説明

レッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シート

【課題】レッグブラケットの周囲に十分な空間が確保されない場合であっても、容易に取り付け可能なレッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シートを提供する。
【解決手段】レッグカバー10は、車体フロアに固定されて着座部を支持する支持体を覆う本体部11と、本体部11の縁端から突出して支持体に係止される第1の係止部12と、第1の係止部12と対向する位置で本体部11の内側に突出して形成され、支持体に係止される第2の係止部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シートに係り、特に周囲に十分な空間が確保されない場合であっても、容易に取り付け可能なレッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートの下方に、シートを前後方向において位置調整するためのシートスライド装置が備えられているものが数多く提案されている。シートスライド装置には、車体フロア側に設けられるロアレールと、ロアレールの上方で摺動するアッパーレールとが備えられており、ロアレールには、車体フロアに固定されるレッグブラケットが取り付けられる。そして、レッグブラケットには、車体フロアとの固定部分が露出しないようにレッグカバーが備えられているのが一般的である。
【0003】
特許文献1には、レッグカバー(特許文献1には「フットカバー」と記載されている)の側面部の内側及び端部の内側にそれぞれ第1の係止部、第2の係止部を備えることにより、レッグブラケットにレッグカバーを取り付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/028535号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示されたレッグカバーは、内側に突出するように形成された第1の係止部及び第2の係止部をレッグブラケットのフランジ部に嵌合させることにより、レッグブラケットに取り付けられる。そして、第1の係止部は、レッグカバーの側面部(ロアレールの延在方向に沿って形成される面)の内側に設けられており、レッグカバーの側面部が、レッグブラケットの側方を覆うように構成されている。
【0006】
このように、側面部の内側において第1の係止部を備えたレッグカバーは、レッグブラケットの幅よりも、さらに第1の係止部の突出した幅の分だけ幅広に形成される。このような構成のレッグブラケットは、レッグブラケット周辺に十分な空間が確保されにくい場合(例えば、レッグブラケットが固定される部分において車体フロアが凹んでいる場合等)には、その取り付けが困難であるという不都合がある。したがって、レッグブラケットの周囲に十分な空間が確保されない場合であっても、容易に取り付け可能なレッグカバーが望まれていた。
【0007】
また、特許文献1のレッグカバーでは、対向する側面部に設けられた第1の係止部もまた対向して配設されている。そして、互いに対向する第1の係止部がレッグブラケットを挟み込むことにより、レッグカバーがレッグブラケットに取り付けられる構成であるが、レッグカバーに上向きの力を加えると、レッグカバーが外れやすくなるという不都合があった。したがって、特に上向きの力を加えた場合、レッグカバーがレッグブラケットから外れるのを抑制し、取り付け強度をさらに向上させる技術が求められていた。
【0008】
さらに、特許文献1のレッグカバーは、レッグブラケットに対する相対位置を決定するため、高さ方向規制面や導入リブ等の構成を備えているが、その構成が複雑であるという不都合があった。したがって、簡単な構成で、レッグブラケットとの相対位置を容易に決定し、容易に取り付けることが可能なレッグカバーが望まれていた。
【0009】
本発明の目的は、レッグブラケットの周囲に十分な空間が確保されない場合であっても、容易に取り付け可能なレッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡単な構成で、レッグブラケットとの相対位置を容易に決定し、容易に取り付けることが可能なレッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シートを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、レッグブラケットに対して強固に取り付け可能なレッグカバー及び該レッグカバーを備えた車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明のレッグカバーによれば、車体フロアに固定されて着座部を支持する支持体を覆う本体部と、該本体部の縁端から突出して前記支持体に係止される第1の係止部と、該第1の係止部と対向する位置で前記本体部の内側に突出して形成され、前記支持体に係止される第2の係止部と、を備えたことにより解決される。
【0011】
このように、本発明のレッグカバーは、車体フロアに固定される支持体(レッグブラケット)を覆うための本体部と、互いに対向する係止部(第1の係止部、第2の係止部)を備えている。そして、一方の係止部(第1の係止部)は、本体部の縁端から突出するように形成されており、さらに、他方の係止部(第2の係止部)は、本体部の周縁よりも内側に突出するように形成されている。したがって、第1の係止部は、レッグブラケットに予め設けられた孔部や凹部に挿入されることにより容易に係止することができる。すなわち、対向して形成される第1の係止部及び第2の係止部は、レッグブラケットを挟み込む必要がないため、第1の係止部の周辺構造を小型化することができる。
また、第2の係止部は、本体部の縁端の内側に突出するように形成されているため、レッグブラケットの本体部の範囲内で第2の係止部を取り付け可能である。したがって、第2の係止部の周辺の構造が大型化することなく、レッグカバーを小型化することができる。
上記のように、一方の係止部(第1の係止部)は本体部の縁端から突出し、他方の係止部(第2の係止部)は本体部の縁端の内側に突出して形成されているため、レッグブラケットの周囲に十分に広い空間が確保されない場合であっても、レッグブラケットに対してレッグカバーを容易に取り付け可能となる。
【0012】
