ルーフモール
【課題】本体部材の溝部に対する組付性を阻害することなく、本体部材の溝部からの離脱を的確に防止する。
【解決手段】溝部13に装着されるルーフモール20は、溝部13の前後両端部を除く部分に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材21と、この本体部材21の前後各端部に連結されて前記溝部13の前後各端部に組付けられる前後一対の端末部材22を備えている。本体部材21は、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部13に設けた保持部(抜止クリップ14)に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部21bを下端部に有しており、一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が本体部材21の内部に嵌合される規制部材(連結突起22c)によって規制されるように構成されている。
【解決手段】溝部13に装着されるルーフモール20は、溝部13の前後両端部を除く部分に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材21と、この本体部材21の前後各端部に連結されて前記溝部13の前後各端部に組付けられる前後一対の端末部材22を備えている。本体部材21は、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部13に設けた保持部(抜止クリップ14)に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部21bを下端部に有しており、一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が本体部材21の内部に嵌合される規制部材(連結突起22c)によって規制されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に装着されるルーフモールに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のルーフモールの一つとして、当該ルーフモールが、前記溝部の前後両端部を除く部分に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材(下記特許文献1では、モール本体と記載されている)と、この本体部材の前後各端部に連結されて前記溝部の前後各端部に組付けられる前後一対の端末部材を備えているものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21587号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献1に記載されているルーフモールでは、本体部材が、溝部を塞ぐ頭部と、溝部に挿入可能な脚部を備えていて、脚部の下端部両側には弾性変形可能なリップが設けられている。リップは、脚部とともに溝部に挿入された際に、その先端が溝部の側面と圧接して本体部材の浮き上がりを抑えるように構成されている。しかし、リップが弾性変形可能であるため、本体部材に浮き上がる力が作用したとき、リップが弾性変形して本体部材が溝部から離脱するおそれがある。なお、リップの弾性素材を適宜に設定すること(例えば、弾性変形し難い素材とすること)により、上記した浮き上がる力によるリップの弾性変形量を少なくして、本体部材の溝部からの離脱を抑制することも可能であるが、この場合には、リップが脚部とともに溝部に挿入される際に大きな力が必要であって、組付性を悪くするおそれがある。
【0005】
(課題を解決するための手段)
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に装着されるルーフモールであって、前記溝部に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材と、この本体部材の前後各端部に連結されて前記溝部に組付けられる前後一対の端末部材を備えており、前記本体部材は、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部に設けた保持部(例えば、前記溝部の底部に組付けられた抜止クリップ、または、前記溝部に設けた下方に向けて幅広となる一対の傾斜側壁)に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部を下端部に有しており、前記一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が前記本体部材の内部に嵌合される規制部材によって規制されるように構成されているルーフモールに特徴がある。
【0006】
上記した本発明の実施に際して、前記各端末部材に一体的に形成されていて、前記本体部材の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて前記本体部材に連結される連結突起が、前記規制部材を兼ねていることも可能である。また、前記本体部材は、上部が前記溝部より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面があり、硬質樹脂によって形成されていることも可能である。
【0007】
(発明の作用効果)
本発明によるルーフモールでは、前記本体部材が、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部に設けた保持部に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部を下端部に有しており、前記一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が前記本体部材の内部に嵌合される規制部材によって規制されるように構成されている。
