説明

リン酸カルシウム及びアパタイト/コラーゲン複合物からなる複合体

【課題】
柔軟性を有するために骨の補填部位の形状にフィットし易い上に、コラーゲンの含有量が多過ぎないために抗原性や発熱性を実質的に示さず、骨補填材に好適な多孔体を提供する。
【解決手段】
リン酸カルシウム体1と、アパタイト/コラーゲン複合物2とからなる複合体10であって、リン酸カルシウム体1がアパタイト/コラーゲン複合物2に内包されている複合体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工骨材、細胞の足場材等に用いられる生体活性な複合体に関し、より詳しくは、リン酸カルシウムとアパタイト/コラーゲン複合物とからなり、骨補填材に好適な複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
アパタイト等のリン酸カルシウムからなる人工骨は十分な機械的強度を有する上、自家骨に対する親和性も有しており、自家骨に直接結合することができるため、整形外科、脳神経外科、形成外科、口腔外科等で臨床応用されている。しかし、大きな機械的強度を有することは人工骨にとって重要な要素ではあるものの、補填する部位にフィットし難いという短所にも繋がる。アパタイトのようなセラミックスは柔軟性を有していないので、補填の際に切削等しない限り、補填部位の形状に一致させることができない。そのため、補填部位と人工骨との間に隙間が開き過ぎて人工骨が安定しなかったり、補填部位の周囲にある軟部組織に人工骨が接触し、物理的な刺激によって軟部組織が炎症を起こしたりする可能性がある。
【0003】
本発明者らは先に、アパタイトとコラーゲンの複合体を含み、生体骨と類似の機構で吸収を受け、高い骨形成能を有する多孔体を開示した[WO 2004/041320 A1号(特許文献1)]。アパタイト/コラーゲン複合体は柔軟性を有しているので、複雑形状を有する骨補填部位にも充填することができる。しかしながら、補填部位が大きい場合、補填部材としてアパタイト/コラーゲン複合体を用いると、蛋白質の一種であるコラーゲンを大量に入れることになるので、アレルギー反応を起こしたり、エンドトキシンに起因して発熱したりすることが懸念される。またアパタイト/コラーゲン複合体は弾力性を有するので、充填量を制御し難いという問題もある。充填量を多くし過ぎると、アパタイト/コラーゲン複合体の気孔が潰れてしまうので、アパタイト/コラーゲン複合体の内部で骨形成が起こり難くなってしまう。
【0004】
【特許文献1】国際公開WO 2004/041320 A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は、柔軟性を有するために骨の補填部位の形状にフィットし易い上に、コラーゲンの含有量が多過ぎないために抗原性や発熱性を実質的に示さず、骨補填材に好適な材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、リン酸カルシウムをアパタイト/コラーゲン複合物によって被覆した複合体は、アパタイト/コラーゲン複合物の弾力性によって補填部位の形状にフィットし易い上、コラーゲンの含有量が多過ぎないのでアレルギー等の問題を生じさせ難いことを発見し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち本発明の複合体は、リン酸カルシウムと、アパタイト/コラーゲン複合物とからなり、前記リン酸カルシウムが前記アパタイト/コラーゲン複合物に内包されていることを特徴とする。
【0008】
好ましい複合体の実施例は、粉状又は粒状のリン酸カルシウム多孔体を有する。好ましい他の実施例は、リン酸カルシウム多孔体の表面に形成されたアパタイト/コラーゲン複合物からなる層を有する。いずれの実施例においても、前記リン酸カルシウム多孔体は焼成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合体は、リン酸カルシウムとそれを包囲するアパタイト/コラーゲン複合物とからなる。コアであるリン酸カルシウムは機械的強度を有するので、人工骨として用いる際に、形状を保つことができる。そのため、リン酸カルシウムが多孔質である場合も、気孔はほとんど潰れず、骨形成蛋白等を入り込ませることができる。一方、表層にあるアパタイト/コラーゲン複合物は柔軟であるので、骨補填部位にフィットし易い。したがって、本発明の複合体を骨補填材として用いると、骨補填部位の周囲にある軟部組織に人工骨が接触して炎症を起こしたりすることもなく、自家骨の成長を促進しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[1] 複合体
