説明

リールを輸送する方法及び装置並びに船の貨物スペース内での中甲板及び中甲板用装置

【課題】船の重心が過度に下がらず、横揺れ周期が過度に短くなることのない、金属帯材リールを積載する船を提供する。
【解決手段】リール1が少なくとも部分的に船の貨物スペース3内に配置される、リール1を船2で輸送する方法及び装置に関する。該装置は、その内部の所定位置に配置されたリール1を少なくとも水平方向及び下方向に対して保持するリールホルダ4を備えており、該リールホルダ4は、船の底6よりも船2のメタセンターにより近くで、船の貨物スペースの底6からある距離に配置された船の貨物スペース3内にて中甲板5上に配置されている。海上輸送をするとき、リール1に対する輸送支持体として使用される中甲板及び船の貨物スペース3内での中甲板の配置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールが船の貨物スペース内に少なくとも部分的に配置される、リールを船で輸送する方法に関する。
本発明は、また、リールが船の貨物スペース内に少なくとも部分的に配置される、リールを船で輸送する配置にも関する。
【0002】
本発明は、リールを海上輸送するための輸送支持体として使用される中甲板に更に関する。
本発明は、また、船の貨物スペース内での中甲板の配置にも関する。
【0003】
本発明は、リール、特に、金属帯材リールを船で輸送することに関するものである。しかし、本発明の方法及び配置は、異なる型式の円筒状の物品を輸送するためにも使用することができる。
【0004】
かかるリールは、従来、船の貨物スペースの底に置いて輸送されており、このことは、リールは貨物スペースの壁及び底に対して支持され得るように貨物スペースの底に直接、配置されることを意味する。リールは、互いに係止した状態にされ、また、最頂部層のリールがその下部層の2つのリールにより支持されるような仕方にてリールを互いの頂部に配置することにより船に対して移動することはできない。更に、リールは、使い捨ての金属条片にて結束されている。リールは、また、木片によっても支持されている。
【0005】
この従来の配置の問題点の1つは、従来の方法を使用して、リールが積込まれた船は、過度に安定した状態となり、従って、船の横揺れ周期が短くなることである。
このことは、積載した船のメタセンター高さ(GM)が高いためである。換言すれば、重いリールが貨物スペースの底に配置されるから、積載した船の重心(G)は船の底に比較的近くなる。このため、積載した船の重心(G)は、船のメタセンター(M)から遥かに離れた位置となる。
【0006】
従来の配置において、輸送中、船が荒浪を受けたとき、リールが船の貨物スペース内の所定位置にて動かないままであるようにすべくリールを配置し且つ結束することが難しい。特に、金属帯材リールは極めて重いため、リールを支持するため配置される木片は、通常、その金属帯材リールが動くときに潰れる。
【0007】
リール、特に、金属帯材リールの寸法も増大している。金属帯材リールの重量が30乃至35トンとなることがある。その結果、貨物スペースの底に面する金属帯材リールの表面は全体として小さいため、貨物スペースの底にて許容される最大集中荷重を上廻ることがある。リールの寸法の増大に伴い、リールを所定位置に係止するため係止リールをリールの間に配置しても安全ではない。
【発明の簡単な説明】
【0008】
本発明の1つの目的は、上述した問題点を解決するためリールを船で輸送するための方法及び配置を提供することである。
実質的に所定位置に配置されたリールを少なくとも水平方向及び下方向に対して保持するリールホルダを使用することと、貨物スペースの底よりも船のメタセンターにより近く、船の貨物スペースの底からある距離に配置された船の貨物スペース内で中甲板上にリールホルダを配置することとを特徴とする方法によって本発明の目的は達成される。
【0009】
本発明の配置は、これに相応して、実質的に所定位置に配置されたリールを少なくとも水平方向及び下方向に対して保持するリールホルダを備えることと、貨物スペースの底よりも船のメタセンターにより近く、船の貨物スペースの底からある距離に配置された船の貨物スペース内で中甲板上にリールホルダを配置することとを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、海上輸送するとき、リールに対するリールの輸送支持体として使用される中甲板であって、リールが移動するのを防止する手段を有する少なくとも1つのリールホルダを備え、該手段が、少なくとも水平方向及び下方向に向けて実質的に所定位置にてリールホルダ内に配置されたリールを保持するように配置され、また、船の底よりも船のメタセンターにより近く船の貨物スペースの底からある距離にて船の貨物スペース内で中甲板を配置するための手段を有することを特徴とする中甲板にも関するものである。