このとき、請求項2のように、前記第1の係止部は、前記支持体に形成された孔部に嵌合されると好適である。
このように、本体部の縁端から突出する第1の係止部を、支持体(レッグブラケット)に形成された孔部に挿入して嵌合させることにより、第1の係止部の周辺の構造が大型化するのを抑制することができる。
また、第1の係止部をレッグブラケットに嵌合させることにより、第1の係止部がレッグブラケットから外れにくくなり、レッグブラケットに対して強固に取り付けることができる。第1の係止部がレッグブラケットに挿入された状態で嵌合するので、特に、レッグカバーに上向きの力が加わった場合であっても、レッグカバーがレッグブラケットから外れるのを抑制することができる。
【0013】
また、請求項3のように、前記第2の係止部は、前記支持体の周縁に設けられたフランジ部に係止されると好適である。
支持体(レッグブラケット)の周縁にフランジ部を形成することにより、レッグブラケットの剛性が向上する。したがって、剛性の向上したレッグブラケットに第2の係止部を係止することにより、第2の係止部をレッグブラケットに対して強固に取り付けることができる。その結果、第2の係止部がレッグブラケットから外れるのを抑制することができる。
【0014】
このとき、請求項4のように、前記第1の係止部及び前記第2の係止部は、可撓性材料によって形成されていると好ましい。
このように、第1の係止部及び第2の係止部を可撓性材料で形成することにより、一方の係止部(第1の係止部)を支持体(レッグブラケット)に挿入した後、第1の係止部及び第2の係止部を撓ませることによって、レッグカバーをレッグブラケットに対して容易に取り付けることができる。また、このとき、第1の係止部及び第2の係止部が弾性変形した際の反発力によってレッグカバーがレッグブラケットに係止される。したがって、レッグカバーをレッグブラケットに対して強固に取り付けることができる。
【0015】
このとき、請求項5のように、前記本体部の内側に突出し、前記本体部と前記支持体の相対位置を規制する位置規制部をさらに有すると好ましい。
このように、本体部の内側に位置規制部を備えることにより、レッグカバーと支持体(レッグブラケット)との相対位置を容易に決定し、レッグカバーを容易に取り付けることが可能となる。
【0016】
さらに、請求項6のように、前記位置規制部は、前記支持体の一部を挟み込むように対向する位置規制面からなると好適である。
このように、支持体(レッグブラケット)の一部を挟み込むように対向する位置規制面を備えることにより、簡単な構成で、レッグカバーと支持体の相対位置を容易に決定することができる。
【0017】
このとき、請求項7のように、前記本体部の周縁に、該本体部から立ち上がるように折り曲げられた補強フランジ部をさらに有すると好ましい。
このように、本体部の周縁に補強フランジ部を備えることにより、レッグカバーの強度を向上させることができる。その結果、支持体(レッグブラケット)に対してレッグカバーを強固に取り付けることができる。
【0018】
また、前記課題は、本発明のレッグカバーを備えた車両用シートによれば、車体フロアに固定されて着座部を支持する支持体と、該支持体を覆うレッグカバーと、を備え、前記支持体は、前記レッグカバーを係止する孔部及びフランジ部を有し、前記レッグカバーは、前記支持体を覆う本体部と、該本体部の縁端から突出して前記孔部に係止される第1の係止部と、該第1の係止部と対向する位置で前記本体部の内側に突出して形成され、前記フランジ部に係止される第2の係止部と、を有すること、により解決される。
【0019】
本発明のレッグカバーを備えた車両用シートでは、車体フロアに固定される支持体(レッグブラケット)に、レッグカバーを係止するための孔部及びフランジ部が形成されている。一方、レッグカバーには、レッグブラケットに備えられた孔部に係止される第1の係止部と、フランジ部に係止される第2の係止部を備えている。
したがって、第1の係止部は、レッグブラケットに設けられた孔部に挿入されることにより容易に係止することができる。すなわち、対向して形成される第1の係止部及び第2の係止部は、レッグブラケットを挟み込む必要がないため、第1の係止部の周辺構造を小型化することができる。さらに、第1の係止部はレッグブラケットに形成された孔部に挿入されて係止されるため、第1の係止部はレッグブラケットにおいて強固に保持される。
また、第2の係止部は、本体部の縁端の内側に突出するように形成されているため、レッグブラケットの本体部の範囲内で第2の係止部を取り付け可能である。したがって、第2の係止部の周辺の構造が大型化することなく、レッグカバーを小型化することができる。さらに、第2の係止部は、レッグブラケットに備えられたフランジ部に係止されるため、レッグカバーをレッグブラケットに対し強固に取り付け可能となる。
上記のように、第1の係止部は本体部の縁端から突出してレッグブラケットの孔部に挿入され、第2の係止部は本体部の縁端の内側に突出して形成されているため、レッグブラケットの周囲に十分に広い空間が確保されない場合であっても、容易に取り付け可能である。
【0020】
このとき、請求項9のように、前記支持体は、上方に備えられる上方平坦部と、該上方平坦部よりも下方に備えられる下方平坦部と、該下方平坦部及び前記上方平坦部とを連結する斜面部と、を有し、前記第1の係止部が係止される前記孔部は、前記斜面部に形成され、該斜面部は、前記フランジ部のうち前記第2の係止部と係止される面の延在方向に対して傾斜して形成されていると好ましい。
支持体(レッグブラケット)には傾斜した斜面部が備えられており、この斜面部に孔部が備えられることにより、斜面部に第1の係止部を係止することができる。そして、この斜面部が、支持体のうち第2の係止部と係止される面の延在方向に対して傾斜して形成されることにより、第1の係止部が係止される斜面部と、フランジ部のうち第2の係止部が係止される面とは、互いに平行とならない。
したがって、レッグカバーをレッグブラケットに取り付ける際、第1の係止部を斜面部に挿入した後、この第1の係止部を中心として、第2の係止部をレッグブラケットのフランジ部に近づけるように回転させることによって、第2の係止部をフランジ部に容易に係止することができる。
さらに、上記構成により、第1の係止部と第2の係止部とは互いに高低差をもって配設されることになるため、第1の係止部及び第2の係止部が高低差なく配設された場合と比較して、レッグブラケットからレッグカバーが外れるのを抑制することができる。すなわち、レッグカバーをレッグブラケットに対して強固に取り付けることができる。
