説明

レイングヘッドパイプ用のクランプ

圧延機レイングヘッドにおいて、湾曲したレイングパイプ(36)を、オーガー形状の支持板(26)の相応に湾曲した縁部に沿って解離可能に保持するためのクランプアセンブリ(10)が開示されている。クランプアセンブリ(10)は、支持板(26)の湾曲した縁部に固定されかつこの縁部から突出したボス(12)を有する。ボス(12)は、このボスを貫通した第1の開口と、外側支持面とを有する。概してU字形のクランプは、互いに間隔を置いた側壁(32)を結合したブリッジングウェブ(30)を有しており、前記側壁(32)を第2の開口(34)が貫通している。側壁(32)は、ボス(12)に跨るように構成及び配置されており、その際、第2の開口(34)が、ボス(12)に設けられた第1の開口と整合し、ブリッジングウェブ(30)がボス(12)の外側支持面と協働して、ブリッジングウェブとボスの外側支持面との間にレイングパイプ(36)の円弧を閉じ込める。ピン(16)は、挿入された位置において、ボス(12)及び側壁(32)に設けられた整合した第1及び第2の開口を貫通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、熱間圧延された棒材及びその他の同様の製品をリングに形成するために圧延機で使用される形式のレイングヘッドに関する。
【0002】
2.従来技術の説明
圧延機レイングヘッドにおいて、熱間圧延された棒材は、一連のクランプによってオーガー形状の支持板の縁部に取外し可能に保持された三次元に湾曲したレイングパイプを通過させられる。支持板はパイプ支持体の一部を形成しており、このパイプ支持体は、高速で回転させられることにより、レイングパイプから出てくる棒材を連続したリングに形成する。
【0003】
クランプは通常はピンによって所定の位置に保持されており、そのピンはリテーニングボルトによって固定されている。圧延機運転中、熱間圧延された棒材は、高速でレイングパイプを通過し、パイプの湾曲に追従するように強制され、その結果パイプ内部の摩耗を生じる。摩耗が深刻な場合、これは棒材の材料、温度及び速度によって決定される期間で生じるが、レイングパイプは交換されなければならない。パイプ交換を行う場合、摩耗したレイングパイプを新たなパイプと交換することができる前に全てのクランプがまず取り外されなければならず、次いで、交換用パイプが所定の位置に配置されるとクランプが再び取り付けられなければならない。これは、リテーニングボルトの取外し及び交換を必要とし、労力の大きな時間のかかる作業であり、長い圧延機停止時間を生じ、これは生産量及び圧延機効率に悪影響を及ぼす。
【0004】
したがって、レイングパイプを所定の位置に確実に保持するだけでなく、レイングパイプを交換する際により簡単にかつ迅速に取り外しかつ再び取り付けることができる改良されたクランプアセンブリが必要とされている。
【0005】
発明の概要
本発明によるクランプアセンブリは、レイングヘッドのオーガー形状の支持板の縁部に固定されかつこの縁部から突出したボスを有している。このボスは、ボスを貫通した第1の開口と、外側支持面とを有している。ほぼU字形のクランプは、互いに間隔を置かれた脚を結合したブリッジングウェブを有しており、第2の開口が前記脚を貫通している。脚は、ボスに跨るように構成及び配置されており、その際、脚に設けられた第2の開口はボスに設けられた第1の開口と整合し、ブリッジングウェブはボスに設けられた外側支持面と協働して、レイングパイプの円弧が閉じ込められる空間を形成する。ピンは、整合させられたボスにおける第1の開口とクランプ脚における第2の開口とを貫通した挿入された位置に解放可能に保持されている。
【0006】
本発明のこれらの特徴又はその他の特徴及びそれに付随する利点は、添付の図面を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】レイングパイプの円弧をレイングヘッドパイプ支持体のオーガー形状の板に保持している本発明によるクランプを示す図である。
【図2】図1の線2−2に沿った断面図である。
【図3】クランプコンポーネントの分解図である。
【図4】リテーニングピンの挿入及び連結係合における一連の段階を示す斜視図である。
【0008】
詳細な説明
まず図1から図3を参照すると、本発明によるクランプアセンブリは概して符号10で示されている。クランプアセンブリは、ボス12と、概してU字形のクランプ14と、リテーニングピン16とを有している。
【0009】
ボス12は、第1の貫通開口18と、外側の湾曲した支持面20とを有している。溝形のポケット22がボスの両側に配置されている。ボスは、パイプ支持体のオーガー状の支持板26の湾曲した縁部に設けられた対応する形状の切欠24に嵌合されている。
【0010】
クランプ14は、互いに間隔を置いた側壁32を結合したブリッジングウェブ30を有しており、第2の開口34が側壁32を貫通している。側壁はボス12に跨るように構成及び配置されており、その際、第2の開口34がボスにおける第1の開口18と整合し、ブリッジングウェブ30がボスの外側の湾曲した支持面20と協働してレイングヘッドの湾曲したレイングパイプの円弧36を閉じ込め、側壁の下端が溝形のポケット22に収容される。
【0011】
側壁32のうちの一方の外側にはカラー38が設けられている。カラーは、第1の開口18と整合した第3の開口40を有している。スロット42が開口40から半径方向に延びており、浅い切欠44がスロットに対して90゜で配置されている。
