レジスタ一体型容器ホルダ装置
【課題】レジスタの車室内側部分を傾斜形状にでき、かつ、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制できるレジスタ一体型容器ホルダ装置を提供すること。
【解決手段】レジスタ一体型容器ホルダ装置のベゼル2を回動可能にし、ベゼル2が回動する際に、ベゼル2を枢支するベゼル枢支部30が車室内側に向けて変位するようにする。ベゼル2が車室内に展開され、容器95の側面96をベゼル2の内周面で保持できるとともに、レジスタのベゼル2を除く部分の容器95への干渉を抑制できる。
【解決手段】レジスタ一体型容器ホルダ装置のベゼル2を回動可能にし、ベゼル2が回動する際に、ベゼル2を枢支するベゼル枢支部30が車室内側に向けて変位するようにする。ベゼル2が車室内に展開され、容器95の側面96をベゼル2の内周面で保持できるとともに、レジスタのベゼル2を除く部分の容器95への干渉を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の容器ホルダ装置に関し、詳しくは、レジスタに一体化された容器ホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器ホルダ装置は、ペットボトルや缶、カップなどの容器を保持するための装置である。一方、レジスタは、空調装置に接続されて空調用空気の流通方向を調整するための装置である。近年、容器ホルダ装置をレジスタに一体化する技術が提案されている。
【0003】
容器ホルダ装置をレジスタに一体化することで、容器および容器に収容されている飲料等を、空調用空気によって冷却あるいは加温することができる。また車両用のレジスタは、座席の前方や側方等、乗員にとって手を伸ばし易い位置に配設するのが一般的である。このため、容器ホルダ装置をレジスタに一体化すれば、乗員が容器を容易に手に取ることができる。以下、レジスタに一体化された容器ホルダ装置をレジスタ一体型容器ホルダ装置と呼ぶ。
【0004】
レジスタ一体型容器ホルダ装置の一種に、レジスタのベゼルによって容器の側面を支持するものがある(例えば、特許文献1参照)。ベゼルをリテーナに対して回動させ車室内に向けて展開させれば、ベゼルの内部に容器を挿通できる。そして、ベゼルの内周面によって容器の側面を支持できる。
【0005】
ところで、レジスタは一般に車両のインストルメントパネルに取り付けられる。近年では、インストルメントパネルを水平方向に対して傾斜する方向に配設する場合が多い。この場合、レジスタの車室内側部もまたインストルメントパネルの傾斜方向に沿った傾斜形状にする必要がある。レジスタの車室内側部を傾斜形状にする場合、ベゼルを車室内に向けて展開させても、ベゼルを除くレジスタ(以下、レジスタの一般部と呼ぶ)の一部とベゼルとが上下方向に重なる。このため、容器をベゼルに挿通しても、容器の底がレジスタの一般部に干渉して、容器を安定に保持できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−99575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にしても、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制できるレジスタ一体型容器ホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置は、空調用空気の流路の少なくとも一部を構成する貫通孔状のリテーナ流路部10を内部に持つ筒状のリテーナ1と、
該リテーナ1の下流側に配置され、貫通孔状の吹き出し開口部20を内部に持つ筒状をなし、少なくとも一部が車室内に露出しているベゼル2と、
該ベゼル2を枢支するベゼル枢支部30を持つとともに該リテーナ1に対して変位可能に取り付けられているベゼル保持手段3と、
該ベゼル2と該ベゼル保持手段3との少なくとも一方に接続されている枢支部駆動手段4と、を持ち、
該ベゼル2は、該リテーナ1と同軸的に配置される閉位置と、該車室内に向けて展開するとともに該吹き出し開口部20を上下方向に向ける開位置と、の間を該ベゼル枢支部30を中心として回動し、
該枢支部駆動手段4は、該ベゼル2の回動に伴って状態変化し、該ベゼル2が該閉位置から該開位置に向けて回動する際に該ベゼル枢支部30を該車室内側に向けて変位させることを特徴とする。
【0009】
本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置は、下記の構成(1)〜(3)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(3)の複数を備えるのがより好ましい。
【0010】
(1)前記枢支部駆動手段4は、前記ベゼル2を枢支する入力枢支部40を持つ。
【0011】
(2)前記ベゼル保持手段3は、前記リテーナ1に枢支される第1枢支基部31と前記ベゼル枢支部30とを持つアーム状をなし、
前記枢支部駆動手段4は、前記リテーナ1に枢支される第2枢支基部41と前記ベゼル2を枢支する入力枢支部40とを持つアーム状をなす。
【0012】
(3)前記リテーナ1の下流側部分からなり前記リテーナ1の上流側部分と別体の保持枠12と、該保持枠12に保持されている複数のフィン13と、を持ち、該リテーナ1の上流側部分に枢支されているフィン部材100と、
該フィン部材100を枢支するフィン入力枢支部81を持つとともに前記リテーナ1に対して変位可能に取り付けられているフィン部材駆動手段80と、を持ち、
該フィン部材駆動手段80は、前記枢支部駆動手段4に接続され、前記枢支部駆動手段4の状態変化に伴って変位し、
該フィン部材100は、
前記ベゼル2よりも前記流路の上流側に配置され該保持枠12が前記リテーナ流路部10の一部を構成するフィン閉位置と、前記車室内に向けて展開するとともに該フィン13閉位置において空気流路上流側に配置される裏面を上方に向けるフィン開位置と、の間を該フィン入力枢支部81を中心として回動し、
前記枢支部駆動手段4の状態変化と該フィン部材駆動手段80の変位とに従動して、前記ベゼル2が前記閉位置に配置されているときに該フィン閉位置に配置されるとともに前記ベゼル2が前記開位置に配置されているときに該フィン開位置に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置は、ベゼルの回動に伴ってベゼル保持手段のベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させる。このため、ベゼルをレジスタの一般部よりも車室内側に配置することができ、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制できる。よって、本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置によると、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にしても、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制しつつ、ベゼルによって容器の側面を安定に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図2】実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図3】実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図4】実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図5】実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図6】実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図7】実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図8】実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図9】実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図10】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図11】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図12】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図13】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図14】実施例4のホルダ装置において枢支部駆動手段の一部を構成するギヤ部材を模式的に表す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置(以下、単にホルダ装置と略する)におけるベゼル保持手段は、リテーナに対して変位可能に取り付けられている。例えば、ベゼル保持手段は、リテーナに対して回動可能に取り付けられていても良いし、リテーナに対してスライド可能に取り付けられていても良い。
【0016】
枢支部駆動手段は、閉位置から開位置へのベゼルの回動に伴って状態変化し、ベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させれば良く、ベゼルとベゼル保持手段との一方にのみ接続されても良いし、ベゼルとベゼル保持手段との両方に接続されても良い。例えば枢支部駆動手段は、ベゼルに接続され、ベゼルの回動に伴って状態変化するとともにベゼルを車室内側に向けて変位させることで、ベゼルを枢支するベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させても良い。或いは、枢支部駆動手段は、ベゼル枢支部に接続され、ベゼルの回動に伴うベゼル枢支部の回動に伴って状態変化し、ベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させても良い。また、その他の方法でベゼルの回動を受け、ベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させても良い。さらに、枢支部駆動手段は、ベゼルの回動に伴って状態変化可能であれば良い。例えば、枢支部駆動手段全体が一体に回動する場合には、枢支部駆動手段全体がベゼルの回動に伴って一体に回動しても良い。或いは、枢支部駆動手段の一部のみが変位し、他の部分は変位しなくても良い。
【0017】
本発明のホルダ装置におけるホルダは、開位置において吹き出し開口部を上下方向に向ける。換言すると、開位置において、ベゼルにおける吹き出し開口部の一端部は他端部(一端部に背向する端部)よりも上側に配置される。したがって、本発明でいう上下方向とは、水平方向以外の方向を含む概念である。例えばベゼルは、開位置において、吹き出し開口部を垂直方向に向けても良いし、斜め方向に向けても良い。なお、リテーナの一般部への容器の干渉を避けるためには、開位置において、吹き出し開口部は、垂直方向に向くか、または、一端部(吹き出し開口部のなかで開位置において上側に配置される端部)が他端部よりも車室内側(流路下流側)に配置されるような斜め方向を向くのが好ましい。また、ここでいう一端部は、閉位置において車室内側(流路下流側)に配置される端部であっても良いし、閉位置において車室外側(流路上流側)に配置される端部であっても良い。
【0018】
以下、本発明のホルダ装置を図面を基に説明する。
【0019】
(実施例1)
実施例1のホルダ装置は、自動車のインストルメントパネルに配設される。実施例1のホルダ装置は上記(1)および(2)を備える。実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図1〜図3に示す。なお、図1はベゼルが閉位置に配置されている様子を表し、図2はベゼルが閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図3はベゼルが開位置に配置されている様子を表す。以下、実施例1において上、下、上流側(空気流路上流側)、下流側(空気流路下流側)とは、図1に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図1〜図3における時計回り、反時計回りを指す。
【0020】
図1に示すように、実施例1のホルダ装置は、リテーナ1と、ベゼル2と、ベゼル保持手段3と、枢支部駆動手段4とを持つ。
【0021】
