説明

リン脂質およびコレステロールを含む眼用薬物送達システム

眼における薬物の寿命を延長するための、リン脂質およびコレステロールを含む、眼の薬物送達システム。本発明の1つの局面は、治療薬(例えばタンパク質、核酸、または低分子)ならびにリン脂質およびコレステロールを含む送達ビヒクルを含む薬物送達システムに関連する。その送達ビヒクル(例えば凍結乾燥形態)中のコレステロールのモルパーセントは、5〜40%(例えば10〜33%または20〜25%)であり得る。その送達ビヒクルおよび治療薬は、混合され得るか、または別個であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年8月10日に出願された米国出願第12/538,435号の優先権を主張する。この出願の内容は、その全体が本明細書において参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
眼は、遅い血液循環を有する囲まれた臓器であるので、ほとんどの治療薬は、全身的に投与された場合に有効な量でそこに到達できない。
【0003】
この問題を解決するために、治療薬の眼への送達、特に眼の後部(例えば網膜および脈絡膜)への送達のために硝子体内注射が採用されてきた。治療薬は、典型的には眼内に限られた期間しか留まらないので、意図する治療的効果を達成するために、繰り返し硝子体内注射が必要である。しかし、この侵襲的なアプローチを用いた頻繁な投与は非常に望ましくない。
【0004】
治療において必要な硝子体内注射の回数を抑制するために、眼内における治療薬の寿命を延長する薬物送達システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、リン脂質およびコレステロールを含む薬物送達システムは眼におけるアバスチン(血管内皮増殖因子に特異的な抗体)の寿命を有意に延長するという、予期しない発見に基づく。
【0006】
よって、本発明の1つの局面は、治療薬(例えばタンパク質、核酸、または低分子)ならびにリン脂質およびコレステロールを含む送達ビヒクルを含む薬物送達システムに関連する。その送達ビヒクル(例えば凍結乾燥形態)中のコレステロールのモルパーセントは、5〜40%(例えば10〜33%または20〜25%)であり得る。その送達ビヒクルおよび治療薬は、混合され得るか、または別個であり得る。
【0007】
本発明の薬物送達システムにおいて、治療薬の50〜90%が非結合形態(non−associated form)であり、そして合わせたリン脂質およびコレステロール 対 治療薬の重量比は5〜80対1である。1つの例において、その治療薬は、血管内皮増殖因子(VEGF)に対する抗体であり、そしてその抗体の60〜90%は非結合形態であり、そして合わせたリン脂質およびコレステロール 対 抗体の重量比は5〜40対1である。別の例において、その治療薬は抗炎症性分子(例えばコルチコステロイド)である。
【0008】
本明細書中で記載された送達ビヒクル中のリン脂質は、2つのリン脂質の混合物であり得る。例えば、そのリン脂質は、ポリエチレングリコールジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DSPE)またはジオレオイルホスファチジルグリセロール(diolelphosphatidylglycerol)(DOPG)のいずれかと混合した、2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(POPC)、ダイズホスファチジルコリン(SPC)、または卵ホスファチジルコリン(EPC(egg phosphatidylcholine))の1つであり得る。リン脂質がDOPCおよびDOPGの混合物である場合、前者のモルパーセントは29.5〜90%(例えば50〜80%)であり得、そして後者のモルパーセントは3〜37.5%(例えば3〜18.75%)であり得る。1つの実施例において、その送達ビヒクルは、DOPC、DOPG、およびコレステロールを、56.25〜72.5:7.5〜18.75:20〜25のモルパーセント比で含む。
【0009】
本発明の別の局面は、被験体の眼に治療薬を送達する方法に関連する。この方法は、(i)水性懸濁液形態であり得る、上記で記載した薬物送達システムを提供すること、および(ii)例えば硝子体内注射によって、それを必要な被験体の眼に投与することを含む。その送達システムを、リン脂質、コレステロール、および1つまたはそれより多くの治療薬を混合して混合物を形成すること;その混合物を凍結乾燥すること;および投与の前にその混合物を水性溶液に懸濁させて水性懸濁液を形成することによって調製し得る。あるいは、リン脂質およびコレステロールを混合して混合物を形成すること;その混合物を凍結乾燥すること;および投与の前に、その混合物を1つまたはそれより多くの治療薬と共に水性溶液に懸濁させて水性懸濁液を形成することによってその送達システムを調製する。
【0010】
