説明

ルーフキャリア装置

【課題】従来のルーフキャリア装置においては、長尺材用の固定具を斜め積みと平積みに変化できない欠点があった。
【解決手段】本発明のルーフキャリア装置は、長尺物を挟持する下側挟み杆と上側挟み杆とより成る荷物固定具と、この荷物固定具の基部を枢支ピンを介して回動自在に枢支する枠と、上記荷物固定具を上記枠に対し起立せしめた位置と倒した位置の何れかに選択的に保持する保持手段とを有するルーフキャリア装置において上記保持手段が、上記下側挟み杆の基部側に挿通せしめた枢支繋杆と、上記枠に形成した、上記枢支繋杆を挿通する幅の溝と、この溝の両端位置及びこの両端間の任意の位置の少くとも両端位置で上記枢支繋杆を係止する係止手段とより成り、上記枢支繋杆が上記溝の両端位置及びこの両端間の上記任意の位置に位置したとき、上記係止手段により上記荷物固定具が上記枠に上記位置で固定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルーフキャリア装置、特に、平積みと斜め積みができるルーフキャリア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の屋根上にスキー、またはスノーボードが積載できるようにしたルーフキャリア装置は既知である。また、このようなルーフキャリア装置においては斜め積みと平積みのものがある。
【0003】
一般に斜め積みは屋根の高い車に対しては積みやすいが取り付けた時に全高が高くなるため、駐車場等、高さ制限のある時には、当たることになり不都合である。また、平積みは空気抵抗が少なく、風切り音も少なく、スキー板等を積載しない時も目立たなくても良いが、屋根の高い車においてはスキー板等を積載しにくいという事がある。従来、板状体の搬出装置としては特許文献1に示すものがある。また、斜め積みから平積みへ、または平積みから斜め積みへと切替えることができるルーフキャリア装置としては特許文献2及び3に示すものがある。
【特許文献1】特願平08−142766号公報
【特許文献2】実開平07−005954号公報
【特許文献3】特開平09−048291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、従来のルーフキャリア装置は斜め積みから平積みへ、または平積みから斜め積みへと切替えることができなかった。
【0005】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルーフキャリア装置は、長尺物を挟持する下側挟み杆と上側挟み杆とより成る荷物固定具と、この荷物固定具の基部を枢支ピンを介して回動自在に枢支する枠と、上記荷物固定具を上記枠に対し起立せしめた位置と倒した位置の何れかに選択的に保持する保持手段とを有するルーフキャリア装置において上記保持手段が、上記下側挟み杆の基部側に挿通せしめた枢支繋杆と、上記枠に形成した、上記枢支繋杆を挿通する幅の溝と、この溝の両端位置及びこの両端間の任意の位置の少くとも両端位置で上記枢支繋杆を係止する係止手段とより成り、上記枢支繋杆が上記溝の両端位置及びこの両端間の上記任意の位置に位置したとき、上記係止手段により上記荷物固定具が上記枠に上記位置で固定されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のルーフキャリア装置は、長尺物を挟持する下側挟み杆と上側挟み杆とより成る荷物固定具と、この荷物固定具の基部を枢支ピンを介して回動自在に枢支する枠と、上記荷物固定具を上記枠に対し起立せしめた位置と倒した位置の何れかに選択的に保持する保持手段と、上記上側挟み杆を下側挟み杆に対して閉じたとき上記釈放手段を操作不能ならしめるため、上記上側挟み杆の前端部分に形成したカバーとを有し、上記保持手段が、上記下側挟み杆の基部側に挿通せしめた枢支繋杆と、上記枠に形成した、上記枢支繋杆を挿通する幅の溝と、この溝の両端位置及びこの両端間の任意の位置の少くとも両端位置で上記枢支繋杆を係止する係止手段とより成り、上記枢支繋杆が上記溝の両端位置及びこの両端間の上記任意の位置に位置したとき、上記係止手段により上記荷物固定具が上記枠に上記位置で固定され、上記上側挟み杆が上記下側挟み杆に鎖錠された状態では上記固定