【0008】
このため、本体部材の内部に規制部材を嵌合しない状態では、本体部材における一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が許容される。したがって、本体部材を単独で溝部に組付ける際には、一対の係止部が容易に弾性変形し、本体部材を溝部に容易に組付けることが可能である。また、本体部材を単独で溝部に組付けた後に、前記本体部材の内部に規制部材を嵌合すれば、本体部材における一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が規制されて、一対の係止部の溝部の保持部に対する弾性係合が維持される。したがって、かかる状態では、本体部材に大きな浮き上がる力が作用しても、本体部材の溝部からの離脱が的確に防止される。
【0009】
また、本発明の実施に際して、前記各端末部材に一体的に形成されていて、前記本体部材の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて前記本体部材に連結される連結突起が、前記規制部材を兼ねている場合には、端末部材と規制部材が別個に構成されている場合に比して、構成部品点数の低減を図るとともに、組付工数の低減を図ることができて、コスト低減を図ることが可能である。
【0010】
また、本発明の実施に際して、前記本体部材は、上部が前記溝部より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面があり、硬質樹脂によって形成されている場合には、本体部材の意匠面を車外から的確に視認することができるとともに、本体部材の意匠面を的確に維持することができて、当該ルーフモールの意匠性を十分に確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるルーフモールを装備した車両の一実施形態を示した前方斜視図である。
【図2】図1に示したルーフモールの前方部位を示した拡大斜視図である。
【図3】図2に示したルーフモールの本体部材における車両前後方向の中間部にて車幅方向に切断した断面図である。
【図4】図2に示したルーフモールの本体部材と端末部材の連結部位(本体部材における車両前後方向の前端部)にて車幅方向に切断した断面図である。
【図5】図2に示したルーフモールの端末部材における車両前後方向の前端部にて車幅方向に切断した断面図である。
【図6】図2に示したルーフモールの端末部材単体の後方斜視図である。
【図7】図2に示したルーフモールの端末部材単体の前方斜視図である。
【図8】図2に示したルーフモールが、車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に、装着される前の斜視図である。
【図9】図8に示した溝部に、図2に示したルーフモールの本体部材が組付けられた状態の斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態(抜止クリップを用いない実施形態)を示した図3相当の断面図である。
【図11】本発明のその他の実施形態(連結突起の変形実施形態)を示した図4相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明によるルーフモール20を装備した車両の一実施形態を示していて、この実施形態では、図1〜図5に示したように、車両のルーフパネル11とサイドボデーパネル12との接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部13に、ルーフモール20が装着されている。溝部13は、前端が前方に向けて開口した形状に形成されているが、この前方開口はフロントガラスユニット(図示省略)が車体に組付けられることで閉塞されるように構成されている。なお、溝部13の後端は、ルーフパネル11またはサイドボデーパネル12に形成した膨出部(図示省略)によって閉じた形状に形成されている。
【0013】
ルーフモール20は、溝部13の前後両端部を除く部分に抜止クリップ14を用いて組付けられて車両前後方向に延びる本体部材21と、この本体部材21の前後各端部に連結されて溝部13の前後各端部に抜止・位置決クリップ15を用いて組付けられる前後一対の端末部材22,23を備えている。
【0014】
本体部材21は、図3および図4に示したように、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状(逆U字状)であって、所望の弾性を有する硬質樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP))にて、下端と前後両端が開口した形状(図9参照)に形成されている。また、本体部材21は、上部が前記溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面21aが形成されている。
【0015】
この本体部材21は、溝部13の底部13aに設けた抜止クリップ14(保持部)に車両幅方向および上下方向にて弾性係合する一対の係止部21bを下端部に有し、溝部13の上下方向中間部に設けた段部13bに弾性係合する一対のシールリップ部21c(例えば、オレフィン系エラストマー(TPO)等の軟質樹脂によって形成されている)を上下方向の中間部に有している。なお、一対のシールリップ部21cは、本体部材21の全長に亘って設けられている。
【0016】
