説明

レイアウト設計支援装置および方法

【課題】レイアウト設計において広く不特定多数の顧客(顧客となる蓋然性のある人物)からレイアウトの選択に関する情報を収集し、この情報をレイアウト設計に資することが出来るようにしたレイアウト設計支援装置および方法を提供する。
【解決手段】インターネット上のサーバコンピュータ100が保有するバーチャルリアリティデータによるバーチャルリアリティ空間(バーチャル室内)に対する操作状況を把握できるようにシステムを構築し、広く、不特定多数の顧客(将来の顧客候補者)からのレイアウト変更に関するニーズとこの変更操作を行ったユーザの属性に関するデータとを得て(レイアウト変更データ収集部131、変更主体データ収集部32)、これらのデータを分析してユーザニーズの傾向を把握する(ユーザニーズデータ構築部133)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅などのレイアウト設計を支援するレイアウト設計支援装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物、特に一戸建ての住宅のレイアウト設計を行う場合等においては、設計者と顧客(施主)との間で種々情報交換を行って計画を進めるのが一般的である。
【0003】
一方、オフィスビルや集合住宅などについては、テナント募集広告を打ったりインターネットを通して入居者を募ったりして販売されることが一般的であり、設計段階から個々の入居者のニーズがレイアウト設計に反映されることは少ない。しかし、設計者側にとっても、設計段階から将来の入居者のニーズに叶った設計を行うことは顧客の評価を高め良い企業イメージが形成されるようにするためにも望ましい。
【0004】
このような状況にあって、建築設計に対する顧客の満足度や信頼性を高めるべく、個々の敷地環境や仮設計された建物に基づいた建物のプラン設計、提案に必要な情報環境を簡易に表示可能な環境表示装置も既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、施主に提示する必要がある情報をデータベースとして記憶手段に蓄積しておき、所要に応じてこのデータベースからデータを抽出し、表示手段に表示することが開示されている。
【0006】
一方、施主の要望に関する情報を通信ネットワークを通して建材業者が早期に入手できるようにすることにより、建材の調達に掛かる期間を短縮し、全体として工期を短縮しようとするといった提案もある(例えば特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2には、工事を請け負う業者が手元の通信端末から通信ネットワークを通して所定のサーバにアクセスすれば、顧客ニーズに関する情報を早期に入手可能なようにシステムを構築することが提案されている。
【0008】
更に、入居者が室内のレイアウト変更を行う場合に、入居者のサーバコンピュータから通信ネットワークを介して事業者のホストコンピュータにアクセスすると、ホストコンピュータからネットワークを通して提供される情報により入居者のレイアウト検討作業が促進されるようなシステムも提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0009】
特許文献3には、入居者が各自のパーソナルコンピュータから入力した室内各部の寸法等の実空間情報を通信ネットワークを通して事業者のホストコンピュータに送ると、このホストコンピュータで入居者の室内に対応するバーチャル室内を表すデータが生成され、該生成されたデータが入居者のパーソナルコンピュータに供給されることが開示されている。これにより入居者のパーソナルコンピュータでは、その表示部にバーチャル室内(バーチャルリアリティ)が表示されるようになり、このバーチャル室内で種々レイアウトを検討できるという趣旨である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−290864号公報
【特許文献2】特開2001−306944号公報
【特許文献3】特開2005−332352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
設計者と顧客(施主)との間における特許文献1におけるような綿密な情報交換は、一戸建ての住宅を建てる場合を前提としている。既述のように、オフィスビルや集合住宅などについては、テナント募集広告を打ったりインターネットを通して入居者を募ったりして販売されることが一般的であり、設計段階から個々の入居者のニーズが反映されることは少ない。
【0012】
尚、仮に、オフィスビルや集合住宅に関して特許文献1の技術を導入しても、設計者側において直ちにレイアウト設計の指針となる情報が収集できるものでもない。
【0013】
一方、特許文献2の提案では、通信ネットワークを通して工事を請け負う業者側が迅速に所要の建材等に関する情報を入手可能になるとされているが、この場合も、設計者側においてレイアウト設計の指針となる情報が収集できるものではない。
【0014】
他方、特許文献3の技術では、入居者はパーソナルコンピュータの表示部に表示されたバーチャル室内で種々レイアウトを検討できる。しかしながら、多くの入居者による検討結果のデータをレイアウト設計に反映させるための方途は示されていない。
【0015】
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、レイアウト設計において広く不特定多数の顧客(顧客となる蓋然性のある人物)からレイアウトの選択に関する情報を収集し、この情報をレイアウト設計に資することが出来るようにしたレイアウト設計支援装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、ここに、次に列記するような技術を提案する。