【0011】
本発明は、貨物スペースの底から上方のある距離に配置することのできる中甲板であって、リール用の少なくとも1つのリールホルダを有する上記中甲板を備えることと、格納スペースと、少なくとも1つのリールをリールホルダ内に配置することのできる第二の位置との間にて中甲板を移動させる配置を有する中甲板の配置を備えることとを特徴とする中甲板の配置に更に関する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態が独立請求項に開示されている。
本発明は、積載した船の重心は船のメタセンターにより近くまで移動するから、重いリールを船のメタセンターにより近い位置に、より正確には、リールホルダ内に配置し、これらリールホルダは、貨物スペースの頂部分内にて中甲板上に配置され、また、船のメタセンター高さを低くするため貨物スペースの底よりも船のメタセンターにより近い位置に配置されるようにするという着想に基づくものである。その結果、船の横揺れ周期は増し且つ減速する。これと同時に、貨物に加えられる変形力は減少する。
【0013】
貨物の状態及び輸送形態に関して、本発明の解決策においてリールはリールホルダ内に配置されるから、本発明の解決策は、リールを船の底に配置するとき、船の貨物スペースの底にてリールを互いに係止する適宜な係止リールが省略できるという利点をもたらす。このことは、船の積込み速度を速めることにもなる。リールを船に積込み且つこれに相応してリールを船から荷降ろしするクレーンの運転者は、船の貨物スペース内でリールホルダを明確に見ることができるため、邪魔されずに積込み領域を確認することができる。リールを中甲板上のリールホルダ内に配置することは、プログラム化可能なクレーン及び自動のリール掴みはさみ具を使用して行うことができ、このため労働コストを削減する。本発明の解決策は、また、船の積込み及び荷降ろし速度も速める。
【0014】
船における個々のリールの位置は既知であり、リールはリールホルダ内に配置されるため、リールは任意の順序、例えば、荷受人の希望に従って船から搬出することができる。
本発明の解決策は、また、例えば、1回以上使用可能であるベルトを使用してリールホルダがリールを船に固定することを許容するという利点をも提供する。
【0015】
本発明は、何ら追加的な支持体無しにてリールがリールホルダ内に固定されたままであり、このため、リールの船への積込み及び船からの荷降ろしを容易にするという1つの利点を更に提供する。本発明の解決策は、使い捨ての固縛材又は木材を必要としないため、上記の解決策は環境的に好ましい。
【0016】
本発明の1つの好ましい実施の形態において、船の貨物スペースの底の上方に配置され、また、貨物スペースの露天甲板の下方にも配置されたリールホルダ内にリールが配置される。このように、露天甲板はリールがリールホルダから変位するのを防止することができる。このため、この好ましい実施の形態において、リールを必ずしもリールホルダに別個に固定する必要はない。リールが中甲板と露天甲板との間に配置されるため、これらリールは移動せず、従って船に危険性を生じさせることはない。リールは簡単にリールホルダに取り付けられ、その後、別個の固定要素を必要とせずにリールがリールホルダ内に留まるような仕方にて露天甲板が閉じられるから、荷扱い人がリールを配置したり又は例えば、船の貨物スペースに楔又はマットを配置する必要はない。リールは露天甲板の下方にてリールホルダ内に配置されるから、リールが移動し且つ損傷させる危険性は全くない。リールは別個に固定されないため、固定材料が何らの廃材すなわち費用を発生することはない。
【0017】
本発明の解決策は、また、例えば、コンテナを船の貨物スペースの中甲板の下方で且つ露天甲板の上方に配置することができるため、船の貨物スペースをより効率的に使用することも許容する。本発明の解決策は、貨物を船に適宜に積込み且つ船の積込み及び荷降ろしを常時、同一の順序で行うことを許容する。このため、荷受人は、船から荷降ろしすべき貨物及びその荷降ろしする時を予め知ることができる。このため、荷降ろしする側の端部に予め、適宜な装置により適宜な番号を付すことができる。このことはもちろん積込み側の端部にも当て嵌まる。
【0018】
本発明の解決策は経済的で且つ環境的に有利な点をもたらす。船の最適なメタセンター高さGMは、航路をより適宜に選ぶことを許容し、これにより、石油の消費量及び例えば海峡の通行料を軽減することを可能にする。
【0019】
以下に、添付図面を参照しつつ、好ましい実施の形態により本発明をより詳細に説明する。
【発明の詳細な説明】
【0020】
図1には、リール1が少なくとも部分的に船の貨物スペース3内に配置される、リール1を船2で輸送するための1つの配置が図示されている。
