説明

リンク辞書生成処理装置,リンク辞書生成処理プログラム,リンク処理装置,およびリンク処理プログラム

【課題】 ウェブページ内の単語に適切なリンク先へリンク設定できるようにする。
【解決手段】 ログ収集部21は,ネットワーク8でアクセスログを収集し,ログ集計部22は,アクセス先IP毎にアクセス元のIPからのアクセス数を集計する。関連アドレス検出部23は,アクセス先とアクセス元のIPの任意の範囲同士のうち一定の関連性がある2つのIPアドレス範囲を関連範囲とする。辞書出力部24は,単語とリンク先を対応付けるリンク辞書のリンク先のIPが関連範囲の対となるIPアドレス範囲に含まれる場合に,その他方のIPアドレス範囲をリンク条件としてリンク辞書に付加する。入力取得部41は,クライアント5が要求したページを得て,リンク先選択部42は,リンク辞書に登録されたページ内の単語について,クライアント5のIPが満たすリンク条件に対応するリンク先へのリンクを貼ったページを生成・出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,Webページ(以下「ページ」とする)の内容に含まれる単語や語句等(以下「単語」とする)に自動的にリンクを設定するリンク処理(以下,「オートリンク処理」とする)で使用されるリンク辞書を生成する処理,および前記リンク辞書を用いたリンク処理に関する。
【背景技術】
【0002】
図20は,オートリンク処理の1手法である,辞書式リンク処理を説明するための図である。
【0003】
オートリンク処理は,図20(A)に示すように,ユーザから閲覧要求のあったページ90を表示する際,ページ内の単語「クローラー」に自動でリンクを設定する。ユーザが必要に応じてこのリンクをクリックすると,「クローラー」についての解説ページ等を表示する。これにより,ユーザの理解を助けるものである。
【0004】
図20(B)に示すように,辞書式リンク処理では,予め単語「クローラー」とリンク先のURL(Uniform Resource Locator)との対応を登録したリンク処理用の辞書92と,辞書92を参照しページ内のリンクを貼るべき箇所を検出して対応するリンク先を設定する処理部(オートリンクエンジン)93とにより処理が行われる。
【0005】
オートリンクエンジン93は,閲覧されるページ90のHTMLデータ内のテキストを解析する。
【0006】
そして,図20(C)に示すように,辞書92に登録されている単語「クローラー」がテキスト内に含まれている場合には,単語「クローラー」に対応するURL(http://crowler.com/)を得て,ページ90のテキストの単語「クローラー」を,単語に対応するURLへリンクするアンカータグで書き換える。
【0007】
ページ90のテキスト「検索エンジンのクローラーは,…」が「検索エンジンの<a href=”http://crowler.com/”>クローラー</a>は,…」へ書き換えられたHTML(ページ)が出力され,ブラウザで閲覧されることになる。
【0008】
ここで,リンク処理用の辞書92に登録される単語とURLとの対応が1対1ではない場合,例えば,1つの単語に異なる解説が存在して解説毎のページのURL(リンク先)が複数ある場合に,複数のリンクを貼るのではなく,ページや閲覧者等の状況に応じて,最適な1つのURLを選択してリンクを貼りたいことがある。
【0009】
従来手法として,リンク元と複数のリンク先との間で,ページ間の類似性に基づいて1つのページを決定する処理が知られている。例えば,リンク元ページでのアンカー文字内の単語がリンク先ページに含まれる割合をもとに,ページ間の関連性を求め,リンク元ページでのリンク数の多少に基づいて各リンクの重みを求めて,ページ間の関連度を設定する手法が知られている。
【0010】
また,あるページ内に設定されているリンクについて,リンク毎にジャンプ回数をカウントしておき,ユーザの次の行動(ジャンプ確率)を予測して,ジャンプ確率が高いリンク先を定めて,予めキャッシュする手法が知られている。
【0011】
また,メッセージ内に含まれるリンク先の出現頻度を集計して,出現頻度が閾値以上かつ所定の禁止用語を含むリンク先であれば,そのリンク先を含むメッセージをスパムメッセージと判断する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−164290号公報
【特許文献2】特開2000−250803号公報
【特許文献3】特開2007−265368号公報
【特許文献4】特開2002−132769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
リンク用辞書の単語に対応付けられた複数のリンク先から1つを選択する場合,または,対応するリンク先へのリンク処理を行うか否かを選択する場合に,従来のような,ページ間に貼られたリンクを前提とした方法では,十分でない場合がある。
【0014】
例えば,複数のリンク先候補があった場合に,元のページと一番関連度の高いリンク先候補を選択したいとする。しかし,あらかじめ,元のページとリンク先候補の間にリンクが存在していないと,リンク先候補の選択に必要な「ページ間の関連度」を算出できない。また,リンク処理を行うか否かを選択する場合,元のページとリンク先候補の関連度を算出し,閾値以上のときにのみリンク処理を行えばよい。しかし,あらかじめ元のページとリンク先候補の間にリンクがなかった場合には,選択に必要な関連度が算出できない。
【0015】
本発明の目的は,ページ間にリンクが貼られていることを前提とせずに,ページ内の単語に対して,複数リンク先から適切なリンク先を自動的に選択またはリンク先へのリンク処理の可否を自動的に選択できるリンク処理を実現するためのリンク辞書の生成処理を行う装置を提供することである。
【0016】
さらに,本発明の目的は,前記生成処理により生成されたリンク辞書を用いたリンク処理を行う装置を提供することである。
【0017】
さらに,本発明の目的は,前記リンク辞書生成処理,および前記リンク辞書を用いたリンク処理を,コンピュータに実行させるためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様として開示されるリンク辞書生成処理装置は,1)単語または語句毎にリンク先を対応付けたリンク辞書を記憶するリンク辞書記憶部と,2)組織内ネットワークにおいて実行されたリソースへのアクセスに関して,アクセス元のIPアドレスとアクセス先のIPアドレスとを含むログ情報を収集するログ収集部と,3)前記収集したログ情報をもとに,前記アクセス先のIPアドレスを含むIPアドレス範囲に対する,前記アクセス元のIPアドレスを含むIPアドレス範囲からのアクセス数を集計するログ集計部と,4)前記集計したアクセス数が任意の閾値以上である場合に,前記アクセス先とアクセス元とのIPアドレス範囲の対を関連IPアドレス範囲として保持する関連アドレス検出部と,5)前記リンク辞書に設定されたリンク先のIPアドレスが前記関連IPアドレス範囲の一方のIPアドレス範囲に含まれる場合に,前記関連IPアドレス範囲の他方のIPアドレス範囲を,前記リンク先に対応するリンク条件として付加する処理と,前記リンク条件が付加されたリンク辞書を前記リンク辞書記憶部に格納する処理とを行う辞書出力部とを有する。
