リン酸カルシウムをコーティングした、コバルト−クロム合金を含むステント
リン酸カルシウムでコーティングしたステントなどの医療デバイスと、それを作るプロセスを本明細書に開示する。ステントは、リン酸カルシウムに対する表面付着を改良するために、および/または、表面仕上げ特性を改良するために処理されたコバルト−クロム合金を含むことができる。薬学的に活性な薬剤は、リン酸カルシウムコーティング中に存在することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許法第119(e)に基づいて、2007年10月10日に出願された米国仮特許出願第60/978,988号の優先権を主張するものであり、その開示は、引用により本明細書中に合体される。
【0002】
リン酸カルシウムをコーティングしたステントなどの医療デバイスと、その製造方法を本明細書に開示する。
【背景技術】
【0003】
移植可能な医療デバイスは、骨および歯の置換と素材、人工血管、シャントとステント、および薬剤の長期放出のためだけに設計された移植物など広範囲な応用で使用されている。移植医療デバイスは、金属、合金、ポリマーまたはセラミックで作られてもよい。
【0004】
動脈ステントは、アテローム性動脈硬化あるいは他の条件により狭くされた動脈のバルーン血管形成術(拡張)後に、再狭窄を防ぐために長い間使用されている。再狭窄は、新たに拡張された血管の内膜(血管壁の内層)と内腔への動脈媒体の平滑筋細胞(血管壁の中間層)の炎症、移動、および増殖を含む。この移動と増殖は、新生内膜形成と呼ばれる。ステントは、再狭窄を低減するが排除はしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤溶出ステントは、非分解性の芳香族ポリマコーティングから抗増殖剤を溶出するために開発され、現在、再狭窄の発生数をさらに低減するために使用されている。そのようなステントの例として、シロリムスを溶出するCypher(登録商標)ステントや、パクリタキセルを溶出するTaxus(登録商標)ステントがある。最近、これらのステントの両方が、再狭窄防止に有効であるが、移植の何ヶ月または何年も後に血栓症(血塊)を引き起こすことがわかってきた。これらの血塊は致命的となる場合がある。遅いステント血栓症は、ステント上への長期間にわたるいくらか毒性のある薬剤の存続、芳香族ポリマコーティングの存続、あるいはその両方によって起こると考えられている。患者から除去したステントの検査によると、血管内膜の血管内皮細胞によるステントの被覆がほとんど無いか、全くないことを頻繁に示している。この結果は、保持された薬剤または非分解性のポリマーの毒性の可能性と矛盾しない。内皮化の欠落は、血塊形成に働くかもしれない。
【0006】
従って、内皮化を促進する表面を持つ薬剤溶出ステントを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施例では、コバルト−クロム合金と、ステントの少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのコーティングとを有し、前記少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含むステントを提供する。
【0008】
別の実施例では、金属ステントをコーティングする方法であって、コバルト−クロム合金を含む金属ステントを酸エッチングする工程と、前記酸エッチングされたステント上に少なくとも1つのリン酸カルシウムを電気化学的に堆積する工程と、を有する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】実施例1の電解研摩工程の後で、L605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図1B】実施例1の電解研摩工程の後で、L605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図2A】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図2B】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図3A】拡張後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図3B】拡張後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図4A】図4Aと図4Bは、実施例2の酸エッチング工程後のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図4B】実施例2の酸エッチング工程後のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図5A】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図5B】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図6A】図6Aと図6Bは、拡張後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図6B】拡張後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つの実施例では、コバルト−クロム合金と、ステントの少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのコーティングとを有し、前記少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含むステントを提供する。
【0011】
コバルト−クロム合金は、ステンレス鋼と比べてより多くの生体適合素材を提供する成育可能なステント物質として認識されている。コバルト−クロム合金を含むステントは、ステンレス鋼よりも高い橈骨強度と高い放射線不透過性とを持つことができる。高い弾性率と高い密度により、コバルト−クロム合金を含むステントは、小さな直径の内腔に対して有用な、より薄い支柱とより低いプロフィールとを持つことができる。
【0012】
しかしながら、この合金中に第2相の金属沈殿物が存在すると、金属表面へのコーティングの接着性が低減し、ステントの機械的特性に影響を与える。この機械的特性は、表面仕上げに影響を与える粒粗大化と、降伏強度(クリンプの反動とバルーンの拡張圧力に影響を及ぼし得る)、疲労抵抗と、膨脹均一性とのうちの1つまたはそれ以上を含む。そのうえ、沈殿物自体が血流へ放出される可能性がある。そのような沈殿物は、金属炭化物またはCoW金属間化合物などの金属間化合物であり得る。例えば、L605ステント上の沈殿物は、M7C3、M23C6、M6Cのうちの少なくとも1つなどのカーバイドを含むことができる。ここでMは、Crおよび/または、Wであり、たいていはWである。金属間化合物は、Co3W(αとβ相)とCoW6を含むことができる。
【0013】
従って、1つの実施例では、ステントのコバルト−クロム表面は、沈殿物の存在を低減または無くすために、酸エッチングで前処理され、最終的に、上記記載されたステントの特性の1つまたはそれ以上を改良する。
【0014】