治療薬を眼に送達すること、および眼疾患を治療するための医薬を製造することにおいて、上記で記載された送達ビヒクルを使用することも、本発明の範囲内である。
【0011】
本発明の1つまたはそれより多くの実施態様の詳細を、下記の説明で述べる。本発明の他の特徴または利点が、以下の図面およびいくつかの実施態様の詳細な説明から、および添付の特許請求の範囲からも明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
まず図面を説明する。
【図1】図1は、硝子体内注射後7、21、28、35、41、および49日目における、硝子体内アバスチン濃度を示すグラフである。TLC送達ビヒクルは、DOPC/コレステロール/DOPGを、67.5/25/7.5の比で含む送達ビヒクルを指す。「」および「**」は、それぞれ1個および2個のウサギの眼を調べた時点を指す。他の時点では4個のウサギの眼を調べた。
【図2】図2は、硝子体内注射後7、28、49、70、91、および112日目における、硝子体内アバスチン濃度を示すグラフである。TLC送達ビヒクルは、DOPC/コレステロール/DOPGを、67.5/25/7.5の比で含む送達ビヒクルを指す。「**」および「***」は、それぞれ2個および3個のウサギの眼を調べた時点を指す。他の時点では4個のウサギの眼を調べた。
【図3】図3は、硝子体内注射後2時間、1日、4日、8日、15日、および35日目における、硝子体内デキサメタゾンリン酸ナトリウム(DSP)濃度を示すグラフである。TLC送達ビヒクルは、DOPC/コレステロール/DOPGを、67.5/25/7.5の比で含む送達ビヒクルを指す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
少なくとも1つの治療薬の眼への投与のための有利な薬物送達システムが本明細書中で記載され、それは送達時に眼内で、特に硝子体内で延長された寿命を示す。
【0014】
送達ビヒクル
本明細書中で記載されるこの薬物送達システムは、リン脂質およびコレステロールを含む送達ビヒクルを含む。そのリン脂質は、リン脂質、好ましくは中性リン脂質の同族の集団、または異なる型のリン脂質の混合物であり得る。送達ビヒクルを作製するためのリン脂質の例は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、卵ホスファチジルエタノールアミン(EPE)、卵ホスファチジルセリン(EPS)、卵ホスファチジン酸(EPA)、卵ホスファチジルイノシトール(EPI)、ダイズホスファチジルコリン(SPC)、ダイズホスファチジルグリセロール(SPG)、ダイズホスファチジルエタノールアミン(SPE)、ダイズホスファチジルセリン(SPS)、ダイズホスファチジン酸(SPA)、ダイズホスファチジルイノシトール(SPI)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(diolelphosphatidylglycerol)(DOPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ヘキサデシルホスホコリン(HEPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(dioleylphosphatidylethanolamine)(DOPE)、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、パルミトイルステアロイルホスファチジルグリセロール(PSPG)、モノオレオイルホスファチジルエタノールアミン(MOPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(POPC)、ポリエチレングリコールジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルセリン(DOPS)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(DOPA)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルイノシトール(DOPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、およびそれらの混合物を含むがこれに限らない。
【0015】
1つの実施例において、その送達ビヒクルは脂肪酸(すなわち長い分枝の無い脂肪族尾部)、カチオン性脂質(すなわち生理学的pHにおいて正味の正電荷を有する脂質);および粘膜付着性ポリマー(例えばカルボポール934P、ポリオキサマー(polyaxomer)、カルボマー、および植物レクチン)を含まない。
【0016】
その送達ビヒクルを、製薬業界において公知の方法によって調製し得る。以下に例を示す。リン脂質、コレステロール、およびもしあるなら他の成分を、蒸留水または水溶液に懸濁させて、懸濁液を形成する。次いでその懸濁液を従来の方法、例えば超音波処理、振とう、または押出し(extrusion)によって均質化する。滅菌した後、その均質化ビヒクル懸濁液を、容器中に無菌的に入れ、そして次いで凍結乾燥して粉末を形成し得る。