リテーナ1は、貫通孔状をなすリテーナ流路部10を内部に持つ略円筒状をなす。詳しくは、リテーナ1は空調用空気の流路上流側(以下、単に上流側と略す)の部分であるリテーナ一般部11と、空調用空気の流路下流側(以下、単に下流側と略す)の部分である保持枠12と、を持つ。保持枠12は、リテーナ一般部11と別体形成され、リテーナ一般部11の下流側に取り付けられている。保持枠12はリテーナ一般部11と同軸的に配置され、リテーナ1の周方向に回動可能である。保持枠12の内部には、2つのフィン13が枢支されている。各フィン13は、空調用空気の流路(以下、単に流路と略す)を閉じる閉位置(図1〜図3)と、流路を開く開位置(図略)との間を回動する。また、各フィン13は保持枠12とともにリテーナ1の周方向に回動する。
【0022】
リテーナ1の軸方向一端部(上流側端部)は、空調装置(図略)に接続されている。リテーナ1の軸方向他端部(下流側端部)は車室内に露出している。したがって、リテーナ流路部10は、空調用空気の流路の一部を構成する。リテーナ1の外壁面の上側部分には、突起状をなす第1リテーナ接続部14が設けられている。また、リテーナ1の外壁面の下側部分には、突起状をなす第2リテーナ接続部15が設けられている。
【0023】
ベゼル2は、貫通孔状の吹き出し開口部20を内部に持つ短円筒状をなす。ベゼル2の外径はリテーナ1の外径よりも大きく、ベゼル2の内径はリテーナ1の内径とほぼ同じである。ベゼル2の外壁面のなかで、図1に示す閉位置における上側には、突起状をなす第1ベゼル接続部21が設けられている。また、ベゼル2の外壁面のなかで、図1に示す閉位置において第1ベゼル接続部21よりも下側に配置される部分には、突起状をなす第2ベゼル接続部22が設けられている。図1に示す閉位置において、第1ベゼル接続部21は第1リテーナ接続部14よりも上側に位置し、第2ベゼル接続部22は第1リテーナ接続部14及び第2リテーナ接続部15よりも上側に位置する。
【0024】
ベゼル保持手段3は、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第1枢支基部31とを持つ。詳しくは、ベゼル枢支部30はベゼル保持手段3の一端部に形成され、孔状をなす。第1枢支基部31はベゼル保持手段3の他端部に形成され、孔状をなす。ベゼル枢支部30には第1ベゼル接続部21が挿入されている。第1枢支基部31には第1リテーナ接続部14が挿入されている。したがって、ベゼル保持手段3はリテーナ1に枢支されるとともにベゼル2を枢支している。換言すると、ベゼル保持手段3はリテーナ1に対して回動(変位)可能に取り付けられ、かつベゼル2を枢支している。
【0025】
枢支部駆動手段4は、アーム状をなし、入力枢支部40と第2枢支基部41とを持つ。詳しくは、入力枢支部40は枢支部駆動手段4の一端側に形成され、孔状をなす。第2枢支基部41は枢支部駆動手段4の他端側に形成され、孔状をなす。入力枢支部40には第2ベゼル接続部22が挿入されている。第2枢支基部41には第2リテーナ接続部15が挿入されている。したがって、枢支部駆動手段4はリテーナ1に枢支されるとともにベゼル2を枢支している。換言すると、枢支部駆動手段4はリテーナ1に対して回動(状態変化)可能に取り付けられ、かつ、ベゼル2を枢支している。
【0026】
実施例1のホルダ装置は、図1〜3に示すように、傾斜形状のインストルメントパネル9に取り付けられている。詳しくは、リテーナ1のほぼ全体はインストルメントパネル9に設けられている開口91よりも車室外側(上流側)に配置されている。リテーナ1における空調用空気流路の下流側(以下、単に下流側と略す)の端部は、車室内に露出している。リテーナ1における下流側の端部は、インストルメントパネル9の傾斜に応じて傾斜している。また、実施例1のホルダ装置の下側かつ車室内側には、インストルメントパネル9の一部が段差状に延在している。この段差状部分92は、車室内側に向けてやや下方に傾斜している。
【0027】
実施例1のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0028】
先ず、図1に示す閉位置において、ベゼル2はリテーナ1と同軸的に配置され、リテーナ1における下流側端部の周縁部を車室内側から覆っている。ベゼル2のほぼ全体は、インストルメントパネル9の開口91よりも下流側に配置され車室内に露出している。したがって、ベゼル2の吹き出し開口部20は、レジスタの吹き出し開口を構成している。ベゼル2の第1ベゼル接続部21はリテーナ1の第1リテーナ接続部14よりも上側に位置し、ベゼル2の第2ベゼル接続部22はリテーナ1の第1リテーナ接続部14よりも上側かつベゼル2の第1ベゼル接続部21よりも下方に位置している。
【0029】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、ベゼル2はベゼル枢支部30を中心として反時計回りに回動する(図2)。ところで、第2ベゼル接続部22および入力枢支部40はベゼル枢支部30および第1ベゼル接続部21よりも下方に配置されている。したがってこのときベゼル2は単に回動するのではなく、枢支部駆動手段4によって下方に引っ張られるとともに、枢支部駆動手段4の回動(第2枢支基部41を中心とする時計回りの回動)に伴って、車室内側にも引っ張られる。したがって、ベゼル2に設けられている第1ベゼル接続部21、および、第1ベゼル接続部21を枢支しているベゼル枢支部30もまた、下方かつ車室内側に向けて引っ張られる。このため、ベゼル保持手段3は第1枢支基部31を中心として時計回りに回動し、この回動に伴ってベゼル枢支部30は下方かつ車室内側に向けて変位する。よって、ベゼル2は下方かつ車室内側に向けてスライドしつつ回動する。
【0030】
ユーザーがベゼル2の下端部を更に上方向に持ち上げると、図3に示すように、ベゼル保持手段3がさらに時計回りに回動し、ベゼル枢支部30がさらに下方かつ車室内側に向けて変位する。また、枢支部駆動手段4がさらに時計回りに回動し、入力枢支部40がさらに下方かつ車室内側に向けて変位する。このためベゼル2は、リテーナ1に対して回動しつつスライドし、インストルメントパネル9の段差状部分92と略平行に配置される開位置に展開される。このときベゼル2は、吹き出し開口部20を上下方向(詳しくは、車室内側に向けてやや下向する斜め方向)に向ける。したがって、このときインストルメントパネル9の段差状部分92に載置した容器95の側面96を、ベゼル2の内周面で保持できる。
【0031】
ベゼル2が開位置に配置されているときにユーザーがベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、枢支部駆動手段4が反時計回りに回動し、かつ、ベゼル保持手段3が反時計回りに回動する。すると、ベゼル枢支部30が上流側に向けて変位する。このため、ベゼル2はリテーナ1に対して回動しつつスライドして図1に示す閉位置に配置される。
【0032】
実施例1のホルダ装置によると、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例1のホルダ装置は、容器95の側面96を保持できる位置にベゼル2を配置できる。よって、実施例1のホルダ装置によると、レジスタの車室内側部を傾斜形状にしても、レジスタの一般部(実施例1においては保持枠12およびフィン13)と容器95との干渉を抑制できる。
【0033】
また、実施例1のホルダ装置におけるベゼル2は、閉位置から開位置に向けて回動する際にやや下降するため、高さの低い容器95の側面96を保持できる利点もある。
【0034】
(実施例2)
実施例2のホルダ装置は、ベゼル保持手段の形状および枢支部駆動手段の形状以外は、実施例1のホルダ装置とほぼ同じものである。実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図4〜図6に示す。なお、図4はベゼル2が閉位置に配置されている様子を表し、図5はベゼル2が閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図6はベゼル2が開位置に配置されている様子を表す。以下、実施例2において上、下、上流側、下流側とは、図4に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図4〜図6における時計回り、反時計回りを指す。
【0035】
実施例2のホルダ装置におけるリテーナ1は、突起状をなす第3リテーナ接続部16と、突起状をなす第1ピン17とを持つ。第3リテーナ接続部16は、リテーナ1の上側部分に配置されている。第1ピン17は、リテーナ1の上流側部分に配置されている。なお、第1ピン17は、第3リテーナ接続部16よりも下側に配置されている。
【0036】
実施例2のホルダ装置におけるベゼル保持手段3は、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第1溝部32と第2ピン33とを持つ。ベゼル枢支部30はベゼル保持手段3の一端部に形成され、孔状をなす。第1溝部32は、ベゼル保持手段3の略中央部から他端部側に向けて延びる長孔状をなす。第2ピン33は、突起状をなし、第1溝部32の下側に配置されている。ベゼル枢支部30にはベゼル2の第1ベゼル接続部21が挿入されている。第1溝部32には第1ピン17が挿入されている。したがって、ベゼル保持手段3はリテーナ1にスライド(変位)可能に保持され、かつ、ベゼル2を枢支している。また、ベゼル保持手段3のスライド方向は、第1ピン17と第1溝部32とによって規制されている。
【0037】
枢支部駆動手段4は、第1リンク50と、第2リンク55と、リンク付勢手段60とからなる。
【0038】
第1リンク50はアーム状をなし、入力枢支部40と第1駆動接続部51とを持つ。入力枢支部40は第1リンク50の一端部に形成され、孔状をなす。第1駆動接続部51は第1リンク50の他端側に形成され、孔状をなす。入力枢支部40にはベゼル2の第2ベゼル接続部22が挿入されている。したがって、第1リンク50はベゼル2を枢支している。
【0039】
第2リンク55はアーム状をなし、第2駆動接続部56と駆動第1枢支基部31と第2溝部57とを持つ。第2駆動接続部56は第2リンク55の一端部に形成され、突起状をなす。駆動第1枢支基部31は第2リンク55の他端部に形成され、孔状をなす。第2溝部57は第2リンク55の略中央部に形成され、第2リンク55の長手方向に延びる長孔状をなす。第2駆動接続部56は第1リンク50の第1駆動接続部51に挿入されている。駆動第1枢支基部31にはリテーナ1の第3リテーナ接続部16が挿入されている。第2溝部57にはベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入されている。したがって、第2リンク55は第1リンク50に枢支され、かつ、リテーナ1に枢支されている。なお、ベゼル保持手段3と第2リンク55との相対位置は、第2ピン33と第2溝部57とによって規制されている。
【0040】
リンク付勢手段60は、ターンオーバースプリングからなる。リンク付勢手段60の一端部はリテーナ1に枢支され、他端部は第2リンク55に枢支されている。リンク付勢手段60は、第2リンク55を図4に示す位置と図6に示す位置とに付勢する。また、リンク付勢手段60は、第2リンク55を介してベゼル2を閉位置(図4)と開位置(図6)とに付勢する。
【0041】
実施例2のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0042】
先ず、図4に示す閉位置において、ベゼル2の第2ベゼル接続部22は第1ベゼル接続部21より下方に位置している。第1リンク50は第1駆動接続部51を上流側に向け入力枢支部40を下流側(車室内側)に向けている。第2リンク55は第2駆動接続部56を上流側かつ下側に向け、駆動第1枢支基部31を下流側かつ上側に向けている。
【0043】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、ベゼル2はベゼル枢支部30を中心として反時計回りに回動する。このとき第1リンク50は、ベゼル2の回動に伴って車室内側に引っ張られ、車室内側に向けてスライドしつつ第1駆動接続部51を中心として反時計回りに回動する。すると、第1リンク50の第1駆動接続部51に枢支されている第2リンク55の第2駆動接続部56が車室内側に引っ張られる。したがって第2リンク55は、車室内側に引っ張られ、駆動第1枢支基部31を中心として反時計回りに回動する。第2リンク55の第2溝部57には、ベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入されている。このため、第2ピン33は第2溝部57内をスライドしつつ、第2リンク55によって車室内側に引っ張られる。第2ピン33の移動に伴って、ベゼル保持手段3もまた車室内側に引っ張られる。よって、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動する(図5)。
【0044】
