説明

リン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法

【課題】反応時間を短縮し、副生成物の生成を抑制しつつ効率よくリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】下記一般式(I)
【化1】


で表されるカルビノ−ル変性シリコーンを、求核試薬共存下、下記一般式(III)
POX (III)
で表される化合物と反応させることにより、下記一般式(IV)
【化2】


で表されるリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサン(Z=1又は2)を製造することを特徴とするリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種溶剤、特にはシリコーンオイル(ポリシロキサン)に優れた溶解性を有し、且つ塗料添加剤、離形剤、剥離剤、繊維処理剤等として各種分野で有用なリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりシリコーンの耐熱性や耐候性、離形成や潤滑性、撥水性等の特性は、電気電子、自動車、繊維、パルプを始めさまざまな分野で利用されている。
【0003】
これらの用途に対応させるため、ポリエーテル変性、カルボン酸変性、アミノ変性を始め、メルカプト変性、アルコール変性、アルキル変性及びアルコキシ変性等様々な官能基を導入した変性オルガノポリシロキサンが研究、開発されており、特にリン酸エステル変性に関しては、リン酸基に起因する優れた特性から、幅広い分野での利用が期待できる。
【0004】
このようなリン酸エステル変性オルガノポリシロキサン(リン酸エステル基含有オルガノポリシロキサン)の製造方法としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、末端不飽和基含有リン酸エステルを反応させる方法(例えば特許文献1、特許文献2)、もしくはカルビノール変性オルガノポリシロキサンとオキシハロゲン化リンを反応させる方法(例えば特許文献3、特許文献4)等が挙げられる。
【0005】
しかし、前者の方法では、スペーサーとして長鎖アルキル基又はアルコキシ基等を導入しないと付加反応が進行せず、また、後者の方法では、副生する酸の中和剤として共存させる3級アミンがオキシハロゲン化リンと反応し、ポリリン酸が副生する場合がある等、技術的に充分な方法とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2674431号
【特許文献2】特開平9−157397号公報
【特許文献3】特許第3485939号
【特許文献4】特許第2923722号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、副生成物の生成を抑制し、短時間で効率よくリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、下記一般式(I)
【化1】

(式中、bは1〜50の整数である。Rは全て同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜30のハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基、又は下記一般式(II)で表される有機基であり、
【化2】

(式中、Rは全て同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜30のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基であり、aは1〜1000の整数である。)
は炭素数1〜8の直鎖又は分岐を含むアルキレン基、Rは炭素数2〜12の直鎖又は分岐を含むアルキレン基である。)
で表されるカルビノ−ル変性シリコーンを、求核試薬共存下、下記一般式(III)
POX (III)
(式中、Xはハロゲン原子である。)
で表される化合物1モルに対して1モル以上3モル未満反応させることにより、下記一般式(IV)
【化3】

(式中、R、R、R、bは前述と同様である。Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であり、Zは1又は2である。)
で表されるリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを製造することを特徴とするリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
【0009】
このような本発明の製造方法を用いれば、所望のリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを、副生成物の生成を抑制しつつ、短時間で効率よく容易に得ることができる。
【0010】
また、前記求核試薬として、有機リチウム化合物を用いることが好ましい。
このように、カルビノール変性シリコーンとオキシハロゲン化リンを反応させる際、有機リチウム化合物を求核試薬として用いれば、有機リチウム化合物の高い反応性により、反応をより容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、副生成物の生成を抑制しつつ、反応時間も短縮でき、効率よく容易に上記のようなリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
上述のように、従来のリン酸エステル変性シリコーンの製造方法には、長時間を要したり、不要な副生成物が生成してしまうという問題があった。
【0013】
そこで、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明者は、下記一般式(I)で表されるカルビノ−ル変性シリコーンを、求核試薬共存下、下記一般式(III)で表される化合物1モルに対して1モル以上3モル未満反応させることにより、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明のリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法は、下記一般式(I)
【化4】

