ルーフモールとその製造方法
【課題】ルーフモールの頭部下面に付着した塗料が自動車のルーフの溝の両側表面と擦れ合うことによる異音を生じ難くでき、かつ安価で製造の簡略化を実現できるルーフモールの提供を目的とする。
【解決手段】頭部12と、頭部12の下面14に頭部より12幅狭に形成された脚部21と、脚部21に形成されたリップ27,27とを有するルーフモール本体11の頭部12の上面13に塗膜31を形成したルーフモール10において、頭部11の下面14には、頭部12の幅方向両端15,15より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部16,16を設けた。
【解決手段】頭部12と、頭部12の下面14に頭部より12幅狭に形成された脚部21と、脚部21に形成されたリップ27,27とを有するルーフモール本体11の頭部12の上面13に塗膜31を形成したルーフモール10において、頭部11の下面14には、頭部12の幅方向両端15,15より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部16,16を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部の上面が塗装されたルーフモールとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9及びそのK−K断面を示す図10のように、自動車のルーフRにはルーフモール50が取付けられることがある。前記ルーフモール50は、ルーフRの中央パネルR1と側部パネルR2が一体に接合される継ぎ目部分を隠すため、前記継ぎ目部分に形成された溝R3に装着される。
【0003】
前記ルーフモール50として、頭部52と、前記頭部52の下面に頭部52よりも幅を狭くして形成された脚部54と、前記脚部54に形成されたリップ55,55とを有するルーフモール本体51の頭部52の上面に塗膜53が設けられたものがある。前記頭部52は、前記溝R3を覆う幅からなり、前記頭部52の上面に設けられた塗膜53は、例えば、自動車の車体色に合わせた色とされ、塗装により形成される。前記脚部54には、温度変化によるルーフモール50の伸縮を主として抑えるための金属製芯材56が埋設されている。また前記リップ55,55は、前記ルーフの溝R3からルーフモール50が浮き上がるのを防止するためのものであり、前記脚部54の下部から外方へ張り出すように形成されている。
【0004】
また、前記頭部52の塗膜53を形成するための塗装は、図11に示すような一組の支持部63,63が上向きに立設された塗装受け具61を用い、前記ルーフモール本体51の頭部52の下面52bを前記支持部63,63に載置して前記支持部63,63で前記頭部52を支持した状態で行われる。その際、前記塗装受け具61の支持部63,63は、前記頭部52の下面52bを、前記頭部52の幅方向両端52a,52aよりも所定量内側の位置で支えて、前記頭部52を幅方向両端52a,52aまで確実かつ美麗に塗装できるようにしている。なお、前記頭部52の上面において幅方向両端52a,52aまで塗膜53が綺麗に形成されていないと、ルーフの溝R3へルーフモール50を装着した場合に、溝R3の付近の美観が損なわれることになる。
【0005】
しかし、前記塗装受け具61にルーフモール本体51を載置して塗装を行うと、前記頭部52の幅方向両端52a,52aの下面にまで塗料53aが回り込んで付着してしまうため、このようにして塗装されたルーフモール50がルーフの溝R3に装着されると、自動車の走行時の振動で前記頭部52の幅方向両端52a,52aの下面に付着している塗料53aが溝R3の両側のルーフの表面R4,R4と擦れあって異音を発生させるおそれがある。
【0006】
そこで、従来では、前記頭部52の塗装時にマスキングを行って、頭部52の幅方向両端52a,52aの下面に塗料が付着しないようにしたり、頭部52の幅方向両端52a,52aの下面に付着した塗料53a,53aを後工程で削り取ったりしなければならず、作業工数の増加によりコストアップを招いていた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−142262号公報
【特許文献2】特開2004−338423号公報