【0021】
このとき、請求項10のように、前記支持体は、前記シートの前後方向に沿って配設され、前記レッグカバーは、前記支持体の前記前後方向の端部に係止され、前記第1の係止部及び前記第2の係止部は、前記本体部の前記前後方向の端部にそれぞれ形成されると好ましい。
このように、互いに対向する第1の係止部及び第2の係止部を、それぞれ前後方向で対向するように配設することにより、レッグカバーは、支持体の前端及び後端で固定される。したがって、レッグカバーを支持体(レッグブラケット)に対して強固に取り付けることが可能となる。
また、レッグカバーがレッグブラケットの側方に突出することなく配設可能であるため、レッグブラケットの周囲、特に側方に十分に広い空間が確保されない場合であっても、容易にレッグカバーを取り付け可能である。
【0022】
さらに、請求項11のように、前記支持体は、前記フランジ部の一部に凹部を有し、前記レッグカバーは、前記凹部と係合し、前記本体部と前記支持体の相対位置を規制する位置規制部を有すると好適である。
このように、支持体(レッグブラケット)は凹部を備えており、その一方で、レッグカバーは、本体部の内側に、凹部と係合する位置規制部を備えている。この構成により、レッグカバーとレッグブラケットとの相対位置を容易に決定し、レッグカバーを容易に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、車両用シートの支持体(レッグブラケット)の周囲に十分に広い空間が確保されない場合であっても、レッグブラケットに対して容易に取り付け可能なレッグカバーを提供することができる。
請求項2の発明によれば、第1の係止部の周辺構造が大型化するのを抑制できると共に、レッグブラケットに対してレッグカバーを強固に取り付けることができる。
請求項3の発明によれば、第2の係止部がレッグブラケットから外れることを抑制し、レッグカバーを強固に取り付けることができる。
請求項4の発明によれば、レッグブラケットに対してレッグカバーを容易に取り付けることができると共に、強固に取り付けることができる。
請求項5の発明によれば、レッグカバーとレッグブラケットとの相対位置を容易に決定することができるため、容易に取り付け可能なレッグカバーを提供することができる。
請求項6の発明によれば、簡単な構成によってレッグカバーとレッグブラケットとの相対位置を容易に決定することができ、レッグカバーを容易に取りつけることができる。
請求項7の発明によれば、レッグカバーの強度を向上させることができるため、レッグブラケットに対してレッグカバーを強固に取り付けることができる。
請求項8の発明によれば、レッグブラケットの周囲に十分に広い空間が確保されない場合であっても、レッグカバーをレッグブラケットに対して容易に取り付け可能である。また、レッグブラケットに対してレッグカバーを強固に取り付けることができる。
請求項9の発明によれば、レッグブラケットに対してレッグカバーを容易に取りつけることができると共に、強固に取り付けることができる。
請求項10の発明によれば、レッグカバーをレッグブラケットに強固に取り付けることができる。また、レッグブラケットの周囲において、十分に広い空間が確保されない場合であっても、容易にレッグカバーを取り付けることができる。
請求項11の発明によれば、レッグカバーとレッグブラケットとの相対位置を容易に決定することができるため、レッグカバーの取付作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るレッグカバーを備えた車両用シートの概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るレッグカバーの表面の概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るレッグカバーの裏面の概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るレッグブラケットの表面の概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るレッグカバー及びレッグブラケットの表面の概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るレッグカバー及びレッグブラケットの裏面の概略斜視図である。
【図7】図5のA−A線に相当する断面図である。
【図8】図5のB−B線に相当する断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るレッグカバーの取り付け動作を説明する説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るレッグカバーの取り付け動作を説明する説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るレッグカバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものをいうものとする。
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、シート幅方向と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味するものである。
【0026】
図1乃至図10は本発明の実施形態に係るもので、図1はレッグカバーを備えた車両用シートの概略斜視図、図2はレッグカバーの表面の概略斜視図、図3はレッグカバーの裏面の概略斜視図、図4はレッグブラケットの表面の概略斜視図、図5はレッグカバー及びレッグブラケットの表面の概略斜視図、図6はレッグカバー及びレッグブラケットの裏面の概略斜視図、図7は図5のA−A線に相当する断面図、図8は図5のB−B線に相当する断面図、図9はレッグカバーの取り付け動作を説明する説明図、図10はレッグカバーの取り付け動作を説明する説明図である。また、図11は、本発明の他の実施形態に係るレッグカバーの底面図である。なお、図中の記号FRは車両前方を示し、記号RRは車両後方を示している。
【0027】