1つの実施例では、コバルト−クロムステントは、リン酸カルシウムコーティングを堆積させる前に、酸溶液中へのステントの浸漬により酸エッチングされる。1つの実施例では、酸溶液は、7未満のpH、例えば、6.5未満のpH、5未満のpH、4未満のpH、3未満のpH、または2未満のpHである。1つの実施例では、酸溶液は、少なくとも25%の酸濃度、少なくとも50%の酸濃度、または、少なくとも90%の酸濃度である。1つの実施例では、酸エッチング溶液は、約0.5%〜約39%濃度の塩酸と、約0.5%〜約97%濃度の硫酸との水溶液を含む。別の実施例では、酸溶液は、4.5%〜18%の塩酸と、12.25%〜50%の硫酸とを含む。さらに別の実施例では、酸溶液は、3:1〜1:10の範囲の比率、3:1〜1:3の範囲の比率の塩酸と硫酸の混合物、さらに、2:1〜1:3の範囲の比率、例えば、1:1の塩酸と硫酸の混合物を含む。
【0015】
ステントは、1秒〜1週間の範囲の時間間隔で、例えば、15分〜24時間または15分〜2から3時間の範囲の時間間隔で、酸溶液に浸漬することができる。別の実施例では、酸エッチング温度は、0℃〜100℃の範囲、25℃〜80℃の範囲、または室温であり得る。
【0016】
1つの実施例では、酸エッチングしたステントの表面には、本明細書に開示されたタングステン含有沈殿物(例えば、タングステンカーバイドと金属間化合物)などの第2相の金属沈殿物が無い、あるいは実質的に無い。別の実施例では、酸エッチングしたステント表面では、本明細書に記載されたような前処理していないコバルト−クロム合金を含むステント表面と比べて、第2相の金属沈殿物量が50%未満または25%未満である。
【0017】
リン酸カルシウムは、より生物学的に適合する表面を提供するために、金属またはポリマーで作られたデバイスをコーティングするために使用してもよい。リン酸カルシウムは、天然に体内に生じるものであり、毒性が無く、炎症性が無く、生体吸収性であるので、しばしば好まれる。そのようなデバイスまたはコーティングは、整形外科デバイスで成長中の細胞および骨のマトリツクスとして、またはデバイスからの治療薬の放出を制御するために働くかもしれない。血管ステントの分野では、リン酸カルシウムコーティングは、血管内膜の内皮細胞によって急速に被覆される生体適合性表面を供給することができるので、魅力的であり得る。対照的に、先行技術の薬剤溶出ステントのポリマコーティングは、内皮化を促進しない。あるいはまた、リン酸カルシウムは、生体再吸収性形態であり、市販の利用可能なポリマーをコーティングしたステントで見いだされた遅い血栓症の問題を避けることができる、裸の金属ステントをもたらすことができる。
【0018】
1つの実施例では、コーティングされたステントは、薬剤溶出ステントであり、その中で、少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、多孔性のリン酸カルシウムを含浸する、例えば、薬剤は、リン酸カルシウム上に、および/または、多孔性リン酸カルシウムの細孔中に、堆積する。1つの実施例では、コーティングは、2μm未満の厚みを持ち、例えば、1μm未満または0.5μm未満の厚みを持つ。1つの実施例では、コーティング中のリン酸カルシウムは、多孔性であり、30〜70%の範囲の細孔容積を持ち、0.3μm〜0.6μmの範囲の平均細孔直径を持つ。他の実施例では、細孔容積は、30〜60%、40〜60%、30〜50%、または、40〜50%、または50%である。さらに別の実施例では、平均細孔直径は、0.4〜0.6μm、0.3〜0.5μm、または0.4〜0.5μmの範囲であり、または、0.5μmであり得る。また、開示された厚さ、細孔容積、または平均細孔直径の様々な組合せを持つリン酸カルシウムを調製することができる。
【0019】
これらの厚さ、細孔容積、および細孔直径の範囲は、ステントの取り付けとクリンピングと拡張の間でさえ、ステントに接着されたままでいる可撓性のリン酸カルシウムコーティングをもたらすことができる。通常の取り付けプロセスは、カテーテルのバルーン上でメッシュ状ステントをクリンプし、それにより、元の直径の75%、65%、または50%まで直径を低減する工程を含む。バルーンを取り付けたステントを、体の内腔の壁、例えば、動脈の内腔壁に隣接して配置するために膨張すると、ステンレス鋼のステントは、クリンプされた直径の2倍または3倍まで拡張することができる。例えば、元の直径が1.6mmであるステントは、クリンプされて1.0mm直径まで低減することができる。次に、ステントは、1.0mmのクリンプされた外径から3.0mm、または3.5mm、または4.5mmの外径に拡張することができる。
【0020】
これらの処理条件下では、厚いコーティング、または多孔性が低いコーティングは、脆くなり、重大な亀裂を進展する場合があり、および/または、粒子を落とす場合があり、または剥がれ落ちる場合がある。1つの実施例では、コーティングは、基質とよく結合しており、重大な亀裂を形成しない、および/または、バルーンカテーテル上への取り付け、体の内腔への配置および拡脹の間に、ステントから剥がれ落ちない。1つの実施例では、重大な亀裂を形成しないコーティングでは、300nm未満と測定される程度の、例えば、200nm未満、または100nm未満程度の小さい亀裂の形成が存在し得る。
【0021】
別の実施例では、コーティングは、少なくとも1年間の移植寿命のための機械的疲労欠陥からデバイスの安全性を示す「治療的心臓デバイスのための研究とマーケティング応用の提案に対するFDAドラフトガイダンス」に従う要件を満たす疲労試験に耐えることができる。疲労試験は、ステントを移植した血管の拡張と収縮によるステント疲労をシミュレートするように設計されている。例えば、コーティングしたステントは、37℃±3℃のリン酸緩衝液中で、生体内での1年と同等物、例えば、1分あたり50〜100ビートの心拍動速度をシミュレートする約4000万サイクルの疲労応力をシミュレートすることができるエンデュラテック疲労試験機(Electro Force(商標登録)9100シリーズ、エンデュラテック・シクテム・コーポレーション、ミネソタ州、米国)を用いて検査することができる。
【0022】
1つの実施例では、リン酸カルシウムコーティングの細孔容積と細孔径は、薬学的に有効な薬剤の放出を制御するための貯蔵所として作用するように選択することができる。1つの実施例では、薬学的に有効な薬剤は、再狭窄の治療に使用する薬剤から選択される。例えば、2007年6月7日に出願され、その開示が本明細書中に引用により合体される米国仮特許出願第60/952,565号で開示された薬剤などから例えば、抗炎症薬、反増殖性、親治癒剤、遺伝子療法剤、細胞外基質調節因子、抗血栓薬/抗血小板剤、抗血管形成剤、アンチセンス剤、抗凝血薬、抗生物質、骨形成たん白質、インテグリン(ペプチド類)、およびジスインテグリン(ペプチドとたんぱく質)から選択される。他の例示のクラスの薬剤は、再狭窄禁止薬剤、平滑筋細胞抑制体、免疫抑制因子薬剤、および反抗原薬剤を含む。例示の薬剤は、シロリムス、パクリタキセル、タクロリムス、ヘパリン、ピメクロリムス、ミドストーリン、メシル酸イマチニブ(グリーベェック)、およびビスホスホナートを含む。
【0023】
