説明

ルーバー羽根における枠材の枠組み構造

【課題】
6.0〜6.8mm用保持アームに適合するルーバー羽根であって防火機能を有するルーバー羽根を、従来型面格子は用いる必要のない枠組み構造のルーバー羽根として提供することにある。
【解決手段】
ルーバー羽根をビス止めによって枠組みする際の枠組み構造であって、上下横枠材または左右縦枠材のいずれか一方に用いる枠材は、夫々別途に製作されたビスホール部と本体部とが一体状に合体して成る合わせ枠材から成り、該合わせ枠材はビスホール部が相手方となる枠材の溝に嵌って組み合わさる分だけ本体部の両端から長さ方向に突出していて、且つ保持アームに設けられている穴または突起体に掛合する突起体または穴を有する形状であり、ルーバー羽根は該突起体または穴によって保持アームに掛け止められて抜脱が阻止されるようになっている枠組み構造を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバー羽根における枠材の枠組み構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーバー窓は換気性に優れており、浴室やキッチン、トイレ等に用いられている。公知のルーバー羽根、即ち業界仕様のルーバー羽根は厚みが6.0mmの板ガラス、又は6.8mmの網入り板ガラスが裸の状態(縁部に枠材等が設けられていない状態)で用いられていた。裸状態のルーバー羽根は、ガラス切り等の小道具によって簡単に割られるという破壊被害の問題や、ルーバー羽根が保持アームから抜き外されるという抜脱被害等の問題があった。
【0003】
本願の出願人は、上記の問題を解消するため、特開2005−42461号公報、特開2005−120812号公報および特開2008−267122号公報等において破壊阻止機能や抜脱阻止機能等を有するルーバー羽根を提案した。
【0004】
ところが、上記公報等において提案の従来のルーバー羽根における枠組み構造は、枠材を接着材によってルーバーガラスの縁部に貼り付けるという構造であった。接着材を用いて枠組みしたルーバー羽根は、枠材同士はビス等による機械的な結合でないため、火災の際や泥棒によるガストーチ等の火炎を受けた際には、板ガラスが熱破壊されると同時に枠組みは崩壊し窓は一瞬に開口するという防火上の問題があった。
このため、火炎を受けた際にも枠組みが崩壊することのないビス止めによる枠組み構造が望まれていた。
【0005】
しかしながら、ルーバー羽根では、ビス止めによる枠組み構造には下記の問題があった。即ち、図8(a)(b)に示すような従来の枠組み構造では、左右縦枠材1は、板ガラスを保持するための突条(側壁)3などを有する本体部とビスホール部2とが一体成形されていて同じ長さに切断されているため、相手方となる上下横枠材4の溝へはビスホール部2と該本体部の突条3、3の両者が共に嵌る構成であり、上下横枠材4の溝幅は、ビスホール部2と突条(側壁)3、3とが共に嵌るに十分な幅を要することとなり、ビスホール部2のみを嵌める場合に比べれば、突条(側壁)3、3が嵌る分だけ大きくならざるをえず、厚みは少なくとも8.0mm以上となり、6.0〜6.8mm用保持アームを備える業界仕様のルーバー窓には適合しないという問題があった。このため、6.0〜6.8mm用保持アームに適合するルーバー羽根であって防火機能を有するルーバー羽根が望まれていた。
【0006】
一方、ルーバー窓では、コストや美観において従来型の面格子は必要としない構成のルーバー羽根が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−42461号公報
【特許文献2】特開2005−120812号公報
【特許文献3】特開2008−267122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、6.0〜6.8mm用保持アームに適合するルーバー羽根であって防火機能を有するルーバー羽根を、従来型面格子は用いる必要のない枠組み構造のルーバー羽根として提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明においては、ルーバー羽根の縁部に溝型の上下横枠材と左右縦枠材とをビス止めによって枠組みする際の枠組み構造であって、上下横枠材または左右縦枠材のいずれか一方に用いる枠材は、夫々別途に製作されたビスホール部と本体部とが一体状に合体して成る合わせ枠材から成り、該合わせ枠材はビスホール部が相手方となる枠材の溝に嵌って組み合わさる分だけ本体部の両端から長さ方向に突出していて、且つ保持アームに設けられている穴または突起体に掛合する突起体または穴を有する形状であり、組み合わさる相手方の枠材は上記一方の枠材と同等の厚みであって両端にビス孔を有する枠材から成り、枠組みに際しては、ビスホール部の突出している部分を相手方となる枠材の溝に嵌め、該ビス孔を介してビスホール部にビスを螺入して枠組みするようにしたことを特徴とするルーバー羽根における枠材の枠組み構造を提供する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、上下横枠材または左右縦枠材のいずれか一方に用いられる枠材は合わせ枠材であって、ビスホール部と本体部は夫々別途に製作した後に合体させる製法が可能であり、ビスホール部のみを本体部から突出させた形状に製作する際の作業は、不要部分を事後に切除する方法に比べれば容易であり、仕上がり精度に優れている。また、相手方となる枠材へは突出しているビスホール部のみを嵌めてビス止めする構成であり、本体部の突条(側壁)の部分は嵌める必要がないため、その分だけルーバー羽根の厚みは小さくすることが可能となり、6.0〜6.8mm用保持アームを備える業界仕様のルーバー窓に互換性100%に適合する薄型のルーバー羽根がビス止めによる枠組によって得られる。また、上下横枠材と左右縦枠材は同じ厚みであり、公知の枠組み構造の場合のような段差は生じず、ルーバー羽根と保持アームとが蜜に接触するようになる。