(式中、bは1〜50の整数である。Rは全て同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜30のハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基、又は下記一般式(II)で表される有機基であり、
【化5】

(式中、Rは全て同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜30のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基であり、aは1〜1000の整数である。)
は炭素数1〜8の直鎖又は分岐を含むアルキレン基、Rは炭素数2〜12の直鎖又は分岐を含むアルキレン基である。)
で表されるカルビノ−ル変性シリコーンを、求核試薬共存下、下記一般式(III)
POX (III)
(式中、Xはハロゲン原子である。)
で表される化合物1モルに対して1モル以上3モル未満反応させることにより、下記一般式(IV)
【化6】

(式中、R、R、R、bは前述と同様である。Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であり、Zは1又は2である。)
で表されるリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを製造することを特徴とする。
【0015】
前記一般式(I)及び(IV)において、Rで示される炭素数1〜30のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、テトラデシル、オクタデシル、ドコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の炭化水素基等が例示され、全て同一でも異なっていても良い。これらの中で炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基であれば、原料の入手が容易であるため最も好ましい。
【0016】
また、Rが前記一般式(II)で表される有機基である場合、Rは炭素数1〜30のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基で、R同様、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、テトラデシル、オクタデシル、ドコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の炭化水素基等が例示され、全て同一でも異なっていても良いが、50%以上がメチル基であることが好ましく、80%以上であればより好ましい。
また、前記一般式(I)及び(IV)における分子鎖末端のR又は(II)式における分子鎖末端のRは、炭素数1〜6のアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0017】
前記一般式(I)及び(IV)において、Rで示される炭素数1〜8の直鎖又は分岐を含むアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレンが挙げられるが、好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4、特に好ましくは炭素数3のプロピレン基である。Rで示される炭素数2〜12の直鎖又は分岐を含むアルキレン基としては、Rで示したアルキレン基の他に、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン基等が挙げられ、最も好ましいのはエチレン基である。
【0018】
前記一般式(IV)において、Rは水素原子、又は炭素数1〜20で示されるアルキル基であり、好ましいのは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基、更に好ましいのは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基、最も好ましいのは水素原子である。
【0019】
前記一般式(II)において、aは1〜1000の整数であるが、リン酸基の特性を有効に活用するためには、2〜300、特に2〜100であることが好ましい。
前記一般式(I)及び(IV)において、bは1〜50の整数であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜3である。
【0020】
前記一般式(IV)において、Zは1又は2であり、目的に応じて決定することができる。
尚、例えば前記一般式(IV)において、Z=1のとき、即ち前記一般式(IV)のRが2つ存在する場合には、Rは全て同一でも異なっていても良い。
このことは、他の一般式中のRで表される基についても同様である。
【0021】
反応に使用するカルビノール変性オルガノポリシロキサンは、公知の方法(例えば特許第3812647号、特開昭62−195389号公報等)に記載の方法を利用して製造するか、オルガノハイドロジェンポリシロキサンにアリルアルコール、2−アリルオキシエチルアルコール等を反応させても得ることができる。オルガノポリシロキサンの形状は、環状、分岐、直鎖状の何れでも良いが、反応が円滑に進むのは直鎖状であり、カルビノール変性部位が末端に位置するもの、特に片末端に位置する場合は反応率が最も良い。
