説明

レガシーコンパチビリティのある802.11ベリーハイスループットプリアンブルシグナリングフィールド

本開示のいろいろな実施形態では、VHTフレームのデータ部分が変調及び符号化された変調及び符号化方式に関する情報を含むように構成されたVHTフレームを生成するように構成されたコントローラと、VHTフレームをSTAに送信するように構成された送信器との態様を含む方法と装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して無線ネットワーク通信の分野に関し、より具体的には、レガシーコンパチビリティのある802.11ベリーハイスループット(VHT)プリアンブルシグナリングフィールドを提供するように構成された方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、例えば、IEEE802.11、ブルートゥース、アドバンストモバイルフォンサービス(AMPS)、デジタルAMPS、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM(登録商標))、符号分割多元接続(CDMA)、ローカルマルチポイントディストリビューションシステム(LMDS)、マルチチャネルマルチポイントディストリビューションシステム(MMDS)、などを含むがこれらに限定されないプロトコル標準により動作する。無線通信標準に適用可能なプロトコルは変わり得る。IEEE802.11仕様がIEEE802.11からIEEE802.11b(標準11b)からIEEE802.11a(標準11a)へ、そしてIEEE802.11g(標準11g)へ進化するにつれ、標準11bに準拠した無線通信デバイスが標準11gに準拠した無線通信デバイスと同じ無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に存在することがある。
【0003】
前のバージョンの標準に準拠したデバイスなどのレガシーデバイスが、後のバージョンの標準に準拠したデバイスと同じWLANにあるとき、新しいバージョンのデバイスがいつ無線チャネルを利用しているかレガシーデバイスが知るメカニズムやプロセスを利用して、干渉や衝突を回避する。レガシーシステムは、既存のシステムであって、無線ローカルエリアネットワークで利用されている、及び利用できるものである。レガシーシステムの問題が重要なのは、将来の無線ローカルエリアネットワークの新しい標準、方法、又はネットワークが実装された後にも、これらのシステムが依然として使われるからである。
【0004】
プロトコルや標準が異なれば、5ないし6ギガヘルツ(GHz)又は2.4GHzなど、動作する周波数範囲も異なる。例えば、標準11aは高い周波数範囲で動作する。標準11aの一側面は、スペクトルの一部、5ないし6GHzの間、が無線通信用のチャネルに割り当てられていることである。チャネルは周波数帯域内の20メガヘルツ(MHz)の幅を有する。また、標準11aは直交周波数分割多重(OFDM)を用いる。OFDMは、20MHzチャネルの周波数領域内の線、又は値、を表すサブキャリアで行われる。信号はチャネル内の異なるサブキャリアで送信される。サブキャリアは互いに直交しており、情報やデータは信号の各サブキャリアから読み出される。
【0005】
レガシーデバイスとの後方互換性は物理(PHY)レイヤで取られる。PHYレイヤにおいて、前の標準からのPHYプリアンブルを再利用することにより、後方互換性を実現する。レガシーデバイスは、送信フレームを完全には復調又は復号できなくても、すべての信号のプリアンブル部分を復号し、干渉と衝突を回避する。プリアンブル部分は無線チャネルがある時間にわたり使用中であると判断するのに十分な情報を提供する。
【0006】
新しい標準やプロトコルが実装されると、信号を受送信する後方互換性がより大きな問題となる。新しいシグナリングフォーマットは、レガシーフォーマットよりもロバスト(robustness)であることが望ましい。さらに、無線システム中で交換されるフレームは、即時アクノレッジメント機能と、情報のバーストと、レガシーデバイスで使われるフレームより多くの情報ビットの交換とを含むとよい。レガシーSTAと互換のベリーハイスループットプリアンブルシグナリングフィールドを提供することが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示のいろいろな態様による、アクセスポイント(AP)とn個のSTAなどの無線通信局を含むWLANを示す図である。
【図2】図1のアクセスポイントとSTAの両方のプロトコルアーキテクチャを示す図である。
【図3a】従来の802.11aのフレームフォーマットを示す図である。
【図3b】従来の802.11nHT_MFフレームフォーマットを示す図である。
【図3c】本開示の一態様による802.11TGac_VHT_MFフレームフォーマットを示す図である。
