説明

リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル上の下部巻き付け糸用の糸締め付け装置

本発明は、リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル(1)上の下部巻き付け糸用の糸締め付け装置に関する。締め付けリング(12)とスピンドル(1)上の半径方向に張り出すフランジ(13)との間に締め付けスリーブ(2)が設けられ、その締め付けスリーブ(2)は、締め付けリング(12)に当接することによって画定される締め付け位置(A)と、開位置(B)との間に軸方向に変位させることができる。締め付けスリーブ(2)は、その軸方向の変位に対して、作動装置(4)を割り当てられており、その作動装置(4)は、締め付けスリーブ(2)上に半径方向に延び出る手段と協働する。また、締め付けスリーブ(2)には、その位置を少なくとも締め付け位置(A)に固定する要素(21;17)が割り当てられる。下部巻き付け糸の、締め付け用の開溝の中への挿入、および、締め付け用の開溝からのその除去を改善するために、作動要素(41)および/または半径方向に突き出る手段(22)が、締め付けスリーブ(2)上に、各スピンドルの軸(10)に対して半径方向において接触するように弾性的に保持され、両方の動きの相対方向において、半径方向に有効な角度のある面(412、413)が設けられる(C)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル上のアンダワインディング糸用の糸締め付け装置に関する。この締め付け装置は、締め付けリングとその下に一定の距離をおいて半径方向に張り出すカラーとがアンダワインディングクラウンの下部のスピンドル上に設けられること、軸方向に変位可能な締め付けスリーブがスピンドル上の締め付けリングとカラーとの間に配置されること、締め付けスリーブは、締め付け用の開溝を開閉するために、作動装置によって、締め付けリングに当接することによって画定される締め付け位置と、カラーに当接することによって画定される開位置との間に変位させることが可能であること、および、締め付けスリーブには、作動装置の作動要素を操作するための半径方向に延び出る手段と、締め付けスリーブの位置を少なくとも閉位置に固定する要素とが装備されることという特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
類似の種類の装置が、欧州特許第1 218 577 B1号明細書からすでに知られる。締め付けスリーブに永久磁石が装着され、この永久磁石が、閉位置を固定するために、締め付けスリーブをアンダワインディングクラウンの下部の締め付けリングに固定する。締め付け用の開溝を開放する必要がある場合には、締め付けスリーブを作動装置によって下部の開位置に動かす。この作動装置は、作動要素によって、締め付けスリーブの半径方向に突き出るカラーに作用し、それによって磁石の力に打ち勝つ。次に開位置において、締め付けスリーブに組み込まれる磁石の磁力がアクティブになり、締め付けスリーブをスピンドルの下部カラーに保持することになる。欧州特許第1 218 577 B1号明細書には、作動装置の詳細は記述されていない。
【0003】
締め付けスリーブを調整するための共通的ないくつかの作動装置が、特に欧州特許第0 775 769 B1号明細書に記載されている。作動手段が、機械のフレームに堅固に固定される部分に取り付けられるが、この作動手段は、締め付けスリーブの半径方向に突き出る手段にレバーを介して作用し、締め付けスリーブをシステムの機能が要求する位置に移動させる。これらの公知の装置は、作動装置が片側からおよび/または偏心して締め付けスリーブに作用するという特徴を共有する。この偏心作用のために、スピンドル軸に沿う締め付けスリーブの長いガイドが必要になり、従って、スピンドル速度の制限も多くの場合必要である。また、この装置の場合、追加的に必要となる構造的なコストが高くなることが別の短所である。これは、欧州特許出願公開第587 526 A1号明細書および独国特許発明第199 04 793 C1号明細書に記載される装置にも当てはまる。
【0004】
欧州特許第462 467 B1号明細書も、締め付けスリーブを閉位置から開位置に動かすために、アンダワインディング位置までの行程のリングレールを用いる作動装置を開示している。各スピンドルの領域において、各スピンドルに対してリングレールの下面に突起部分が装備され、その突起部分は、リングレールがアンダワインディング位置に近づく時に、締め付けスリーブの半径方向に突き出るカラー上に押し当てられる。この作用は、「逆作用要素」と呼称される軸方向作用の圧力バネを、締め付け開溝の最大幅まで圧縮し、これによってアンダワインディング糸のらせんを嵌挿するための締め付け開溝を開く。
【0005】
上記の手順中を除いて、バネは、常に、締め付けスリーブを「作動位置」とも呼称される閉位置に保持する。締め付け開溝が短時間開いている間、開溝内にまだ保持されていた糸の端部は放出され、新しいアンダワインディング糸のらせんがほとんど同時に嵌挿される。この開手順の間は、アンダワインディングは360°より小さい糸のループを呈するべきであるので、スピンドルは非常に低速で回転する。締め付け開溝からの糸の端部の排出および除去は、ある程度、新しいアンダワインディング糸のらせんの嵌挿と重なり合うので確実でない。その結果、クリーニングのための頻繁な機械の停止が必要になる。
【0006】
