説明

ルーバー窓、及びルーバー窓の施工方法

【課題】ルーバー羽根の幅方向両端部が室内視で枠体により隠蔽されて外観を向上させることができ、ルーバー羽根の取付け施工性にも優れるルーバー窓を提供する。
【解決手段】枠体と、ルーバー羽根と、ルーバー羽根を滑り出し式に開閉させる開閉機構を備え、開閉機構は、ルーバー羽根を保持するホルダー33を具備し、ルーバー羽根は、枠体の縦枠の見付け方向内側面間の距離のうち最も短い部位の距離より長い幅を有し、ルーバー羽根は、開閉機構が枠体に取り付けられた姿勢でホルダーから着脱可能に保持され、ホルダーにはルーバー羽根を保持する間隙を形成する立設部35が設けられており、最も上横枠に近いホルダーの室外側に配置される立設部35は、室外側ルーバー羽根の上端を上横枠の中空部に差し込んで配置した姿勢でホルダーを滑り出し式に移動させても、室外側ルーバー羽根に接触しない位置に配置されているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅や公共施設等の建物開口部に好適に用いられるルーバー窓、及びルーバー窓の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に備えられる開口部装置の一つとして、ルーバー窓がある。当該ルーバー窓は、開口部に沿って設けられる枠体と、該枠体の枠内に複数並列して備えられるルーバー羽根とを有する。ルーバー羽根は、透光性を有する板状のルーバーパネルを具備しており、開口面の上下方向に沿って並列されている場合が多い。そして複数のルーバー羽根の各々を回動させることで、ルーバー窓が開閉され、室内の換気等を行うことができる。従って、ルーバー窓には、ルーバー羽根を回動させるための機構が設けられており、これを操作部で操作してルーバー羽根を回動させることができる。
【0003】
具体的には、ルーバー窓は、例えば特許文献1の図4に示されるように、ハンドル等の操作部を操作してアームや連動バーを動作させ、これによってルーバー羽根が回動して開閉がおこなわれる。ここで、当該回動は、ルーバー羽根を保持するホルダーの略中央を軸とした回転であるため、ルーバー羽根が開放されるにつれ、ルーバーパネルの上端は室内側へ、下端は室外側へと移動する。
【0004】
一方、近年においては、このようなルーバー窓をはじめとする各種窓に対してその換気や採光の機能に加え、内装及び外装の一部としての外観性の機能も求められてるようになってきた。例えば特許文献2に記載のルーバー窓では室内側に設けられた補助枠により、ホルダーが室内視から隠蔽されている。これにより室内視における外観の向上が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−179246号公報
【特許文献2】特開平11−62421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来におけるルーバー窓は、上記したようにルーバー羽根の回動が、ホルダーの略中央を軸とした回転であるため、ルーバー羽根が開放されるにつれ、ルーバーパネルの上端は室内側へ、下端は室外側へと移動することになる。従って、ルーバーパネルの上端側が室内側へ移動してくるためのスペースを見込んでおく必要があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のようなルーバー窓では、ルーバー羽根の幅が、室内側の縦枠間の向かい合う面同士(縦枠の見付け方向内側面)間の距離よりも大きいため、ルーバー羽根を枠内へ取り付けることに困難があった。室外側からルーバー羽根を取り付けることは容易であるが、室外側からの取り付けは防犯性や設置場所の高さ位置等の観点から好ましくなく、室内側からのルーバー羽根の取り付けが望まれている。
【0008】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、ルーバー羽根の幅方向両端部が室内視で枠体により隠蔽されて外観を向上させることができるとともに、ルーバー羽根の取り付け施工性にも優れるルーバー窓を提供することを課題とする。また、このようなルーバー窓の施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。また、以下で「見付け方向」とは、全体として概ね平板状であるルーバー窓の平面に沿った方向を意味する。そして「見付け方向内側」は見付け方向のうち、ルーバー窓の中央の方向であり、「見付け方向外側」は見付け方向のうち、ルーバー窓から離れる方向である。また、「見込み方向」とはルーバー窓の厚さ方向を意味し、「見込み方向室外側」とは、ルーバー窓が建物に取り付けられた姿勢で室外側となる方向であり、「見込み方向室内側」は、ルーバー窓が建物に取り付けられた姿勢で室内側となる方向である。
また、「幅方向」とは、ルーバーパネルが滑り出し式に開閉される際に含まれる回動の軸の軸線方向である。
【0010】
請求項1に記載の発明は、建物開口部に沿って備えられる枠体(10)と、枠体の枠内に該枠体の見付け方向に複数並列して設けられる板状のルーバーパネル(21a、22a)を具備するルーバー羽根(20)と、枠体に取り付けられ、ルーバー羽根を滑り出し式に開閉させる開閉機構(30)と、を備え、開閉機構は、ルーバー羽根を保持するホルダー(33)を具備し、ルーバー羽根は、枠体の縦枠(13、14)の見付け方向内側面間の距離のうち最も短い部位の距離より長い幅を有しているとともに、ルーバー羽根は、開閉機構が枠体に取り付けられた姿勢でホルダーから着脱可能に保持され、複数並列して設けられたルーバー羽根のそれぞれは、室外側に面する室外側ルーバー羽根(21)と、室内側に面する室内側ルーバー羽根(22)と、を有し、枠体のうち、上横枠(11)はその長手方向断面において見付け方向内側に開口した中空部(11d)を具備し、ホルダーには室外側ルーバー羽根、及び室内側ルーバー羽根の幅方向端部を保持する間隙を形成する立設部(35、36、37)が設けられており、最も上横枠に近い位置に配置されるホルダーの立設部のうち室外側に配置される立設部(35)は、室外側ルーバー羽根の上端を上横枠の中空部に差し込んで配置した