本発明のこの配置は、実質的に所定位置に配置された状態にリール1を船2に対して少なくとも水平方向及び下方向に保持する少なくとも1つのリールホルダ4を備えている。これと代替的に、リールホルダ4がリール1を所定位置に、異なる方向に関して保持するようにしてもよい。また、個々のリールホルダ4が幾つかのリール1を所定位置に保持するようにしてもよい。この目的のため、リールホルダ4は、リールの移動を防止する手段(参照番号で表示せず)を備えている。
【0021】
図3において、リールの移動を防止する上記手段は、互いに傾斜した2つの面21を備えている。図3において、これらの傾斜面21は、リールホルダ4の中心線(図面に表示せず)の両側に、この中心線にして対称に配置されている。更に、上記の傾斜面21は実質的に同様の撓み角度を有している。リール1の移動を防止する手段は、これと代替的に、図3に図示した傾斜面21と同一の方法によって配置されることが望ましい円弧状面(図示せず)を備えるようにしてもよい。
【0022】
リールホルダ4は、貨物スペース3内で、船の中甲板5上に配置されている。中甲板は、船の貨物スペースの底6から距離をもって、貨物スペースの底6の上方に、貨物スペースの底6よりも船2のメタセンター(図面に図示せず)に近い位置で、配置されている。
【0023】
中甲板5は、船2から分離させることができ、又は、任意の手段により、所望の位置、例えば船の重心(図示せず)まで移動させることができる。可動式の中甲板5により、貨物スペース3内により多数の物品を積込むことができるように中甲板5を配置することができる。
【0024】
リールホルダ4は、少なくとも一本の線(参照番号で表示せず)の内に、又は、船2に関して、例えば船の軸方向中心線(図示せず)に関して、対称な方法で、中甲板5上に配置されることが望ましい。かかる配置により、重いリール1を、船2の釣り合いが減少しないように、船2に対して左右対称に配置することを可能とする。
【0025】
リールホルダ4には、リールホルダ4とリール1との間に配置されるようにされた可撓性のコーティング22が施されることが好ましい。
リールホルダ4は、例えば、溶接により中甲板5上で動かないように固定されることが好ましい。
【0026】
これと代替的に、リールホルダ4は、中甲板5に脱着可能に固定してもよい。このことは、リール1をリールホルダ4と共に船の貨物スペース3内で中甲板5の上に持上げる前に、リール1を配置し且つリールホルダ4に固定することを可能とする。リールホルダ4及びフレーム構造体5は、リールホルダ4をフレーム構造体5に対して係止する適合可能な締結具(図示せず)を備えることが好ましい。
【0027】
リールホルダ4はまた、図1及び図3に図示するように、中甲板5の凹部にて部分的に形成することができる。リールホルダ4が中甲板5の凹部にて形成されるならば、貨物スペース3内でリールホルダ4及び中甲板5が占めるスペースは僅かな程度である。
【0028】
中甲板5は、貨物スペースの底6よりも船2のメタセンターにより近くで船の貨物スペースの底6からある距離にて中甲板5を船の貨物スペース3内に配置するための手段を備えている。貨物スペースの底6よりも船2のメタセンターにより近くで船の貨物スペースの底6からのある距離にて中甲板5を船の貨物スペース3内に配置するための上記手段は、貨物スペース内の両壁上の中甲板の支持体16の間を伸び得るような寸法及び形状とされた中甲板5自体の図面に形成されている。図面において、中甲板5は、折畳み型中甲板の支持体16の頂部で貨物スペース3の側壁上に配置され、中甲板5が貨物スペースの両側部にて中甲板の支持体16の間を伸びるようにすることが好ましい。貨物スペース3の側壁に向けて方向変更した中甲板の支持体16は、特に、中甲板5が使用されないとき、実質的に平らな貨物スペース3の壁と、積込みが容易である貨物スペースとを実現することを可能にする。
【0029】
中甲板は、船2で輸送しようとするリール1以外のその他の型式の物品をその上に配置することもできる中甲板5とすることが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。もちろん、かかる中甲板5をより多数設けてもよい。該中甲板5はまた、例えば、図2に図示するように、幾つかの中甲板部分10にて形成することもできる。
【0030】
本発明の配置が付与された船2はまた、別の方法又は別の配置に従ってリール1を輸送するために使用することもできる。これらリール1は、例えば、貨物スペースの底6に配置することができる。
【0031】
本発明の配置は、貨物固縛ロープ(図示せず)又は同様のものに対する固定点(図示せず)を備え、これらの固定点は、中甲板5に配置されることが好ましい。貨物固縛ロープは、船2が動くとき、リール1がリールホルダ4内で動くのを防止する。
【0032】