独国特許出願公開第196 28 826 A1号明細書は、スピンドルワーブの軸上に垂直方向に変位可能に摺動する締め付けスリーブを備えた糸締め付け装置を記載している。ワーブカラーの下側に支持される圧力バネが、締め付けスリーブの前面を上向きに締め付けリングに対して押し付け、締め付け開溝を閉じる。内向きかつ下向きに傾斜した締め付けスリーブ上の上部のリング形状の表面との間に、最大3mmの比較的小径のボール形状の遠心要素が配備される。この遠心要素は、その要素の最高点が締め付けリングの下側から短い距離にあるように締め付け位置内に配置される。遠心要素は、下に開いている締め付けリングの半径方向の溝の中にガイドされる。
【0007】
コップの紡糸工程が完了すると、リングレールの位置が低下する。紡糸リングのトラベラにガイドされる糸は、徐々に低下するスピンドル速度、約5000/分で、遠心要素が開に保持するべき締め付け開溝の中に嵌挿される。スピンドルの速度がこの速度以下に低下すると、バネがコップ交換時にアンダワインディングされる糸に対する完全な締め付け力を発生させなければならないので、バネが締め付け開溝を閉じることになろう。
【0008】
引き続く新しいボビンまたはコップに対する糸の紡糸の始動の間、締め付けリング上にガイドされる遠心要素はスピンドルの回転によって外向きに動く。遠心要素は、スピンドルの速度が約5000rpmに達して初めて締め付け開溝を僅かな量だけ開く。
【0009】
従ってこの装置は非常に不利である。圧力バネは、最も高く伸びた状態においてアンダワインディングに対して完全な締め付け力を付与しなければならないが、遠心要素は、この圧力バネに高速度においてのみ打ち勝つことができる。これは、アンダワインディングの工程もこの高速度において実行されなければならないことを意味している。しかし、スピンドルおよびドラフト部の大きな質量のために、この速度範囲からの突然の停止は不可能である。この突然の停止は、アンダワインディングのループ形成を270°から最大360°までに制限するために絶対的に必要と見られる。
【0010】
この結果、アンダワインディングの糸が、すでに閉じられている締め付け開溝の前方のくさび形状の部分にのみ比較的低速で堆積することになり、従って十分に締め付けられない。これはコップの交換を著しく混乱させ、新しいコップの紡糸が必要な確実性をもって効果的に遂行されない。
【0011】
逆に、もし、アンダワインディングの糸を5000/分より高い速度で嵌挿して締め付け開溝の中で締め付けると、明らかに1回以上の巻き数が締め付け開溝内に堆積され、数個のらせんが常態として締め付けスリーブ上に巻き付けられることになるだろう。この追加的ならせんを締め付け開溝から、また締め付けスリーブから取り除くことは、大きな問題を生じさせる。ほとんどの場合、新しい管の巻き取りの開始も妨害される。その結果、糸の破断と生産の損失とが生じる。
【0012】
独国特許出願公開第197 46 819 A1号明細書および独国特許出願公開第198 07 740 A1号明細書は、ボビン交換中のアンダワインディングの締め付け用と、除去するべきアンダワインディングの放出用との装置を開示している。これらの装置は、作動要素によって変位させ得る締め付けスリーブを省略している。締め付けスリーブの代わりに、このシステムは締め付け用の弾性Oリングを用いる。このOリングは、遠心力のために、高速のスピンドル速度において、スピンドル上の締め付け表面からある距離をおいたリングの内側に支持され、従って締め付け開溝を開く。このような構成は、アンダワインディングの糸を、低速において閉じられるくさび形状の締め付け開溝内に嵌挿できるだけであるので満足できるものではない。また、この段階における給糸速度の特殊な制御は、コップ交換の間の締め付け手順の十分な安全性をもたらさない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、締め付けスリーブを備えた糸締め付け装置用の作動装置であって、締め付け開溝からの残余糸くずの確実な除去を可能にすると共に、新しいアンダワインディングの糸を、新しく設置された管に対する巻き付け手順が開始されるまで、360°よりも小さい周囲角度で確実かつ安全に締め付けることを可能にする作動装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル上のアンダワインディング糸用の、次のような特徴を備えた糸締め付け装置によって実現される。すなわち、締め付けリングとその下に一定の距離をおいて半径方向に張り出すカラーとがアンダワインディングクラウンの下部のスピンドル上に設けられること、軸方向に変位可能な締め付けスリーブがスピンドル上の締め付けリングとカラーとの間に配置されること、締め付けスリーブは、締め付け用の開溝を開閉するために、作動装置によって、締め付けリングに当接することによって画定される締め付け位置と、カラーに当接することによって画定される開位置との間に変位させることが可能であること、締め付けスリーブには、作動装置の作動要素を操作するための半径方向の外側に突き出る手段と、締め付けスリーブの位置を少なくとも締め付け位置に固定しかつ締め付け力を加える要素とが装備されること、作動要素と締め付けスリーブ上の半径方向に突き出る手段とは、スピンドル軸に対して半径方向において、角度のある面を介して互いに接触するように弾性的に保持されること、および、締め付けスリーブに対する作動要素の作用方向を、精紡機のプログラムに応じて、RPMの増大と共に開位置にすることができ、RPMが減少すると締め付け位置にすることができるように切り換え得ることという特徴を備えた糸締め付け装置である。
【0015】
