説明

ループアンテナ及びループアンテナ装置

【課題】指向性を低く抑えて広角に対応できるループアンテナ及びループアンテナ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ループアンテナ15は、第1の導体(30、35)と、第2の導体25と、第3の導体(63、64)と、第4の導体20と、を備える。第2及び第4の導体は、第1の軸方向に沿って延在し、かつ、第1の導体と第3の導体とが異なる高さに位置する。第1の軸方向から見た場合に、第1の導体と第3の導体とによって第1のループ状の導体を形成し、第1の軸と垂直な第2の軸方向から見た場合に、第1の導体の少なくとも一部と第3の導体の少なくとも一部と第2の導体と第4の導体とによって第2のループ状の導体を形成し、第1の軸と第2の軸とに垂直な第3の軸方向から見た場合に、第1の導体の少なくとも一部と第3の導体の少なくとも一部と第2の導体と第4の導体とによって第3のループ状の導体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループアンテナ及びループアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ループアンテナ装置として、例えば特許文献1には、絶縁基板上に螺旋状に巻線された導電体を具備するループアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−290830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、ループアンテナ装置の設置箇所によっては、ループアンテナ装置が受信しようとする電波は様々な方向から到達するので、ループアンテナ装置として、指向性を低く抑えて、広角に対応できるものが望まれる場合がある。しかし、特許文献1のようなループアンテナ装置では、指向性が高かった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、指向性を低く抑えて広角に対応できるループアンテナ及びループアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るループアンテナは、
第1の導体と、一端が前記第1の導体の一端に電気的に接続された第2の導体と、一端が前記第2の導体の他端に電気的に接続された第3の導体と、一端が前記第3の導体の他端に電気的に接続された第4の導体と、を備え、前記第1乃至第4の導体がループ状に形成されているループアンテナであって、
前記第2の導体及び前記第4の導体は、第1の軸方向に沿って延在し、かつ、前記第1の導体と前記第3の導体とが前記第1の軸方向に沿った方向を高さとした場合に異なる高さに位置し、
前記第1の軸方向から見た場合に、前記第1の導体と前記第3の導体とによって第1のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と垂直な第2の軸方向から見た場合に、前記第1の導体の少なくとも一部と前記第3の導体の少なくとも一部と前記第2の導体と前記第4の導体とによって第2のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と前記第2の軸とに垂直な第3の軸方向から見た場合に、前記第1の導体の少なくとも一部と前記第3の導体の少なくとも一部と前記第2の導体と前記第4の導体とによって第3のループ状の導体を形成する、
ことを特徴とする。
【0007】
前記第1の導体は、一端が前記第2の導体に接続された第1の導体部と、一端が前記第4の導体に接続された第2の導体部とを、有し、
前記第3の導体は、一端が前記第2の導体に接続された第3の導体部と、一端が前記第4の導体に接続された第4の導体部とを、有し、
前記第1の導体部の他端と前記第2の導体部の他端とは、互いに接続され、
前記第3の導体部の他端と前記第4の導体部の他端とは、互いに接続され、
前記第2の軸方向から見た場合に、前記第1の導体部と前記第2の導体と前記第4の導体部と前記第4の導体とによって前記第2のループ状の導体を形成し、
前記第3の軸方向から見た場合に、前記第2の導体部と前記第2の導体と前記第3の導体部と前記第4の導体とによって前記第3のループ状の導体を形成する、
ようにしてもよい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るループアンテナは、
第1の導体と、一端が前記第1の導体の一端に電気的に接続された第2の導体と、一端が前記第2の導体の他端に電気的に接続された第3の導体と、を備え、前記第1乃至第3の導体がループ状に形成されているループアンテナであって、
前記第1の導体は、第1の軸方向に凸の形状であり、