図面において、中甲板5は、露天甲板7の高さの下方に配置されている。このように、図面に図示した配置において、露天甲板7は、露天甲板7が船の貨物スペース3を閉じるとき、リール1がリールホルダ4から持上がるのを防止するように配置されている。中甲板5と露天甲板7との間の距離は、例えば、船2が荒浪にて下方に動くとき、船の動作のため、リール1がリールホルダ4から持上がったり又はリールホルダ4から出ることができないように選ばれる。中甲板5と露天甲板7との間の距離は、例えば、船2で輸送すべきリール1の直径及びリールホルダ4の構造に依存する、換言すれば、露天甲板7の反対に向けた中甲板5の表面からリールホルダ4がリール1を持上げる程度に依存する。このように、露天甲板7の下面8とリール1との間の距離は可能な限り短いことが好ましい。これと代替的に、露天甲板7がリール1を押し又は該リールに対して配置されるような仕方にて露天甲板7の下面8をリール1に固定してもよい。
【0033】
船2が荒浪にて下方に動くとき、リール1が上方に移動する際、リール1によって生ずる変形力及び荷重に露天甲板7が耐えるような仕方にて通常よりもより効率的に露天甲板7を船2の肋材に固定(係止)することが好ましい。
【0034】
露天甲板7の下面8は実質的に平らであることが好ましい。このことは、リール1を露天甲板7によってリールホルダ4内の所定位置に保持することを一層容易にすることになる。
【0035】
露天甲板7の下面8には、露天甲板7の下面8を保護し得るように配置された可撓性のコーティング9を施すことが好ましい。該可撓性のコーティング9は、ゴムから成ることが好ましい。
【0036】
図2には、中甲板装置を備える船2を示す。この中甲板装置では、幾つかの中甲板部分10から形成された中甲板5は、該中甲板が貨物スペース3の壁を少なくとも部分的に形成するように、換言すれば、該中甲板が船の貨物スペース3の側部/端部に格納されるように、向きを変えることができる。図2において、貨物スペース3の端部は、中甲板用の格納スペース20を備えている。かかる配置は、また、リールホルダが使用されないとき又は貨物が中甲板5の下方にて貨物スペース3内に配置されるとき或いは貨物が貨物スペースから荷降ろしされるとき、リールホルダ4を保護することになる。また、中甲板5の方向を変更するその他の機構を使用することもできる。
【0037】
中甲板5は、船の貨物スペース3内で輸送されるバルク物が中甲板5と船の貨物スペース3の壁との間で移動して、例えば、格納スペース20に達し、リールホルダ4を汚したり又は破断させる可能性を防止し得るように配置された密封装置(図示せず)を備えることが好ましい。その結果、バルク貨物を輸送した後、船の貨物スペース3を必ずしも洗浄する必要はなく、直ちに貨物を積込むことができる。
【0038】
本発明の配置は、中甲板5の向きを変更するため液圧装置(図示せず)を備えることが好ましい。これと代替的に、中甲板5は、別の方法でその向きを変更しするようにしてもよい。
【0039】
図2には、共に折畳まれることが可能な幾つかの中甲板部分10から中甲板5が形成された装置が図示される。中甲板部分10は、継手(参照番号で表示せず)を使用して互いに固定されることが好ましい。かかる配置は、船の貨物スペースの部分に中甲板5の下方にて積込み且つその内部の貨物を荷降ろしするため、大きい貨物スペース3の中甲板5の脇で簡単に折畳むため使用することができる。図2の中甲板部分10は、露天甲板を格納スペース20に向けて方向変更するとき、露天甲板7を閉じることができるような寸法とすることが好ましい。
【0040】
図4a乃至図4eには、中甲板部分10を貨物スペース3内に配置するための1つの配置が図示されており、ここで、中甲板部分10を貨物スペース3内に配置するための持上げアーム装置11が配置されている。単一の中甲板部分10は、中甲板部分10の反対側部に配置された2つのかかる持上げアーム装置11を備えることが好ましい。一方の中甲板部分10の重量は、約40トンとなり、このため、2つの持上げアーム装置11を使用することが好ましい。1つの中甲板部分10が2つの持上げアーム装置11を備えるならば、該中甲板部分は、持上げアーム装置11が同時に且つ等しい高速度にて方向変更することを許容する同期化装置(図示せず)を備えることも好ましい。
【0041】
図4a乃至図4eは、例えば船に積込まれるために、上方を向くように向きを変えられた状態の露天甲板7を示す。