【0019】
また,本発明の一態様として開示されるリンク処理装置は,1)単語または語句毎に,リンク先と前記リンク先へのリンク設定の対象となる組織内ネットワークの機器のIPアドレス範囲を設定するリンク条件とを対応付けたリンク辞書を記憶するリンク辞書記憶部と,2)組織内ネットワークにおいて,アクセスされたウェブページと,前記ウェブページを提供する機器または前記ウェブページへアクセスした機器のいずれかのIPアドレスとを取得する入力取得部と,3)前記ウェブページの内容から前記リンク辞書に含まれる単語または語句を取り出す処理と,前記取得した機器のIPアドレスが前記リンク辞書の前記取り出した単語または語句に対応付けられたリンク条件のIPアドレス範囲に含まれる場合に,前記単語または語句に対応付けられ,かつ前記取得した機器のIPアドレスを含むリンク条件に対応するリンク先を選択する処理とを行うリンク先選択部と,4)前記ウェブページの該当する単語または語句に前記選択されたリンク先へのリンクを設定する処理と,前記リンク先を設定したウェブページを出力する処理とを行うページ出力生成部とを有する。
【発明の効果】
【0020】
開示されるリンク辞書生成処理装置によれば,ページ間のリンク関係を前提とせずに,ページを保持するアクセス先(サーバ)またはページを要求したアクセス元(クライアント)のIPアドレスとリンク先のIPアドレスとの関連性から,適したリンク先またはリンク処理の可否が選択できるリンク処理を実現するためのリンク辞書を生成することができる。また,ページの閲覧者に依存しない画一的なリンク辞書ではなく,ページを閲覧するユーザの違いを踏まえたリンク辞書を生成することができる。
【0021】
また,開示されるリンク処理装置によれば,前記リンク辞書生成処理装置により生成されたリンク辞書により,ページを保持するサーバまたはページへアクセスしたクライアントに適したリンク先またはリンク処理の可否を選択してリンク処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施態様として開示される,リンク辞書生成処理装置およびリンク処理装置の構成例を示す図である。
【図2】リンク辞書の例を示す図である。
【図3】リンク処理装置の処理の概要を説明する図(その1)である。
【図4】リンク処理装置の処理の概要を説明する図(その2)である。
【図5】リンク辞書生成処理の処理フローを示す図である。
【図6】ステップS1のログ収集処理のより詳細な処理フロー図である。
【図7】ログ収集テーブルの例を示す図である。
【図8】ログ情報の例およびログ情報記憶部の例を示す図である。
【図9】ステップS2のログ集計処理のより詳細な処理フロー図である。
【図10】全桁におけるアクセス数の集計テーブル(全桁)の例を示す図である。
【図11】ステップS21の処理のより詳細な処理フロー図である。
【図12】上位3桁でまとめられた範囲のアクセス数の集計テーブル(3桁)の例を示す図である。
【図13】ステップS22の処理のより詳細な処理フローを示す図である。
【図14】関連IP検出処理の検出結果テーブルの例を示す図である。
【図15】ステップS3の関連IP検出処理のより詳細な処理フロー図である。
【図16】ステップS33およびステップS36の処理のより詳細な処理フロー図である。
【図17】辞書生成処理前後のリンク辞書の例を示す図である。
【図18】ステップS4の辞書生成処理のより詳細な処理フロー図である。
【図19】リンク処理の処理フローを示す図である。
【図20】辞書式リンク処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は,本発明の一実施態様として開示される,リンク辞書生成処理装置およびリンク処理装置の構成例を示す図である。
【0024】
図1に示す構成例において,オートリンクシステム1,クライアント5,各種サーバ6(6a,6b,…),DNSサーバ7等はネットワーク8に接続する。
【0025】
オートリンクシステム1は,ネットワーク8内のサーバで提供されるページに対するオートリンク処理を提供するシステムであり,リンク辞書生成処理装置2,リンク辞書記憶部3,リンク処理装置4を有する。
【0026】
クライアント5は,ネットワーク8に接続するコンピュータであり,ユーザが使用するものである。
【0027】
クライアントは,入力変換部51,表示部52を備える。入力変換部51は,ページ閲覧のためにユーザが入力したURLを,オートリンクシステム1のURLに書き換えて出力する。表示部52は,オートリンクシステム1から出力されたページ(リンク処理済みのHTML)を得て閲覧のためにページを表示させる。
【0028】
サーバ6(6a,6b,…)は,各種ページを提供するコンピュータであり,ドメインネームシステム(DNS)サーバ7は,ドメインネームとIPアドレスとの対応付けを保持・管理するコンピュータである。
【0029】
図1に示すネットワークとしては,例えば企業内ネットワーク等の組織内ネットワークが想定される。そして,組織内ネットワークにおいては,通常,数字上近いIPアドレス群が,部署単位などに割り当てられる。そのIPアドレス群の中に,同じ部署のページ(サーバ)と閲覧者のクライアントPCのIPアドレスがまとまっている。たとえば,A研究部の持つページ(サーバ)や,A研究部の部員であるユーザのクライアントPCは,「10.25.181.1」や「10.25.181.28」など,「10.25.181.*」(*は任意)のIPアドレスを有する。
【0030】
したがって,ページもユーザも,IPアドレスに対応付けることができる。そして,IPアドレスの上位桁(上位オクテット)が共通のものでまとめることで,同じA研究部所属という類似性を持ったページ/ユーザ群をまとめることができる。
【0031】