【特許文献3】特開2005−335651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、ルーフモールの頭部下面に付着した塗料が自動車のルーフの溝両側表面と擦れ合うことによる異音の発生を防ぎ、かつ安価で製造の簡略化を実現できるルーフモールとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗膜が形成されたルーフモールにおいて、前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗装が施されたルーフモールの製造方法において、前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を設け、前記突部と前記頭部の幅方向両端との間に遮蔽部材を配置して前記頭部に塗装を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明のルーフモールによれば、ルーフモールの頭部の下面には、頭部の幅方向両端より内側位置に突部を有するため、頭部の幅方向両端の下面に塗料が付着していても、ルーフの溝にルーフモールが装着された際には、頭部の幅方向両端の下面が頭部の下面の突部によって溝両側のルーフ表面から離れた状態となり、自動車走行時の振動によっても、頭部の幅方向両端の下面に付着している塗料がルーフ表面と擦れあうことがなくなり、塗料とルーフ表面との擦れあいによる異音の発生を防ぐことができる。しかも、頭部の塗装時にマスキングしたり、頭部の幅方向両端の下面に付着した塗料を後工程で除去したりする余分な作業を不要にでき、ルーフモールのコスト低減および作業の簡略化を実現することができる。
【0012】
請求項2の発明のルーフモールの製造方法によれば、頭部の下面には、頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を設け、突部と頭部の幅方向両端との間に遮蔽部材を配置して頭部に塗装を施しているため、塗装時に頭部の幅方向両端の下面に塗料が付着することがあっても遮蔽部材で覆われた突部に塗料が付着するのを防ぐことができる。本発明の製造方法により製造されたルーフモールは、ルーフの溝に装着された際に、頭部の幅方向両端の下面が頭部の下面の突部によって溝両側のルーフ表面から離れた状態となり、自動車走行時の振動によっても、頭部の幅方向両端の下面に付着している塗料がルーフ表面と擦れあうことがなくなり、塗料とルーフ表面との擦れあいによる異音の発生を防ぐことができる。しかも、本発明の製造方法によれば、頭部の塗装時にマスキングしたり、頭部の幅方向両端の下面に付着した塗料を後工程で除去したりする余分な作業を不要にでき、ルーフモールのコスト低減および作業の簡略化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明における第1実施例に係るルーフモールの斜視図、図2は図1の2−2断面図およびA部拡大図、図3は第1実施例における塗装時を示す図、図4は第1実施例のルーフモール使用状態を示す断面図、図5は第2実施例に係るルーフモールの斜視図、図6は図5の6−6断面図およびB部拡大図、図7は第2実施例における塗装時を示す図、図8は第2実施例のルーフモール使用状態を示す断面図である。
【0014】
図1及び図2に示す第1実施例のルーフモール10は、図4に示すように自動車のルーフRに形成された溝R3に装着されて、前記溝R3を塞ぐものである。前記ルーフモール10は、ルーフモール本体11の頭部12の上面13に塗装により塗膜31が設けられたものである。
【0015】
前記ルーフモール本体11は、押出成形された長尺品を所定長に切断したものであって、頭部12と脚部21とリップ27,27を有する。
【0016】
前記頭部12は、前記ルーフRの溝R3を覆うことのできる幅からなり、前記ルーフモール10の長さ方向に沿って設けられている。前記頭部12の下面14には、前記頭部12の幅方向両端15,15より内側位置(脚部21寄りの位置)に下方へ突出した突部16,16を有する。前記突部16,16は、前記頭部12の幅方向両端15,15と脚部21間において、この第1実施例では突起状に下方へ突出形成され、かつ脚部21よりも下方への突出量が少なく形成されている。前記頭部12の下面14からの前記突部16,16の突出量は、適宜決定されるが、1〜5mm程度を挙げる。前記頭部12を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂やPVC樹脂などの適宜の樹脂とされる。図においてWは頭部12の幅方向、Lは頭部12の長さ方向を示す。また頭部の幅方向Wは、頭部の長さ方向Lと直交する方向の幅をいう。
【0017】
前記脚部21は、前記頭部12の幅より狭く、かつ前記溝R3に挿入可能な幅からなって、前記ルーフモール10の長さ方向に沿って設けられている。図示の例では、前記頭部12の下面14において頭部12の幅方向中央位置に前記脚部21が設けられ、前記頭部12の両側部が前記脚部21の両外側へ張り出している。前記脚部21には、温度変化によるルーフモール10の伸縮を抑えるため等の理由から、鉄などの棒状あるいは帯状の金属からなる芯材22が埋設されている。前記脚部21はポリオレフィン系樹脂やPVC樹脂などの適宜の樹脂とされる。