ベゼル2が図5に示す位置にまで移動すると、リンク付勢手段60には付勢力が蓄積される。すると、リンク付勢手段60は、付勢力を放出しつつ図6に示す位置にまで回動する。このときリンク付勢手段60は、第2リンク55を図6に示す位置に付勢する。リンク付勢手段60によって付勢された第2リンク55は、反時計回りに回動する。すると、第1リンク50は第2リンク55によって車室内側に押し出される。ベゼル保持手段3もまた、第2リンク55によって車室内側に押し出される。よって、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動し、インストルメントパネル9の段差状部分92と略平行に配置される開位置に展開される。このときベゼル2は、吹き出し開口部20を上下方向(詳しくは、略垂直方向)に向ける。したがって、このときインストルメントパネル9の段差状部分92に載置した容器95の側面96を、ベゼル2の内周面で保持できる。
【0045】
ベゼル2が開位置に配置されているときにユーザーがベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、第1リンク50が時計回りに回動しつつ上流側に向けて押し込まれ、第2リンク55が時計回りに回動し、ベゼル保持手段3が上流側にスライドする。このためベゼル枢支部30が上流側に変位し、ベゼル2は上流側に向けてスライドしつつ回動する。ベゼル2を所定角度以上回動させると、リンク付勢手段60に充分な付勢力が蓄積される。するとリンク付勢手段60は、図4に示す位置にまで回動するとともに第2リンク55の時計回りの回動を付勢する。このためベゼル2は、リンク付勢手段60によって間接的に付勢され、図4に示す閉位置にスライドしつつ回動する。
【0046】
実施例2のホルダ装置においては、実施例1のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例2のホルダ装置もまた、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にでき、かつ、レジスタの一般部(実施例2においては保持枠12およびフィン13)と容器95との干渉を抑制できる。
【0047】
また、実施例2のホルダ装置におけるベゼル2は、閉位置から開位置に回動する際に殆ど下降しないため、高さの高い容器95の側面96を安定して保持できる利点もある。
【0048】
また、実施例2のホルダ装置は、リンク付勢手段60によってベゼル2の回動を付勢している。このため実施例のホルダ装置はベゼル2の開閉操作時におけるユーザーの負担を軽減できる。なお、実施例1のホルダ装置および後述する実施例3〜実施例4のホルダ装置に同様のリンク付勢手段60を設けても良い。この場合、リンク付勢手段60の一端部をリテーナ1に直接的または間接的に枢支し、リンク付勢手段60の他端部を枢支部駆動手段4におけるリンク付勢手段60以外の部分、ベゼル2、およびベゼル保持手段3の何れかに枢支すれば良い。この場合にも、実施例2のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開閉操作時におけるユーザーの負担を軽減できる。
【0049】
(実施例3)
実施例3のホルダ装置は、ベゼル保持手段の形状および枢支部駆動手段の形状以外は、実施例1のホルダ装置とほぼ同じものである。実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図7〜図9に示す。なお、図7はベゼル2が閉位置に配置されている様子を表し、図8はベゼル2が閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図9はベゼル2が開位置に配置されている様子を表す。以下、実施例3において上、下、上流側、下流側とは、図7に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図7〜図9における時計回り、反時計回りを指す。
【0050】
実施例3のホルダ装置におけるリテーナ1は、2つのガイド溝部18を持つ。ガイド溝部18は、リテーナ1の上側部分に配置されている。
【0051】
実施例3のホルダ装置におけるベゼル保持手段3は、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第2ピン33とを持つ。ベゼル枢支部30はベゼル保持手段3の一端部に形成され、孔状をなす。第2ピン33は、突起状をなし、ベゼル保持手段3の略中央部に配置されている。ベゼル枢支部30にはベゼル2の第1ベゼル接続部21が挿入されている。また、ベゼル保持手段3はリテーナ1のガイド溝部18に挿通されている。したがって、ベゼル保持手段3はリテーナ1にスライド(変位)可能に保持され、かつ、ベゼル2を枢支している。また、ベゼル保持手段3のスライド方向は、ガイド溝部18によって規制されている。
【0052】
枢支部駆動手段4は、第1リンク50と、第1ギヤ65と、第2リンク55と、位置規制手段70とからなる。
【0053】
第1リンク50はアーム状をなし、入力枢支部40とラック52とを持つ。入力枢支部40は第1リンク50の一端部に形成され、孔状をなす。ラック52は第1リンク50の長手方向に向けて延設されている。入力枢支部40にはベゼル2の第2ベゼル接続部22が挿入されている。したがって、第1リンク50はベゼル2を枢支している。
【0054】
第1ギヤ65は、第1リンク50のラック52に噛合する歯列66と、第3ピン67と、第1回転軸68とを持つ。第1回転軸68はリテーナ1に軸支されている。第1ギヤ65はラックアンドピニオン機構のピニオンとして機能する。第3ピン67は、突起状をなし、第1ギヤ65の歯列66と第1回転軸68との間に配置されている。
【0055】
第2リンク55はアーム状をなし、突起状をなす駆動第1枢支基部31と、第2溝部57と、第3溝部58とを持つ。駆動第1枢支基部31は第2リンク55の長手方向の略中央部に配置され、リテーナ1に枢支されている。第2溝部57は第2リンク55の一端部に形成され、第2リンク55の長手方向に延びる長孔状をなす。第2溝部57には、ベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入されている。第3溝部58は第2リンク55の他端側に形成され、第2リンク55の長手方向に延びる長孔状をなす。第3溝部58には第1ギヤ65の第3ピン67が挿入されている。したがって、第2リンク55はリテーナ1と、第1ギヤ65と、ベゼル保持手段3とに枢支されている。なお、ベゼル保持手段3と第2リンク55との相対位置は、第2ピン33と第2溝部57とによって規制されている。第1ギヤ65と第2リンク55との相対位置は第3ピン67と第3溝部58とによって規制されている。
【0056】
位置規制手段70は、三角形の規制開口71を持つ枠状をなす。規制開口71の2つの内角に相当する部分には、それぞれ、略円柱状をなす第4ピン72の一端部が固定されている。2つの第4ピン72の他端部は、第1リンク50の上端面(ラック52と逆側の端面)に当接している。2つの第4ピン72は、第2リンク55を挟んで上流側と下流側とにそれぞれ配置されている。各第4ピン72は第1リンク50に対して摺動可能である。規制開口71の他の1つの内角に相当する部分には、第1ギヤ65の第1回転軸68が挿入されている。位置規制手段70は第1回転軸68を中心として回動可能である。したがって、位置規制手段70は、第1ギヤ65に対する第1リンク50の位置を規制して、第1リンク50のラック52と第1ギヤ65の歯列66との噛合を維持する。
【0057】
実施例3のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0058】
先ず、図7に示す閉位置において、ベゼル2の第2ベゼル接続部22は第1ベゼル接続部21より下方に位置している。第1リンク50はラック52を下側に向け、入力枢支部40を下流側(車室内側)に向けている。第2リンク55は第2溝部57を上流側かつ上側に向け、第3溝部58を下流側かつ下側に向けている。第1ギヤ65の第3ピン67は第3溝の略中央部に配置され、ベゼル保持手段3の第2ピン33は第2溝部57の上側部分に配置されている。
【0059】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、ベゼル2はベゼル枢支部30を中心として反時計回りに回動する(図8)。このとき、第1リンク50は、ベゼル2の回動に伴って車室内側かつ上側に引っ張られ、位置規制手段70によって位置規制されて、入力枢支部40を中心として反時計回りに相対的に回動する。すると、第1リンク50のラック52と噛合している第1ギヤ65が時計回りに回転し、第1ギヤ65の第3ピン67もまた第1回転軸68を中心として時計回りに回動する。すると、第3ピン67が第2リンク55の第3溝部58内を下方に向けてスライドするとともに、第2リンク55を上流側に向けて引っ張る。このため第2リンク55は駆動第1枢支基部31を中心として時計回りに回動する。すると、第2リンク55の第2溝部57が第2ピン33を車室内側に引っ張り、ベゼル保持手段3は車室内側に向けてスライドする。このため、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動する(図8)。
【0060】
ユーザーがベゼル2をさらに上方に持ち上げると、第1リンク50がさらに車室内側に引っ張られるとともに反時計回りに回動し、第1ギヤ65が更に時計回りに回転し、第2リンク55がさらに時計回りに回動して、ベゼル保持手段3がさらに車室内側にスライドする。よって、ベゼル枢支部30はさらに車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動して、インストルメントパネル9の段差状部分92と略平行に配置される開位置に展開される(図9)。したがって、このときインストルメントパネル9の段差状部分92に載置した容器95の側面96を、ベゼル2の内周面で保持できる。
【0061】
ベゼル2が開位置に配置されているときにユーザーがベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、第1リンク50が上流側に向けて押し込まれ、第1ギヤ65が反時計回りに回転し、第2リンク55が反時計回りに回動する。このため、ベゼル保持手段3は上流側に向けてスライドし、ベゼル枢支部30は上流側に向けて変位して、ベゼル2が図7に示す閉位置にスライドしつつ回動する。
【0062】
実施例3のホルダ装置においては、実施例1のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例3のホルダ装置もまた、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にでき、かつ、レジスタの一般部(実施例3においては保持枠12およびフィン13)と容器95との干渉を抑制できる。
【0063】
なお、ベゼル2が閉位置に配置されているときの第2リンク55の駆動第1枢支基部31と第3ピン67との距離を、ベゼル2が開位置に配置されているときの第2リンク55の回動中心と第3ピン67との距離よりも大きくする場合には、開動作初期におけるベゼル2の変位量を開動作後期におけるベゼル2の変位量よりも大きくできる。この場合には、ホルダ装置の動作に高級感を付与できる利点がある。
【0064】
(実施例4)
実施例4のホルダ装置は上記(3)を備える。実施例4のホルダ装置は、フィン保持手段と第2位置規制手段とを持つこと、フィン部材がリテーナ一般部に枢支されていること、および枢支部駆動手段の形状以外は、実施例3のホルダ装置とほぼ同じものである。実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図10〜図13に示す。なお、図10はベゼルが閉位置に配置されている様子を表し、図11および図12はベゼルが閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図13はベゼルが開位置に配置されている様子を表す。実施例4のホルダ装置において枢支部駆動手段の一部を構成するギヤ部材を模式的に表す分解斜視図を図14に示す。以下、実施例4において上、下、上流側、下流側とは、図10に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図10〜図13における時計回り、反時計回りを指す。
【0065】
実施例4のホルダ装置におけるリテーナ1は、ガイド溝部18と、一般枢支アーム101と、枠枢支アーム105とを持つ。ガイド溝部18は実施例3のホルダ装置におけるガイド溝部18と同様の形状をなす。
【0066】
一般枢支アーム101は略L字状をなす。図12に示すように、一般枢支アーム101は、リテーナ一般部11の下側かつ下流側の部分から下方に延びる第1基部102と、第1基部102の下端に一体化され下流側(車室内側)に向けて延びる第1延出部103とを持つ。第1延出部103の下流側端部は、リテーナ一般部11におけるリテーナ流路部10の下流側端部よりもさらに下流側に延びている。
【0067】
