説明

レイアウト編集装置

【目的】 既存フレームの流用率を高め、フレームの開発量を削減する。
【構成】 既存フレームに合わせて、パッドのボンディング点の位置を決定できるようにするため、まず、ボンディング可能領域表示部11でパッドのボンディング点が配置できる領域を示し、パッド編集部12でその領域内にパッドのボンディング点を配置できるように、パッドの移動、複写、消去を可能とした。
【効果】 既存フレームの流用率を高め、フレームの開発量を削減する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レイアウト編集装置に関し、たとえば、IC製造のアセンブリ工程で使用するワイヤボーディング用図面であるWD図を作成するWD図作成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来のWD図作成装置の構成図であり、図において、1はパッド図形を含んだレイアウトデータ、2はレイアウトデータ1からパッド図形を抽出するパッド図形抽出部、3はパッド図形抽出部2で抽出した各パッドにワイヤリングするリードのピン番号を設定する結線情報設定部、4は既存フレームのデータを格納したフレームライブラリ、5はフレームライブラリ4よりチップに合った適合フレームを検索し、適合フレームを入力するフレーム検索入力部、6は結線情報設定部3で設定したリードのピン番号を基に、パッド抽出部2で抽出したパッドとフレーム検索入力部5で入力したフレームのリードを結線するオートワイヤリング部、7はオートワイヤリング部6、あるいはマニュアルワイヤリング部9でワイヤリングした結線のチェックをするワイヤリングルールチェック部、8はワイヤリングルールチェック部でエラーが出た結線の修正をするマニュアルワイヤリング部、9はWD図作成装置で作成したWD図面をプロッタに出力するプロット出力部、10はプロット出力部9で出力したWD図面、15はレイアウトデータを出力するレイアウトCAD装置を示す。
【0003】次に動作について説明する。レイアウトCAD装置15より出力されたレイアウトデータ1からガラスコートレイヤのみを読み込み、パッド図形抽出部2で自動的にパッド図形以外を消去するとともに、自動的に消去できなかった図形はIC設計者がマウス等のボンディングデバイスを用いて消去する。次に、結線情報設定部3で各パッドにワイヤリングするリードのピン番号を設定する。フレーム検索入力部5でチップサイズに合ったフレームを既存フレームが格納されているフレームライブラリ4の中から検索し、ディスプレイ上に適合フレームの一覧リストを表示する。IC設計者は一覧リスト内からフレームを選択し、そのフレームをフレームライブラリ4からWD作成装置に読み込む。次に、結線情報設定部3で設定した結線情報を基に、リードとパッドの結線をオートワイヤリング部6で自動的に結線する。リード間同士の結線等、オートワイヤリングできない結線及び結線の修正は、マニュアルワイヤリング部8で手修正で行う。次に、結線が正確に行われているかをワイヤリングルールチェック部7で確認し正確にワイヤリングしていれば、プロット出力部9でWD図10をプロッタに出力する。ルールチェックでエラーが出た場合、マニュアルワイヤリング部8に戻って、ワイヤの修正を行い、ワイヤリングルールチェック部7でルールチェックをする。ワイヤの修正でエラーがなくならない場合、フレーム検索入力部5に戻り、新たな適合フレームをWD作成装置に読み込み、同様の操作を繰り返す。すべての適合フレームでルールチェックエラーがある場合、新規にフレームを開発する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のWD図作成装置は以上のように構成されているので、レイアウトCAD装置上で設計したチップ(特にパッドのボンディング点)に合わせて、既存フレームの中から適合するフレームを選択しなければならず、そのため、適合するフレームがない場合が多々あり、新規にフレームを開発しなければならないという問題点があった。
【0005】この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、既存部品(既存フレーム)に合わせて、チップ等の他の部品の設計(たとえば、パッドのボンディング点の位置設計)を行うため、既存部品の流用率が高くなり、新規に開発する部品の量を削減するレイアウト編集装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係わるレイアウト編集装置は、チップ(第1の接続部の一例)とリードフレーム(第2の接続部の一例)をワイヤリングするにあたり、各リードフレームにワイヤリングするパッドのボンディング可能領域を示すとともに、このボンディング可能領域にパッドのボンディング点が配置できるようにしたものであり、以下の要素を有するものである。
(a)第1と第2の接続部のレイアウトを、所定の位置関係をもたせて表示する接続部表示手段、(b)上記接続部表示手段により表示された第1の接続部における、第2の接続部への接続可能領域を所定の規則に基づいて判別して、表示する領域表示手段、(c)上記領域表示手段により表示された第1の接続部の接続可能領域の中から第2の接続部への接続点を特定する編集手段。
【0007】
【作用】この発明における領域表示手段は、ボンディング可能な領域をコンピュータのディスプレイ上に描かれているチップ(チップ枠とパッド)上に表示する。また、編集手段はこのボンディング可能領域内にパッドのボンディング点(接続点)を配置するための編集をマウス等のボンディングデバイスを用いて対話的に行う。