【0017】
治療薬
眼疾患を治療するためのあらゆる治療薬(例えば低分子、タンパク質、ペプチド、または核酸)は、上記で記載した送達ビヒクルと混合され得、そして被験体の眼に投与され得る。1つの例において、その治療薬は、コルチコステロイド化合物のような、抗炎症性薬物である。「コルチコステロイド化合物」と言う用語は、天然に存在するステロイドホルモン(グルココルチコイドを含む)およびその誘導体を指し、それは好ましくは水溶性である。コルチコステロイドの例は、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、チキソコルトールピバレート、フルオシノロン(flucinolone)、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン−17−ブチレート、ヒドロコルチゾン−17−バレレート、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(aclometasone)、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン−17−ブチレート、クロベタゾール−17−プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、フルオコルトロンピバレート、および酢酸フルプレドニデンを含むがこれに限らない。別の例において、その治療薬は、VEGFのアンタゴニストであり、それはVEGFに対して特異的な抗体、可溶性VEGF受容体、VEGFに結合する核酸、またはVEGFおよびその同族受容体の間の相互作用に干渉し、そしてVEGFシグナル伝達経路を阻害する低分子であり得る。本明細書中で使用される「抗体」という用語は、天然に存在する免疫グロブリン、Fab、Fab’、F(ab)またはF(ab’)のようなその機能的断片、またはヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、および1本鎖抗体のような、遺伝的に修飾された免疫グロブリンを指す。
【0018】
薬物送達システム
本発明の薬物送達システムは、上記で記載した送達ビヒクルおよびこれも上記で記載した1つまたはそれより多くの治療薬を含む。それは、ビヒクル−薬物混合物を凍結乾燥形態で含み得る。1つの例において、その混合物を、ビヒクルの全ての成分を水または水溶液中に懸濁させて懸濁液を形成すること、その懸濁液を均質化すること、均質化した懸濁液を1つまたはそれより多くの治療薬と混合して混合物を形成すること、および最後にその混合物を凍結乾燥することによって調製する。別の例において、その混合物を、ビヒクルの全ての成分および1つまたはそれより多くの治療薬を、水または水溶液に懸濁させて懸濁液を形成し、そして次いでその懸濁液を凍結乾燥して凍結乾燥混合物を形成することによって調製する。凍結保護物質(例えばマンニトール、ショ糖、トレハロース、およびラクトース)を、凍結乾燥の間にそのビヒクル−薬物懸濁液に加え得る。マンニトールを使用する場合、好ましい濃度範囲は0.5〜5%(例えば0.5〜2%または1%)である。投与の前に、その凍結乾燥したビヒクル−薬物混合物を水溶液に再懸濁させ、それを次いで被験体の眼に送達し得る。
【0019】
この薬物送達システムにおいて、治療薬の50〜90%が非結合形態である。「非結合形態の治療薬」という用語は、ゲルろ過によって、送達システムのリン脂質/コレステロール画分から分離可能な治療分子を指す。非結合治療薬のパーセンテージを、下記の実施例7で記載した方法に従って決定する。
【0020】
任意で、本発明の薬物送達システムは、さらに薬学的に許容可能な担体、すなわちシステム中の治療薬と適合性であり、そして好ましくは治療薬を安定化し得、そして治療される被験体に有害ではない担体を含み得る。
【0021】
上記で記載した薬物送達システムは、眼疾患を治療するために、例えば硝子体内注射によって、被験体の眼に投与され得る。
【0022】
さらなる労作なしに、当業者は上記の記載に基づいて、本発明を最も完全な程度まで利用し得ると考えられる。従って、以下の特定の実施態様は、いかなる意味においても開示の残りの制限ではなく、単なる説明として解釈される。本明細書中で引用される全ての刊行物は、参照として組み込まれる。
【実施例】
【0023】
実施例1:眼における薬物送達のためのリン脂質−コレステロール含有組成物の調製
