説明

レバーシャフトポジション検出装置

【課題】耐久性を高め、省スペース化を図る。
【解決手段】バイアス磁界用磁石(1)とそのバイアス磁界内に配置された磁気センサ(2)とをレバーシャフト(4)の各ポジションに設け、磁性体から成るレバーシャフト(4)が磁石(1)に接近することでバイアス磁界に変化が生じ、この磁束の変化を電気信号として出力し、この信号をコンピュータに送ってレバーシャフトのポジションを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の自動変速機のレバーシャフトのポジションを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のマニュアル変速モード付き自動変速機におけるレバーシャフトのポジションを検出するため、従来例として、レバーシャフト近傍に有接点スイッチを配置し、レバーシャフトにて各スイッチを操作することでシフトポジションを判断するものが知られていた(特許文献1参照)。これは、さらに詳しく説明すると、マニュアル変速モード付き自動変速機に内蔵され、シフトレバーをオートマチックゲートからマニュアルゲートへ移動させてオートマチック変速モードからマニュアル変速モードへ切り換え操作したことを検出するモード切換スイッチ部と、マニュアルゲートにおいてシフトレバーを移動させてダウンシフト又はアップシフトを切り換え操作したことを検出するシフト切換スイッチ部とを一体化したシフトスイッチである。そして、モード切換スイッチ部は、スイッチケース内に垂直に配置されたモード入力端子と、モード入力端子に離間して配置された第1グランド入力端子と、スイッチケース内に回転可能に支持され、そのスイッチケースの側面から突出した第1レバーと、第1レバーに装着され、モード入力端子に常時接触した共通接触子及び上記第1レバーの回転動作に連動して第1グランド入力端子に接触する入力接触子を有する第1接点バネ片と、スイッチケースの側面に沿ってスライド可能に支持され、マニュアル変速モードへの切り換え操作時にシフトレバーに押されて作動し、このとき第1レバーを押して回転動作させる操作体とを備えたものである。さらに、シフト切換スイッチ部は、スイッチケース内に水平に配置されたダウンシフト入力端子と、ダウンシフト入力端子に離間して配置された第2グランド入力端子と、ダウンシフト入力端子の対称位置に配置されたアップシフト入力端子と、第2グランド入力端子の対称位置に配置された第3グランド入力端子と、スイッチケース内に回転可能に支持され、そのスイッチケースの上面から突出した第2レバーと、第2レバーに装着され、ダウンシフト入力端子に常時接触した共通接触子及び第2レバーの回転動作に連動して第2グランド入力端子に接触する入力接触子を有する第2接点バネ片と、スイッチケース内に回転可能に支持され、そのスイッチケースの上面から突出した第3レバーと、第3レバーに装着され、アップシフト入力端子に常時接触した共通接触子及び第3レバーの回転動作に連動して第3グランド入力端子に接触する入力接触子を有する第3接点バネ片と、スイッチケースの上面に沿ってスライド可能に支持され、ダウンシフト又はアップシフト操作時に上記シフトレバーに押されて作動し、このとき第2レバー又は第3レバーの一方を押して回転動作させる操作体とを備えたものである。そして、上記第1レバー、上記第2レバー及び上記第3レバーを共通化した部品で構成し、かつ、上記第1接点バネ片、上記第2接点バネ片及び上記第3接点バネ片を共通化した部品で構成したものである。
【0003】
さらに、別の従来例としては、シフトレバーの動きに連動して動作する磁石付きのロータを2つ備え、そのロータの回動を別途設置されている磁気検出素子で読み取り、シフトポジションを判断するものが知られている(特許文献2参照)。これは、さらに、詳しく説明すると、シフトレバーを第1レバールートに沿って操作することで自動変速が行われ、シフトレバーを第1レバールートから第2レバールートに移動操作するとともに第2レバールートに沿って操作することで手動変速が行われる自動変速機に適用されるシフトポジションセンサである。そして、シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの一方に沿って操作されたときに単独で回動される第1ロータに磁石を設け、シフトレバーが第1レバールート及び第2レバールートの他方に沿って操作されたときに第1ロータと一体的に回動される第2ロータに磁性体を設け、第1ロータ及び第2ロータが一体的に回動されるとき、磁性体により影響を及ぼされた上で磁気検出素子に達した磁気が磁気検出素子により検出されるように、磁石の回動軌跡と磁性体の回動軌跡とを径方向において一致させたものである。
【特許文献1】特開2006−347267号公報(5、6頁、図4)
【特許文献2】特開2007−8232号公報(5頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来例は、レバーシャフトで接点スイッチを押圧することにより、ノブの摩擦、ばねの反発力などの余計な抵抗力がレバーシャフトに加わってしまい、さらに金属接点部の磨耗のおそれもあった。
【0005】
特許文献2に記載の従来例は、磁気検出素子と離れた位置に磁石を設置しなければなれないため(特許文献2の図5参照)、高価な強磁石又は大きな磁石を使わなければならず、コストアップや構造の大型化を招くおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、余計な抵抗力がレバーシャフトに加わらず、スムースなレバーシャフトの操作を可能とし、耐久性に優れ、省スペース化を図ったレバーシャフトポジション検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、バイアス磁界用磁石とそのバイアス磁界内に配置された磁気センサとをレバーシャフトの各ポジションに設け、磁性体から成るレバーシャフトが磁石に接近することでバイアス磁界に変化が生じ、この磁束の変化を電気信号として出力し、この信号をコンピュータに送ってレバーシャフトのポジションを検出するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バイアス磁界用磁石とそのバイアス磁界内に配置された磁気センサとをレバーシャフトの各ポジションに設け、磁性体から成るレバーシャフトが磁石に接近することでバイアス磁界に変化が生じ、この磁束の変化を電気信号として出力し、この信号をコンピュータに送ってレバーシャフトのポジションを検出するようにしたので、有接点スイッチを用いたものに比べて接点の磨耗やばねによる抵抗力がなくなり、耐久性及び信頼性が向上する。また、磁石と磁気センサを用いることにより安価に構成でき、小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0010】
図1において、バイアス磁界用の磁石1と、この磁石1のバイアス磁界内に磁気センサ2を配置、この例では磁石1を磁気センサ2に貼り付け、この磁石1付きの磁気センサ2をプリント基板3に設け、磁性体から成るレバーシャフト4が磁石1から遠ざかっている状態を示す。前記磁気センサ2としては、磁気抵抗素子を用い、プリント基板3に半田付けしてある。前記レバーシャフト4は、強度面を考慮して鉄などの磁性体から成っている。図2は、この磁性体(レバーシャフト)4が磁石1に近づいてバイアス磁界に変化が生じた状態を示すものである。
【0011】
通常、図1のように磁石1から発せられる磁界が磁気センサ2に印加された状態であり、この状態をレバーシャフト4が離れた状態と判断する。レバーシャフト4が接近しているときは、図2のように磁束がレバーシャフト4に集中し磁気センサ2の近傍の磁束密度が低くなる。これにより、レバーシャフト4が近接していると判断する。例えば、このような磁気センサ2に磁気抵抗素子を使用する場合、図3のような内部回路が好ましい。図3では磁気抵抗素子でブリッジ回路を構成し、その中点電圧をコンパレータ5で比較し、表1のようにレバーシャフト4の接近時は「ON」を出力し、レバーシャフト4の非接近時は「OFF」を出力する。また、センサ2と磁石1が近接しているため、磁石1を小型化又は安価なものにすることができる。磁気センサ2へ前記磁石1を取り付ける方法は焼結磁石の貼付けやペースト磁石を印刷したのち着磁する方法などが挙げられる。さらに、バイアス磁界を変化させるものとしてレバーシャフト4をそのまま使用しているため、被検出体として新たに磁性体を設ける必要がない。
【0012】
【表1】