前記第2の導体は、前記第1の軸方向に凸の形状であり、
前記第1の軸から見た場合に、前記第1乃至第3の導体によって第1のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と垂直な第2の軸方向から見た場合に、前記第2の導体と前記第3の導体の少なくとも一部とによって第2のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と前記第2の軸とに垂直な第3の軸方向から見た場合に、前記第1の導体と前記第3の導体の少なくとも一部とによって第3のループ状の導体を形成する、
ことを特徴とする。
【0009】
前記第3の導体は、一端が前記第1の導体に接続された第1の導体部と、一端が前記第2の導体に接続された第2の導体部とを、有し、
前記第2の軸方向から見た場合に、前記第2の導体と前記第1の導体部とによって前記第2の閉ループ状の導体を形成し、
前記第3の軸方向から見た場合に、前記第1の導体と前記第2の導体部とによって前記第3の閉ループ状の導体を形成する、
ようにしてもよい。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るループアンテナ装置は、
基板と、
前記基板上に形成された上記の第1の観点に係るループアンテナと、を備え、
前記ループアンテナの前記第3の導体は、前記基板上に形成されている導電パターンから構成されている、
ことを特徴とする。
【0011】
前記導電パターンは、前記基板上に形成されたグラウンドパターンであり、
前記第1の軸方向から見た場合に、前記グラウンドパターンと前記第1の導体とで形成された前記第1の閉ループ内に位置する前記基板上の領域には、導電性を有する部分が形成されていない、
ようにしてもよい。
【0012】
本発明の第4の観点に係るループアンテナ装置は、
基板と、
前記基板上に形成された上記の第2の観点に係るループアンテナと、を備え、
前記ループアンテナの前記第3の導体は、前記基板上に形成されている導電パターンから構成されている、
ことを特徴とする。
【0013】
前記導電パターンは、前記基板上に形成されたグラウンドパターンであり、
前記第1の軸方向から見た場合に、前記グラウンドパターンと前記第1の導体と前記第2の導体とで形成された前記第1の閉ループ内に位置する前記基板上の領域には、導電性を有する部分が形成されていない、
ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るループアンテナ装置によれば、指向性を低く抑えて広角に対応できるループアンテナ及びループアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るループアンテナ装置の外観図である。
【図2】図1のループアンテナ装置の等価回路図である。
【図3】本発明の変形例1に係るループアンテナ装置の等価回路図である。
【図4】本発明の変形例2に係るループアンテナ装置の等価回路図である。
【図5】本発明の変形例3に係るループアンテナ装置の外観図である。
【図6】本発明の変形例4に係るループアンテナ装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るループアンテナ装置100を、図1〜図6を参照して説明する。なお、下記の説明では、ループアンテナ装置100に設定したXYZ座標系に基づいて説明を行う。このXYZ座標系は、図1等に示すように、後述する回路基板50の厚み方向に延びる軸(回路基板の主面の法線方向に沿った軸)をZ軸とした座標系である。
【0017】
一実施形態に係るループアンテナ装置100は、例えば、自動車、二輪車等の計器装置に搭載されたキーレスユニットの一部を構成する。ループアンテナ装置100は、キーレスユニットのアンテナを含み、運転者が所持する送信機(車両用のキー)とで無線信号(電波)の送受信を行う。ループアンテナ装置100は、磁界検出型のアンテナ装置である。なお、キーレスユニットとは、前記の送信機を操作することで、送信機から無線信号を送信し、これによって、車両に対して所定の操作(例えば、解錠、エンジンのスタートなど)を行うためのものであり、特に、前記無線信号を受信して前記所定の操作を実現するための処理を行うためのものである。
【0018】
ループアンテナ装置100は、図1が示すように、アンテナ素子10と、回路基板50と、を備える。ループアンテナ装置100は、図2に示す等価回路を実現するような構造で形成される。
【0019】