本実施形態において、レッグカバー10は、上述のように、着座部1を支持する支持体(以下、レッグブラケット20)の前端部または後端部を覆うものである。レッグブラケット20の前端部及び後端部には、車両用シートSを車体フロアFに固定するための固定部材40が取り付けられており、レッグカバー10は、この固定部材40が露出しないように保護する役割を果たすものである。
【0028】
<車両用シートの取付構造>
以下では、本発明の車両用シートSが車体フロアFに取り付けられる構造(車両用シートSの取付構造)について、主に図1を参照して概説する。なお、以下では、レッグカバー10がレッグブラケット20の前端部に取り付けられた構成を示すが、本実施形態で説明するレッグカバー10と略同様の構成を備えたレッグカバーが後端部に備えられていてもよいのは勿論である。
【0029】
車体フロアF(図1では省略)上に配設される車両用シートSは、下方において、乗員が着座する部分(すなわち、着座部1)を前後方向に移動可能なシートスライド装置が備えられている。そして、シートスライド装置のさらに下方には、着座部1を支持する支持体として、車体フロアFに固定されるレッグブラケット20が備えられている。より詳細には、レッグブラケット20は、着座部1の下方に配設されるシートスライド装置の一部であるロアレール30の下方に備えられている。なお、ロアレール30は、不図示のアッパレールと共にシートスライド装置を構成する部材である。
【0030】
レッグブラケット20は、車体フロアFから車両用シートSの着座部1が浮いた状態となるように、一方の端部はロアレール30の下面に取り付けられており、他方の端部は車体フロアFに固定されている。したがって、レッグブラケット20は、後で詳述するように、二段に屈曲した形状となっており、金属板に対して板金加工やプレス加工などを施すことによって二段に屈曲した形状に形成される。
【0031】
<レッグカバーの構造>
次に、本発明の特徴的な要素であるレッグカバー10の構成について、主として図2及び図3を参照して説明する。
レッグカバー10は、図2及び図3に示すように、主要な構成要素として、レッグブラケット20の前端を覆うように形成された本体部11と、本体部11の縁端から突出してレッグブラケット20に係止される第1の係止部12と、第1の係止部12と対向する位置で本体部11の内側に突出して形成され、レッグブラケット20に係止される第2の係止部13と、を備えている。
【0032】
レッグカバー10は、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料によって形成された部材であり、少なくとも、第1の係止部12及び第2の係止部13は、可撓性を備えた材料によって形成される。なお、「可撓性」とは、レッグブラケット20にレッグカバー10を取り付ける際に、作業者の手作業によって適当な範囲で屈曲する程度の柔軟性を備えることを示すものであり、例えば、上述のように、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料を用いることによって適当な可撓性を得ることができる。
なお、本体部11、第1の係止部12、第2の係止部13は、個々で構成材料を異なるものとする必要はなく、すべて一体で形成してもよい。例えば、レッグカバー10を射出成形等の手法を用いて一体成形することにより、容易にレッグカバー10を製造することができる。
【0033】
本体部11は、略平面状の板状部材であり、レッグブラケット20の前端部(または後端部)を覆う大きさ、及び形状に形成されている。本体部11は、後で詳述するレッグブラケット20を車体フロアFに固定するための固定部材40の上方を覆うように配設されることにより、固定部材40が露出するのを防ぐために設けられている(図7参照)。
【0034】
したがって、本体部11の形状は、レッグブラケット20の形状に沿わせて形成されており、本実施形態においては、平面視の状態で、幅広に形成された部分と連続するように、幅が狭く形成された凸部11aを備えている。この凸部11aは、後で詳述するレッグブラケット20に備えられたフランジ部23の間に嵌合するように、フランジ部23の間の幅と略同じ幅で形成されている。凸部11aは、レッグブラケット20に取り付けられた状態としたとき、平面視の状態で後方側に突出するように形成されている。
【0035】
そして、本体部11の凸部11aの一端(より詳細には、レッグブラケット20に取り付けられた状態としたときの後端部)から、第1の係止部12が突出するように形成されている。
第1の係止部12は、レッグブラケット20に形成された孔部22(図4参照)に挿入されて嵌合するように、本体部11の縁端から突出する突出部である。
【0036】
第1の係止部12は、本体部11の凸部11aから延設されて略L字状に折り曲げられるように形成された鈎状の突出部であり、適度な可撓性を備えている。そして、第1の係止部12は、レッグブラケット20の孔部22に挿入されて、嵌合可能な幅及び厚みを備えている。また、第1の係止部12の表面には、レッグブラケット20に対してより強固に係止するため、レッグブラケット20と当接する面において、段差部が備えられていると好適である。
【0037】
一方、第2の係止部13は、本体部11を介して第1の係止部12と対向する位置に形成されている。すなわち、レッグカバー10がレッグブラケット20に取り付けられた状態にあるとき、第1の係止部12及び第2の係止部13は、前後方向で対向して形成されている。そして、図3に示すように、第2の係止部13は、本体部11の裏側の面において、本体部11の周縁よりも内側に突出するように形成されている。
【0038】
第2の係止部13は、本体部11の裏面から略垂直に立ち上がるようにして形成された突起部であり、適度な可撓性を備えている。そして、第2の係止部13は、レッグブラケット20のフランジ部23(図4参照)に係止されるようにフック状に形成されている。
【0039】
レッグカバー10の本体部11の周縁には、本体部11、さらにはレッグカバー10の強度(剛性)を向上させるため、補強フランジ部15が形成されている。補強フランジ部15は、本体部11の裏面において、本体部11の周縁部から立ち上がるように折り曲げられた形状で形成されている。さらに、補強フランジ部15は、レッグカバー10とレッグブラケット20との間にごみ等が侵入するのを防ぐ役割もまた果たすものである。
【0040】
補強フランジ部15は、凸部11aを含む本体部11の周縁に亘って形成されているが、レッグブラケット20の形状にレッグカバー10が沿うように、適当な位置で切り欠き部15aを備えている(図3参照)。