手段による固定状態が維持され、上記枠を上記バーから離脱できないようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記固定手段は、上記固定手段が、上記バーの内側面及び外側面を挾持する内側板及び外側板と、上記バーの下面に対向するよう上記内側板の下端部によってその一側が保持される包囲部材と、上記外側板の下部に回動自在に支持される基部と上記包囲部材の他側を保持する保持部とを有するレバーと、このレバーと上記外側板とを互いにロックするロック手段とより成り、上記釈放手段が上記ロック手段を釈放する部材より成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように本発明のルーフキャリア装置によれば、長尺物を極めて容易に斜め積み及び平積みできる大きな利益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明においては、図1〜図4に示すように車輛の屋根に脚(図示せず)を介して取り付けた、システムキャリアバー1にU字状の枠2の前後を固定手段3,3を介して固定し、上記枠2の内側に、互いに開閉可能な下側及び上側挟み杆4,5より成るスキー、スノーボード、釣り竿等の長尺物を固定する固定具6を起伏自在に設ける。
【0012】
上記下側挟み杆4の基部には図2に示すように長孔7を設け、この長孔7に挿入した枢支ピン8を上記枠2に貫通せしめて上記固定具6を上記枠2に回動自在に枢支する。また、図4及び図6に示すように、上記下側挟み杆4の基部側に繋杆孔9を設け、この繋杆孔9に挿通した枢支繋杆10を挿通する幅の溝11を上記長孔7の一端部を中心とする円弧に沿って延び、その両端で長孔7の他端部の方向に延びる形となるよう上記枠2の両側部分に図2及び図3に示すよう設け、上記枢支繋杆10を上記溝11の上端に位置せしめれば、図4に示すように上記固定具6が上記枠2に相対的に起立した位置となり、上記枢支繋杆10を上記溝11の下端に位置せしめれば、図2に示すように上記固定具6が上記枠2の内側に収納されるようにする。
【0013】
なお、図1〜図4において、12,13は夫々ゴムパッド、14は上記下側挟み杆3に設けたスキー板のための起立自在な掛止爪、15は下側挟み杆4に対する上側挟み杆5の従来既知の鎖錠機構を示す。
【0014】
また、図5及び図6に示すように上記枢支繋杆10の一端にはノブ16を固定し、他端には大径部分10aを形成し、上記溝11の両端は図3に示すように上記大径部分10aに合致する大きさの大径孔17とし、この大径孔17と上記溝11の他の部分の接続部分の幅は上記枢支繋杆10を通すが、上記大径部分10aは通さない大きさとする。
【0015】
本発明における固定手段3は、図7及び図8に示すように上記枠2の下方に延長して設けた、上記システムキャリアバー1の内側面及び外側面を挾持する内側板18及び外側板19と、上記システムキャリアバー1の下面に対向するよう上記内側板18の下端折り曲げ部20によってその一側が保持されるリング21と、上記外側板19の下部両側に形成した袖片22に枢支ピン23によって回動自在に支持される基部24と上記リング21の他側を保持する斜めの受け溝25とを有する、外方に延びるレバー26とにより構成する。
【0016】
また、この固定手段3によるシステムキャリアバー1に対する上記固定具2の固定を釈放自在に係止する係止手段27を設け、この係止手段27を例えば保持位置における上記レバー26と上記外側板19とを互いにロックするため、上記外側板19の上部と上記レバー26の対向面に互いに入れ子式に係合可能に形成した雄部材28及び雌部材29と、その進入位置では上記雄部材28に対する雌部材29の係合離脱を許容し、その退避位置では離脱を拒否するよう上記雌部材29に進退自在に取り付けたロックピン30と、このロックピン30を常時その退避位置に抑制するばね(図示せず)とにより構成する。
【0017】
上記ロックピン30は雄部材28ではなく雌部材29に設けても良い。また、図1及び図9に示すように上記上部挟み杆5の前端下部に形成したフロントカバー31には上部挟み杆5が閉じた状態では上記外側板19と、保持位置におけるレバー26間に入り込み上記ロックピン30の端面をカバーしてその進入位置への手動操作を阻止するようになる部分32を有せしめる。