【図3d】従来の802.11nHT_GFフレームフォーマットを示す図である。
【図3e】本開示の一態様による802.11TGac_VHT_GFフレームフォーマットを示す図である。
【図4a】本開示の一態様によるPLCP受信手順を示す図である。
【図4b】本開示の一態様によるPLCP受信手順を示す図である。
【図4c】本開示の一態様によるPLCP受信手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、同種のコンポーネントには、異なる実施形態に示されているかどうかに係わらず、同じ参照数字を付した。本開示の実施形態を明確かつ簡潔に説明するため、図面は必ずしもスケール通りではなく、ある特徴は概略的に示した。ある実施形態を参照して説明及び/又は例示した特徴は、他の実施形態で、及び/又は他の実施形態の特徴と組み合わせて、又は他の実施形態の特徴に代えて、同一又は同様の方法で用いることができる。
【0009】
定義
アクセスポイント:局(STA)機能を有し、関連するSTAに対して、無線媒体(WM)を介して、配信サービスへのアクセスを提供する任意のエンティティである。
【0010】
グリーンフィールドフォーマット(GF):ミクストフォーマット(mixed format)より効率的であるが、レガシーデバイスと互換にする特徴を欠いたフレームフォーマットである。
【0011】
ハイスループット(HT):IEEE802.11n標準に準拠した局(STA)である。
【0012】
メディアアクセスコントロール(MAC):メディアアクセスコントロール(MAC)は、データ通信プロトコルサブレイヤであり、Medium Access Controlとしても知られ、7レイヤOSIモデル中のデータリンクレイヤ(レイヤ2)のサブレイヤである。
【0013】
ミクストフォーマット(MF):レガシーデバイスと互換性のある、すなわちレガシーデバイスがあるミスクト環境(mixed environments)において使用できるフレームフォーマットである。
【0014】
局(STA):IEEE802.11準拠のメディアアクセスコントロール(MAC)レイヤインタフェースと、無線媒体(WM)に対する物理(PHY)レイヤインタフェースとを有する任意のデバイスである。
【0015】
ベリーハイスループット局(VHT_STA):IEEE802.11ac標準に準拠した局(STA)である。
【0016】
ベリーハイスループットミクストフォーマット(VHT_MF):HT_STAとレガシーSTAの両方と互換性のあるミクストフォーマットフレームである。
【0017】
ベリーハイスループットグレーンフィールドフォーマット(VHT_GF):HT_STA又はレガシーSTAのいずれかと必ずしも互換性がないグリーンフィールドフォーマットである。
【0018】
無線媒体(WM):無線ローカルエリアネットワーク(LAN)のピア物理レイヤ(PHY)エンティティ間のプロトコルデータユニット(PDU)の転送の実施に使われる媒体。
【0019】
説明
本開示のいろいろな実施形態では、VHTフレームのデータ部分が変調及び符号化された変調及び符号化方式に関する情報を含むVHTフレームを生成するステップと、前記VHTフレームをSTAに送信するステップとを有する方法を開示する。さらに、上記方法を実行するように構成され、VHTフレームを生成するように構成されたコントローラと、VHTフレームをSTAに送信するように構成された送信器とを含む装置を開示する。上記装置は、レガシーSTA、HT_STA、及びTGac_STAを含む無線環境で動作するように構成できる。
【0020】
本開示のいろいろな実施形態では、VHTフレームはミクストフォーマットフレーム(MF)又はグリーンフィールドフォーマット(GF)フレームであり得る。送信されたVHTフレームは、MFフレームでもよく、レガシー互換部分を含む。ここで、レガシー互換部分は、レガシーSTA又はHT_STAが、フレームを検出した時に送信を遅らせる時間に関する情報を含む。送信されたVHT_MFフレームは、VHT_STAにはVHT_MFフレームとして検出され、レガシーSTA又はHT_STAにはレガシーフレームとして検出されるように構成され得る。送信されたVHT_MFフレームはVHT−SIGフィールドを含み得る。このVHT−SIGフィールドは、HT_MFフレームのHT−SIGフィールドと同じ場所に現れるが、HT_MFフレームのHT−SIGフィールドに適用されるコンステレーション回転は、VHTフレームのVHT−SIGフィールドには適用されない。送信されたVHTフレームは、HT_STAにおいては、レガシーフレームとして受信される。フレームの、HT−SIGフィールドが現れる部分にコンステレーション回転がないからである。結果として、HT_STAは、そのフレームのレガシー互換部分に示されたフレーム長さに基づき、送信を遅らせる。また、VHT−SIGフィールドの巡回冗長検査(CRC)を、HT_STAに対して、正しくないと見えるように構成できる。結果として、送信されたVHT_MFフレームは、CRCが正しくないので、HT_STAによりレガシーフレームとして検出される。HT_STAは、そのフレームのレガシー互換部分に示されたフレーム長さに基づき、送信を遅らせる。