図1は、本発明の複合体の一例を示す。図1に示す複合体10は、柱状のリン酸カルシウム体1と、リン酸カルシウム体1の表面に形成されたアパタイト/コラーゲン複合物層2とからなる。アパタイト/コラーゲン複合物層2は、リン酸カルシウム体1の表面積の50%以上を被覆しているのが好ましく、80%以上を被覆しているのがより好ましく、表面全体を被覆しているのが特に好ましい。
【0011】
リン酸カルシウム体1は、多孔体であってもよいし、緻密体であってもよい。リン酸カルシウム体1の気孔率は0〜98%であるのが好ましく、40〜90%であるのがより好ましい。気孔率が40%未満であると、複合体10内に入り込む体液等の量が少な過ぎるので、複合体10内で十分な骨形成が起こり難い場合がある。気孔率が90%超であると、複合体10の強度が十分でない場合がある。
【0012】
リン酸カルシウム体1のカルシウム/リンの比は、1.4〜2.0であるのが好ましい。この範囲にカルシウム/リンの比を有するリン酸カルシウムは、優れた生体活性を示す。リン酸カルシウムの具体例として、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパタイト等のアパタイト類、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム及びこれらの混合物が挙げられる。リン酸カルシウムは、焼成されているのが好ましい。
【0013】
複合体10に対するリン酸カルシウム体1の体積比は、0.6〜0.9であるのが好ましく、0.65〜0.85であるのがより好ましい。0.6未満であると、複合体10のコラーゲン含有量が多過ぎる。従って、大きな複合体10の場合には抗原性及び/又は発熱性が懸念される。体積比が0.9超であると、十分な厚さのアパタイト/コラーゲン複合物層2を有し難過ぎる。アパタイト/コラーゲン複合物層2の厚さは500〜5000μmであるのが好ましい。500μm未満であると、複合体10を骨補填材として使用する際に十分な緩衝作用を得難い。つまり、複合体10が骨の補填部位にフィットし難い。
【0014】
アパタイト/コラーゲン複合物層2は、アパタイト/コラーゲン複合繊維を含有するのが好ましい。アパタイト/コラーゲン複合繊維を含有する層2は、柔軟なスポンジ状であり、変形可能である。アパタイト/コラーゲン複合物層2中におけるアパタイト/コラーゲンの質量比は、9/1〜6/4であるのが好ましい。アパタイト/コラーゲンの質量比がこの範囲であると、アパタイト/コラーゲン複合物層2は優れた生体活性を有する上、含水状態で特に大きな柔軟性を示す。
【0015】
図2(a) は、欠損部30を有する骨3を概略的に示す。図2(b) に示すように、欠損部30には、欠損部30の内径より少し小さいリン酸カルシウム体1を有する複合体10を充填する。欠損部30は凹凸を有するが、リン酸カルシウム体1の外径は欠損部30の最小部分より小さい必要がある。複合体10の外径は、欠損部30の内径より僅かに大きいのが好ましい。アパタイト/コラーゲン複合物層2は弾力性を有するので、欠損部30の形状に合わせて収縮し、欠損部30にフィットする。
【0016】
水で濡らした複合体10を欠損部30に入れると、アパタイト/コラーゲン複合物層2が部分的に潰れて欠損部30に嵌る。この時、アパタイト/コラーゲン複合物層2の気孔の一部は塞がってしまうが、リン酸カルシウム体1の形状には変化が生じないので、リン酸カルシウム体1の気孔も変化しない。従って、リン酸カルシウム体1の気孔には骨芽細胞や骨形成蛋白が入り込むことができるので、複合体10内で自家骨の再形成を進行させることができる。欠損部30に複合体10が嵌っていると、複合体10が骨形成材料の足場となるため、欠損部30が間隙である場合と比較して自家骨の再形成が遥かに進み易い。リン酸カルシウム体1が緻密体(気孔率0%)の場合、リン酸カルシウム体1の内部には骨形成材料が入り込めないが、アパタイト/コラーゲン複合物層2によってリン酸カルシウム体1が周囲にある骨に早期に固定される。リン酸カルシウム体1が早期に骨に固定されることは、人工骨に求められる重要な要件である。またアパタイト/コラーゲン複合物層2は柔軟であるので、欠損部30の周囲にある軟部組織に接触しても、炎症等の問題を引き起こすおそれが小さい。
【0017】
図3は本発明の複合体10の別の例を示す。図3に示す多孔体は、筒状のアパタイト/コラーゲン複合物2内に複数の粒状リン酸カルシウム体1が充填されている以外、図1に示す例と同じであるので、相違点のみ説明する。アパタイト/コラーゲン複合物2の空隙の60〜90体積%が、リン酸カルシウム体1によって充填されているのが好ましい。アパタイト/コラーゲン複合物2内に複数個を収容可能である限り、リン酸カルシウム体1の大きさは特に限定されないが、実用的には0.1〜20 mm程度である。20 mm超であると、アパタイト/コラーゲン複合物2内に隙間が多過ぎる。リン酸カルシウム体1は粉状でもよい。
【0018】
