説明

リールモアの刈高さ調整機構

【課題】刈高範囲の調整後に、再度リール回転刃と後ローラの、平行状態を取り戻す為の、リールモアの刈高さ調整機構を提供する。
【解決手段】リールモアユニット1において、後ローラ8の高さを段階的に調整して、刈高範囲の変更を可能とした構成において、刈高範囲の調整後に、リール回転刃32と前記後ローラ8の平行状態を再度得る為の調整機構であって、前記リールモアユニット1の左右のモア側板10aに付設した左右の後ローラブラケット53の高さを微調整可能に構成し、該後ローラブラケット53の微調整機構は、調整孔53aに挿入した偏心カム54を回転させて、該偏心カム54の嵌入筒部54cを上下させることにより、前記後ローラブラケット53の高さを微調整可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールモアにおいて刈高範囲を調整した後に、リール回転刃と後ローラの平行状態を調整可能とする機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ゴルフ場の芝生等を精密な高さに刈取るリールモアの、刈り高さを精密に設定する際の、リール回転刃と後ローラの平行状態を得る為の調整機構に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−321122号公報
【特許文献2】特開2003−235320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が、解決しようとする課題は次の如くである。
刈り高さの微調整ではなくて、刈高範囲の調整において、10mm単位で刈高範囲を調整しただけでは、リール回転刃と後ローラとの間の平行状態が取れていない状態となっていることがあり、芝生の刈り後に乱れが出てくるのである。
本発明は、刈高範囲の調整後に、再度リール回転刃と後ローラの、平行状態を取り戻す為の、リールモアの刈高さ調整機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の手段をとる。
【0006】
請求項1においては、リールモアユニット(1)において、後ローラ(8)の高さを段階的に調整して、刈高範囲の変更を可能とした構成において、刈高範囲の調整後に、リール回転刃(32)と前記後ローラ(8)の平行状態を再度得る為の調整機構であって、前記リールモアユニット(1)の左右のモア側板(10a)に付設した左右の後ローラブラケット(53)の高さを微調整可能に構成し、該後ローラブラケット(53)の微調整機構は、調整孔(53a)に挿入した偏心カム(54)を回転させて、該偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)を上下させることにより、前記後ローラブラケット(53)の高さを微調整可能としたものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、前記偏心カム(54)による調整の際には、前記リール回転刃(32)の下方に一定の厚みのキー部材(60)を敷いて、前記リール回転刃(32)を持ち上げた状態で、前記後ローラ(8)の左右の位置が同じ高さとなるように前記偏心カム(54)により調整可能としたものである。
【0008】
請求項3においては、請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、前記偏心カム(54)の外周にはスパナ掛け六角部(54b)を構成し、前記偏心カム(54)の内周には偏心孔(54a)を穿設し、前記調整孔(53a)への嵌入用の嵌入筒部(54c)を構成したものである。
【0009】
請求項4においては、請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、前記偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)が嵌入する、前記後ローラブラケット(53)の調整孔(53a)は、連通した孔としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く、リールモアユニット(1)において、後ローラ(8)の高さを、段階的に調整して、刈高範囲の変更を可能とした構成において、刈高範囲の調整後に、リール回転刃(32)