【0021】
本開示のいろいろな実施形態では、HT_STA及びレガシーSTAと互換性のあるように構成され、VHT_MFフレームのデータ部分が変調及び符号化される変調及び符号化方式に関する情報を含むVHT_MFフレームを受信するように構成された受信器と、受信されたVHT_MFフレームを処理するように構成されたコントローラとを有する、装置を開示する。VHTフレームは、受信されたフレームのVHT−SIGフィールドに、コンステレーション回転が無いことにより、HTフレームではないと分かる。受信されたフレームは、そのVHT−SIGフィールドのCRCが正しいことを知ることにより、VHT_MFフレームでありレガシーフレームではないと分かる。
【0022】
本開示のいろいろな実施形態では、VHT_STAにおいてVHT_フレームを受信するステップと、受信したVHTフレームがミクストフォーマットフレームかグリーンフィールドフレームか判断するステップとを有する方法を開示する。
【0023】
本方法は、受信したVHTフレームがHT−GF−STFフィールドを含むか検出するステップと、受信したVHTフレームがHT−GF−STFフィールドを含むとき、HT−SIGフィールドを復調してそのCRCの正しさをチェックするステップとを有してもよい。
【0024】
本開示のいろいろな実施形態では、VHT_STAにおいて無線フレームを受信するステップと、受信した無線フレームがVHTフレーム、HTフレーム、又はレガシーフレームか判断するステップとを有する方法を開示する。さらに、本方法は、受信した無線フレームがHT−GF−STFフィールドを含むか検出するステップと、受信した無線フレームがHT−GF−STFフィールドを含むとき、VHT−SIGフィールドを復調してそのCRCの正しさをチェックするステップと、CRCが正しいとき、受信した無線フレームをVHT_GFフレームとして処理するステップとを含んでもよい。さらに、本方法は、受信した無線フレームがL−SIGフィールドを含むか検出するステップと、受信した無線フレームがL−SIGフィールドを含むとき、L−SIGフィールドを復調してそのパリティをチェックするステップと、HT−SIGフィールドのコンステレーション回転を検出することによりHTーSIGフィールドを検出するステップと、HT−SIGを復調してそのCRCの正しさをチェックするステップと、CRCが正しいとき、受信した無線フレームを802.11nHT_MFフレームとして処理するステップとを含んでもよい。さらに、上記方法は、VHT−SIGフィールドを復調してそのCRCの正しさをチェックすることにより、受信した無線フレームがVHT−SIGフィールドを含むか検出するステップと、CRCが正しいとき、受信した無線フレームをTGac_VHT_MFフレームとして処理するステップと、CRCが正しくないとき、受信した無線フレームをレガシーフレームとして処理するステップとを含んでもよい。
【0025】
上記の及びその他の機能、及び特徴と、動作方法と、関連構成要素の機能と、パーツの組み合わせと、生産の経済性とは、本出願の出願書類を構成する、添付した図面を参照して以下の説明と特許請求の範囲を検討すれば明らかになるだろう。図面中、対応するパーツには同じ参照数字を付した。しかし、言うまでもないが、図面は例示と説明を目的としたものであり、請求項を限定することを意図したものではない。本明細書と特許請求の範囲において、「1つの」、「前記」との記載は別段の記載がなければ、複数の場合も含む。
【0026】
多くの無線通信システムでは、送信器と受信器の間のデータ通信にはフレーム構造が使われる。例えば、IEEE802.11標準は、メディアアクセスコントロール(MAC)レイヤと物理(PHY)レイヤでフレームアグリゲーション(frame aggregation)を用いる。送信器などの一般的な無線局において、MACレイヤは、MACプロトコルデータユニット(MPDU)を構成するため、上位レイヤからMACサービスデータユニット(MSDU)を入力し、それにMACヘッダを付ける。MACヘッダは送信元アドレス(SA)と宛先アドレス(DA)などの情報を含む。MPDUは、PHYサービスデータユニット(PSDU)の一部であり、送信器において、PHYレイヤに転送され、PHYヘッダが付され、PHYプロトコルデータユニット(PPDU)として構成され、受信器などの他の無線局に送信される。PHYヘッダは、符号化/変調方式を含む送信方式を判断するためのパラメータを含む。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるWLANシステム300の一例を示す図である。WLANシステム300は、AP102とn個のSTA104(STA1,...,STAn)などの通信局を含む。STA104はTGac_STA、HT_STA、及びレガシーSTAを含む。AP102は集中的な調整を行う。
