説明

レバースイッチ

【課題】スイッチの動作を安定させ、尚且つ、正常な接触抵抗を保証する。
【解決手段】ケース1から突出した操作部61を押し込むとレバー6が軸部63を支点にして回転し、カム部62が接点ばね片5を押し下げてばね部52,53を弾性変形させ、一方のばね部52先端に設けた二股形状の第1可動接点54が第1固定接点41から離れて絶縁部27へスムーズに移動して、スイッチ回路をONからOFFに切り換えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの作動によりスイッチ回路をONからOFFへと切り換えるNC(ノーマルクローズ)タイプのレバースイッチと、これとは逆に、レバーの作動によりスイッチ回路をOFFからONへと切り換えるNO(ノーマルオープン)タイプのレバースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、あるいはデジタルオーディオプレーヤー等の電子機器においては、小型化や薄型化が重要な開発テーマになっている。通常この種の電子機器には、記録メディアが挿入されているかどうかを検知するメディア検知用スイッチが内蔵されているが、このスイッチに関しても回路基板のサイズを縮小するために小型化や薄型化が求められている。
【0003】
このようなメディア検知用スイッチの一例として、下記の特許文献1には、本出願人が先に出願したレバースイッチが開示されている。このレバースイッチは、ケースから突出した操作部を押し込むとレバーが支軸を支点にして回転し、押圧部が接点ばね片を押し下げて弾性変形させ、接点ばね片の先端の可動接点が固定接点から絶縁部に移動することによってスイッチ回路をONからOFFに切り換えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−66218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のレバースイッチは、薄型化を図るため、接点ばね片の幅を極力狭く設計しているが、その分ばねが細くなるので、接点ばね片の接触圧力が弱くなってしまい、安定した接触抵抗が得られない可能性があった。また、安定した接触抵抗を得るために、接点バネ片の厚みを増し、接触圧力を強くした場合、操作部の動作が重くなる。このため、安定した接触抵抗とスイッチの安定的な動作を両立することができないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、スイッチの動作を安定させ、尚且つ、正常な接触抵抗を保証するレバースイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明によるレバースイッチは、開口部を有するケースと、前記ケース内の底面に絶縁部を介して配置された第1固定接点及び第2固定接点と、前記ケース内に収容され、板ばね材の両端を内側に折り曲げて反曲部を形成し、折り曲げた二辺を前記ケース内の底面上で交差させた一対のばね部を有し、一方のばね部の先端を二股に分岐した第1可動接点が前記第1固定接点に接触し、他方のばね部の先端を二股に分岐した第2可動接点が前記第2固定接点に接触してなる接点ばね片と、前記ケースの開口部から突出した操作部を有し、前記接点ばね片に当接するカム部が軸部により前記ケースに回動可能に支持されるレバーと、を備え、前記操作部を押し込むと前記レバーが前記軸部を支点に所定角度回動し、前記カム部が前記接点ばね片のばね部を弾性変形させることで前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れて前記絶縁部に移動する一方、前記操作部の押し込みを解除すると前記接点ばね片のばね部が復元し、前記レバーが前記軸部を支点に反対回りに回動することで前記第1可動接点が前記絶縁部から離れて前記第1固定接点に復帰することを特徴とする。
【0008】
このレバースイッチは、いわゆるNC(ノーマルクローズ)タイプの切換スイッチである。このスイッチにおいては、通常(ノーマル)時には第1固定接点と第2固定接点が接点ばね片を介して接続されており、接点間が閉(クローズ)であり、回路がONの状態になっている。そして動作時には、接点ばね片の第1可動接点が第1固定接点から離れて絶縁部に移動することにより、それまで接点ばね片を介して接続されていた第1固定接点と第2固定接点が切断され、接点間が開(オープン)になり、スイッチ回路がOFFの状態に切り換わる。
【0009】