姿勢でホルダーを滑り出し式に移動させても、室外側ルーバー羽根に接触しない位置に配置されている、ルーバー窓(100)である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のルーバー窓(100)の最も上横枠(11)に近い位置に配置されるホルダー(33)において、立設部のうち室内側に配置される立設部(37)は、室内側ルーバー羽根(22)の上端を上横枠の中空部(11d)に差し込んで配置した姿勢でホルダーを滑り出し式に移動させても、室内側ルーバー羽根に接触しない位置に配置されているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のルーバー窓(100)において、室外側ルーバー羽根(12)又は室内側ルーバー羽根(22)の少なくとも一方には、その幅方向両端に、該幅方向にホルダー(33)が移動することを規制する被係合部(24a)を形成する端部部材(24)が具備され、ホルダーには端部部材に係合する係合部(36a)が設けられているものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のルーバー窓(100)において、ルーバー羽根(20)が閉鎖された姿勢において、室内側ルーバー羽根(22)が室内側面で面一とされる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のルーバー窓(100)において、ルーバー羽根(20)の閉鎖の姿勢において、ホルダー(33)が、室内側正面視で枠体(10)により隠蔽されている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、ルーバー窓を施工する方法であって、枠体(10)の枠内に見付け方向に複数並列して設けられるルーバー羽根(20)を、滑り出し式に開閉する開閉機構(30)のホルダー(33)にルーバー羽根を取り付けるに際し、ルーバー羽根のうち最も枠体の上横枠(11)に近いルーバー羽根は、該ルーバー羽根の上端を上横枠に設けられた中空部(11d)に差し込み、ルーバー羽根の下端部側からホルダーに設けられた間隙(33c、33d)にルーバー羽根を差し込んで取り付ける過程を含む、ルーバー窓の施工方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ルーバー羽根が滑り出し式に開閉されるルーバー窓であるため、ルーバー羽根を開閉させる際、ルーバー羽根の閉鎖の姿勢時よりも室内側にルーバー羽根が突出することがない。これにより、室内側にそのための空間を設ける必要がない。
また、ルーバー羽根の幅を縦枠の見付け方向内側面間の距離のうち最も短い部位の距離より大きくすれば、開閉機構やルーバー羽根の端部の少なくとも一部を室内視から隠蔽することができる。これにより室内視において外観に優れたルーバー窓を提供することが可能である。
【0017】
また、その際に、ルーバー羽根は、最も上横枠に近いルーバー羽根であっても、開閉機構が枠に取り付けられた姿勢で、ホルダーから着脱できるので、ルーバー羽根の取り付け施工性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)はルーバー窓の室内側正面視における概略図、図1(b)は同室外側正面視における概略図である。
【図2】図1にII−IIで示した線に沿ったルーバー窓の垂直方向縦断面を概略的に示す図である。
【図3】図1にIII−IIIで示した線に沿ったルーバー窓の水平方向横断面を概略的に示す図である。
【図4】図4(a)は室外側ルーバー羽根の構成を説明するための斜視図、図4(b)は室内側ルーバー羽根の構成を説明するための斜視図である。
【図5】パッキンの形状及び取り付け構造を説明するための図である。
【図6】端部部材の形状及び取り付け構造を説明するための図である。
【図7】開閉機構を説明する図である。
【図8】ホルダーを説明する図である。
【図9】開閉動作を説明するための図である。
【図10】室外側ルーバー羽根の取り付け手順について説明する図である。
【図11】室内側ルーバー羽根の取り付け手段について説明する図である。
【図12】最も上に配置される室外側ルーバー羽根の取り付け手順について説明する図である。
【図13】最も上に配置される室内側ルーバー羽根の取り付け手段について説明する図である。
【図14】パッキンの態様を説明するための図である。
【図15】押さえ部材の形状を説明する斜視図である。
【図16】押さえ部材の取り付け構造を説明するための図である。
【図17】ルーバー羽根の他の例の構成を説明するための図である。
【図18】変形例にかかるルーバー窓の垂直方向断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0020】
図1は、1つの実施形態にかかるルーバー窓100が建物開口部に取り付けられた姿勢における正面図で、図1(a)がルーバー窓100の室内視正面図、図1(b)が同室外視正面図である。図1のルーバー窓100は、閉鎖の姿勢にある。図2は、図1(a)にII−IIで示した線(垂直方向)に沿った断面を概略的に示す図である。図3は、図1(b)にIII−IIIで示した線(水平方向)に沿った断面を概略的に示す図である。図2では紙面左が室外側、紙面右が室内側となっている。また、図3では紙面下が室内側、紙面上が室外側となっている。図が煩雑となるのを防ぐため、いずれの図においても、部材の一部は図示を省略することがある。
【0021】
ルーバー窓100は、建物開口部の四辺に沿って配置される枠体10、当該枠体10の枠内で、見付け方向に複数並列して設けられるルーバー羽根20、及びルーバー羽根20を開閉させる開閉機構30が設けられている。以下に詳しく説明する。
【0022】
枠体10は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である横枠11、12、及び当該横枠11、12の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠13、14を備えており、これらが枠状に形成されている。また、これら横枠11、12及び縦枠13、14には樹脂カバー15、16、17、18が含まれている。