【0028】
レガシーフレームとレガシーSTAはそれぞれ802.11a/g標準に準拠したフレームとSTAである。HTフレームとHT_STAはそれぞれ802.11n標準に準拠したフレームとSTAである。HT_STAはレガシーSTAと後方互換性を有する。本開示のいろいろな態様によるVHTフレームとVHT_STAは、それぞれ、802.11ワーキンググループ内のTGacタスクグループにより開発されている802.11標準に準拠したフレームとSTAである。VHT_STAは、HT_STAおよびレガシーSTAと後方互換性を有するだろう。
【0029】
IEEE802.11nは、以前の802.11標準に、PHY(物理レイヤ)にMIMO(multiple-input multiple-output)と40MHzチャネルを加え、MACレイヤにフレームアグリゲーションを加えることで構成されている。MIMOは複数のアンテナを用いて、単一のアンテナを用いた場合より多くの情報をコヒーレントに分解する技術である。
【0030】
図2は、各STA104のプロトコルアーキテクチャの一例を示す。各STA104は、WLAN PHYレイヤ210とMACレイヤ212とを実装する。PHYレイヤ210は2つのサブレイヤ、すなわち物理レイヤコンバージェンスプロシージャ(PLCP)サブレイヤと物理媒体依存(PMD)サブレイヤとを含む。MACレイヤ212は、データのフレームからMACパケットを構成し、それをPHYレイヤ210に提供し、共有無線チャネルで送信させる。同様に、AP102もMACレイヤとPHYレイヤを含むことは上記の通りである。
【0031】
一般的に、TGacデバイスは5GHz周波数帯域で動作できるデバイスである。TGacデバイスは、5GHz帯域において80MHzのチャネル帯域幅以下を用いて、MACデータサービスアクセスポイント(MAC_SAP)の上で少なくとも500Mbpsのスループットをサポートする動作モードと、5GHz帯域において80MHzのチャネル帯域幅以下を用いて、MACデータサービスアクセスポイント(MAC_SAP)の上で少なくとも1Gbpsのアグリゲートスループット(aggregate throughput)をサポートする動作モードとを利用できる。一般的には、どのデバイスで使われる送受信アンテナの数には制約は無い。TGacデバイスは、5GHz周波数帯域で動作するIEEE802.11aデバイスとの後方互換性を有し、5GHz周波数帯域で動作するIEEE802.11nデバイスとの後方互換性を有する。TGacデバイスは、同じ周波数帯域内で動作するIEEE802.11a/nデバイスと共存しスペクトル共有できるメカニズムを提供するよう構成され得る。
【0032】
図3a、3b、及び3dは、それぞれ、従来の802.11aフレーム、802.11nHT_MFフレーム、及び802.11nHT_GFフレームを示す。図3cと3eは、それぞれ、本開示のいろいろな態様による802.11TGac_VHT_MFフレームと802.11TGac_HT_GFフレームを示す。図3aに示すように、従来の802.11aフレームは、プリアンブルとそれに続くデータペイロードにより構成されている。プリアンブルは、レガシーショートトレーニングフィールド(L−STF)と、レガシーロングトレーニングフィールド(L−LTF)と、レガシーシグナルフィールド(L−SIG)とを含む。データペイロードは、サービスフィールドと、ユーザデータ(PSDU)と、パッドビットと、テールビットとを含む。
【0033】
IEEE802.11nWLAN通信では、レガシーSTAとハイスループット局(HT−STA)が同じWLANに共存すると、HT局のフレームはミクストモードPHYレイヤヘッダを用いる。これは、レガシーPHYヘッダ部分とハイスループット(HT)PHYヘッダ部分の両方と、それに続くデータペイロードとを含む。レガシーフォーマットフレームは、L局とHT局の両方により、受信される。しかし、レガシーSTAはHTフレームをうまく受信できない。L局はHTフレームのHT_PHYヘッダ部分を理解できないからである。図3bに示したように、従来の802.11nHT_MFフレームは、レガシーPHYヘッダ部分がレガシートレーニングフィールド(L−TF)とレガシーシグナルフィールド(L−SIG)とを含むレガシーフォーマットフレームを含む。さらに、HT_PHYヘッダ部分は、HTシグナルフィールド(HT−SIG)と、HTショートトレーニングフィールド(HT−STF)と、HTロングトレーニングフィールド(HT−LTF1)とを含む。データフィールドは、サービスフィールドと、ユーザデータ(PSDU)と、パッドビットと、テールビットとを含み得る。