アンテナ素子10は、第1の導電部20と、第2の導電部25と、第3の導電部30と、第4の導電部35と、を備える。第1の導電部20と、第2の導電部25と、第3の導電部30と、第4の導電部35と、はそれぞれが直線状に形成されている。アンテナ素子10は、図1に示すように、Z軸方向から見た場合、略L字型の形状である。具体的には、第1の導電部20の一端は、回路基板50に接続されており、第1の導電部20の他端は第3の導電部30の一端と接続されている。第3の導電部30の他端は、第4の導電部35の一端に接続され、第4の導電部35の他端は、第2の導電部25の一端に接続されている。第2の導電部25の他端は、回路基板50に接続されている。
【0020】
第1の導電部20と第2の導電部25とは、回路基板50からZ軸方向に沿って延在している。第3の導電部30は、X軸方向に沿って延在している。第4の導電部35は、Y軸方向に沿って延在している。第3の導電部30と第4の導電部35とは、第3の導電部30と第4の導電部35との間の角が90度になるように接続されており、第3の導電部30と第4の導電部35とは、同一のXY平面と平行な面上に位置している。第3の導電部30と第4の導電部35とは、第1の導電部20や第2の導電部25に接続されることで支持され、後述の回路基板50(特に、後述のグラウンド部62)からZ軸方向に沿って所定の間隔を空けて位置している。
【0021】
回路基板50は、プリント配線板60と、第1のランド部65と、第2のランド部70と、RF(Radio Frequency)モジュール75と、制御回路80と、第1の整合回路85と、第2の整合回路90と、電源回路95と、を備える。
【0022】
プリント配線板60は、各種配線がプリントされるとともに、平面部61とグラウンド部(接地部)62と、を有する。平面部61は、グラウンド部62に略囲まれた領域であり、接地箇所や電子部品、配線が設けられておらず、Z軸方向から見た場合に、導電性を有する部分が形成されていない。平面部61には、ループアンテナ装置100が受信する電波の磁束が貫く。グラウンド部62は、第5の導電部63と、第6の導電部64と、を有する。グラウンド部62は、図1に示すように、第5の導電部63と第6の導電部64とがなす角が90度になるように、プリント配線板60に略L字状のベタ塗りパターン(導電パターン)として形成されている。なお、図1において図示は省略されているが、グラウンド部62は、後述の接続(制御回路80とRFモジュール75との接続、電源回路95とRFモジュール75との接続、RFモジュール75と第1の整合回路85との接続など)を実現する各種配線と適宜絶縁されるように形成される。つまり、グラウンド部62は図2の等価回路の構成などを実現するように、前記の各種配線とは絶縁したベタ塗りパターンとして形成される。
【0023】
第5の導電部63と、第6の導電部64とは、アンテナ素子10に電気的に接続されており、第5の導電部63と第6の導電部64とアンテナ素子10とによって、ループ状のループアンテナ15が構成される。ループアンテナ15は、X軸、Y軸、Z軸の各方向から見た場合に、ループ状の導体を形成する。
【0024】
第1のランド部65は、プリント配線板60に形成された導電パターンであり、例えば2mmの一定間隔を保って、グラウンド部62と離間されて設けられ、グラウンド部62とは絶縁されている。第1のランド部65は、図1に示すように、第1の導電部20の一端と電気的に接続されている。
【0025】
第2のランド部70は、プリント配線板60に形成された導電パターンであり、例えば2mmの一定間隔を保って、グラウンド部62と離間されて設けられ、グラウンド部62とは絶縁されている。第2のランド部70は、図1に示すように、第2の導電部25の一端と電気的に接続されている。
【0026】
RFモジュール75は、RFモジュール75外部から供給される信号の信号形式を変換する装置である。例えば、後述する制御回路80から供給される信号(制御信号)を無線信号に変換し、ループアンテナ15から電波として送信したり、ループアンテナ15によって受信した電波(無線信号)を制御回路80が識別可能な信号形態に変換して、制御回路80に供給したりする。RFモジュール75は、例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数の信号のやりとりを行う。また、RFモジュール80は、周波数や変調方式の設定も可能である。
【0027】
制御回路80は、RFモジュール75に対して各種制御信号を供給することで、無線信号の送信・受信の制御を行う他、後述の処理を適宜行う。
【0028】