枠枢支アーム105は略L字状をなす。枠枢支アーム105は、保持枠12の下側かつ下流側の部分から下方に延びる第2基部106と、第2基部106の下端に一体化され下流側に向けて延びる第2延出部107とを持つ。第2延出部107の下流側端部は、第1延出部103の下流側端部に枢支されている。したがって、枠枢支アーム105は一般枢支アーム101に対して回動可能である。よって、枠枢支アーム105に一体化されている保持枠12およびフィン13(すなわちフィン部材100)は、一般枢支アーム101に一体化されているリテーナ一般部11に対して回動可能である。さらに、保持枠12は突起状をなすフィン接続部108を持つ。
【0068】
ベゼル保持手段3は、実施例3のホルダ装置におけるベゼル保持手段3と同様に、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第2ピン33とを持ち、リテーナ1(詳しくはリテーナ一般部11)に設けられているガイド溝部18にスライド可能に挿入されている。
【0069】
枢支部駆動手段4は、第1リンク50と、ギヤ部材75と、第2リンク55と、位置規制手段(図略)とからなる。
【0070】
第1リンク50は、実施例3のホルダ装置における第1リンク50と同様に、アーム状をなし、入力枢支部40とラック52とを持つ。入力枢支部40にはベゼル2の第2ベゼル接続部22が挿入され、第1リンク50はベゼル2を枢支している。
【0071】
ギヤ部材75は、図14に示すように、第1ギヤ65と、第2ギヤ76と、ギヤ付勢手段77とを持つ。第2ギヤ76は第1ギヤ65よりもリテーナ1側に配置されている。ギヤ付勢手段77は、第1ギヤ65と第2ギヤ76との間に配置されている。詳しくは、第1ギヤ65は、突起状をなす第5ピン69と、実施例3のホルダ装置における第1ギヤ65と同様の歯列66と、第3ピン67と、第1回転軸68とを持つ。第1回転軸68は、第1ギヤ65の回転中心に一体化され、リテーナ1(リテーナ一般部11)に軸支されている。第5ピン69は第2ギヤ76に向けて突起している。
【0072】
第2ギヤ76は第1ギヤ65と同径であり、第1ギヤ65の第1回転軸68に軸支されている。第2ギヤ76は、第1回転軸68を中心として第1ギヤ65に対して相対的に回転可能である。第2ギヤ76は、第1ギヤ65に向けて開口する箱状をなし、第1回転軸68を中心とする円の円周方向に延びる長孔状のギヤ溝78を持つ。ギヤ溝78には第1ギヤ65の第5ピン69が挿入されている。
【0073】
ギヤ付勢手段77は、コイルバネ状をなし、第2ギヤ76の内部に配置されている。ギヤ付勢手段77には第1回転軸68が挿通されている。また、ギヤ付勢手段77の一端部は第2ギヤ76に固定され、他端部は第1ギヤ65に固定されている。ギヤ付勢手段77は、第2ギヤ76を反時計回りに付勢する。
【0074】
図10に示すように、第2リンク55はアーム状をなし、実施例3の第2リンク55と同様の駆動第1枢支基部31と、第2溝部57と、第3溝部58とを持つ。第2溝部57には、ベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入され、第3溝部58には第1ギヤ65の第3ピン67が挿入されている。したがって、第2リンク55はリテーナ1と、第1ギヤ65と、ベゼル保持手段3とに枢支されている。
【0075】
図略の位置規制手段70は、実施例3の位置規制手段70とほぼ同形状であり、第1ギヤ65に対する第1リンク50の位置を規制して、第1リンク50のラック52と第1ギヤ65の歯列66との噛合を維持する。
【0076】
フィン部材駆動手段80は、アーム状をなし、孔状をなすフィン入力枢支部81と第2ラック82とを持つ。フィン入力枢支部81はフィン部材駆動手段80の長手方向の一端部に形成され、第2ラック82はフィン部材駆動手段80の長手方向に延設されている。第2ラック82は、第2ギヤ76の歯列79と噛合する。
【0077】
図略の第2位置規制手段は、実施例3の位置規制手段70とほぼ同形状である。第2位置規制手段における規制開口の1つの内角に相当する部分には、第1回転軸68が挿入されている。第2位置規制手段は、第2ギヤ76に対するフィン部材駆動手段80の位置を規制して、フィン部材駆動手段80の第2ラック82と第2ギヤ76の歯列79との噛合を維持する。
【0078】
実施例4のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0079】
先ず、図10に示す閉位置において、ベゼル2の第2ベゼル接続部22は第1ベゼル接続部21より下側に位置している。第1リンク50はラック52を下側に向け、入力枢支部40を下流側(車室内側)に向けている。第2リンク55は第2溝部57を上流側かつ上側に向け、第3溝部58を下流側かつ下側に向けている。第1ギヤ65の第3ピン67は第3溝部58の略中央部に配置され、ベゼル保持手段3の第2ピン33は第2溝部57の上側部分に配置されている。このとき、フィン部材100は、ベゼル2よりも上流側に配置されている。保持枠12はリテーナ流路部10の一部を構成している。このときのフィン部材100の位置をフィン閉位置と呼ぶ。フィン部材駆動手段80は、第2ラック82を下側に向け、フィン入力枢支部81を下流側(車室内側)に向けている。第5ピン69はギヤ溝78の反時計回り方向の端部に配置されている。
【0080】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、第1リンク50、第1ギヤ65、第2リンク55、およびベゼル保持手段3は実施例3のホルダ装置における各部材と同様に動作し、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動する(図11)。このとき、第1ギヤ65は時計回りに回転するため、第1ギヤ65の第5ピン69はギヤ溝78内をスライドして、ギヤ溝78の時計回り方向の端部に配置される。このとき第2ギヤ76は回転しない。このためベゼル2は閉位置から開位置に向けて変位するが、フィン部材100は変位しない。したがって、このときベゼル2はフィン部材100よりも車室内側に配置されるとともに、ベゼル2とフィン部材100とが離間する。なお、このときギヤ付勢手段77には付勢力が蓄積される。
【0081】
ユーザーがベゼル2をさらに上方に持ち上げると、図12に示すように、第1リンク50はさらに車室内側にスライドしつつ回動する。第1ギヤ65は時計回りにさらに回転し、第1ギヤ65の第5ピン69は第2ギヤ76のギヤ溝78を時計回りに引っ張る。したがって、第2ギヤ76はギヤ付勢手段77の付勢力に抗して時計回りに回転する。すると、第2ギヤ76と噛合しているフィン部材駆動手段80が車室内側かつ下側に向けてスライドするとともに、第2位置規制手段に位置規制されて、フィン入力枢支部81を中心とする時計回りに相対的に回動する。したがって、フィン入力枢支部81は車室内側かつ下側に変位し、フィン部材100は第2延出部107の下流側端部を中心として時計回りに回動する。したがって、フィン部材100は、裏面110(すなわち、フィン閉位置において上流側に配置される面)を上方に向ける方向に回動しつつ、車室内に向けて展開する。また、このとき第1リンク50、第1ギヤ65、第2リンク55、およびベゼル保持手段3は、実施例3のホルダ装置における各部材と同様に動く。したがって、ベゼル枢支部30は車室内側に向けてさらに変位し、ベゼル2は車室内側に向けてさらに変位する。したがって、このときベゼル2とフィン部材100とは同期しつつ変位する。
【0082】
ユーザーがベゼル2をさらに上方に持ち上げると、図13に示すように、ベゼル枢支部30が車室内側に向けてさらに変位して、ベゼル2は車室内側に向けてさらに変位して開位置に配置される。フィン部材100もまた、車室内側に向けてさらに変位してフィン開位置に配置される(図13)。したがって、このときフィン部材100の裏面(詳しくは、フィン13の裏面)によって容器95の底面97を保持でき、かつ、ベゼル2によって容器95の側面96を保持できる。
【0083】
ユーザーが開位置に配置されているベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、第1リンク50が上流側に向けて押し込まれ、第1ギヤ65が反時計回りに回転し、第2リンク55が反時計回りに回動する。このため、ベゼル保持手段3が上流側に向けてスライドし、ベゼル枢支部30が上流側に向けて変位し、第1リンク50が上流側に向けてスライドしつつ回動して、ベゼル2が図10に示す閉位置に向けてスライドしつつ回動する。また、このとき第1ギヤ65は反時計回りに回転するために、第5ピン69はギヤ溝78部内を反時計回り方向にスライドする。
【0084】
ところで、ベゼル2が開位置に配置されフィン部材100がフィン開位置に配置されているときには、図13に示すように、第1ギヤ65の第5ピン69はギヤ溝78の時計回り方向の端部に配置されている。このため、ギヤ付勢手段77には付勢力が蓄積されたままである。したがって第2ギヤ76は、ギヤ付勢手段77の付勢力によって、第1ギヤ65と同期して反時計回りに回動する。このため、フィン部材駆動手段80は上流側に向けてスライドしつつ回動し、フィン部材100を上流側に向けて引っ張る。このため、フィン部材100は図10および図11に示すフィン閉位置に向けて回動する。
【0085】
なお、図11に示すように、フィン部材100がフィン閉位置にまで回動した直後には、ベゼル2は閉位置にまでは回動していない。このとき第5ピン69は、ギヤ溝78の時計回りの端部に配置されている。したがって、フィン部材100がフィン閉位置にまで回動した後に、ベゼル2はギヤ溝78の分だけさらに反時計回りに回動して図10に示す閉位置に配置される。
【0086】
実施例4のホルダ装置は、実施例1のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例4のホルダ装置もまた、レジスタの車室内側部を傾斜形状にしても、レジスタの一般部(実施例4においてはリテーナ一般部11)と容器95との干渉を抑制できる。また、フィン部材100の裏面によって容器95の底面を保持できるため、配設の自由度が高まる利点もある。
【0087】
さらに、ベゼル2が閉位置に配置されフィン部材100がフィン閉位置に配置されている状態でベゼル2およびフィン部材100を開動作させる際には、先ずベゼル2が開動作を開始し、次いでフィン部材100が開動作を開始する。また、ベゼル2を閉位置に配置しフィン部材100をフィン閉位置に配置する際には、先ずフィン部材100がフィン閉位置に配置され、次いでベゼル2が閉位置に配置される。このため、開動作時および閉動作時にもベゼル2とフィン部材100とが干渉しない利点もある。
【符号の説明】
【0088】
1:リテーナ 2:ベゼル 3:ベゼル保持手段
4:枢支部駆動手段 10:リテーナ流路部 11:リテーナ一般部
12:保持枠 13:フィン 20:吹き出し開口部
30:ベゼル枢支部 31:第1枢支基部 41:第2枢支基部
40:入力枢支部 80:フィン部材駆動手段 81:フィン入力枢支部
100:フィン部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の容器ホルダ装置に関し、詳しくは、レジスタに一体化された容器ホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器ホルダ装置は、ペットボトルや缶、カップなどの容器を保持するための装置である。一方、レジスタは、空調装置に接続されて空調用空気の流通方向を調整するための装置である。近年、容器ホルダ装置をレジスタに一体化する技術が提案されている。
【0003】
容器ホルダ装置をレジスタに一体化することで、容器および容器に収容されている飲料等を、空調用空気によって冷却あるいは加温することができる。また車両用のレジスタは、座席の前方や側方等、乗員にとって手を伸ばし易い位置に配設するのが一般的である。このため、容器ホルダ装置をレジスタに一体化すれば、乗員が容器を容易に手に取ることができる。以下、レジスタに一体化された容器ホルダ装置をレジスタ一体型容器ホルダ装置と呼ぶ。
【0004】
レジスタ一体型容器ホルダ装置の一種に、レジスタのベゼルによって容器の側面を支持するものがある(例えば、特許文献1参照)。ベゼルをリテーナに対して回動させ車室内に向けて展開させれば、ベゼルの内部に容器を挿通できる。そして、ベゼルの内周面によって容器の側面を支持できる。
【0005】
ところで、レジスタは一般に車両のインストルメントパネルに取り付けられる。近年では、インストルメントパネルを水平方向に対して傾斜する方向に配設する場合が多い。この場合、レジスタの車室内側部もまたインストルメントパネルの傾斜方向に沿った傾斜形状にする必要がある。レジスタの車室内側部を傾斜形状にする場合、ベゼルを車室内に向けて展開させても、ベゼルを除くレジスタ(以下、レジスタの一般部と呼ぶ)の一部とベゼルとが上下方向に重なる。このため、容器をベゼルに挿通しても、容器の底がレジスタの一般部に干渉して、容器を安定に保持できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−99575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にしても、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制できるレジスタ一体型容器ホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置は、空調用空気の流路の少なくとも一部を構成する貫通孔状のリテーナ流路部10を内部に持つ筒状のリテーナ1と、
