【0062】
この後、先端装置9のチャッキングを解除し、これを先導管10から切り離して、先端装置9と送排泥管17,18、ダクト等を、先導管10および推進管11から発進基地1側へ引き抜いて回収する。
一方、先導管10と複数の推進管11は地山8に残置し、それらの内部に適宜コンクリ−トを充填して敷設すれば、当該部の推進施工が終了する。
【0063】
また、本発明は前述のようにリンク型変位計20を地中から容易に回収し得るから、例えば推進管11の推進時に、例えばリンク型変位計ユニット21等が故障し、それらの出力情報が遮断し、または出力値が異常値を示して、該当する変位計ユニット21の修理、交換を要する場合に、容易に対応できる。
【0064】
すなわち、前述の要領でリンク型変位計ユニット21を発進基地1側へ引き出し、故障したリンク型変位計ユニット21を修理し、若しくは新規な変位計ユニット21に交換して接続し、引き出した変位計ユニット21を順次、リンクガイド19に押し戻せばよい。
【0065】
その際、各変位計ユニット21はロ−ラ38,43を介して、リンクガイド19の内面を重力作用によって下向きに速やかに移動し、その押し戻し終期に牽引ロッド44が装着片45に係合する。
この後、装着片45を磁化し、該装着片45に牽引ロッド44を吸着して、引き出し前の位置を復旧させたところで、前記推進を再開する。
【0066】
このように、牽引ロッド44が装着片45に係合し、各変位計ユニット21が引き抜き前の位置に復帰するから、この後の変位計ユニット21による測定精度が維持され、測定の再現性と信頼性を得られる。
【0067】
本発明は以上のように、移動する先端装置9の位置を、該装置9に同動するリンク型変位計20によって刻々計測し得るから、先端装置9の直近の位置を正確かつ精密に計測できる。
したがって、移動体が目視可能な計測域を移動する場合に限らず、特に移動体が、目視不可能な地中や海、河川、湖沼等の水中、建築物または構造物、岩山等の位置計測に好適である。
しかも、本発明は移動体の位置を制御装置31で解析し、移動体の位置や姿勢を制御するから、移動体を既定の位置に正確に移動させることができる。
【0068】
また、本発明は先端装置9の移動位置に応じて、リンク型変位計ユニット21を遂次継ぎ足して計測するから、計測区間の全域に複数のリンク型変位計ユニット21を予め設置し、当該区間の変状を計測する従来の計測法に比べ、速やかに計測できる。
なお、本発明は曲線上の位置計測に限らず、直線上の位置計測にも応じられ、その場合は曲管状の推進管11の代わりに、直線状の管体を用いる。
【0069】
図8乃至図12は本発明の第2の実施形態を示し、前述した実施形態の構成と対応する構成部分に同一の符号を用いている。
すなわち、この実施形態は、曲線ボ−リング装置2から曲線状の推進管11を下向きに推進する代わりに、曲線状の推進管11を上向きに推進する際の先端装置9の位置計測とその作動制御に適用している。
【0070】
このため、前記推進管11の上側内面に管軸方向に沿って、複数の吊片46を間隔を置いて取り付け、該吊片46の下端部に管状のロ−ラ−ガイド47を固定し、相隣接するロ−ラ−ガイド47を管継手48で連結していて、前記ロ−ラ−ガイド47に沿って、複数のリンク型変位計ユニット21を移動可能に設けている。
【0071】
すなわち、前記ロ−ラ−ガイド47の両側周面に、各一対のロ−ラ−49が走行可能に配置され、該ロ−ラ−49が垂直に配置した軸50に回転自在に支持されている。
前記軸50の下端部に矩形の架設板51が水平に取り付けられ、該架設板51にアームホルダ−52が下向き突設され、該ホルダ−52の下端に固定板53が取り付けられている。
【0072】
前記アームホルダ−52の内側に溝54が形成され、該溝54に揺動ア−ム55,56の一端がピン57を介して回動可能に連結され、その他端が隣接するリンク型変位計ユニット21の枢着部上に設けた、アームホルダ−52の溝54に回動可能に連結されている
前記固定板53に前記支持金具35が固定され、該金具35に前記リンク22,23の対向端部がピン29を介して回動可能に連結されている。
【0073】
このような実施形態において、掘削装置を駆動して地山8を掘削し、また曲線ボ−リング装置2を駆動して推進シリンダ14を伸長し、推進管11を上向きに推進すると、掘削装置ないし先端装置9が同動し、該先端装置9の後端部に配置した複数のリンク型変位計ユニット21が牽引ロッド44に牽引され、前記ユニット21に連結したアームホルダ−52上のロ−ラ−49が、ロ−ラ−ガイド47に沿って移動して、前記変位計ユニット21が移動する。
【0074】
その際、リンク22がピン29を中心に垂直方向へ回動変位し、またリンク23がピン30を中心に水平方向へ回動変位し、前記垂直方向および水平方向の回動変位が差動トランス26,27の棒状コア(図示略)の移動量で計測され、これらの計測量が電圧値等の電気量に変換されて、制御装置31に刻々と入力される。