また、本発明によるレバースイッチは、開口部を有するケースと、前記ケース内の底面に絶縁部を介して配置された第1固定接点及び第2固定接点と、前記ケース内に収容され、板ばね材の両端を内側に折り曲げて反曲部を形成し、折り曲げた二辺を前記ケース内の底面上で交差させた一対のばね部を有し、一方のばね部の先端を二股に分岐した第1可動接点が前記絶縁部に接触し、他方のばね部の先端を二股に分岐した第2可動接点が前記第2固定接点に接触してなる接点ばね片と、前記ケースの開口部から突出した操作部を有し、前記接点ばね片に当接するカム部が軸部を介して前記ケースに回動可能に支持されるレバーと、を備え、前記操作部を押し込むと前記レバーが前記軸部を支点に所定角度回動し、前記カム部が前記接点ばね片のばね部を弾性変形させることで前記第1可動接点が前記絶縁部から離れて前記第1固定接点に移動する一方、前記操作部の押し込みを解除すると前記接点ばね片のばね部が復元し、前記レバーが前記軸部を支点に反対回りに回動することで前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れて前記絶縁部に復帰することを特徴とする。
【0010】
このレバースイッチは、いわゆるNO(ノーマルオープン)タイプの切換スイッチである。このスイッチにおいては、通常(ノーマル)時には第1固定接点と第2固定接点が切断されており、接点間が開(オープン)であり、回路がONの状態になっている。そして動作時には、接点ばね片の第1可動接点が絶縁部から離れて第1固定接点に移動することにより、それまで切断されていた第1固定接点と第2固定接点が接点ばね片を介して接続され、接点間が閉(クローズ)になり、スイッチ回路がONの状態に切り換わる。
【0011】
また、本発明によるレバースイッチにおいて、前記レバーには前記カム部の側面に突起部が形成され、当該レバーの静止時にこの突起部が前記ケースの天板裏面に引っ掛かって抜け止めされる構成を採用しても良い。
【0012】
更に、本発明によるレバースイッチにおいて、前記ケースの正面及び背面に一対の凹部が形成され、この凹部が前記レバーの軸部の両端を支えることで当該レバーが回転可能に支持される構成を採用することができる。
【0013】
更にまた、本発明によるレバースイッチにおいて、前記ケースの天板裏面にボス部が形成され、このボス部が前記接点ばね片の一方側の反曲部を押さえ付けることで前記レバーの動作時に当該接点ばね片の浮き上がりが規制される構成を採用しても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレバースイッチによれば、接点ばね片について、ばね部の先端に二股形状の可動接点を設けたことにより、二股形状の一片の可動接点と固定接点との間に異物が挟まっても残りの一片の可動接点が固定接点と接触しているため、接点が非接触になるという不具合が少ない。また、操作部について、軸部からカム部までの距離より、軸部からレバー頂点部までの距離が長い。これにより、安定した接触抵抗を得るために接点ばね片の厚みを増し接触圧力を強くした場合でも、梃子の原理により、低荷重で操作部を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態のレバースイッチを示す外観図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のレバースイッチを構成するベースと固定接点の部品図であり、(a)は平面図、(b)はIII−III線断面図である。
【図4】図1のレバースイッチを構成する接点ばね片の部品図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図である。
【図5】図1のレバースイッチを構成するレバーの部品図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図6】図1のレバースイッチを構成するトップケースの部品図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)はVI−VI線断面図、(e)は底面図である。
【図7】図1のレバースイッチの動作説明図であり、(a)は定常時の状態を示す縦断面図、(b)はその回路図である。
【図8】図1のレバースイッチの動作説明図であり、(a)は全移動位置の状態を示す縦断面図、(b)はその回路図である。
【図9】第2実施形態のレバースイッチを正面から見た縦断面図である。
【図10】図9のレバースイッチを構成するベースと固定接点の部品図であり、(a)は平面図、(b)はX−X線断面図である。
【図11】図9のレバースイッチの動作説明図であり、(a)は定常時の状態を示す縦断面図、(b)はその回路図である。