該リテーナ1の下流側に配置され、貫通孔状の吹き出し開口部20を内部に持つ筒状をなし、少なくとも一部が車室内に露出しているベゼル2と、
該ベゼル2を枢支するベゼル枢支部30を持つとともに該リテーナ1に対して変位可能に取り付けられているベゼル保持手段3と、
該ベゼル2と該ベゼル保持手段3との少なくとも一方に接続されている枢支部駆動手段4と、を持ち、
該ベゼル2は、該リテーナ1と同軸的に配置される閉位置と、該車室内に向けて展開するとともに該吹き出し開口部20を上下方向に向ける開位置と、の間を該ベゼル枢支部30を中心として回動し、
該枢支部駆動手段4は、該ベゼル2の回動に伴って状態変化し、該ベゼル2が該閉位置から該開位置に向けて回動する際に該ベゼル枢支部30を該車室内側に向けて変位させることを特徴とする。
【0009】
本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置は、下記の構成(1)〜(3)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(3)の複数を備えるのがより好ましい。
【0010】
(1)前記枢支部駆動手段4は、前記ベゼル2を枢支する入力枢支部40を持つ。
【0011】
(2)前記ベゼル保持手段3は、前記リテーナ1に枢支される第1枢支基部31と前記ベゼル枢支部30とを持つアーム状をなし、
前記枢支部駆動手段4は、前記リテーナ1に枢支される第2枢支基部41と前記ベゼル2を枢支する入力枢支部40とを持つアーム状をなす。
【0012】
(3)前記リテーナ1の下流側部分からなり前記リテーナ1の上流側部分と別体の保持枠12と、該保持枠12に保持されている複数のフィン13と、を持ち、該リテーナ1の上流側部分に枢支されているフィン部材100と、
該フィン部材100を枢支するフィン入力枢支部81を持つとともに前記リテーナ1に対して変位可能に取り付けられているフィン部材駆動手段80と、を持ち、
該フィン部材駆動手段80は、前記枢支部駆動手段4に接続され、前記枢支部駆動手段4の状態変化に伴って変位し、
該フィン部材100は、
前記ベゼル2よりも前記流路の上流側に配置され該保持枠12が前記リテーナ流路部10の一部を構成するフィン閉位置と、前記車室内に向けて展開するとともに該フィン13閉位置において空気流路上流側に配置される裏面を上方に向けるフィン開位置と、の間を該フィン入力枢支部81を中心として回動し、
前記枢支部駆動手段4の状態変化と該フィン部材駆動手段80の変位とに従動して、前記ベゼル2が前記閉位置に配置されているときに該フィン閉位置に配置されるとともに前記ベゼル2が前記開位置に配置されているときに該フィン開位置に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置は、ベゼルの回動に伴ってベゼル保持手段のベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させる。このため、ベゼルをレジスタの一般部よりも車室内側に配置することができ、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制できる。よって、本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置によると、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にしても、レジスタの一般部と容器との干渉を抑制しつつ、ベゼルによって容器の側面を安定に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図2】実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図3】実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図4】実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図5】実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図6】実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図7】実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図8】実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図9】実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図10】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図11】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図12】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図13】実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図14】実施例4のホルダ装置において枢支部駆動手段の一部を構成するギヤ部材を模式的に表す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のレジスタ一体型容器ホルダ装置(以下、単にホルダ装置と略する)におけるベゼル保持手段は、リテーナに対して変位可能に取り付けられている。例えば、ベゼル保持手段は、リテーナに対して回動可能に取り付けられていても良いし、リテーナに対してスライド可能に取り付けられていても良い。
【0016】
枢支部駆動手段は、閉位置から開位置へのベゼルの回動に伴って状態変化し、ベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させれば良く、ベゼルとベゼル保持手段との一方にのみ接続されても良いし、ベゼルとベゼル保持手段との両方に接続されても良い。例えば枢支部駆動手段は、ベゼルに接続され、ベゼルの回動に伴って状態変化するとともにベゼルを車室内側に向けて変位させることで、ベゼルを枢支するベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させても良い。或いは、枢支部駆動手段は、ベゼル枢支部に接続され、ベゼルの回動に伴うベゼル枢支部の回動に伴って状態変化し、ベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させても良い。また、その他の方法でベゼルの回動を受け、ベゼル枢支部を車室内側に向けて変位させても良い。さらに、枢支部駆動手段は、ベゼルの回動に伴って状態変化可能であれば良い。例えば、枢支部駆動手段全体が一体に回動する場合には、枢支部駆動手段全体がベゼルの回動に伴って一体に回動しても良い。或いは、枢支部駆動手段の一部のみが変位し、他の部分は変位しなくても良い。
【0017】
本発明のホルダ装置におけるホルダは、開位置において吹き出し開口部を上下方向に向ける。換言すると、開位置において、ベゼルにおける吹き出し開口部の一端部は他端部(一端部に背向する端部)よりも上側に配置される。したがって、本発明でいう上下方向とは、水平方向以外の方向を含む概念である。例えばベゼルは、開位置において、吹き出し開口部を垂直方向に向けても良いし、斜め方向に向けても良い。なお、リテーナの一般部への容器の干渉を避けるためには、開位置において、吹き出し開口部は、垂直方向に向くか、または、一端部(吹き出し開口部のなかで開位置において上側に配置される端部)が他端部よりも車室内側(流路下流側)に配置されるような斜め方向を向くのが好ましい。また、ここでいう一端部は、閉位置において車室内側(流路下流側)に配置される端部であっても良いし、閉位置において車室外側(流路上流側)に配置される端部であっても良い。
【0018】
以下、本発明のホルダ装置を図面を基に説明する。
【0019】
(実施例1)
実施例1のホルダ装置は、自動車のインストルメントパネルに配設される。実施例1のホルダ装置は上記(1)および(2)を備える。実施例1のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図1〜図3に示す。なお、図1はベゼルが閉位置に配置されている様子を表し、図2はベゼルが閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図3はベゼルが開位置に配置されている様子を表す。以下、実施例1において上、下、上流側(空気流路上流側)、下流側(空気流路下流側)とは、図1に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図1〜図3における時計回り、反時計回りを指す。
【0020】
図1に示すように、実施例1のホルダ装置は、リテーナ1と、ベゼル2と、ベゼル保持手段3と、枢支部駆動手段4とを持つ。
【0021】
リテーナ1は、貫通孔状をなすリテーナ流路部10を内部に持つ略円筒状をなす。詳しくは、リテーナ1は空調用空気の流路上流側(以下、単に上流側と略す)の部分であるリテーナ一般部11と、空調用空気の流路下流側(以下、単に下流側と略す)の部分である保持枠12と、を持つ。保持枠12は、リテーナ一般部11と別体形成され、リテーナ一般部11の下流側に取り付けられている。保持枠12はリテーナ一般部11と同軸的に配置され、リテーナ1の周方向に回動可能である。保持枠12の内部には、2つのフィン13が枢支されている。各フィン13は、空調用空気の流路(以下、単に流路と略す)を閉じる閉位置(図1〜図3)と、流路を開く開位置(図略)との間を回動する。また、各フィン13は保持枠12とともにリテーナ1の周方向に回動する。
【0022】
リテーナ1の軸方向一端部(上流側端部)は、空調装置(図略)に接続されている。リテーナ1の軸方向他端部(下流側端部)は車室内に露出している。したがって、リテーナ流路部10は、空調用空気の流路の一部を構成する。リテーナ1の外壁面の上側部分には、突起状をなす第1リテーナ接続部14が設けられている。また、リテーナ1の外壁面の下側部分には、突起状をなす第2リテーナ接続部15が設けられている。
【0023】
ベゼル2は、貫通孔状の吹き出し開口部20を内部に持つ短円筒状をなす。ベゼル2の外径はリテーナ1の外径よりも大きく、ベゼル2の内径はリテーナ1の内径とほぼ同じである。ベゼル2の外壁面のなかで、図1に示す閉位置における上側には、突起状をなす第1ベゼル接続部21が設けられている。また、ベゼル2の外壁面のなかで、図1に示す閉位置において第1ベゼル接続部21よりも下側に配置される部分には、突起状をなす第2ベゼル接続部22が設けられている。図1に示す閉位置において、第1ベゼル接続部21は第1リテーナ接続部14よりも上側に位置し、第2ベゼル接続部22は第1リテーナ接続部14及び第2リテーナ接続部15よりも上側に位置する。
【0024】
ベゼル保持手段3は、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第1枢支基部31とを持つ。詳しくは、ベゼル枢支部30はベゼル保持手段3の一端部に形成され、孔状をなす。第1枢支基部31はベゼル保持手段3の他端部に形成され、孔状をなす。ベゼル枢支部30には第1ベゼル接続部21が挿入されている。第1枢支基部31には第1リテーナ接続部14が挿入されている。したがって、ベゼル保持手段3はリテーナ1に枢支されるとともにベゼル2を枢支している。換言すると、ベゼル保持手段3はリテーナ1に対して回動(変位)可能に取り付けられ、かつベゼル2を枢支している。
【0025】
枢支部駆動手段4は、アーム状をなし、入力枢支部40と第2枢支基部41とを持つ。詳しくは、入力枢支部40は枢支部駆動手段4の一端側に形成され、孔状をなす。第2枢支基部41は枢支部駆動手段4の他端側に形成され、孔状をなす。入力枢支部40には第2ベゼル接続部22が挿入されている。第2枢支基部41には第2リテーナ接続部15が挿入されている。したがって、枢支部駆動手段4はリテーナ1に枢支されるとともにベゼル2を枢支している。換言すると、枢支部駆動手段4はリテーナ1に対して回動(状態変化)可能に取り付けられ、かつ、ベゼル2を枢支している。
【0026】
実施例1のホルダ装置は、図1〜3に示すように、傾斜形状のインストルメントパネル9に取り付けられている。詳しくは、リテーナ1のほぼ全体はインストルメントパネル9に設けられている開口91よりも車室外側(上流側)に配置されている。リテーナ1における空調用空気流路の下流側(以下、単に下流側と略す)の端部は、車室内に露出している。リテーナ1における下流側の端部は、インストルメントパネル9の傾斜に応じて傾斜している。また、実施例1のホルダ装置の下側かつ車室内側には、インストルメントパネル9の一部が段差状に延在している。この段差状部分92は、車室内側に向けてやや下方に傾斜している。