図4は、複合体10のさらに別の例を示す。図4に示す複合体10は、アパタイト/コラーゲン複合物2内に柱状リン酸カルシウム多孔体1aと、粒状リン酸カルシウム多孔体1bを内包する以外図1に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ説明する。粒状リン酸カルシウム多孔体1bは、柱状リン酸カルシウム多孔体1aを包囲しており、柱状リン酸カルシウム多孔体1aとアパタイト/コラーゲン複合物2との隙間を埋めている。柱状リン酸カルシウム多孔体1aと、粒状リン酸カルシウム多孔体1bとの比率は特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。
【0019】
図5は、複合体10のさらに別の例を示す。図5に示す複合体10は、粒状である以外図1に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ説明する。リン酸カルシウム体1の大きさは、図3に示す例と同じでよい。リン酸カルシウム体1の形状は特に限定されず、球形であってもよいし、長細形であってもよいし、いびつな形状であってもよい。
【0020】
図6に示すように、骨3の欠損部30に粒状の複合体10を充填する。複合体10を充填すると、アパタイト/コラーゲン複合物層2は少し潰れた状態になるが、リン酸カルシウム体1はそのままの形状を保つ。したがって、複合体10を詰め過ぎて多孔体の細孔が塞がり過ぎてしまうおそれがない。また細孔内のみならず、複合体10の隙間にも骨形成蛋白等を入り込む状態になる。細孔や隙間に入り込んだ骨形成蛋白等により、自家骨の形成が促進される。
【0021】
[2] 複合体の製造方法
複合体10を作製するには、(i) 塊状のアパタイト/コラーゲン複合物2を作製した後、アパタイト/コラーゲン複合物2に穴を開け、そこにリン酸カルシウム体1を充填してもよいし、(ii) アパタイト/コラーゲン複合繊維を含むスラリーを調製し、リン酸カルシウム体1の表面にアパタイト/コラーゲン複合繊維を含むスラリーからなる層を形成し、乾燥させてもよい。いずれの場合も、リン酸カルシウム体1の製造方法は同じであるので、先ず(1) リン酸カルシウム体1の製造方法を説明した後、(2) (i) アパタイト/コラーゲン複合物2の穴にリン酸カルシウム体1を充填する方法と、(ii) リン酸カルシウム体1の表面にアパタイト/コラーゲン複合繊維を含むスラリーからなる層を形成する方法を説明する。
【0022】
(1) リン酸カルシウム
リン酸カルシウムの製造方法は特に限定されず、一般的な方法によればよい。多孔質のリン酸カルシウムの製造方法の例として、特開平2-167868号及び特開平8-48583号に記載の方法や、発泡法、熱分解性ビーズを添加する方法が挙げられる。特開平2-167868号に記載のリン酸カルシウムブロックの製造方法は、(I)リン酸カルシウム系化合物粉体と高分子物質とを含むスラリー又は流動性ゲルを発泡させた後増粘又はゲル化し、得られた発泡成形体を必要に応じて仮焼結する方法であり、特開平8-48583号に記載のリン酸カルシウムブロックの製造方法は、(II) 多糖類粒子をセラミックス粉体と混合した後で圧粉体に成形し、得られた圧粉体を焼成する方法である。
【0023】
(2) アパタイト/コラーゲン複合物層
(i) 充填法
アパタイト/コラーゲン複合物を作製する方法は、アパタイト/コラーゲン複合繊維にバインダーとしてコラーゲンを用いる方法でもよいし、バインダーを添加しない方法でもよい。コラーゲンをバインダーとして使用するアパタイト/コラーゲン複合物の製造方法は、WO 2004 / 041320 A1、特願2002-322507号等に詳細に記載されている。
【0024】
アパタイト/コラーゲン複合物長繊維と、アパタイト/コラーゲン複合物短繊維の混合物を原料とすると、短繊維が長繊維に絡まってバインダーとして機能するので、コラーゲンを添加しなくてもアパタイト/コラーゲン複合物を作製することができる。アパタイト/コラーゲン複合物長繊維と、アパタイト/コラーゲン複合物短繊維の混合物を原料としてアパタイト/コラーゲン複合物からなる成形体を作製し、これにリン酸カルシウム多孔体を充填する方法を例にとって、充填法を説明する。
【0025】
(i-a) 原料
アパタイト/コラーゲン複合物長繊維及びアパタイト/コラーゲン複合物短繊維(以下、単にアパタイト/コラーゲン複合物繊維という。)は、いずれもコラーゲン、リン酸又はその塩、カルシウム塩を原料とする。コラーゲンとしては特に限定されず、動物等から抽出したものを使用できる。なお由来する動物の種、組織部位、年齢等は特に限定されない。一般的には哺乳動物(例えばウシ、ブタ、ウマ、ウサギ及びネズミ)や鳥類(例えばニワトリ)の皮膚、骨、軟骨、腱、臓器等から得られるコラーゲンを使用できる。また魚類(例えばタラ、ヒラメ、カレイ、サケ、マス、マグロ、サバ、タイ、イワシ及びサメ)の皮、骨、軟骨、ひれ、うろこ、臓器等から得られるコラーゲン様蛋白を使用してもよい。なおコラーゲンの抽出方法は特に限定されず、一般的な抽出方法によればよい。また動物組織からの抽出ではなく、遺伝子組み替え技術によって得られたコラーゲンを使用してもよい。