【0017】
(1)建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータを通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持するバーチャルリアリティデータ保持部と、
前記バーチャルリアリティデータ保持部に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集するレイアウト変更データ収集部と、
前記レイアウト変更データ収集部で収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する変更主体属性データを収集する変更主体属性データ収集部と、
前記レイアウト変更データ収集部によって収集されたレイアウト変更データおよび前記変更主体属性データ収集部によって収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠してレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築するユーザニーズデータ構築部と、
前記ユーザニーズデータ構築部で構築されたユーザニーズデータを外部に提供するユーザニーズデータ提供部と、
を備えていることを特徴とするレイアウト設計支援装置。
【0018】
上記(1)のレイアウト設計支援装置では、そのバーチャルリアリティデータ保持部に、建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータを通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持する。
【0019】
また、そのレイアウト変更データ収集部で、前記バーチャルリアリティデータ保持部に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集する。
【0020】
更に、その変更主体属性データ収集部で、前記レイアウト変更データ収集部で収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する変更主体属性データを収集する。
【0021】
更にまた、そのユーザニーズデータ構築部で、前記レイアウト変更データ収集部によって収集されたレイアウト変更データおよび前記変更主体属性データ収集部によって収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠してレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築する。
【0022】
そして、そのユーザニーズデータ提供部で、前記ユーザニーズデータ構築部で構築されたユーザニーズデータを外部に提供する。
【0023】
(2)前記変更主体属性データ収集部は、レイアウト変更操作の主体に関する属性データとして、当該主体者の性別および年齢別の属性データを収集することを特徴とする(1)のレイアウト設計支援装置。
【0024】
上記(2)のレイアウト設計支援装置では、(1)のレイアウト設計支援装置において特に、前記変更主体属性データ収集部は、レイアウト変更操作の主体に関する属性データとして、当該主体者の性別および年齢別の属性データを収集する。
【0025】
(3)前記ユーザニーズデータ構築部は、前記変更主体属性データ収集部が収集した属性データの種別に応じて前記レイアウト変更データ収集部で収集したレイアウト変更データによって表されるレイアウト変更の傾向を分析する分析処理を実行することを特徴とする(1)のレイアウト設計支援装置。
【0026】
(4)前記分析処理は、前記レイアウト変更データ収集部で収集したレイアウト変更データによって表される変更後のレイアウトに関する、ユーザによる選択度数に応じて、推奨されるレイアウトの態様を割り出す処理であることを特徴とする(3)のレイアウト設計支援装置。
【0027】
上記(4)のレイアウト設計支援装置では、(3)のレイアウト設計支援装置において特に、前記分析処理は、前記レイアウト変更データ収集部で収集したレイアウト変更データによって表される変更後のレイアウトに関する、ユーザによる選択度数に応じて、推奨されるレイアウトの態様を割り出す処理である。
【0028】
(5)コンピュータを用いて建築物のレイアウト設計の支援を行うレイアウト設計支援方法であって、
前記コンピュータのバーチャルリアリティデータ保持部に、建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータを通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持させるべく該バーチャルリアリティデータを入力するバーチャルリアリティデータ入力ステップと、
前記コンピュータのレイアウト変更データ収集部によって、前記バーチャルリアリティデータ保持部に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集するレイアウト変更データ収集ステップと、
前記コンピュータの前記変更主体属性データ収集部によって、前記レイアウト変更データ収集ステップで収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する属性データを収集する変更主体属性データ収集ステップと、