と後ローラ(8)の平行状態を再度得る為の調整機構であって、該リールモアユニット(1)の左右の側板支持アーム(10)に付設した左右の後ローラブラケット(53)の高さを微調整可能に構成し、該後ローラブラケット(53)の微調整機構は、調整孔(53a)に挿入した偏心カム(54)を回転することにより、偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)が上下することにより調整可能としたのでので、リール回転刃(32)を水平状態に維持した状態で、後ローラ(8)の左右の高さを、リール回転刃(32)の水平状態に合せるという上下調整を、該偏心カム(54)の回転により、簡単に行うことが可能となったものである。
【0012】
請求項2の如く、請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、前記偏心カム(54)による調整の際においては、該リール回転刃(32)の下方に一定の厚みのキー部材(60)を敷いて、該リール回転刃(32)を持ち上げた状態で、該後ローラ(8)の左右の位置が同じ高さとなるように、該偏心カム(54)により調整可能としたので、該リール回転刃(32)と後ローラ(8)との位置関係を平行にする為に、まずリール回転刃(32)の水平状態を維持し、次に、後ローラ(8)の水平状態を確保するという手順で調整することが可能となったものである。
【0013】
請求項3の如く、請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、前記偏心カム(54)の外周には、スパナ掛け六角部(54b)を構成し、内周には偏心孔(54a)を穿設し、調整孔(53a)への嵌入用の嵌入筒部(54c)を構成したので、スパナ掛け六角部(54b)にスパナを掛けることにより、オペレータが大きな力をかけずに、摩擦力の強い状態の、該偏心カム(54)を微妙な角度で回転することが可能となり、微調整が可能となったものである。
【0014】
請求項4の如く、請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、前記偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)が嵌入する、該後ローラブラケット(53)の調整孔(53a)は、連通した孔としたので、偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)の部分の径が大径となった場合に、左側の3段の調整孔(53a)の位置と同じ位置に、右側の調整孔(53a)を開口することが不可能となるが、連通した孔とすることにより、左右の調整孔(53a)の位置を調整することが可能となったのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の乗用リールモアの進行方向左側の前方からの全体斜視図。
【図2】本発明の乗用リールモアの進行方向左側の後方からの全体斜視図。
【図3】本発明の乗用リールモアの全体平面図。
【図4】左フロントモアユニット(1L)の昇降支持機構の前面図。
【図5】右フロントモアユニット(1R)の昇降支持機構の前面図。
【図6】左フロントモアユニット(1L)の支持部の平面図。
【図7】左フロントモアユニット(1L)の支持部の左側面図。
【図8】左フロントモアユニット(1L)を刈取り状態に下降した状態の前面図。
【図9】左フロントモアユニット(1L)を刈取り状態に下降した状態の左側面図。
【図10】左フロントモアユニット(1L)を上昇した状態の前面図。
【図11】左フロントモアユニット(1L)を上昇した状態の左側面図。
【図12】左フロントモアユニット(1L)の昇降支持機構を示す斜視図。
【図13】左フロントモアユニット(1L)を取り外して下面から見た斜視図。
【図14】左フロントモアユニット(1L)を取り外す際における水平回動枢支ピン(25L)と水平回動枢支筒(37L)の脱着を示す斜視図。
【図15】左モア駆動モータ(23L)の脱着を示す斜視図。
【図16】左揺動ストッパー(5L)の揺動阻止状態の斜視図。
【図17】左揺動阻止チエーン(3L)の斜視図。
【図18】芝生の刈高さ(h)の調整状態を示す側面図。
【図19】後ローラ(8L・8R)の高さを変更して刈高範囲を変更した場合の定盤上における調整状態を示す側面図。