【図12】図9のレバースイッチの動作説明図であり、(a)は全移動位置の状態を示す縦断面図、(b)はその回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、願書に添付した図面を参照しながら説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態のレバースイッチの外観図、図2は同スイッチの断面図、図3〜6は同スイッチを構成する部品図、図7と図8は同スイッチの動作説明図である。
【0018】
図1に示すように、第1実施形態のレバースイッチSW1は、NC(ノーマルクローズ)タイプの切換スイッチである。その用途としては、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤー等の電子機器におけるメディア検知用スイッチのような、小型化や薄型化が求められるスイッチとして利用することができる。
【0019】
このレバースイッチSW1は、定常時には接点が「閉」の状態であり、図中の矢印A方向やB方向から外力が作用すると、レバー6が矢印C方向に所定角度で回動することによって接点を「開」へと切り換える。これに対して、外力が解除されるとレバー6が反対回りの矢印D方向に回動して定常位置に戻り、接点を「開」から「閉」へと切り換えるようになっている。
【0020】
図2に示すように、レバースイッチSW1の断面を見ると、上面を開口したケース1の内部に、固定接点4と接点ばね片5とレバー6の3つの部品が収容された構造になっている。以下、本実施形態のレバースイッチSW1の詳細な構造について、各部品の組み立て手順に従って説明する。
【0021】
〈手順1〉ベースに固定接点を設置する。
【0022】
図3に示すように、ベース2は絶縁性を有する樹脂材料で成形されており、厚さ寸法を幅及び高さ寸法より小さく設定した扁平な箱型の本体21を有し、この本体21の上面に部品を挿入するための挿入口22が開口し、内部に部品を収容する空間部23が設けられている。
【0023】
図3(a)において、本体21の正面と背面には、幅方向の中央から外側へわずかにずらした位置に、後述のレバー6を支持するための一対の凹部24,24が形成されている。また、本体21の左右両側面には、後述のカバー3を装着するための係止爪25が設けられている。なお、本体21の背面には回路基板(図示略)に固定するためのピン26が形成されているが、このピン26は必ずしも必要でなく、省略することも可能である。
【0024】
これに対して、固定接点4は導電性を有する金属板を所定パターンに打ち抜いて成形されており、細長状の第1固定接点41と第2固定接点42の2つの接点を備えている。この2つの接点は互いにベース2の厚さ方向に沿って平行となるように配置され、ベース2内の底面に固定される。これにより、第1固定接点41と第2固定接点42は、ベース2による絶縁部27を介して本体21の幅方向に並べて設置されることになる。
【0025】
2つの接点にはそれぞれ接続端子が繋がっており、第1固定接点41に繋がる第1接続端子43が本体21の背面左側からベース2の外部へと突出している。また、第2固定接点42に繋がる第2接続端子44は、反対に本体21の背面右側からベース2の外部へと突出している。
【0026】
〈手順2〉ベースに接点ばね片をセットする。
【0027】
図4に示すように、接点ばね片5は、金属製の板ばね材を所定形状に折り曲げ加工して成形されている。同図(b)のように、接点ばね片5を正面から見ると三角形を逆さにした形状を有しており、その底辺を基部51として上方に向け、残りの二辺を下方で交差させた一対のばね部52,53を備えている。
【0028】
ばね部52とばね部53は同じ長さに設定されていて、同図(c)のように一方のばね部52には端部を二股に分岐して先端を下方に湾曲させた第1可動接点54が設けられている。また、同図(d)のように他方のばね部53にも同様に、端部を二股に分岐して先端を下方に湾曲させた第2可動接点55が設けられている。なお、接点ばね片5は、基部51の両端をU字形に折り曲げた反曲部56,57によって適度な弾力が付与されているとともに、基部51の中央を下方に膨出させた補強リブ58によって耐久性を向上させてある。
【0029】
接点ばね片5のセット作業は、接点ばね片5をベース2の挿入口22から空間部23に挿入してベース2内の底面に載置するだけで良い。これにより、図2のように接点ばね片5は一対のばね部52,53によって起立し、第1可動接点54が第1固定接点41に接触し、第2可動接点55が第2固定接点42に接触する配置関係になる。
【0030】
〈手順3〉ベースにレバーをセットする。
【0031】