第1の整合回路85は、第1の整合回路素子85aと、第2の整合回路素子85bと、を含み、第1のランド部65とRFモジュール75とグラウンド部62とを電気的に接続する。第2の整合回路90は、第3の整合回路素子90aを含み、第2のランド部70とグラウンド部62とを電気的に接続する。これら接続によって、アンテナ素子10とグラウンド部62とは電気的に接続されている。つまり、アンテナ素子10とグラウンド部62とは第1の整合回路85及び第2の整合回路90を介して電気的に接続されている。電気的に接続するとは、アンテナ素子10とグラウンド部62との接続のように、他の素子や回路などを介して接続されることを含む。第1の整合回路85及び第2の整合回路90は、ループアンテナ15とRFモジュール75との間のインピーダンス整合を行うことで、不整合損失を軽減し、ループアンテナ15を信号反射波の少ない伝送線にしている。
【0029】
電源回路95は、制御回路80、RFモジュール75等へ電源供給を行っている。電源回路95は、バッテリーから電力を降圧して電圧を整流し、制御回路80、RFモジュール75等へ印加する安定化電源である。
【0030】
ループアンテナ装置100は、図2の等価回路を実現するような配線関係で物理的に形成される。図2の等価回路では、キャパシタC1の一端がグラウンドGNDに接続され、他端が接点N1を介してRFジュール75とインダクタL1の一端とに接続されている。インダクタL1とRFモジュール75とも接続されている。キャパシタC2は、一端がグラウンドGNDに接続され、他端が接点N2を介してインダクタL1の他端、及び、配線LNの一端に接続されている。配線LNの他端は、キャパシタC3の一端に接続され、キャパシタC3の他端は、グラウンドGNDに接続される。
【0031】
ここで、図2のように、第1の整合回路素子85aは、キャパシタC1とインダクタL1との接続回路によって構成され、第2の整合回路素子85bは、キャパシタC2によって構成される。また、第3の整合回路素子90aは、キャパシタC3によって構成される。また、グラウンドGNDは、グラウンド部62に対応する。第1のランド部65は、接点N2に対応し、第2のランド部70は、接点N3に対応する。アンテナ素子10は、配線LNに対応する。
【0032】
次に、図1などを参照し、ループアンテナ装置100における電波の受信動作を説明する。
【0033】
電波(無線信号)がX軸方向から伝搬してループアンテナ装置100に到達した場合について説明する。この場合、X軸方向から見た場合に、第1の導電部20と第4の導電部35と第2の導電部25と第5の導電部63とによって(ここでは、ループアンテナ15におけるX軸方向に直交する部分によって)、ループ状の導体が形成されることになる。このループ状の導体は、X軸方向に対して開いた開口を構成するので、X軸方向に対して指向性の高いループアンテナとして機能する。そして、X軸方向に対して開いた開口面内をX軸方向から伝搬した磁界が貫くことで生じた磁界の変化に応じて、ループアンテナ15に電流が流れる。RFモジュール75は、この電流を検出することで無線信号を検出し、検出した無線信号を所定の信号形態に変換して制御回路80に供給する。このようにして、ループアンテナ装置100は、X軸方向からの電波を感度良く受信することができる。
【0034】
電波(無線信号)がY軸方向から伝搬してループアンテナ装置100に到達した場合について説明する。この場合、Y軸方向から見た場合に、第1の導電部20と第3の導電部30と第2の導電部25と第6の導電部64とによって(ここでは、ループアンテナ15におけるY軸方向に直交する部分によって)、ループ状の導体が形成されることになる。このループ状の導体は、Y軸方向に対して開いた開口を構成するので、Y軸方向に対して指向性の高いループアンテナとして機能する。そして、Y軸方向に対して開いた開口面内をY軸方向から伝搬した磁界が貫くことで生じた磁界の変化に応じて、ループアンテナ15に電流が流れる。RFモジュール75は、この電流を検出することで無線信号を検出し、検出した無線信号を所定の信号形態に変換して制御回路80に供給する。このようにして、ループアンテナ装置100は、Y軸方向からの電波を感度良く受信することができる。
【0035】
電波(無線信号)がZ軸方向から伝搬してループアンテナ装置100に到達した場合について説明する。この場合、Z軸方向から見た場合に、第3の導電部30と第4の導電部35と第6の導電部64と第5の導電部63とによって(ここでは、ループアンテナ15におけるZ軸方向に直交する部分によって)、ループ状の導体が形成されることになる。このループ状の導体は、Z軸方向に対して開いた開口を構成するので、Z軸方向に対して指向性の高いループアンテナとして機能する。そして、Z軸方向に対して開いた開口面内をZ軸方向から伝搬した磁界が貫くことで生じた磁界の変化に応じて、ループアンテナ15に電流が流れる。RFモジュール75は、この電流を検出することで無線信号を検出し、検出した無線信号を所定の信号形態に変換して制御回路80に供給する。このようにして、ループアンテナ装置100は、Z軸方向からの電波を感度良く受信することができる。