【0018】
前記脚部21の下部にはリップ27,27が側部外方へ突出形成されている。前記リップ27,27は他部よりも柔軟な材質からなる。前記脚部21の両側におけるリップ27,27の先端間距離は、前記溝R3の幅よりも大とされ、それによって前記脚部21と共にリップ27,27が前記溝R3に挿入された際に、前記リップ27,27の先端が溝R3の側面と圧接してルーフモール10の溝R3からの浮き上がりを抑えることができる。前記リップ27,27を構成する材質は、ポリオレフィン系樹脂やPVC樹脂等適宜の樹脂とされる。
【0019】
前記塗膜31は、前記頭部12の上面13に前記頭部12の幅方向両端15,15まで設けられている。前記頭部12の上面13の塗膜31は、後述するルーフモール10の製造時の塗装によって形成されるが、前記頭部12の下面14の突部16,16については、少なくとも下端に前記塗膜31の塗料が付着していない。
【0020】
前記ルーフモール10の製造は、図3に示すように、前記ルーフモール本体11の頭部12を、前記塗装受け具61の支持部63,63の上端に載置して、前記頭部12の下面14を幅方向両端15,15と前記突部16,16の間で支持し、その状態で公知の塗装方法によって前記頭部12の上面13に塗装を施すことによって行われる。前記支持部63,63は、本発明の遮蔽部材に相当するものであって、前記支持部(遮蔽部材)63,63間に前記突部16,16を隠蔽可能なように、前記ルーフモール本体11の長さ方向に沿って設けられている。
【0021】
前記塗装は、前記頭部12の幅方向両端15,15まで頭部12の上面13に確実に塗膜31が形成されるように行われる。そのため、前記頭部12の幅方向両端15,15では下面14側へ回り込んで塗料32,32が付着する。しかし、前記突部16,16を前記塗装受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63よりも内側に位置させ、前記受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63で塗料を遮蔽した状態で前記頭部12に塗装を施すため、前記頭部12の下面14の突部16,16については、少なくとも下端に塗料が付着するのを防ぐことができる。前記塗膜31の塗料は、ウレタン系あるいはアクリル系等、適宜の樹脂塗料とされる。また、塗装時、必要に応じて前記頭部12の上面13にはプライマー処理が行われる。
【0022】
前記ルーフモール10は、図4に示すように、前記脚部21およびリップ27,27が前記自動車のルーフRの溝R3に挿入されて前記頭部12で溝R3を覆う。前記溝R3に装着されたルーフモール10は、前記頭部12の下面14の突部16,16が前記溝R3の両側の表面R4,R4と接触して、前記頭部12の下面14の幅方向両端15,15に付着している塗料32,32が、前記溝R3の両側の表面R4,R4から離れた状態(非接触状態)となる。そのため、自動車の走行時の振動等によって前記頭部12の下面14の幅方向両端15,15に付着している塗料32,32が溝R3の両側の表面R4,R4と擦れ合うことがなく、その擦れによる異音の発生のおそれがない。
【0023】
図5及び図6に示す第2実施例のルーフモール10Aは、ルーフモール本体11Aの頭部12Aの下面14Aにおいて、前記頭部12Aの幅方向両端15A,15Aより内側位置(脚部21A寄りの位置)に形成された突部16A,16Aが、階段状に下方へ突出したものからなる点を除き、他の構成は前記第1実施例のルーフモール10と同一であり、詳細な説明を省略する。なお、第2実施例のルーフモール10Aにおける各部の符号は、数字の後にアルファベットのAを加えて示すことにより、第1実施例における各部と区別した。符号11Aはルーフモール本体、12Aは頭部、13Aは頭部の上面、14Aは頭部の下面、15A,15Aは頭部の幅方向両端、16A,16Aは突部、21Aは脚部、22Aは芯材、27A,27Aはリップ、31Aは塗膜、32A,32Aは頭部12Aの下面14Aの幅方向両端に付着した塗料である。また、ルーフモール本体11Aは、押出成形された長尺品を所定長に切断したものである。
【0024】
前記突部16A,16Aは、前記頭部12Aの下面14Aにおいて、幅方向両端15A,15Aより内側位置から脚部21Aまでの間が階段状に一段下方へ突出した段部で構成されている。換言すると、前記頭部12Aの下面14Aは、前記頭部12Aの幅方向両端15A,15A側が、前記突部16A,16Aの下端よりも一段高くなっている。前記頭部12Aの下面14Aから下方への前記突部16A,16Aの突出量は、前記脚部21Aよりも少なく形成されている。前記頭部12の下面14からの前記突部16,16の突出量は、適宜決定されるが、1〜5mm程度を挙げる。