また,同一部署に割り当てられたIPアドレス群が複数ある場合もある。たとえば,「10.25.181.*」の他に,少し数字が離れた「10.25.136.*」もA研究部の所属となっている場合である。また,類似したページやユーザが,必ずしも部署の範囲だけではないこともある。そこで,類似したページ/ユーザ群の抽出方法として,IPアドレスを上位桁でまとめる他に,上位桁でまとめたIPアドレス群同士の相互アクセス関係を見ることもできる。これにより,数字上は必ずしも類似していないが,利用用途上,関連を持っているIPアドレスの範囲を発見することができる。
【0032】
オートリンク処理のための判定情報として,これらの関連するIPアドレス範囲を使った条件を設定することで,ページに応じて適切なリンク先を切り替えるリンク処理,閲覧するユーザに応じて適切なリンク先を切り替えるリンク処理の両方が,同じ枠組みで可能となる。
【0033】
オートリンクシステム1のリンク辞書記憶部3は,リンク辞書を記憶する。
【0034】
図2は,リンク辞書の例を示す図である。
【0035】
リンク辞書は,「単語/語句,リンク先,リンク条件」の項目を含む。
【0036】
「単語/語句」は,ページのテキストからリンク貼付が設定されるリンク箇所(文字列)を示す。
【0037】
「リンク先」は,対応する単語/語句に対して設定されるリンク先を示す。ここでは,リンク先のネーム情報(リンク先URL)が登録される。
【0038】
「リンク条件」は,対応するリンク先へのリンク設定を実行する対象の範囲,すなわちリンク貼付の処理を行うネットワーク8内の機器(クライアント5,サーバ6等)であるかを示す範囲を,IPアドレスの範囲により設定した判定情報である。
【0039】
図2に示すリンク辞書を用いた場合,ページのテキスト内に含まれる「稟議システム」に対して,ページのサーバ6またはアクセスしたクライアント5のIPアドレスが満たすリンク条件に対応するリンク先URL1〜URL3のいずれかが設定される。
【0040】
また,「リンク条件」は,単語/語句へ対応するリンク先へのリンク設定を行うか否かの判定情報であってもよい。例えば,ページのサーバ6またはアクセスしたクライアント5のIPアドレスが,設定されたリンク条件を満たさない場合には,リンク辞書に単語/語句とリンク先との対応が設定されていても,リンク処理が抑止される。
【0041】
オートリンクシステム1のリンク辞書生成処理装置2は,リンク辞書を生成する装置であり,ログ情報記憶部20,ログ収集部21,ログ集計部22,関連アドレス検出部23,辞書出力部24を備える。
【0042】
ログ情報記憶部20は,ログ収集部21が収集した,ページへのアクセスに関するログ情報を記憶する記憶部である。
【0043】
ログ収集部21は,ネットワーク8内の各サーバ6から,ページへのアクセスに関するログ情報を収集して,ログ情報記憶部20に格納する。
【0044】
ログ情報は,アクセス日時,アクセス先のURL,アクセス先のサーバ6のIPアドレス,アクセス元のクライアント5のIPアドレス等を含む。
【0045】
ログ集計部22は,収集したログ情報をもとに,アクセス先のIPアドレス各々について,アクセス元のIPアドレス毎のアクセス数を集計し,さらに,アクセス先のIPアドレスを上位から任意の桁数で示したIPアドレス範囲に対する,アクセス元のIPアドレスを上位から任意の桁数で示したIPアドレス範囲からのアクセス数を集計する。
【0046】
なお,ログ集計部22は,アクセス先およびアクセス元のIPアドレス範囲でのユニークなIPアドレスの数を集計してもよい。
【0047】
関連アドレス検出部23は,ログ集計部22が集計した,アクセス先のIPアドレス範囲に対するアクセス元のIPアドレス範囲からのアクセス数が任意の閾値以上である場合に,そのアクセス先とアクセス元の2つのIPアドレス範囲の対を関連IPアドレス範囲として保持する。
【0048】
ここで,アクセス先およびアクセス元のIPアドレス範囲は,IPアドレスの上位から任意の桁数またはビット数によって定められる範囲である。本形態では,例えば,上位3桁の範囲を用いてIPアドレス範囲が設定されているが,この設定に限定されるものではない。
【0049】
関連アドレス検出部23は,具体的には,アクセス先のIPアドレス各々に対するアクセス元のIPアドレス毎のアクセス数をまとめて,上位3桁の範囲にまとめたアクセス先のIPアドレス範囲(例えば,IPアドレス範囲X「10.25.136.*」)に対する上位3桁の範囲のIPアドレス範囲(IPアドレス群,例えば,IPアドレス範囲P「10.25.181.*」,IPアドレス範囲Q「10.25.192.*」等の範囲)毎からのアクセス数(P→X,Q→X)を集計する。
【0050】
さらに,関連アドレス検出部23は,逆の関係についてもアクセスを集計する。すなわち,関連アドレス検出部23は,アクセス先のIPアドレス範囲P「10.25.181.*」に対するアクセス元のIPアドレス範囲X「10.25.136.*」からのアクセス数(X→P),IPアドレス範囲Q「10.25.192.*」に対するIPアドレス範囲X「10.25.136.*」からのアクセス数(X→Q)等を集計する。
【0051】
そして,関連アドレス検出部23は,双方向でのアクセス数が閾値以上である場合に,その2つのIPアドレス範囲の対を関連IPアドレス範囲とする。
【0052】
さらに,関連アドレス検出部23は,さらに,上位3桁にまとめたIPアドレス範囲に含まれるIPアドレスのユニーク数が所定数以上であるかを,関連IPアドレス範囲の検出条件としてもよい。
【0053】
ここで,ログ集計部22および関連アドレス検出部23は,上記のようにIPアドレスの上位桁が共通のものでまとめる以外に,別途,組織内で「このIPアドレス群とこのIPアドレス群は同じ部署が管轄している」という明示的な情報がある場合,それを利用してIPアドレス範囲をまとめ、その範囲内で集計を実施してもよい。たとえば,「10.25.121.1」〜「10.25.121.5」と「10.25.181.40」〜「10.25.181.50」とが同一部署など,細かい管理情報が別途ある場合,その範囲内で集計を実施できる。
【0054】
辞書出力部24は,リンク辞書記憶部3に記憶されているリンク辞書の単語や語句に対応付けられたリンク先(リンク先URL)を1つずつ取り出し,DNSサーバ7を参照してリンク先URLに対応するIPアドレスを得る。そして,辞書出力部24は,そのリンク先のIPアドレスが,関連アドレス検出部23が保持する関連IPアドレス範囲のいずれかのIPアドレス範囲に含まれる場合に,該当する関連IPアドレス範囲の他方のIPアドレス範囲を取得する。辞書出力部24は,そのIPアドレス範囲を,リンク辞書の該当するリンク先に対応するリンク条件として付加したリンク辞書をリンク辞書記憶部3に格納する。
【0055】
リンク処理装置4は,リンク処理を行う装置であり,入力取得部41,リンク先選択部42,出力生成部43を備える。