薬剤溶出ステントのために先行技術のポリマーコーティングからの薬剤放出は、ポリマコーティングを通る薬剤拡散速度に実質的に依存する。拡散は、薬物放出のための適切な機構であるかもしれないが、ポリマコーティングからの薬物放出速度は、所望時間にわたって所望量の薬剤を体内に送出するには遅すぎるかもしれない。その結果、薬剤のかなりの量がポリマコーティング中に残るかもしれない。対照的に、本明細書に開示された1つの実施例は、コーティングから放出される薬剤のための経路を供給するための細孔容積と平均細孔径を選択し、それによりポリマコーティングと比べて薬物放出速度を増加することを可能にする。別の実施例では、これらの細孔特性を、薬物放出速度を制御するために適合することができる。1つの実施例では、薬剤の少なくとも50%は、ステントから少なくとも7日間、または、少なくとも10日間にわたって放出され、および、1年間まで放出される。別の実施例では、薬剤の少なくとも50%は、ステントから7日間から6カ月、7日間から3カ月、7日間から2カ月、7日間から1カ月、10日間から1年、10日間から6カ月、10日間から2カ月、または、10日間から1カ月の範囲の間にわたって放出される。
【0024】
1つの実施例では、リン酸カルシウムコーティングは、電気化学的堆積(ECD)によって、または電気泳動堆積(EDP)によって堆積してもよい。別の実施例では、コーティングは、ゾルゲル(SG)またはエーロゾルゲル(ASG)プロセスによって堆積してもよい。別の実施例では、コーティングは、生体模倣的プロセス(BM)で堆積してもよい。別の実施例では、コーティングは、リン酸カルシウムセメントプロセスで堆積してもよい。セメントプロセスの1つの実施例では、リン酸カルシウムセメントコーティングは、約16nmの細孔径と、約45%の気孔率とを持ち、分散または溶解した治療薬を含むものであり、米国特許第6,730,324号で以前に記載されたような、ゾル‐ゲルヒドロキシアパタイトのサブミクロン厚さのコーティングで前コーティングされたステントに適用される。米国特許第6,730,324号の開示は、本明細書中に引用により合体される。薬剤を内部に封じ込めて得られるコーティングと薬剤の放出は、コーティングの溶解によって制御される。
【0025】
電気化学的堆積は、所望の細孔特性を得るために変更することができる。変数は、電流密度(例えば、0.05〜2mA/cm2の範囲、例えば、0.5〜2mA/cm2)と、堆積時間(例えば、2分またはそれ以下、または、1分またはそれ以下)と、電解質組成と、pHと、濃度とを含む。そのような変数は、Tsui, Manus Pui-Hungの「電気化学的堆積による冠状ステント上へのリン酸カルシウムコーティング」(M.A.Sc.diss., University of British Columbia, University, 2006)に記載されたように、巧みに変更することができ、この開示は、引用により本明細書中に合体される。
【0026】
1つの実施例では、電気化学的に堆積したリン酸カルシウムは、結晶性ヒドロキシアパタイトとリン酸二カルシウム二水和物とを部分的に含む混合相のコーティングである。実質的に純粋なヒドロキシアパタイトは、コーティングしたステントを第2アルカリ溶液にさらし、続いて、400℃〜750℃の範囲の温度で、例えば、400℃〜600℃の範囲の温度で、加熱することによって得ることができる。層は、X線回折、または当技術分野で知られている他の方法でモニターすることができる。1つの実施例では、この方法は、多孔性リン酸カルシウム、例えば、多孔性ヒドロキシアパタイトをもたらす。多孔性リン酸カルシウム(例えば、多孔性ヒドロキシアパタイト)は、体液中で少なくとも1年間または少なくとも2年間の間でさえ安定であり、それにより、内皮化のための十分な時間がリン酸カルシウム表面上で得られる。
【0027】
1つの実施例では、カルシウム塩とリン酸塩の組成比を、堆積後に所望のリン酸カルシウムを与えるように選択する。例えば、Ca/P比は、1.0〜2.0の範囲で選択することができる。
【0028】
別の実施例では、リン酸カルシウムコーティングによる治療薬の放出速度をリン酸カルシウム自体の生体再吸収または生分解によって制御することができる。生体再吸収または生分解は、 (1)生理化学的溶解、例えば、局所的なpHと生体材料の溶解牲に依存する劣化、(2)物理的崩壊、例えば、小粒子への崩壊による劣化、(3)生物学的ファクター、例えば、炎症などの局所的なpH低下をもたらす生物反応によってもたらされる劣化原因のうちの少なくとも1つまたはそれ以上の要因によって一般的に制御することができる。
【0029】
1つの実施例では、コーティングは、リン酸八カルシウム、α型およびβ型リン酸三カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、カルシウム不足ヒドロキシアパタイト、および、リン酸四カルシウムから選択される、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含み、例えば、コーティングは、リン酸カルシウムの純粋層またはその混合物、またはリン酸カルシウムとヒドロキシアパタイトとの混合物を含むことができる。
【0030】
1つの実施例では、少なくとも1つのリン酸カルシウムを単層としてステント上に堆積する。別の実施例では、1つのリン酸カルシウムを多層として堆積する。別の実施例では、リン酸カルシウムは1つの層中に堆積し、かつ、1つまたはそれ以上の他のリン酸カルシウムの1つまたはそれ以上の層を第1の層の上に連続して堆積することができる。
【0031】
別の実施例は、再吸収に対して安定であり、薬剤がリン酸カルシウムの細孔を通って放出されことを可能にする、少なくとも1つの多孔性のリン酸カルシウムでコーティングされたステントを使用して、再狭窄に関連する少なくとも1つの疾病あるいは体調を治療する方法を提供する。別の実施例では、ステントは、リン酸カルシウムを含浸する薬剤を比較的すばやく放出するために再吸収される多孔性のリン酸カルシウムでコーティングする。
【実施例】
【0032】
実施例1(対照)
本実施例は、本明細書に記載された前処理プロセス無しで、コバルト−クロム合金を含むステント上にヒドロキシアパタイトを堆積することについて記載する。ヒドロキシアパタイトの堆積は、また、Tsui, Manus Pui-Hungの「電気化学的堆積によって冠状ステント上のリン酸カルシウムコーティング」(M.A.Sc.diss., University of British Columbia, University, 2006)に記載されており、この開示は、引用により本明細書中に合体される。
【0033】
ステントは、長さ19mmと1.6mmの外径を持つL605コバルト−クロムステント(コバルト−クロム−タングステン−ニッケル合金、MIVセラピューチックインク製)を使用した。ステント表面を電解研磨し、次に、超音波洗浄器中で蒸留水を用いて洗浄し、次にエチルアルコールを用いて洗浄した。図1Aと図1Bは、電解研摩処理後のステントの2つの異なった部分の写真である。これらの写真から、多数の沈殿物をステント表面上に見ることができる。
【0034】