【0023】
横枠11は、枠体10の上横枠に相当する枠材である。横枠11は、図2に表れる断面を有して紙面奥手前に延在している。横枠11は、当該断面において見込み方向に延びる片11aを備えている。当該片11aの見込み方向室外側端部には、見付け方向内側に延びる片11bが設けられている。また、片11bの見付け方向内側端部にはフィンが設けられている。当該フィンは後述する室外側ルーバーパネル21aのうち最も上端に配置される室外側ルーバーパネル21aと接して、ルーバー窓100の水密気密を保っている。
一方、片11aの見込み方向室内側端部には、見付け方向内側に延びる片11cが設けられている。片11cは図2からわかるようにその下端部が上端部よりも見込み方向室外側となるように傾斜している。また、片11cの見付け方向内側端部は、後述する樹脂カバーと係合する爪部が設けられている。
ここで、横枠11では、図2からわかるように、片11a、11b、11cにより略コ字状に空間11dが形成されている。
【0024】
さらに横枠11には片11cより見込み方向室内側に見付け方向に延びる片11eが備えられている。当該片11eの見付け方向内側端部には、後述する樹脂カバー15を掛止するための爪部が設けられている。そして、片11aの見付け方向外側面には、見付け方向外側に延びる片11fが設けられ、これが建物躯体に固定されて横枠11を建物躯体へ取り付け可能としている。
【0025】
横枠12は、枠体10の下横枠に相当する枠材である。横枠12は、図2に表れる断面を有して紙面奥手前に延在している。横枠12には、見込み方向に長辺となる略矩形状の中空部12a、及び中空部12aより見込み方向室内側に配置される中空部12bが備えられる。中空部12aの見付け方向外側には、見付け方向外側に向けて片12cが延びており、これが建物躯体に固定されて横枠12を建物躯体へ取り付け可能としている。
一方、中空部12bの見付け方向内側面には後述する樹脂カバー16を掛止するための爪部が2か所設けられている。
【0026】
縦枠13、14は、図3に示される断面を有して、紙面奥手前に延在している。縦枠13、14は、見込み方向に延びる片13a、14aを備えている。片13a、14aの見込み方向室外側端部には見付け方向に延びる片13b、14bが設けられている。また、片13a、14aの見付け方向内側面には見付け方向内側に向かって延びる片13c、14cが設けられている。片13c、14cの見付け方向内側端部には見込み方向に延びる片が設けられ、後述する樹脂カバー17、18を掛止することができる。
【0027】
また、片13a、14aの見込み方向室内側端部には、見付け方向内側に延びる片13d、14dが設けられている。片13d、14dの端部は、後述する樹脂カバー17、18を掛止するための爪部が設けられている。
【0028】
一方、片13a、14aのうち、見付け方向外側面には見付け方向外側に向かって片13e、14eが延びており、これが建物躯体に固定されて縦枠13、14を建物躯体に取り付け可能とされている。
【0029】
樹脂カバー15、16は、枠体10における横枠11、12の見付け方向内側面のうち、室内側に寄せられて該内側に沿って配置されている。より詳しくは次の通りである。樹脂カバー15、16は、図2に表れる断面において、見込み方向に延びる片15a、16aを備えている。片15a、16aの見込み方向室内側には、見付け方向外側に向かって爪部15b、16bが設けられており、横枠11、12の爪部に係合している。
また、片15a、16aの見込み方向室外側には、見込み方向に並べて設けられた2つのコ字状部15c、15d、16c、16dが設けられている。見付け方向外側に配置されたコ字状部15c、16cは見付け方向外側に開口部を有し、ここに横枠11、12が係合している。一方、見付け方向内側に配置されたコ字状部15d、16dは見付け方向内側に開口部を有し、内側に係合部材が嵌め込まれている。コ字状部15d、16dには、例えば網戸用網材の端部が係合部材に巻き込まれるようにして挿入できる。これによればルーバー羽根20の室内側に網戸が形成され、虫等の室内への侵入が防止される。
【0030】
また、コ字状部15d、16dの見込み方向室外側にはシール部材19が配置されている。シール部材19は、樹脂カバー15、16の室外側面に沿って設けられており、ルーバー窓100閉鎖の姿勢で、室内側ルーバーパネル22aの室内側面に接触し、室内外の気密性、断熱性が確保されている。
【0031】
樹脂カバー17、18は、枠体10の縦枠13、14の見付け方向内側面のうち、室内側に寄せられて該内側に沿って配置されている。より詳しくは次の通りである。樹脂カバー17、18は、図3に表れる断面において、見込み方向に延びる片17a、18aを備えている。片17a、18aの見込み方向室内側には、見付け方向外側に向かって爪部17b、18bが設けられており、枠体10側に設けられた上記した片の爪部に係合している。
また、片17a、18aの見込み方向室外側には、コ字状に形成されて見付け方向内側に開口するコ字状部17c、18cが設けられており、ここに係合部材が嵌め込まれている。コ字状部17c、18cには、例えば網戸用網材の端部が係合部材に巻き込まれるように挿入できる。これによればルーバー羽根20の室内側に網戸が形成され、虫等の室内への侵入が防止される。
【0032】
また、コ字状部17c、18cは、枠体10に係止できるように構成されており、枠体10の上記した片の爪部に係合している。さらに、コ字状部17c、18cの見込み方向室外側にはシール部材19が配置されている。シール部材19は、樹脂カバー17、18の室外側面に沿って設けられており、ルーバー窓100閉鎖の姿勢で、室内側ルーバーパネル22aの室内側面に接触し、室内外の気密性、断熱性が確保されている。
【0033】
シール部材19の材質としては、ルーバー窓100の気密性、断熱性を向上させることができれば特に限定されないが、軟質の樹脂とすることが好ましく、塩化ビニル製の軟質樹脂とすることが好ましい。
【0034】