作動要素と締め付けスリーブとの間における非確実方式および部分的に確実方式の組み合わせ係合によって、開過程において、締め付けリングまたはスピンドルのカラーに対する締め付けスリーブの力に確実に打ち勝つことが可能になる。作動要素は、締め付けスリーブと締め付けリングとの間の付加的な固定を解放し、締め付けスリーブを開位置に押し込む。締め付け開溝の開操作は、特に好ましい瞬間、すなわち、比較的低速における最初の下向きのリングレールの下降の終期に行われ、コップの全紡糸手順の間、締め付け開溝は開かれたままである。残余糸くずの排棄は、スピンドルが高速である長い時間期間の間に行われる。さらに、この排棄手順は、従来型の移動クリーナによる開位置の締め付け開溝に対する吹き付けおよび吸引工程の繰り返しによって補助される。
【0016】
コップ交換の準備段階の間に、アンダワインディング糸を、特に低速、例えば2000/分未満の速度で、残余糸くずが完全になくなっている開位置のままの締め付け開溝に中に嵌挿できる。アンダワインディングが完了すると、作動要素が、締め付けスリーブの半径方向に突き出る要素を下向きに飛び越えたことによって締め付けスリーブに対する作動方向を変化させ、締め付けスリーブを上向きに締め付け位置に引き上げる。この位置に達すると、作動要素は、再度、締め付けスリーブの半径方向に突き出る要素を飛び越え、コップ交換を遂行するに必要な締め付け力が、締め付けスリーブを締め付け位置に固定する手段によって供給される。
【0017】
請求項1による本発明の本質は、アンダワインディング糸が、残余糸くずが確実になくなっておりかつ十分に開いている締め付け開溝の中に低スピンドル速度において嵌挿されるという点にある。
【0018】
本発明の特に有用な構成によれば、作動要素がリングレールに取り付けられる。締め付けスリーブ上の半径方向に突き出る手段および/または作動要素は、半径方向に有効な角度のある面を、関係する2つの動きの方向において有し、かつ、締め付け用の開溝を閉じるためのリングレールの有効な動きが締め付け開溝の最大幅よりも大きい。作動要素はアンダワインディング糸の形成に直接関与しているので、リングレールは、特に、作動要素を取り付けるのに適している。動きのサイクルの修正のみが必要である。
【0019】
本発明の好ましい変形態様によれば、各スピンドルの作動要素が、リングレールの下面のスピンドル軸の回りに配置される半径方向に可動の弾力のある作動要素であって、締め付けスリーブの半径方向に突き出る手段と弾性的に協働する作動要素の群から構成される。作動要素のこの構成によって、スピンドルに対する片側からのまたは偏心した荷重が避けられる。
【0020】
角度のある面が作動要素の一部分であることによって、作動要素の簡素な構成が実現される。
【0021】
本発明の目的は、リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル上のアンダワインディング糸用の、次のような特徴を備えた糸締め付け装置によっても、驚くほど簡易に実現される。すなわち、この糸締め付け装置は、アンダワインディングクラウンの下部のスピンドル上に、締め付けリングとその下に一定の距離をおいて半径方向に張り出すカラーとが設けられること、軸方向に変位可能な締め付けスリーブがスピンドル上の締め付けリングとカラーとの間に配置されること、締め付けスリーブは、締め付け用の開溝を開閉するために、作動装置によって、締め付けリングに当接することによって画定される締め付け位置と、カラーに当接することによって画定される開位置との間に変位させることが可能であること、および、締め付けスリーブには、作動装置の作動要素を操作するための半径方向に延び出る手段と、締め付けスリーブの位置を締め付け力の印加によって少なくとも締め付け位置に固定する要素とが装備されることという特徴を有する糸締め付け装置であって、さらに、作動装置がスピンドル上に配置されること、および、作動要素が遠心要素から構成されることという特徴を備え、この遠心要素は、スピンドル軸に対して半径方向に向けられるガイド内を摺動すると共にスピンドルの回転に伴って回転し、スピンドル上もしくは締め付けスリーブ上の角度のある面または環状の円錐面と協働し、かつ、一方がスピンドルのカラーによって支持されもう一方が締め付けスリーブを締め付け位置に押し付けるバネ要素に対抗して作用する、糸締め付け装置である。
【0022】
バネに対抗して作用する遠心要素と、締め付けスリーブを締め付け位置に固定する要素とを組み合わせることによって、バネが、コップ交換に必要な締め付け力を付加する必要がなくなるので、非常に弱いバネを用いることができる。この場合も、アンダワインディング手順は、非常な低速で、しかも、確実に開かれかつ清浄化された締め付け開溝において行うことができる。巻き付け糸を、突然機械を停止することなく360°未満の円周角度に制限することができる。
【0023】
本発明の1つの例によれば、遠心要素のガイドは締め付けスリーブに設けられ、角度のある面または環状の円錐面はスピンドルのカラーに設けられる。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、遠心要素のガイドはスピンドルのカラーに設けられ、角度のある面または環状の円錐面は締め付けスリーブに設けられる。この構成の利点は、非常に小型化することができ、汚染のリスクが低い点にある。
【0025】
締め付けスリーブを固定しかつ締め付け力を加える要素が、締め付けスリーブ内に組み込まれる永久磁石であれば、さらに有利である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、締め付け位置において締め付けスリーブの位置を固定しかつ締め付け力を加える要素、あるいは、締め付けスリーブの位置を開位置に固定する要素が、締め付けスリーブの内面の複数の固定溝と協働するスピンドル軸内の半径方向に作用するバネ式押しボタンによって形成され、この場合、複数の固定溝は、開かれた締め付け開溝の幅に高々等しい軸方向の相互間隔を有する。
【0027】