【0027】
実施例1のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0028】
先ず、図1に示す閉位置において、ベゼル2はリテーナ1と同軸的に配置され、リテーナ1における下流側端部の周縁部を車室内側から覆っている。ベゼル2のほぼ全体は、インストルメントパネル9の開口91よりも下流側に配置され車室内に露出している。したがって、ベゼル2の吹き出し開口部20は、レジスタの吹き出し開口を構成している。ベゼル2の第1ベゼル接続部21はリテーナ1の第1リテーナ接続部14よりも上側に位置し、ベゼル2の第2ベゼル接続部22はリテーナ1の第1リテーナ接続部14よりも上側かつベゼル2の第1ベゼル接続部21よりも下方に位置している。
【0029】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、ベゼル2はベゼル枢支部30を中心として反時計回りに回動する(図2)。ところで、第2ベゼル接続部22および入力枢支部40はベゼル枢支部30および第1ベゼル接続部21よりも下方に配置されている。したがってこのときベゼル2は単に回動するのではなく、枢支部駆動手段4によって下方に引っ張られるとともに、枢支部駆動手段4の回動(第2枢支基部41を中心とする時計回りの回動)に伴って、車室内側にも引っ張られる。したがって、ベゼル2に設けられている第1ベゼル接続部21、および、第1ベゼル接続部21を枢支しているベゼル枢支部30もまた、下方かつ車室内側に向けて引っ張られる。このため、ベゼル保持手段3は第1枢支基部31を中心として時計回りに回動し、この回動に伴ってベゼル枢支部30は下方かつ車室内側に向けて変位する。よって、ベゼル2は下方かつ車室内側に向けてスライドしつつ回動する。
【0030】
ユーザーがベゼル2の下端部を更に上方向に持ち上げると、図3に示すように、ベゼル保持手段3がさらに時計回りに回動し、ベゼル枢支部30がさらに下方かつ車室内側に向けて変位する。また、枢支部駆動手段4がさらに時計回りに回動し、入力枢支部40がさらに下方かつ車室内側に向けて変位する。このためベゼル2は、リテーナ1に対して回動しつつスライドし、インストルメントパネル9の段差状部分92と略平行に配置される開位置に展開される。このときベゼル2は、吹き出し開口部20を上下方向(詳しくは、車室内側に向けてやや下向する斜め方向)に向ける。したがって、このときインストルメントパネル9の段差状部分92に載置した容器95の側面96を、ベゼル2の内周面で保持できる。
【0031】
ベゼル2が開位置に配置されているときにユーザーがベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、枢支部駆動手段4が反時計回りに回動し、かつ、ベゼル保持手段3が反時計回りに回動する。すると、ベゼル枢支部30が上流側に向けて変位する。このため、ベゼル2はリテーナ1に対して回動しつつスライドして図1に示す閉位置に配置される。
【0032】
実施例1のホルダ装置によると、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例1のホルダ装置は、容器95の側面96を保持できる位置にベゼル2を配置できる。よって、実施例1のホルダ装置によると、レジスタの車室内側部を傾斜形状にしても、レジスタの一般部(実施例1においては保持枠12およびフィン13)と容器95との干渉を抑制できる。
【0033】
また、実施例1のホルダ装置におけるベゼル2は、閉位置から開位置に向けて回動する際にやや下降するため、高さの低い容器95の側面96を保持できる利点もある。
【0034】
(実施例2)
実施例2のホルダ装置は、ベゼル保持手段の形状および枢支部駆動手段の形状以外は、実施例1のホルダ装置とほぼ同じものである。実施例2のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図4〜図6に示す。なお、図4はベゼル2が閉位置に配置されている様子を表し、図5はベゼル2が閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図6はベゼル2が開位置に配置されている様子を表す。以下、実施例2において上、下、上流側、下流側とは、図4に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図4〜図6における時計回り、反時計回りを指す。
【0035】
実施例2のホルダ装置におけるリテーナ1は、突起状をなす第3リテーナ接続部16と、突起状をなす第1ピン17とを持つ。第3リテーナ接続部16は、リテーナ1の上側部分に配置されている。第1ピン17は、リテーナ1の上流側部分に配置されている。なお、第1ピン17は、第3リテーナ接続部16よりも下側に配置されている。
【0036】
実施例2のホルダ装置におけるベゼル保持手段3は、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第1溝部32と第2ピン33とを持つ。ベゼル枢支部30はベゼル保持手段3の一端部に形成され、孔状をなす。第1溝部32は、ベゼル保持手段3の略中央部から他端部側に向けて延びる長孔状をなす。第2ピン33は、突起状をなし、第1溝部32の下側に配置されている。ベゼル枢支部30にはベゼル2の第1ベゼル接続部21が挿入されている。第1溝部32には第1ピン17が挿入されている。したがって、ベゼル保持手段3はリテーナ1にスライド(変位)可能に保持され、かつ、ベゼル2を枢支している。また、ベゼル保持手段3のスライド方向は、第1ピン17と第1溝部32とによって規制されている。
【0037】
枢支部駆動手段4は、第1リンク50と、第2リンク55と、リンク付勢手段60とからなる。
【0038】
第1リンク50はアーム状をなし、入力枢支部40と第1駆動接続部51とを持つ。入力枢支部40は第1リンク50の一端部に形成され、孔状をなす。第1駆動接続部51は第1リンク50の他端側に形成され、孔状をなす。入力枢支部40にはベゼル2の第2ベゼル接続部22が挿入されている。したがって、第1リンク50はベゼル2を枢支している。
【0039】
第2リンク55はアーム状をなし、第2駆動接続部56と駆動第1枢支基部31と第2溝部57とを持つ。第2駆動接続部56は第2リンク55の一端部に形成され、突起状をなす。駆動第1枢支基部31は第2リンク55の他端部に形成され、孔状をなす。第2溝部57は第2リンク55の略中央部に形成され、第2リンク55の長手方向に延びる長孔状をなす。第2駆動接続部56は第1リンク50の第1駆動接続部51に挿入されている。駆動第1枢支基部31にはリテーナ1の第3リテーナ接続部16が挿入されている。第2溝部57にはベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入されている。したがって、第2リンク55は第1リンク50に枢支され、かつ、リテーナ1に枢支されている。なお、ベゼル保持手段3と第2リンク55との相対位置は、第2ピン33と第2溝部57とによって規制されている。
【0040】
リンク付勢手段60は、ターンオーバースプリングからなる。リンク付勢手段60の一端部はリテーナ1に枢支され、他端部は第2リンク55に枢支されている。リンク付勢手段60は、第2リンク55を図4に示す位置と図6に示す位置とに付勢する。また、リンク付勢手段60は、第2リンク55を介してベゼル2を閉位置(図4)と開位置(図6)とに付勢する。
【0041】
実施例2のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0042】
先ず、図4に示す閉位置において、ベゼル2の第2ベゼル接続部22は第1ベゼル接続部21より下方に位置している。第1リンク50は第1駆動接続部51を上流側に向け入力枢支部40を下流側(車室内側)に向けている。第2リンク55は第2駆動接続部56を上流側かつ下側に向け、駆動第1枢支基部31を下流側かつ上側に向けている。
【0043】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、ベゼル2はベゼル枢支部30を中心として反時計回りに回動する。このとき第1リンク50は、ベゼル2の回動に伴って車室内側に引っ張られ、車室内側に向けてスライドしつつ第1駆動接続部51を中心として反時計回りに回動する。すると、第1リンク50の第1駆動接続部51に枢支されている第2リンク55の第2駆動接続部56が車室内側に引っ張られる。したがって第2リンク55は、車室内側に引っ張られ、駆動第1枢支基部31を中心として反時計回りに回動する。第2リンク55の第2溝部57には、ベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入されている。このため、第2ピン33は第2溝部57内をスライドしつつ、第2リンク55によって車室内側に引っ張られる。第2ピン33の移動に伴って、ベゼル保持手段3もまた車室内側に引っ張られる。よって、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動する(図5)。
【0044】
ベゼル2が図5に示す位置にまで移動すると、リンク付勢手段60には付勢力が蓄積される。すると、リンク付勢手段60は、付勢力を放出しつつ図6に示す位置にまで回動する。このときリンク付勢手段60は、第2リンク55を図6に示す位置に付勢する。リンク付勢手段60によって付勢された第2リンク55は、反時計回りに回動する。すると、第1リンク50は第2リンク55によって車室内側に押し出される。ベゼル保持手段3もまた、第2リンク55によって車室内側に押し出される。よって、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動し、インストルメントパネル9の段差状部分92と略平行に配置される開位置に展開される。このときベゼル2は、吹き出し開口部20を上下方向(詳しくは、略垂直方向)に向ける。したがって、このときインストルメントパネル9の段差状部分92に載置した容器95の側面96を、ベゼル2の内周面で保持できる。
【0045】
ベゼル2が開位置に配置されているときにユーザーがベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、第1リンク50が時計回りに回動しつつ上流側に向けて押し込まれ、第2リンク55が時計回りに回動し、ベゼル保持手段3が上流側にスライドする。このためベゼル枢支部30が上流側に変位し、ベゼル2は上流側に向けてスライドしつつ回動する。ベゼル2を所定角度以上回動させると、リンク付勢手段60に充分な付勢力が蓄積される。するとリンク付勢手段60は、図4に示す位置にまで回動するとともに第2リンク55の時計回りの回動を付勢する。このためベゼル2は、リンク付勢手段60によって間接的に付勢され、図4に示す閉位置にスライドしつつ回動する。
【0046】
実施例2のホルダ装置においては、実施例1のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例2のホルダ装置もまた、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にでき、かつ、レジスタの一般部(実施例2においては保持枠12およびフィン13)と容器95との干渉を抑制できる。
【0047】
また、実施例2のホルダ装置におけるベゼル2は、閉位置から開位置に回動する際に殆ど下降しないため、高さの高い容器95の側面96を安定して保持できる利点もある。
【0048】
また、実施例2のホルダ装置は、リンク付勢手段60によってベゼル2の回動を付勢している。このため実施例のホルダ装置はベゼル2の開閉操作時におけるユーザーの負担を軽減できる。なお、実施例1のホルダ装置および後述する実施例3〜実施例4のホルダ装置に同様のリンク付勢手段60を設けても良い。この場合、リンク付勢手段60の一端部をリテーナ1に直接的または間接的に枢支し、リンク付勢手段60の他端部を枢支部駆動手段4におけるリンク付勢手段60以外の部分、ベゼル2、およびベゼル保持手段3の何れかに枢支すれば良い。この場合にも、実施例2のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開閉操作時におけるユーザーの負担を軽減できる。
【0049】
(実施例3)
実施例3のホルダ装置は、ベゼル保持手段の形状および枢支部駆動手段の形状以外は、実施例1のホルダ装置とほぼ同じものである。実施例3のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図7〜図9に示す。なお、図7はベゼル2が閉位置に配置されている様子を表し、図8はベゼル2が閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図9はベゼル2が開位置に配置されている様子を表す。以下、実施例3において上、下、上流側、下流側とは、図7に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図7〜図9における時計回り、反時計回りを指す。