【0011】
そして、ビス止めによる枠組構造では、縁部の枠材はビスによって機械的に結合しているので、火災の際や泥棒によるガストーチ等の火炎を受けた際にも、枠組みが崩壊することはなく、防火機能を有する。
しかも、合わせ枠材には保持アームに設けられている穴または突起体に掛合する突起体または穴が設けられていて、ルーバー羽根は該突起体ないしは穴によって保持アームに掛け止められ、保持アームからの抜脱が阻止される構成の枠組みであり、従来型の面格子は必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は図2に示す合わせ枠材(左右縦枠材)11を構成する本体部12の正面図であり、(b)は(a)底面図である。(c)は図2に示す合わせ枠材(左右縦枠材)11及び図3に示す合わせ枠材21を構成するビスホール部16の正面図であり、(d)は(c)の底面図である。
【図2】(a)は合わせ枠材(左右縦枠材)11の正面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は(a)の底面図である。
【図3】(a)は合わせ枠材(左右縦枠材)21の正面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は(a)の底面図である。
【図4】(a)は上下横枠材31の平面図であり、(b)は(a)の底面図である。
【図5】(a)は合わせ枠材(左右縦枠材)11を用いた本発明のルーバー羽根10の正面図であり、(b)は(a)の側面図の部分拡大図である。
【図6】は本発明のルーバー羽根10をクリップ方式の保持アーム61に装着した状態を示す部分正面図である。
【図7】本発明のルーバー羽根10をホルダ方式の保持アーム62に装着した状態を示す縦断面図である。
【図8】は公知の枠組み構造におけるルーバー羽根の枠組み構造を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本願発明の合わせ枠材11、21は左右縦枠材として用いた場合を例にして述べるが、左右縦枠材と上下横枠材の何れの側にも用いることができる。
【0014】
図1(a)、(b)に示す本体部12と、図1(c)、(d)に示すビスホール部16は、図2に示す合わせ枠材11を構成する部材であって、夫々別途に製作されている。
【0015】
図1(a)、(b)に示す本体部12は、図5(b)の符号Rで示す寸法に切断されていて、突条(側壁)13,13によって溝14、溝15が形成されており、溝14にはビスホール部16が嵌められ、溝15には板ガラスが嵌められる。
【0016】
図1(c)、(d)に示すビスホール部16は、ビスホール17が全長に亘り設けられていて、図5(b)の符号Sで示す寸法に切断されている。ビスホール部16の断面形状は、本体部の溝14、24の内面に隙間なく沿う形状であるのが好ましいが、必ずしも隙間なく沿う形状である必要はなくて、例えばパイプ材をビスホール部として用いた場合のように隙間の生ずる形状であってもよい。本体部12とビスホール部16は、アルミの押出し成形法によって形成することができる。
【0017】
図2(a)、(b)、(c)に示す合わせ枠材11は、図1(c)(d)に示すビスホール部16が、図1(a)(b)に示す本体部12の外側の溝14に、その両端が均等に突出した状態に嵌められて突出部18が形成された状態に合体している。そして、合わせ枠材11には、保持アームに設けられている穴または突起体19に掛合する突起体19または穴が設けられている。突起体19としては、止めネジやタッピングネジなど一般のネジを用いることができる。なお、本体部12とビスホール部16との接触部には、例えば所定位置に凹凸等の案内溝を設けておくことができる。また、穴の設けられている箇所は、突起体19の設けられている箇所と同じ箇所であり、保持アームも合わせ枠材に対しても穴は図示が省略されている。
また、突起体19は、ルーバー羽根の装着前に予め設けておくことができるし、装着後に設けることもできる。また、突起体19は進退自在ないしは着脱自在に設けることができる。
【0018】
図3(a)、(b)、(c)に示す合わせ枠材21は、ビスホール部16が本体部22の溝24に、その両端が均等に突出した状態に嵌められて突出部18が形成されており、突起体19設けられている。本体部22は、突条(側壁)23,23によって溝24が形成されており、図5(b)の符号Rで示す寸法に切断されている。合わせ枠材21は、ビスホール部16と板ガラスの両者を共に溝24に嵌める点において合わせ枠材11と相違するが、寸法など他の点においては両者同じである。
【0019】
合わせ枠材11、21は、アルミの押出し成形法によって製作するのが好ましく、本体部とビスホール部は夫々別途の枠材として個別に製作し、夫々の寸法に切断し、然る後、合体させる製法により制作されるものであり、一体成形した後に不要部分を事後に切除する従来の製法に比べれば、寸法精度に優れていて作業も容易であり、仕上がりが綺麗である等の長所がある。