ここで、樹脂カバー15、16、17、18、及びシール部材19は、枠体10の内周面の4周に亘って見込み方向位置が略同一とされている。すなわち、ルーバー窓100において、気密、断熱ラインが同一の見込み方向位置に存在している。これにより、ルーバー窓100の断熱性、気密性を向上させることができる。
また、樹脂カバー17、18により、枠体10の幅方向において見付け方向内側面間距離(図3にAで表わした距離)のうち、最も短い部位が形成される。
【0035】
次にルーバー羽根20について説明する。ルーバー羽根20は、図2、図3からわかるように、室外側ルーバー羽根21及び室内側ルーバー羽根22を備えている。図4(a)には室外側ルーバー羽根21の外観斜視図、図4(b)には室内側ルーバー羽根22の外観斜視図を示した。
【0036】
室外側ルーバー羽根21は図4(a)からもわかるように、板状の室外側ルーバーパネル21aからなる。パネルの材質は特に限定されることはないが、透光性を有するガラスや樹脂が用いられることが好ましい。
【0037】
室内側ルーバー羽根22は、図4(b)からわかるように、室内側ルーバーパネル22a、パッキン23、及び端部部材24を有している。このうち、室内側ルーバーパネル22aは板状の部材であり、透光性を有するガラスや樹脂により形成されている。
【0038】
パッキン23は、室内側ルーバーパネル22aの上端面に該室内側ルーバーパネルの幅方向に沿って配置されている。図2には、パッキン23の長手方向に直交する断面が表れている。図5にはパッキン23の形状と室内側ルーバーパネル22aへの取り付け構造を説明する図を示した。
【0039】
パッキン23は、室内側ルーバーパネル22aの上端に嵌め込まれ得るように、略コ字状に形成された被覆部23aと、隣接する室内側のルーバーパネル22aと接するように設けられたフィン部23bとを有している。被覆部23aのコ字状の内側には、室内側ルーバーパネル22aを挟み込むための突起23cが設けられており、当該突起23cにより、パッキン23が室内側ルーバーパネル22aへと強固に取り付けられる。また、被覆部23aとフィン部23bとの接合部を含んだ図5にVで示した面は、極力凹凸が抑えられて形成されている。
パッキン23の被覆部23a及びフィン部23bの材質については特に限定されないが、透明な樹脂からなることが好ましい。また、被覆部23aには、室内側ルーバーパネル22aから容易に外れない程度の強度を持たせるために硬質な材料を用い、且つ、フィン部23bには柔軟性を持たせるために軟質な材料を用いることが好ましい。従って、被覆部23aとして硬質アクリル樹脂、フィン部23bとして軟質アクリル樹脂を用いることが特に好ましい。
【0040】
また、室内側ルーバーパネル22aの室内側面の上端部には、図5からわかるように切り欠き22bが設けられている。切り欠き22bの深さ(室内側ルーバーパネル22aの厚さ方向の大きさ)は、パッキン23の被覆部23aの1つの片の厚さと概ね同じとされている。従って、パッキン123を室内側ルーバーパネル22aの上端に嵌めこむと、室内側ルーバーパネル22aの室内側面と、パッキン23の室内側面とが概ね面一となる。これにより、閉鎖の姿勢において、隣接する室内側のルーバーパネル22aが面一となることに加え、パッキン23も室内側で凹凸がなく、面一となる。従って、さらに外観上優れたものとなる。
【0041】
端部部材24は、図4(b)からわかるように、室内側ルーバーパネル22aの幅方向両端のそれぞれに配置される部材である。図6に、室内側ルーバーパネル22aの一方の端部に注目した斜視図を示した。
端部部材24は断面がL字状の部材であり、該L字状の入隅部に室内側ルーバーパネル22aの端部角が合わせられるように配置される。また、端部部材24を室内側ルーバーパネル22aに端部部材24を配置すると図6に符号24aで示したように段差が形成され、被係合部24aとなる。この被係合部24aが、後述する開閉機構30のホルダー33の係合部36aに係合するように形成されている。
【0042】
本実施形態では室内側ルーバーパネル22aと端部部材24との段差によりこれを被係合部24aが形成されるものとしたがこれに限定されることはなく、ホルダー33の係合部36aに係合することができればよい。従って、端部部材24に切り欠きや窪みを設けてこれを被係合部24aとすることもできる。
【0043】
ここで、室外側ルーバーパネル21a、室内側ルーバーパネル22aは、図3からよくわかるように、その幅方向の長さが縦枠13、14の樹脂カバー17、18の見付け方向内面間の距離よりも長く形成されている。これにより後述するようにルーバー羽根20の幅方向両端が室内視から隠蔽される。
【0044】
また、以上の説明からわかるように、本実施形態におけるルーバー羽根20は、室外側ルーバー羽根21と室内側ルーバー羽根22とが個別に設けられている。そしてこれらの室外側ルーバーパネル21a、室内側ルーバーパネル22aは、該開閉機構30が枠に取り付けられた姿勢でホルダー33から個別に着脱できるように構成されている。
通常のルーバー窓では室内外方向に配置される一対のルーバーパネルが予めホルダー等により一体化され、これを開閉機構に取り付けるという構成のものが多い。これに対して本実施形態では室外側ルーバー羽根21と室内側ルーバー羽根22を別々に開閉機構30に取り付け可能としている。これにより、ルーバー羽根20を取り付ける際に、室外側ルーバー羽根21、室内側ルーバー羽根22をそれぞれ取り付けることができるので、取り回し易く、上記したように室外側ルーバーパネル21a、室内側ルーバーパネル22aの幅方向の長さが縦枠13、14の樹脂カバー17、18の見付け方向内面間の距離よりも長く形成されている場合であってもその取り付けが容易となる。具体的には後で詳しく説明する。
【0045】
次に開閉機構30について説明する。開閉機構30は、ルーバー羽根20を滑り出し式に開閉するための機構であり、その断面が図3に表れている。図3からわかるように開閉機構30は、縦枠13、14の見付け方向内側面のうち、樹脂カバー17、18より室外側に配置されている。図7に説明のための図を示した。図7は図3に矢印VIIで示した方向から開閉機構30を見た図で、開閉機構30の一部を表している。図7の紙面左が室外側、紙面右が室内側である。