【0026】
リン酸又はその塩(以下単に「リン酸(塩)」という)としてはリン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。カルシウム塩としては炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。リン酸塩及びカルシウム塩はそれぞれ均一な水溶液又は懸濁液の状態で添加するのが好ましい。
【0027】
使用するアパタイト原料[リン酸(塩)及びカルシウム塩]とコラーゲンとの質量比により、生成物中のアパタイト/コラーゲンの質量比を制御できる。このため使用するアパタイト原料とコラーゲンとの質量比は、目的とするアパタイト/コラーゲン複合物繊維の組成比により適宜決定する。アパタイト/コラーゲン複合物繊維中のアパタイト/コラーゲンの比率は9/1〜6/4とするのが好ましく、例えば8/2とする。
【0028】
(i-b) 溶液の調製
リン酸(塩)水溶液及びカルシウム塩水溶液を調製する。リン酸(塩)水溶液及びカルシウム塩水溶液の濃度は、生成する繊維の長さに影響する。具体的には、リン酸(塩)水溶液及びカルシウム塩水溶液の濃度が大きいほど、得られるアパタイト/コラーゲン複合物繊維が短くなる。したがって、作製する繊維の長さに応じて、これらの濃度を決定する必要がある。なお繊維長の制御方法については、特開2003-190271号に記載されている。また後述する滴下工程において、リン酸(塩)水溶液及びカルシウム塩水溶液を含む混合液の濃度バランスが崩れ過ぎないように、濃度を決める必要がある。
【0029】
10〜75 mmの平均繊維長を有する繊維(アパタイト/コラーゲン複合物長繊維)を作製するには、リン酸(塩)水溶液の濃度を10〜50 mM程度とし、カルシウム塩水溶液の濃度を50〜200 mM程度とするのが好ましい。リン酸(塩)水溶液の濃度が50 mM超、又はカルシウム塩水溶液の濃度を200 mM超とすると、生成する繊維の平均長が10 mm未満になり易い。リン酸(塩)水溶液の濃度を10 mM未満、又はカルシウム塩水溶液の濃度を50 mM未満とすると、平均繊維長が75 mm超になり易い。90質量%以上のアパタイト/コラーゲン複合物長繊維の繊維長を5〜100 mmとするのが好ましい。
【0030】
0.05〜1mmの平均繊維長を有する繊維(アパタイト/コラーゲン複合物短繊維)を作製するには、リン酸(塩)水溶液の濃度を50〜250 mM程度とし、カルシウム塩水溶液の濃度を200〜600 mM程度とするのが好ましい。リン酸(塩)水溶液の濃度が250 mM超、又はカルシウム塩水溶液の濃度が600 mM超であると、平均繊維長が0.05 mm未満になり易い。リン酸(塩)水溶液の濃度が50 mM未満、又はカルシウム塩水溶液の濃度が200 mM未満であると、平均繊維長が1mm超になり易い。90質量%以上のアパタイト/コラーゲン複合物短繊維の繊維長を0.01〜2mmとするのが好ましい。
【0031】
コラーゲンは一般的にはリン酸水溶液の状態で、前述のリン酸(塩)水溶液に加える。コラーゲンのリン酸水溶液としては、コラーゲンの濃度が約0.5〜1質量%、リン酸の濃度が10〜30 mM程度のものを使用する。実用的にはコラーゲンの濃度が0.8〜0.9質量%(例えば0.85質量%)、リン酸の濃度が15〜25 mM(例えば20 mM)程度である。
【0032】
(i-c) リン酸(塩)水溶液とカルシウム塩水溶液の混合
添加すべきカルシウム塩水溶液の1/2〜2倍程度の水を予め反応容器に入れ、コラーゲンを含有するリン酸(塩)水溶液とカルシウム塩水溶液を同時に滴下する。滴下速度は10〜50 ml/min程度とするのが好ましく、反応溶液を50〜300 rpm程度で撹拌するのが好ましい。滴下中、反応溶液中のカルシウムイオン濃度を3.75 mM以下、かつリン酸イオン濃度を2.25 mM以下に維持するのが好ましい。これにより、反応溶液のpHは8.9〜9.1に保たれる。カルシウムイオン及び/又はリン酸イオンの濃度が上記範囲を超えると、複合体の自己組織化が妨げられる。本明細書中「自己組織化」とは、コラーゲン繊維に沿って、ハイドロキシアパタイト(アパタイト構造を有するリン酸カルシウム)が生体骨特有の配向をしていること、すなわちハイドロキシアパタイトのC軸がコラーゲン繊維に沿うように配向していることを意味する。以上の滴下条件により、アパタイト/コラーゲン複合物繊維は、自己組織化したものとなる。またアパタイト/コラーゲン複合物長繊維及びアパタイト/コラーゲン複合物短繊維の平均長は、それぞれの所定の範囲になる。
【0033】