【図20】芝生の刈高さ(h)調整における前ローラ(34L・34R)とサッチングローラ調整機構(57)の部分の斜視図。
【図21】後ローラ(8L・8R)により刈高範囲の調整を行う左側の調整機構を示す斜視図。
【図22】後ローラ(8L・8R)による刈高範囲の調整後の微調整を行う偏心カム(54)の部分の斜視図。
【図23】後ローラ(8L・8R)の刈高範囲の機構を示す斜視図。
【図24】図18に示す芝生の刈高さ(h)の調整を行う刈高ゲージ(50)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
まず、本発明の実施の形態について説明する。
図1と図2と図3において、乗用リールモアは、左右の前輪(11L・11R)と、操向輪である1輪の後輪(15)により、機体フレーム(6)を支持し、該機体フレーム(6)上にエンジンを搭載し、該エンジンをボンネット(14)で被覆している。
該ボンネット(14)の前方に、オペレータが座る座席シート(13)を配置し、該座席シート(13)の前部に、フロントコラム(17)をステップ(18)から立設し、該フロントコラム(17)より上方へステアリングハンドル(12)を突設している。
【0018】
該フロントコラム(17)の左側のステップ(18)の上に、ブレーキペダル(20)を配置し、該フロントコラム(17)の右側のステップ(18)上に、前進走行変速ペダル(21)と、後進走行変速ペダル(22)を配置している。
また、座席シート(13)の左側の機体フレーム(6)上に、バッテリー(16)を搭載し、座席シート(13)の右側の機体フレーム(6)の上に、燃料タンク(19)を搭載している。
【0019】
以上のように構成した乗用リールモアの車体に対して、機体の前部に、右フロントモアユニット(1R)と左フロントモアユニット(1L)を、左右に並べて配置し、車体の中央の下方に、前記右フロントモアユニット(1R)と左フロントモアユニット(1L)の間の部分の刈り残しを、刈り取る為のリアモアユニット(1C)を配置している。
該左フロントモアユニット(1L)と右フロントモアユニット(1R)は、左リフトアーム(9L)と右リフトアーム(9R)により、吊り下げ支持しており、昇降操作可能としている。
該左フロントモアユニット(1L)と右フロントモアユニット(1R)の上方への回動時に、揺動するのを阻止する為の、揺動ストッパー(5L・5R)が、機体フレーム(6)から突設され、フロントモアユニット(1L・1R)が上昇した状態で接当し、揺動を固定するように構成している。
【0020】
該左リフトアーム(9L)と右リフトアーム(9R)の先端に、左右の左右回動軸(35L・35R)を、水平方向の軸心回りで回動可能に枢支されており、左フロントモアユニット(1L)と右フロントモアユニット(1R)を支持している。
また、リアモアユニット(1C)は、車体の中央下方の位置から、車体の側方へ水平回動して取り出し、メンテナンスを可能としている。
左フロントモアユニット(1L)には、モア駆動モータ(23L)が外側の側面に付設されており、また、前方へはバケット(24L)が脱着可能に付設されている。
【0021】
図3は、本発明の乗用リールモアの全体平面図、図4は、左フロントモアユニット(1L)の昇降支持機構の前面図、図5は、右フロントモアユニット(1R)の昇降支持機構の前面図、図6は、左フロントモアユニット(1L)の支持部の平面図、図7は、左フロントモアユニット(1L)の支持部の左側面図、図8は、左フロントモアユニット(1L)を刈取り状態に下降した状態の前面図、図9は、左フロントモアユニット(1L)を刈取り状態に下降した状態の左側面図、図10は、左フロントモアユニット(1L)を上昇した状態の前面図、図11は、左フロントモアユニット(1L)を上昇した状態の左側面図である。
【0022】
機体フレーム(6)には、機体進行方向に向かって、枢支軸(29L・29R)が突設されており、該枢支軸(29L・29R)により左右のリフトアーム(9L・9R)の基部が枢支されている。該リフトアーム(9L・9R)の先端には、左右回動枢支筒(36L・36R)が固設されており、該左右回動枢支筒(36L・36R)の内部には、左右回動軸(35L・35R)が嵌装されており、該左右回動軸(35L・35R)の前端には、水平回動枢支筒(37L・37R)が固設されている。