また、上述の第2の係止部13は、補強フランジ部15の内側において若干離間して配設されているので、第2の係止部13を補強フランジ部15によって保護することができる。
【0041】
さらに、補強フランジ部15の内側には、レッグカバー10をレッグブラケット20上の適切な位置へ導き、レッグカバー10とレッグブラケット20との相対位置を容易に決定するため、レッグブラケット20の凹部23b(図4参照)と係合する位置規制部14が備えられている。なお、位置規制部14によってレッグカバー10とレッグブラケット20との相対位置が決定される機構については、後で詳述する。
【0042】
位置規制部14は、互いに対向する一対の位置規制面14a,14aによって構成されており、この一対の位置規制面14a,14aは、上述の第2の係止部13を挟むようにして、本体部11の裏面から立ち上がるように突出して形成されている。このように、一対の位置規制面14a,14aが第2の係止部13を挟む位置に形成されていることにより、第2の係止部13及び位置規制面14a,14aの剛性が向上し、レッグカバー10をレッグブラケット20に対してより強固に取り付けることが可能となる。
【0043】
また、位置規制面14aには、レッグブラケット20の形状に沿わせるため、適当な位置で切り欠き部14axが形成されている。この切り欠き部14axを備えることによってもまた、レッグブラケット20に対してレッグカバー10の相対位置をより容易に決定することができるため、レッグカバー10の取り付けを容易に行うことができる。
【0044】
<レッグブラケットの構造>
次に、レッグブラケット20の構成について、主として図4を参照して説明する。
レッグカバーブラケット20は、前後方向に沿って配設されて着座部1を支持する支持体(支持部材)であり、図4に示すように、主要な構成要素として、ロアレール30の下面に取り付けられると共に、車体フロアFに固定される本体部21と、上述のレッグカバー10の第1の係止部12を係止するための孔部22と、レッグカバー10の第2の係止部13を係止するためのフランジ部23とを備えている。
【0045】
レッグブラケット20の本体部21は、2段に屈曲した(階段状に屈曲した)形状で形成されており、上方に備えられる上方平坦部21aと、上方平坦部21aよりも下方に備えられる下方平坦部21cと、下方平坦部21c及び上方平坦部21aとを連結する斜面部21bと、を有している。
【0046】
上方平坦部21aは、ロアレール30の下面に対して固定される部分であり、上述のシートスライド装置の取付部である。一方、下方平坦部21cは固定部材40によって車体フロアFに取り付けられるものであり、上方平坦部21a及び下方平坦部21cとは、互いに略平行となるように形成されている。また、下方平坦部21cの略中央位置には、固定部材40を取り付けるための固定部24が形成されている。なお、本実施形態において、固定部24は固定部材40を挿通させるための挿通孔として形成されている。
【0047】
そして、上方平坦部21a及び下方平坦部21cを連結する斜面部21bは、上方平坦部21a及び下方平坦部21cが水平状態にあるとき、斜面部21bの下方が前方側、斜面部21bの上方が後方側に位置するように傾斜して形成されている。
【0048】
そして、斜面部21bには、上方に向かって膨出した膨出部21bxが備えられている。この膨出部21bxは、斜面部21bの一部を屈曲するようにして形成された凸部である。このように、斜面部21bにおいて膨出部21bxを備えることにより、適度な凹凸形状が形成され、その結果、斜面部21b、さらにはレッグブラケット20の剛性を向上させることができる。
【0049】
レッグカバー10の第1の係止部12が挿入される孔部22は、斜面部21bに形成された膨出部21bx上に形成されている。したがって、膨出部21bxを備えることにより、剛性が向上した斜面部21bにおいて孔部22が備えられているため、レッグカバー10を強固に組み付けることができ、レッグカバー10を外れにくくすることができる。また、斜面部21bにおいて、一部が高くなるように形成された膨出部21bxに孔部22が備えられているため、レッグカバー10の第1の係止部12を、容易に孔部22に差し込むことができる。したがって、レッグカバー10をレッグブラケット20に対して容易に取りつけることができる。
【0050】
上述のように、上方平坦部21a、斜面部21b、下方平坦部21cを備えた本体部21の周縁には、本体部21、さらにはレッグブラケット20の強度(剛性)を向上させるため、フランジ部23が形成されている。フランジ部23は、本体部21の表面において、本体部21の周縁部から立ち上がるようにして膨出した形状(断面逆U字形状)に形成されている。なお、本実施形態では、断面逆U字状のものを示すが、断面略L字状、半円形状としてもよいのは勿論である。
【0051】
フランジ部23は、上方平坦部21a、斜面部21b、下方平坦部21cの周縁に亘って連続して形成されているが、より詳細には、フランジ部23は、上方平坦部21aの一部を除いた位置に形成されている。
そして、フランジ部23の一部において、レッグカバー10の第2の係止部13と係合するための爪部23aが備えられている。この爪部23aは、レッグカバー10の第2の係止部13の位置に対応するため、レッグブラケット20の前方端部に突出するように備えられている。
【0052】
爪部23aは、フランジ部23において、爪部23aの左右両側を切り欠くことにより形成される突片部である。爪部23aは、レッグカバー10の第2の係止部13を係止しやすいように、下方平坦部21cから、前方へ向かって平面状に延設されている。
【0053】
上述のように、爪部23aをフランジ部23の一部として形成するため、フランジ部23には、爪部23aを挟む位置に、凹部23b,23bが形成されている。
この凹部23b,23bは、フランジ部23上に爪部23aを形成するためだけに備えられるのではなく、上述の位置規制面14a,14aとそれぞれ係合するために備えられる。位置規制面14a,14aを凹部23b,23bに当接させることにより、レッグブラケット20上に取り付けられるレッグカバー10の位置を容易に決定することができる。
なお、位置規制面14a,14a及び凹部23b,23bとの関係は後で詳述する。
【0054】
<レッグカバーの取付構造>