【0008】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例の図について説明する。図1において、実線枠内は、この発明のWD作成装置の構成を表し、1〜10は図3の従来のWD作成装置の構成に示したものと同一である。図1において、11は各パッドのボンディング点の可能領域を表示するボンディング可能領域表示部(領域表示手段の一例)、12はボンディング可能領域表示部11で示した領域内にパッドのボンディング点を配置するためのパッド編集部(編集手段の一例)、13はパッド編集部12で編集したパッドの編集結果を出力するパッド編集結果出力部、14はパッド編集結果出力部で出力したパッド編集結果出力ファイル、15はパッド編集結果ファイル14を読み込み、レイアウトデータにパッド編集結果を反映させるレイアウトCAD装置である。
【0009】次に動作について説明する。パッド図形抽出部2からフレーム検索入力部5までの動作は、従来のWD作成装置の動作と同様である。すなわち、レイアウトCAD装置15より出力されたレイアウトデータ1からガラスコートレイヤのみを読み込み、パッド図形抽出部2でパッド以外の図形を消去し、パッドのみとする。次に、結線情報設定部3で各パッドにワイヤリングするリードのピン番号を設定する。フレーム検索入力部5でチップサイズに合ったフレームをフレームライブラリ4の中から検索し、WD作成装置に読み込む。
【0010】次に、読み込んだフレームに合わせてパッドのボンディング点の位置を決定するため、まず、ボンディング可能領域表示部11で各パッドのボンディング点の配置可能な領域、すなわち、パッドのボンディング点をこの領域内に配置すれば、ワイヤリングルールチェック部7でワイヤリングのエラーがでない領域をディスプレイ上に表示する。
【0011】ボンディング可能領域の求め方を以下に示す。図2において、WD図の原点0からリード16のリード先端線分ABの中点Pを通る直線Lを求める。直線L上にあり、点Pからリード16内方向に0.3mm離れた点をQとする。点Qを通り、リード先端ABに平行な直線mを求め、直線mとリード先端ABと隣接する線分AC、BDの交点をそれぞれE、Fとする。次に、線分EFの中点Rとリード先端の中点Pとを通る直線n上にあり、点Pからリード16内に0.3mm離れた点Sを仮ステッチ座標(リード側のワイヤの結線位置)とする。
【0012】次に図3において、リード先端線分ABの両端A、Bから50μm内側の点をそれぞれT、Uとする。直線ST、直線SUとチップの端及びチップ端から0.283mm離れ、チップ端に平行な直線Kとで囲まれた領域をXとする。領域Xと仮ステッチ座標Sを中点とし、半径が2.5mmの円内との交わり部分をパッドのボンディング可能領域Yとする。
【0013】パッドのボンディング可能領域Yの表示方法は、まず、可能領域を表示したいパッドをマウスでクリックする。クリックしたパッドの結線情報(結線するリードのピン番号)を調べ、前述したような規則に従ってそのリードのボンディング可能領域を表示する。
【0014】次に、パッド編集部12で、パッドのボンディング点をボンディング可能領域に配置する。パッド編集は、パッドの移動、複写、消去をマウスを用いて、対話的に行う。以上のパッドのボンディング可能領域の表示及びパッドの編集を各パッドに対して行う。
【0015】すべてのパッドのボンディング点が可能領域内に配置できれば、パッド編集結果出力部13でパッド編集結果出力ファイル14を作成しレイアウトCAD装置15にパッド編集結果を返す。
【0016】以上のように、この実施例では、IC製造のアセンブリ工程で使用するワイヤボンディング用図面(WD図)の作成に於いて、各リードフレームにワイヤリングするパッドのボンディング可能領域を表示するボンディング可能領域表示手段と、そのボンディング可能領域内に、パッドのボンディング点が入るようにパッド図形を移動するパッド編集手段と、パッド編集後のデータを出力するパッド編集結果出力手段を備えたWD図作成装置を説明した。
【0017】実施例2.上記実施例1においては、リードフレームとチップをワイヤリングする場合を示したが、この発明はICのレイアウト編集ばかりでなく、第1の接続部と第2の接続部を接続する場合に、第1の接続部の接続点を既存の第2の接続部のレイアウトに応じて編集する場合に適用することができる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、接続可能領域を表示し、この領域内に接続点を配置できるように構成したので、既存部品に合わせて、レイアウト設計が可能であり、新規部品の開発量を削減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例によるWD図作成装置の構成図である。
【図2】フレームの仮ステッチ座標Sの求め方を示す図である。
【図3】パッドのボンディング可能領域Yの求め方を示す図である。
【図4】従来のWD図作成装置の構成図である。
【符号の説明】
1 レイアウト
2 パッド図形抽出部
3 結線情報設定部
4 フレームライブラリ
5 フレーム検索入力部
6 オートワイヤリング部
7 ワイヤリングルールチェック部
8 マニュアルワイヤリング部
9 プロット出力部
10 WD図
11 ボンディング可能領域表示部
12 パッド編集部
13 パッド編集結果出力部
14 パッド編集結果出力ファイル
15 レイアウトCAD装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の要素を有するレイアウト編集装置(a)第1と第2の接続部のレイアウトを、所定の位置関係をもたせて表示する接続部表示手段、(b)上記接続部表示手段により表示された第1の接続部における、第2の接続部への接続可能領域を所定の規則に基づいて判別して、表示する領域表示手段、(c)上記領域表示手段により表示された第1の接続部の接続可能領域の中から第2の接続部への接続点を特定する編集手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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