該水平回動枢支筒(37L・37R)の内部に、フロントモアユニット(1L・1R)の左右の側板支持アーム(10・10)の間に架設した牽引杆(41L・41R)から、上方へ突設した水平回動枢支ピン(25L・25R)がその軸心方向を上下方向として嵌装されている。フロントモアユニット(1L・1R)の前部は、水平回動枢支筒(37L・37R)に水平回動枢支ピン(25)回りに左右水平回動可能に枢支されている。
また、左右の側板支持アーム(10・10)の下端部には、それぞれ左右の前後回動枢支軸(7・7)がその軸心方向を左右方向として嵌挿されている。フロントモアユニット(1)は、左右の前後回動枢支軸(7・7)回りに前後回動可能に支持されている。
【0023】
牽引杆(41L・41R)が側板支持アーム(10)から突出した左右端部に、バケット(24L・24R)を脱着自在に係止する、バケット係止杆(46L・46R)が前方へ突設されている。該フロントモアユニット(1L・1R)の下面には、前方から前ローラ(34L・34R)が枢支され、次に、サッチングローラ(40L・40R)が枢支され、次に、リール回転刃(32L・32R)が駆動すべく枢支され、その後に、該リール回転刃(32L・32R)の受刃(38L・38R)が配置され、その後部に、後ローラ(8L・8R)が支持されている。
該受刃(38L・38R)とリール回転刃(32L・32R)との間隙を調整する受刃間隙調整機構(49)が、フロントモアユニット(1L・1R)の側板の左右外側に設けられている。
該リール回転刃(32L・32R)と、サッチングローラ(40L・40R)は、モア駆動モータ(23L・23R)により駆動可能に構成されているが、前ローラ(34L・34R)と後ローラ(8L・8R)は、従動回転すべくフロントモアユニット(1L・1R)に支持されている。
【0024】
本発明においては、昇降油圧シリンダ(4L・4R)を伸縮して、リフトアーム(9L・9R)を介して、フロントモアユニット(1L・1R)を昇降した場合において、フロントモアユニット(1L・1R)の後部の後ローラ(8L・8R)の部分も、十分なリフトストロークで上昇すべく、図4から図9に示す如く構成したものである。
図7に示す如く、機体フレーム(6)とリフトアーム(9L・9R)の中途部との間には、該フロントモアユニット(1L・1R)の重量を相殺して、該昇降油圧シリンダ(4L・4R)の負荷を減少させる為に、付勢バネ(28L・28R)が介装されている。
【0025】
図6に示す如く、機体フレーム(6)に枢支軸(43)で枢支した、昇降油圧シリンダ(4L・4R)のピストンの前端には、摺動ガイド(2L・2R)が連結位置調整自在に調節ボルト(44L・44R)により連結されている。該摺動ガイド(2L・2R)の内側のガイド溝内にガイドピン(31L・31R)が遊嵌嵌装されている。この摺動ガイド(2L・2R)により、フロントモアユニット(1L・1R)が芝生面に下降して、刈取り作業を行っている場合には、摺動ガイド(2L・2R)の内部で、ガイドピン(31L・31R)が自由に移動可能となり、フロントモアユニット(1L・1R)が芝生面に追随する余裕を得るように構成しているのである。
【0026】
チエーン昇降アーム(26L・26R)は、リフトアーム(9L・9R)の下側の面に固設された、枢支軸(30L・30R)に回動自在に枢支されている。
該チエーン昇降アーム(26L・26R)の連結リンク(27L・27R)とは逆の側に、揺動阻止チエーン(3L・3R)が係止されている。
該揺動阻止チエーン(3L・3R)は、図17に示すように、係合ピン(45L・45R)により、フロントモアユニット(1L・1R)のカバー部分に係止されている。
【0027】
以上の如く構成したので、図8と図9の如く、フロントモアユニット(1L・1R)を刈取りの為に下降した場合と、図10と図11の如く、乗用リールモアの移動の為に上昇した場合でも、フロントモアユニット(1L・1R)を、図10と図11に示す如く、側面視で、前後の位置を略水平状態に維持することが出来るのである。
即ち、図8と図9の如く、フロントモアユニット(1L・1R)が下降した状態では、昇降油圧シリンダ(4L・4R)のピストンが伸長するので、該ピストンの先端の摺動ガイド(2L・2R)がチエーン昇降アーム(26L・26R)を下方へ自由に昇降可能な側に回動するのである。この状態では、摺動ガイド(2L・2R)の内部でガイドピン(31L・31R)が左右に移動可能に構成されているので、芝生面に対して、フロントモアユニット(1L・1R)が、フローティング状態で自由に追随することが出来るのである。