リン酸カルシウムの電気化学的堆積は、0.02329MのCa(NO3)2・4H2Oと、0.04347MのNH4H2PO4と、からなる50℃の電解質400mlを用いて実施した。前処理したステントをカソードとして使用し、白金のシリンダをアノードとして使用した。0.90mAの電流を60秒間印加すると、ステント上にヒドロキシアパタイトコーティングの薄膜が堆積した。他の実施例では、ステントサイズに応じて、0.05〜2mA/cm2の電流密度、例えば、0.5〜2mA/cm2の電流密度を使用することができる。次に、コーティングしたステントを、蒸留水を流しながら1分間だけ洗浄し、次に、5分間だけ空気乾燥した。
【0035】
次に、0.1NのNaOHの(水)溶液中に75℃で24時間の間だけステントを浸漬し、続いて、蒸留水による超音波洗浄し、500℃で20分間だけ加熱処理を行う、後処理プロセスにステントをさらした。仕上コーティングは、〜0.5μmの厚さを持ち、均一にステントを被覆した。
【0036】
ステントは、マシーンソリューションインク製のSC775ステントクリンピング装置で最初の外径1.6mmから1.0mmの外径までクリンプした。図2Aと図2Bは、クリンプ後のステントの2つの異なる部分の写真である。ヒドロキシアパタイトコーティングは、不十分な接着と沈殿物の存在による好ましくない表面仕上げとによって、ステントの一部から剥がれて層剥離していることが観察された。
【0037】
拡張試験は、クリンププロセス後に実施した。Encore(登録商標)26インフレーションデバイスキットを、カテーテルを170psiで膨らませるために使用し、ステントは、クリンプした1.0mmの外径から3.5mmまで拡張した。図3Aと図3Bは、拡張後のステントの2つの異なる部分の写真であり、図2A、図2Bのもの写真よりさらに大きな剥がれ落ちと層剥離を示している。
【0038】
実施例2
本実施例では、酸エッチング前処理後に、コバルト−クロム合金ステントをコーティングすることを記載する。
【0039】
高濃度の酸エッチング試薬は、95〜98%の硫酸と36〜40%の塩酸を1:1で混合して調製した。25%の酸エッチング使用液は、試薬をHPLCグレード水で1:1に希釈して作製した(すべての%濃度は体積/体積比である)。使用液は、4.5%の塩酸と、12.25%の硫酸と、83.25%のHPLCグレード水を使用した。L605コバルト−クロム合金ステントは、蒸留水で超音波処理し、次に、エチルアルコールで超音波処理し、続いて、エチルアルコールですすぎ、空気で乾燥することによって洗浄した。乾燥したステントを、ふたしたパイレックス(登録商標)ガラス試験管中の使用液5ml中に浸漬し、回転式水浴で、25℃で1時間、ゆっくり撹拌した。ステントを取り除き、HPLCグレード水で徹底的にすすぎ、空気乾燥した。図4Aと図4Bは、酸エッチングしたステントの表面写真である。図1Aと図1Bで示すように、実施例1の酸エッチングしていないステントと比較すると、表面仕上げ上への沈殿物の形成が大いに抑えられていることがわかる。
【0040】
酸性エッチングしたコバルト−クロムステントは、実施例1で記載したような電気化学的堆積により、リン酸カルシウムをコーティングし、同様のクリンプ処理と拡張処理したものである。図5Aと図5Bは、クリンプ結果を示すステントの2つの異なる部分の写真である。層剥離は全く観測されない。同様に、図6Aと図6Bは、ステントの拡張後に層剥離が観察されないことを示している、ステントの2つの異なる部分の写真である。
【0041】
酸エッチングプロセスにより、改良された表面仕上げが得られ、機械的特性、および/または、コーティング接着性が改良され、その結果、コーティングの安定性と完全性が得られることを理解することができる。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許法第119(e)に基づいて、2007年10月10日に出願された米国仮特許出願第60/978,988号の優先権を主張するものであり、その開示は、引用により本明細書中に合体される。
【0002】
リン酸カルシウムをコーティングしたステントなどの医療デバイスと、その製造方法を本明細書に開示する。
【背景技術】
【0003】
移植可能な医療デバイスは、骨および歯の置換と素材、人工血管、シャントとステント、および薬剤の長期放出のためだけに設計された移植物など広範囲な応用で使用されている。移植医療デバイスは、金属、合金、ポリマーまたはセラミックで作られてもよい。
【0004】
動脈ステントは、アテローム性動脈硬化あるいは他の条件により狭くされた動脈のバルーン血管形成術(拡張)後に、再狭窄を防ぐために長い間使用されている。再狭窄は、新たに拡張された血管の内膜(血管壁の内層)と内腔への動脈媒体の平滑筋細胞(血管壁の中間層)の炎症、移動、および増殖を含む。この移動と増殖は、新生内膜形成と呼ばれる。ステントは、再狭窄を低減するが排除はしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤溶出ステントは、非分解性の芳香族ポリマコーティングから抗増殖剤を溶出するために開発され、現在、再狭窄の発生数をさらに低減するために使用されている。そのようなステントの例として、シロリムスを溶出するCypher(登録商標)ステントや、パクリタキセルを溶出するTaxus(登録商標)ステントがある。最近、これらのステントの両方が、再狭窄防止に有効であるが、移植の何ヶ月または何年も後に血栓症(血塊)を引き起こすことがわかってきた。これらの血塊は致命的となる場合がある。遅いステント血栓症は、ステント上への長期間にわたるいくらか毒性のある薬剤の存続、芳香族ポリマコーティングの存続、あるいはその両方によって起こると考えられている。患者から除去したステントの検査によると、血管内膜の血管内皮細胞によるステントの被覆がほとんど無いか、全くないことを頻繁に示している。この結果は、保持された薬剤または非分解性のポリマーの毒性の可能性と矛盾しない。内皮化の欠落は、血塊形成に働くかもしれない。
【0006】
従って、内皮化を促進する表面を持つ薬剤溶出ステントを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施例では、コバルト−クロム合金と、ステントの少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのコーティングとを有し、前記少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含むステントを提供する。
【0008】
別の実施例では、金属ステントをコーティングする方法であって、コバルト−クロム合金を含む金属ステントを酸エッチングする工程と、前記酸エッチングされたステント上に少なくとも1つのリン酸カルシウムを電気化学的に堆積する工程と、を有する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】実施例1の電解研摩工程の後で、L605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図1B】実施例1の電解研摩工程の後で、L605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図2A】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図2B】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図3A】拡張後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図3B】拡張後の実施例1のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す100倍の倍率の写真である。