【0025】
前記塗膜31Aは、前記頭部12Aの上面13Aに前記頭部12Aの幅方向両端15A,15Aまで設けられている。前記頭部12Aの上面13Aの塗膜31Aは、ルーフモール10Aの製造時の塗装によって形成されるが、前記頭部12Aの下面14Aの突部16A,16Aについては、少なくとも下端に前記塗膜31Aの塗料が付着していない。
【0026】
前記ルーフモール10Aの製造は、、第1実施例のルーフモール10と同様に行われる。すなわち、図7に示すように、前記ルーフモール本体11Aの頭部12Aを、前記塗装受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63の上端に載置して、前記頭部12Aの下面14Aを幅方向両端15A,15Aと前記突部16A,16Aの間で支持し、その状態で公知の塗装方法によって前記頭部12Aの上面13Aに塗装を施すことによって行われる。その際、前記頭部12Aの上面13Aにおいて頭部12Aの幅方向両端15A,15Aまで確実に塗膜31Aが形成されるように塗装が行われるため、前記頭部12Aの幅方向両端15A,15Aでは下面14A側まで回り込んで塗料32A,32Aが付着する。しかし、前記突部16A,16Aを前記塗装受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63よりも内側に位置させ、前記受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63で塗料を遮蔽した状態で塗装を施すため、前記頭部12Aの下面14Aにおける突部16A,16Aについては、少なくとも下端に塗料が付着するのを防ぐことができる。前記塗膜31Aの塗料は、ウレタン系あるいはアクリル系等、適宜の樹脂塗料とされる。また、塗装時、必要に応じて前記頭部12Aの上面13Aにはプライマー処理が行われる。
【0027】
前記ルーフモール10Aは、図8に示すように、前記脚部21Aおよびリップ27A,27Aが前記自動車のルーフRの溝R3に挿入されて前記頭部12Aで溝R3を覆う。前記溝R3に装着されたルーフモール10Aは、前記頭部12Aの下面14Aの突部16A,16Aが前記溝R3の両側の表面R4,R4と接触して、前記頭部12Aの下面14Aの幅方向両端15A,15Aに付着している塗料32A,32Aが、前記溝R3の両側の表面R4,R4から離れた状態(非接触状態)となる。そのため、自動車の走行時の振動等によって前記頭部12Aの下面14Aの幅方向両端15A,15Aに付着している塗料32A,32Aが溝R3の両側の表面R4,R4と擦れ合うことがなく、その擦れによる異音の発生のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明における第1実施例に係るルーフモールの斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図およびA部拡大図である。
【図3】第1実施例における塗装時を示す図である。
【図4】第1実施例のルーフモール使用状態を示す断面図である。
【図5】第2実施例に係るルーフモールの斜視図である。
【図6】図5の6−6断面図およびB部拡大図である。
【図7】第2実施例における塗装時を示す図である。
【図8】第2実施例のルーフモール使用状態を示す断面図である。
【図9】従来のルーフモールが装着されたルーフを示す斜視図である。
【図10】図9のK−K断面図である。
【図11】従来のルーフモールにおける塗装時を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10,10A ルーフモール
11,11A ルーフモール本体
12,12A 頭部
13,13A 頭部の上面
14,14A 頭部の下面
15,15A 頭部の幅方向両端
16,16A 突部
21,21A 脚部
27,27A リップ
31,31A 塗膜
32,32A 頭部の下面における頭部の幅方向両端に付着した塗料
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部の上面が塗装されたルーフモールとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9及びそのK−K断面を示す図10のように、自動車のルーフRにはルーフモール50が取付けられることがある。前記ルーフモール50は、ルーフRの中央パネルR1と側部パネルR2が一体に接合される継ぎ目部分を隠すため、前記継ぎ目部分に形成された溝R3に装着される。