締め付けスリーブに組み込まれる永久磁石を、締め付けスリーブを固定しかつ締め付け力を加えるための要素として用いることによって、締め付けスリーブを少なくとも締め付け位置に固定するための、構造的に簡素で機能的に高信頼度の実施形態の構成を提供することができる。磁石は、締め付け位置において、確実に高い締め付け力を生成する。
【0028】
次に、本発明をいくつかの例を参照してさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、リング精紡機のスピンドル1の中央部分を簡略化された断面図で示す。機械フレームと固く連結されるスピンドル1の支持体(図示なし)は、底部から出発してワーブ14を示している。その上部において軸16上にガイドされるスリーブはカラー13を形成し、そのカラー13の上部の前端部分が、締め付けスリーブ2の行程を下端において限定する。締め付けスリーブ2の行程は、上端においては、アンダワインディングクラウン11および軸16に固く連結される締め付けリング12が限界を形成する。
【0030】
巻き付けが行われるコップ5用の管51の下端部は、軸16の上端に配置される。上方に延びる管用の他のガイド要素は図示されていない。
【0031】
締め付けスリーブ2には、締め付けスリーブ2を、締め付け位置Aにおいて締め付けリング12上に、または開位置Bにおいてカラー13上に固定できる磁石21が装備される。これを実施する方法は、欧州特許第1 218 577 B1号明細書に詳細に記載されている。
【0032】
締め付けスリーブ2の開位置Bから締め付け位置Aへのまたは逆方向への位置変更は、いずれにしても、1つの位置への固定を解放し、締め付けスリーブを他の固定要素の作動範囲内に動かす付加的な調整手段を必要とする。
【0033】
図1は開位置Bにおける締め付けスリーブ2を示す。締め付け開溝Cの部分において、アンダワインディング領域15が軸16の表面上に強調表現されている。
【0034】
図1の段階におけるリングレール3はアンダワインディング位置に下げられている。トラベラ32は、紡糸リング31上を、締め付け開溝Cおよびアンダワインディング領域15の高さレベルにおいて動き、糸によってアンダワインディングらせんを形成する。アンダワインディングは360°より小さい範囲でスピンドル1の軸16に巻き付く。
【0035】
スピンドル1が貫通して延びるリングレール3の開口内に、各スピンドル1用の作動装置4が下から挿入される。その保持リング40は、そのフック形状の要素と共に、前記リングレール3の開口内に嵌入している。
【0036】
板状のバネ411が底面に向いて保持リング40に隣接しており、その下方を向いた自由端に角度のある面412、413が設けられる。この角度のある面412、413は、締め付けスリーブ2の半径方向に外側に向けられた手段もしくはカラー22との係合用として内側に向けられる。
【0037】
作動装置4および締め付けスリーブ2と共にリングレール3がどのように機能するかを、いくつかの段階a)〜f)として図2に示す。段階a)は、新しいスリーブ51が装着されたばかりの状態を示す。スピンドル1は再回転を始めている。リングレール3は、第1層を形成するために上昇しており、新しいボビン5の糸の第1層の最初のアッパワインディングまで、閉じられた締め付け開溝C内に保持されている糸を緊張させる。
【0038】
次の段階b)においては、リングレール3は、最初の糸の二重層を完結させるために下げられる。この場合、リングレール3は、それに固く連結される作動要素43を、締め付けスリーブ2内で半径方向にガイドされるボール222(図4参照)に導く。このボール222の表面において有効な角度のある面2221が、作動要素43によって捕捉されて、締め付けスリーブ2を、下向きに、磁石21の力および締め付けスリーブ2の固有の質量が締め付けスリーブ2をさらに開位置Bに動かす領域まで動かす。ここで、締め付け開溝Cが開となる。
【0039】
この状態は、段階c)およびd)においても維持される。締め付け開溝C内部の残余糸くずはアンダワインディングクラウン11における高速で裂断され排棄される。残余糸くずは吹き付けおよび/または吸引装置(図示なし)によって取り除かれるであろう。実際、コップ巻き付けの全サイクルをこの手順のために用いることができる。
【0040】
コップ5の巻き付け完了後、段階e)においてリングレール3がアンダワインディング位置に下げられる。紡糸リング31のトラベラ32が、糸6を、アンダワインディング領域15において、なお開いている締め付け開溝Cの中に導いてアンダワインディング61を形成する。作動要素43は、締め付けスリーブ2の開位置におけるカラー13の抵抗力によって、半径方向に内向きの弾力を有する締め付けスリーブ2のボール222に打ち勝って、それ自体は、弾力のあるボール222の下側に位置している。
【0041】
アンダワインディング61が完成するとすぐに、給糸装置とスピンドル1が停止され、リングレール3は再度上方に動く。作動要素43はボール222の下側の角度のある面2222に当接し、締め付けスリーブ2を、締め付けスリーブ2とカラー13との間の磁力に打ち勝つことによって持ち上げる。締め付けスリーブ2は締め付け位置Aに移動し、アンダワインディング61を磁石21の作用によって締め付け開溝C内に固定する。
【0042】
コップの交換を実施することができる。コップ5を取り外す時に、糸が締め付け開溝Cとコップ5との間で裂断または切断される。このプロセスは、コップの交換が完了した後、段階a)で再度開始される。
【0043】
図3〜7は、弾性の作動要素と、締め付けスリーブ2上の半径方向に突き出る手段との他の実施形態を示す。
【0044】