前記コンピュータのユーザニーズデータ構築部によって、前記レイアウト変更データ収集ステップで収集されたレイアウト変更データおよび前記変更主体属性データ収集ステップで収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠してレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築するユーザニーズデータ構築ステップと、
前記コンピュータのユーザニーズデータ提供部によって、前記ユーザニーズデータ構築ステップで構築されたユーザニーズデータを外部に提供するユーザニーズデータ提供ステップと、
を含むことを特徴とするレイアウト設計支援方法。
【発明の効果】
【0029】
レイアウト設計において広く不特定多数の顧客(顧客となる蓋然性のある人物)からレイアウトの選択に関する情報を収集し、この情報をレイアウト設計に資することが出来るようにしたレイアウト設計支援装置および方法を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態としてのレイアウト設計支援装置を表す機能ブロック図である。
【図2】図1のレイアウト設計支援装置を含むネットワークを表す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態としてのレイアウト設計支援方法を表すフローチャートである。
【図4】本発明のレイアウト設計支援装置が収集、分析したオフィスレイアウトに関するユーザニーズデータの画面表示例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述することにより本発明を明らかにする。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態としてのレイアウト設計支援装置を表す機能ブロック図である。
【0033】
この実施の形態では、レイアウト設計支援装置の構成要素たる各機能部は、サーバコンピュータ100における各該当する機能部の形態を成している。
【0034】
このサーバコンピュータ(レイアウト設計支援装置)100は、通信ネットワークインターフェース部110、通信ネットワークインターフェース部120、CPU130、記憶部140、および、操作部150がバス160によって結ばれて構成されている。
【0035】
記憶部140には、バーチャルリアリティデータ保持部141、レイアウト変更データ保持部142、変更主体属性データ保持部143、および、ユーザニーズデータ保持部144が設けられている。
【0036】
このバーチャルリアリティデータ保持部141には、建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータが通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持されている。
【0037】
CPU130は、そのハードウェアとしての構成は通常のサーバコンピュータにおけるCPUと同様であるが、本実施の形態では特に、所定のアプリケーションプログラムに従って作動することにより、レイアウト変更データ収集部131、変更主体属性データ収集部132、ユーザニーズデータ構築部133、および、ユーザニーズデータ提供部134として機能し得る。
【0038】
レイアウト変更データ収集部131は、バーチャルリアリティデータ保持部141に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集する。そして、収集したレイアウト変更データを記憶部140のレイアウト変更データ保持部142に格納する。
【0039】
また、変更主体属性データ収集部132は、レイアウト変更データ収集部131で収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する変更主体属性データを収集する。そして、収集した変更主体属性データを変更主体属性データ保持部143に格納する。
【0040】
更に、ユーザニーズデータ構築部133は、レイアウト変更データ収集部131によって収集されたレイアウト変更データおよび変更主体属性データ収集部132によって収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠してレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築する。
【0041】
そして、ユーザニーズデータ提供部134は、ユーザニーズデータ構築部で構築されたユーザニーズデータを通信ネットワークインターフェース部120(或いは、入出力インターフェース部110)を通して外部に提供する。
【0042】
一方、入出力インターフェース部110は、外部との種々のデータを授受するためのインターフェースである。本発明の一つの態様では、他のサーバコンピュータやパーソナルコンピュータなどで作成されたバーチャルリアリティデータが、この入出力インターフェース部110を通して入力され、入力されたバーチャルリアリティデータはバーチャルリアリティデータ保持部141に保持される。
【0043】
本発明の一つの態様では、入出力インターフェース部110を通して、サーバコンピュータ100であるこのレイアウト設計支援装置が、例えば液晶パネルやCRT等の表示装置或いはその他の外部装置と接続され、該接続先にユーザニーズデータを供給することができる。
【0044】
他方、通信ネットワークインターフェース部120は、インターネットその他の通信ネットワークに接続するためのインターフェースである。
【0045】
本発明の一つの態様では、サーバコンピュータ100が通信ネットワークインターフェース部120を通してインターネットに接続される。そして、このインターネットに接続されたパーソナルコンピュータ等の通信端末装置を用いる不特定多数のユーザに、バーチャルリアリティデータによるバーチャルリアリティ(バーチャル空間)を利用する便宜を提供する。