【0012】
ピン16は、フランジ付き端部48から、半径方向に突出した端部52を有するロックピンによって貫通された、直径が減じられた軸50まで延びている円筒状の胴部46を有している。圧縮ばね54は、軸50上に受け止められ、胴部46と、ロックピンの端部52との間に保持されている。
【0013】
図4Bに示したように、軸50が第3の開口40から突出するように、整合した開口18,34にピン16を挿入することによって、クランプ14はボス12に保持される。この段階において、ロックピンの端部52はスロット42を通過させられ、ばね54が胴部46とカラー38の内面との間で圧縮される。次いで、ピンは90゜だけ回転させられ、ばね54の力を受けることによって引き戻され、これにより、ロックピンの端部52を切欠44に嵌合させ、ピン16が逆回転しないように機械的に固定する。
【0014】
ピン16の抜取りは、単に上記手順を逆に行うことにより簡単に達成される。
【0015】
つまり、レイングヘッドの高速運転中にもピンが所定の位置にとどまることを保証するために付加的なねじ山付きボルト等を用いる必要なく、唯一のリテーニングピンの挿入及び抜取りによって本発明のクランプアセンブリを簡単に組み立てかつ分解することができることが今では当業者によって認められるであろう。
【0016】
前記説明は、発明を例示するために示されており、限定しようとするものではない。発明の思想及び実質を組み込んだ前記実施形態のさらなる変更に当業者が想到する場合もあるため、発明の範囲は、添付された請求の範囲及びその均等物のみに関して限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機レイングヘッドにおいて、湾曲したレイングパイプを、オーガー形状の支持板の相応に湾曲した縁部に沿って解離可能に保持するためのクランプアセンブリにおいて、該クランプアセンブリに、
前記支持板の湾曲した縁部に固定されかつ該縁部から突出したボスが設けられており、該ボスが、該ボスを貫通した第1の開口と、外側支持面とを有しており、
互いに間隔を置いた側壁を結合したブリッジングウェブを有する概してU字形のクランプが設けられており、前記側壁が、該側壁を貫通した第2の開口を有しており、
前記側壁が、前記ボスに跨るように構成及び配置されており、その際、前記側壁に設けられた第2の開口が前記ボスに設けられた第1の開口と整合し、かつ前記ブリッジングウェブが前記ボスの外側支持面と協働して、前記ブリッジングウェブと前記ボスの外側支持面との間にレイングパイプの円弧を閉じ込め、
挿入された位置において、前記ボス及び前記側壁に設けられた整合した第1及び第2の開口を貫通するピンが設けられていることを特徴とする、クランプアセンブリ。
【請求項2】
前記側壁の下端が、前記ボスの両側に設けられたポケットに収容されている、請求項1記載のクランプアセンブリ。
【請求項3】
前記ピンを前記挿入された位置に解放可能に保持するための連結手段が設けられている、請求項1記載のクランプアセンブリ。
【請求項4】
前記ピンが、前記第1及び第2の開口に受容された円筒形の胴部を有しており、前記連結手段が、前記側壁のうちの一方の外側に設けられたカラーと、該カラーと連結係合するための、前記ピンの円筒形の胴部から軸方向に突出した、直径が減じられた軸とを有する、請求項3記載のクランプアセンブリ。
【請求項5】
前記軸に設けられたロックピンの半径方向に突出した端部と、前記側壁に設けられた第2の開口と整合した、前記カラーに設けられた第3の開口と、該第3の開口と連通した半径方向のスロットと、前記第3の開口と連通しかつ前記スロットに対して90゜で配置された浅い切欠とが設けられており、前記第3の開口と、前記スロットとが、前記軸と、前記ロックピンの半径方向に突出した端部とを通過させ、通過させた後、前記半径方向に突出した端部を前記切欠に嵌合した位置に向かって又は前記切欠に嵌合した位置から外れるように操作するために前記ピンを回転させるように構成されている、請求項4記載のクランプアセンブリ。
【請求項6】
前記半径方向に突出した端部を、前記切欠に嵌合した位置に弾性的に保持するための手段が設けられている、請求項5記載のクランプアセンブリ。
【請求項7】
前記ピンを前記挿入された位置に解放可能に保持するための連結手段が設けられている、請求項2記載のクランプアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2013−514892(P2013−514892A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545986(P2012−545986)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058645
【国際公開番号】WO2011/078947
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510002268)シーメンス インダストリー インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Industry, Inc.
【住所又は居所原語表記】3333 Old Milton Parkway, Alpharetta, GA 30005−4437, United States of America
【Fターム(参考)】