リン脂質DOPCおよびDOPGを、コレステロールと様々なモル比で(すなわち67.5:7.5:25、72:8:20、および56.25:18.75:25)、混合して脂質混合物を形成した。その混合物をクロロホルム中に懸濁させ、そして回転式エバポレータで、減圧下で乾燥した。乾燥混合物をそれぞれ脱イオン化HOに再懸濁させ、カップホーンソニケーター(Misonix Sonicator 3000)によって均質化し、そして次いで滅菌フィルターを用いて滅菌した。滅菌脂質混合物を、バイアルに無菌的に充填し、1%マンニトールと混合し、そして次いで凍結乾燥した。凍結乾燥混合物のそれぞれにおけるリン脂質の全濃度を、リンアッセイによって決定した。眼への送達の前に、上記で述べた適当な量の脂質混合物を、適当な量のアバスチンと混合し、そして水溶液に懸濁させて水性懸濁液を形成した。
【0024】
実施例2:アバスチンを眼へ送達するためのDOPC/PEG−DSPE/コレステロール含有送達ビヒクルの使用
様々なモル比でDOPC、PEG−DSPE、およびコレステロールを含む送達ビヒクルを、上記の実施例1で記載した方法に従って調製した。これらの送達ビヒクルをそれぞれ、適当な量のアバスチンと混合して水性懸濁液を形成した。
【0025】
眼におけるアバスチンの寿命の延長における、上記で述べた送達ビヒクルの効果を、Bakriら、Ophthalmology、2007、114:5、855〜859において記載された方法に従って調べた。簡単には、New Zealand Whiteウサギを、Zoletil(15mg/ml)およびRompun(7mg/ml)を含む混合物の筋肉内注射によって鎮静させた。各ウサギの両方の眼に、50μlのアバスチン(25mg/ml)または上記で述べた水性懸濁液の1つ(眼あたり1.25mgのアバスチン投与量で)を、30ゲージの針を用いて硝子体内注射した。注射後7日目または21日目にウサギを屠殺し、そしてその眼をすぐに摘出した。硝子体液を、網膜と共に各眼から単離し、そしてアバスチン濃度を以下のようにELISAによって決定した。
【0026】
F96 MaxiSorpTM NUNC−IMMUNOプレートを、VEGF(PBS中10μg/ml、pH7.4;100μl/ウェル)で、4℃で一晩コーティングした。VEGFコーティングプレートを、PBSで洗浄し、そして次いで室温で1時間、ブロッキングバッファー(PBS中5%脱脂乳)でブロックした。上記で述べた硝子体液/網膜サンプルを、同じブロッキングバッファー中で希釈し、そして生じた希釈液をVEGFコーティングプレートに100μl/ウェルで加えた。室温で1時間インキュベートした後、そのプレートをPBS中0.1%Tween−20および0.5%脱脂乳で5回、そしてPBSでさらに5回洗浄した。次いで、ブロッキングバッファー中に希釈した、HRP標識ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch Lab.Inc.)を、プレートに加えた。室温で30分間インキュベートした後、そのプレートをよく洗浄した。次いで顕色(color development)のためにテトラメチルベンジジン含有試薬をプレートに加えた。十分な時間の後、各ウェルに50μlの2N HClを加えることによってその反応を停止した。各ウェルの450nmにおける吸光度(OD450)を、ELISAリーダーによって決定した。様々な前もって決定したアバスチン濃度(3.125〜25ng/ml)を用いて、標準アバスチン濃度/OD450曲線を確立した。その標準曲線を参照して、各サンプル中のアバスチン濃度を、そのOD450値に基づいて決定した。
【0027】
この研究から得られた結果を下記の表1に示す:
表1.硝子体内注射後7日目における、様々なモル比でDOPC/PEG−DSPE/コレステロールを含むビヒクルによって送達されたアバスチンの濃度
【0028】
【表1】

括弧内の数字は、リン脂質およびコレステロールのモルパーセントを指す。
【0029】
上記の表1に示すように、DOPC/PEG−DSPE/コレステロール含有ビヒクルと同時に送達された場合に、アバスチンは、単独で送達されたアバスチンと比較して、より長い時間眼内に留まった。その結果はまた、眼におけるアバスチンの寿命の延長において、コレステロールは送達ビヒクルの効果に必須であること、およびPEG−DSPEのモルパーセントはこの効果に影響しないことを示す。
【0030】
実施例3:眼におけるアバスチンの寿命を延長するための、様々なリン脂質を含む送達ビヒクルの使用
様々なリン脂質およびコレステロールを異なるモル比で含む送達ビヒクルを、上記の実施例1で記載した方法に従って調製した。そのビヒクルをアバスチンと混合し、そして生じた混合物をNew Zealandウサギの眼の硝子体内に注射した。注射後の7または21日目に、ウサギの眼のアバスチン濃度を、上記の実施例2で記載した方法に従って調べた。そのように得た結果を、下記の表2および3に示す:
表2.硝子体内注射後7日目における、異なるリン脂質およびコレステロールを含むビヒクルによって送達されたアバスチンの濃度
【0031】
【表2】

括弧内の数字は、リン脂質およびコレステロールのモルパーセントを指す。
表3.硝子体内注射後21日目における、コレステロールおよび異なるリン脂質を含むビヒクルによって送達されたアバスチンの濃度
【0032】
【表3】

括弧内の数字は、リン脂質およびコレステロールのモルパーセントを指す。