【図4A】図4Aと図4Bは、実施例2の酸エッチング工程後のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図4B】実施例2の酸エッチング工程後のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図5A】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図5B】ヒドロキシアパタイトコーティングおよびクリンプ後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図6A】図6Aと図6Bは、拡張後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【図6B】拡張後の実施例2のL605コバルト−クロムステントの2つの異なる像を示す200倍の倍率の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つの実施例では、コバルト−クロム合金と、ステントの少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのコーティングとを有し、前記少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含むステントを提供する。
【0011】
コバルト−クロム合金は、ステンレス鋼と比べてより多くの生体適合素材を提供する成育可能なステント物質として認識されている。コバルト−クロム合金を含むステントは、ステンレス鋼よりも高い橈骨強度と高い放射線不透過性とを持つことができる。高い弾性率と高い密度により、コバルト−クロム合金を含むステントは、小さな直径の内腔に対して有用な、より薄い支柱とより低いプロフィールとを持つことができる。
【0012】
しかしながら、この合金中に第2相の金属沈殿物が存在すると、金属表面へのコーティングの接着性が低減し、ステントの機械的特性に影響を与える。この機械的特性は、表面仕上げに影響を与える粒粗大化と、降伏強度(クリンプの反動とバルーンの拡張圧力に影響を及ぼし得る)、疲労抵抗と、膨脹均一性とのうちの1つまたはそれ以上を含む。そのうえ、沈殿物自体が血流へ放出される可能性がある。そのような沈殿物は、金属炭化物またはCoW金属間化合物などの金属間化合物であり得る。例えば、L605ステント上の沈殿物は、M7C3、M23C6、M6Cのうちの少なくとも1つなどのカーバイドを含むことができる。ここでMは、Crおよび/または、Wであり、たいていはWである。金属間化合物は、Co3W(αとβ相)とCoW6を含むことができる。
【0013】
従って、1つの実施例では、ステントのコバルト−クロム表面は、沈殿物の存在を低減または無くすために、酸エッチングで前処理され、最終的に、上記記載されたステントの特性の1つまたはそれ以上を改良する。
【0014】
1つの実施例では、コバルト−クロムステントは、リン酸カルシウムコーティングを堆積させる前に、酸溶液中へのステントの浸漬により酸エッチングされる。1つの実施例では、酸溶液は、7未満のpH、例えば、6.5未満のpH、5未満のpH、4未満のpH、3未満のpH、または2未満のpHである。1つの実施例では、酸溶液は、少なくとも25%の酸濃度、少なくとも50%の酸濃度、または、少なくとも90%の酸濃度である。1つの実施例では、酸エッチング溶液は、約0.5%〜約39%濃度の塩酸と、約0.5%〜約97%濃度の硫酸との水溶液を含む。別の実施例では、酸溶液は、4.5%〜18%の塩酸と、12.25%〜50%の硫酸とを含む。さらに別の実施例では、酸溶液は、3:1〜1:10の範囲の比率、3:1〜1:3の範囲の比率の塩酸と硫酸の混合物、さらに、2:1〜1:3の範囲の比率、例えば、1:1の塩酸と硫酸の混合物を含む。
【0015】
ステントは、1秒〜1週間の範囲の時間間隔で、例えば、15分〜24時間または15分〜2から3時間の範囲の時間間隔で、酸溶液に浸漬することができる。別の実施例では、酸エッチング温度は、0℃〜100℃の範囲、25℃〜80℃の範囲、または室温であり得る。
【0016】
1つの実施例では、酸エッチングしたステントの表面には、本明細書に開示されたタングステン含有沈殿物(例えば、タングステンカーバイドと金属間化合物)などの第2相の金属沈殿物が無い、あるいは実質的に無い。別の実施例では、酸エッチングしたステント表面では、本明細書に記載されたような前処理していないコバルト−クロム合金を含むステント表面と比べて、第2相の金属沈殿物量が50%未満または25%未満である。
【0017】
リン酸カルシウムは、より生物学的に適合する表面を提供するために、金属またはポリマーで作られたデバイスをコーティングするために使用してもよい。リン酸カルシウムは、天然に体内に生じるものであり、毒性が無く、炎症性が無く、生体吸収性であるので、しばしば好まれる。そのようなデバイスまたはコーティングは、整形外科デバイスで成長中の細胞および骨のマトリツクスとして、またはデバイスからの治療薬の放出を制御するために働くかもしれない。血管ステントの分野では、リン酸カルシウムコーティングは、血管内膜の内皮細胞によって急速に被覆される生体適合性表面を供給することができるので、魅力的であり得る。対照的に、先行技術の薬剤溶出ステントのポリマコーティングは、内皮化を促進しない。あるいはまた、リン酸カルシウムは、生体再吸収性形態であり、市販の利用可能なポリマーをコーティングしたステントで見いだされた遅い血栓症の問題を避けることができる、裸の金属ステントをもたらすことができる。
【0018】
1つの実施例では、コーティングされたステントは、薬剤溶出ステントであり、その中で、少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤が、多孔性のリン酸カルシウムを含浸する、例えば、薬剤は、リン酸カルシウム上に、および/または、多孔性リン酸カルシウムの細孔中に、堆積する。1つの実施例では、コーティングは、2μm未満の厚みを持ち、例えば、1μm未満または0.5μm未満の厚みを持つ。1つの実施例では、コーティング中のリン酸カルシウムは、多孔性であり、30〜70%の範囲の細孔容積を持ち、0.3μm〜0.6μmの範囲の平均細孔直径を持つ。他の実施例では、細孔容積は、30〜60%、40〜60%、30〜50%、または、40〜50%、または50%である。さらに別の実施例では、平均細孔直径は、0.4〜0.6μm、0.3〜0.5μm、または0.4〜0.5μmの範囲であり、または、0.5μmであり得る。また、開示された厚さ、細孔容積、または平均細孔直径の様々な組合せを持つリン酸カルシウムを調製することができる。
【0019】