【0050】
実施例3のホルダ装置におけるリテーナ1は、2つのガイド溝部18を持つ。ガイド溝部18は、リテーナ1の上側部分に配置されている。
【0051】
実施例3のホルダ装置におけるベゼル保持手段3は、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第2ピン33とを持つ。ベゼル枢支部30はベゼル保持手段3の一端部に形成され、孔状をなす。第2ピン33は、突起状をなし、ベゼル保持手段3の略中央部に配置されている。ベゼル枢支部30にはベゼル2の第1ベゼル接続部21が挿入されている。また、ベゼル保持手段3はリテーナ1のガイド溝部18に挿通されている。したがって、ベゼル保持手段3はリテーナ1にスライド(変位)可能に保持され、かつ、ベゼル2を枢支している。また、ベゼル保持手段3のスライド方向は、ガイド溝部18によって規制されている。
【0052】
枢支部駆動手段4は、第1リンク50と、第1ギヤ65と、第2リンク55と、位置規制手段70とからなる。
【0053】
第1リンク50はアーム状をなし、入力枢支部40とラック52とを持つ。入力枢支部40は第1リンク50の一端部に形成され、孔状をなす。ラック52は第1リンク50の長手方向に向けて延設されている。入力枢支部40にはベゼル2の第2ベゼル接続部22が挿入されている。したがって、第1リンク50はベゼル2を枢支している。
【0054】
第1ギヤ65は、第1リンク50のラック52に噛合する歯列66と、第3ピン67と、第1回転軸68とを持つ。第1回転軸68はリテーナ1に軸支されている。第1ギヤ65はラックアンドピニオン機構のピニオンとして機能する。第3ピン67は、突起状をなし、第1ギヤ65の歯列66と第1回転軸68との間に配置されている。
【0055】
第2リンク55はアーム状をなし、突起状をなす駆動第1枢支基部31と、第2溝部57と、第3溝部58とを持つ。駆動第1枢支基部31は第2リンク55の長手方向の略中央部に配置され、リテーナ1に枢支されている。第2溝部57は第2リンク55の一端部に形成され、第2リンク55の長手方向に延びる長孔状をなす。第2溝部57には、ベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入されている。第3溝部58は第2リンク55の他端側に形成され、第2リンク55の長手方向に延びる長孔状をなす。第3溝部58には第1ギヤ65の第3ピン67が挿入されている。したがって、第2リンク55はリテーナ1と、第1ギヤ65と、ベゼル保持手段3とに枢支されている。なお、ベゼル保持手段3と第2リンク55との相対位置は、第2ピン33と第2溝部57とによって規制されている。第1ギヤ65と第2リンク55との相対位置は第3ピン67と第3溝部58とによって規制されている。
【0056】
位置規制手段70は、三角形の規制開口71を持つ枠状をなす。規制開口71の2つの内角に相当する部分には、それぞれ、略円柱状をなす第4ピン72の一端部が固定されている。2つの第4ピン72の他端部は、第1リンク50の上端面(ラック52と逆側の端面)に当接している。2つの第4ピン72は、第2リンク55を挟んで上流側と下流側とにそれぞれ配置されている。各第4ピン72は第1リンク50に対して摺動可能である。規制開口71の他の1つの内角に相当する部分には、第1ギヤ65の第1回転軸68が挿入されている。位置規制手段70は第1回転軸68を中心として回動可能である。したがって、位置規制手段70は、第1ギヤ65に対する第1リンク50の位置を規制して、第1リンク50のラック52と第1ギヤ65の歯列66との噛合を維持する。
【0057】
実施例3のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0058】
先ず、図7に示す閉位置において、ベゼル2の第2ベゼル接続部22は第1ベゼル接続部21より下方に位置している。第1リンク50はラック52を下側に向け、入力枢支部40を下流側(車室内側)に向けている。第2リンク55は第2溝部57を上流側かつ上側に向け、第3溝部58を下流側かつ下側に向けている。第1ギヤ65の第3ピン67は第3溝の略中央部に配置され、ベゼル保持手段3の第2ピン33は第2溝部57の上側部分に配置されている。
【0059】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、ベゼル2はベゼル枢支部30を中心として反時計回りに回動する(図8)。このとき、第1リンク50は、ベゼル2の回動に伴って車室内側かつ上側に引っ張られ、位置規制手段70によって位置規制されて、入力枢支部40を中心として反時計回りに相対的に回動する。すると、第1リンク50のラック52と噛合している第1ギヤ65が時計回りに回転し、第1ギヤ65の第3ピン67もまた第1回転軸68を中心として時計回りに回動する。すると、第3ピン67が第2リンク55の第3溝部58内を下方に向けてスライドするとともに、第2リンク55を上流側に向けて引っ張る。このため第2リンク55は駆動第1枢支基部31を中心として時計回りに回動する。すると、第2リンク55の第2溝部57が第2ピン33を車室内側に引っ張り、ベゼル保持手段3は車室内側に向けてスライドする。このため、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動する(図8)。
【0060】
ユーザーがベゼル2をさらに上方に持ち上げると、第1リンク50がさらに車室内側に引っ張られるとともに反時計回りに回動し、第1ギヤ65が更に時計回りに回転し、第2リンク55がさらに時計回りに回動して、ベゼル保持手段3がさらに車室内側にスライドする。よって、ベゼル枢支部30はさらに車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動して、インストルメントパネル9の段差状部分92と略平行に配置される開位置に展開される(図9)。したがって、このときインストルメントパネル9の段差状部分92に載置した容器95の側面96を、ベゼル2の内周面で保持できる。
【0061】
ベゼル2が開位置に配置されているときにユーザーがベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、第1リンク50が上流側に向けて押し込まれ、第1ギヤ65が反時計回りに回転し、第2リンク55が反時計回りに回動する。このため、ベゼル保持手段3は上流側に向けてスライドし、ベゼル枢支部30は上流側に向けて変位して、ベゼル2が図7に示す閉位置にスライドしつつ回動する。
【0062】
実施例3のホルダ装置においては、実施例1のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例3のホルダ装置もまた、レジスタの車室内側部分を傾斜形状にでき、かつ、レジスタの一般部(実施例3においては保持枠12およびフィン13)と容器95との干渉を抑制できる。
【0063】
なお、ベゼル2が閉位置に配置されているときの第2リンク55の駆動第1枢支基部31と第3ピン67との距離を、ベゼル2が開位置に配置されているときの第2リンク55の回動中心と第3ピン67との距離よりも大きくする場合には、開動作初期におけるベゼル2の変位量を開動作後期におけるベゼル2の変位量よりも大きくできる。この場合には、ホルダ装置の動作に高級感を付与できる利点がある。
【0064】
(実施例4)
実施例4のホルダ装置は上記(3)を備える。実施例4のホルダ装置は、フィン保持手段と第2位置規制手段とを持つこと、フィン部材がリテーナ一般部に枢支されていること、および枢支部駆動手段の形状以外は、実施例3のホルダ装置とほぼ同じものである。実施例4のホルダ装置を側面側から見た様子を模式的に表す説明図を図10〜図13に示す。なお、図10はベゼルが閉位置に配置されている様子を表し、図11および図12はベゼルが閉位置と開位置との間の位置に配置されている様子を表し、図13はベゼルが開位置に配置されている様子を表す。実施例4のホルダ装置において枢支部駆動手段の一部を構成するギヤ部材を模式的に表す分解斜視図を図14に示す。以下、実施例4において上、下、上流側、下流側とは、図10に示す上、下、上流側、下流側を指す。時計回り、反時計回りとは、図10〜図13における時計回り、反時計回りを指す。
【0065】
実施例4のホルダ装置におけるリテーナ1は、ガイド溝部18と、一般枢支アーム101と、枠枢支アーム105とを持つ。ガイド溝部18は実施例3のホルダ装置におけるガイド溝部18と同様の形状をなす。
【0066】
一般枢支アーム101は略L字状をなす。図12に示すように、一般枢支アーム101は、リテーナ一般部11の下側かつ下流側の部分から下方に延びる第1基部102と、第1基部102の下端に一体化され下流側(車室内側)に向けて延びる第1延出部103とを持つ。第1延出部103の下流側端部は、リテーナ一般部11におけるリテーナ流路部10の下流側端部よりもさらに下流側に延びている。
【0067】
枠枢支アーム105は略L字状をなす。枠枢支アーム105は、保持枠12の下側かつ下流側の部分から下方に延びる第2基部106と、第2基部106の下端に一体化され下流側に向けて延びる第2延出部107とを持つ。第2延出部107の下流側端部は、第1延出部103の下流側端部に枢支されている。したがって、枠枢支アーム105は一般枢支アーム101に対して回動可能である。よって、枠枢支アーム105に一体化されている保持枠12およびフィン13(すなわちフィン部材100)は、一般枢支アーム101に一体化されているリテーナ一般部11に対して回動可能である。さらに、保持枠12は突起状をなすフィン接続部108を持つ。
【0068】
ベゼル保持手段3は、実施例3のホルダ装置におけるベゼル保持手段3と同様に、アーム状をなし、ベゼル枢支部30と第2ピン33とを持ち、リテーナ1(詳しくはリテーナ一般部11)に設けられているガイド溝部18にスライド可能に挿入されている。
【0069】
枢支部駆動手段4は、第1リンク50と、ギヤ部材75と、第2リンク55と、位置規制手段(図略)とからなる。
【0070】
第1リンク50は、実施例3のホルダ装置における第1リンク50と同様に、アーム状をなし、入力枢支部40とラック52とを持つ。入力枢支部40にはベゼル2の第2ベゼル接続部22が挿入され、第1リンク50はベゼル2を枢支している。
【0071】
ギヤ部材75は、図14に示すように、第1ギヤ65と、第2ギヤ76と、ギヤ付勢手段77とを持つ。第2ギヤ76は第1ギヤ65よりもリテーナ1側に配置されている。ギヤ付勢手段77は、第1ギヤ65と第2ギヤ76との間に配置されている。詳しくは、第1ギヤ65は、突起状をなす第5ピン69と、実施例3のホルダ装置における第1ギヤ65と同様の歯列66と、第3ピン67と、第1回転軸68とを持つ。第1回転軸68は、第1ギヤ65の回転中心に一体化され、リテーナ1(リテーナ一般部11)に軸支されている。第5ピン69は第2ギヤ76に向けて突起している。
【0072】
第2ギヤ76は第1ギヤ65と同径であり、第1ギヤ65の第1回転軸68に軸支されている。第2ギヤ76は、第1回転軸68を中心として第1ギヤ65に対して相対的に回転可能である。第2ギヤ76は、第1ギヤ65に向けて開口する箱状をなし、第1回転軸68を中心とする円の円周方向に延びる長孔状のギヤ溝78を持つ。ギヤ溝78には第1ギヤ65の第5ピン69が挿入されている。
【0073】
ギヤ付勢手段77は、コイルバネ状をなし、第2ギヤ76の内部に配置されている。ギヤ付勢手段77には第1回転軸68が挿通されている。また、ギヤ付勢手段77の一端部は第2ギヤ76に固定され、他端部は第1ギヤ65に固定されている。ギヤ付勢手段77は、第2ギヤ76を反時計回りに付勢する。
【0074】
図10に示すように、第2リンク55はアーム状をなし、実施例3の第2リンク55と同様の駆動第1枢支基部31と、第2溝部57と、第3溝部58とを持つ。第2溝部57には、ベゼル保持手段3の第2ピン33が挿入され、第3溝部58には第1ギヤ65の第3ピン67が挿入されている。したがって、第2リンク55はリテーナ1と、第1ギヤ65と、ベゼル保持手段3とに枢支されている。
【0075】
図略の位置規制手段70は、実施例3の位置規制手段70とほぼ同形状であり、第1ギヤ65に対する第1リンク50の位置を規制して、第1リンク50のラック52と第1ギヤ65の歯列66との噛合を維持する。
【0076】
フィン部材駆動手段80は、アーム状をなし、孔状をなすフィン入力枢支部81と第2ラック82とを持つ。フィン入力枢支部81はフィン部材駆動手段80の長手方向の一端部に形成され、第2ラック82はフィン部材駆動手段80の長手方向に延設されている。第2ラック82は、第2ギヤ76の歯列79と噛合する。
【0077】