図3および図6は、剛性のカラー221を備える締め付けスリーブ2を示す。作動要素42は、その保持リング40’上に、内向きにテーパ化された半径方向の穿孔421を有する。テーパはボール422に対するストッパとなる。保持リング40’の円周方向の溝の中に納められる環状のバネ423が3つのこのボール422を保持する。これら3つのボール422は、相互間に120°の間隔をおいて、上記のストッパ上に内向きに弾性的に配置される。穿孔421の内側から突き出るボール422の一部が角度のある面412’および413’を形成する。この実施形態は、高い機能的安全性を保証し、摩耗したボール422の簡単な交換を可能にする。
【0045】
図4においては、作動要素43はリングレール3に安定的に固定される。半径方向に弾力を有するボール222が、環状のバネ23によって、内側から外側に向けてストッパに押し付けられる。この構成の特徴は図3の構造の特徴に類似しているが、ボール222の交換作業が僅かに厄介であるという制約がある。
【0046】
図5に示す装置は図4の装置に似ている。この場合も、作動要素43は、安定構造であり、内側を向いた剛性カラー431を有する。作動要素43はリングレール3と堅固に連結される。ボール222の機能は、締め付けスリーブ2の溝25の中に固定される、角度をもつように曲げられた板バネ251によって遂行される。角度のある面2511および1512は板バネ251上に形成される。中間の頂点2513は非常に狭く、あらゆる段階における締め付けスリーブ2の確実な動きを保証する。
【0047】
図7はさらに別の好ましい実施形態を示す。締め付けスリーブ2は固定カラー221’を有する。作動要素41’は、スリーブとして一体成形され、保持リング40およびバネ411の機能および要素を含む。スリーブ41’は合成材料製の部品とすることが望ましい。下方に向く部分がバネ411の機能を担い、その部分は母線に沿ってスリット加工される。その結果、外殻のセグメントは個々にバネ力を備えることができる。外殻セグメントは、その下端において角度のある面412、413と頂点414とを形成する。スリーブ41’の合成材料の特性に応じて、スリーブ41’の円周上に2つ以上の外殻セグメントがバネ411として形成される。
【0048】
以上述べた実施形態とは別に、有利な追加的代替案が本発明の範囲内で可能である。例えば、ボール222または422の代わりに、専門分野で「Novibraボタン(Novibra button)」として知られるバネ式押しボタンを使用することも可能である。以下の説明においては、この部品をバネ式押しボタン(17)と呼称する。
【0049】
このバネ式押しボタン、つまり3つの要素(スリーブ/バネ/凹窩体)からなるユニットの場合には、ボールの代わりに、凹窩体形状の球形キャップ外殻片が、作動要素43(図4)または締め付けスリーブ2のカラー221に対してコイルバネによって押し付けられる。
【0050】
鋼製のボールまたは凹窩体の代わりに、他の材料、例えば合成材料を使用することもできる。
【0051】
欧州特許第1 218 577 B1号明細書は、締め付けスリーブ2およびカラー13における磁石の特定の配置によって、締め付けスリーブ2をカラー13に対して捩った時に、締め付けスリーブ2の軸方向の移動が実現されることを述べている。
【0052】
本明細書に記述する実施形態においては、閉じられた締め付け位置において、締め付け開溝の内部に異なる極性および引力作用を有する磁極が互いに向き合っている。作動装置が締め付けスリーブ2のカラー221に触れると、作動装置はまず最初に締め付けスリーブ2を制動し、締め付けスリーブ2はスピンドル1に対して捩られる。これによって、同じ極性の締め付け開溝内の磁極が、最初に互いに対向して、そして互いに反発しようとする。締め付けスリーブ2は、開位置Bの方向に下向きに押し出される。同時に、締め付けスリーブ2とカラー13との間の底部において、異なる磁極が互いに近接する。これらは互いに引き付け合い、締め付けスリーブ2の開位置Bへの動きを加速する。その後、異なる磁極が開位置Bを安定化する。
【0053】
リングレール3がアンダワインディング位置に移動すると、作動要素41は、締め付けスリーブ2のカラー221を飛び越える。その間に嵌挿されたアンダワインディング糸は、スピンドル1および給糸装置が停止された際の次のリングレール3の上方への動きにおいて、締め付け開溝C内に締め付けられる。締め付けスリーブ2と締め付けリング12との間において、異なる磁極が互いに近接し、それによって、締め付けスリーブ2のスピンドル1に対する回転が始動される。この場合、締め付けスリーブ2および締め付けリング12は円周方向に互いに再配列され、アンダワインディング糸のらせんに対する必要な締め付け力を発生させることができる。
【0054】
この場合、リングレール3の作動要素4は、締め付け開溝Cが開いた場合に締め付け位置Aおよび開位置Bの間の直接的な調整動作を遂行するのではなく、磁石が締め付けスリーブ2の位置を変更し得るようになる制動の衝撃を伝達するのみである。
【0055】
図8a、8b、8cは本発明の装置の別の形態を示す。図1に関連して述べた磁石21の代わりに、上述したバネ式押しボタン17を利用して、締め付けスリーブ2’を締め付け位置Aもしくは開位置Bに固定する。バネ式押しボタン17はスピンドル1の軸16に半径方向に挿入される。外向きに突き出るボール171のボール片または突き出る凹窩体または球形キャップの外殻片(図示なし)が固定溝27または28に弾性的に係合し、締め付けスリーブ2’の位置を締め付け位置Aもしくは開位置Bに固定する。
【0056】