【0046】
操作部150は、サーバコンピュータ(レイアウト設計支援装置)100の運用に当たる事業者が、このサーバコンピュータ100に対しその稼動に関する種々の設定等を行うための機能部である。
【0047】
図2は、図1のレイアウト設計支援装置を含むネットワークを表す概念図である。
【0048】
インターネット200に図1のサーバ100が接続され、更に、不特定多数のユーザが用いているパーソナルコンピュータ等の通信端末装置が接続される。説明の便宜上、図2では、通信端末装置として、3台のパーソナルコンピュータ210、220、および、230を図示している。
【0049】
パーソナルコンピュータ210、220、および、230の各ユーザは、インターネット200を通してサーバコンピュータ100にアクセスし、既述のバーチャルリアリティデータに基づくバーチャルリアリティ(空間)に対して種々操作を行うことができる。
【0050】
即ち、バーチャルリアリティ(空間)はサーバコンピュータ100のバーチャルリアリティデータ保持部141に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されるものであるが、インターネット200を通してこのバーチャルリアリティデータ保持部141にアクセスしたユーザは、手元のパーソナルコンピュータによってバーチャルリアリティに種々の変更操作を行うことができる。
【0051】
この場合、バーチャルリアリティは、例えば、集合住宅の間取りに関するレイアウトに対応した3次元バーチャル空間であり、各ユーザは、それぞれ自己のパーソナルコンピュータを操作してこの3次元バーチャル空間に各自の所望のままにレイアウト変更操作を行うことが可能である。
【0052】
レイアウト変更操作は、基本設計データに基づいて構築された基本となる3次元バーチャル空間にキーボード211を用いて寸法に関する数値データの入力を含む種々の変更操作を加えたり、或いはまた、マウス212を用いて間仕切りの位置を所望に応じて移動させるなどしてレイアウト変更操作を行うことができる。
【0053】
以上のようにしてパーソナルコンピュータ210、220、230のユーザが行ったレイアウト変更に関する操作は、このレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データとしてインターネット200を通してサーバコンピュータ100(そのレイアウト変更データ収集部131)で収集され、レイアウト変更データ保持部142に格納される。
【0054】
また、レイアウト変更操作の主体となるユーザについては、サーバコンピュータ100側から当該主体(ユーザ)に関する属性の入力を求めるフォームを送り、このフォームから自己の属性データ(変更主体属性データ)を入力したユーザに限ってレイアウト変更操作に関するアクセスを許諾するなどして、変更主体属性データを収集する。
【0055】
この場合、変更主体属性データは、例えば、当該主体者の性別および年齢別であり得る。
【0056】
既述のように、この収集はサーバコンピュータ100の変更主体属性データ収集部132が行い、収集したデータを変更主体属性データ保持部143に格納する。
【0057】
以上のようにして、サーバコンピュータ100のレイアウト変更データ保持部142には、インターネット200を通して不特定多数のユーザに関するレイアウト変更データが蓄積される。同様に、サーバコンピュータ100の変更主体属性データ保持部143には、レイアウト変更データ収集部131に蓄積されたレイアウト変更データに対応する、不特定多数のユーザに関する変更主体属性データが蓄積される。
【0058】
そして、既述のように、サーバコンピュータ100のユーザニーズデータ構築部133では、これら蓄積されたレイアウト変更データおよび変更主体属性データとを含む基礎データに依拠して、レイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築する。
【0059】
この場合、ユーザニーズデータ構築部133は、変更主体属性データ収集部132が収集した属性データの種別に応じてレイアウト変更データ収集部131で収集したレイアウト変更データによって表されるレイアウト変更の傾向を分析する分析処理を実行する。
【0060】
この分析処理の一つの態様は、レイアウト変更データ収集部131で収集したレイアウト変更データによって表される変更後のレイアウト(変更結果)に関する、ユーザによる選択度数に応じて、推奨されるレイアウトの態様を割り出す処理である。
【0061】
以上のようにして構築されたユーザニーズデータは、操作部150からの外部操作に応答するユーザニーズ提供部134の制御下で、入出力インターフェース部10を通して、外部に供給される。
【0062】
レイアウト設計者等は、このようにして供給されるユーザニーズデータをレイアウト設計に活用することができる。
【0063】
以上により、本発明によれば、レイアウト設計において広く不特定多数の顧客(顧客となる蓋然性のある人物)からレイアウトの選択に関する情報を収集し、この情報をレイアウト設計に資することが出来るようになる。
【0064】
図3は、本発明の実施の形態としてのレイアウト設計支援方法を表すフローチャートである。
【0065】
先ず、コンピュータ100のバーチャルリアリティデータ保持部141に、建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータを通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持させるべく、該バーチャルリアリティデータを入力する(ステップS301:バーチャルリアリティデータ入力ステップ)。