図5に示すように、レバー6は絶縁性を有する樹脂材料で成形されており、操作部61と、カム部62と、軸部63とから構成されている。図5(b)のようにレバー6を正面から見ると、操作部61は薄板状で略扇形の形状をしており、その底部を斜めに切り欠いてカム部62が形成され、その中心に円柱状の軸部63が一体化されている。また、カム部62の両側面には、後述のカバー3から抜け止めするために、一対の突起部64,64が形成されている。
【0032】
レバー6はベース2にセットされるが、その作業はベース2の挿入口22からレバー6を挿入し、ベース2の凹部24に軸部63を差し込み、凹部24の内面で軸部63の両端を支えるようにする。これにより、図2のようにレバー6は軸部63を支点にして回動可能に軸受支持される。また、カム部62の底面が接点ばね片5の基部51に当接することにより、レバー6は接点ばね片5の弾力により常時上方に付勢された状態になる。
【0033】
なお、上述した特許文献1のレバースイッチでは、レバーをベースにセットする際、ベース正面の円形孔に支軸の一端を挿入した状態でベース背面の凹溝に支軸の他端を差し込んでセットしていたので、その作業が面倒であった。これに対して、本実施形態のレバースイッチSW1によれば、ベース2の凹部24にレバー6の軸部63を上から差し込むだけで良いので、部品のセット作業を簡単に行える。
【0034】
〈手順4〉ベースにカバーを装着する。
【0035】
図6に示すように、カバー3は絶縁性を有する樹脂材料で成形されており、ベース2上面に開口した挿入口22を覆う天板31を有している。天板31には、レバー6を突出させるために表面から裏面にかけて貫通する方形状のスリット32が形成されており、裏面には接点ばね片5のストッパとなるように下方に垂直に突設したボス部33が形成されている。また、天板31には、ベース2に装着するため、左右両側面に垂れ下がる取付片34が設けられており、この取付片34にはベース2の係止爪25に嵌合する係止孔35が形成されている。さらに、天板31の正面と裏面には、レバー6の軸部63との干渉を防ぐ逃げ部36が形成されている。
【0036】
ベース2にカバー3を装着するには、ベース2の上からカバー3をかぶせ、係止孔35に係止爪25を嵌め込んで係止する。これにより、図2のようにベース2とカバー3を一体化した薄型のケース1が構成され、そのケース1内の空間部23に接点ばね片5とレバー6が収容されたレバースイッチSW1が完成する。カバー3を装着すると、レバー6はケース1の開口部たるスリット32から操作部61のみが外部に突出し、カム部62両側の突起部64,64がカバー3の天板31裏面に引っ掛かって抜け止めされた状態になる。また、天板31裏面のボス部33が接点ばね片5の一方側の反曲部56を押さえ付けることにより、レバー6の動作時に接点ばね片5の浮き上がりが規制される。
【0037】
第1実施形態のレバースイッチSW1は以上のように構成されており、以下その動作について説明する。
【0038】
図7に示すように、レバースイッチSW1のレバー6に外力が加えられていない、いわゆる定常(ノーマル)時において、レバー6の操作部61はケース1の開口部から外部に突出した自由位置にある。このときの内部の接点関係に着目すると、接点ばね片5が一対のばね部52,53によって起立しており、その先端の第1可動接点54が第1固定接点41に接触し、第2可動接点55が第2固定接点42に接触した状態になっている。
【0039】
したがって、第1固定接点41と第2固定接点42が接点ばね片5を介して接続されており、第1接続端子(A、C)43と第2接続端子(B、D)44が電気的に導通している。すなわち、レバースイッチSW1のレバー6が静止しているときには、図7(b)のように接点間が閉(クローズ)であり、スイッチ回路がONの状態である。
【0040】
ここで、図7に示したスイッチONの状態からレバー6に対して矢印A又はB方向の外力が加えられると、梃子の原理により操作部61が力点、軸部63が支点、カム部62が作用点になり、レバー6が作動する。すなわち、操作部61に作用する押し込み力により、軸部63を支点にしてレバー6が矢印C方向へと所定角度回動し、操作部61がケース1内へと沈み込む。
【0041】
ここで内部の状態を見ると、図8に示すように、レバー6の回動に伴ってカム部62が傾倒し、カム部62下方の傾斜面全体が接点ばね片5の基部51を押し下げ、接点ばね片5の弾力に逆らってばね部52,53を圧縮変形させる。このとき、接点ばね片5の左側の反曲部56は天板裏面のボス部33に押さえ付けられて上方への動きが規制されており、一方のばね部53の先端の第2可動接点55が第2固定接点42に接触したままである。
【0042】