【0003】
前記ルーフモール50として、頭部52と、前記頭部52の下面に頭部52よりも幅を狭くして形成された脚部54と、前記脚部54に形成されたリップ55,55とを有するルーフモール本体51の頭部52の上面に塗膜53が設けられたものがある。前記頭部52は、前記溝R3を覆う幅からなり、前記頭部52の上面に設けられた塗膜53は、例えば、自動車の車体色に合わせた色とされ、塗装により形成される。前記脚部54には、温度変化によるルーフモール50の伸縮を主として抑えるための金属製芯材56が埋設されている。また前記リップ55,55は、前記ルーフの溝R3からルーフモール50が浮き上がるのを防止するためのものであり、前記脚部54の下部から外方へ張り出すように形成されている。
【0004】
また、前記頭部52の塗膜53を形成するための塗装は、図11に示すような一組の支持部63,63が上向きに立設された塗装受け具61を用い、前記ルーフモール本体51の頭部52の下面52bを前記支持部63,63に載置して前記支持部63,63で前記頭部52を支持した状態で行われる。その際、前記塗装受け具61の支持部63,63は、前記頭部52の下面52bを、前記頭部52の幅方向両端52a,52aよりも所定量内側の位置で支えて、前記頭部52を幅方向両端52a,52aまで確実かつ美麗に塗装できるようにしている。なお、前記頭部52の上面において幅方向両端52a,52aまで塗膜53が綺麗に形成されていないと、ルーフの溝R3へルーフモール50を装着した場合に、溝R3の付近の美観が損なわれることになる。
【0005】
しかし、前記塗装受け具61にルーフモール本体51を載置して塗装を行うと、前記頭部52の幅方向両端52a,52aの下面にまで塗料53aが回り込んで付着してしまうため、このようにして塗装されたルーフモール50がルーフの溝R3に装着されると、自動車の走行時の振動で前記頭部52の幅方向両端52a,52aの下面に付着している塗料53aが溝R3の両側のルーフの表面R4,R4と擦れあって異音を発生させるおそれがある。
【0006】
そこで、従来では、前記頭部52の塗装時にマスキングを行って、頭部52の幅方向両端52a,52aの下面に塗料が付着しないようにしたり、頭部52の幅方向両端52a,52aの下面に付着した塗料53a,53aを後工程で削り取ったりしなければならず、作業工数の増加によりコストアップを招いていた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−142262号公報
【特許文献2】特開2004−338423号公報
【特許文献3】特開2005−335651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、ルーフモールの頭部下面に付着した塗料が自動車のルーフの溝両側表面と擦れ合うことによる異音の発生を防ぎ、かつ安価で製造の簡略化を実現できるルーフモールとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗膜が形成されたルーフモールにおいて、前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗装が施されたルーフモールの製造方法において、前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を設け、前記突部と前記頭部の幅方向両端との間に遮蔽部材を配置して前記頭部に塗装を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明のルーフモールによれば、ルーフモールの頭部の下面には、頭部の幅方向両端より内側位置に突部を有するため、頭部の幅方向両端の下面に塗料が付着していても、ルーフの溝にルーフモールが装着された際には、頭部の幅方向両端の下面が頭部の下面の突部によって溝両側のルーフ表面から離れた状態となり、自動車走行時の振動によっても、頭部の幅方向両端の下面に付着している塗料がルーフ表面と擦れあうことがなくなり、塗料とルーフ表面との擦れあいによる異音の発生を防ぐことができる。しかも、頭部の塗装時にマスキングしたり、頭部の幅方向両端の下面に付着した塗料を後工程で除去したりする余分な作業を不要にでき、ルーフモールのコスト低減および作業の簡略化を実現することができる。
【0012】