締め付けスリーブ2’のこの固定方式の場合は、締め付け領域におけるいわゆるOリング26の使用が可能になる。Oリング26を頂部から外側の部分を部分的に包み込む包囲輪261の形状および形態から、弾性的なOリング26が半径方向に膨張する余地が残され、その結果、図8bに示すように、Oリング26が、アンダワインディングらせんを締め付け位置Aに付加的に固定できる。図8aに示すように、コップ巻き付け後にリングレール3がアンダワインディング位置に達すると、作動要素41のバネが、締め付けスリーブ2’のカラー221を飛び越えて、カラー221の下の位置に至る。
【0057】
バネ式押しボタン17は固定溝27の位置にあり、開位置Bをそのまま固定する。
【0058】
図8bの位置においては、リングレール3が、コップの交換に必要な位置に上昇している。作動要素41のバネが、最初に、締め付けスリーブ2’を締め付け位置Aに変位させる。ここで、バネ式押しボタン17が、固定溝28に係合することによって、締め付けスリーブ2’の位置を固定する。
【0059】
作動要素41のバネは、さらに上方への動きを継続すると、締め付けスリーブ2’のカラー221を飛び越えて、締め付けスリーブ2’の作動範囲を離れる。
【0060】
糸の第1層完成後に、作動要素41を備えるリングレール3は、カラー221に上から衝突して、締め付けスリーブ2’を、固定溝27と協働するバネ式押しボタン17によって締め付けスリーブ2’が開位置に動かされ、そこに固定されることになる位置に変位させる。
【0061】
図9a、9b、9cは、本発明に従って実現されるべき目的に対する別の解決策を示す。図1に示すように、作動ブッシュ18は、カラー13の領域のスピンドル1に、軸方向に変位不可能かつ捩りに対して堅固に取り付けられる。上向きの壁面は、締め付けスリーブ2’’の下部部分の外側と重なり合い、内向きかつ下向きの角度のある面181を形成する。
【0062】
締め付けスリーブ2’’の半径方向に突き出る手段22’には、半径方向に自由に動く遠心要素29が挿入される半径方向のガイドが設けられる。この遠心要素29の外周の上端は、スピンドル1が回転しているときは、角度のある面181に接触している。
【0063】
締め付けスリーブ2’’には、磁石21’が差し込まれ、その磁極は締め付け開溝Cの方に向けられる。この磁石は、それらが締め付けリング12に近接した時に、締め付け圧力を増大させる。締め付けスリーブ2’’はその下端がバネ要素131上に支持され、このバネ要素131は作動ブッシュ18の窪み孔内に支持される。このバネ要素131は、スピンドルが停止している間、締め付けスリーブ2’’を低い締め付け圧力で締め付け位置Aに保持する。磁石21’は、図9bに示すように、糸の裂断を可能にする必要締め付け力を提供する。
【0064】
図9の装置は次のように機能する。スピンドル速度が約2000rpmに低下すると、トラベラ32が糸をアンダワインディング領域に導く。締め付け開溝Cが開き、締め付け開溝Cは、正確に規定された長さでアンダワインディング糸を問題なく巻き取ることができる。
【0065】
図9bに示すように、スピンドルが停止すると、遠心要素29が角度のある面181に対して及ぼす力は減少する。バネ要素131が締め付けスリーブ2’’を締め付け位置Aに変位させ、磁石21’が必要な締め付け力を提供する。コップの交換を行うことができる。コップおよび締め付け開溝C間の糸は裂断または切断される。
【0066】
新しいコップ上に紡糸工程が開始されるとすぐに、スピンドルの速度が増大する。遠心要素29が角度のある面181に対して押し出されて、締め付けスリーブ2’’を、バネ131の作用方向に対抗して下向きに開位置Bに押し込む。締め付けスリーブ2’’は、スピンドル速度の低下を伴って開始される次のコップ交換が始まるまでこの位置に留まる。残余糸くずを開位置の締め付け開溝Cから排棄して除去するに十分な時間が残されている。
【0067】
図10aおよび10bの装置は、ボール134を遠心要素として用いる実施形態を示す。このボール134は、スピンドル1のカラー13’に設けられた、半径方向に外向きにかつ上向きの内腔135内にガイドされる。
【0068】
締め付けスリーブ2’’’は、スピンドル上のカラー13’のこの部分に重なり合い、その内側に内向きかつ下向きの環状の円錐面20を形成する。締め付けスリーブ2’’’の上部は、スピンドル上に確実方式でガイドされ、開位置Bと締め付け位置Aとの間で軸方向に自由に動くことができる。締め付けスリーブ2’’’のこの領域に、スピンドルの締め付けリング12と協働する磁石21’が装備される。
【0069】
圧力バネ132は、その底面がスピンドルのカラー13’上に、その上面が締め付けスリーブ2’’’に支持される。このバネは、締め付けスリーブ2’を締め付け位置Aまで押し上げ得るように設計される。アンダワインディングされた糸に対する必要な締め付け力は、主として磁石21’によって供給される。
【0070】
図10aは、締め付け位置Aにある装置を示す。スピンドルが静止している間およびスピンドル速度が比較的低い場合(5000/分以下)には、遠心要素として機能するボール134は、締め付け開溝Cを開く能力を有しない、すなわち、磁石21’がもたらす引力および圧力バネ132の力に打ち勝つことができない。紡糸工程の間の約5000/分を超える速度においては、ボール134は、締め付けスリーブ2’’’の固有重量に補助されて、最初に磁石21’の引力に打ち勝つことによって、そして、かなり小型のバネ132の作用に対抗して、下方に動くことができる。締め付け開溝Cが開き、締め付けスリーブ2’’’は、図10bに示すように開位置Bを占める。
【0071】
ボビン5の完成後に、リングレール3がアンダワインディング位置に下げられ、スピンドル1の速度が約2000/分に落とされる。この近傍の低速度においても、ボール134の遠心力は、圧力バネ132の弱い力に安全に打ち勝ち、締め付け開溝Cを確実に開位置に保持できる。この速度において、アンダワインディング糸を360°未満に制限する形で生成できる。