これらの厚さ、細孔容積、および細孔直径の範囲は、ステントの取り付けとクリンピングと拡張の間でさえ、ステントに接着されたままでいる可撓性のリン酸カルシウムコーティングをもたらすことができる。通常の取り付けプロセスは、カテーテルのバルーン上でメッシュ状ステントをクリンプし、それにより、元の直径の75%、65%、または50%まで直径を低減する工程を含む。バルーンを取り付けたステントを、体の内腔の壁、例えば、動脈の内腔壁に隣接して配置するために膨張すると、ステンレス鋼のステントは、クリンプされた直径の2倍または3倍まで拡張することができる。例えば、元の直径が1.6mmであるステントは、クリンプされて1.0mm直径まで低減することができる。次に、ステントは、1.0mmのクリンプされた外径から3.0mm、または3.5mm、または4.5mmの外径に拡張することができる。
【0020】
これらの処理条件下では、厚いコーティング、または多孔性が低いコーティングは、脆くなり、重大な亀裂を進展する場合があり、および/または、粒子を落とす場合があり、または剥がれ落ちる場合がある。1つの実施例では、コーティングは、基質とよく結合しており、重大な亀裂を形成しない、および/または、バルーンカテーテル上への取り付け、体の内腔への配置および拡脹の間に、ステントから剥がれ落ちない。1つの実施例では、重大な亀裂を形成しないコーティングでは、300nm未満と測定される程度の、例えば、200nm未満、または100nm未満程度の小さい亀裂の形成が存在し得る。
【0021】
別の実施例では、コーティングは、少なくとも1年間の移植寿命のための機械的疲労欠陥からデバイスの安全性を示す「治療的心臓デバイスのための研究とマーケティング応用の提案に対するFDAドラフトガイダンス」に従う要件を満たす疲労試験に耐えることができる。疲労試験は、ステントを移植した血管の拡張と収縮によるステント疲労をシミュレートするように設計されている。例えば、コーティングしたステントは、37℃±3℃のリン酸緩衝液中で、生体内での1年と同等物、例えば、1分あたり50〜100ビートの心拍動速度をシミュレートする約4000万サイクルの疲労応力をシミュレートすることができるエンデュラテック疲労試験機(Electro Force(商標登録)9100シリーズ、エンデュラテック・シクテム・コーポレーション、ミネソタ州、米国)を用いて検査することができる。
【0022】
1つの実施例では、リン酸カルシウムコーティングの細孔容積と細孔径は、薬学的に有効な薬剤の放出を制御するための貯蔵所として作用するように選択することができる。1つの実施例では、薬学的に有効な薬剤は、再狭窄の治療に使用する薬剤から選択される。例えば、2007年6月7日に出願され、その開示が本明細書中に引用により合体される米国仮特許出願第60/952,565号で開示された薬剤などから例えば、抗炎症薬、反増殖性、親治癒剤、遺伝子療法剤、細胞外基質調節因子、抗血栓薬/抗血小板剤、抗血管形成剤、アンチセンス剤、抗凝血薬、抗生物質、骨形成たん白質、インテグリン(ペプチド類)、およびジスインテグリン(ペプチドとたんぱく質)から選択される。他の例示のクラスの薬剤は、再狭窄禁止薬剤、平滑筋細胞抑制体、免疫抑制因子薬剤、および反抗原薬剤を含む。例示の薬剤は、シロリムス、パクリタキセル、タクロリムス、ヘパリン、ピメクロリムス、ミドストーリン、メシル酸イマチニブ(グリーベェック)、およびビスホスホナートを含む。
【0023】
薬剤溶出ステントのために先行技術のポリマーコーティングからの薬剤放出は、ポリマコーティングを通る薬剤拡散速度に実質的に依存する。拡散は、薬物放出のための適切な機構であるかもしれないが、ポリマコーティングからの薬物放出速度は、所望時間にわたって所望量の薬剤を体内に送出するには遅すぎるかもしれない。その結果、薬剤のかなりの量がポリマコーティング中に残るかもしれない。対照的に、本明細書に開示された1つの実施例は、コーティングから放出される薬剤のための経路を供給するための細孔容積と平均細孔径を選択し、それによりポリマコーティングと比べて薬物放出速度を増加することを可能にする。別の実施例では、これらの細孔特性を、薬物放出速度を制御するために適合することができる。1つの実施例では、薬剤の少なくとも50%は、ステントから少なくとも7日間、または、少なくとも10日間にわたって放出され、および、1年間まで放出される。別の実施例では、薬剤の少なくとも50%は、ステントから7日間から6カ月、7日間から3カ月、7日間から2カ月、7日間から1カ月、10日間から1年、10日間から6カ月、10日間から2カ月、または、10日間から1カ月の範囲の間にわたって放出される。
【0024】
1つの実施例では、リン酸カルシウムコーティングは、電気化学的堆積(ECD)によって、または電気泳動堆積(EDP)によって堆積してもよい。別の実施例では、コーティングは、ゾルゲル(SG)またはエーロゾルゲル(ASG)プロセスによって堆積してもよい。別の実施例では、コーティングは、生体模倣的プロセス(BM)で堆積してもよい。別の実施例では、コーティングは、リン酸カルシウムセメントプロセスで堆積してもよい。セメントプロセスの1つの実施例では、リン酸カルシウムセメントコーティングは、約16nmの細孔径と、約45%の気孔率とを持ち、分散または溶解した治療薬を含むものであり、米国特許第6,730,324号で以前に記載されたような、ゾル‐ゲルヒドロキシアパタイトのサブミクロン厚さのコーティングで前コーティングされたステントに適用される。米国特許第6,730,324号の開示は、本明細書中に引用により合体される。薬剤を内部に封じ込めて得られるコーティングと薬剤の放出は、コーティングの溶解によって制御される。
【0025】
電気化学的堆積は、所望の細孔特性を得るために変更することができる。変数は、電流密度(例えば、0.05〜2mA/cm2の範囲、例えば、0.5〜2mA/cm2)と、堆積時間(例えば、2分またはそれ以下、または、1分またはそれ以下)と、電解質組成と、pHと、濃度とを含む。そのような変数は、Tsui, Manus Pui-Hungの「電気化学的堆積による冠状ステント上へのリン酸カルシウムコーティング」(M.A.Sc.diss., University of British Columbia, University, 2006)に記載されたように、巧みに変更することができ、この開示は、引用により本明細書中に合体される。
【0026】
1つの実施例では、電気化学的に堆積したリン酸カルシウムは、結晶性ヒドロキシアパタイトとリン酸二カルシウム二水和物とを部分的に含む混合相のコーティングである。実質的に純粋なヒドロキシアパタイトは、コーティングしたステントを第2アルカリ溶液にさらし、続いて、400℃〜750℃の範囲の温度で、例えば、400℃〜600℃の範囲の温度で、加熱することによって得ることができる。層は、X線回折、または当技術分野で知られている他の方法でモニターすることができる。1つの実施例では、この方法は、多孔性リン酸カルシウム、例えば、多孔性ヒドロキシアパタイトをもたらす。多孔性リン酸カルシウム(例えば、多孔性ヒドロキシアパタイト)は、体液中で少なくとも1年間または少なくとも2年間の間でさえ安定であり、それにより、内皮化のための十分な時間がリン酸カルシウム表面上で得られる。
【0027】
1つの実施例では、カルシウム塩とリン酸塩の組成比を、堆積後に所望のリン酸カルシウムを与えるように選択する。例えば、Ca/P比は、1.0〜2.0の範囲で選択することができる。
【0028】
別の実施例では、リン酸カルシウムコーティングによる治療薬の放出速度をリン酸カルシウム自体の生体再吸収または生分解によって制御することができる。生体再吸収または生分解は、 (1)生理化学的溶解、例えば、局所的なpHと生体材料の溶解牲に依存する劣化、(2)物理的崩壊、例えば、小粒子への崩壊による劣化、(3)生物学的ファクター、例えば、炎症などの局所的なpH低下をもたらす生物反応によってもたらされる劣化原因のうちの少なくとも1つまたはそれ以上の要因によって一般的に制御することができる。