図略の第2位置規制手段は、実施例3の位置規制手段70とほぼ同形状である。第2位置規制手段における規制開口の1つの内角に相当する部分には、第1回転軸68が挿入されている。第2位置規制手段は、第2ギヤ76に対するフィン部材駆動手段80の位置を規制して、フィン部材駆動手段80の第2ラック82と第2ギヤ76の歯列79との噛合を維持する。
【0078】
実施例4のホルダ装置の動作を以下に説明する。
【0079】
先ず、図10に示す閉位置において、ベゼル2の第2ベゼル接続部22は第1ベゼル接続部21より下側に位置している。第1リンク50はラック52を下側に向け、入力枢支部40を下流側(車室内側)に向けている。第2リンク55は第2溝部57を上流側かつ上側に向け、第3溝部58を下流側かつ下側に向けている。第1ギヤ65の第3ピン67は第3溝部58の略中央部に配置され、ベゼル保持手段3の第2ピン33は第2溝部57の上側部分に配置されている。このとき、フィン部材100は、ベゼル2よりも上流側に配置されている。保持枠12はリテーナ流路部10の一部を構成している。このときのフィン部材100の位置をフィン閉位置と呼ぶ。フィン部材駆動手段80は、第2ラック82を下側に向け、フィン入力枢支部81を下流側(車室内側)に向けている。第5ピン69はギヤ溝78の反時計回り方向の端部に配置されている。
【0080】
ユーザーがベゼル2の下端部を掴み、ベゼル2を上方向に持ち上げると、第1リンク50、第1ギヤ65、第2リンク55、およびベゼル保持手段3は実施例3のホルダ装置における各部材と同様に動作し、ベゼル枢支部30は車室内側に向けて変位し、ベゼル2は車室内側に向けてスライドしつつ回動する(図11)。このとき、第1ギヤ65は時計回りに回転するため、第1ギヤ65の第5ピン69はギヤ溝78内をスライドして、ギヤ溝78の時計回り方向の端部に配置される。このとき第2ギヤ76は回転しない。このためベゼル2は閉位置から開位置に向けて変位するが、フィン部材100は変位しない。したがって、このときベゼル2はフィン部材100よりも車室内側に配置されるとともに、ベゼル2とフィン部材100とが離間する。なお、このときギヤ付勢手段77には付勢力が蓄積される。
【0081】
ユーザーがベゼル2をさらに上方に持ち上げると、図12に示すように、第1リンク50はさらに車室内側にスライドしつつ回動する。第1ギヤ65は時計回りにさらに回転し、第1ギヤ65の第5ピン69は第2ギヤ76のギヤ溝78を時計回りに引っ張る。したがって、第2ギヤ76はギヤ付勢手段77の付勢力に抗して時計回りに回転する。すると、第2ギヤ76と噛合しているフィン部材駆動手段80が車室内側かつ下側に向けてスライドするとともに、第2位置規制手段に位置規制されて、フィン入力枢支部81を中心とする時計回りに相対的に回動する。したがって、フィン入力枢支部81は車室内側かつ下側に変位し、フィン部材100は第2延出部107の下流側端部を中心として時計回りに回動する。したがって、フィン部材100は、裏面110(すなわち、フィン閉位置において上流側に配置される面)を上方に向ける方向に回動しつつ、車室内に向けて展開する。また、このとき第1リンク50、第1ギヤ65、第2リンク55、およびベゼル保持手段3は、実施例3のホルダ装置における各部材と同様に動く。したがって、ベゼル枢支部30は車室内側に向けてさらに変位し、ベゼル2は車室内側に向けてさらに変位する。したがって、このときベゼル2とフィン部材100とは同期しつつ変位する。
【0082】
ユーザーがベゼル2をさらに上方に持ち上げると、図13に示すように、ベゼル枢支部30が車室内側に向けてさらに変位して、ベゼル2は車室内側に向けてさらに変位して開位置に配置される。フィン部材100もまた、車室内側に向けてさらに変位してフィン開位置に配置される(図13)。したがって、このときフィン部材100の裏面(詳しくは、フィン13の裏面)によって容器95の底面97を保持でき、かつ、ベゼル2によって容器95の側面96を保持できる。
【0083】
ユーザーが開位置に配置されているベゼル2の下端部を下方向に引き下げると、ベゼル2の時計回りの回動に伴って、第1リンク50が上流側に向けて押し込まれ、第1ギヤ65が反時計回りに回転し、第2リンク55が反時計回りに回動する。このため、ベゼル保持手段3が上流側に向けてスライドし、ベゼル枢支部30が上流側に向けて変位し、第1リンク50が上流側に向けてスライドしつつ回動して、ベゼル2が図10に示す閉位置に向けてスライドしつつ回動する。また、このとき第1ギヤ65は反時計回りに回転するために、第5ピン69はギヤ溝78部内を反時計回り方向にスライドする。
【0084】
ところで、ベゼル2が開位置に配置されフィン部材100がフィン開位置に配置されているときには、図13に示すように、第1ギヤ65の第5ピン69はギヤ溝78の時計回り方向の端部に配置されている。このため、ギヤ付勢手段77には付勢力が蓄積されたままである。したがって第2ギヤ76は、ギヤ付勢手段77の付勢力によって、第1ギヤ65と同期して反時計回りに回動する。このため、フィン部材駆動手段80は上流側に向けてスライドしつつ回動し、フィン部材100を上流側に向けて引っ張る。このため、フィン部材100は図10および図11に示すフィン閉位置に向けて回動する。
【0085】
なお、図11に示すように、フィン部材100がフィン閉位置にまで回動した直後には、ベゼル2は閉位置にまでは回動していない。このとき第5ピン69は、ギヤ溝78の時計回りの端部に配置されている。したがって、フィン部材100がフィン閉位置にまで回動した後に、ベゼル2はギヤ溝78の分だけさらに反時計回りに回動して図10に示す閉位置に配置される。
【0086】
実施例4のホルダ装置は、実施例1のホルダ装置と同様に、ベゼル2の開位置への回動に伴ってベゼル枢支部30が車室内側に変位する。このため実施例4のホルダ装置もまた、レジスタの車室内側部を傾斜形状にしても、レジスタの一般部(実施例4においてはリテーナ一般部11)と容器95との干渉を抑制できる。また、フィン部材100の裏面によって容器95の底面を保持できるため、配設の自由度が高まる利点もある。
【0087】
さらに、ベゼル2が閉位置に配置されフィン部材100がフィン閉位置に配置されている状態でベゼル2およびフィン部材100を開動作させる際には、先ずベゼル2が開動作を開始し、次いでフィン部材100が開動作を開始する。また、ベゼル2を閉位置に配置しフィン部材100をフィン閉位置に配置する際には、先ずフィン部材100がフィン閉位置に配置され、次いでベゼル2が閉位置に配置される。このため、開動作時および閉動作時にもベゼル2とフィン部材100とが干渉しない利点もある。
【符号の説明】
【0088】
1:リテーナ 2:ベゼル 3:ベゼル保持手段
4:枢支部駆動手段 10:リテーナ流路部 11:リテーナ一般部
12:保持枠 13:フィン 20:吹き出し開口部
30:ベゼル枢支部 31:第1枢支基部 41:第2枢支基部
40:入力枢支部 80:フィン部材駆動手段 81:フィン入力枢支部
100:フィン部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気の流路の少なくとも一部を構成する貫通孔状のリテーナ流路部を内部に持つ筒状のリテーナと、
該リテーナの下流側に配置され、貫通孔状の吹き出し開口部を内部に持つ筒状をなし、少なくとも一部が車室内に露出しているベゼルと、
該ベゼルを枢支するベゼル枢支部を持つとともに該リテーナに対して変位可能に取り付けられているベゼル保持手段と、
該ベゼルと該ベゼル保持手段との少なくとも一方に接続されている枢支部駆動手段と、を持ち、
該ベゼルは、該リテーナと同軸的に配置される閉位置と、該車室内に向けて展開するとともに該吹き出し開口部を上下方向に向ける開位置と、の間を該ベゼル枢支部を中心として回動し、
該枢支部駆動手段は、該ベゼルの回動に伴って状態変化し、該ベゼルが該閉位置から該開位置に向けて回動する際に該ベゼル枢支部を該車室内側に向けて変位させることを特徴とするレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項2】
前記枢支部駆動手段は、前記ベゼルを枢支する入力枢支部を持つ請求項1に記載のレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項3】
前記ベゼル保持手段は、前記リテーナに枢支される第1枢支基部と前記ベゼル枢支部とを持つアーム状をなし、
前記枢支部駆動手段は、前記リテーナに枢支される第2枢支基部と前記ベゼルを枢支する入力枢支部とを持つアーム状をなす請求項1または請求項2に記載のレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項4】
前記リテーナの下流側部分からなり前記リテーナの上流側部分と別体の保持枠と、該保持枠に保持されている複数のフィンと、を持ち、該リテーナの上流側部分に枢支されているフィン部材と、
該フィン部材を枢支するフィン入力枢支部を持つとともに前記リテーナに対して変位可能に取り付けられているフィン部材駆動手段と、を持ち、
該フィン部材駆動手段は、前記枢支部駆動手段に接続され、前記枢支部駆動手段の状態変化に伴って変位し、
該フィン部材は、
前記ベゼルよりも前記流路の上流側に配置され該保持枠が前記リテーナ流路部の一部を構成するフィン閉位置と、前記車室内に向けて展開するとともに該フィン閉位置において空気流路上流側に配置される裏面を上方に向けるフィン開位置と、の間を該フィン入力枢支部を中心として回動し、
前記枢支部駆動手段の状態変化と該フィン部材駆動手段の変位とに従動して、前記ベゼルが前記閉位置に配置されているときに該フィン閉位置に配置されるとともに前記ベゼルが前記開位置に配置されているときに該フィン開位置に配置される請求項1または請求項2に記載のレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項1】
空調用空気の流路の少なくとも一部を構成する貫通孔状のリテーナ流路部を内部に持つ筒状のリテーナと、
該リテーナの下流側に配置され、貫通孔状の吹き出し開口部を内部に持つ筒状をなし、少なくとも一部が車室内に露出しているベゼルと、
該ベゼルを枢支するベゼル枢支部を持つとともに該リテーナに対して変位可能に取り付けられているベゼル保持手段と、
該ベゼルと該ベゼル保持手段との少なくとも一方に接続されている枢支部駆動手段と、を持ち、
該ベゼルは、該リテーナと同軸的に配置される閉位置と、該車室内に向けて展開するとともに該吹き出し開口部を上下方向に向ける開位置と、の間を該ベゼル枢支部を中心として回動し、
該枢支部駆動手段は、該ベゼルの回動に伴って状態変化し、該ベゼルが該閉位置から該開位置に向けて回動する際に該ベゼル枢支部を該車室内側に向けて変位させることを特徴とするレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項2】
前記枢支部駆動手段は、前記ベゼルを枢支する入力枢支部を持つ請求項1に記載のレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項3】
前記ベゼル保持手段は、前記リテーナに枢支される第1枢支基部と前記ベゼル枢支部とを持つアーム状をなし、
前記枢支部駆動手段は、前記リテーナに枢支される第2枢支基部と前記ベゼルを枢支する入力枢支部とを持つアーム状をなす請求項1または請求項2に記載のレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【請求項4】
前記リテーナの下流側部分からなり前記リテーナの上流側部分と別体の保持枠と、該保持枠に保持されている複数のフィンと、を持ち、該リテーナの上流側部分に枢支されているフィン部材と、
該フィン部材を枢支するフィン入力枢支部を持つとともに前記リテーナに対して変位可能に取り付けられているフィン部材駆動手段と、を持ち、
該フィン部材駆動手段は、前記枢支部駆動手段に接続され、前記枢支部駆動手段の状態変化に伴って変位し、
該フィン部材は、
前記ベゼルよりも前記流路の上流側に配置され該保持枠が前記リテーナ流路部の一部を構成するフィン閉位置と、前記車室内に向けて展開するとともに該フィン閉位置において空気流路上流側に配置される裏面を上方に向けるフィン開位置と、の間を該フィン入力枢支部を中心として回動し、
前記枢支部駆動手段の状態変化と該フィン部材駆動手段の変位とに従動して、前記ベゼルが前記閉位置に配置されているときに該フィン閉位置に配置されるとともに前記ベゼルが前記開位置に配置されているときに該フィン開位置に配置される請求項1または請求項2に記載のレジスタ一体型容器ホルダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−264846(P2010−264846A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117137(P2009−117137)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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