【0013】
図4ないし図8は、自動車のオートマチックトランスミッション(AT)におけるシフトレバー(レバーシャフト)4の実施形態を示している。図5のようなシフトポジション<1>〜<5>を有し、各ポジション近傍に磁石付き磁気センサを配置した場合、図6ないし図8は図5におけるシフトレバー4が経路A、B、Cを移動した出力波形を示す。図6ないし図8のようにシフトレバー4が各ポジション間を移動する場合、シフトポジション移動前のセンサ2と、移動後のセンサ2の出力波形が図6ないし図8のようにONで出力される波形が必ず重なるようにすることで(図中T1〜T10)、全く出力されない場合や、出力が3つ以上の場合が無くなりエラー検知に有効な手段となる。
【0014】
図9は、磁石1が付いた磁気センサ2をATシフトレバー(レバーシャフト)4を収容するケース6内に搭載した状態を示す。この磁気センサ2を設けたプリント基板3は、判定回路7やコネクタ8が搭載されたプリント基板30と配線材9で接続されている。ここで用いたプリント基板3、30はリジットなものを用いた。例えば、飲料水のスチール缶などがセンサに影響を及ぼさないよう、図9のようにケース6に収納され、ケース6の奥まったところにセンサ2を配置するのが好ましい。また、センサ2が実装されたプリント基板3とこのプリント基板3とは別体に設けたポジション判定回路が実装されたプリント基板30と配線材9で接続すれば、あとはATコンピュータにポジションの電気信号を送るだけとなる。さらに前記プリント基板3、30にフレキシブルプリント基板(FPC)31を使うことで配線材9が一体化され部品点数が減少する(図10参照)。
【0015】
図11は、ポジション判定回路のブロック図であり、AT(オートマチックトランスミッション)のコンピュータが判定回路7からの電気信号を受信し、ATシフトレバー4のポジション<1>〜<5>のいずれかを判断する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】磁気センサとレバーシャフトとが遠い位置関係にある図。
【図2】磁気センサとレバーシャフトとが近接した位置関係にある図。
【図3】センサ回路図。
【図4】ATシフトレバーと磁気センサとの関係を示す斜視図。
【図5】ATシフトレバーの動作を説明する各ポジションを示す平面図。
【図6】経路Aの出力波形図。
【図7】経路Bの出力波形図。
【図8】経路Cの出力波形図。
【図9】ケース内の配置例を示す図。
【図10】ケース内の他の配置例を示す図。
【図11】ポジション判定回路のブロック図。
【符号の説明】
【0017】
1 磁石
2 磁気センサ
3、30、31 プリント基板
4 レバーシャフト(シフトレバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス磁界用磁石とそのバイアス磁界内に配置された磁気センサとをレバーシャフトの各ポジションに設け、
磁性体から成るレバーシャフトが磁石に接近することでバイアス磁界に変化が生じ、この磁束の変化を電気信号として出力し、この信号をコンピュータに送ってレバーシャフトのポジションを検出することを特徴とするレバーシャフトポジション検出装置。
【請求項2】
前記磁気センサは、磁気抵抗素子からなるセンサであることを特徴とする請求項1に記載のレバーシャフトポジション検出装置。
【請求項3】
前記磁石は、焼結磁石またはペースト磁石を印刷してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のレバーシャフトポジション検出装置。
【請求項4】
前記レバーシャフトは、自動車用ATシフトレバーであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレバーシャフトポジション検出装置。
【請求項5】
磁石付き磁気センサを実装したプリント基板とポジション判定回路を実装したプリント基板とを配線材で接続することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレバーシャフトポジション検出装置。
【請求項6】
前記プリント基板はフレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項5に記載のレバーシャフトポジション検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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