【0018】
なお、上記前後の固定手段3,3のレバー26は一枚の共通の板により構成せしめる。
【0019】
本発明の上記実施例においては、長尺物を斜め積みで固定具6に取り付け固定する場合にはノブ16をばね10bのばね力に抗して押して繋杆10の大径部10aを上記溝11の大径孔17から外し、図4及び図10に示すように固定具6を起立せしめた状態とし、次いで繋杆10を図11に示すように溝11の端部の大径孔17内に移動せしめた後ノブ16の押圧を解けば、図6の状態からばね10bのばね力によって図5に示すように繋杆10の大径部10aが上記溝11の大径孔17内に位置されるので、起立位置で極めて簡単容易に長尺物を固定具6に取り付け固定することができるようになる。
【0020】
また、平積みとして固定具6を使用する場合には、ノブ16をばね10bのばね力に抗して押して繋杆10の大径部10aを上記大径孔17から外し、図2に示すように固定具6を枠2内に倒して収容せしめれば外観上の美観を損なわないようになると共に、平積みが可能になる。
【0021】
更に、上記固定具1は起伏自在であるから、斜め積みした後これを倒せば高速走行時の空気抵抗の低減を図ることができ、立体駐車場等、全高が制限されている場所にも対応できる。
【0022】
また、上記固定具6の上側挟み杆5を閉じれば、フロントカバー31の部分32によって上記係止手段27のロックピン30が外部から遮断されるようになるから、この状態で上記挟み杆5を下側挟み杆4に上記鎖錠機構15によって鎖錠すれば、固定具6をシステムキャリアバー1から取り外すことができないようになり従って盗難を防止できる。
【0023】
固定具6をシステムキャリアバー1から取り外す場合には、上側挟み杆5を開き、ロックピン30を手動操作してその進入位置とし、レバー26を枢支ピン23を中心に外側に回動し、リング21を側板18及び19より取り外せば良い。
【0024】
また、レバー26を2個の固定手段3,3に共通ならしめたため1回の動作で操作を行うことができ、また共通とすることによって大きな板状体となし得たので小さい力でも操作可能となる。
【0025】
本発明の他の実施例においては上記溝11の両端間の任意の位置にこの位置から上記長孔7の他端部の方向に延びる溝を形成し、この溝の端部が大径孔17となるようにする。
【0026】
この実施例によれば、上記荷物固定具6を最大傾斜位置と平行な位置間の任意の位置で保持できるようになる。
【0027】
本発明の更に他の実施例においては、図12及び図13に示すように上記長孔7を通常の丸孔とし、この丸孔を通る枢支ピン8に対し、上記枢支繋杆10を引張するばね33を設け、上記枢支繋杆10を上記溝11の大径孔17部分に移動せしめるようにする。
【0028】
本発明の更に他の実施例においては図14に示すように上記溝11を挿通する上記枢支繋杆10の部分に凸部34を形成し、上記溝11にはこの凸部34に合致するくぼみ35を形成し、枢支繋杆10を上記溝11に相対的に軸方向に押して上記凸部34とくぼみ35の係合を解除すれば上記枢支繋杆10を上記溝11に沿って移動できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のルーフキャリア装置の正面図である。
【図2】本発明のルーフキャリア装置における固定具の平積み状態の右側面図である。
【図3】本発明のルーフキャリア装置における枠部分の左側面図である。
【図4】本発明のルーフキャリア装置における固定具の斜め積み状態の左側面図である。
【図5】本発明のルーフキャリア装置における固定具のノブ付き枢支繋杆による固定状態の説明用断面図である。
【図6】本発明のルーフキャリア装置における固定具のノブ付き枢支繋杆による釈放状態の説明用断面図である。
【図7】本発明のルーフキャリア装置における荷物固定具の固定手段のレバーを開いた状態の側面図である。
【図8】本発明のルーフキャリア装置における荷物固定具の固定手段のレバーを開いた状態の平面図である。
【図9】本発明のルーフキャリア装置における上側挟み杆のフロントカバーの側面図である。
【図10】本発明のルーフキャリア装置における固定具の斜め積み状態の説明側面図である。