図4aには、中甲板部分10が貨物スペース3の他端にて実質的に垂直である状態が図示されている。この図面には、また、一例として、中甲板部分10が船の貨物スペースの底6からある距離にて所定位置に配置されたとき、中甲板5の下方に配置されるような仕方にて船の貨物スペース3内に積込まれた2つのコンテナ13が図示されている。この図面において、格納スペース20が船の貨物スペース3内で中甲板部分10に対して形成されるが、その内部に格納された状態の上記部分は、不使用時には、貨物スペース3内の空間を占有することはない。この図面の配置は、また、中甲板部分を格納スペース20から持上げる装置(参照番号で表示せず)も備えている。この図面において、本装置は、液圧シリンダ12と、中甲板部分の制御装置(参照番号で表示せず)とを備えており、この制御装置は、中甲板部分が中甲板部分10の下方に配置された貨物、すなわち図面に示したコンテナ13を損傷させないように、中甲板部分10を格納スペース20から貨物スペース3まで方向変更し得るように配置されている。図面において、中甲板部分の制御装置は、レール14を備えており、このレール14内にて、液圧シリンダ12及び持上げアーム装置11が中甲板部分10を持上げるとき、中甲板部分10に固定された制御ロール15が動くように配置されている。この図面には、幾つかのかかる制御ロール15を備える1つの配置が図示されている。この持上げアーム装置11は、持上げアーム装置11により中甲板部分10の方向を変更する液圧装置を備えることが好ましく、この液圧装置は、中甲板部分10又は持上げアーム装置11を直接制御するように配置されている。
【0042】
図4aの配置は、液圧シリンダ12が最初に、中甲板部分10を上方に持上げ、その後に、持上げアーム装置11が中甲板部分10を所定位置に方向変更するような仕方にて2ステップの配置に形成されることが好ましい。
【0043】
図4a乃至図4eには、中甲板部分10をその上に支持することのできる中甲板の支持体16も図示されている。中甲板の支持体16は、使用しないとき、貨物スペース3の側部が実質的に平らである、すなわち中甲板の支持体16が貨物スペース3の側部から突き出さないようにすることが好ましい。このことは、貨物スペース3に積込むことをより容易にする。中甲板の支持体16は、液圧又は手動装置を備えることが好ましく、この装置は、中甲板部分10又は貨物スペースの何れか一方又はその双方に配置された中甲板の支持体16を、中甲板部分10が中甲板の支持体16の頂部に配置されるような位置に配置することを許容する。上記支持体16は、該中甲板部分10が支持体16に接近するとき、該支持体16がその支持位置に自動的に制御されるような仕方にて機械的に制御されることが好ましい。
【0044】
図4bには、液圧シリンダ12が中甲板部分10を僅かに上方に持上げ、持上げアーム装置11が中甲板部分10を片手で貨物スペース3内に持上げ又は方向変更させ始める、図4aの後の状況が図示されている。
【0045】
図4cには、持上げアーム装置11が、貨物スベース3内にて、中甲板部分10の下方にてコンテナの頂部上の所定位置に中甲板部分10の方向を変更させた、図4bの後の状況が図示されている。
【0046】
図4dには、中甲板部分の折畳み装置が中甲板部分10の方向を変更し、これらの中甲板部分を船の貨物スペースの底から実質的に同一の距離にて船の貨物スペース3内で互いに隣接するように配置し始める、図4cの後の状況が図示されている。
【0047】
図4eには、中甲板部分10の折畳み装置が、中甲板部分10が船の貨物スペースの底6から実質的に同一の距離にて船の貨物スペース3内で互いに隣接するように中甲板部分10の方向を変更した、図4d後の状況が図示されている。その後、リール1を、中甲板部分10上にてリールホルダ4内に配置することができる。
【0048】
図5a乃至図5fには、中甲板部分10を中甲板部分の制御装置により船の貨物スペース3内の所定位置に方向変更することができる貨物スペース3内にて中甲板部分10を設定する配置が図示されている。この図面において、船の貨物スペース3内に中甲板部分10に対する格納スペース20が形成され、その内部に格納されたとき、上記の中甲板部分は、使用しないとき、貨物スペース3内のスペースを占めない。この図の配置は、また、格納スペース20から中甲板部分10を持上げる装置も備えており、この装置は、液圧シリンダ12を備えている。この図面において、中甲板部分の制御装置は、レール14を備えており、このレール14内にて、中甲板部分10に固定された制御ロール15が動くように配置される。この中甲板部分10は、液圧装置(図示せず)を使用して中甲板部分の制御装置内を動くようにされることが好ましい。
【0049】
図5a乃至図5fにはまた、露天甲板7が船に積込み得るように上方に方向変更した状態にある露天甲板7も図示されている。
この図面にはまた、その上に中甲板部分10を支持することのできる中甲板部分16も図示されている。
【0050】
中甲板の支持体16は、使用しないとき、貨物スペース3の側部が実質的に平らであるようにする、換言すれば中甲板の支持体16が貨物スペース3の両側部から突き出さないようにすることが好ましい。このことは貨物スペース3に積込むことをより容易にする。中甲板の支持体16は、液圧又は手動装置を備えて。中甲板部分10を中甲板の支持体16の頂部に配置することができるような位置に、中甲板部分10又は貨物スペース3の壁の何れか一方又はその双方に配置された中甲板の支持体16を配置することを許容する。上記の支持体16は、中甲板部分10が支持体16に接近するとき、支持体16をその支持位置に自動的に方向変更し得るような仕方にて機械的に制御されることが好ましい。