それに対して、他方のばね部52は動きが自由であるので、第1可動接点54がケース1内の底面上を摺動し、第1固定接点41から離れて絶縁部27へと移動する。ここで、ばね部52,53は端部が二股に分岐した形状をしており、二股形状の一片の接点部と固定接点との間に異物が挟まっても残りの一片の接点部が固定接点と接触しているため、接点が非接触になるという不具合が少ない。また、レバー6について、軸部63の中心からカム部62までの距離より、軸部63の中心からレバー頂点部(操作部61の頂点)までの距離の方が長い。これにより、安定した接触抵抗を得るために接点ばね片5の厚みを増して接触圧力を強くした場合でも、梃子の原理により、低荷重でレバー3を動作させることができる。
【0043】
このようにして、接点ばね片5を介して接続されていた第1固定接点41と第2固定接点42が切断され、その結果、第1接続端子43と第2接続端子44が電気的に遮断される。これにより、レバー6の作動時には、図8(b)のように接点間が開(オープン)になり、スイッチ回路がONからOFFの状態へと切り換わる。
【0044】
ここで、図8に示したスイッチOFFの状態からレバー6に作用していた外力が解除されると、レバー6は接点ばね片5の復元力によって自動的に定常位置に復帰する。すなわち、接点ばね片5のばね部52,53が自身の弾力で起立し、これにより基部51からカム部62の傾斜面全体に対してレバー6を押し上げる力が作用する。このため、軸部63を支点にしてレバー6が矢印D方向へと反対回りに回動し、操作部61が元の位置まで押し戻される。
【0045】
したがって、それまで切断されていた第1固定接点41と第2固定接点42が接点ばね片5を介して接続され、その結果、第1接続端子43と第2接続端子44とが電気的に導通する。すなわち、レバー6の押圧が解除されると、図7(b)のように接点間が閉(クローズ)になり、スイッチ回路がOFFからONの状態へと切り換わる。
【0046】
[第2実施形態]
図9は第2実施形態のレバースイッチの断面図、図10は同スイッチを構成する部品図、図11と図12は同スイッチの動作説明図である。
【0047】
図9に示すように、第2実施形態のレバースイッチSW2は、NO(ノーマルオープン)タイプの切換スイッチであり、定常時には接点が「開」の状態である。このスイッチによれば、レバー6に押し込み力が作用すると接点を「閉」へと切り換え、押し込み力が解除されるとレバー6が定常位置に戻って接点を「閉」から「開」へと切り換えるようになっている。
【0048】
本実施形態では、レバースイッチSW2を構成する固定接点4の配置パターンが上述した第1実施形態のものと異なっている。すなわち、図10に示すように、この固定接点4は、第1固定接点41と第2固定接点42をケース内の底面に平行に配置したものであるが、第2固定接点42の位置は変えずに、第1固定接点41の位置を中心よりも外(左側面)側へとずらして配置してある。これにより、第1固定接点41と第2固定接点42との間に設けられる絶縁部27の領域が、第1実施形態のそれよりも広く設定されていることが特徴である。なお、図10に示した固定接点4以外の部品(ベース2、カバー3、接点ばね片5、レバー6)の構造は、第1実施形態のものと同一であり、部品を共用することができる。
【0049】
第2実施形態のレバースイッチSW2は以上のとおりに構成されており、以下その動作について説明する。
【0050】
図11に示すように、レバースイッチSW2のレバー6に外力が加えられていない、いわゆる定常(ノーマル)時において、内部の接点関係に着目すると、接点ばね片5が一対のばね部52,53によって起立しており、その先端の第1可動接点54が第1固定接点41ではなく絶縁部27に接触し、第2可動接点55が第2固定接点42に接触した状態になっている。
【0051】
したがって、第1固定接点41と第2固定接点42が切断されており、第1接続端子43(A、C)と第2接続端子44(B、D)が電気的に遮断されている。すなわち、レバースイッチSW2のレバー6が静止しているときには、図11(b)のように接点間が開(オープン)であり、スイッチ回路がOFFの状態である。
【0052】
ここで、図11に示したスイッチOFFの状態からレバー6に対して矢印A又はB方向の外力が加えられると、軸部63を支点にしてレバー6が矢印C方向へと所定角度回動し、操作部61がケース1内へと沈み込む。
【0053】
ここで内部の状態を見ると、図12に示すように、レバー6の回動に伴ってカム部62が傾倒し、カム部62下方の傾斜面全体が接点ばね片5の基部51を押し下げ、接点ばね片5の弾力に逆らってばね部52,53を圧縮変形させる。このとき、接点ばね片5の左側の反曲部56は天板裏面のボス部33に押さえ付けられて上方への動きが規制されており、一方のばね部53の先端の第2可動接点55が第2固定接点42に接触したままである。
【0054】