図3、図7からわかるように、開閉機構30は、連動バー31、アーム32、ホルダー33、及び操作部材50を有している。このうち、連動バー31、アーム32、及びホルダー33は、縦枠14側にも設けられている。
【0046】
連動バー31は、長い板状の部材であり、該板状である板状部31aと、板状部31aの見付け方向内側面に設けられる回動軸31bとを有している。回動軸31bは、ルーバー羽根20が配置される位置に対応して連動バー31の長手方向に沿って複数設けられている。連動バー31は、縦枠13及び縦枠14のそれぞれに、縦枠13、14の長手方向に沿ってスライド可能に配置されている。
【0047】
アーム32は、連動バー31より短い板状の部材であり、図7からわかるように1か所で折れ曲がっている。アーム32はルーバー羽根20が配置される位置に対応して複数配置されている。アーム32の長手方向両端のそれぞれには孔32a、32bが設けられている。アーム32は、縦枠13、及び縦枠14のそれぞれに配置される。そして、縦枠13、14に設けられた不図示のアーム固定軸に孔32aが回動可能に固定される。
【0048】
ホルダー33は、上記した室外側ルーバー羽根21、室内側ルーバー羽根22の幅方向端部のそれぞれを保持し、ルーバー羽根20を所定の位置に維持する部材である。従って、ホルダー33はルーバー羽根20に対応して複数設けられている。図7にはホルダー33の輪郭が表されている。ホルダー33は、略中央に軸33aを有し、これがアーム32の孔32bと回動可能に取り付けられている。また、ホルダー33には、開放時に室内側となる端部(上端部)に孔33bが設けられており、これに連動バー31の回動軸31bが回動可能に挿入されている。
【0049】
さらに詳しくホルダー33について説明する。図8に図を示した。図8(a)は図7と同じ視点でホルダー33を見た図(ホルダー33の傾斜角度は異なる。)、図8(b)は図8(a)を室内側から見た斜視図である。
【0050】
図8からわかるように、ホルダー33は板状の基板34を有し、その見付け方向内側面に3つの立設部35、36、37が所定の間隔をおいて立設されている。これにより立設部35、36、37間に間隙33c、33dが形成される。この間隙33c、33dに室外側ルーバー羽根21及び室内側ルーバー羽根22の端部がそれぞれ挿入されて保持される。すなわち、立設部35と立設部36との間には間隙33cが形成され、ここに室外側ルーバー羽根21の端部が挿入される。ここで、立設部35の下端は室内側に延びるように底部35aが形成され、室外側ルーバー羽根21の下端面を受けることができ、抜け落ちが防止されている。一方、立設部36と立設部37との間には間隙33dが形成され、ここに室内側ルーバー羽根22の端部が挿入される。ここで、立設部37の下端は室外側に延びるように底部37aが形成され、室内側ルーバー羽根22の下端面を受けることができ、抜け落ちが防止されている。
【0051】
図8からわかるように、立設部36のうち、立設部35に面する側の面と立設部37に面する側の面とは平行でなく、所定の角度を有している。また立設部35、37は自身が対向する立設部36の面に略平行になるように配置されている。従って、ここに挿入保持される室外側ルーバー羽根21と室外側ルーバー羽根22とは図2からわかるように平行でなく下端側程その間隔が広くなる。
【0052】
また、立設部36のうち見付方向内側面には、立設部37側に向けて係合部としての突起36aが設けられている。この突起36aは、上記した室内側ルーバー羽根22の端部部材24により形成された被係合部24aに係合する。これにより室内側ルーバー羽根22とホルダー33とがルーバーパネルの幅方向(図8にVIIIで示した方向)にも強固に連結され、抜けが防止される。詳しくは後で説明する。
【0053】
図3に戻り、引き続き開閉機構30について説明する。操作部50は、図1及び図3からわかるように、樹脂カバー18の片18aに嵌め込まれて固定されており、操作ハンドル50aを回動させることによりハンドル操作する部材である。操作部50により、連動バー31を上下動させることができ、ルーバー窓100を開閉することが可能となる。なお、操作部50から連動バー31への動力伝達機構については、図面において省略してあるが、公知の伝達機構を適宜選択して用いることができる。また、操作部50の位置については、樹脂カバー18に限定されず、樹脂カバー17、又は樹脂カバー16に設けられていてもよい。
【0054】
以上のように構成されたルーバー窓100は次のように動作して開閉される。図9に説明図を示した。図9は、ルーバー羽根20の動作、連動バー31の動作、及びアーム32の動作の各関係を概略的に示す図である。図9(a)はルーバー窓100閉鎖の姿勢を示しており、図9(b)〜図9(e)に向かって徐々に開放されている。図が煩雑となるのを防ぐため、図9(a)にのみ符号を付し、図9(b)〜図9(e)については、符号を省略している。
【0055】
図9(a)に示した閉鎖の姿勢から操作部50(図3参照)を操作する。すると、連動バー31が下方に移動する。連動バー31にはホルダー33の端部が回動可能に取り付けられているので、ホルダー33の端部は連動バー31の移動に追随して下方に移動する。
一方、ホルダー33は、連動バー31より室外側である別の部位で縦枠13、14に回動可能に固定されたアーム32に回動可能に固定されている。アーム32は、縦枠13、14に回動可能に固定されているので、連動バー31が下方に移動しても下方には移動しない。
これにより、ホルダー33及びここに固定されているルーバー羽根20は、室内側の端部が下方に移動する一方、室外側の端部が室外側に突き出るとともに、上方に移動するような回動を含む。この動作によりルーバー窓100は開放される。ここで、各部材が固定される部位が回動可能であることにより上記の動作が円滑に行われる。ルーバー羽根20を閉鎖する時には図9(e)から遡るように動作する。
このように、本実施形態のルーバー窓は滑り出し式にルーバー羽根20の開閉が行われる。
【0056】