一対の係止部21bは、車両前後方向にて所定の間隔で設けられていて、係止部21bと同様に所定の間隔で配置されている抜止クリップ14の左右各側壁14aと左右各上壁14bに弾性係合している。また、一対の係止部21bは、本体部材21の内部が空洞である状態(この実施形態では、各端末部材22,23が連結されていない状態)で、車幅方向にて弾性変形可能であって、その弾性変形状態(両係止部21bが近接した状態)では抜止クリップ14の左右各上壁14b間の隙間を通して上下方向に抜き差し可能に構成されている。また、一対の係止部21bは、本体部材21の内部(端部開口内)に端末部材22(23)の連結突起22cが嵌合されている状態で、車両幅方向での弾性変形が連結突起22cによって規制されるように構成されている。
【0017】
各端末部材22,23は、所望の弾性を有する硬質樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP))にて、高さが端部に向けて順次低くなる形状に形成されている。また、各端末部材22,23は、本体部材21との連結部位にて上部が前記溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面22a,23aが形成されている。また、各端末部材22,23は、前方の端末部材22を例として図2、図4〜図7に示したように、溝部13の底部13aに設けた抜止・位置決クリップ15に車両前後方向および上下方向にて弾性係合する一対の係止部22bを下端部に有し、本体部材21の内部に嵌合して本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形を規制する連結突起22cを本体部材21との連結端部に有している。
【0018】
一対の係止部22bは、高さが低く形成される端部に設けられていて、係止部22bと係合可能に配置されている抜止・位置決クリップ15の左右各上壁15aとこれらに形成した突起15bに弾性係合している(図8および図9参照)。また、一対の係止部22bは、図5に示したように、所定の長さに形成されていて、車幅方向にて弾性変形可能であって、その弾性変形状態(両係止部22bが近接した状態)では抜止・位置決クリップ15の左右各上壁15a間の隙間を通して下方に挿入可能に構成されている。
【0019】
また、一対の係止部22bは、図9に示した本体部材21に対して端末部材22が連結されて溝部13の端部に組付けられることで、抜止・位置決クリップ15の左右各上壁15aによって上下方向にて抜け止めされるとともに、抜止・位置決クリップ15の両突起15bによって前後方向での位置決めがなされるように構成されている。
【0020】
上記のように構成したこの実施形態のルーフモール20では、本体部材21が、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、溝部13の底部13aに設けた保持部としての抜止クリップ14に車両幅方向および上下方向にて弾性係合する一対の係止部21bを下端部に有しており、一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が本体部材21の内部に嵌合される規制部材としての連結突起22c(図4参照)によって規制されるように構成されている。
【0021】
このため、本体部材21の内部に連結突起22cを嵌合しない状態では、本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が許容される。したがって、本体部材21を単独で溝部13に組付ける際には、一対の係止部21bが容易に弾性変形し、本体部材21を溝部13に容易に組付けることが可能である。また、本体部材21を単独で溝部13に組付けた後に、本体部材21と溝部13に端末部材22(23)を組付けて、本体部材21の内部に連結突起22cを嵌合すれば、本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が規制されて、一対の係止部21bの溝部13に組付けた抜止クリップ14に対する弾性係合が維持される。したがって、かかる状態では、本体部材21に大きな浮き上がる力が作用しても、本体部材21の溝部13からの離脱が的確に防止される。
【0022】
また、この実施形態では、各端末部材22(23)に一体的に形成されていて、本体部材21の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて本体部材21に連結される連結突起22cが、前記規制部材を兼ねているため、端末部材と規制部材が別個に構成されている場合に比して、構成部品点数の低減を図るとともに、組付工数の低減を図ることができて、コスト低減を図ることが可能である。
【0023】
また、この実施形態において、本体部材21は、上部が溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面21aがあり、硬質樹脂によって形成されている。また、端末部材22,23が、本体部材21との連結端部を溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面22a,23aがあり、硬質樹脂によって形成されている。このため、本体部材21の意匠面21aと端末部材22,23の意匠面22a,23aを車外から的確に視認することができるとともに、本体部材21の意匠面21aと端末部材22,23の意匠面22a,23aを的確に維持することができて、当該ルーフモール20の意匠性を十分に確保することが可能である。
【0024】
上記実施形態においては、本体部材21の下端部に設けた一対の係止部21bが、溝部13の底部13aに組付けられた抜止クリップ14の左右各側壁14aに車両幅方向にて弾性係合するように構成して実施したが、図10に示したように、本体部材21の下端部に設けた一対の係止部21bが、溝部13の底部13bに設けた下方に向けて幅広となる一対の傾斜側壁13cに車両幅方向にて弾性係合するように構成して実施することも可能である。この場合には、抜止クリップ14が不要であり、安価に実施することが可能である。
