説明

ルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造

【課題】ルーフボックス底面の取付部の隙間を安価な構成で容易にふさぐ構造を提供する。
【解決手段】ルーフボックス底面4の取付装置挿通孔3の形成面には弾性部材によって形成された板状部材5が配置され、上記板状部材5は上記取付装置挿通孔3を覆うように取付装置挿通孔3に対して左右方向に夫々配置された一方の板状部材5と他方の板状部材5よりなり、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々少なくとも上記取付装置挿通孔3よりも左右の位置でルーフボックス底面4に固定される固定面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々上記取付装置挿通孔3の位置で上下方向への撓み動作が可能な自由面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の自由面は互いの撓み動作を制御する、撓み防止手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に固定されたキャリア2にルーフボックスを取付る際にルーフボックス底面44に生じる、取付部の隙間をふさぐ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ルーフボックスのキャリア2取付部は、取付装置1を通すための孔が存在するが、その孔および上記孔と取付装置1との間に生じた隙間から水、埃、砂等がルーフボックス筐体内部に侵入する問題があった。
従来技術としては、予めルーフボックスの取付部の孔をふさぐように薄い布テープを貼り付けておき、ルーフボックス取付装置1により薄い布テープに孔をあけてキャリア2へ装着していた。
【0003】
しかし、キャリア2本体に装着されたルーフボックスの取付位置を変更した場合、変更以前に生じた孔はそのままとなってしまい、防塵、防滴、遮光効果をもたせるために別途、孔をふさぐ部品が必要となり、その部品の取付ける工数が増え、更に孔をふさぐ部品の紛失などの問題があった。
また、以前より図7に示す構造が公知であるが、取付装置1の左右の位置に一端を接続されたシールストリップによって取付装置1用の孔がふさがれる構造であるため、部品構成が複雑になりコストアップになる。更に上記構成ではキャリア2の取付け位置の変更可能となる幅を広くするためには、左右夫々のシールストリップを取付装置1の移動距離よりも長くする必要があるため、上記シールストリップの非接続側の端部が破損し易くなり、上記シールストリップの非接続側の端部を保護するカバー(図示せず)を設けることが望ましいがその場合は、部品構成が複雑でコストアップと重量が増加する欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−506585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ルーフボックスのキャリア2本体への取付によって生じる、ルーフボックス底面4の取付部の隙間を安価な構成で容易にふさぐ事ができ、それにより防塵、防滴機能を持たせることにより積載物の汚れ、濡れの防止、及び美観向上をもたらすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造は、ルーフボックスと、上記ルーフボックスを自動車に固定されたキャリア2に取付るための取付装置1を有し、自動車の前後方向に対して上記ルーフボックスを位置調整可能に取付るために、ルーフボックス底面には前後方向に延在した取付装置挿通孔3が形成され、更に上記ルーフボックス底面の取付装置挿通孔3の形成面には弾性部材によって形成された板状部材55が配置され、上記板状部材5は上記取付装置挿通孔3を覆うように取付装置挿通孔3に対して左右方向に夫々配置された一方の板状部材5と他方の板状部材5よりなり、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々少なくとも上記取付装置挿通孔3よりも左右の位置でルーフボックス底面4に固定される固定面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々上記取付装置挿通孔3の位置で上下方向への撓み動作が可能な自由面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の自由面は互いの撓み動作を制御する、撓み防止手段を有することを特徴とする。
【0007】
上記撓み防止手段が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5とを接続する複数の連結部と上記連結部間に形成された非連結部よりなると良い。
【0008】
更に上記複数の連結部の夫々の連結距離が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5との非連結部の夫々の非連結距離よりも小さく形成されると良い。
【0009】
また、上記撓み防止手段が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5間に形成されたスリット状の薄肉連結部を有する様に形成しても良い。
【0010】
また、上記撓み防止手段が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の夫々の自由面の端分上方に形成された当接部によって構成しても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ルーフボックスを自動車用キャリア2に対して位置調整可能に取付る事ができ、上記取付装置1によってルーフボックスをキャリア2に取付るために形成されたルーフボックス底面4の取付装置挿通孔3および、取付装置1による取付部の隙間を安価な構成で容易にふさぐ事ができ、それにより防塵、防滴機能を持たせることにより積載物の汚れ、濡れの防止、及び美観向上をもたらす効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例の使用状態を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例の部品配置を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例の部品配置を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施例の部品配置を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施例の部品配置を示す断面図である。
【図7】従来技術を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の第1実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1は図1〜4図に示す様に、ルーフボックスと、上記ルーフボックスを自動車に固定されたキャリア2に取付るための複数の取付装置1を有し、自動車の前後方向に対して上記ルーフボックスを位置調整可能に取付るために、ルーフボックス底面4には複数の前後方向に延在した取付装置挿通孔3が形成され、更に上記ルーフボックス底面4の取付装置挿通孔3の形成面には弾性部材によって形成された板状部材5が配置され、上記板状部材5は上記取付装置挿通孔3を覆うように取付装置挿通孔3に対して左右方向に夫々配置された一方の板状部材5と他方の板状部材5よりなり、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々少なくとも上記取付装置挿通孔3よりも左右の位置でルーフボックス底面4に固定される固定面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々上記取付装置挿通孔3の位置で上下方向への撓み動作が可能な自由面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の自由面は互いの撓み動作を制御する、撓み防止手段を有する。