【0056】
入力取得部41は,クライアント5の入力変換部51から,アクセス要求したURLを受け付け,アクセスされたページの内容と,ページを提供するサーバ6またはページへアクセスしたクライアント5のいずれかのIPアドレスとを取得する。
【0057】
リンク先選択部42は,ページ内のテキストとリンク辞書とのマッチングを行って,ページからリンク辞書記憶部3のリンク辞書に含まれる単語を取り出す。そして,リンク先選択部42は,リンク辞書から取り出した単語に対応付けられたリンク条件のIPアドレス範囲に,取得したサーバ6またはクライアント5のIPアドレスが含まれる場合に,単語に対応付けられた,サーバ6またはクライアント5のIPアドレスを含むリンク条件に対応するリンク先を選択する。
【0058】
また,リンク先選択部42は,リンク辞書から取り出した単語/語句に対応付けられたリンク条件のIPアドレスの範囲に,取得したサーバ6またはクライアント5のIPアドレスが含まれない場合に,単語/語句に対応付けられた所定のリンク先(例えば1つめのリンク先)を選択してもよい。
【0059】
または,リンク先選択部42は,リンク条件のIPアドレスの範囲に,取得したサーバ6またはクライアント5のIPアドレスが含まれない場合に,リンク先によるリンク設定の処理を抑止してもよい。
【0060】
さらに,リンク先選択部42は,複数のリンク先候補がある場合であって,どの候補のリンク条件にも直接合わない場合には,リンク条件のIPアドレス群のうちで最も数字の近いものを選んでもよい。例えば,IPアドレスの上位3桁(たとえば「10.25.181.*」)でマッチするものがなければ,上位2桁(たとえば「10.25.*.*」)が共通のものを選んでもよい。また,上位2桁が共通のもののうちで,3桁目の数字がより近いものを選んでもよい。
【0061】
出力生成部43は,ページの該当する単語を,選択されたリンク先へのリンクを設定したリンクタグで書き換え,リンクタグに書き換えたページのHTMLデータをクライアント5へ出力する。出力されたページは,クライアント5の表示部52で解析,表示される。ユーザは,単語にリンクが貼られたページを閲覧して,必要があれば,リンクが貼られた単語を選択して,別のページへジャンプすることができる。
【0062】
以上のように,上記の構成を備えるリンク処理装置4により,サーバ6aが提供するページのテキスト内にリンク辞書に登録された単語/語句が含まれている場合に,サーバ6aまたはクライアント5のIPアドレスに応じて選択されたリンク先への自動的なリンク設定が実現される。
【0063】
図3および図4は,リンク処理装置4の処理の概要を説明する図である。
【0064】
図3に示すように,サーバ6aが提供する営業部のページaのテキスト内にリンク辞書に登録された「稟議システム」が含まれている場合に,アクセス先であるサーバ6aのIPアドレスがリンク条件と照合される。そして,リンク先「URL3」に対応するリンク条件のIPアドレスの範囲に含まれる場合には,テキストの「稟議システム」にURL3(営業用稟議システムのページ)へのリンクが設定される。
【0065】
また,サーバ6bが提供する研究所のページbのテキスト内にリンク辞書に登録された「稟議システム」が含まれている場合に,アクセス先であるサーバ6bのIPアドレスが,リンク先「URL1」に対応するリンク条件のIPアドレスの範囲に含まれる場合には,テキストの「稟議システム」にURL1(研究所用稟議システムのページ)へのリンクが設定される。
【0066】
このように,アクセス要求されたページを提供するサーバ(アクセス先)のIPアドレスと,リンク先のIPアドレスとの関連性にもとづいてリンク先を選択することが可能となる。
【0067】
さらに,図4に示すように,研究所所属のユーザaのクライアント5aから別のサーバ6cが提供する共通のページcにアクセスし,ページcのテキスト内にリンク辞書に登録された「稟議システム」が含まれているとする。クライアント5aのIPアドレスが,リンク先「URL1」に対応するリンク条件のIPアドレスの範囲に含まれる場合には,テキストの「稟議システム」にURL1(研究所用稟議システムのページ)へのリンクが設定される。
【0068】
また,営業部所属のユーザbのクライアント5bから同じサーバ6cが提供するページcにアクセスしたとする。クライアントbのIPアドレスが,リンク先「URL3」に対応するリンク条件のIPアドレスの範囲に含まれる場合には,テキストの「稟議システム」にURL3(営業部用稟議システムのページ)へのリンクが設定される。
【0069】
このように,アクセス要求したクライアント(アクセス元)のIPアドレスと,リンク先のIPアドレスとの関連性にもとづいてリンク先を選択することが可能となる。
【0070】
前述したように,図1に示すネットワーク8のような組織内ネットワークにおいて,IPアドレスの割り当ては,一定の範囲内のまとまったIPアドレス群が,同一管轄(部署)等の機器(クライアントやサーバ)に割り当てられる。
【0071】
リンク処理装置4は,リンク先となるURLに対応するIPアドレスに対して一定の関連性を有するIPアドレス群を,リンク先の判定情報として用いる。よって,リンク処理装置4により,同一管轄内等の任意の範囲のサーバやクライアント(ユーザ)群毎にリンク先をまとめて設定することが可能となる。
【0072】
さらに,リンク辞書生成処理装置2は,ネットワーク8で実行されたアクセスのログ情報から,一定のアクセス数があったアクセス元とアクセス先のIPアドレス群の範囲同士を関連IPアドレス範囲として検出し,検出した関連IPアドレス範囲をリンク先の判定情報として用いたリンク辞書を生成する。
【0073】
これにより,リンク辞書生成処理装置2は,割り当てられたIPアドレスの値に類似性がない場合でも,過去のアクセス傾向から,リンク先と関連性がある一定範囲のサーバやクライアント群毎にリンク先をまとめて設定することが可能となる。
【0074】
また,リンク処理装置4は,ページやユーザが含まれる一定の範囲と,リンク先との関連性にもとづいてリンク先を選択することが可能となる。
【0075】
次に,リンク辞書生成処理装置2の処理の流れを説明する。
【0076】
リンク辞書生成処理装置2は,任意の契機または期間毎に,バッチ処理によりリンク辞書を生成してリンク辞書記憶部3に格納する。
【0077】
図5は,リンク辞書生成処理の処理フローを示す図である。
【0078】
リンク辞書生成処理装置2のログ収集部21は,ログ収集処理を行う(ステップS1)。ログ集計部22は,ログ収集部21が収集したログ情報をもとにログ集計処理を行う(ステップS2)。関連アドレス検出部23は,ログ集計結果をもとに,関連IP検出処理を行う(ステップS3)。辞書出力部24は,関連IP検出処理の結果をもとに,リンク辞書のリンク条件を付加し,リンク辞書をリンク辞書記憶部3に格納する(ステップS4)。