【0029】
1つの実施例では、コーティングは、リン酸八カルシウム、α型およびβ型リン酸三カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、カルシウム不足ヒドロキシアパタイト、および、リン酸四カルシウムから選択される、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含み、例えば、コーティングは、リン酸カルシウムの純粋層またはその混合物、またはリン酸カルシウムとヒドロキシアパタイトとの混合物を含むことができる。
【0030】
1つの実施例では、少なくとも1つのリン酸カルシウムを単層としてステント上に堆積する。別の実施例では、1つのリン酸カルシウムを多層として堆積する。別の実施例では、リン酸カルシウムは1つの層中に堆積し、かつ、1つまたはそれ以上の他のリン酸カルシウムの1つまたはそれ以上の層を第1の層の上に連続して堆積することができる。
【0031】
別の実施例は、再吸収に対して安定であり、薬剤がリン酸カルシウムの細孔を通って放出されことを可能にする、少なくとも1つの多孔性のリン酸カルシウムでコーティングされたステントを使用して、再狭窄に関連する少なくとも1つの疾病あるいは体調を治療する方法を提供する。別の実施例では、ステントは、リン酸カルシウムを含浸する薬剤を比較的すばやく放出するために再吸収される多孔性のリン酸カルシウムでコーティングする。
【実施例】
【0032】
実施例1(対照)
本実施例は、本明細書に記載された前処理プロセス無しで、コバルト−クロム合金を含むステント上にヒドロキシアパタイトを堆積することについて記載する。ヒドロキシアパタイトの堆積は、また、Tsui, Manus Pui-Hungの「電気化学的堆積によって冠状ステント上のリン酸カルシウムコーティング」(M.A.Sc.diss., University of British Columbia, University, 2006)に記載されており、この開示は、引用により本明細書中に合体される。
【0033】
ステントは、長さ19mmと1.6mmの外径を持つL605コバルト−クロムステント(コバルト−クロム−タングステン−ニッケル合金、MIVセラピューチックインク製)を使用した。ステント表面を電解研磨し、次に、超音波洗浄器中で蒸留水を用いて洗浄し、次にエチルアルコールを用いて洗浄した。図1Aと図1Bは、電解研摩処理後のステントの2つの異なった部分の写真である。これらの写真から、多数の沈殿物をステント表面上に見ることができる。
【0034】
リン酸カルシウムの電気化学的堆積は、0.02329MのCa(NO3)2・4H2Oと、0.04347MのNH4H2PO4と、からなる50℃の電解質400mlを用いて実施した。前処理したステントをカソードとして使用し、白金のシリンダをアノードとして使用した。0.90mAの電流を60秒間印加すると、ステント上にヒドロキシアパタイトコーティングの薄膜が堆積した。他の実施例では、ステントサイズに応じて、0.05〜2mA/cm2の電流密度、例えば、0.5〜2mA/cm2の電流密度を使用することができる。次に、コーティングしたステントを、蒸留水を流しながら1分間だけ洗浄し、次に、5分間だけ空気乾燥した。
【0035】
次に、0.1NのNaOHの(水)溶液中に75℃で24時間の間だけステントを浸漬し、続いて、蒸留水による超音波洗浄し、500℃で20分間だけ加熱処理を行う、後処理プロセスにステントをさらした。仕上コーティングは、〜0.5μmの厚さを持ち、均一にステントを被覆した。
【0036】
ステントは、マシーンソリューションインク製のSC775ステントクリンピング装置で最初の外径1.6mmから1.0mmの外径までクリンプした。図2Aと図2Bは、クリンプ後のステントの2つの異なる部分の写真である。ヒドロキシアパタイトコーティングは、不十分な接着と沈殿物の存在による好ましくない表面仕上げとによって、ステントの一部から剥がれて層剥離していることが観察された。
【0037】
拡張試験は、クリンププロセス後に実施した。Encore(登録商標)26インフレーションデバイスキットを、カテーテルを170psiで膨らませるために使用し、ステントは、クリンプした1.0mmの外径から3.5mmまで拡張した。図3Aと図3Bは、拡張後のステントの2つの異なる部分の写真であり、図2A、図2Bのもの写真よりさらに大きな剥がれ落ちと層剥離を示している。
【0038】
実施例2
本実施例では、酸エッチング前処理後に、コバルト−クロム合金ステントをコーティングすることを記載する。
【0039】
高濃度の酸エッチング試薬は、95〜98%の硫酸と36〜40%の塩酸を1:1で混合して調製した。25%の酸エッチング使用液は、試薬をHPLCグレード水で1:1に希釈して作製した(すべての%濃度は体積/体積比である)。使用液は、4.5%の塩酸と、12.25%の硫酸と、83.25%のHPLCグレード水を使用した。L605コバルト−クロム合金ステントは、蒸留水で超音波処理し、次に、エチルアルコールで超音波処理し、続いて、エチルアルコールですすぎ、空気で乾燥することによって洗浄した。乾燥したステントを、ふたしたパイレックス(登録商標)ガラス試験管中の使用液5ml中に浸漬し、回転式水浴で、25℃で1時間、ゆっくり撹拌した。ステントを取り除き、HPLCグレード水で徹底的にすすぎ、空気乾燥した。図4Aと図4Bは、酸エッチングしたステントの表面写真である。図1Aと図1Bで示すように、実施例1の酸エッチングしていないステントと比較すると、表面仕上げ上への沈殿物の形成が大いに抑えられていることがわかる。
【0040】
酸性エッチングしたコバルト−クロムステントは、実施例1で記載したような電気化学的堆積により、リン酸カルシウムをコーティングし、同様のクリンプ処理と拡張処理したものである。図5Aと図5Bは、クリンプ結果を示すステントの2つの異なる部分の写真である。層剥離は全く観測されない。同様に、図6Aと図6Bは、ステントの拡張後に層剥離が観察されないことを示している、ステントの2つの異なる部分の写真である。
【0041】
酸エッチングプロセスにより、改良された表面仕上げが得られ、機械的特性、および/または、コーティング接着性が改良され、その結果、コーティングの安定性と完全性が得られることを理解することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コバルト−クロム合金と、ステントの少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのコーティングとを含み、
前記少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含むことを特徴とするステント。