滴下終了後、スラリー状になった水とアパタイト/コラーゲン複合物繊維との混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥は、−10℃以下に凍結した状態で真空引きし、急速に乾燥させることにより行うことができる。
【0034】
(i-d) アパタイト/コラーゲン複合物長繊維及びアパタイト/コラーゲン複合物短繊維を含む分散物の調製
アパタイト/コラーゲン複合物長繊維と、アパタイト/コラーゲン複合物短繊維とを長繊維/短繊維の質量比0.2〜0.8で混合するのが好ましい。長繊維/短繊維の質量比を0.2未満とすると、十分な機械的強度を有するアパタイト/コラーゲン多孔体を得難過ぎる。長繊維/短繊維の質量比を0.8超とすると、短繊維による分散効果が小さ過ぎて水が分離し易過ぎる。
【0035】
アパタイト/コラーゲン複合物長繊維と、アパタイト/コラーゲン複合物短繊維との混合物(以下、単にアパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物という。)に水、リン酸水溶液等の液体を加えて撹拌し、ペースト状の分散物を調製する。分散物の調製に用いる液体は、アパタイト/コラーゲン複合物繊維を良好に分散させるものである必要がある。好ましい分散媒の例として水、リン酸緩衝液(PBS)、生理食塩水が挙げられる。分散物にPBSを配合すると、アパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物の良好な分散効果を得られる他、分散物のイオン強度を増加させ、ゲル化を促進できる。
【0036】
液体の添加量は、アパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物の80〜99体積%とするのが好ましく、90〜97体積%とするのがより好ましい。製造する多孔体の気孔率Pは分散物中のアパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物と液体との体積比に依存し、下記式(1):
P = X / (X+Y) ・・・ (1)
(ただし、Xは分散物中のアパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物の体積を示し、Yは分散物中の液体の体積を示す。)により表される。このため加える液体の量を制御することにより多孔体の気孔率Pを制御することができる。なお分散物中の液体の体積Yは、後述するリン酸緩衝溶液(PBS)の体積を含む値である。
【0037】
(i-e) 分散物のゲル化
上述の分散物の調製工程でPBS以外の液体(水、生理食塩水等)を用いた場合は、ゲル化に先立ってイオン強度を0.2〜0.8に調整する。より好ましいイオン強度は、PBSと同程度のイオン強度である。分散物のイオン強度を大きくすることにより、分散物のゲル化を促進することができる。分散物の調製にPBSを用いた場合には、この段階でPBSを加える必要はない。
【0038】
分散物を成形型に入れた後、35〜43℃の温度に保持することにより分散物をゲル化させる。保持温度は35〜40℃とするのが好ましい。分散物を十分にゲル化させるため、保持する時間は0.5〜3.5時間とするのが好ましく、1〜3時間とするのがより好ましい。分散物の温度を35〜43℃に保持することにより、分散物のゲル化を促進することができる。分散物がゲル化することにより、アパタイト/コラーゲン複合物繊維が分散物中で沈降するのを防ぐことができるため、均一な多孔質体を製造することが可能となる。ゲル化処理を施した分散物はゼリー状になる。
【0039】
(i-f) ゲル体の凍結及び乾燥
アパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物を含むゲル体を凍結器で凍結させる。目的とするアパタイト/コラーゲン多孔体の平均気孔径は、ゲル体の凍結に要する時間に依存する。凍結器内の温度は−100〜0℃とするのが好ましく、−100〜−10℃とするのがより好ましく、−80〜−20℃とするのが特に好ましい。−100℃未満であると、得られるアパタイト/コラーゲン多孔体の平均気孔径が小さ過ぎる。0℃超であると、凍結しないか凍結に時間がかかり過ぎる上、多孔体の平均気孔径が大き過ぎる。
【0040】
凝固したゲル体を凍結乾燥し、多孔質体とする。凍結乾燥するにはアパタイト/コラーゲン複合物繊維の凍結乾燥の場合と同様に、−10℃以下に凍結した状態で真空引きし、急速に乾燥させる。凍結乾燥は分散物が十分に乾燥するまで行えばよく時間は特に制限されないが、一般的には24〜72時間程度である。
【0041】
(i-g) 多孔質体の開穴及びリン酸カルシウム多孔体の充填