【0025】
また、上記実施形態においては、各端末部材22(23)の連結突起22cが、本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形を規制する規制部材を兼ねるように構成して実施したが、前記規制部材を各端末部材(22,23)とは別個に構成して実施することも可能である。なお、上記した各端末部材22(23)の連結突起22cは、下端が分離した形状に形成されているが、この形状は適宜変更可能であり、図11に示したように、下端が連結されているもの(全周がつながったもの)であってもよい。この場合には、連結突起22c自体が撓み難くて、より好適に係止部21bの弾性変形を規制することが可能である。
【0026】
また、上記実施形態においては、ルーフモール20が一つの本体部材21と前後一対の端末部材22,23を備える構成として実施したが、例えば、ルーフモール(20)が前後一対の本体部材(21)とこれらの間に組付けられる中間の端末部材および前後一対の端末部材(22,23)を備える構成として実施することも可能である。この場合には、ルーフモール(20)が、前方の端末部材(22)、前方の本体部材(21)、中間の端末部材、後方の本体部材(21)、後方の端末部材(23)の順で配置され、前方の端末部材(22)と中間の端末部材が、前方の本体部材(21)に対して前後一対であり、中間の端末部材と後方の端末部材(23)が、後方の本体部材(21)に対して前後一対であって、中間の端末部材が二つの端末部材としての機能を兼ねる。
【符号の説明】
【0027】
11…ルーフパネル、12…サイドボデーパネル、13…溝部、13a…溝部の底部、14…抜止クリップ(保持部)、15…抜止・位置決クリップ、20…ルーフモール、21…本体部材、21a…意匠面、21b…一対の係止部、21c…一対のシールリップ部、22,23…端末部材、22a,23a…意匠面、22b…一対の係止部、22c…連結突起(規制部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に装着されるルーフモールに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のルーフモールの一つとして、当該ルーフモールが、前記溝部の前後両端部を除く部分に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材(下記特許文献1では、モール本体と記載されている)と、この本体部材の前後各端部に連結されて前記溝部の前後各端部に組付けられる前後一対の端末部材を備えているものがあり、例えば、下記特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21587号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
上記した特許文献1に記載されているルーフモールでは、本体部材が、溝部を塞ぐ頭部と、溝部に挿入可能な脚部を備えていて、脚部の下端部両側には弾性変形可能なリップが設けられている。リップは、脚部とともに溝部に挿入された際に、その先端が溝部の側面と圧接して本体部材の浮き上がりを抑えるように構成されている。しかし、リップが弾性変形可能であるため、本体部材に浮き上がる力が作用したとき、リップが弾性変形して本体部材が溝部から離脱するおそれがある。なお、リップの弾性素材を適宜に設定すること(例えば、弾性変形し難い素材とすること)により、上記した浮き上がる力によるリップの弾性変形量を少なくして、本体部材の溝部からの離脱を抑制することも可能であるが、この場合には、リップが脚部とともに溝部に挿入される際に大きな力が必要であって、組付性を悪くするおそれがある。
【0005】
(課題を解決するための手段)
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に装着されるルーフモールであって、前記溝部に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材と、この本体部材の前後各端部に連結されて前記溝部に組付けられる前後一対の端末部材を備えており、前記本体部材は、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部に設けた保持部(例えば、前記溝部の底部に組付けられた抜止クリップ、または、前記溝部に設けた下方に向けて幅広となる一対の傾斜側壁)に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部を下端部に有しており、前記一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が前記本体部材の内部に嵌合される規制部材によって規制されるように構成されているルーフモールに特徴がある。
【0006】
上記した本発明の実施に際して、前記各端末部材に一体的に形成されていて、前記本体部材の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて前記本体部材に連結される連結突起が、前記規制部材を兼ねていることも可能である。また、前記本体部材は、上部が前記溝部より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面があり、硬質樹脂によって形成されていることも可能である。
【0007】
(発明の作用効果)