請求項2の発明のルーフモールの製造方法によれば、頭部の下面には、頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を設け、突部と頭部の幅方向両端との間に遮蔽部材を配置して頭部に塗装を施しているため、塗装時に頭部の幅方向両端の下面に塗料が付着することがあっても遮蔽部材で覆われた突部に塗料が付着するのを防ぐことができる。本発明の製造方法により製造されたルーフモールは、ルーフの溝に装着された際に、頭部の幅方向両端の下面が頭部の下面の突部によって溝両側のルーフ表面から離れた状態となり、自動車走行時の振動によっても、頭部の幅方向両端の下面に付着している塗料がルーフ表面と擦れあうことがなくなり、塗料とルーフ表面との擦れあいによる異音の発生を防ぐことができる。しかも、本発明の製造方法によれば、頭部の塗装時にマスキングしたり、頭部の幅方向両端の下面に付着した塗料を後工程で除去したりする余分な作業を不要にでき、ルーフモールのコスト低減および作業の簡略化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明における第1実施例に係るルーフモールの斜視図、図2は図1の2−2断面図およびA部拡大図、図3は第1実施例における塗装時を示す図、図4は第1実施例のルーフモール使用状態を示す断面図、図5は第2実施例に係るルーフモールの斜視図、図6は図5の6−6断面図およびB部拡大図、図7は第2実施例における塗装時を示す図、図8は第2実施例のルーフモール使用状態を示す断面図である。
【0014】
図1及び図2に示す第1実施例のルーフモール10は、図4に示すように自動車のルーフRに形成された溝R3に装着されて、前記溝R3を塞ぐものである。前記ルーフモール10は、ルーフモール本体11の頭部12の上面13に塗装により塗膜31が設けられたものである。
【0015】
前記ルーフモール本体11は、押出成形された長尺品を所定長に切断したものであって、頭部12と脚部21とリップ27,27を有する。
【0016】
前記頭部12は、前記ルーフRの溝R3を覆うことのできる幅からなり、前記ルーフモール10の長さ方向に沿って設けられている。前記頭部12の下面14には、前記頭部12の幅方向両端15,15より内側位置(脚部21寄りの位置)に下方へ突出した突部16,16を有する。前記突部16,16は、前記頭部12の幅方向両端15,15と脚部21間において、この第1実施例では突起状に下方へ突出形成され、かつ脚部21よりも下方への突出量が少なく形成されている。前記頭部12の下面14からの前記突部16,16の突出量は、適宜決定されるが、1〜5mm程度を挙げる。前記頭部12を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂やPVC樹脂などの適宜の樹脂とされる。図においてWは頭部12の幅方向、Lは頭部12の長さ方向を示す。また頭部の幅方向Wは、頭部の長さ方向Lと直交する方向の幅をいう。
【0017】
前記脚部21は、前記頭部12の幅より狭く、かつ前記溝R3に挿入可能な幅からなって、前記ルーフモール10の長さ方向に沿って設けられている。図示の例では、前記頭部12の下面14において頭部12の幅方向中央位置に前記脚部21が設けられ、前記頭部12の両側部が前記脚部21の両外側へ張り出している。前記脚部21には、温度変化によるルーフモール10の伸縮を抑えるため等の理由から、鉄などの棒状あるいは帯状の金属からなる芯材22が埋設されている。前記脚部21はポリオレフィン系樹脂やPVC樹脂などの適宜の樹脂とされる。
【0018】
前記脚部21の下部にはリップ27,27が側部外方へ突出形成されている。前記リップ27,27は他部よりも柔軟な材質からなる。前記脚部21の両側におけるリップ27,27の先端間距離は、前記溝R3の幅よりも大とされ、それによって前記脚部21と共にリップ27,27が前記溝R3に挿入された際に、前記リップ27,27の先端が溝R3の側面と圧接してルーフモール10の溝R3からの浮き上がりを抑えることができる。前記リップ27,27を構成する材質は、ポリオレフィン系樹脂やPVC樹脂等適宜の樹脂とされる。
【0019】
前記塗膜31は、前記頭部12の上面13に前記頭部12の幅方向両端15,15まで設けられている。前記頭部12の上面13の塗膜31は、後述するルーフモール10の製造時の塗装によって形成されるが、前記頭部12の下面14の突部16,16については、少なくとも下端に前記塗膜31の塗料が付着していない。
【0020】
前記ルーフモール10の製造は、図3に示すように、前記ルーフモール本体11の頭部12を、前記塗装受け具61の支持部63,63の上端に載置して、前記頭部12の下面14を幅方向両端15,15と前記突部16,16の間で支持し、その状態で公知の塗装方法によって前記頭部12の上面13に塗装を施すことによって行われる。前記支持部63,63は、本発明の遮蔽部材に相当するものであって、前記支持部(遮蔽部材)63,63間に前記突部16,16を隠蔽可能なように、前記ルーフモール本体11の長さ方向に沿って設けられている。