【0036】
前記で受信された無線信号は、例えば、運転者が所持する送信機に割り振られたIDコード(IDENTIFICATION、同一確認信号)等のデータを表す。制御回路80は、前記無線信号が供給されることによって、このデータを取得し、取得したデータに応じた処理を行う。制御回路80は、例えば、このデータのIDコードが、制御回路自身が記憶するIDコードと一致する場合には、車両の解錠などの処理を行う。なお、制御部80は、その旨を表す制御信号をRFモジュール75に供給し、無線信号として、ループアンテナ15(又は図示しない他のアンテナ)を介して送信してもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態では、ループアンテナ装置100は、X軸、Y軸、Z軸方向の3方向それぞれからの電波を感度良く受信できるので、ループアンテナ15やループアンテナ装置100は、指向性を低く抑えて、X軸、Y軸、Z軸方向の3方向それぞれからの電波に対して広角に対応できる。したがって、ループアンテナ15やループアンテナ装置100によれば、様々な方向からの電波を感度良く受信出来る。なお、本実施形態では、アンテナ素子10が、Z軸方向から見た場合に、回路基板50の2辺に合わせた形状で形成されるので、ループアンテナ装置100を、この装置を収納する筐体(例えば、計器の筐体)の隅に配置することもでき、さらに、回路基板50上に他の部材を配置することもできる。このため、本実施形態におけるループアンテナ装置100は、筐体のスペースを有効利用できる。このように、本実施形態におけるループアンテナ装置100は、小型化が望まれる計器に適用するときに特に有用である。さらに、ループアンテナ15の一部がグラウンド部62によって構成されるため、回路基板50に形成された回路を有効利用して、アンテナを構成する事が出来るため、省スペースが実現される。さらに、本実施形態では、ループアンテナ15の一部がグラウンド部62によって構成され、他の部分であるアンテナ素子10が、Z軸方向に沿った高さを有する立体形状で回路基板50上に形成されるので、絶縁基板等に導電性のあるコイル等を巻き回すことなくループアンテナ15を形成しており、部品点数が少なくなり、製造コストを抑えることが出来る。また、二輪車におけるキーレスユニットでは、運転者は様々な方向から送信機(車両用のキー)を操作するので、送信機からの電波は様々な方向から到達することが考えられるが、上記ループアンテナ装置100は、指向性が低いので、ループアンテナ装置100を二輪車のキーレスユニットに採用した場合には、様々な方向からの電波を感度良く受信できるので、運転者の操作の利便性を損なうことを軽減出来る。
【0038】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、上記実施形態の内容は適宜変更可能である。以下に上記実施形態の変形例を示すが、下記の変形例は適宜組み合わせることが出来る。
【0039】
(変形例1)
ループアンテナ装置100は、例えば、図3に示す等価回路を実現するような構成で形成されてもよい。図3に示す等価回路では、配線LNがアンテナ素子10に対応し、グラウンドGNDがグラウンド部62に対応する。また、キャパシタC4及びC5によって第1の整合回路85が構成され、キャパシタC6によって第2の整合回路90が構成される。このような構成によっても、ループアンテナ15とRFモジュール75との間のインピーダンス整合を行うことが出来る。
【0040】
(変形例2)
ループアンテナ装置100は、例えば、図4に示す等価回路を実現するような構成で形成されてもよい。図4に示す等価回路では、配線LNがアンテナ素子10に対応し、グラウンドGNDがグラウンド部62に対応する。また、キャパシタC8及びインダクタL2によって第1の整合回路85が構成され、キャパシタC9によって第2の整合回路90が構成される。このような構成によっても、ループアンテナ15とRFモジュール75との間のインピーダンス整合を行うことが出来る。
【0041】
(変形例3)
ループアンテナ15の形状は、上記実施形態に限られない。例えば、グラウンド部62の第5の導電部63と第6の導電部64とのなす角は、直角でなく鋭角であってもよい(図5参照)。また、グラウンド部62や、アンテナ素子10は、Z軸方向から見た場合に、曲線状であってもよい。したがって、平面部61の面積が上記実施形態に係るループアンテナ装置100の平面部61の面積より広く確保することができるので、上記実施形態に係るループアンテナ装置100において様々な方向からの電波を感度良く受信出来る。特に、Z軸方向からの電波を感度良く受信出来るループアンテナを提供することができる。
【0042】