【0034】
グリーンフィールド(GF)モードでは、ハイスループット(HT)パケットはレガシー互換部分無しで送信される。図3dに示したように、従来の802.11nHT_GFフレームは、シグナリングプリアンブルフィールドとそれに続くデータペイロードとを含むハイスループット(HT)PHYヘッダ部分を含む。HT_PHYヘッダは、HTショートトレーニングフィールド(HT−GF−STF)と、HTロングトレーニングフィールド(HT−LTF1)と、HTシグナリングフィールド(HT−SIG)とを含む。データペイロードは、サービスフィールドと、ユーザデータ(PSDU)と、パッドビットと、テールビットとを含む。
【0035】
図3cと3eは、それぞれ、本開示のいろいろな態様による802.11TGac_VHT_MFフレームと802.11TGac_VHT_GFフレームを示す。図3cに示すように、802.11TGac_VHT_MFフレームはレガシーPHYヘッダ部分を含む。このレガシーPHYヘッダ部分は、図3aと3bに示して説明したように、レガシーショートトレーニングフィールド(L−STF)と、レガシーロングトレーニングフィールド(L−LTF)と、レガシーシグナリングフィールド(L−SIG)とを含む。ベリーハイスループット(VHT)シグナリングフィールド(VHT−SIG)が、L−SIGフィールドに続き、図3bに示して説明したようにHT−SIGフィールドと同じ位置に現れ、データペイロードが続く。
【0036】
図3eに示したように、802.11TGac_VHT_GFフレームは、HTショートトレーニングフィールド(HT−GF−STF)とHTロングトレーニングフィールド(HT−LTF1)を含む。ベリーハイスループット(VHT)シグナリングフィールド(VHT−SIG)が、HT−LTF1フィールドに続き、図3dに示して説明したようにHT−SIGフィールドと同じ位置に現れ、データペイロードが続く。データペイロードは、サービスフィールドと、ユーザデータ(PSDU)と、パッドビットと、テールビットとを含み得る。
【0037】
図1に戻り、STAの一つは、図3c又は図3eに示したVHTフレームを生成するように構成できる。STAは、VHTフレームを他のSTAに送信するように構成されたアンテナを備えている。送信STAは、レガシーSTA、HT_STA、及びTGac_STAを含む無線環境で動作するように構成できる。
【0038】
上記の通り、VHTフレームは、図3cに示したミクストフォーマットフレーム、又は図3eに示したグリーンフィールドフォーマットフレームであり得る。送信されたVHTフレームは、ミクストフォーマットフレームである場合、レガシー互換部分を含み得る。ここで、レガシー互換部分は、レガシーSTAとHT_STAが、送信を遅らせる時間に関する情報を含む。送信されたVHTフレームは、VHT_STAにはVHTフレームとして検出され、レガシーSTA又はHT_STAにはレガシーフレームとして検出されるように構成され得る。送信されたVHTフレームはVHT−SIGフィールドを含み得る。このVHT−SIGフィールドは、HTフレームのHT−SIGフィールドと同じ場所に現れるが、HTフレームのHT−SIGフィールドに適用されるコンステレーション回転は、VHTフレームのVHT−SIGフィールドには適用されない。
【0039】
送信されたVHTフレームは、HT_STAにおいては、レガシーフレームとして受信される。フレームの、HT−SIGフィールドが現れる部分にコンステレーション回転がないからである。結果として、HT_STAは、そのフレームのレガシー互換部分に示されたフレーム長さに基づき、送信を遅らせる。また、VHT−SIGフィールドの巡回冗長検査(CRC)を、HT_STAに対して、正しくないと見えるように構成できる。送信されたVHT_MFフレームは、コンステレーション回転が無く、CRCが正しくないので、HT_STAにおいてレガシーフレームとして受信される。結果として、HT_STAは、そのフレームのレガシー互換部分に示されたフレーム長さに基づき、送信を遅らせる。
【0040】
ある態様では、VHT−SIGフィールドは、VHT−SIGフィールドに対して規定されているが、TGacPHYフォーマットに対しては行われないコンステレーション回転を有する。VHT−SIGは、レガシーSIGシンボルに用いられるのと同じバイナリ位相シフトキーイング(BPSK)レート1/2MCS(modulation and coding scheme)を用いて変調できる。VHT−SIGのCRC定義は、802.11nデバイスに対してCRCが間違っていると見えるように、802.11nフレームに用いられるCRC定義から変更できる。VHT_SIG CRC定義は、次の方法で変更できる:異なる多項式の使用、異なる初期値の使用、(反転などの)簡単な変換の実行、CRC計算に(例えば、L−SIGフィールドからの)追加ビットを含める、長さが異なるCRCを使用する。これにより、802.11nSTAは、VHTフレームをレガシー802.11aフレームとして処理し、そのレガシーSIGフィールドに示されたフレーム長さに基づいて送信を遅らせる。