【0033】
実施例4:眼におけるアバスチンの寿命を延長するための、アニオン性リン脂質を含む送達ビヒクルの使用
コレステロール有りまたは無しで、DOPG、アニオン性リン脂質、PEG−DSPEまたはDOPCを含む送達ビヒクルを、上記の実施例1で記載された方法に従って調製した。これらのビヒクルをアバスチンと混合し、そして生じた混合物をNew Zealandウサギの眼の硝子体内に注射した。注射後7または21日目に、ウサギの眼におけるアバスチン濃度を、上記の実施例2で記載された方法に従って調べた。
【0034】
下記の表4に示すように、アニオン性リン脂質DOPGを含む送達ビヒクルは、DOPGを含まない送達ビヒクルと比較して、注射後7日目にアバスチン濃度の増加を引き起こした。
表4.注射後7日目における、アニオン性リン脂質を含むビヒクルによって送達されたアバスチンの硝子体内濃度
【0035】
【表4】

括弧内の数字は、リン脂質のモルパーセントを指す。
【0036】
この研究から得られた結果はまた、コレステロールおよびDOPGを含む送達ビヒクルは、注射後21日目の硝子体内アバスチン濃度を劇的に増加させたことを示す。下記の表5を参照のこと。
表5.注射後の21日目における、アニオン性リン脂質およびコレステロールを含むビヒクルによって送達されたアバスチンの硝子体内濃度
【0037】
【表5】

括弧内の数字は、リン脂質およびコレステロールのモルパーセントを指す。
【0038】
実施例5:眼におけるアバスチンの寿命を延長するための、様々なモルパーセントのコレステロール、アニオン性リン脂質を含む送達ビヒクルの使用
様々なモルパーセントのコレステロール、DOPC、およびDOPGを含む送達ビヒクルを、上記の実施例1で記載した方法に従って調製した。これらのビヒクルをアバスチンと混合し、そして生じた混合物をNew Zealandウサギの眼の硝子体内に注射した。注射後21日目に、ウサギの眼におけるアバスチン濃度を、上記の実施例2で記載した方法に従って調べた。この研究から得られた結果を、下記の表6に示す:
表6.注射後21日目における、コレステロールを含むビヒクルによって送達されたアバスチンの硝子体内濃度
【0039】
【表6】

括弧内の数字は、リン脂質およびコレステロールのモルパーセントを指す。
【0040】
実施例6:リン脂質およびコレステロールを含むビヒクルによって硝子体内に送達されたアバスチンの薬物動態学的性質
アバスチン単独(コントロールウサギ)またはDOPC/コレステロール/DOPGを67.5/25/7.5の比で含む送達ビヒクルと混合したアバスチン(テストウサギ)のいずれかをウサギの硝子体内に注射した。コントロールウサギの硝子体内アバスチン濃度を、注射後7、21、および28日目にELISAによって調べ、そしてテストウサギのものを注射後7、21、28、35、41、および49日目に調べた。
【0041】
単独で注射されたアバスチンの硝子体内濃度は、送達ビヒクルと共に注射されたアバスチンのものより、時間につれて急速に減少した。図1を参照のこと。この結果は、その送達ビヒクルが眼におけるアバスチンの寿命を延長することを示す。
【0042】
同様の研究において、硝子体内アバスチン濃度を、硝子体内注射後7、28、49、70、91、および112日目にモニターした。コントロールウサギに関して、硝子体内アバスチン濃度は、注射後28日目に13μg/mlであり、一方テストウサギに関して、同じ時点の硝子体内アバスチン濃度は265μg/mlであり、コントロールウサギのものより20倍高かった。図2を参照のこと。コントロールウサギの硝子体内アバスチンの半減期は3.9日である。それと異なり、テストウサギにおける硝子体内アバスチンの半減期は、2区画の特徴を示し、初期および末期の半減期はそれぞれ5.5(t1/2α)および40.5(t1/2β)日である。テストウサギにおける7日目から無限大までのアバスチンのAUC(すなわち曲線下面積)(AUC(7−∞))は、コントロールウサギのものより6.8倍高く、そしてテストウサギにおけるアバスチンのAUC(112−∞)は、コントロールウサギにおけるアバスチンのAUC(7−∞)よりも1.1倍高い。下記の表7を参照のこと。
表7.硝子体内アバスチンの薬物動態学的性質
【0043】
【表7】

まとめると、上記で議論した結果は、その送達ビヒクルは眼におけるアバスチンの寿命を有意に延長したことを示す。
【0044】
実施例7:様々な治療薬を送達するための組成物の調製
8.8/1/1.6の重量比で、DOPC、DOPG、およびコレステロールを、クロロホルムに溶解し、それを次いで回転式エバポレータを用いて減圧下で蒸発させた。そのように生成したリン脂質およびコレステロールの乾燥混合物を、脱イオン水に懸濁させて水性懸濁液を形成した。その懸濁液を次いでカップホーンソニケーター(Misonix Sonicator 3000)を用いて超音波処理によって均質化し、ろ過によって滅菌し、バイアルに無菌的に充填し、そして凍結乾燥してリン脂質−コレステロール含有送達ビヒクルを形成する。ビヒクルにおけるリン脂質濃度を、従来のリンアッセイによって決定して、そのビヒクルが適当な全量のリン脂質を含むことを確認した。