次に、レッグカバー10をレッグブラケット20に取り付ける構成(レッグカバー10の取付構造)について、主として図5〜図8を参照して説明する。
レッグカバー10は、図5に示すように、前後方向に沿って配設されたレッグブラケット20の前端部を覆うように取り付けられている。
レッグブラケット20の下方平坦部21には、固定部材40(例えば、ボルト40a,ワッシャ40b等)が取り付けられる固定部24が孔として形成されており、レッグブラケット20は固定部材40によって車体フロアFに取り付けられる(図7参照)。そして、レッグカバー10は、少なくともレッグブラケット20の下方平坦部21cを覆うように配設される。このように、レッグカバー10は、固定部材40を上方から覆うことにより、固定部材40の周辺を外力から保護することができる。
【0055】
図5に示すように、レッグブラケット20の左右方向両端に備えられたフランジ部23の間には、レッグカバー10の本体部11の一部(より詳細には、凸部11a)が嵌合するように配設されている。また、レッグカバー10の本体部11のうち、凸部11aよりも幅広に形成された部分は、レッグブラケット20の左右方向の幅から突出しないようにレッグブラケット20の幅とほぼ等しい幅で形成されている。したがって、車体フロアFに形成された凹部に配設されるレッグブラケット20に対し、レッグカバー10を取り付ける場合であっても、容易にレッグカバー10を取り付けることができる。このように、上記構成を備えたレッグカバー10は、レッグブラケット20の周辺において十分な空間が確保しにくい場合であっても、レッグカバー10を容易に取りつけることが可能となる。
【0056】
レッグカバー10の本体部11から後方へ向かって突出する鈎状の第1の係止部12は、図6に示すように、レッグブラケット20に備えられた孔部22に挿通されて係止される。
従来は、レッグカバーがレッグブラケットよりも幅広に(広い面積で覆うように)形成されており、レッグカバーがレッグブラケットを側方から挟むように構成されていたものが多くあった。これに対し、本発明のように、第1の係止部12をレッグブラケット20に挿通させることにより、レッグブラケット20が備えられる範囲よりもさらに外側までレッグカバー10を大型化する必要がなく、したがって、レッグカバー10が取り付けられるレッグブラケット20の周辺構造が大型化するのを抑制することができる。
【0057】
一方、レッグカバー10の裏面において、周縁よりも内側に突出するように形成されたフック状の第2の係止部13は、爪部23aに係止されている。このように、第2の係止部13は、レッグカバー10の周縁よりも内側に備えられているため、レッグカバー10を必要以上に大きくする必要がなく、ほぼレッグブラケット20の下方平坦部21c(及び、下方平坦部21cの周縁に備えられるフランジ部23)とほぼ同じ大きさで形成される。
このように、レッグカバー10において前後方向の端部にそれぞれ備えられた第1の係止部12及び第2の係止部13を、レッグブラケット20に対して係止することにより、レッグカバー10を組み付けるために、周辺の空間を大きく確保する必要がない。したがって、レッグブラケット20の周囲に十分に広い空間が確保されない場合であっても、レッグブラケット20に対してレッグカバー10を容易に取り付け可能となる。
【0058】
図7に示すように、第1の係止部12は、レッグブラケット20に形成された孔部22を介してレッグブラケット20の裏面側まで挿通されており、第1の係止部12の一部は、レッグブラケット20の裏面の一部と当接した状態で係止されている。したがって、レッグカバー10に対し、レッグカバー10を上方へ持ち上げるような外力が加わった場合であっても、第1の係止部12がレッグブラケット20の裏面と当接するため、レッグカバー10が上方へ向かって外れてしまうのを抑制することができる。
【0059】
一方、第2の係止部13は、レッグブラケット20に備えられた爪部23aに対し、下方から当接するようにして係止されている。この第2の係止部13は、爪部23aの外周端部よりも、より内側まで延設されており、フック形状に形成されている。そして、このフック形状の第2の係止部13が爪部23aに当接して係止される。
【0060】
以上のように、第1の係止部12及び第2の係止部13がレッグブラケット20に係止されることにより、レッグブラケット20にレッグカバー10が取り付けられる。
【0061】
さらに、レッグカバー10の裏面には、上述のように、第2の係止部13を挟む位置に備えられる一対の位置規制面14a,14aからなる位置規制部14が備えられている。この位置規制面14aは、レッグブラケット20のフランジ部23の一部を切り欠くようにして形成された凹部23bに当接した状態でそれぞれ係止される。すなわち、図8に示すように、フランジ部23の爪部23aを位置規制面14aによって挟んだ状態でレッグカバー10がレッグブラケット20に取り付けられる。
【0062】
このように、位置規制面14a,14aで爪部23aを挟むことができるため、レッグブラケット20に対してレッグカバー10を取り付ける際、レッグカバー10の左右方向の位置を容易に決定することができる。したがって、レッグカバー10の取り付け作業を容易に行うことが可能となる。
【0063】
<レッグカバーの取り付け過程>
次に、レッグカバー10がレッグブラケット20に取り付けられる過程を図9及び図10を参照して説明する。
図9(a),(b),(c)は、レッグカバー10のレッグブラケット20への取り付け工程を斜視図で示したものであり、図9(a)はレッグカバー10の取り付け前(回転前)の状態、図9(b)は取り付け中(回転中)の状態、図9(c)は取り付け後(回転後)の状態を示している。また、図10(a),(b)は、レッグカバー10のレッグブラケット20への取り付け工程を断面図で示したものであり、図10(a)はレッグカバー10の取り付け中(回転中)の状態、図10(b)は取り付け後(回転後)の状態を示している。
【0064】
レッグカバー10のレッグブラケット20への取り付けは、図9(a)のように、レッグカバー10の第1の係止部12を、レッグブラケット20に形成された孔部22に挿入されることにより開始される。このとき、孔部22の幅は、第1の係止部12の幅及び厚みよりも若干大きく形成されているため、孔部22に対して容易に第1の係止部12を差し込むことができる。
さらに、孔部22は、上述のように、斜面部21bに備えられた膨出部21bxに形成されているため、容易に第1の係止部12を差し込むことができる。