次に室外側ルーバー羽根21及び室内側ルーバー羽根22を個別に開閉機構30のホルダー33に取り付ける手順について説明する。図10〜図13に説明図を示した。図10は室外側ルーバー羽根21の取り付け手順、図11は室内側ルーバー羽根の取り付け手順をそれぞれ説明するための図、図12は最も上に配置される室外側ルーバー羽根21の取り付け手順、及び図13は最も上に配置される室内側ルーバー羽根22の取り付け手順である。各図では紙面左側が室外側、紙面右が室内側である。図10、図11では、取付対象は上下方向3つ並列して表したホルダー33のうち、中央のホルダー33である。また、取り付け時においてホルダー33は枠体10に取り付けられ、上記した操作部50等により開閉動作に沿った移動、回動が可能とされている。また、取り付け作業をする作業者は室内側から行っている。
【0057】
図10(a)からわかるように、初めにホルダー33を若干開放の姿勢とし、対象とするホルダー33とその上のホルダー33との間に室外側ルーバー羽根21を配置する(図10(a)にXaで示した位置。)。次にこれらホルダー33の間を通して対象とするホルダー33の間隙33cの上端部に室外側ルーバー羽根21の幅方向両端の下端を配置する(図10(a)にXbで示した位置。)。
そして図10(b)からわかるようにそのままルーバー羽根21をホルダー33の間隙33cに挿入する。
【0058】
一方、室内側ルーバー羽根22は、図11(a)からわかるように、初めにホルダー33を若干開放の姿勢とし、対象とするホルダー33とその下のホルダー33との間に室内側ルーバー羽根22を配置する(図11(a)にXIaで示した位置。)。次にこれらホルダー33の間を通して対象とするホルダー33の間隙33dの上端部に室内側ルーバー羽根22の幅方向両端の下端を配置する(図11(a)にXIbで示した位置。)。
この状態では、室内側ルーバー羽根22の角度は間隙33dの傾斜角度と合っていないため室内側ルーバー羽根22の両端部を間隙33d内に挿入することができない。また、室内側ルーバー羽根22を間隙33dの傾斜角度に合わせようとしても、室内側スーバー羽根22の両端部が枠体10の樹脂カバー17、18に引っ掛かってしまい不可能である。
そこで、操作部50を操作する等して図11(b)の矢印XIcで示したように、ホルダー33の傾斜角度を変更して間隙22dの傾斜角度を室内側ルーバー羽根22に合わせる。
最後に図11(c)からわかるようにそのまま室内側ルーバー羽根22をホルダー33の間隙33dに挿入する。
【0059】
次に最も上に配置される室外側ルーバー羽根21及び室内側ルーバー羽根22をホルダー33に取り付ける手順について説明する。
最も上に配置される室外側ルーバー羽根21は、図12(a)からわかるように、初めにホルダー33を閉鎖又は若干開放した姿勢とし、最も上に配置されるホルダー33と横枠11との間に室外側ルーバー羽根21を配置する。このとき、室外側ルーバー羽根21の上端を横枠11の空間11d内にその室内側面の上部を片11cに沿わせるように差し込む。一方、室外側ルーバー羽根21の下端は室外側に突出するように配置する。
この状態では、室外側ルーバー羽根21の角度は間隙33cの傾斜角度と合っていないため室外側ルーバー羽根21の両端部を間隙33c内に挿入することができない。そこで、操作部50を操作する等して図12(a)の矢印XIIaで示したように、ホルダー33の傾斜角度を変更して間隙22cの傾斜角度を室外側ルーバー羽根21に合わせる。
最後に図12(c)からわかるようにそのまま室外側ルーバー羽根21をホルダー33の間隙33cに挿入する。
【0060】
上記説明からわかるように、ルーバー窓100では、室外側ルーバー羽根21の上端部を横枠11の空間11d内に配置した姿勢では、ホルダー33を滑り出し式に回動させても室外側ルーバー羽根21が立設部35に接触しないように構成されている。これにより上記のように室外側ルーバー羽根21を取り付けることができる。
また、横枠11において空間11dを形成する室内側の片11cを適切に傾斜させれば室外側ルーバー羽根21をガイドすることができるのでさらに施工性を向上できる。
【0061】
一方、最も上に配置される室内側ルーバー羽根22をホルダー33に取り付ける手順は次の通りである。
すなわち、最も上に配置される室内側ルーバー羽根22は、図13(a)からわかるように、初めにホルダー33を若干開放の姿勢とし、最も上に配置されるホルダー33とその下に配置されるホルダー33との間に室内側ルーバー羽根22を配置する(図13(a)にXIIIaで示した位置。)。次に、室内側ルーバー羽根22をホルダー33より室内側から移動するように該室内側ルーバー羽根22の上端を横枠11の空間11d内に差し込む。一方、室内側ルーバー羽根22の下端はホルダー33の室内側に配置する(図13(b)にXIIIbで示した位置。)。
この状態では、室内側ルーバー羽根22の角度は間隙33dの傾斜角度と合っていないため室内側ルーバー羽根22の両端部を間隙33c内に挿入することができない。そこで、操作部50を操作する等して図13(b)の矢印XIIIcで示したように、ホルダー33の傾斜角度を変更して間隙22dの傾斜角度を室内側ルーバー羽根22に合わせる。
最後に図13(c)からわかるようにそのまま室内側ルーバー羽根21をホルダー33の間隙33dに挿入する。
【0062】
上記説明からわかるように、ルーバー窓100では、室内側ルーバー羽根22の上端部を横枠11の空間11d内に配置した姿勢では、ホルダー33を滑り出し式に回動させても室内側ルーバー羽根22が立設部37に接触しないように構成されている。これにより上記のように室内側ルーバー羽根22を取り付けることができる。
【0063】
以上説明したようにルーバー窓100では、室内側ルーバー羽根21と室外側ルーバー羽根22を個別にホルダー33に取り付けることができる。
【0064】
以上のようなルーバー窓100によれば、図3からわかるように、ルーバー羽根20の幅方向の大きさが樹脂カバー17、18の見付け方向内側面間よりも広く形成されている。本実施形態では、開閉機構30やルーバー羽根20の両端が室内側正面視から完全に隠蔽されている。これにより室内側において外観がシンプルで優れた開口部装置とすることができる。また、室内側から見たとき、樹脂カバー17、18によりルーバー羽根20の端部を覆っているので、熱の移動も低く抑えられて断熱性能も向上させることができる。