凍結乾燥によって得られた多孔質体20(図7(a) )に、穴21を設けて筒状体22にする(図7(b) )。ボール盤、フライス盤等を用いると、多孔質体20に所望の径及び形状の穴21を設けることができる。アパタイト/コラーゲン複合物層の厚さ(筒状体22の厚さに等しい)が上述の好ましい範囲になるように、多孔質体20に開ける穴21の径を決定するのが好ましい。
【0042】
図7(c) に示すように、穴21にリン酸カルシウム体1を入れる。リン酸カルシウム体1は柱状でもよいし、粒状でもよい。また粒状のリン酸カルシウム体と柱状のリン酸カルシウム体とを充填してもよい。穴21の中にある程度密に充填できるように、直径0.1〜20 mm程度のリン酸カルシウム体1の顆粒を用いるのが好ましい。穴21の80体積%以上を充填するように、リン酸カルシウム体1を充填するのが好ましい。
【0043】
筒状体22にリン酸カルシウム体1を充填した後、筒状体22の上端にアパタイト/コラーゲン複合物長繊維及びアパタイト/コラーゲン複合物短繊維を含む分散物Sを塗布する。図5(d) に示すように、筒状体22の外径と同じ直径を有する板状多孔質体23によって穴を覆うと、多孔質体の容器に粒状のリン酸カルシウム1を内包した複合多孔質体が得られる。板状多孔質体23を筒状体22に接合した後、分散物Sを自然乾燥させるのが好ましい。
【0044】
(i-h)コラーゲンの架橋
コラーゲンの架橋はγ線、紫外線、熱脱水、電子線等を用いた物理的架橋、架橋剤や縮合剤を用いた化学的架橋等いずれの方法を用いてもよい。化学的架橋の場合、架橋剤の溶液に凍結乾燥した多孔質体を浸すことにより、多孔質体中のコラーゲンを架橋する。架橋剤としては、例えばグルタールアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド系架橋剤、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系架橋剤、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系架橋剤、エチレングリコールジエチルエーテル等のポリエポキシ系架橋剤、トランスグルタミナーゼ等が挙げられる。これらの架橋剤のうち、架橋度の制御し易さや、得られる多孔体の生体適合性の面からグルタールアルデヒドが特に好ましい。
【0045】
架橋剤をグルタールアルデヒドとする場合、グルタールアルデヒド溶液の濃度は、0.005〜0.015質量%とするのが好ましく、0.005〜0.01質量%とするのがより好ましい。多孔体は脱水する必要があるが、ここでグルタールアルデヒド溶液の溶媒としてエタノール等のアルコールを使用すると、多孔体の脱水をコラーゲンの架橋と同時に行うことができる。脱水を架橋と同時に行うことにより、アパタイト/コラーゲン複合物繊維が収縮した状態で架橋反応を起こさせ、生成する多孔体の弾性を向上させることができる。
【0046】
架橋処理後、未反応のグルタールアルデヒドを除去するため2質量%程度のグリシン水溶液に多孔体を浸漬し、次いで水洗する。さらにエタノールに浸漬することにより多孔体を脱水した後、室温で乾燥させる。
【0047】
熱脱水架橋の場合、凍結乾燥後の多孔質体を100〜160℃、0〜100 hPaの真空オーブン中に10〜12時間保持すればよい。
【0048】
(ii) アパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む分散物からなる層を形成する方法
リン酸カルシウム体1の表面にアパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む分散物からなる層を形成する場合も、リン酸(塩)水溶液とカルシウム塩水溶液を調整して混合し、アパタイト/コラーゲン複合物繊維を作製するまでの工程と、(i-e) 分散物のゲル化、(i-f) ゲル体の凍結及び乾燥、並びに(i-h) コラーゲンの架橋の工程は、上述の(i) 充填法と同じである。従って、アパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む分散物の調製と、この分散物からなる層をリン酸カルシウム多孔体の表面に形成する方法を次に説明する。
【0049】
アパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む分散物の調製方法は、アパタイト/コラーゲン複合物長繊維とアパタイト/コラーゲン複合物短繊維との混合比及び水、リン酸水溶液等の液体の量以外、上述の充填法の場合と同じで良い。分散物中の長繊維/短繊維の質量比は0.2〜0.8とするのが好ましい。液体の量は、アパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物の90〜98体積%とするのが好ましい。長繊維/短繊維の質量比及び液体の添加量をこの範囲とすると、分散物からなる層を形成するのに適した粘度及び流動性にしつつ、好ましい気孔率Pを有するアパタイト/コラーゲン複合物を得ることができる。
【0050】
アパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む分散物からなる層をリン酸カルシウム多孔体の表面に形成するには、(ii-1) リン酸カルシウム多孔体を分散物にディッピングしてもよいし、(ii-2) リン酸カルシウム多孔体に分散物を塗布してもよい。ディッピングや塗布の方法は、特に限定されず一般的な方法でよい。(i) 充填法と同様に、分散物Sからなる層をゲル化し、凍結・乾燥した後、分散物S中のコラーゲンを架橋すると、複合体を得ることができる。
【実施例】
【0051】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0052】
実施例1
(1) アパタイト/コラーゲン複合物長繊維の作製
30 mMリン酸水溶液400 gに、コラーゲンのリン酸水溶液(濃度0.97 wt%、20 mMリン酸)を412 g加えて撹拌することにより溶液a-1を得た。他方、100 mM水酸化カルシウム溶液(溶液b-1)を400 ml調製した。反応容器に200 mLの水を入れた後、溶液a-1及び溶液b-1を同時に滴下し、得られた反応溶液を撹拌した。滴下中の反応溶液のpHは8.9〜9.1に保持し、得られたスラリーを凍結及び凍結乾燥した。生成した繊維の平均長は65 mmであった。アパタイト/コラーゲン複合物長繊維中のアパタイト/コラーゲンの配合比は、質量基準で8/2であった。
【0053】
(2) アパタイト/コラーゲン複合物短繊維の作製
120 mMリン酸水溶液400 gに、コラーゲンのリン酸水溶液(濃度0.97 wt%、20 mMリン酸)を412 g加えて撹拌することにより溶液a-2を得た。他方、400 mM水酸化カルシウム溶液(溶液b-2)を400 ml調製した。水に溶液a-2と溶液b-2を滴下した以外実施例1(1) と同様にして、アパタイト/コラーゲン複合物を作製したところ、生成した繊維の平均長は0.23 mmであった。アパタイト/コラーゲン複合物短繊維中のアパタイト/コラーゲンの配合比は、質量基準で8/2であった。
【0054】
(3) アパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物を含む分散物の調製
アパタイト/コラーゲン複合物長繊維とアパタイト/コラーゲン複合物短繊維とを、質量比1:1で混合した。次にアパタイト/コラーゲン複合物繊維混合物を1g量りとり、これにPBS7.87 mlを加えて撹拌し、分散物を得た。液体(純水、PBS)の全添加量は、分散物の95体積%とした。
【0055】
(4) ゲル化及び凍結乾燥
分散物を成形型(スチロール製、円柱形、内径10 mm×高さ10 mm)に入れ、37℃で2時間保持した。得られたゲル成型体を−80℃に設定した凍結器内に入れ、凍結させた。
【0056】
(5) アパタイト/コラーゲン複合物の加工及びアパタイト顆粒の充填
実施例1(4) ゲル化及び凍結乾燥の工程で得られた乾燥体を、旋盤を用いてφ8mm×20 mmの円柱にした後、ボール盤を用いて円柱にφ5mm×17 mmの穴を開けて筒状にした。またφ8mm×2mmの円盤を作製した。粒径1〜2mmの焼結アパタイトを筒に充填した後、筒の端面に実施例1(3) で得たアパタイト/コラーゲン複合物繊維の分散物を塗布し、筒の開口部を塞ぐように円盤を接合した。
【0057】
(6) 架橋
実施例1(5) で得た接合体を真空オーブン(0〜240℃、760〜1 Torr)を用いて乾燥した後、減圧(1.33 hPa)、140℃で熱脱水架橋した。
【0058】
実施例2
コラーゲン濃度0.8質量%、リン酸濃度100 mMの溶液460 gと、純水340 mLとを混合し、溶液a-3を得た。次に純水380 mLに水酸化カルシウム23 gを加えて撹拌し、溶液b-3を得た。溶液a-3と、溶液b-3とを水に滴下した以外、実施例1(1)と同様にしてアパタイト/コラーゲン複合体を作製した。得られたアパタイト/コラーゲン複合体繊維の平均長は、2mmであった。またアパタイト/コラーゲン複合体繊維中のアパタイト/コラーゲンの質量比は、8/2であった。
【0059】
アパタイト/コラーゲン複合体繊維1gに純水3.6 gを加え、攪拌した。得られたペースト状の混合物に、コラーゲン濃度0.8質量%、リン酸濃度20 mMの水溶液4gを加えて攪拌した後、分散物のイオン強度が0.8になるまで10倍濃縮のPBSを加えた。このアパタイト/コラーゲン複合体繊維の分散物に、φ4mm×10 mmの焼結アパタイトをディッピングした後、−80℃に設定した凍結器内に入れ、凍結させた。得られた凍結乾燥体を実施例1(6) と同様に熱脱水架橋した。
【0060】