【0028】
次に、図10と図11に示す如く、昇降油圧シリンダ(4L・4R)が縮小して、フロントモアユニット(1L・1R)を引き上げた場合には、昇降油圧シリンダ(4L・4R)のピストンが摺動ガイド(2L・2R)を引っ張る方向に縮小し、該摺動ガイド(2L・2R)のガイド溝の端部に、ガイドピン(31L・31R)が係合し、連結リンク(27L・27R)を介して、チエーン昇降アーム(26L・26R)を、揺動阻止チエーン(3L・3R)が上がる方向に回動するのである。
これにより、フロントモアユニット(1L・1R)が乗用リールモアの移動の為に上昇された状態では、揺動阻止チエーン(3L・3R)を介して、フロントモアユニット(1L・1R)の後部が持ち上げられて、図11に示す如く、前後に略水平状態を維持したままで、上昇させることが出来るのである。
これにより、昇降油圧シリンダ(4L・4R)のストロークが大きくなくても、十分にフロントモアユニット(1L・1R)の上昇リフトストロークを得ることが出来るのである。
【0029】
図12は、左フロントモアユニット(1L)の昇降支持機構を示す斜視図、図13は、左フロントモアユニット(1L)を下面から見た斜視図、図14は、左フロントモアユニット(1L)を取り外す際における水平回動枢支ピン(25L)と水平回動枢支筒(37L)の脱着を示す斜視図、図15は、モア駆動モータ(23L)の脱着を示す斜視図、図16は、揺動ストッパー(5L)の揺動阻止状態の斜視図、図17は、揺動阻止チエーン(3L・3R)の斜視図である。
【0030】
前記機体フレーム(6)より、左右のフロントモアユニット(1L・1R)の上方へ向けて、揺動ストッパー(5L・5R)が突設されている。該揺動ストッパー(5L・5R)は、左右端が、下向きの「く」の字形に構成されており、フロントモアユニット(1L・1R)の上部の他の1本の補強杆(42L・42R)の上部に接当可能としており、昇降油圧シリンダ(4L・4R)により、フロントモアユニット(1L・1R)が上昇すると、該揺動ストッパー(5L・5R)が、補強杆(42L・42R)に接当して、該フロントモアユニット(1L・1R)の上下・前後・左右への揺動を阻止するように構成している。
【0031】
また、リフトアーム(9L・9R)の側端の左右回動枢支筒(36L・36R)に枢支されている左右回動軸(35L・35R)が、ある程度以上回動するのを阻止する、左右端上下回動ストッパー(33L・33R)が構成されている。該左右端上下回動ストッパー(33L・33R)は、左右回動枢支筒(36L・36R)と左右回動軸(35L・35R)との間で、ストッパー位置を調整可能に、調整ボルトと突起により構成されている。
【0032】
図14と図15においては、フロントモアユニット(1L・1R)を取り外す場合の手順について開示している。前記リフトアーム(9L・9R)に支持された水平回動枢支ピン(25)の部分から、フロントモアユニット(1L・1R)を取り外す際においては、該水平回動枢支ピン(25)に側方から嵌装したピン(47)を抜いた後に、ワッシャー(48)を外し、水平回動枢支筒(37L・37R)から水平回動枢支ピン(25)を下方へ抜くことが可能となっている。
また、フロントモアユニット(1L・1R)の側端部に付設したモア駆動モータ(23L・23R)は図15の如く、ボルトにより取り外し可能としている。
【0033】
図18は、芝生の刈高さ(h)の調整状態を示す側面図、図19は、後ローラ(8L・8R)の高さを変更して刈高範囲を変更した場合の定盤上における調整状態を示す側面図、図20は、芝生の刈高さ(h)調整における前ローラ(34L・34R)とサッチングローラ調整機構(57)の部分の斜視図、図21は左側の後ローラ(8L)の調整機構の部分の側面図、図22は、後ローラ(8L・8R)による刈高範囲の調整後の微調整を行う偏心カム(54)の部分の斜視図、図23は、後ローラ(8L・8R)により刈高範囲の調整を行う左側の調整機構を示す斜視図、図24は、図18に示す芝生の刈高さ(h)の調整を行う刈高ゲージ(50)の斜視図である。
【0034】