【0041】
図4a、4b、および4cは、本開示のいろいろな態様によるVHT_STAのPLCP受信手順を示す図である。405で、フレームを受信する。410で、HT−GF−STFを受信したかチェックすることにより、受信フレームがグリーンフィールドフォーマットフレームであるか判断する。410における判断の結果がYESであれば、415でHT−SIG/VHT−SIGフィールドを復調しCRCが正しいかチェックする。420でHT−SIGフィールドのCRCが正しいと判断されたら、425で、そのフレームはHT_GFフレームであると判断し、そのように処理する。430でVHT−SIGフィールドのCRCが正しいと判断されたら、435で、そのフレームはTGac_VHT_GFフレームであると判断し、そのように処理する。そうでなければ、440で、受信フレームを不正フレームとして処理する。
【0042】
410において判断結果がNOであれば、445で、フレームのL−SIGフィールドを検出する。450で、L−SIGフィールドを復調し、L−SIGフィールドのパリティを確認する。正しいL−SIGフィールドがあるだけでは、そのフレームがレガシー802.11aフレームであることにはならない。455において、HT−SIGフィールドが検出されるか判断する。460でコンステレーション回転が検出されたら、465で、フレームフォーマットを802.11nHT_MFフレームとして処理する。HT−SIGフィールドを復調し、そのCRCが正しいかチェックする。
【0043】
460において、コンステレーション回転が検出されなければ、470で、回転してないBPSKコンステレーションを復調してVHT−SIGフィールドを検出し、475で、CRCが正しいかチェックする。480において、CRCが正しいと判断されたら、485で、VHT−SIGフィールドのコンテンツからフレームフォーマットを判断する。480でCRCが正しくないと判断されたら、490で、そのフレームをレガシーフレームフォーマットとして処理する。
【0044】
ある態様では、VHTフォーマットフレームの場合、レガシー802.11aデバイスはグリーンフィールド802.11nフレームチェック(CRC)に失敗する。さらに、レガシー802.11aデバイスは、L−SIGフィールドを探し、そのコンテンツに基づき送信を遅らせる。レガシー802.11nデバイスはHT−SIGフィールドを探す。ある態様では、レガシーデバイスはコンステレーション回転のみを調べることができる。ある態様では、レガシーデバイスは、コンステレーション回転とCRCの正しさを調べることができ、ある態様では、レガシーデバイスは、CRCの正しさのみを調べることができる。これらの場合、コンステレーション回転が無く、CRCも正しくないため、これらのレガシーデバイスはL−SIGコンテンツに基づき送信を遅らせる。
【0045】
ある態様では、VHT−SIG CRCの場合、CRCが正しくないとレガシー802.11nデバイスが確認するいろいろなオプションがある。802.11nHT−SIGのCRCに異なる多項式を用いてもよい。CRCに、同じ多項式を用いるが、802.11nHT−SIGのCRCに用いるのとは異なる初期値を用いてもよい。CRC、同じ多項式と初期値を用いて、VHT−SIGに挿入する前に簡単な変換(反転など)を行ってもよい。簡単な変換(反転など)は、CRCの計算後に、VHT−SIGの他のビットに行ってもよい。CRCに同じ多項式と初期値を用い、さらに別のビットをカバーして、例えばL−SIGフィールドとVHT−SIGフィールドにCRCを行ってもよい。CRCは、任意の多項式を用いる、802.11nHT−SIG CRCとは長さが異なる新しいCRCでもよい。
【0046】
上記の開示は有用な実施形態であると現在考えられるものを説明しているが、言うまでもなく、かかる詳細事項は説明を目的としたものであり、添付した請求項は開示の実施形態に限定されず、逆に、添付の請求項の精神と範囲内にある修正や等価な構成をカバーすることを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームのデータ部分を変調及び符号化する変調及び符号化方式を示す情報を含むように構成されたフレームを生成するように構成された無線通信コントローラと、
前記フレームをSTAに送信するように構成された送信器とを有する、装置。
【請求項2】