樹脂に、実施例2のコアとした焼結アパタイト(φ4mm×10 mm)よりやや大きい細長の穴をカッターで掘り、測定治具を作製した。この治具に実施例2を嵌め、側面及び端面の間隙の面積率を求めた。具体的には、側面及び端面の写真を撮影し、写真を使って面積600 mm2辺りに占める実施例2と治具との間隙の割合を求めた。結果を表1に示す。治具に嵌めた実施例2の写真を図8に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
比較例1
実施例2と同じ治具に焼結アパタイト(φ4mm×10 mm)を嵌め、間隙の面積率を求めた。結果を表1に併せて示す。また治具に嵌めた比較例1の写真を図9に示す。
【0063】
実施例3
実施例2 と同様に調製したアパタイト/コラーゲン複合物繊維の分散物に、φ4mm×10 mmの焼結アパタイトをディッピングした後、−80℃に設定した凍結器内に入れ、凍結させた。得られた凍結乾燥体を実施例1(6) と同じ条件で熱脱水架橋した。
【0064】
実施例4
実施例2 と同様に調製したアパタイト/コラーゲン複合物繊維の分散物を焼結アパタイトペレット(φ4mm×2.5 mm、気孔率87%)に塗布した後、−80℃に設定した凍結器内に入れ、凍結させた。得られた凍結乾燥体を実施例1(6) と同じ条件で熱脱水架橋した。
【0065】
実施例4を加圧し、変位量を測定した。測定結果を図10に示す。
【0066】
実施例5
実施例2と同様に調製したアパタイト/コラーゲン複合体繊維の分散物に、焼結アパタイトの顆粒(粒径4〜6mm)をディッピングした後、−80℃に設定した凍結器内に入れ、凍結させた。得られた凍結乾燥体を実施例1(6) と同じ条件で熱脱水架橋した。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の複合体の一例を示す断面図である。
【図2】柱状の複合体の使用状態の一例を示す概略断面図であり、(a) は骨補填部位を示し、(b) は補填部位に埋入した補填材を示す。
【図3】本発明の複合体の別の例を示す断面図である。
【図4】本発明の複合体のさらに別の例を示す断面図である。
【図5】本発明の複合体のさらに別の例を示す断面図である。
【図6】粒状の複合体の使用状態の一例を示す概略断面図であり、(a) は骨補填部位を示し、(b) は補填部位に埋入した補填材を示す。
【図7】複合体の製造工程を示す断面図であり、(a) はアパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む多孔質体を示し、(b) は多孔質体からなる筒状体を示し、(c) はリン酸カルシウム多孔体を充填した筒状体を示し、(d) は板状の多孔質体を接合した筒状体を示す。
【図8】治具に充填した実施例2の写真である。
【図9】治具に充填した比較例1の写真である。
【図10】実施例4が加圧力に対して変位した量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0068】
1・・・リン酸カルシウム多孔体
1a・・・柱状リン酸カルシウム多孔体
1b・・・粒状リン酸カルシウム多孔体
2・・・アパタイト/コラーゲン複合物
20・・・アパタイト/コラーゲン複合物繊維を含む多孔質体
21・・・穴
22・・・筒状体
3・・・骨
30・・・欠損部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸カルシウムと、アパタイト/コラーゲン複合物とからなる複合体であって、前記リン酸カルシウムが前記アパタイト/コラーゲン複合物に内包されていることを特徴とする複合体。
【請求項2】
請求項1に記載の複合体において、前記リン酸カルシウムが多孔質であることを特徴とする複合体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複合体において、前記リン酸カルシウムが焼成されていることを特徴とする複合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の複合体において、前記リン酸カルシウムが粉状及び/又は粒状であることを特徴とする複合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の複合体において、前記リン酸カルシウムの表面に前記アパタイト/コラーゲン複合物からなる層が形成されていることを特徴とする複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−159935(P2007−159935A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362355(P2005−362355)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度、文部科学省、生体置換型有機無機複合人工骨の製造技術の委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】