【0079】
各ステップSの処理の詳細は,後述する。
【0080】
〔ステップS1:ログ収集処理〕
図6は,ステップS1のログ収集処理のより詳細な処理フロー図である。
【0081】
ステップS11: ログ収集部21は,予め用意されたログ収集テーブルの1行(データ)を読み込む。
【0082】
図7は,ログ収集テーブルの例を示す図である。
【0083】
ログ収集テーブルは,ネットワーク8の各サーバのIPアドレスを示す「サーバIP」,ログファイルの格納場所を示す「ログ取得元」が記録されている。
【0084】
ログ収集部21は,読み込んだデータのサーバIPをもとに全サーバ6にアクセスして,「ログ取得元」からログファイルを取得する。
【0085】
ステップS12: ログ収集部21は,取得したログファイルの内容を,ログ情報記憶部20に格納する。
【0086】
図8は,ログ情報の例およびログ情報記憶部20の例を示す図である。
【0087】
ログ収集部21は,図8(A)に示すような,ページへのアクセスに関するログ情報(アクセスログ)をネットワーク8の全てのサーバから収集して,ログ情報記憶部20に相当するアクセルログテーブルに格納する。
【0088】
図8(B)は,ログ情報記憶部20に相当するアクセスログテーブルのデータ構成例である。
【0089】
アクセスログテーブルは,「アクセス先サーバIP,アクセス元ユーザIP,アクセス日時,アクセス先URL」の項目を含む。
【0090】
「アクセス先サーバIP」は,ログファイルを取得したサーバのIPアドレスである。「アクセス元ユーザIP,アクセス日時,アクセス先URL」の各項目は,ログファイルの内容をもとに,フォーマットを統一して格納したものである。「アクセス元ユーザIP」は,アクセス先サーバIPのサーバへアクセスしてきたクライアントのIPアドレスである。「アクセス日時」はアクセスがあった日時を示す。「アクセス先URL」は,アクセス元から実際にアクセスされたURLを絶対パスに書き換えて示す。
【0091】
ステップS13: ログ収集部21は,ログ収集テーブルに次の行(データ)があれば(S13のY),ステップS11の処理へ戻り,次の行(データ)がなければ(S13のN),処理を終了して,ステップS2へ進む。
【0092】
〔ステップS2:ログ集計処理〕
図9は,ステップS2のログ集計処理のより詳細な処理フロー図である。
【0093】
ステップS21: ログ集計部22は,ログ情報記憶部20(アクセスログテーブル)のデータ(ログ情報)について,全桁でのアクセス先IP毎に,アクセス元ユーザIPからのアクセス数を集計する。
【0094】
図10は,全桁におけるアクセス数の集計テーブル(全桁)の例を示す図である。
【0095】
集計テーブル(全桁)は,アクセス先のサーバのIPアドレスを示す「アクセス先サーバIP」,アクセス元のクライアントのIPアドレスを示す「アクセス元ユーザIP」,アクセス元ユーザIPからのアクセス数を示す「回数」,後述するステップS22のログ集計処理が行われたかを示す「チェック」の項目を含み,集計結果が記録される。
【0096】
図11は,ステップS21の処理のより詳細な処理フロー図である。
【0097】
ログ集計部22は,ログ情報記憶部20のアクセスログテーブルから1行(データ)を取り出し(ステップS211),アクセス先サーバIP,アクセス元ユーザIPを抽出する(ステップS212)。
【0098】
ログ集計部22は,抽出したアクセス先IPとアクセス元IPの組み合わせについての行が,集計テーブル(全桁)に既存でない場合のみ(ステップS213のN),新規に該当アクセス先IPとアクセス元IPの行を作成する(ステップS214)。そして,ログ集計部22は,該当するアクセス先IP・アクセス元IPの行の回数欄のカウンタを1増加する(ステップS215)。
【0099】
ログ集計部22は,アクセスログテーブルに次の行(データ)があれば(ステップS216のY),ステップS211の処理へ戻り,アクセスログテーブルに次の行(データ)がなければ(ステップS216のN),処理を終了して,ステップS22へ進む。
【0100】
ステップS22: ログ集計部22は,図10の集計テーブル(全桁)の内容を,上位3桁の範囲にまとめて集計する。
【0101】
図12は,上位3桁でまとめられた範囲のアクセス数の集計テーブル(3桁)の例を示す図である。
【0102】
集計テーブル(3桁)は,「アクセス先上位IP」,「アクセス元上位IP」,「アクセス回数」,「アクセス先ユニークIP数」,「アクセス元ユニークIP数」の項目を含み,集計結果が記録される。
【0103】
「アクセス先上位IP」は,アクセス先のIPアドレスのうち,上位3桁を抽出し,4桁目を任意としたもので,アクセス先IPアドレスの集計の範囲を示す。例えば,アクセス先IPアドレスが「10.25.136.1」の場合,アクセス先上位IPは「10.25.136.*」となる。「アクセス元上位IP」も同様に,アクセス元のIPアドレスの上位3桁で,アクセス元IPアドレスの集計の範囲を示す。例えば,「10.25.181.*」,「10.25.192.*」等である。「アクセス回数」は,IPアドレス毎のアクセス回数を,上位IPの単位で集計した値である。
【0104】
「アクセス先ユニークIP数」は,アクセス先上位IPとしてまとめた範囲内に出現したユニークなIPアドレス数,すなわち異なるIPアドレスの数を示す。「アクセス元ユニークIP数」は,アクセス元上位IPとしてまとめた範囲でのユニークなIPアドレス数を示す。
【0105】
図13は,ステップS22の処理のより詳細な処理フローを示す図である。
【0106】
ログ集計部22は,集計テーブル(全桁)からチェック欄が「済」でない1行(データ)を取り出し(ステップS221),取り出した行(データ)のアクセス先IP,アクセス元IP,回数を抽出する(ステップS222)。ログ集計部22は,抽出したアクセス先IP,アクセス元IPの上位3桁をそれぞれ抽出し(ステップS223),抽出したアクセス先IP(3桁),アクセス元IP(3桁)の組合せに対応する行(データ)を集計テーブル(3桁)に作成する(ステップS224)。
【0107】
そして,ログ集計部22は,集計テーブル(全桁)のうちでアクセス先IP,アクセス元IPのそれぞれ上位3桁の組合せが,ステップS224の処理で作成した行(データ)のアクセス先IP(3桁),アクセス元IP(3桁)の組合せと同一である行(データ)を全て抽出し(ステップS225),ステップS221およびS225で抽出した各行について,集計テーブル(全桁)のチェック欄を「済」とする(ステップS226)。