【0072】
この低速度において、スピンドルの速度とドラフト部の給糸速度とを、妥当な時間内にほぼ同期してさらにゼロに低下させることも可能である。しかも、これを、アンダワインディング糸を過大な程度に増大させることなく行うことができる。
【0073】
ボール134の遠心力の低下によって、バネ132が、締め付けスリーブ2’’’を再度締め付け位置Aに導くことができる。締め付け開溝が閉じている時に、磁石21’が、間違いのないコップ交換に必要な締め付け力の大部分を発生させる。
【0074】
磁石21’は例えば次のように構成するべきである。すなわち、締め付け開溝Cがほとんど閉じた場合に、磁石21’が付与する保持力が、開位置Bおよび締め付け位置Aの間のバネ要素132の付勢圧力の差よりも高くなるようにするべきである。
【0075】
図11は、図10aおよび10bの原理に基づく締め付け装置の構成を、図1と同様の図で示す。
【0076】
バネ132の代わりに、単一のバネ132’が、締め付けスリーブ2’’’’を締め付け位置Aに動かす機能を果たす。締め付けスリーブ2’’’’と、カラー13’、ボール形状の遠心要素134、リング状の表面20およびバネ132’’から構成される隠れた作動要素との簡素な構造形態を明瞭に見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】リングレールに関連するスピンドルの中央部分の断面図である。
【図2】連続する6段階a)〜f)のコップ形成サイクルの間における、リングレールによって制御される締め付けスリーブの作動を示す。
【図3】ボール形状の作動要素を備える実施形態である。
【図4】締め付けスリーブ上の半径方向に突き出る手段が、弾性的に支持されるボールから構成される実施形態である。
【図5】半径方向に弾力を有する板バネが締め付けスリーブ上に装着される実施形態である。
【図6】図3を上部から見た概略的な平面図である。
【図7】作動要素が合成材料のスリーブから構成され、その母線が自由な下端からスリット加工されている変形態様である。
【図8a】締め付けスリーブに、止り位置に固定するための機械的要素が対応配置される変形態様の1つの位置(アンダワインディング)を示す。
【図8b】図8aと同じ図で別の位置(締め付け)を示す。
【図8c】図8aと同じ図でさらに別の位置(紡糸)を示す。
【図9a】作動要素がスピンドルと共に回転する遠心要素である本発明の別案の1つの位置を示す。
【図9b】図9aと同じ図で別の位置を示す。
【図9c】図9aと同じ図でさらに別の位置を示す。
【図10a】遠心要素がボール形状のものでスピンドルのカラーの部品上にガイドされる変形態様の1つの位置を示す。
【図10b】図10aと同じ図で別の位置を示す。
【図11】成功裏にテストされた図10aおよび図10bの原理による締め付け装置を図1に基づく図で示す。
【符号の説明】
【0078】
1 スピンドル
10 スピンドル軸
11 アンダワインディングクラウン
12 締め付けリング
13、13’、13’’ カラー
131 バネ要素
132,132’ バネ/バネ要素
134 ボール/遠心要素
135 ボールガイド
14 ワーブ
15 アンダワインディング領域
16 軸
17 バネ式押しボタン
171 ボール
172 バネ
18 作動ブッシュ
181 角度のある面
2、2’、2’’、2’’’、2’’’’ 締め付けスリーブ
20 環状面、円錐状
21、21’ 磁石
22 半径方向に突き出る手段
221、221’ カラー
222 ボール
2221 角度のある面
2222 角度のある面
23 環状バネ
24 内腔
25 溝
251 板バネ
2511 角度のある面
2512 角度のある面
2513 頂点
26 Oリング
261 包囲輪
27 固定溝(開位置)
28 固定溝(締め付け位置)
29 遠心要素
3 リングレール
31 紡糸リング
32 トラベラ
4 作動装置
40、40’ 保持リング
41 作動要素
41’ 作動要素、スリーブ
411 バネ
412、412’ 角度のある面
413、413’ 角度のある面
414 頂点
42 作動要素
421 穿孔
422 ボール
423 環状バネ
43、43’ 作動要素
431、431’ カラー、内側
5 コップ
51 管
52 第1層
6 糸
61 アンダワインディング
A 締め付け位置
B 開位置
C 締め付け開溝
N 北極
S 南極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル(1)上のアンダワインディング糸用の糸締め付け装置であって、
アンダワインディングクラウン(11)の下部の前記スピンドル(1)上に、締め付けリング(12)とその下に一定の距離をおいて半径方向に張り出すカラー(13)とが設けられ、
前記締め付けリング(12)と前記カラー(13)との間の間隔において、軸方向に変位可能な締め付けスリーブ(2)が前記スピンドル(1)上に配置され、
前記締め付けスリーブ(2)は、締め付け用の開溝(C)を開閉するために、作動装置(4)によって、前記締め付けリング(12)に当接することによって画定される締め付け位置(A)と、前記カラー(13)に当接することによって画定される開位置(B)との間に変位させることが可能であり、
前記締め付けスリーブ(2)には、前記作動装置(4)の作動要素を操作するための半径方向に突き出る手段(22)と、前記締め付けスリーブ(2)の位置を少なくとも前記締め付け位置(A)に固定しかつ締め付け力を加える要素(21;17)とが装備され、
前記作動要素(41、42、43、43’;29;134)と前記締め付けスリーブ(2)上の前記半径方向に突き出る手段(22)とは、前記スピンドルの軸(10)に対して半径方向において、角度のある面を介して互いに接触するように弾性的に保持され、