【0051】
図5bには、液圧シリンダが中甲板部分を僅かに上方に持上げた、図5aの後の状況が図示されている。
図5cには、中甲板部分10が中甲板部分10から離れるように方向変更し且つ船の貨物スペース3内でコンテナ13の頂部で移動し又は方向変更し始める、図5bの後が状況が図示されている。し
図5dには、第一の中甲板部分10が船の貨物スペース3内でコンテナ13の実質的に水平方向に既に配置され、また、船の貨物スペース3内でコンテナ13の上方で実質的に水平方向に配置された中甲板部分10が図面の右方向に移動したとき、第二の中甲板部分10が船の貨物スペース3内でコンテナ13の上方を動き始める、図5cの後の状況が図示されている。
【0052】
図5eには、図5dの後の状況が図示されている。
図5fには、中甲板部分10の双方が船の貨物スペースの底6から実質的に同一の距離にて船の貨物スペース3内で互いに隣接する位置に配置される、図5eの後の状況が図示されている。その後、リール1を中甲板部分10の上でリールホルダ4内に配置することができる。
【0053】
図6には、中甲板部分10を貨物スペース3内に設定する配置が図示されており、この貨物スペース3内にて、中甲板部分10は、互いの上方で格納スペース20を形成する、中甲板部分のマガジン16内に配置される。図6において、船の貨物スペースも同様に、2つの貨物スペース区画部(参照番号で表示せず)に分割され、格納スペース20が貨物スペース区画部の間に配置されている。
【0054】
マガジン16は、中甲板部分10を垂直方向に制御し得るように配置された垂直方向制御装置17を備えている。船2の貨物スペース3の上方部分は水平方向制御装置18を備えている。このように、最初に、中甲板部分10を船の貨物スペース3内の所定位置に取り付けることができることにより、マガジン16内にある上記部分を水平方向制御装置18の高さまで持上げ、その後、中甲板部分10を船の貨物スペース3内のその正確な位置まで水平方向に移動させる。マガジン16には、中甲板部分を持上げ且つこれに相応して下降させる持上げ装置(図面に図示せず)が設けられている。該マガジン16は、中甲板部分10がマガジン16内に格納されたとき、該中甲板部分を保護することを目的とする仕切壁19によって船の貨物スペース3から分離していることが好ましい。
【0055】
図6にはまた、船に積込むため上方に方向変更した状態の露天甲板7も図示されている。
本発明はまた、リール1が少なくとも部分的に船の貨物スペース3内に配置された、リール1を船2で輸送する方法にも関する。
【0056】
この方法は、実質的に所定位置に配置された状態のリール1を、船2に対して少なくとも水平方向及び下方向に関して保持するリールホルダ4を採用する。リールホルダ4は船の貨物スペース3内で中甲板5に対して配置され、中甲板は、貨物スペースの底6よりも船2のメタセンターにより近くで、船の貨物スペース3の底6からある距離に配置されている。
【0057】
本発明の方法において、リール1は、1つ又は複数の露天甲板7の下方に配置されたリールホルダ4内に配置されることが好ましく、また、リール1は上記1つ又は複数の露天甲板7によりリールホルダ4内に保持されている。
【0058】
船2に積込むとき、最初にリール1を、リールホルダ4内に配置し且つ固定し、次に、リール1をリールホルダ4と共に単一のユニットとして船2の貨物スペース内の中甲板5まで持上げ、その後に、該ユニットを中甲板5に固定する。リールホルダ4及び中甲板5は、例えば、リールホルダ4を中甲板5に固定する適合可能な締結具(図示せず)を備えることができる。
【0059】
当該技術分野の当業者には、中甲板部分10を貨物スペース3内に配置するため該船は、上記中甲板の配置の幾つかを備えることが可能であることが明らかである。
また、当該技術分野の当業者には、リールを船2で輸送する方法及び配置は、本発明の中甲板及び(又は)中甲板の配置の好ましい実施の形態も具体化可能であることが明らかである。
【0060】
当該技術分野の当業者には、技術の進歩に伴い本発明の基本的着想は色々な方法にて実現可能であるように改良することが可能であることが更に明らかである。このように、本発明及びその好ましい実施の形態は、上記の実施例にのみ限定されず、特許請求の範囲内で変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の装置を備える船の側面図である。
【図2】中甲板が幾つかの中甲板部分により形成され、また、中甲板を共に折畳むことができる装置の図である。
【図3】本発明の装置を備える、船の断面図(図1の線A−Aに沿った)である。