【0108】
ログ集計部22は,S225で抽出した全ての行(データ)のアクセス先IP,アクセス元IP,回数を抽出する(ステップS227)。そして,ログ集計部22は,ステップS222およびS227で抽出した全てのアクセス先IPのユニークを取り,そのユニーク数をS224で作成した行(データ)の「アクセス先ユニークIP数」に格納する(ステップS228)。また,ログ集計部22は,ステップS222およびS227で抽出した全てのアクセス元IPのユニークを取り,そのユニーク数をS224で作成した行(データ)の「アクセス元ユニークIP数」に格納する(ステップS229)。さらに,ログ集計部22は,ステップS222およびS227で抽出した全ての回数を集計し,S224で作成した行(データ)の「アクセス回数」に格納する(ステップS2210)。
【0109】
ログ集計部22は,集計テーブル(全桁)に「チェック」が「済」でない行(データ)があれば(ステップS2211のY),ステップS221の処理へ戻り,「チェック」が「済」でない行(データ)がなければ(ステップS2211のN),処理を終了する。
【0110】
〔ステップS3:関連IP検出処理〕
図14は,関連IP検出処理の検出結果テーブルの例を示す図である。
【0111】
検出結果テーブルは,図12に示す集計テーブル(3桁)に,「条件,逆関係の条件,チェック」の項目を付加したテーブルである。
【0112】
「条件」は,アクセス先上位IPとアクセス元上位IPと間に関連性を満たす条件が成立するかを示す。「逆関係の条件」は,アクセス先上位IPがアクセス元,かつ,アクセス元上位IPがアクセス先となる逆の関係の場合について,関連性を満たす条件が成立するかを示す。図14に示す例では,「条件」,「逆関係の条件」の丸印(○)は,関連性があることを示す。「チェック」は,関連IP検出処理が行われたかを示す。「済」は,処理が行われたことを示す。
【0113】
図15は,ステップS3の関連IP検出処理のより詳細な処理フロー図である。
【0114】
関連アドレス検出部23は,集計テーブル(3桁)の1行を読み込み,行R1とする(ステップS31)。関連アドレス検出部23は,チェック欄が「済」でなければ(ステップS32のN),ステップS33の処理へ進み,チェック欄が「済」であれば(ステップS32のY),ステップS312の処理へ進む。
【0115】
関連アドレス検出部23は,所定の条件が成立するかを調べる(ステップS33)。なお,条件成立の判定処理は後述する。
【0116】
関連アドレス検出部23は,条件が成立する場合に(ステップS33のY),行R1の条件欄に「○」を記入し(ステップS34),集計テーブル(3桁)から,アクセス元IPとアクセス先IPの値が行R1と逆になった値を持つ行R2を検索する(ステップS35)。
【0117】
関連アドレス検出部23は,行R2について,ステップS33の処理と同様の条件が成立するかを調べ(ステップS36),条件が成立する場合に(ステップS36のY),行R2の条件欄と行R1の逆関係の条件欄とに「○」を記入し(ステップS37),条件が成立しない場合に(ステップS36のN),行R2の条件欄と行R1の逆関係の条件欄とに「×」を記入する(ステップS38)。
【0118】
また,関連アドレス検出部23は,ステップS33の処理で,条件が成立しない場合に(ステップS33のN),行R1の条件欄に「×」を記入し(ステップS39),集計テーブル(3桁)から,アクセス元IPとアクセス先IPの値が行R1と逆になった値を持つ行R2を検索する(ステップS310)。
【0119】
そして,関連アドレス検出部23は,行R1,R2のチェック欄に「済」を記入する(ステップS311)。さらに,関連アドレス検出部23は,集計テーブル(3桁)に次の行(データ)があれば(ステップS312のY),ステップS31の処理へ戻り,次の行(データ)がなければ(ステップS312のN),処理を終了する。
【0120】
図16は,ステップS33およびステップS36の処理のより詳細な処理フロー図である。
【0121】
関連アドレス検出部23は,行R1,R2において,アクセス回数が閾値以上であるかを調べ(ステップS331),アクセス回数が閾値以上である場合に(ステップS331のY),アクセス先ユニークIP数が閾値以上であるかを調べる(ステップS332)。さらに,関連アドレス検出部23は,アクセス先ユニークIP数が閾値以上である場合に(ステップS332のY),アクセス元ユニークIP数が閾値以上であるかを調べ(ステップS333),アクセス元ユニークIP数が閾値以上である場合に(ステップS333のY),条件が成立と判定する(ステップS334)。
【0122】
関連アドレス検出部23は,アクセス回数が閾値以上でない場合(ステップS331のN),アクセス先ユニークIP数が閾値以上でない場合(ステップS332のN),またはアクセス元ユニークIP数が閾値以上でない場合に(ステップS333のN),条件が不成立と判定する(ステップS335)。
【0123】
〔ステップS4:辞書生成処理〕
図17は,辞書生成処理前後のリンク辞書の例を示す図である。
【0124】
図17(A)は,辞書生成処理前のリンク辞書の例を示す図である。
【0125】
リンク辞書に相当する辞書テーブルは,リンクが設定される単語,語句を示す「単語」,リンク先のURLを示す「リンク先」の項目を有する。
【0126】
ここでは,リンク辞書に登録された単語「会議室予約」に複数のリンク先が対応付けられていることが分かる。
【0127】
図17(B)は,辞書生成処理されたリンク辞書(辞書テーブル)の例を示す図である。
【0128】
辞書テーブルには,「リンク先」のURLに対応するIPアドレスを示す「リンク先IP」,リンク先IPに関連するIPアドレスの範囲を示す「条件」の項目が付加されている。
【0129】
図18は,ステップS4の辞書生成処理のより詳細な処理フロー図である。
【0130】
辞書出力部24は,リンク辞書(辞書テーブル)から1行(データ)を読み込み(ステップS41),DNSサーバ7を用いて,URL欄の値をもとにIPアドレスを検索する(ステップS42)。辞書出力部24は,例えば,URLの欄からホスト名「http://aaa.iias.f2.com/」を取り出して,ホスト名のIPアドレス「10.25.136.1」を得て,辞書テーブルのリンク先IPに書き込む。
【0131】
そして,辞書出力部24は,ステップS42の処理で得たIPアドレスをキーにして,集計テーブル(3桁)のアクセス先上位IPを検索し,「逆関係の条件」の値が「○(成立)」の行を取得する(ステップS43)。そして,辞書出力部24は,取得した行の,アクセス元上位IPの値を,辞書テーブルの「条件」に書き込む(ステップS44)。