本実施形態では、開閉機構30及びルーバー羽根20の端部の全てを室内視から隠蔽する態様を説明したが、これに限定されることはなくルーバー羽根の幅方向の大きさが縦枠の見付方向内側間の距離のうち最も短い距離よりも大きいものであればよい。
【0065】
ところで、このようにルーバー羽根の幅方向の大きさを縦枠の見付方向内側面間の距離のうち最も短い距離よりも大きくすると、ルーバー羽根を室内側から開閉機構に取り付ける施工性に困難が生じる虞がある。しかしながら、本実施形態のルーバー窓100によれば、上記したようにルーバー羽根20が、室外側ルーバー羽根21及び室内側ルーバー羽根22で個別に開閉機構に着脱できるように構成されている。このとき、横枠11に空間11dを形成し、ホルダー33に設けられる立設片35、37、及び室内側ルーバー羽根21、室外側ルーバー羽根22の上下方向高さとの関係により、最も上に配置される室外側ルーバー羽根21、室内側ルーバー羽根22も容易に個別で開閉機構に着脱できる。
【0066】
また、ルーバー窓100は、上記したように滑り出し式にルーバー羽根20を開閉させることができる。これにより、ルーバー羽根20を開放させる際には、ルーバー羽根20は室内側に移動する部位がなく、室外側に突出する態様である。従って、室内側にルーバー羽根20が回動するためのスペースを確保しておく必要がない。
【0067】
一方、このような滑り出し式に開閉するルーバー窓にすると、ルーバー羽根を開放した時に、その大部分が室外側に突出する姿勢となる。このような姿勢では、ルーバー羽根の両端に配置されたホルダーがルーバー羽根の幅方向外側に移動し、ホルダーがルーバー羽根を幅方向に保持する力が弱まる虞があった。
これに対してルーバー窓100によれば、上記したように、室内側ルーバー羽根22に端部部材24が設けられ、これにより形成される被係合部24aがホルダー33の係合部としての突起36aと係合して常にホルダー33を引き寄せるように作用する。これにより滑り出し式に開閉する場合における上記の問題を解決することができる。本実施形態では、ルーバー羽根20は室内外のルーバー羽根(21、22)が個々に着脱可能とされているので、いずれかのルーバー羽根においてこのように構成されていればよい。
【0068】
また、滑り出し式に開閉するルーバー窓100とすることで、室内側ルーバーパネル22aを面一となるように並列することができる。従って、室内視の外観が一層優れるルーバー窓100となる。
【0069】
さらに、滑り出し式に開閉することにより室内側ルーバーパネル22aが閉鎖の姿勢以上に室内側に入らないので、シール部材19を、室内側ルーバーパネル22aよりも室内側に設けるとともに、当該室内側ルーバーパネル22aと接するように設けることができる。これにより、気密ライン、断熱ラインの見込み方向位置をそろえることができる。従って、ルーバー窓100の断熱性、気密性を従来よりも大きく向上させることができる。
【0070】
以下に、その他に取り得る形態について説明する。
本実施形態のルーバー窓100では、図2からわかるように、閉鎖の姿勢で室内側ルーバー羽根22が面一となるように構成されている。このとき上記したように、室内側ルーバー羽根22の上面にはパッキン23が取り付けられている。これによれば、図14に示したように、室内側ルーバーパネル22aの上縁に備えられたパッキン23は、ルーバー窓閉鎖の姿勢において、軟質のフィン部23bが押しつぶされた状態で、隣接する室内側ルーバーパネル22aの端部と接している。これにより、室内側ルーバーパネル22aが面一である場合でも気密性、水密性を確保することができる。
【0071】
次に室外側ルーバー羽根21の押さえ部材40について説明する。室外側ルーバー羽根21の幅方向端部は上記したようにホルダー33の間隙33c(図8参照)に挿入され、適切に保持される。ただし、さらに確実に室外側ルーバー羽根21をホルダー33に保持するために、押さえ部材40が用いられてもよい。図15に押さえ部材40の斜視図を示した。
押さえ部材40は、板状の基板41を有し、その一方の面側の一端側に押さえ突起42が立設している。また、基板41の押さえ突起42と同じ側の面の他端側には押さえ突起42と略平行に配列された2つの突起43が設けられている。
一方、図8からわかるように、ホルダー33には立設部36のうち、立設部37側の面で上部に係合溝36bが設けられている。
【0072】
このような押さえ部材40は次のように配置される。図16に押さえ部材40の取り付けを説明する図を表した。図16からわかるように、押さえ部材40を室内側ルーバーパネル22aと室外側ルーバーパネル21aとの間に配置する。このとき、押さえ部材40の押さえ突起42が室外側ルーバーパネル21aの上端に引っ掛かるようにする。その後、図16に直線矢印で示したように押さえ部材40をスライドさせ、ホルダー33に係合させる。具体的には、押さえ部材40の突起43をホルダー33の係合溝36bに挿入することにより係合させる(図8も参照)。従って、2つの突起43は、室外側のルーバーパネル21aの上縁に沿った方向に並べられている。ただし、突起は必ずしも2つ配置されている必要はなく、1つ、又は3つ以上であってもよい。
【0073】
このように押さえ部材40を設けることにより、押さえ部材40の押さえ突起42が室外側ルーバーパネル21aに引っ掛かるように配置されるので、さらに室外側ルーバー羽根21を確実にホルダー33に保持させることができる。また、このように、スライドさせてホルダー33に取り付け可能である押さえ部材40によれば、枠体、樹脂カバー等によりホルダーが室内視で覆われ隠れている場合であっても、押さえ部材の取り付けが容易である。
【0074】
次にルーバーパネルの他の態様について説明する。上記した実施形態におけるルーバー窓100では、室外側ルーバーパネル21a、室内側ルーバーパネル22aとも、樹脂、又はガラスによる中実板状の部材である例を説明した。本発明ではその他、次のようなルーバーパネルを適用することもできる。図17に説明のための図を示した。図17は、図2と同じ視点でルーバー羽根120を表した図であり、ルーバー羽根120の断面図である。