【請求項2】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムが、ヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムが、30〜60%の範囲の細孔容積と、0.3μm〜0.6μmの範囲の平均細孔直径と、を持つ多孔性リン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコーティングが、前記多孔性リン酸カルシウムに含浸された少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコーティングは、ポリマー物質が無いことを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムは、酸性エッチングされた前記ステントの表面を被覆することを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項7】
金属ステントをコーティングする方法であって、
コバルト−クロム合金を含む金属ステントを酸エッチングする工程と、
前記酸エッチングされたステント上に少なくとも1つのリン酸カルシウムを電気化学的に堆積させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記酸エッチング工程は、酸溶液に前記金属ステントを晒す工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸溶液は、硫酸と塩酸から選択される少なくとも1つの酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸溶液は、少なくとも25%の酸濃度であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記酸溶液は、少なくとも4体積%の塩酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記酸溶液は、少なくとも12体積%の硫酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記酸溶液は、0.5体積%〜39体積%の範囲の量で存在する塩酸と、0.5体積%〜97体積%の範囲の量で存在する硫酸との混合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記酸溶液は、3:1〜1:10の範囲の比率の塩酸と硫酸との混合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項1】
コバルト−クロム合金と、ステントの少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのコーティングとを含み、
前記少なくとも1つのコーティングが、少なくとも1つのリン酸カルシウムを含むことを特徴とするステント。
【請求項2】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムが、ヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムが、30〜60%の範囲の細孔容積と、0.3μm〜0.6μmの範囲の平均細孔直径と、を持つ多孔性リン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコーティングが、前記多孔性リン酸カルシウムに含浸された少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコーティングは、ポリマー物質が無いことを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムは、酸性エッチングされた前記ステントの表面を被覆することを特徴とする請求項3に記載のステント。
【請求項7】
金属ステントをコーティングする方法であって、
コバルト−クロム合金を含む金属ステントを酸エッチングする工程と、
前記酸エッチングされたステント上に少なくとも1つのリン酸カルシウムを電気化学的に堆積させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記酸エッチング工程は、酸溶液に前記金属ステントを晒す工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸溶液は、硫酸と塩酸から選択される少なくとも1つの酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酸溶液は、少なくとも25%の酸濃度であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記酸溶液は、少なくとも4体積%の塩酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記酸溶液は、少なくとも12体積%の硫酸を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記酸溶液は、0.5体積%〜39体積%の範囲の量で存在する塩酸と、0.5体積%〜97体積%の範囲の量で存在する硫酸との混合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記酸溶液は、3:1〜1:10の範囲の比率の塩酸と硫酸との混合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのリン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【公表番号】特表2011−500111(P2011−500111A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528250(P2010−528250)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001795
【国際公開番号】WO2009/046532
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510102269)エムアイヴィ テラピューティクス, インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】MIV THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】Unit 1, 8765 Ash Street, Vancouver, British Columbia V6P 6T3, CANADA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001795
【国際公開番号】WO2009/046532
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510102269)エムアイヴィ テラピューティクス, インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】MIV THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】Unit 1, 8765 Ash Street, Vancouver, British Columbia V6P 6T3, CANADA
【Fターム(参考)】
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