本発明によるルーフモールでは、前記本体部材が、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部に設けた保持部に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部を下端部に有しており、前記一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が前記本体部材の内部に嵌合される規制部材によって規制されるように構成されている。
【0008】
このため、本体部材の内部に規制部材を嵌合しない状態では、本体部材における一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が許容される。したがって、本体部材を単独で溝部に組付ける際には、一対の係止部が容易に弾性変形し、本体部材を溝部に容易に組付けることが可能である。また、本体部材を単独で溝部に組付けた後に、前記本体部材の内部に規制部材を嵌合すれば、本体部材における一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が規制されて、一対の係止部の溝部の保持部に対する弾性係合が維持される。したがって、かかる状態では、本体部材に大きな浮き上がる力が作用しても、本体部材の溝部からの離脱が的確に防止される。
【0009】
また、本発明の実施に際して、前記各端末部材に一体的に形成されていて、前記本体部材の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて前記本体部材に連結される連結突起が、前記規制部材を兼ねている場合には、端末部材と規制部材が別個に構成されている場合に比して、構成部品点数の低減を図るとともに、組付工数の低減を図ることができて、コスト低減を図ることが可能である。
【0010】
また、本発明の実施に際して、前記本体部材は、上部が前記溝部より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面があり、硬質樹脂によって形成されている場合には、本体部材の意匠面を車外から的確に視認することができるとともに、本体部材の意匠面を的確に維持することができて、当該ルーフモールの意匠性を十分に確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるルーフモールを装備した車両の一実施形態を示した前方斜視図である。
【図2】図1に示したルーフモールの前方部位を示した拡大斜視図である。
【図3】図2に示したルーフモールの本体部材における車両前後方向の中間部にて車幅方向に切断した断面図である。
【図4】図2に示したルーフモールの本体部材と端末部材の連結部位(本体部材における車両前後方向の前端部)にて車幅方向に切断した断面図である。
【図5】図2に示したルーフモールの端末部材における車両前後方向の前端部にて車幅方向に切断した断面図である。
【図6】図2に示したルーフモールの端末部材単体の後方斜視図である。
【図7】図2に示したルーフモールの端末部材単体の前方斜視図である。
【図8】図2に示したルーフモールが、車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に、装着される前の斜視図である。
【図9】図8に示した溝部に、図2に示したルーフモールの本体部材が組付けられた状態の斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態(抜止クリップを用いない実施形態)を示した図3相当の断面図である。
【図11】本発明のその他の実施形態(連結突起の変形実施形態)を示した図4相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明によるルーフモール20を装備した車両の一実施形態を示していて、この実施形態では、図1〜図5に示したように、車両のルーフパネル11とサイドボデーパネル12との接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部13に、ルーフモール20が装着されている。溝部13は、前端が前方に向けて開口した形状に形成されているが、この前方開口はフロントガラスユニット(図示省略)が車体に組付けられることで閉塞されるように構成されている。なお、溝部13の後端は、ルーフパネル11またはサイドボデーパネル12に形成した膨出部(図示省略)によって閉じた形状に形成されている。
【0013】
ルーフモール20は、溝部13の前後両端部を除く部分に抜止クリップ14を用いて組付けられて車両前後方向に延びる本体部材21と、この本体部材21の前後各端部に連結されて溝部13の前後各端部に抜止・位置決クリップ15を用いて組付けられる前後一対の端末部材22,23を備えている。
【0014】
本体部材21は、図3および図4に示したように、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状(逆U字状)であって、所望の弾性を有する硬質樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP))にて、下端と前後両端が開口した形状(図9参照)に形成されている。また、本体部材21は、上部が前記溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面21aが形成されている。
【0015】
この本体部材21は、溝部13の底部13aに設けた抜止クリップ14(保持部)に車両幅方向および上下方向にて弾性係合する一対の係止部21bを下端部に有し、溝部13の上下方向中間部に設けた段部13bに弾性係合する一対のシールリップ部21c(例えば、オレフィン系エラストマー(TPO)等の軟質樹脂によって形成されている)を上下方向の中間部に有している。なお、一対のシールリップ部21cは、本体部材21の全長に亘って設けられている。
【0016】