【0022】
もう1つの原料である、前記一般式(III)で表される化合物、即ちオキシハロゲン化リンとしては、例えば、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、オキシヨウ化リン等が挙げられ、特に好ましいのはオキシ塩化リンである。
【0023】
本発明で用いる求核試薬とは、グリニャール試薬や有機リチウム化合物を代表とする有機金属試薬であり、特に有機リチウム化合物が好ましく、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)及び、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)等を挙げることができる。これらの中でもn−ブチルリチウムが特に好ましい。また、求核試薬は、前記一般式(I)で表されるカルビノール変性オルガノポリシロキサン1モルに対し1〜5モル、好ましくは1〜2モルである。
【0024】
原料のカルビノール変性オルガノポリシロキサンと、前記一般式(III)で表されるオキシハロゲン化リンの反応比は、通常前記一般式(III)で表されるオキシハロゲン化リン1モルに対し、前記一般式(I)で表されるカルビノール変性シリコーンを1モル以上3モル未満とすればよいが、目的化合物の変性度(Z=1、2又はその混合物)に応じて適宜決定すれば良く、例えばZ=2のときは、前記一般式(III)で表されるオキシハロゲン化リン1モルに対し、前記一般式(I)で表されるカルビノール変性シリコーンを好ましくは1.5モルを超えて3モル未満、より好ましくは1.7〜2.5モル、特に好ましくは1.8〜2.2モルであり、Z=1のときは、前記一般式(III)で表されるオキシハロゲン化リン1モルに対し、前記一般式(I)で表されるカルビノール変性シリコーンを好ましくは1モル以上1.5モル未満、より好ましくは1.0〜1.3モル、特に好ましくは1.0〜1.2モルである。
このような反応比であれば、目的とするZ=1又は2の化合物を高純度で製造することができる。
【0025】
上記反応は、有機溶剤中で行っても良い。有機溶剤としては、原料のカルビノール変性オルガノポリシロキサンとオキシハロゲン化リンの両成分及び求核試薬と相溶性があり、反応を妨げない有機溶剤であればよく、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。溶剤量は、特に限定しないが、カルビノール変性シリコーンに対して10倍量以下が好ましく、等量以下でも可能である。
【0026】
反応条件の一例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
最初に低温下(通常20℃以下)、好ましくは−80〜20℃、より好ましくは−60〜10℃、特に好ましくは−40〜5℃で、カルビノール変性オルガノポリシロキサンと求核試薬を0.1〜5時間程度反応させたあと、オキシハロゲン化リンを加えて0.5〜6時間程度反応させる。反応は、低温下で進めることが好ましいが、0〜40℃にて0.5〜10時間程度熟成させるとより好ましい。反応を終了させる方法としては、水やメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤の添加が挙げられるが、このとき発熱する場合もあるので、低温下、特に10℃以下で行うことが好ましい。
【0027】
反応終了後、水やメタノールやエタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶剤を加えて、攪拌又は振盪し分離させることで、生成した塩や副生成物を除去することができる。目的化合物が、水相と分層し難いとき、あるいは乳化してしまう場合は、解乳化性のあるアルコール系溶剤を用いると良い。また、水と混和し難い溶剤、例えばクロロホルムやトルエン、ブタノール等を加えても良い。反応終了後、又は抽出洗浄後、残存する溶剤を留去し、塩が析出した場合はそれらを濾別しても良い。
【0028】
尚、本発明の製造方法により製造されるリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンには、その特性を妨げない範囲で、それぞれの用途に応じて、色素、可塑剤、繊維、防腐剤、酸化防止剤その他相溶化剤等を混合することもできる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例等に制限されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1〜2]
(実施例1)
【0030】
下記[式2](n=18)325g(0.2mol)、テトラヒドロフラン133gを混合し‐40℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6mol/lヘキサン溶液)122ml(0.2mol)を滴下し90分反応させた後、オキシ塩化リン[式1]30.8g(0.2mol)を添加し1時間反応させた。温度を25℃まで上げてさらに2時間熟成させた後、水10gを加え反応を終了させた。メタノールで洗浄し、溶媒を留去することによって粘度54mm/s、屈折率1.4089の下記[式3](n=18)を得た。
【化7】