【0132】
さらに,辞書出力部24は,辞書テーブルに次の行(データ)があれば(ステップS45のY),ステップS41の処理へ進み,次の行(データ)がなければ(ステップS45のN),辞書テーブルの単語,リンク先,条件の欄をリンク辞書としてリンク辞書記憶部3に格納する(ステップS46)。
【0133】
次に,リンク処理装置4の処理の流れを説明する。ここでは,リンク処理装置4は,ユーザがページを閲覧する時に,リアルタイムにリンク処理を行い,アクセス元のクライアント5のIPアドレスをもとにリンク先を選択するものとする。
【0134】
図19は,リンク処理の処理フローを示す図である。
【0135】
ステップS51: クライアント5の入力変換部51は,ユーザが入力した閲覧したいページのURLを取得し,ページのURLを含むオートリンクシステム1へのURLに変換して出力する。
【0136】
入力取得部41は,クライアント5での入力(ページのアクセス要求)を受け付けて,アクセス先のURL,ユーザIPアドレス(クライアント5のIPアドレス)を受け取る。
【0137】
ステップS52: 入力取得部41は,受け取ったURLをもとに該当するサーバ6から,ページの内容(テキスト)を取得する。
【0138】
ステップS53: リンク先選択部42は,ページの内容(テキスト)とリンク辞書の「単語」とをマッチングして,リンク処理の候補となるリンク箇所(単語)を検出する。
【0139】
ステップS54: リンク先選択部42は,マッチングした「単語」について,対応するリンク先(URL)が複数あるかを判定する。リンク先(URL)が複数あれば(ステップS54のY),ステップS55の処理へ進み,リンク先(URL)が1つであれば(ステップS54のN),ステップS16の処理へ進む。
【0140】
ステップS55: リンク先選択部42は,ユーザIPアドレスと「単語」の各リンク先に対応する「条件」を照合して,ユーザIPアドレスが含まれるIPアドレスの範囲が設定された「条件」のリンク先を選択する。
【0141】
ステップS56: 出力生成部43は,該当のリンク箇所(単語)を,選択したリンク先を設定したリンクタグに書き換えて,HTMLにリンクを設定する。
【0142】
ステップS57: 取得したページの内容(テキスト)の最後までリンク辞書とマッチングされていれば(ステップS57のY),ステップS58の処理へ進み,最後までリンク辞書とマッチングされていなければ(ステップS57のN),ステップS13の処理へ戻る。
【0143】
ステップS58: 出力生成部は,リンク設定済みのHTMLを出力する。クライアント5の表示部52は,リンク設定済みのHTMLをもとにページを表示する。
【0144】
以上説明したように,開示されたリンク辞書生成処理装置2によれば,アクセス元のIPアドレスに対応するユーザ,または,アクセス先のサーバのIPアドレスに対応するページのどちらの場合にも対応して,アクセスされたページ(サーバ)またはアクセスしたユーザと関連性が高いリンク先を選択できるリンク辞書を提供することができる。
【0145】
また,リンク辞書生成処理装置2によれば,関連性を判断するIPアドレスの範囲を,任意の範囲としてIPアドレスの関連性を検出することができるため,組織内ネットワークの規模に対応したリンク辞書を提供することができる。
【0146】
また,リンク辞書生成処理装置2によれば,組織内でのアクセス傾向にもとづいてIPアドレス間の関連性を検出するため,割り当てられるIPアドレスの値の類似性に依存することなく,ページまたはユーザと実際に関連性があるリンク先を設定できるリンク辞書を提供することができる。
【0147】
以上の実施の形態について説明してきたが,その変形例として,リンク辞書にスコアの概念を導入しても良い。以上の実施の形態では,閾値以上のアクセス数などの条件で○×を付け,○のついた上位IPアドレスのみをリンク辞書に入れている。しかし,アクセス数などに基づいてスコアを算出しておき,上位IPアドレスとそのスコア値を辞書に入れておいてもよい。このようにすれば,複数の条件にマッチしたときに,最もスコアの高い,適切なリンク先を選ぶことができる。すなわち,リンク先の選択がより柔軟に行えるという利点がある。
【0148】
以上の実施態様の説明では,各クライアント5が入力変換部51を備える構成例を示した。しかし,ネットワーク8に接続されたプロキシサーバ(不図示)が入力変換部を備えるようにしてもよい。
【0149】
また,以上の実施態様の説明では,リンク辞書生成処理装置2とリンク処理装置4がオートリンクシステム1に備えられる構成例を説明した。しかし,リンク辞書生成処理装置2とリンク処理装置4とは,異なるシステムとして備えられるようにしてもよい。
【0150】
リンク辞書生成処理装置2とリンク処理装置4は,それぞれ,演算装置(CPU),一時記憶装置(DRAM,フラッシュメモリ等),永続性記憶装置(HDD,フラッシュメモリ等),およびネットワーク8とのネットワークインターフェースを有するコンピュータによって実施することができる。また,リンク辞書記憶部3は永続性記憶装置等で実施することができる。
【0151】
さらに,リンク辞書生成処理装置2,リンク処理装置4は,それぞれ,コンピュータが実行可能なプログラムによって実施することができる。この場合に,リンク辞書生成処理装置2,リンク処理装置4の各々が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。提供されたプログラムをコンピュータが実行することによって,上記説明したようなリンク辞書生成処理装置2,リンク処理装置4の処理機能がコンピュータ上で実現される。すなわち,リンク辞書生成処理装置2,リンク処理装置4の各処理部は,プログラムで構成することができ,これらのプログラムが一時記憶装置にロードされて実行されることにより,各処理部の機能が実現される。
【0152】
なお,このコンピュータは,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもでき,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,コンピュータは,このプログラムを,読み取り可能な記録媒体に記録させておくことができる。
【符号の説明】
【0153】
1 オートリンクシステム
2 リンク辞書生成処理装置
20 ログ情報記憶部
21 ログ収集部
22 ログ集計部
23 関連アドレス検出部
24 辞書出力部
3 リンク辞書記憶部
4 リンク処理装置
41 入力取得部