(変形例4)
ループアンテナ素子10の形状は、上記実施形態に限られない。アンテナ素子10は、図6に示すように、第1の導電部20aと、第2の導電部25aと、を備えるものであってもよい。第1の導電部20aは、Z軸方向に凸のブリッジ形状(橋形状であり、本実施形態では、略楕円状であるが、略円状であってもよいし、略コの字状であってもよい。)、かつX軸方向に延びるように形成されている。第2の導電部25aは、Z軸方向に凸のブリッジ形状(橋形状であり、本実施形態では、略楕円状であるが、略円状であってもよいし、略コの字状であってもよい。)、かつY軸方向に延びるように形成されている。第1の導電部20aの一端は、第1のランド部65に接続されており、他端は第2の導電部25aの一端と接続されている。第2の導電部25aの他端は、第2のランド部70と接続されている。
【0043】
次に、図6を参照し、変形例4に係るループアンテナ装置100における電波の受信動作の説明をする。
【0044】
電波(無線信号)がX軸方向から伝搬してループアンテナ装置100に到達した場合について説明する。この場合、X軸方向から見た場合に、第2の導電部25aと第5の導電部63とによって、ループ状の導体が形成されることになる。このループ状の導体は、X軸方向に対して開いた開口を構成するので、X軸方向に対して指向性の高いループアンテナとして機能する。そして、X軸方向に対して開いた開口面内をX軸方向から伝搬した磁界が貫くことで生じた磁界の変化に応じて、ループアンテナ15に電流が流れる。RFモジュール75は、この電流を検出することで無線信号を検出し、検出した無線信号を所定の信号形態に変換して制御回路80に供給する。このようにして、ループアンテナ装置100は、X軸方向からの電波を感度良く受信することができる。
【0045】
電波(無線信号)がY軸方向から伝搬してループアンテナ装置100に到達した場合について説明する。この場合、Y軸方向から見た場合に、第1の導電部20aと第6の導電部64とによって、ループ状の導体が形成されることになる。このループ状の導体は、Y軸方向に対して開いた開口を構成するので、Y軸方向に対して指向性の高いループアンテナとして機能する。そして、Y軸方向に対して開いた開口面内をY軸方向から伝搬した磁界が貫くことで生じた磁界の変化に応じて、ループアンテナ15に電流が流れる。RFモジュール75は、この電流を検出することで無線信号を検出し、検出した無線信号を所定の信号形態に変換して制御回路80に供給する。このようにして、ループアンテナ装置100は、Y軸方向からの電波を感度良く受信することができる。
【0046】
電波(無線信号)がZ軸方向から伝搬してループアンテナ装置100に到達した場合について説明する。この場合、Z軸方向から見た場合に、第1の導電部20aと第2の導電部25aと第6の導電部64と第5の導電部63とによって、ループ状の導体が形成されることになる。このループ状の導体は、Z軸方向に対して開いた開口を構成するので、Z軸方向に対して指向性の高いループアンテナとして機能する。そして、Z軸方向に対して開いた開口面内をZ軸方向から伝搬した磁界が貫くことで生じた磁界の変化に応じて、ループアンテナ15に電流が流れる。RFモジュール75は、この電流を検出することで無線信号を検出し、検出した無線信号を所定の信号形態に変換して制御回路80に供給する。このようにして、ループアンテナ装置100は、Z軸方向からの電波を感度良く受信することができる。
【0047】
このような変形例であっても、上記実施形態と同様、指向性を低くできるなどの適宜の効果を発揮することが出来る。
【符号の説明】
【0048】
100 ループアンテナ装置
10 アンテナ素子
20 第1の導電部
25 第2の導電部
30 第3の導電部
35 第4の導電部
50 回路基板
60 プリント配線板
61 平面部
62 グラウンド部
63 第5の導電部
64 第6の導電部
65 第1のランド部
70 第2のランド部
75 RFモジュール
80 制御回路
85 第1の整合回路
85a 第1の整合回路素子
85b 第2の整合回路素子
90 第2の整合回路
90a 第3の整合回路素子
95 電源回路
20a 第1の導電部
25a 第2の導電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導体と、一端が前記第1の導体の一端に電気的に接続された第2の導体と、一端が前記第2の導体の他端に電気的に接続された第3の導体と、一端が前記第3の導体の他端に電気的に接続された第4の導体と、を備え、前記第1乃至第4の導体がループ状に形成されているループアンテナであって、
前記第2の導体及び前記第4の導体は、第1の軸方向に沿って延在し、かつ、前記第1の導体と前記第3の導体とが前記第1の軸方向に沿った方向を高さとした場合に異なる高さに位置し、