かつ、
前記締め付けスリーブ(2、2’、2’’、2’’’、2’’’’)に対する前記作動要素(41、42、43、43’)の作用方向を、前記精紡機のプログラムに応じて、RPMの増大と共に前記開位置(B)にすることができ、RPMが減少すると前記締め付け位置(A)にすることができるように切り換えることが可能である、糸締め付け装置。
【請求項2】
前記作動要素がリングレール(3)上に配置され、
前記締め付けスリーブ(2;2’)上の前記半径方向に突き出る手段(22;222;251)および/または前記作動要素(411;422;411;41)が、半径方向に有効な角度のある面(2221、2222;2511,2512;412、413;412’、413’;181;20)を、関係する2つの動きの方向において有すること、および
前記締め付け用の開溝(C)を閉じるための前記リングレール(3)の有効な動きが、前記締め付け開溝(C)の最大幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各スピンドル(1)の前記作動要素(41、42、43、43’)が、前記リングレール(3)の下面の前記スピンドルの軸(10)の回りに配置される半径方向に可動の弾力のある作動要素(41;42)であって、前記締め付けスリーブ(2)の前記半径方向に突き出る手段(22)と弾性的に協働する作動要素(41;42)の群から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記角度のある面(412、411;412’、413’)が前記作動要素(41;41’;422)の一部分であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
リング精紡機またはリング撚糸機のスピンドル(1)上のアンダワインディング糸用の糸締め付け装置であって、
アンダワインディングクラウン(11)の下部の前記スピンドル(1)上に、締め付けリング(12)とその下に一定の距離をおいて半径方向に張り出すカラー(13)とが設けられ、
前記締め付けリング(12)と前記カラー(13)との間の間隔において、軸方向に変位可能な締め付けスリーブ(2)が前記スピンドル(1)上に配置され、
前記締め付けスリーブ(2)は、締め付け用の開溝(C)を開閉するために、作動装置(4)によって、前記締め付けリング(12)に当接することによって画定される締め付け位置(A)と、前記カラー(13)に当接することによって画定される開位置(B)との間に変位させることが可能であり、
前記締め付けスリーブ(2)には、前記作動装置(4)の作動要素と係合するための半径方向に延び出る手段(22)と、前記締め付けスリーブ(2)の位置を少なくとも前記締め付け位置(A)に固定しかつ締め付け力を加える要素(21;17)とが装備される、糸締め付け装置において、
前記作動装置が前記スピンドル(1)上に配置されること、および、前記作動要素が遠心要素(29;134)から構成され、前記遠心要素(29;134)は、
前記スピンドルの軸(10)に対して半径方向に向けられるガイド内を摺動すると共に、前記スピンドル(1)の回転に伴って回転し、
前記スピンドル(1)上もしくは前記締め付けスリーブ(2)上の角度のある面または環状の円錐面(181;20)と協働し、
かつ、
一方が前記スピンドル(1)のカラー(13;13’)によって支持されもう一方が前記締め付けスリーブ(2’’;2’’’;2’’’’)を前記締め付け位置(A)に押し付けるバネ要素(131;132;132’)に対抗して作用することを特徴とする糸締め付け装置。
【請求項6】
前記遠心要素(29)のガイドが前記締め付けスリーブ(2’’)に設けられること、および、前記角度のある面または環状の円錐面(181)が前記スピンドル(1)のカラー(18)に設けられることを特徴とする請求項5に記載の糸締め付け装置。
【請求項7】
前記遠心要素(134)のガイドが前記スピンドル(1)のカラー(13’)に設けられること、および、前記角度のある面または環状の円錐面(20)が前記締め付けスリーブ(2’’’;2’’’’)に設けられることを特徴とする請求項5に記載の糸締め付け装置。
【請求項8】
前記締め付けスリーブ(2)を固定しかつ締め付け力を加える要素が、前記締め付けスリーブ(2)内に組み込まれる永久磁石(21)であることを特徴とする請求項1または5に記載の装置。
【請求項9】
前記締め付け位置(A)において前記締め付けスリーブ(2)の位置を固定しかつ締め付け力を加える要素、あるいは、前記締め付けスリーブ(2)の位置を前記開位置(B)に固定する要素が、前記締め付けスリーブ(2’)の内面の複数の固定溝と協働する前記スピンドル(1)の軸内の半径方向に作用するバネ式押しボタン(17)によって形成され、この場合、前記複数の固定溝は、開かれた前記締め付け開溝(C)の幅に高々等しい軸方向の相互間隔を有することを特徴とする請求項1または5に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−517558(P2009−517558A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542683(P2008−542683)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011841
【国際公開番号】WO2007/065703
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508161791)
【Fターム(参考)】