一対の係止部21bは、車両前後方向にて所定の間隔で設けられていて、係止部21bと同様に所定の間隔で配置されている抜止クリップ14の左右各側壁14aと左右各上壁14bに弾性係合している。また、一対の係止部21bは、本体部材21の内部が空洞である状態(この実施形態では、各端末部材22,23が連結されていない状態)で、車幅方向にて弾性変形可能であって、その弾性変形状態(両係止部21bが近接した状態)では抜止クリップ14の左右各上壁14b間の隙間を通して上下方向に抜き差し可能に構成されている。また、一対の係止部21bは、本体部材21の内部(端部開口内)に端末部材22(23)の連結突起22cが嵌合されている状態で、車両幅方向での弾性変形が連結突起22cによって規制されるように構成されている。
【0017】
各端末部材22,23は、所望の弾性を有する硬質樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP))にて、高さが端部に向けて順次低くなる形状に形成されている。また、各端末部材22,23は、本体部材21との連結部位にて上部が前記溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面22a,23aが形成されている。また、各端末部材22,23は、前方の端末部材22を例として図2、図4〜図7に示したように、溝部13の底部13aに設けた抜止・位置決クリップ15に車両前後方向および上下方向にて弾性係合する一対の係止部22bを下端部に有し、本体部材21の内部に嵌合して本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形を規制する連結突起22cを本体部材21との連結端部に有している。
【0018】
一対の係止部22bは、高さが低く形成される端部に設けられていて、係止部22bと係合可能に配置されている抜止・位置決クリップ15の左右各上壁15aとこれらに形成した突起15bに弾性係合している(図8および図9参照)。また、一対の係止部22bは、図5に示したように、所定の長さに形成されていて、車幅方向にて弾性変形可能であって、その弾性変形状態(両係止部22bが近接した状態)では抜止・位置決クリップ15の左右各上壁15a間の隙間を通して下方に挿入可能に構成されている。
【0019】
また、一対の係止部22bは、図9に示した本体部材21に対して端末部材22が連結されて溝部13の端部に組付けられることで、抜止・位置決クリップ15の左右各上壁15aによって上下方向にて抜け止めされるとともに、抜止・位置決クリップ15の両突起15bによって前後方向での位置決めがなされるように構成されている。
【0020】
上記のように構成したこの実施形態のルーフモール20では、本体部材21が、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、溝部13の底部13aに設けた保持部としての抜止クリップ14に車両幅方向および上下方向にて弾性係合する一対の係止部21bを下端部に有しており、一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が本体部材21の内部に嵌合される規制部材としての連結突起22c(図4参照)によって規制されるように構成されている。
【0021】
このため、本体部材21の内部に連結突起22cを嵌合しない状態では、本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が許容される。したがって、本体部材21を単独で溝部13に組付ける際には、一対の係止部21bが容易に弾性変形し、本体部材21を溝部13に容易に組付けることが可能である。また、本体部材21を単独で溝部13に組付けた後に、本体部材21と溝部13に端末部材22(23)を組付けて、本体部材21の内部に連結突起22cを嵌合すれば、本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形が規制されて、一対の係止部21bの溝部13に組付けた抜止クリップ14に対する弾性係合が維持される。したがって、かかる状態では、本体部材21に大きな浮き上がる力が作用しても、本体部材21の溝部13からの離脱が的確に防止される。
【0022】
また、この実施形態では、各端末部材22(23)に一体的に形成されていて、本体部材21の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて本体部材21に連結される連結突起22cが、前記規制部材を兼ねているため、端末部材と規制部材が別個に構成されている場合に比して、構成部品点数の低減を図るとともに、組付工数の低減を図ることができて、コスト低減を図ることが可能である。
【0023】
また、この実施形態において、本体部材21は、上部が溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面21aがあり、硬質樹脂によって形成されている。また、端末部材22,23が、本体部材21との連結端部を溝部13より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面22a,23aがあり、硬質樹脂によって形成されている。このため、本体部材21の意匠面21aと端末部材22,23の意匠面22a,23aを車外から的確に視認することができるとともに、本体部材21の意匠面21aと端末部材22,23の意匠面22a,23aを的確に維持することができて、当該ルーフモール20の意匠性を十分に確保することが可能である。
【0024】