【0066】
このステップS301で入力するバーチャルリアリティデータは、例えば、他のコンピュータ等を用いて別途予め作成されたものである。
【0067】
次いで、コンピュータ100のレイアウト変更データ収集部131によって、バーチャルリアリティデータ保持部に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集する(ステップS302:レイアウト変更データ収集ステップ)。
【0068】
更に、コンピュータ100の変更主体属性データ収集部132によって、レイアウト変更データ収集ステップ(ステップS302)で収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する属性データを収集する(ステップS303:変更主体属性データ収集ステップ)。
【0069】
更にまた、コンピュータ100のユーザニーズデータ構築部133によって、レイアウト変更データ収集ステップ(ステップS302)で収集されたレイアウト変更データおよび変更主体属性データ収集ステップ(ステップS303)で収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠して、レイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築する(ステップS304:ユーザニーズデータ構築ステップ)。
【0070】
そして、コンピュータ100のユーザニーズデータ提供部134によって、ユーザニーズデータ構築ステップ(ステップS304)で構築されたユーザニーズデータを外部に提供する(ステップS305:ユーザニーズデータ提供ステップ)。
【0071】
このユーザニーズデータを入手したレイアウト設計者は、これをレイアウト設計の検討に資することができる。そして、このユーザニーズデータは、レイアウトに関する多数の現実のニーズとこれに対応する主体に関する属性とを含んでいる母集団に基づいて構築されるものであるため、レイアウトに関して、現場の現実に即した極めて有力な情報であるといえる。
【0072】
図4は、本発明のレイアウト設計支援装置が収集、分析したオフィスレイアウトに関するユーザニーズデータの画面表示例を表す図である。
【0073】
図4の表示例におけるオフィスは、バーチャルリアリティデータとしてバーチャルリアリティデータ保持部141(図1)に保持されているデータに基づくオフィス空間として表示される。
【0074】
図2を参照して説明したところから容易に理解される通り、例えば、図2のパーソナルコンピュータ210、220、230、…、…のような通信端末の各ユーザは、インターネット200を通してサーバコンピュータ100にアクセスし、既述のバーチャルリアリティデータに基づくオフィス空間に対して種々操作を行うことができる。
【0075】
即ち、このようなオフィス空間は各ユーザの手元のパーソナルコンピュータによって種々のレイアウト変更操作を行うことができる。
【0076】
特に、図4の表示例は、或るビルの4階のフロアF4におけるオフィスのレイアウトに関して、種々の年齢層によるユーザが、例えば、図2のパーソナルコンピュータ210、220、230、…、…のような通信端末から上述のオフィス空間におけるデスクのレイアウト変更操作を行い、各自のユーザが業務を遂行するに最適と思われるデスクの配置を入力した結果に基づくものである。
【0077】
図4(A)は、このオフィスの斜視図によるユーザニーズデータの表示例であり、図4(B)は、このオフィスの平面図によるユーザニーズデータの表示例である。
【0078】
種々の年齢層によるユーザが、上述のように通信端末からバーチャルリアリティであるオフィス空間に対し外部から各自のデスクのレイアウト変更操作を行うと、これらのレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データがレイアウト変更データ収集部131(図1)によって収集される。
【0079】
更に、変更主体属性データ収集部132(図1)で、レイアウト変更データ収集部131で収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する変更主体属性データが収集される。図4の例では、上述の変更主体属性データとして、当該各主体(ユーザ)の年齢のデータが収集される。
【0080】
また、ユーザニーズデータ構築部133(図1)で、レイアウト変更データ収集部131によって収集されたレイアウト変更データおよび変更主体属性データ収集部132によって収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠して、オフィス空間のデスクのレイアウトに関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータが構築される。
【0081】
図4において、破線図示のサークルG20は20歳台のユーザ10人によるデスクレイアウトが偏在する領域を表し、G30は30歳台のユーザ10人によるデスクレイアウトが偏在する領域を表し、G40は40歳台のユーザ10人によるデスクレイアウトが偏在する領域を表している。
【0082】
そして、上述のようなデスクレイアウトに関するユーザニーズデータがサーバコンピュータ100(本レイアウト設計支援装置)に接続されたディスプレイ(不図示)によって設計者に提供される。この提供のための処理は、既述のユーザニーズデータ提供部134(図1)によって実行される。
【0083】