芝生の刈高さ(h)を調整する場合には、最初にリール回転刃(32)と受刃(38)との間隔を調整する刃合せを行うことが必要である。そして、該リール回転刃(32)と受刃(38)との間の間隙である刃合せを行う場合は、リールモアユニット(1)の左右に配置されている受刃間隙調整機構(49)の調整ナットを回して、リール回転刃(32)に対する受刃(38)の位置を調整する。
この受刃(38)とリール回転刃(32)の間隙の調整は、リールモアの切れ味の調整の為に必要である。また、切れ味を良くする為には、リール回転刃(32)を研磨する必要がある。
【0035】
図18においては、芝生の刈高さ(h)の調整状態を開示している。
該芝生の刈高さ(h)の調整に際しては、刈高ゲージ(50)を用いる。該刈高ゲージ(50)からは、調整ボルト(51)が上方へ突設されており、該調整ボルト(51)の突出量を調整する場合には、蝶ナット(52)を緩めてから、調整ボルト(51)を回転して、刈高ゲージ(50)に対する上方への突出量をゲージ(55)で、計測しながら調整する。該調整ボルト(51)の頭部の首下の位置と、刈高ゲージ(50)の上面との間の距離が芝生の刈高さ(h)となっている。
【0036】
そして、図18に示すように、調整ボルト(51)の頭部の首下に、受刃(38)の先端上部とが一致するように、刈高さ調整ナット(56)を回転して調整するのである。この芝生の刈高さ(h)の調整の場合には、後ローラ(8)の位置は固定したままで、左右の前ローラ(34)の高さを調整することにより行う。
該刈高ゲージ(50)は、リールモアユニット(1)の左右の下部に配置して、左右各々の位置で調整を行うのである。
前ローラ(34)の刈高さ調整ナット(56)を調整する際には、固定ナット(58)を緩めて、該前ローラ(34)が上下可能な状態としてから行う。
【0037】
前ローラ(34)の後部に配置したサッチングローラ(40L・40R)は、使用する場合と使用しない場合とがあり、サッチングローラ調整機構(57)により、使用・不使用との切換と、微調整を可能としている。即ち、使用・不使用の切換は、段付きナットの段の位置を変更することにより可能としている。
【0038】
次に図19に開示した、刈高範囲の調整をした後の、微調整について説明する。
リールモアユニット(1)のモア側板(10a)には、後ローラブラケット(53)が固定ボルト(61)により固定されており、該固定ボルト(61)を挿入する調整孔(53a)は、3段に開口されている。そして、該3段を選択することにより、10mm以下と、10乃至20mmと、20乃至30mmの刈高範囲が選定可能としている。
この刈高範囲を調整した後は、リール回転刃(32)と後ローラ(8)とが、平行状態となっているように、再度調整することが必要である。
【0039】
この刈高範囲を調整後のリール回転刃(32)と後ローラ(8)との平行状態の微調整の為に、リールモアユニット(1)の右側の後ローラブラケット(53)に、偏心カム(54)が付設されている。
該後ローラブラケット(53)の中の、左側のモア側板(10a)に付設したものは、単に3段階に調整するのみで、偏心カム(54)による微調整は不可能となっている。
右側の後ローラブラケット(53)の固定ボルト(61)に、偏心カム(54)が介装されているのである。
【0040】
該刈高範囲調整後の、リール回転刃(32)と後ローラ(8)の平行を得る為の調整は、水平な面の上で行う必要があり、例えば定盤(59)のような、水平面の上に、リールモアユニット(1)を載せて行う。この場合には、前ローラ(34)とサッチングローラ(40L・40R)は、解除して浮かした状態で調整を開始する。
該リール回転刃(32)の下面の左右にわたり、一定の厚みのキー部材(60)を敷いて、その上に、左右全体が密着する状態で、リール回転刃(32)を載置する。そして、キー部材(60)の上にリール回転刃(32)を載置して持ち上げた状態で、後ローラ(8)と定盤(59)の間隙を確認する為に、シックネスゲージを挿入する。シックネスゲージの代わりに、新聞紙を使うこともある。
【0041】
そして、後ローラ(8)と定盤(59)の間隙がシックネスゲージを左右幅の何処にも挿入できないような間隙となるように、偏心カム(54)を回転して調整する。
該偏心カム(54)の構造は、図22に示す如く、外周にスパナ掛け六角部(54b)を構成し、該スパナ掛け六角部(54b)には偏心した偏心孔(54a)を開口し、また後ローラブラケット(53)の調整孔(53a)に挿入可能とした嵌入筒部(54c)の部分を設けている。
【0042】