上記実施形態においては、本体部材21の下端部に設けた一対の係止部21bが、溝部13の底部13aに組付けられた抜止クリップ14の左右各側壁14aに車両幅方向にて弾性係合するように構成して実施したが、図10に示したように、本体部材21の下端部に設けた一対の係止部21bが、溝部13の底部13bに設けた下方に向けて幅広となる一対の傾斜側壁13cに車両幅方向にて弾性係合するように構成して実施することも可能である。この場合には、抜止クリップ14が不要であり、安価に実施することが可能である。
【0025】
また、上記実施形態においては、各端末部材22(23)の連結突起22cが、本体部材21における一対の係止部21bの車両幅方向での弾性変形を規制する規制部材を兼ねるように構成して実施したが、前記規制部材を各端末部材(22,23)とは別個に構成して実施することも可能である。なお、上記した各端末部材22(23)の連結突起22cは、下端が分離した形状に形成されているが、この形状は適宜変更可能であり、図11に示したように、下端が連結されているもの(全周がつながったもの)であってもよい。この場合には、連結突起22c自体が撓み難くて、より好適に係止部21bの弾性変形を規制することが可能である。
【0026】
また、上記実施形態においては、ルーフモール20が一つの本体部材21と前後一対の端末部材22,23を備える構成として実施したが、例えば、ルーフモール(20)が前後一対の本体部材(21)とこれらの間に組付けられる中間の端末部材および前後一対の端末部材(22,23)を備える構成として実施することも可能である。この場合には、ルーフモール(20)が、前方の端末部材(22)、前方の本体部材(21)、中間の端末部材、後方の本体部材(21)、後方の端末部材(23)の順で配置され、前方の端末部材(22)と中間の端末部材が、前方の本体部材(21)に対して前後一対であり、中間の端末部材と後方の端末部材(23)が、後方の本体部材(21)に対して前後一対であって、中間の端末部材が二つの端末部材としての機能を兼ねる。
【符号の説明】
【0027】
11…ルーフパネル、12…サイドボデーパネル、13…溝部、13a…溝部の底部、14…抜止クリップ(保持部)、15…抜止・位置決クリップ、20…ルーフモール、21…本体部材、21a…意匠面、21b…一対の係止部、21c…一対のシールリップ部、22,23…端末部材、22a,23a…意匠面、22b…一対の係止部、22c…連結突起(規制部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に装着されるルーフモールであって、
前記溝部に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材と、この本体部材の前後各端部に連結されて前記溝部に組付けられる前後一対の端末部材を備えており、
前記本体部材は、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部に設けた保持部に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部を下端部に有しており、前記一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が前記本体部材の内部に嵌合される規制部材によって規制されるように構成されているルーフモール。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフモールにおいて、
前記各端末部材に一体的に形成されていて、前記本体部材の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて前記本体部材に連結される連結突起が、前記規制部材を兼ねているルーフモール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のルーフモールにおいて、
前記本体部材は、上部が前記溝部より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面があり、硬質樹脂によって形成されているルーフモール。
【請求項1】
車両のルーフパネルとサイドボデーパネルとの接合部に形成されて車両前後方向に延びる溝部に装着されるルーフモールであって、
前記溝部に組付けられて車両前後方向に延びる本体部材と、この本体部材の前後各端部に連結されて前記溝部に組付けられる前後一対の端末部材を備えており、
前記本体部材は、車両幅方向の断面形状が上部が閉塞した凹形状であって、下端と前後両端が開口した形状に形成されていて、前記溝部に設けた保持部に少なくとも車両幅方向にて弾性係合する一対の係止部を下端部に有しており、前記一対の係止部の車両幅方向での弾性変形が前記本体部材の内部に嵌合される規制部材によって規制されるように構成されているルーフモール。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフモールにおいて、
前記各端末部材に一体的に形成されていて、前記本体部材の端部開口内に車両前後方向にて嵌合されて前記本体部材に連結される連結突起が、前記規制部材を兼ねているルーフモール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のルーフモールにおいて、
前記本体部材は、上部が前記溝部より所定量上方に突出する形状に形成されていて、その車外側側面には意匠面があり、硬質樹脂によって形成されているルーフモール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−96602(P2012−96602A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244108(P2010−244108)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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