上述のレイアウト変更データ収集部131によるレイアウト変更データの収集、および、これに伴う変更主体属性データ収集部132による変更主体属性データの収集は、ユーザニーズ調査の条件とする或る一定の期間内においてランダムな時点で行われる。そして、これらランダムに取得されたユーザニーズデータおよび変更主体属性データを統合した基礎データに依拠して、当該調査期間におけるレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータがユーザニーズデータ構築部で構築される。該構築による結果が図4の如く立体的に或いは平面的に表示される。
【符号の説明】
【0084】
100…………………レイアウト設計支援装置(サーバコンピュータ)
110…………………入出力インターフェース部
120…………………通信ネットワークインターフェース部
130…………………CPU
131…………………レイアウト変更データ収集部
132…………………変更主体属性データ収集部
133…………………ユーザニーズデータ収集部
134…………………ユーザニーズデータ提供部
140…………………記憶部
141…………………バーチャルリアリティデータ保持部
142…………………レイアウト変更データ保持部
143…………………変更主体属性データ保持部
144…………………ユーザニーズデータ保持部
150…………………操作部
160…………………バス
200…………………インターネット
210…………………パーソナルコンピュータ
211…………………キーボード
212…………………マウス
220、230………パーソナルコンピュータ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータを通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持するバーチャルリアリティデータ保持部と、
前記バーチャルリアリティデータ保持部に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集するレイアウト変更データ収集部と、
前記レイアウト変更データ収集部で収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する変更主体属性データを収集する変更主体属性データ収集部と、
前記レイアウト変更データ収集部によって収集されたレイアウト変更データおよび前記変更主体属性データ収集部によって収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠してレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築するユーザニーズデータ構築部と、
前記ユーザニーズデータ構築部で構築されたユーザニーズデータを外部に提供するユーザニーズデータ提供部と、
を備えていることを特徴とするレイアウト設計支援装置。
【請求項2】
前記変更主体属性データ収集部は、レイアウト変更操作の主体に関する属性データとして、当該主体者の性別および年齢別の属性データを収集することを特徴とする請求項1に記載のレイアウト設計支援装置。
【請求項3】
前記ユーザニーズデータ構築部は、前記変更主体属性データ収集部が収集した属性データの種別に応じて前記レイアウト変更データ収集部で収集したレイアウト変更データによって表されるレイアウト変更の傾向を分析する分析処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のレイアウト設計支援装置。
【請求項4】
前記分析処理は、前記レイアウト変更データ収集部で収集したレイアウト変更データによって表される変更後のレイアウトに関する、ユーザによる選択度数に応じて、推奨されるレイアウトの態様を割り出す処理であることを特徴とする請求項3に記載のレイアウト設計支援装置。
【請求項5】
コンピュータを用いて建築物のレイアウト設計の支援を行うレイアウト設計支援方法であって、
前記コンピュータのバーチャルリアリティデータ保持部に、建築物の設計データに対応し且つレイアウト変更操作が許容されるようにバーチャルリアリティを構築するバーチャルリアリティデータを通信ネットワークを介して外部からアクセス可能に保持させるべく該バーチャルリアリティデータを入力するバーチャルリアリティデータ入力ステップと、
前記コンピュータのレイアウト変更データ収集部によって、前記バーチャルリアリティデータ保持部に保持されたバーチャルリアリティデータに基づいて構築されたバーチャルリアリティに対し外部からアクセスしたユーザによって加えられたレイアウト変更操作の形態を表すレイアウト変更データを収集するレイアウト変更データ収集ステップと、
前記コンピュータの前記変更主体属性データ収集部によって、前記レイアウト変更データ収集ステップで収集されるレイアウト変更データに対応するレイアウト変更操作の主体に関する属性データを収集する変更主体属性データ収集ステップと、
前記コンピュータのユーザニーズデータ構築部によって、前記レイアウト変更データ収集ステップで収集されたレイアウト変更データおよび前記変更主体属性データ収集ステップで収集された変更主体属性データとを含む基礎データに依拠してレイアウト設計に関するユーザニーズの傾向を表すユーザニーズデータを構築するユーザニーズデータ構築ステップと、
前記コンピュータのユーザニーズデータ提供部によって、前記ユーザニーズデータ構築ステップで構築されたユーザニーズデータを外部に提供するユーザニーズデータ提供ステップと、
を含むことを特徴とするレイアウト設計支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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