【0021】
前記塗装は、前記頭部12の幅方向両端15,15まで頭部12の上面13に確実に塗膜31が形成されるように行われる。そのため、前記頭部12の幅方向両端15,15では下面14側へ回り込んで塗料32,32が付着する。しかし、前記突部16,16を前記塗装受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63よりも内側に位置させ、前記受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63で塗料を遮蔽した状態で前記頭部12に塗装を施すため、前記頭部12の下面14の突部16,16については、少なくとも下端に塗料が付着するのを防ぐことができる。前記塗膜31の塗料は、ウレタン系あるいはアクリル系等、適宜の樹脂塗料とされる。また、塗装時、必要に応じて前記頭部12の上面13にはプライマー処理が行われる。
【0022】
前記ルーフモール10は、図4に示すように、前記脚部21およびリップ27,27が前記自動車のルーフRの溝R3に挿入されて前記頭部12で溝R3を覆う。前記溝R3に装着されたルーフモール10は、前記頭部12の下面14の突部16,16が前記溝R3の両側の表面R4,R4と接触して、前記頭部12の下面14の幅方向両端15,15に付着している塗料32,32が、前記溝R3の両側の表面R4,R4から離れた状態(非接触状態)となる。そのため、自動車の走行時の振動等によって前記頭部12の下面14の幅方向両端15,15に付着している塗料32,32が溝R3の両側の表面R4,R4と擦れ合うことがなく、その擦れによる異音の発生のおそれがない。
【0023】
図5及び図6に示す第2実施例のルーフモール10Aは、ルーフモール本体11Aの頭部12Aの下面14Aにおいて、前記頭部12Aの幅方向両端15A,15Aより内側位置(脚部21A寄りの位置)に形成された突部16A,16Aが、階段状に下方へ突出したものからなる点を除き、他の構成は前記第1実施例のルーフモール10と同一であり、詳細な説明を省略する。なお、第2実施例のルーフモール10Aにおける各部の符号は、数字の後にアルファベットのAを加えて示すことにより、第1実施例における各部と区別した。符号11Aはルーフモール本体、12Aは頭部、13Aは頭部の上面、14Aは頭部の下面、15A,15Aは頭部の幅方向両端、16A,16Aは突部、21Aは脚部、22Aは芯材、27A,27Aはリップ、31Aは塗膜、32A,32Aは頭部12Aの下面14Aの幅方向両端に付着した塗料である。また、ルーフモール本体11Aは、押出成形された長尺品を所定長に切断したものである。
【0024】
前記突部16A,16Aは、前記頭部12Aの下面14Aにおいて、幅方向両端15A,15Aより内側位置から脚部21Aまでの間が階段状に一段下方へ突出した段部で構成されている。換言すると、前記頭部12Aの下面14Aは、前記頭部12Aの幅方向両端15A,15A側が、前記突部16A,16Aの下端よりも一段高くなっている。前記頭部12Aの下面14Aから下方への前記突部16A,16Aの突出量は、前記脚部21Aよりも少なく形成されている。前記頭部12の下面14からの前記突部16,16の突出量は、適宜決定されるが、1〜5mm程度を挙げる。
【0025】
前記塗膜31Aは、前記頭部12Aの上面13Aに前記頭部12Aの幅方向両端15A,15Aまで設けられている。前記頭部12Aの上面13Aの塗膜31Aは、ルーフモール10Aの製造時の塗装によって形成されるが、前記頭部12Aの下面14Aの突部16A,16Aについては、少なくとも下端に前記塗膜31Aの塗料が付着していない。
【0026】
前記ルーフモール10Aの製造は、、第1実施例のルーフモール10と同様に行われる。すなわち、図7に示すように、前記ルーフモール本体11Aの頭部12Aを、前記塗装受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63の上端に載置して、前記頭部12Aの下面14Aを幅方向両端15A,15Aと前記突部16A,16Aの間で支持し、その状態で公知の塗装方法によって前記頭部12Aの上面13Aに塗装を施すことによって行われる。その際、前記頭部12Aの上面13Aにおいて頭部12Aの幅方向両端15A,15Aまで確実に塗膜31Aが形成されるように塗装が行われるため、前記頭部12Aの幅方向両端15A,15Aでは下面14A側まで回り込んで塗料32A,32Aが付着する。しかし、前記突部16A,16Aを前記塗装受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63よりも内側に位置させ、前記受け具61の支持部(遮蔽部材)63,63で塗料を遮蔽した状態で塗装を施すため、前記頭部12Aの下面14Aにおける突部16A,16Aについては、少なくとも下端に塗料が付着するのを防ぐことができる。前記塗膜31Aの塗料は、ウレタン系あるいはアクリル系等、適宜の樹脂塗料とされる。また、塗装時、必要に応じて前記頭部12Aの上面13Aにはプライマー処理が行われる。