【0031】
得られた組成物の置換率(Z´=1、2、3)は、31P−NMRにて決定した。
ケミカルシフトは、Z´=1、2、3の順に、3.0〜2.0ppm、2.0〜0.5ppm、0.5〜−0.5ppmとなるため、その積分比より置換率を求めることができる。
[式3](n=18)の置換率は、Z´=1のものが77モル%、Z´=2のものが11モル%、Z´=3のものが0モル%であった。また、[式3](n=18)で表されない副生成物が12モル%含まれていた。
【0032】
(実施例2)
上記[式2](n=32)373g(0.14mol)、テトラヒドロフラン156gを混合し‐40℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6mol/lヘキサン溶液)84ml(0.14mol)を滴下し90分反応させた後、オキシ塩化リン[式1]10.9g(0.07mol)を添加し1時間反応させた。温度を25℃まで上げてさらに2時間熟成させた後、水10gを加え反応を終了させた。メタノールで洗浄し、溶媒を留去することによって粘度59mm/s、屈折率1.4065の上記[式3](n=32)を得た。
【0033】
得られた組成物の置換率(Z´=1、2、3)は、31P−NMRにて決定した。
[式3](n=32)の置換率は、Z´=1のものが12モル%、Z´=2のものが73モル%、Z´=3のものが6モル%であった。また、[式3](n=32)で表されない副生成物が9モル%含まれていた。
【0034】
(比較例1)
n−ブチルリチウム(1.6mol/lヘキサン溶液)122ml(0.2mol)をトリエチルアミン61.3g(0.6モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして粘度39mm/s、屈折率1.4062の上記[式3](n=18)を得た。
【0035】
得られた組成物の置換率(Z´=1、2、3)は、31P−NMRにて決定した。
[式3](n=18)の置換率は、Z´=1のものが19モル%、Z´=2のものが12モル%、Z´=3のものが0モル%であった。また、[式3](n=18)で表されない副生成物が69モル%含まれていた。
【0036】
(比較例2)
n−ブチルリチウム(1.6mol/lヘキサン溶液)84ml(0.14mol)をトリエチルアミン42g(0.42モル)に変更した以外は、実施例2と同様にして粘度60mm/s、屈折率1.4063の上記[式3](n=32)を得た。
【0037】
得られた組成物の置換率(Z´=1、2、3)は、31P−NMRにて決定した。
[式3](n=32)の置換率は、Z´=1のものが17モル%、Z´=2のものが36モル%、Z´=3のものが15モル%であった。また、[式3](n=32)で表されない副生成物が32モル%含まれていた。
【0038】
上記のように、従来の製造方法を用いた比較例1、2では、Z=1及び2のものの収率が低く、トリエチルアミンがオキシ塩化リンと反応し、副生成物が多く生成した。
一方、実施例1、2のいずれにおいても、オキシハロゲン化リンが他の物質と反応することによる副生成物の生成はほとんど見られなかった。
【0039】
以上のことから、本発明の製造方法によれば、副生成物の生成を抑制しつつ、反応時間も短縮でき、効率よく容易に上記のようなリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを得られることが実証された。
【0040】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】

(式中、bは1〜50の整数である。Rは全て同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜30のハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基、又は下記一般式(II)で表される有機基であり、
【化2】

(式中、Rは全て同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜30のハロゲン置換又は非置換の一価炭化水素基であり、aは1〜1000の整数である。)
は炭素数1〜8の直鎖又は分岐を含むアルキレン基、Rは炭素数2〜12の直鎖又は分岐を含むアルキレン基である。)
で表されるカルビノ−ル変性シリコーンを、求核試薬共存下、下記一般式(III)
POX (III)
(式中、Xはハロゲン原子である。)
で表される化合物1モルに対して1モル以上3モル未満反応させることにより、下記一般式(IV)
【化3】

(式中、R、R、R、bは前述と同様である。Rは水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であり、Zは1又は2である。)
で表されるリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンを製造することを特徴とするリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項2】
前記求核試薬として、有機リチウム化合物を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリン酸エステル基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。

【公開番号】特開2011−195719(P2011−195719A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64494(P2010−64494)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】