【図4a】4aは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する1つの装置を示す図である。
【図4b】4bは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の装置を示す図である。
【図4c】4cは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の装置を示す図である。
【図4d】4dは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の装置を示す図である。
【図4e】4eは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の装置を示す図である。
【図5a】5aは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する第二の装置を示す図である。
【図5b】5bは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の第二の装置を示す図である。
【図5c】5cは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の第二の装置を示す図である。
【図5d】5dは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の第二の装置を示す図である。
【図5e】5eは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の第二の装置を示す図である。図である。
【図5f】5fは、中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する別の第二の装置を示す図である。
【図6】中甲板部分を貨物スペース内の所定位置に配置する第三の装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール(1)が船の貨物スペース(3)内に少なくとも部分的に配置される、リール(1)を船(2)で輸送する方法において、
実質的に所定位置に配置されたリール(1)を少なくとも水平方向及び下方向に対して保持するリールホルダ(4)を使用し、このリールホルダ(4)は、船の貨物スペースの底(6)から距離をもって貨物スペースの底(6)よりも船(2)のメタセンターにより近くに配置された中甲板上に配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、リール(1)は、露天甲板(7)の高さよりも下方に配置されたリールホルダ(4)内に配置され、該リール(1)は、露天甲板(7)によりリールホルダ(4)内に保持されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、リール(1)は、最初に、リールホルダ(4)内に配置され、その後に、リール(1)はリールホルダ(4)と共に船の貨物スペース内で中甲板(5)に配置され且つ該中甲板(5)に固定されることを特徴とする方法。
【請求項4】
リール(1)が船の貨物スペース(3)内に少なくとも部分的に配置される、リール(1)を船(2)で輸送する装置において、
実質的に所定位置に配置されたリール(1)を少なくとも水平方向及び下方向に対して保持するリールホルダ(4)を備え、このリールホルダ(4)は、船の貨物スペースの底(6)から距離をもって貨物スペースの底(6)よりも船(2)のメタセンターにより近くに配置された中甲板上に配置されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の配置において、中甲板(5)が露天甲板(7)の高さよりも下方にあることと、露天甲板(7)が船の貨物スペース(3)を閉じるとき、リール(1)がリールホルダ(4)から持上るのを防止し得るように露天甲板(7)が配置されることとを特徴とする、配置。
【請求項6】
海上輸送するとき、リール(1)に対する輸送支持体として使用される中甲板(5)において、リール(1)の移動を防止する手段を有する少なくとも1つのリールホルダ(4)を備え、該手段が、実質的に所定位置にてリールホルダ(4)内に配置されたリール(1)を少なくとも水平方向及び下方向に対して保持するように配置され、
また、船の底(6)よりも船(2)のメタセンターにより近く、船の貨物スペースの底(6)からある距離にて船の貨物スペース(3)内に中甲板(5)を配置するための手段を有することを特徴とする、中甲板。
【請求項7】