【0027】
前記ルーフモール10Aは、図8に示すように、前記脚部21Aおよびリップ27A,27Aが前記自動車のルーフRの溝R3に挿入されて前記頭部12Aで溝R3を覆う。前記溝R3に装着されたルーフモール10Aは、前記頭部12Aの下面14Aの突部16A,16Aが前記溝R3の両側の表面R4,R4と接触して、前記頭部12Aの下面14Aの幅方向両端15A,15Aに付着している塗料32A,32Aが、前記溝R3の両側の表面R4,R4から離れた状態(非接触状態)となる。そのため、自動車の走行時の振動等によって前記頭部12Aの下面14Aの幅方向両端15A,15Aに付着している塗料32A,32Aが溝R3の両側の表面R4,R4と擦れ合うことがなく、その擦れによる異音の発生のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明における第1実施例に係るルーフモールの斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図およびA部拡大図である。
【図3】第1実施例における塗装時を示す図である。
【図4】第1実施例のルーフモール使用状態を示す断面図である。
【図5】第2実施例に係るルーフモールの斜視図である。
【図6】図5の6−6断面図およびB部拡大図である。
【図7】第2実施例における塗装時を示す図である。
【図8】第2実施例のルーフモール使用状態を示す断面図である。
【図9】従来のルーフモールが装着されたルーフを示す斜視図である。
【図10】図9のK−K断面図である。
【図11】従来のルーフモールにおける塗装時を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10,10A ルーフモール
11,11A ルーフモール本体
12,12A 頭部
13,13A 頭部の上面
14,14A 頭部の下面
15,15A 頭部の幅方向両端
16,16A 突部
21,21A 脚部
27,27A リップ
31,31A 塗膜
32,32A 頭部の下面における頭部の幅方向両端に付着した塗料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗膜が形成されたルーフモールにおいて、
前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を有することを特徴とするルーフモール。
【請求項2】
頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗装が施されたルーフモールの製造方法において、
前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を設け、
前記突部と前記頭部の幅方向両端との間に遮蔽部材を配置して前記頭部に塗装を施すことを特徴とするルーフモールの製造方法。
【請求項1】
頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗膜が形成されたルーフモールにおいて、
前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を有することを特徴とするルーフモール。
【請求項2】
頭部と、前記頭部の下面に前記頭部より幅狭に形成された脚部と、前記脚部に形成されたリップとを有するルーフモール本体の前記頭部の上面に塗装が施されたルーフモールの製造方法において、
前記頭部の下面には、前記頭部の幅方向両端より内側位置に、下方へ突起状あるいは階段状に突出した突部を設け、
前記突部と前記頭部の幅方向両端との間に遮蔽部材を配置して前記頭部に塗装を施すことを特徴とするルーフモールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−149976(P2008−149976A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342144(P2006−342144)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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