前記第1の軸方向から見た場合に、前記第1の導体と前記第3の導体とによって第1のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と垂直な第2の軸方向から見た場合に、前記第1の導体の少なくとも一部と前記第3の導体の少なくとも一部と前記第2の導体と前記第4の導体とによって第2のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と前記第2の軸とに垂直な第3の軸方向から見た場合に、前記第1の導体の少なくとも一部と前記第3の導体の少なくとも一部と前記第2の導体と前記第4の導体とによって第3のループ状の導体を形成する、
ことを特徴とするループアンテナ。
【請求項2】
前記第1の導体は、一端が前記第2の導体に接続された第1の導体部と、一端が前記第4の導体に接続された第2の導体部とを、有し、
前記第3の導体は、一端が前記第2の導体に接続された第3の導体部と、一端が前記第4の導体に接続された第4の導体部とを、有し、
前記第1の導体部の他端と前記第2の導体部の他端とは、互いに接続され、
前記第3の導体部の他端と前記第4の導体部の他端とは、互いに接続され、
前記第2の軸方向から見た場合に、前記第1の導体部と前記第2の導体と前記第4の導体部と前記第4の導体とによって前記第2のループ状の導体を形成し、
前記第3の軸方向から見た場合に、前記第2の導体部と前記第2の導体と前記第3の導体部と前記第4の導体とによって前記第3のループ状の導体を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
【請求項3】
第1の導体と、一端が前記第1の導体の一端に電気的に接続された第2の導体と、一端が前記第2の導体の他端に電気的に接続された第3の導体と、を備え、前記第1乃至第3の導体がループ状に形成されているループアンテナであって、
前記第1の導体は、第1の軸方向に凸の形状であり、
前記第2の導体は、前記第1の軸方向に凸の形状であり、
前記第1の軸から見た場合に、前記第1乃至第3の導体によって第1のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と垂直な第2の軸方向から見た場合に、前記第2の導体と前記第3の導体の少なくとも一部とによって第2のループ状の導体を形成し、
前記第1の軸と前記第2の軸とに垂直な第3の軸方向から見た場合に、前記第1の導体と前記第3の導体の少なくとも一部とによって第3のループ状の導体を形成する、
ことを特徴とするループアンテナ。
【請求項4】
前記第3の導体は、一端が前記第1の導体に接続された第1の導体部と、一端が前記第2の導体に接続された第2の導体部とを、有し、
前記第2の軸方向から見た場合に、前記第2の導体と前記第1の導体部とによって前記第2のループ状の導体を形成し、
前記第3の軸方向から見た場合に、前記第1の導体と前記第2の導体部とによって前記第3のループ状の導体を形成する、
ことを特徴とする請求項3に記載のループアンテナ。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に形成された請求項1又は2に記載のループアンテナと、を備え、
前記ループアンテナの前記第3の導体は、前記基板上に形成されている導電パターンから構成されている、
ことを特徴とするループアンテナ装置。
【請求項6】
前記導電パターンは、前記基板上に形成されたグラウンドパターンであり、
前記第1の軸方向から見た場合に、前記グラウンドパターンと前記第1の導体とで形成された前記第1のループ状の導体内に位置する前記基板上の領域には、導電性を有する部分が形成されていない、
ことを特徴とする請求項5に記載のループアンテナ装置。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に形成された請求項3又は4に記載のループアンテナと、を備え、
前記ループアンテナの前記第3の導体は、前記基板上に形成されている導電パターンから構成されている、
ことを特徴とするループアンテナ装置。
【請求項8】
前記導電パターンは、前記基板上に形成されたグラウンドパターンであり、
前記第1の軸方向から見た場合に、前記グラウンドパターンと前記第1の導体と前記第2の導体とで形成された前記第1のループ状の導体内に位置する前記基板上の領域には、導電性を有する部分が形成されていない、
ことを特徴とする請求項7に記載のループアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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