請求項6に記載の中甲板において、リールホルダ(4)が中甲板(5)の凹部にて形成されることを特徴とする、中甲板。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の中甲板において、リールホルダ(4)には、該リーフホルダ(4)とリール(1)との間に配置されるように設定された減衰コーティング(22)が施されることを特徴とする、中甲板。
【請求項9】
船の貨物スペース(3)内の中甲板用装置において、
貨物スペースの底(6)から上方のある距離に配置することのできる中甲板(5)であって、リール(1)用の少なくとも1つのリールホルダ(4)を有する前記中甲板(5)を備えることと、格納スペース(20)と、少なくとも1つのリール(1)をリールホルダ(4)内に配置することのできる位置たる、第二の位置との間にて中甲板を移動させる装置を有することとを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項10】
請求項9に記載の中甲板用装置において、中甲板(5)が貨物スペース(20)内にあるとき、貨物スペース(3)を閉じる露天甲板(7)が閉じることができるようにしたことを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の中甲板用装置において、第一の位置において、中甲板(5)が露天甲板(7)と貨物スペース(3)の底(6)との間に配置され、リール(1)をリールホルダ(4)内に配置することができることと、貨物スペース(3)を少なくとも部分的に閉じるように露天甲板(7)を採用することにより露天甲板(7)によりリール(1)をリールホルダ(4)内に保持することができるようにしたこととを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項12】
請求項9乃至11の何れか1つに記載の中甲板用装置において、船(2)に固定されたレール(14)又は相応する制御装置と、レール(14)に沿って又は相応する制御装置内にて動くように配置された中甲板(5)により固定された制御ロール(15)又は同様のものとを備えることを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか1つに記載の中甲板用装置において、中甲板(5)を格納スペース(20)内の実質的に水平位置に向きを変更できるようにしたことを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項14】
請求項13に記載の中甲板用装置において、中甲板が少なくとも部分的に船(2)の貨物スペース(3)の壁を形成するような仕方にて中甲板(5)を水平位置に向きを変更できるようにしたことを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項15】
請求項9乃至14の何れか1つに記載の中甲板用装置において、中甲板(5)が幾つかの中甲板部分(10)にて形成されることを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項16】
請求項15に記載の中甲板用装置において、中甲板部分(10)がヒンジ機構を使用して共に接続されることと、中甲板(5)を共に折畳むことができることとを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項17】
請求項15に記載の中甲板用装置において、中甲板部分(10)が格納スペース(20)内にて次々と上に配置することができることを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項18】
貨物スペース(3)が幾つかの貨物スペース区画部に分割される、請求項9乃至17の何れか1つに記載の中甲板用装置において、格納スペース(20)が2つの隣接する貨物スペース区画部内に配置されることを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項19】
請求項9乃至18の何れか1つに記載の中甲板用装置において、露天甲板(7)の下面(8)が実質的に平らであることを特徴とする、中甲板用装置。
【請求項20】
請求項9乃至19の何れか1つに記載の中甲板用装置において、露天甲板(7)の下面(8)には可撓性コーティング(9)が施されることを特徴とする、中甲板用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−37443(P2011−37443A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−229233(P2010−229233)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2001−550103(P2001−550103)の分割
【原出願日】平成12年12月22日(2000.12.22)
【出願人】(502236079)