【0065】
次に、レッグカバー10の本体部11を構成する凸部11aが、レッグブラケット20の斜面部21b(より詳細には、膨出部21bx)に当接するまで第1の係止部12を孔部22へ差し込み、レッグカバー10の後端部を回転中心として、レッグカバー10をレッグブラケット20側へ向かって回転させる。より詳細には、レッグカバー10の後端部と斜面部21bが当接する部分を通る線分(図9(b)中に示す線X)を回転中心として、レッグカバー10を、図9(b)中の矢印方向へ押し下げる。
【0066】
このとき、図10(a)に示すように、第1の係止部12が孔部22に挿入された状態でレッグカバー10が回転するため、レッグカバー10がレッグブラケット20から外れることなく、容易に回転させることができる。
【0067】
図9(c)及び図10(b)の状態のように、レッグカバー10がレッグブラケット20の装着位置まで回転され、さらにレッグカバー10に備えられた第2の係止部13の上方を下方へ押圧することにより、第2の係止部13が弾性変形する。第2の係止部13が弾性変形すると、第2の係止部13が爪部23aの端部(前端)と摺接してさらに押し下げられ、第2の係止部13の上端と、レッグカバー10の本体部11との間に爪部23aが挟まれた状態となる。すなわち、第2の係止部13が、レッグブラケット20の爪部23aに係止される。これにより、レッグカバー10がレッグブラケット20に取り付けられる。
【0068】
また、このとき、第1の係止部12及び第2の係止部13(レッグカバー10)が可撓性材料により形成されているため、第1の係止部12及び第2の係止部13に弾発力が加わり、その結果、レッグカバー10をレッグブラケット20に対して強固に取り付けることができる。以下、第1の係止部材12及び第2の係止部材13の構成及び作用について、詳細に説明する。
【0069】
図10(b)は、レッグカバー10が取り付けられた状態におけるレッグカバー10とレッグブラケット20の中央部の縦断面説明図である。
上記のように、レッグカバー10は、レッグブラケット20に対し、第1の係止部12(より詳細には、図9(b)中に示す線X)を回転中心として回転させて取り付けられる。
【0070】
このとき、第2の係止部13は可撓性を備えているため、弾性変形時の反発力に起因して、爪部23aを下方から上方へ向かって押し上げるような力を加える。その結果、第2の係止部13は爪部23aに対して強固に係止される。さらに、第2の係止部13が爪部23aの下方面に係止されているため、レッグカバー10に対し、レッグカバー10を上方へ持ち上げるような外力が加わった場合であっても、レッグカバー10が上方へ向かって外れてしまうのを抑制することができる。
【0071】
また、第2の係止部13に対向して備えられた第1の係止部12は、第2の係止部13と同様に可撓性材料により形成されている。そして、第1の係止部12には、第2の係止部13の弾性変形時の反発力により、上方へ押し上げられる力が加わる。すなわち、第2の係止部13の弾性変形時の反発力により、レッグカバー10には、第1の係止部12を中心として、上方へ回転する向きの力が常時加わった状態となる。このとき、鈎状に形成された第1の係止部12に対して、第1の係止部12をさらに大きく曲げる力が加わる。したがって、第1の係止部12がレッグブラケット20の裏面に対してより強力に押し付けられる。その結果、レッグカバー10が、レッグブラケット20に対してより強固に取り付けられ、レッグカバー10を外れにくくすることができる。また、レッグカバー10を強固に取り付けられるため、レッグカバー10の設置後において、レッグカバー10が位置ずれするのを抑制することができる。
【0072】
さらに、レッグブラケット20の斜面部21bは、第2の係止部13と係止される面(爪部23aの下面)の延在方向(すなわち、水平方向)に対して傾斜して形成されている。このように、一方の係止部(第1の係止部12)を回転中心として回転させて取り付けられるレッグカバー10を取り付けるため、レッグブラケット20の孔部22を、斜面部21bに設けることにより、レッグカバー10が回転させやすくなり、その結果、レッグカバー10を容易にレッグブラケット20に対して取り付けることができる。
【0073】
換言すると、第2の係止部13を係止するための爪部23aが水平に形成されている一方で、第1の係止部12を係止するための孔部22が、水平面に対して傾斜して形成された斜面部21bに形成されているため、レッグカバー10を容易に回転させることができ、レッグカバー10を容易に取りつけることができる。
【0074】
また、レッグカバー10をレッグブラケット20に対して上方から真っ直ぐに押下して嵌合させるのではなく、上述のように回転させて取り付けることにより、レッグカバー10をより外れにくくすることができる。
【0075】
<他の実施形態>
以下、本発明の他の実施形態について、図11を参照して説明する。
上記実施形態では、レッグカバー10において、第1の係止部12及び第2の係止部13がそれぞれ一か所ずつ備えられたレッグカバー10について説明したが、以下のように、第2の係止部113を複数備えたものであってもよい。
なお、本実施形態のレッグカバー110は、第2の係止部113を複数備えたことを特徴とするものであり、その他の構成及び作用は、上記実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0076】
本実施形態のレッグカバー110もまた、本体部111と、本体部111の縁端から突出してレッグブラケットに係止される第1の係止部112と、第1の係止部112と対向する位置で本体部111の内側に突出して形成され、レッグブラケットに係止される第2の係止部113と、を備えている。すなわち、第1の係止部112及び第2の係止部113は、本体部111を介して対向する位置(対向する縁辺の近傍)に備えられている。
【0077】
本実施形態のレッグカバー110は、第1の係止部112と対向する位置において、二つの第2の係止部113が備えられている。なお、第2の係止部113の形状は、上述の第2の係止部13と同様である。
そして、第2の係止部113が二か所に備えられたレッグカバー110が取り付けられるレッグブラケットは、第2の係止部113と対応する位置に、第2の係止部113が係止される爪部が二か所に設けられる。なお、爪部等の構成も上述の実施形態のレッグブラケット20に備えられた爪部23aと同様であり、さらに、レッグブラケットに対する取り付け過程も同様であるため、その説明を省略する。