前記フレームはミクストフォーマットフレームまたはグリーンフィールドフレームである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置はレガシーSTA、HT_STA、及びVHT_STAと通信するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記送信されるフレームはミクストフォーマットフレームであり、レガシー互換部分を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記レガシー互換部分は、レガシーSTAとHT_STAが送信を遅らせる時間に関する情報を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記送信されるフレームはVHT_STAによりVHTフレームとして検出されるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記送信されるフレームはレガシーSTAまたはHT_STAによりレガシーフレームとして検出されるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記送信されるフレームは、HTフレームのHT−SIGフィールドと同じ場所に現れるVHT−SIGフィールドを含み、HTフレームのHT−SIGフィールドに適用されるコンステレーション回転はVHTフレームのVHT−SIGフィールドには適用されない、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
HT−SIGフィールドが現れる前記フレームの部分にコンステレーション回転が無いため、前記送信されるフレームはHT_STAにおいてレガシーフレームとして受信され、結果として、前記HT_STAは前記フレームのレガシー互換部分に示されたフレーム長さに基づき送信を遅らせる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
VHT−SIGフィールドの巡回冗長性検査(CRC)はHT_STAに対して正しく見えるように構成された、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
予想したHT−SIGフィールドのCRCが正しくないため、前記送信されるフレームがHT_STAでレガシーフレームとして受信され、結果として、HT_STAは前記フレームのレガシー互換部分に示されたフレーム長さに基づき送信を遅らせる、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
無線フレームを受信するように構成された受信器を含み、さらに、前記受信される無線フレームがHT−GF−STFフィールドを含むか判断することにより、前記受信される無線フレームがミクストフォーマットフレームまたはグリーンフィールドフォーマットフレームであるか判断し、前記検出されるHT−GF−STFフィールドに基づきミクストフォーマットフレームまたはグリーンフィールドフォーマットフレームのいずれかとして、前記受信される無線フレームを処理するように構成されたコントローラを含むVHT_STAを有する装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記受信される無線フレームがHT−GF−STFフィールドを含むとき、VHT−SIGフィールドを復調してCRCが正しいかチェックし、CRCが正しいと判断すると、前記受信される無線フレームをVHTグリーンフィールドフォーマットフレームとして処理する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記受信される無線フレームがL−SIGフィールドを含むか検出し、前記受信される無線フレームがL−SIGフィールドを含むとき、前記L−SIGフィールドを復調してそのパリティをチェックし、HT−SIGフィールドを検出し、HT−SIGフィールドのコンステレーション回転を検出し、HT−SIGを復調してそのCRCが正しいかチェックし、CRCが正しいとき、前記受信される無線フレームを802.11nHT_MFフォーマットフレームとして処理する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラは、前記受信される無線フレームがVHT−SIGフィールドを含むか検出し、前記受信される無線フレームがVHT−SIGフィールドを含むとき、前記VHT−SIGフィールドを復調してそのCRCが正しいかチェックし、CRCが正しいとき、前記受信される無線フレームを802.11nVHT_MFフレームとして処理し、CRCが正しくないとき、前記受信される無線フレームをレガシーフレームとして処理する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
VHT_STAにおいて無線フレームを受信するステップと、
前記受信された無線フレームがHT−GF−STFフィールドを含むか検出することにより、前記受信された無線フレームがミクストフォーマットフレームまたはグリーンフィールドフォーマットフレームか判断するステップと、