42 リンク先選択部
43 出力生成部
5 クライアント
51 入力変換部
52 表示部
6(6a,6b,…) サーバ
7 DNSサーバ
8 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブページのテキスト内の単語または語句にリンクを設定するリンク処理用のリンク辞書を生成するリンク辞書生成装置であって,
単語または語句毎にリンク先を対応付けたリンク辞書を記憶するリンク辞書記憶部と,
組織内ネットワークにおいて実行されたリソースへのアクセスに関して,アクセス元のIPアドレスとアクセス先のIPアドレスとを含むログ情報を収集するログ収集部と,
前記収集したログ情報をもとに,前記アクセス先のIPアドレスを含むIPアドレス範囲に対する,前記アクセス元のIPアドレスを含むIPアドレス範囲からのアクセス数を集計するログ集計部と,
前記集計したアクセス数が任意の閾値以上である場合に,前記アクセス先とアクセス元とのIPアドレス範囲の対を関連IPアドレス範囲として保持する関連アドレス検出部と,
前記リンク辞書に設定されたリンク先のIPアドレスが前記関連IPアドレス範囲の一方のIPアドレス範囲に含まれる場合に,前記関連IPアドレス範囲の他方のIPアドレス範囲を,前記リンク先に対応するリンク条件として付加する処理と,
前記リンク条件が付加されたリンク辞書を前記リンク辞書記憶部に格納する処理とを行う辞書出力部とを備える
ことを特徴とするリンク辞書生成処理装置。
【請求項2】
前記関連アドレス検出部は,前記アクセス先と前記アクセス元とのIPアドレス範囲間について双方向でのアクセス数が前記閾値以上である場合に,前記アクセス先と前記アクセス元のIPアドレス範囲の対を関連IPアドレス範囲として保持する
ことを特徴とする請求項1に記載のリンク辞書生成処理装置。
【請求項3】
前記アクセス先と前記アクセス元のIPアドレス範囲は,前記組織内ネットワークで割り当てられるIPアドレスの上位から任意の桁数またはビット数によって定められる範囲である
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のリンク辞書生成処理装置。
【請求項4】
ウェブページのテキスト内の単語または語句にリンクを設定するリンク処理で使用されるリンク辞書を生成する処理を,コンピュータに実行させるためのリンク辞書生成処理プログラムであって,
リンク辞書記憶部を備える前記コンピュータに,
組織内ネットワークにおいて実行されたリソースへのアクセスに関して,アクセス元のIPアドレスとアクセス先のIPアドレスとを含むログ情報を収集する処理と,
前記収集したログ情報をもとに,前記アクセス先のIPアドレスを含むIPアドレス範囲に対する,前記アクセス元のIPアドレスを含むIPアドレス範囲からのアクセス数を集計する処理と,
前記集計したアクセス数が任意の閾値以上である場合に,前記アクセス先とアクセス元のIPアドレス範囲の対を関連IPアドレス範囲として保持する処理と,
前記リンク辞書に設定されたリンク先のIPアドレスが前記関連IPアドレス範囲の一方のIPアドレス範囲に含まれる場合に,前記関連IPアドレス範囲の他方のIPアドレス範囲を,前記リンク先に対応するリンク条件として付加する処理と,
前記リンク条件が付加されたリンク辞書を前記リンク辞書記憶部に格納する処理とを,実行させる
ことを特徴とするリンク辞書生成処理プログラム。
【請求項5】
ウェブページのテキスト内の単語または語句にリンクを設定するリンク処理装置であって,
単語または語句毎に,リンク先と前記リンク先へのリンク設定の対象となるIPアドレス範囲を設定するリンク条件とを対応付けたリンク辞書を記憶するリンク辞書記憶部と,
組織内ネットワークにおいて,アクセスされたリソースと,前記リソースを提供する機器または前記リソースへアクセスした機器のいずれかのIPアドレスとを取得する入力取得部と,
前記ウェブページの内容から前記リンク辞書に含まれる単語または語句を取り出す処理と,
前記取得した機器のIPアドレスが,前記リンク辞書の前記取り出した単語または語句に対応付けられたリンク条件のIPアドレス範囲に含まれる場合に,前記単語または語句に対応付けられ,かつ,前記取得した機器のIPアドレスを含むリンク条件に対応するリンク先を選択する処理とを行うリンク先選択部と,
前記ウェブページの該当する単語または語句に前記選択されたリンク先へのリンクを設定する処理と,前記リンク先を設定したウェブページを出力する処理とを行うページ出力生成部とを備える
ことを特徴とするリンク処理装置。
【請求項6】
前記ページ出力部は,前記リンク辞書の前記取り出した単語または語句に対応付けられたリンク条件のIPアドレスの範囲に,前記取得した機器のIPアドレスが含まれない場合に,前記ウェブページの前記単語または語句へ前記リンク先情報によるリンクの設定を抑止する
ことを特徴とする請求項5に記載のリンク処理装置。
【請求項7】
前記リンク条件のIPアドレス範囲は,前記組織内ネットワークで割り当てられるIPアドレスの上位から任意の桁数またはビット数によって定められる範囲である
ことを特徴とする請求項5または請求項6のいずれか一項に記載のリンク処理装置。
【請求項8】
ウェブページのテキスト内の単語または語句にリンクを設定する処理を,コンピュータに実行させるためのリンク処理プログラムであって,
リンク辞書記憶部を備える前記コンピュータに,
組織内ネットワークにおいて,アクセスされたリソースと,前記リソースを提供する機器または前記リソースへアクセスした機器のいずれかのIPアドレスとを取得する処理と,
前記リンク辞書記憶部に記憶された情報であって,単語または語句毎に,リンク先と,前記リンク先へのリンク貼付処理の対象となる組織内ネットワークを構成する機器のIPアドレスの範囲を設定するリンク条件とを対応付けたリンク辞書を参照して,前記ウェブページの内容から前記リンク辞書に含まれる単語または語句を取り出す処理と,
前記取得した機器のIPアドレスが,前記リンク辞書の前記取り出した単語または語句に対応付けられたリンク条件のIPアドレスの範囲に含まれる場合に,前記単語または語句に対応付けられ,かつ,前記取得した機器のIPアドレスを含むリンク条件に対応するリンク先を選択する処理と,
前記ウェブページの該当する単語または語句に前記選択されたリンク先へのリンクを設定する処理と,
前記リンク先を設定したウェブページを出力する処理とを,実行させる
ことを特徴とするリンク処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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