【0020】
図4(a)は図5(a)に示すルーバー羽根10を構成する上下横枠材31の平面図であり、長さ方向の両端にはビス孔32、32が形成されていて、溝34が突条(側壁)33、33によって形成されている。図4(b)は図4(a)の底面図である。
【0021】
図5(a)は、合わせ枠材11(合わせ枠材21)を用いた本発明のルーバー羽根10の正面図であり、合わせ枠材11(合わせ枠材21)には突起体19または穴(図示は省略されているが設けられる箇所は突起体19と同じ箇所である)が設けられている。図5(b)は図5(a)の側面の部分拡大側面図である。
【0022】
図4、図5は合わせ枠材11(合わせ枠材21)を用いたルーバー羽根10における枠組み構造を示している。本発明の枠組み構造では、ビスホール部16の突出部18が上下横枠材31の溝34に嵌められ、ビスホール17にはビス50がビス孔32を介して螺入されて枠組みされる。合わせ枠材11と上下横枠材31は同じ厚みであって、段差なく枠組みされる。即ち、相手方となる枠材へは突出部18の部分のみを嵌めてビス止めする構成であり、本体部の突条(側壁)13、13の部分は嵌める必要がないため、その分だけルーバー羽根の厚みは小さくすることが可能となり、6.0〜6.8mm用保持アームを備える業界仕様のルーバー窓に互換性100%に適合するルーバー羽根10がビス止めによる枠組によって防火機能十分に得られる。
【0023】
そして、ルーバー羽根10はクリップ方式の保持アーム61ないしはホルダ方式の保持アーム62に装着されるものであり、その場合、保持アームには、合わせ枠材に設けられている突起体19または穴に対応する箇所に、穴または突起体が設けられている。
図6は、本発明のルーバー羽根10をクリップ方式の保持アーム61に装着した状態を示しており、図7は、本発明のルーバー羽根10をホルダ方式の保持アーム62に装着した状態を示している。
合わせ枠材に突起体19が設けられる場合には保持アームに穴が設けられていて、合わせ枠材に穴が設けられる場合には保持アームに突起体19が設けられる構成であり、突起体19と穴とが掛合して抜脱が阻止される。即ち、ルーバー羽根10は、保持アームに設けられている穴または突起体19に、自身に設けられている突起体19または穴が掛合して保持アームからの抜脱が阻止される。なお、保持アームにおいても穴の設けられている個所は突起体の設けられている個所と同じであり、穴は図示が省略されている。
【0024】
なお、上記実施例において、突起体19は、ルーバー羽根が保持アームに装着される前に予め設けておくこともできるし、装着後に設けることもできる。
【0025】
なお、図7に示す例は、突起体19は保持アームと重複しない箇所に設けられている場合の例であり、保持アーム62に穴は設けられていない。このため、ルーバー羽根10は、室内方向への抜脱は阻止されるが、室外方向への抜脱は阻止できない。室内外両方向への抜脱を阻止するためには、突起体または穴は図6に示すようにルーバー羽根と保持アームとが重複する箇所に設ける必要がある。突起体または穴を設ける箇所は、保持アームの方式に関係なくて、上記の例に限定されるものではない。
【0026】
なお、上記実施例においては、突起体としてはネジを用いる構成について説明したが、尖端を有する板ばね等のような他の手段を用いることもできる。また、ルーバー羽根10は、両端にホルダ65を嵌めて装着するホルダ方式の保持アームに対しても、クリップ64を押し開いてルーバー羽根を装着するクリップ方式の保持アームに対しても同様に装着することができる。
【符号の説明】
【0027】
10:本願発明のルーバー羽根
11、21:合わせ枠材
12、22:合わせ枠材を構成する本体部
13、23、33:突条(側壁)
14、15、24、34:溝
16:合わせ枠材を構成するビスホール部
17:ビスホール
18:突出部
19:突起体
31:上下横枠材
32:ビス孔
40:板ガラス
50:ビス
61:クリップ方式の保持アーム
62:ホルダ方式の保持アーム
63:アーム部
64:クリップ部
65:ホルダ
1:公知の左右縦枠材
2:公知のビスホール部
3、5、:突条(側壁)
4、上下横枠材
6、ビス孔
7:ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーバー羽根の縁部に溝型の上下横枠材と左右縦枠材とをビス止めによって枠組みする際の枠組み構造であって、上下横枠材または左右縦枠材のいずれか一方に用いる枠材は、夫々別途に製作されたビスホール部と本体部とが一体状に合体して成る合わせ枠材から成り、該合わせ枠材はビスホール部が相手方となる枠材の溝に嵌って組み合わさる分だけ本体部の両端から長さ方向に突出していて、且つ保持アームに設けられている穴または突起体に掛合する突起体または穴を有する形状であり、組み合わさる相手方の枠材は上記一方の枠材と同等の厚みであって両端にビス孔を有する枠材から成り、枠組みに際しては、ビスホール部の突出している部分を相手方となる枠材の溝に嵌め、該ビス孔を介してビスホール部にビスを螺入して枠組みするようにしたことを特徴とするルーバー羽根における枠材の枠組み構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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