【0075】
前記制御装置31は、前記入力された計測デ−タを条件に、予め記憶した情報と口元管16の絶対基準位置情報を基に、掘削装置ないし先端装置9の現在位置を演算し、更にその現在位置と記憶した施工計画位置との誤差を演算する。
そして、前記誤差の許容範囲の内外を比較判定し、前記誤差が許容範囲を越える場合は、施工訂正制御信号を掘削装置ないし先端装置9へ出力し、これらの姿勢を制御して施工を訂正し、前記誤差が許容範囲内の場合は現状の施工を続行する。
【0076】
そして、最先の推進管11をその長さ分、地中へ推進したところで、掘削装置と曲線ボ−リング装置2の駆動を停止し、後行の推進管11をチャッキング装置12に取り付け、該推進管11を管接続装置13を介して先行の推進管11に継ぎ足す。
すなわち、後行の推進管11内に複数の吊片46を介してロ−ラ−ガイド47を取り付け、該ロ−ラ−ガイド47を先行の推進管11のロ−ラ−ガイド47と同相位置に接続する。
【0077】
次に、前記継ぎ足したロ−ラ−ガイド47の直下に、予め接続した複数のリンク型変位計ユニット21と、アームホルダ−52に枢着した揺動ア−ム55,56とのアセンブリを配置し、各ロ−ラ−49をロ−ラ−ガイド47の前後に位置付け、その軸50を架設板51に固定して、ロ−ラ−49を介し前記リンク型変位計ユニット21をロ−ラ−ガイド47に移動可能に吊り下げる。
【0078】
また、先行の送排泥管17,18に後行の送排泥管17,18を継ぎ足し、更に先行のダクトに後行のダクトを継ぎ足し、その内部に給気管と油圧管、各種の導管と電源ケ−ブルを収容する。
【0079】
こうして、後行の推進管11と送排泥管17,18、ロ−ラ−ガイド47、リンク型変位計ユニット21等を継ぎ足したところで、掘削装置と曲線ボ−リング装置2を駆動し、地山8の掘削を再開するとともに、推進シリンダ14を伸長してチャッキング装置12を移動し、該チャッキング装置12に取り付けた推進管11を地中へ送り出す。
【0080】
このようにすると、先後のロ−ラ−ガイド47が先後の推進管11と同動し、該ガイド47に吊り下げた複数のリンク型変位計ユニット21が牽引ロッド44に牽引されて、掘削装置ないし先端装置9と一体に移動し、前記変位計ユニット21がロ−ラ−ガイド47に沿って上向きに正確に移動する。
【0081】
以降、推進管11を所定量推進し、推進管11と送排泥管17,18、ロ−ラ−ガイド47とリンク型変位計ユニット21等を順次継ぎ足し、掘削装置と曲線ボ−リング装置2の駆動を再開し、リンク型変位計ユニット21による先端装置9の位置計測を再開する。
【0082】
この実施形態は、前述のリンクガイド19の代わりにロ−ラ−ガイド47を推進管11の軸方向に配置し、該ロ−ラ−ガイド47に沿ってリンク型変位計ユニット21を吊り下げ、これを上向きに移動させるようにしたものである。
【0083】
なお、この実施形態においても、リンク型変位計ユニット21を管軸方向に押し引きすれば、前記ユニット21をロ−ラ−ガイド47に沿って容易に移動でき、該ユニット21を発進基地1側に引き抜き、または原位置に押し戻せるから、前述した変位計ユニット21の修理や推進作業後の回収に応じられる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
このように本発明のリンク型変位計の測定方法およびリンク型変位計の測定装置は、リンク型変位計ユニットを継ぎ足しながら、移動体の位置を合理的かつ迅速に計測する、リンク型変位計の新規な計測法を提供し、例えば地中を掘進する先端装置の移動位置を精密かつ正確に計測するとともに、先端装置の作動と姿勢制御並びにその修正作動を実現して正確な推進工を施工でき、更に地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山等の困難な計測地での位置計測を促せるから、例えばトンネルの築造やシ−ルドトンネルの拡幅に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を使用してトンネルを拡幅する際、曲線ボ−リング装置によって推進管を地山に向けて下向きに推進している状況を示す断面図である。
【図2】本発明の要部を拡大して示す断面図で、推進管の内部に収容したリンク型変位計と、先端装置との装着状況を示している。
【図3】本発明の要部を拡大して示す断面図で、推進管の内部に収容したリンク型変位計と、その測定装置の概要を示している。
【図4】本発明に適用したリンク型変位計ユニットの要部を拡大して示す平面図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図で、若干縮小して図示している。