【0078】
このように、第2の係止部113を二か所に備えたレッグカバー110は、第1の係止部112を含めると、3点でレッグブラケットに固定されるため、より強固にレッグブラケットに取り付けることができる。
【0079】
以上のように、本発明によれば、レッグカバー10,110の前端及び後端においてそれぞれ第1の係止部12,112及び第2の係止部13,113を備え、一方の係止部(第1の係止部12,112)をレッグブラケット20に差し込み、他方の係止部(第2の係止部13,113)をレッグブラケット20の下方に潜り込ませるようにして取り付ける構成とすることにより、十分な取り付けスペースが確保できず従来は難度の高かった取り付け作業であっても、本発明品を使用することにより容易に取り付け作業を行うことが可能となる。
【0080】
また、一方の係止部(第1の係止部12,112)をレッグブラケット20に差し込み、レッグブラケット20に差し込まれた第1の係止部12,112を回転中心としてレッグカバー10,110を前方回転させることで、レッグブラケット20にレッグカバー10,110を装着することが出来るため、取り付けを容易に行うことができると共に、その取り付け強度が向上する。
【0081】
なお、本実施形態では、具体例として、自動車のフロントシートのロアレール30の前方に取り付けられたレッグブラケット20に装着するレッグカバー10,110について説明したが、これに限定されるものではなく、ロアレールの後方に備えられるレッグブラケットや、後部座席のシートのレッグブラケットに取り付けられるレッグカバーついても、同様の構成が適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
S 車両用シート
F 車体フロア
1 着座部
10,110 レッグカバー
11,111 本体部
11a 凸部
12,112 第1の係止部
13,113 第2の係止部
14 位置規制部
14a 位置規制面
14ax 切り欠き部
15 補強フランジ部
15a 切り欠き部
20 レッグブラケット(支持体)
21 本体部
21a 上方平坦部
21b 斜面部
21bx 膨出部
21c 下方平坦部
22 孔部
23 フランジ部
23a 爪部
23b 凹部
24 固定部
30 ロアレール
40 固定部材
40a ボルト
40b ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロアに固定されて着座部を支持する支持体を覆う本体部と、
該本体部の縁端から突出して前記支持体に係止される第1の係止部と、
該第1の係止部と対向する位置で前記本体部の内側に突出して形成され、前記支持体に係止される第2の係止部と、を備えたことを特徴とするレッグカバー。
【請求項2】
前記第1の係止部は、前記支持体に形成された孔部に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載のレッグカバー。
【請求項3】
前記第2の係止部は、前記支持体の周縁に設けられたフランジ部に係止されることを特徴とする請求項1または2に記載のレッグカバー。
【請求項4】
前記第1の係止部及び前記第2の係止部は、可撓性材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレッグカバー。
【請求項5】
前記本体部の内側に突出し、前記本体部と前記支持体の相対位置を規制する位置規制部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレッグカバー。
【請求項6】
前記位置規制部は、前記支持体の一部を挟み込むように対向する位置規制面からなることを特徴とする請求項5に記載のレッグカバー。
【請求項7】
前記本体部の周縁に、該本体部から立ち上がるように折り曲げられた補強フランジ部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレッグカバー。
【請求項8】
車体フロアに固定されて着座部を支持する支持体と、
該支持体を覆うレッグカバーと、を備え、
前記支持体は、前記レッグカバーを係止する孔部及びフランジ部を有し、
前記レッグカバーは、
前記支持体を覆う本体部と、
該本体部の縁端から突出して前記孔部に係止される第1の係止部と、
該第1の係止部と対向する位置で前記本体部の内側に突出して形成され、前記フランジ部に係止される第2の係止部と、を有することを特徴とするレッグカバーを備えた車両用シート。
【請求項9】
前記支持体は、上方に備えられる上方平坦部と、該上方平坦部よりも下方に備えられる下方平坦部と、該下方平坦部及び前記上方平坦部とを連結する斜面部と、を有し、
前記第1の係止部が係止される前記孔部は、前記斜面部に形成され、
該斜面部は、前記フランジ部のうち前記第2の係止部と係止される面の延在方向に対して傾斜して形成されていることを特徴とする請求項8に記載のレッグカバーを備えた車両用シート。
【請求項10】
前記支持体は、前記着座部の前後方向に沿って配設され、
前記レッグカバーは、前記支持体の前記前後方向の端部に係止され、
前記第1の係止部及び前記第2の係止部は、前記本体部の前記前後方向の端部にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項8または9に記載のレッグカバーを備えた車両用シート。
【請求項11】
前記支持体は、前記フランジ部の一部に凹部を有し、
前記レッグカバーは、前記凹部と係合し、前記本体部と前記支持体の相対位置を規制する位置規制部を有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載のレッグカバーを備えた車両用シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−67246(P2013−67246A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206292(P2011−206292)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000220066)テイ・エス テック株式会社 (625)
【Fターム(参考)】