【0015】
上記ルーフボックスを自動車に固定されたキャリア2に取付る際には、上記取付装置1の固定椀部6が、上記取付装置挿通孔3を介してキャリア2をルーフボックスの底面下部に保持固定する様に構成されるが、その作業性を向上させるため、上記撓み防止手段は上記一方の板状部材5と他方の板状部材5とを接続する複数の連結部と上記連結部間に形成された非連結部よりなり、上記板状部材5を厚さ0.8mmの合成ゴム(EPDE)で形成した場合、上記複数の連結部の夫々の連結距離は0.3mm〜2mm程度が望ましく、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5との非連結部の距離は10mm〜100mm程度が望ましい。そして上記寸法の範囲内であれば、上記固定作業中にカッターやはさみ等の工具を用いる事無く、容易に板状部材5の連結部の任意の位置を切断する事が出来、さらに、一定間隔で設けられた上記連結部によって非連結部が下方に垂れ下がり、左右夫々の板状部材5の自由面同士の端部間に機能上有害な隙間が生じる事を極力防止する事が出来る。尚、板状部材5の厚さ及び連結距離、非連結距離に関する本発明の権利範囲は本実施例に限定されず、適切に用いる事ができる。
【0016】
尚、実施例において上記板状部材5の固定面への固定位置はルーフボックス底面の上面としているが、下面に固定しても良く、更に上面と下面の両方に固定してもよい。また、上記板状部材5の固定面への固定方法は両面テープや接着剤を用いて貼り付けてもよく、板状部材5とルーフボックス底面4間に係止部を形成して機械的に固定しても良く、別途固定板や固定ピンを用いて板状部材5をルーフボックス底面に固定しても良い。
【0017】
尚、上記板状部材5は、ゴムやエラストマー等の弾性材を板状に形成したものであれば良く、その材質は本実施例に限定されない。また、内部に気泡を有する発泡材料によって形成してもよく、板状部材5の製法は、シート状に形成素材を抜き型によって周囲の形状やスリットを形成してもよく、金型を用いて射出成型、加硫成型等によって成型した後、必要に応じて型抜きしてもよく、押し出し成型により成型した後、必要に応じて型抜きしてもよい。
【実施例2】
【0018】
本発明の実施例2は図5に示す様に、上記撓み防止手段を、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5間に形成したスリット状の薄肉連結部によって形成する事が出来る。なお、上記薄肉連結部は、図 に示す様に上記実施例1の構成と同様に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5とを接続する複数の連結部と上記連結部間に形成された非連結部を設ける事によって、上記ルーフボックスを自動車に固定されたキャリア2に取付る際の作業性が向上する。
【実施例3】
【0019】
本発明の実施例3は図6に示す様に、上記撓み防止手段は、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の自由面の端部に夫々上方へ向かう延在部を設け、重力によって上記板状部材5の自由面が下方へ撓んだ際に、上記端部の延在部同士が当接する様に構成する事が出来る。本実施例においては、上記実施例1および実施例2と比較して、上記取付装置1の固定椀部6が、上記取付装置挿通孔3を介してキャリア2をルーフボックスの底面下部に保持固定する際の、上記板状部材5の上記固定椀部6と隣接する位置に発生する隙間を防止する機能は若干劣るが、上記実施例1および実施例に記載の連結部が不要であるため、煩雑にルーフボックスの固定位置を変更しても、撓み防止機能の低下が生じない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
ルーフボックスの自動車用キャリア2への取付により生じる隙間をふさぐ構造として産業上有効に利用する事が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 取付装置
2 キャリア
3 挿通孔
4 ルーフボックス底面
5 板状部材
6 固定椀部
7 シールストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフボックスと、上記ルーフボックスを自動車に固定されたキャリア2に取付るための取付装置1を有し、自動車の前後方向に対して上記ルーフボックスを位置調整可能に取付るために、ルーフボックス底面には前後方向に延在した取付装置挿通孔3が形成され、更に上記ルーフボックス底面の取付装置挿通孔3の形成面には弾性部材によって形成された板状部材5が配置され、上記板状部材5は上記取付装置挿通孔3を覆うように取付装置挿通孔3に対して左右方向に夫々配置された一方の板状部材5と他方の板状部材5よりなり、上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々少なくとも上記取付装置挿通孔3よりも左右の位置でルーフボックス底面4に固定される固定面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5は夫々上記取付装置挿通孔3の位置で上下方向への撓み動作が可能な自由面を有し、更に上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の自由面は互いの撓み動作を制御する、撓み防止手段を有することを特徴とするルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造。
【請求項2】
上記撓み防止手段が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5とを接続する複数の連結部と上記連結部間に形成された非連結部よりなることを特徴とする請求項1記載のルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造。
【請求項3】
上記複数の連結部の夫々の連結距離が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5との非連結部の夫々の非連結距離よりも小さいことを特徴とする請求項2記載のルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造。
【請求項4】
上記撓み防止手段が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5間に形成されたスリット状の薄肉連結部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造。
【請求項5】
上記撓み防止手段が上記一方の板状部材5と他方の板状部材5の夫々の自由面の端分上方に形成された当接部よりなることを特徴とする請求項1記載のルーフボックス取付部の孔をふさぐ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−213261(P2011−213261A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84138(P2010−84138)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】