【図11】本発明のルーフキャリア装置における固定具の斜め積み状態の説明側面図である。
【図12】本発明のルーフキャリア装置の他の実施例説明図である。
【図13】図12に示す本発明のルーフキャリア装置の説明図である。
【図14】本発明のルーフキャリア装置の更に他の実施例における枢支繋杆の説明用斜視図である。
【図15】図14に示す枢支繋杆を通す溝の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 システムキャリアバー
2 U字状の枠
3 固定手段
4 下側挟み杆
5 上側挟み杆
6 荷物固定具
7 長孔
8 枢支ピン
9 繋杆孔
10 枢支繋杆
10a 大径部分
10b ばね
11 溝
12 ゴムパッド
13 ゴムパッド
14 掛止爪
15 鎖錠機構
16 ノブ
17 大径孔
18 内側板
19 外側板
20 下端折り曲げ部
21 リング
22 袖片
23 枢支ピン
24 基部
25 斜めの受け溝
26 レバー
27 係止手段
28 雄部材
29 雌部材
30 ロックピン
31 フロントカバー
32 フロントカバーの部分
33 ばね
34 凸部
35 くぼみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺物を挟持する下側挟み杆と上側挟み杆とより成る荷物固定具と、この荷物固定具の基部を枢支ピンを介して回動自在に枢支する枠と、上記荷物固定具を上記枠に対し起立せしめた位置と倒した位置の何れかに選択的に保持する保持手段とを有するルーフキャリア装置において上記保持手段が、上記下側挟み杆の基部側に挿通せしめた枢支繋杆と、上記枠に形成した、上記枢支繋杆を挿通する幅の溝と、この溝の両端位置及びこの両端間の任意の位置の少くとも両端位置で上記枢支繋杆を係止する係止手段とより成り、上記枢支繋杆が上記溝の両端位置及びこの両端間の上記任意の位置に位置したとき、上記係止手段により上記荷物固定具が上記枠に上記位置で固定されることを特徴とするルーフキャリア装置。
【請求項2】
長尺物を挟持する下側挟み杆と上側挟み杆とより成る荷物固定具と、この荷物固定具の基部を枢支ピンを介して回動自在に枢支する枠と、上記荷物固定具を上記枠に対し起立せしめた位置と倒した位置の何れかに選択的に保持する保持手段と、上記上側挟み杆を下側挟み杆に対して閉じたとき上記釈放手段を操作不能ならしめるため、上記上側挟み杆の前端部分に形成したカバーとを有し、上記保持手段が、上記下側挟み杆の基部側に挿通せしめた枢支繋杆と、上記枠に形成した、上記枢支繋杆を挿通する幅の溝と、この溝の両端位置及びこの両端間の任意の位置の少くとも両端位置で上記枢支繋杆を係止する係止手段とより成り、上記枢支繋杆が上記溝の両端位置及びこの両端間の上記任意の位置に位置したとき、上記係止手段により上記荷物固定具が上記枠に上記位置で固定され、上記上側挟み杆が上記下側挟み杆に鎖錠された状態では上記固定手段による固定状態が維持され、上記枠を上記バーから離脱できないようにしたことを特徴とするルーフキャリア装置。
【請求項3】
上記固定手段が、上記バーの内側面及び外側面を挾持する内側板及び外側板と、上記バーの下面に対向するよう上記内側板の下端部によってその一側が保持される包囲部材と、上記外側板の下部に回動自在に支持される基部と上記包囲部材の他側を保持する保持部とを有するレバーと、このレバーと上記外側板とを互いにロックするロック手段とより成り、上記釈放手段が上記ロック手段を釈放する部材より成ることを特徴とする請求項2記載のルーフキャリア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−247395(P2008−247395A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188358(P2008−188358)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【分割の表示】特願平9−362363の分割
【原出願日】平成9年12月12日(1997.12.12)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】