【0045】
その送達ビヒクルを次いで、様々な治療薬、すなわち、トリプトファン(10mg/ml)、チロシン(10.4mg/ml)、HFRRHLCペプチド(10mg/ml)、HWRGWVCペプチド(10mg/ml)、プロテインW(13mg/ml)、ウシ血清アルブミン(50mg/ml)、アバスチン(25mg/ml)およびリン酸デキサメタゾンナトリウム(6.7mg/ml)と混合し、全て50mMのリン酸バッファー、pH6.2に溶解した。そのように形成した混合物を、同じリン酸バッファー中で18〜100倍に希釈し、そして各混合物のアリコート(50〜200ml)を、ゲルろ過にかけて、非結合形態である治療薬のパーセンテージを決定した。簡単には、混合物のアリコートを、Sepharose4Bカラム(直径:1.8mm;長さ:315mm)に充填した。次いで混合物中の成分を、50mMリン酸バッファー(pH6.2)で溶出した。異なる形態、すなわち非結合形態またはリン脂質と結合した形態の治療薬を含む画分を回収し、その吸光度を215nmおよび254nmで測定した。各画分におけるその治療薬の量を、OD215およびOD254の値に基づいて決定した。これらの値に基づいて、非結合治療薬のパーセンテージおよび脂質 対 薬物の重量比を決定し、そして下記の表8において示した。
表8.非結合薬物のパーセンテージおよび脂質 対 薬物の重量比
【0046】
【表8】

実施例8:リン脂質およびコレステロールを含むビヒクルによって硝子体に送達されたデキサメタゾンリン酸ナトリウムの薬物動態学的性質
デキサメタゾンリン酸ナトリウム(DSP)単独(コントロールウサギ)またはDOPC/コレステロール/DOPGを67.5/25/7.5の比で含む送達ビヒクルと混合したDSP(テストウサギ)のいずれかをウサギの硝子体内に注射した。各ウサギの両方の眼に、50μlのDSPまたはDSP−送達ビヒクル混合物を、0.2mgのDSP投与量で、硝子体内に注射した。コントロールウサギの硝子体内DSP濃度を、光ダイオードアレイ(PDA)検出器を有する超高速液体クロマトグラフィー(ACQUITY UPLCTM)によって、注射後2時間、1日、4日、8日、および15日目に調べ、そしてテストウサギのものを、注射後2時間、1日、4日、8日、15日、および35日目に調べた。各時点で2つの眼を調べた。
【0047】
図3に示すように、単独で注射されたDSPの硝子体内濃度は、注射後急速に減少した;対照的に、送達ビヒクルと共に注射されたDSPは、有意なレベルが注射後35日目にも観察された。この結果は、その送達ビヒクルは眼においてDSPの寿命を延長することを示す。
【0048】
他の実施態様
本明細書中で開示された全ての特徴を、あらゆる組み合わせで組み合わせ得る。本明細書中で開示された各特徴を、同じ、等価な、または同様の目的に役立つ代替の特徴によって置き換え得る。従って、他に明確に述べなければ、開示された各特徴は、一般的な一連の等価なまたは同様の特徴の単なる例である。
【0049】
上記の説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認し得、そしてその意図および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に適合させるために本発明の様々な変更および改変を行い得る。従って、他の実施態様も請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達システムであって、
リン脂質およびコレステロールを含む送達ビヒクルと、
治療薬とを含み、
該治療薬の50〜90%が非結合形態であり、そして合わせたリン脂質およびコレステロール 対 該治療薬の重量比は5〜80対1である、
薬物送達システム。
【請求項2】
前記送達ビヒクル中のコレステロールのモルパーセントは、5%〜40%である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
前記送達ビヒクル中のコレステロールのモルパーセントは、20%〜25%である、請求項2に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、卵ホスファチジルエタノールアミン(EPE)、卵ホスファチジルセリン(EPS)、卵ホスファチジン酸(EPA)、卵ホスファチジルイノシトール(EPI)、ダイズホスファチジルコリン(SPC)、ダイズホスファチジルグリセロール(SPG)、ダイズホスファチジルエタノールアミン(SPE)、ダイズホスファチジルセリン(SPS)、ダイズホスファチジン酸(SPA)、ダイズホスファチジルイノシトール(SPI)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ヘキサデシルホスホコリン(HEPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC),ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、パルミトイルステアロイルホスファチジルグリセロール(PSPG)、モノオレオイルホスファチジルエタノールアミン(MOPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(POPC)、ポリエチレングリコールジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルセリン(DOPS)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(DOPA)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルイノシトール(DOPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
前記リン脂質は、第一のリン脂質と第二のリン脂質との混合物であり、該第一のリン脂質は、DOPC、POPC、SPC、またはEPCであり、そして該第二のリン脂質は、PEG−DSPE、またはDOPGである、請求項4に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
前記第一のリン脂質は、DOPCであり、そして前記第二のリン脂質は、DOPGである、請求項5に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
前記送達ビヒクル中のDOPCのモルパーセントは、29.5%〜90%であり、そしてDOPGのモルパーセントは、3%〜37.5%である、請求項6に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
DOPC:DOPG:コレステロールの比は、モルパーセント基準で、56.25〜72.5:7.5〜18.75:20〜25である、請求項6に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
前記治療薬は、タンパク質、核酸、または低分子である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
前記治療薬は、血管内皮増殖因子に特異的な抗体である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
前記治療薬は、血管内皮増殖因子に特異的な抗体である、請求項8に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
前記抗体の60〜90%は非結合形態であり、そして合わせた前記リン脂質およびコレステロール 対 該抗体の重量比は5〜40対1である、請求項11に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
前記治療薬は抗炎症性分子である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項14】
前記抗炎症性分子は、コルチコステロイドである、請求項13に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
前記コルチコステロイドは、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルオシノロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、およびベタメタゾンからなる群より選択される、請求項14に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
前記送達ビヒクルおよび前記治療薬は、混合されており、凍結乾燥形態である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項17】
前記送達ビヒクルおよび前記治療薬は、別個である、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項18】
前記送達ビヒクルは、凍結乾燥形態である、請求項17に記載の薬物送達システム。
【請求項19】
被験体の眼に治療薬を送達する方法であって、該方法は、治療薬と、リン脂質およびコレステロールを含む送達ビヒクルとを含む組成物を提供すること、ならびに
必要な被験体の眼に該組成物を投与することを含み、
該治療薬の50〜90%が非結合形態であり、そして合わせた該リン脂質およびコレステロール 対 該治療薬の重量比は5〜80対1である、
方法。
【請求項20】