ルーバー羽根120では、室内側ルーバーパネル122aが熱伝導率の低い樹脂により形成されており、断熱性を向上させている。さらに、室内側ルーバーパネル122aは図17からもわかるように、その内部が中空の複数の空間に分かれており、ここに空気層が形成される。従って、断熱性のさらなる向上が図られている。ここに適用される樹脂は透光性を有するとともに、熱伝導率が低いことが好ましく、特に限定されることはないが、性能に加え、入手性、価格、加工性の観点からアクリルを用いることができる。
【0075】
次に、ルーバー羽根の配置に関する他の態様を説明する。ルーバー窓100では、ルーバー羽根20の室内側ルーバー羽根22のみが、面一に並列された形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。以下、図18を参照しつつ、本発明の他の態様であるルーバー窓100’について説明する。図18は、ルーバー窓100’の垂直方向縦断面図であり、図2に相当する。図18において、図2と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
図18に示されるように、ルーバー窓100’においては、ルーバー羽根20’に関して、室内側ルーバー羽根22だけでなく、室外側ルーバー羽根21’についても互いに面一となるように並列されている。このような形態とすれば、室内視だけでなく、室外視の外観にも優れるルーバー窓100’とすることができる。
【0077】
以上、現時点において最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うルーバー窓、ルーバー窓の施工方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0078】
10 枠体
11 横枠
12 横枠
13 縦枠
14 縦枠
15 樹脂カバー
16 樹脂カバー
17 樹脂カバー
18 樹脂カバー
19 シール部材
20 ルーバー羽根
21 室外側ルーバー羽根
21a 室外側ルーバーパネル
22 室内側ルーバー羽根
22a 室内側ルーバーパネル
23 パッキン
24 端部部材
30 開閉機構
31 連動バー
32 アーム
33 ホルダー
35 立設部
35a 底部
36 立設部
36a 突起(係合部)
36b 係合溝
37 立設部
50 操作部
50a ハンドル
100 ルーバー窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に沿って備えられる枠体と、
前記枠体の枠内に該枠体の見付け方向に複数並列して設けられる板状のルーバーパネルを具備するルーバー羽根と、
前記枠体に取り付けられ、前記ルーバー羽根を滑り出し式に開閉させる開閉機構と、を備え、
前記開閉機構は、前記ルーバー羽根を保持するホルダーを具備し、
前記ルーバー羽根は、前記枠体の縦枠の見付け方向内側面間の距離のうち最も短い部位の距離より長い幅を有しているとともに、前記ルーバー羽根は、前記開閉機構が前記枠体に取り付けられた姿勢で前記ホルダーから着脱可能に保持され、
複数並列して設けられた前記ルーバー羽根のそれぞれは、室外側に面する室外側ルーバー羽根と、室内側に面する室内側ルーバー羽根と、を有し、
前記枠体のうち、上横枠はその長手方向断面において見付け方向内側に開口した中空部を具備し、
前記ホルダーには前記室外側ルーバー羽根、及び前記室内側ルーバー羽根の幅方向端部を保持する間隙を形成する立設部が設けられており、
最も前記上横枠に近い位置に配置される前記ホルダーの立設部のうち室外側に配置される前記立設部は、前記室外側ルーバー羽根の上端を前記上横枠の前記中空部に差し込んで配置した姿勢で前記ホルダーを滑り出し式に移動させても、前記室外側ルーバー羽根に接触しない位置に配置されている、ルーバー窓。
【請求項2】
前記最も前記上横枠に近い位置に配置される前記ホルダーにおいて、前記立設部のうち室内側に配置される前記立設部は、前記室内側ルーバー羽根の上端を前記上横枠の前記中空部に差し込んで配置した姿勢で前記ホルダーを滑り出し式に移動させても、前記室内側ルーバー羽根に接触しない位置に配置されている、請求項1に記載のルーバー窓。
【請求項3】
前記室外側ルーバー羽根又は前記室内側ルーバー羽根の少なくとも一方には、その幅方向両端に、該幅方向に前記ホルダーが移動することを規制する被係合部を形成する端部部材が具備され、前記ホルダーには前記端部部材に係合する係合部が設けられている、請求項1又は2に記載のルーバー窓。
【請求項4】
前記ルーバー羽根が閉鎖された姿勢において、前記室内側ルーバー羽根が室内側面で面一とされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のルーバー窓。
【請求項5】
前記ルーバー羽根の閉鎖の姿勢において、前記ホルダーが、室内側正面視で前記枠体により隠蔽されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のルーバー窓。
【請求項6】
ルーバー窓を施工する方法であって、
枠体の枠内に見付け方向に複数並列して設けられるルーバー羽根を、滑り出し式に開閉する開閉機構のホルダーに前記ルーバー羽根を取り付けるに際し、前記ルーバー羽根のうち最も前記枠体の上横枠に近いルーバー羽根は、該ルーバー羽根の上端を前記上横枠に設けられた中空部に差し込み、前記ルーバー羽根の下端部側から前記ホルダーに設けられた間隙に前記ルーバー羽根を差し込んで取り付ける過程を含む、ルーバー窓の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−97470(P2012−97470A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246460(P2010−246460)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】