該嵌入筒部(54c)の部分を、調整孔(53a)に挿入して、スパナ掛け六角部(54b)を回転することにより、モア側板(10a)に対して後ローラブラケット(53)を上下させることが出来るのである。
左側の後ローラブラケット(53)の位置は、3段階に調整した後は固定し、後ローラ(8)の下部の間隙の調整は、右側の後ローラ(8)の位置を、偏心カム(54)の回転により上下することにより行うのである。
調整前は、後ローラ(8)の左右のどちらかが定盤(59)に接当し、他方は間隙が存在する状態となっているので、偏心カム(54)を回転することにより、左右の全域にわたり、シックネスゲージが挿入不可能となるように、高さ調整を行うのである。
【0043】
図22と図23に図示するように、左側の後ローラブラケット(53)には、別々となった調整孔(53a)が穿設されているが、右側の後ローラブラケット(53)には、大径の嵌入筒部(54c)が嵌入するので、左側よりも大きくなり、3つの調整孔(53a)が、連通した調整孔(53a)となっている。また、下方の固定ボルト(61)が挿入される孔は長孔(53c)に構成されている。
このような構成とすることにより、偏心カム(54)の回転により、後ローラ(8)の右端を上下に微動させて、リール回転刃(32)と後ローラ(8)との平行状態を作り出すことが出来るのである。
【符号の説明】
【0044】
1L 左フロントモアユニット
1R 右フロントモアユニット
10a モア側板
28 付勢バネ
38L・38R 受刃
40L・40R サッチングローラ
41L・41R 牽引杆
43 枢支軸
44L・44R 調節ボルト
45L・45R 係合ピン
46L・46R バケット係止杆
47 ピン
48 ワッシャー
49 受刃間隙調整機構
50 刈高ゲージ
51 調整ボルト
52 蝶ナット
53L・53R 後ローラブラケット
53a 調整孔
54 偏心カム
54a 偏心孔
54b スパナ掛け六角部
54c 嵌入筒部
55 ゲージ
56 刈高さ調整ナット
57 サッチングローラ調整機構
58 固定ナット
59 定盤
60 キー部材
61 固定ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールモアユニット(1)において、後ローラ(8)の高さを段階的に調整して、刈高範囲の変更を可能とした構成において、
刈高範囲の調整後に、リール回転刃(32)と前記後ローラ(8)の平行状態を再度得る為の調整機構であって、
前記リールモアユニット(1)の左右のモア側板(10a)に付設した左右の後ローラブラケット(53)の高さを微調整可能に構成し、該後ローラブラケット(53)の微調整機構は、調整孔(53a)に挿入した偏心カム(54)を回転させて、該偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)を上下させることにより、前記後ローラブラケット(53)の高さを微調整可能としたことを特徴とするリールモアの刈高さ調整機構。
【請求項2】
請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、
前記偏心カム(54)による調整の際には、前記リール回転刃(32)の下方に一定の厚みのキー部材(60)を敷いて、前記リール回転刃(32)を持ち上げた状態で、前記後ローラ(8)の左右の位置が同じ高さとなるように前記偏心カム(54)により調整可能としたことを特徴とするリールモアの刈高さ調整機構。
【請求項3】
請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、
前記偏心カム(54)の外周にはスパナ掛け六角部(54b)を構成し、前記偏心カム(54)の内周には偏心孔(54a)を穿設し、前記調整孔(53a)への嵌入用の嵌入筒部(54c)を構成したことを特徴とするリールモアの刈高さ調整機構。
【請求項4】
請求項1記載のリールモアの刈高さ調整機構において、
前記偏心カム(54)の嵌入筒部(54c)が嵌入する、前記後ローラブラケット(53)の調整孔(53a)は、連通した孔としたことを特徴とするリールモアの刈高さ調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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