前記送達ビヒクル中のコレステロールのモルパーセントは、5%〜40%である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記送達ビヒクル中のコレステロールのモルパーセントは、20%〜25%である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、卵ホスファチジルエタノールアミン(EPE)、卵ホスファチジルセリン(EPS)、卵ホスファチジン酸(EPA)、卵ホスファチジルイノシトール(EPI)、ダイズホスファチジルコリン(SPC)、ダイズホスファチジルグリセロール(SPG)、ダイズホスファチジルエタノールアミン(SPE)、ダイズホスファチジルセリン(SPS)、ダイズホスファチジン酸(SPA)、ダイズホスファチジルイノシトール(SPI)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ヘキサデシルホスホコリン(HEPC)、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC),ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、パルミトイルステアロイルホスファチジルグリセロール(PSPG)、モノオレオイルホスファチジルエタノールアミン(MOPE)、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(POPC)、ポリエチレングリコールジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルセリン(DOPS)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(DOPA)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルイノシトール(DOPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、またはそれらの混合物である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記リン脂質は、第一のリン脂質と第二のリン脂質との混合物であり、該第一のリン脂質は、DOPC、POPC、SPC、またはEPCであり、そして該第二のリン脂質は、PEG−DSPE、またはDOPGである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第一のリン脂質は、DOPCであり、そして前記第二のリン脂質は、DOPGである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記送達ビヒクル中のDOPCのモルパーセントは、29.5%〜90%であり、そしてDOPGのモルパーセントは、3%〜37.5%である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
DOPC:DOPG:コレステロールの比は、モルパーセント基準で、56.25〜72.5:7.5〜18.75:20〜25である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物は、硝子体内注射によって投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記治療薬は、タンパク質、核酸、または低分子である、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記治療薬は、血管内皮増殖因子に特異的な抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記抗体の60〜90%は非結合形態であり、そして前記リン脂質 対 該抗体の重量比は5〜40対1である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記治療薬は抗炎症性分子である、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は、前記リン脂質、前記コレステロール、および前記治療薬を混合して混合物を形成すること、該混合物を凍結乾燥すること、ならびに投与の前に該混合物を水性溶液に懸濁させて水性懸濁液を形成することによって調製される水性懸濁液である、請求項19に記載の薬物送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−501786(P2013−501786A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524705(P2012−524705)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/022487
【国際公開番号】WO2011/019410
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(507317971)タイワン リポソーム カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】