HT−GF−STFフィールドの検出に基づいて、前記受信される無線フレームをミクストフォーマットフレームまたはグリーンフィールドフォーマットフレームのいずれかとして処理するステップと、を有する方法。
【請求項17】
前記受信される無線フレームがHT−GF−STFフィールドを含むとき、VHT−SIGフィールドを復調してそのCRCが正しいかチェックするステップと、
CRCが正しいと判断したとき、前記受信される無線フレームをVHTグリーンフィールドフォーマットフレームとして処理するステップとをさらに有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記受信される無線フレームがL−SIGフィールドを含むか検出するステップと、
前記受信される無線フレームがL−SIGフィールドを含むとき、前記L−SIGフィールドを復調してそのパリティをチェックするステップと、
HT−SIGフィールドを検出するステップと、
前記HT−SIGフィールドのコンステレーション回転を検出するステップと、
HT−SIGを復調してそのCRCが正しいかチェックするステップと、
CRCが正しいとき、前記受信される無線フレームを802.11nHT_MFフォーマットフレームとして処理するステップとをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記受信される無線フレームがVHT−SIGフィールドを含むか検出するステップと、
前記受信される無線フレームがVHT−SIGフィールドを含むとき、前記VHT−SIGフィールドを復調してそのCRCが正しいかチェックするステップと、
CRCが正しいとき、前記受信される無線フレームを802.11nVHT_MFフレームとして処理するステップと、
CRCが正しくないとき、前記受信される無線フレームをレガシーフレームとして処理するステップとをさらに有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
フレームのデータ部分を変調及び符号化する変調及び符号化方式を示す情報を含むように構成されたフレームを生成するステップと、
前記フレームをSTAに送信するステップとを有する、方法。
【請求項21】
前記フレームはミクストフォーマットフレームまたはグリーンフィールドフレームである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法はレガシーSTA、HT_STA、及びVHT_STAと通信するように構成された、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記送信されるフレームはミクストフォーマットフレームであり、レガシー互換部分を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記送信されるフレームはVHT_STAによりVHTフレームとして検出されるように構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記送信されるフレームはレガシーSTAまたはHT_STAによりレガシーフレームとして検出されるように構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記送信されるフレームは、HTフレームのHT−SIGフィールドと同じ場所に現れるVHT−SIGフィールドを含み、HTフレームのHT−SIGフィールドに適用されるコンステレーション回転はVHTフレームのVHT−SIGフィールドには適用されない、請求項6に記載の方法。
【請求項27】
前記フレームはレガシー信号フィールドとそれに続くVHT信号フィールドとを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記フレームはレガシー信号フィールドとそれに続くVHT信号フィールドとを有する、請求項12に記載の装置。
【請求項29】
前記フレームはレガシー信号フィールドとそれに続くVHT信号フィールドとを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記フレームはレガシー信号フィールドとそれに続くVHT信号フィールドとを有する、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2013−515435(P2013−515435A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545953(P2012−545953)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056313
【国際公開番号】WO2011/087560
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】