【図6】本発明に適用したリンク型変位計ユニットを拡大して示す正面図である。
【図7】本発明に適用したリンク型変位計ユニットを拡大して示す平面面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態を示す断面図で、トンネルを拡幅する際、曲線ボ−リング装置によって推進管を地山に向けて上向きに推進している状況を示している。
【図9】図8の推進管の内部を拡大して示す断面図で、推進管の管軸方向に沿ってリンク型変位計ユニットを取り付けている状況を示している。
【図10】図9のB−B線に沿う断面図である。
【図11】図10の要部を拡大して示す平面図で、ロ−ラ−ガイドとロ−ラとの取り付け状況を示している。
【図12】図10のC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0086】
9 移動体(先端装置)
10 管体(先導管)
11 管体(推進管)
20 リンク型変位計
21 リンク型変位計ユニット
22,23 リンク
26,27 変位センサ(差動トランス)
31 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位センサを内蔵した一対のリンクの一端部を互いに異軸方向に回動可能に連結したリンク型変位計ユニットを設け、該変位計ユニットを所定数連結して計測域に配置し、前記各変位センサの信号を制御装置に入力し、該制御装置を介して前記信号を演算処理するリンク型変位計の測定方法において、計測域を移動する移動体にリンク型変位計ユニットを同動可能に装着し、前記移動体の移動位置に応じて、前記移動体と計測基準位置との間に一または複数のリンク型変位計ユニットを接続し、前記変位計ユニットの変位センサ信号と計測基準位置を基に、移動体の移動位置を演算することを特徴とするリンク型変位計の測定方法。
【請求項2】
前記移動体に一または複数のリンク型変位計ユニットを装着可能な管体を接続し、該管体を推進して移動体を移動させる請求項1記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項3】
前記制御装置から移動体の駆動部に制御信号を入力し、該駆動部の作動を制御する請求項1記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項4】
前記管体内に前記リンク型変位計ユニットを管軸方向に配置する請求項1記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項5】
前記移動体に最先のリンク型変位計ユニットを着脱可能に装着し、該最先のリンク型変位計ユニットに後行のリンク型変位計ユニットを連結する請求項1記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項6】
前記最先のリンク型変位計ユニットを前記移動体から切り離し、一または複数のリンク型変位計ユニットを管体の内外へ移動可能にする請求項1または請求項4または請求項5記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項7】
前記移動体と管体を、地中若しくは水中、または構造物若しくは岩山へ移動させる請求項1記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項8】
前記移動体と管体を、直線または曲線状に移動させる請求項1記載のリンク型変位計の測定方法。
【請求項9】
変位センサを内蔵した一対のリンクの一端部を互いに異軸方向に回動可能に連結したリンク型変位計ユニットを設け、該変位計ユニットを所定数連結可能に設け、該変位計ユニットを計測域に配置する一方、前記各変位センサの信号を入力可能な制御装置を設け、該制御装置を介して前記信号を演算処理可能なリンク型変位計の測定装置において、計測域を移動可能な移動体を設け、該移動体にリンク型変位計ユニットを同動可能に装着し、前記移動体の移動位置に応じて、前記移動体と計測基準位置との間に一または複数の変位計ユニットを接続可能に設け、前記制御装置にリンク型変位計ユニットの変位センサ信号と計測基準位置信号とを入力可能に設け、前記制御装置を介し移動体の移動位置を演算可能にしたことを特徴とするリンク型変位計の測定装置。
【請求項10】
前記制御装置の制御信号を移動体に出力可能に設け、該移動体の作動を制御可能にした請求項9記載のリンク型変位計の測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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