それに対して、他方のばね部52は動きが自由であるので、第1可動接点54がケース1内の底面上を摺動し、絶縁部27から離れて第1固定接点41へと移動する。ここでも、ばね部52は端部が二股に分岐した形状をしているため、ケース1内の底面に対して2点で接触しながら移動するので、接点ばね片5の安定した動作が保証される。
【0055】
このようにして、それまで切断されていた第1固定接点41と第2固定接点42が接点ばね片5を介して接続され、その結果、第1接続端子43と第2接続端子44が電気的に導通する。これにより、レバー6の作動時には、図12(b)のように接点間が閉(クローズ)になり、スイッチ回路がOFFからONの状態へと切り換わる。
【0056】
ここで、図12に示したスイッチONの状態からレバー6に作用していた外力が解除されると、レバー6は接点ばね片5の復元力によって自動的に定常位置に復帰する。すなわち、接点ばね片5のばね部52,53が自身の弾力で起立し、これにより基部51からカム部62の傾斜面全体に対してレバー6を押し上げる力が作用する。このため、軸部63を支点にしてレバー6が矢印D方向へと反対回りに回動し、操作部61が元の位置まで押し戻される。
【0057】
したがって、それまで接続されていた第1固定接点41と第2固定接点42が切り離され、その結果、第1接続端子43と第2接続端子44が電気的に遮断される。すなわち、レバー6の押圧が解除されると、図11(b)のように接点間が開(オープン)になり、スイッチ回路がONからOFFの状態へと切り換わる。
【0058】
以上説明したように、本発明のレバースイッチSW1,SW2では、薄型のケース1内に薄板状のレバー6を収容し、このレバー6の回転動作に連動して接点ばね片5が弾性変形することにより、第1可動接点54が第1固定接点41から離れて絶縁部27へと移動してスイッチ回路がOFFに切り換わる、あるいは逆に第1可動接点54が絶縁部27から離れて第1固定接点41へと移動してスイッチ回路がONに切り換わる、という独特な接点構造を採用した。これにより、スイッチの接点部がケース1の厚さ方向に拡がらないため、省スペース化が図られ、極めて小型でかつ薄型の切換スイッチを提供することができる。
【0059】
また、NCタイプの固定接点4のパターンについて、第1固定接点41の設置位置だけを変更し、その他の部品をそのまま共用することによってNOタイプのスイッチにも対応可能となる。このため、部品コストを削減することができ、NCタイプとNOタイプの両方の切換スイッチを安価に製造することができる。
【0060】
さらに、接点ばね片5について、特にばね部52の先端に二股形状の第1可動接点54を設けたことにより、第1可動接点54がケース1内の底面に対して2点で接触しながら移動する、いわばツイン接点として機能する。このため、接点ばね片5の動作がスムーズに行われ、スイッチの正常な切換操作が保証される。
【符号の説明】
【0061】
SW1、SW2...レバースイッチ
1...ケース
2...ベース
21...本体
22...挿入口
23...空間部
24...凹部
25...係止爪
26...ピン
27...絶縁部
3...カバー
31...天板
32...スリット
33...ボス部
34...取付片
35...係止孔
36...逃げ部
4...固定接点
41...第1固定接点
42...第2固定接点
43...第1接続端子
44...第2接続端子
5...接点ばね片
51...基部
52...ばね部
53...ばね部
54...第1可動接点
55...第2可動接点
56...反曲部
57...反曲部
58...補強リブ
6...レバー
61...操作部
62...カム部
63...軸部
64...突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケースと、
前記ケース内の底面に絶縁部を介して配置された第1固定接点及び第2固定接点と、
前記ケース内に収容され、板ばね材の両端を内側に折り曲げて反曲部を形成し、折り曲げた二辺を前記ケース内の底面上で交差させた一対のばね部を有し、一方のばね部の先端を二股に分岐した第1可動接点が前記第1固定接点に接触し、他方のばね部の先端を二股に分岐した第2可動接点が前記第2固定接点に接触してなる接点ばね片と、
前記ケースの開口部から突出した操作部を有し、前記接点ばね片に当接するカム部が軸部により前記ケースに回動可能に支持されるレバーと、を備え、
前記操作部を押し込むと前記レバーが前記軸部を支点に所定角度回動し、前記カム部が前記接点ばね片のばね部を弾性変形させることで前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れて前記絶縁部に移動する一方、
前記操作部の押し込みを解除すると前記接点ばね片のばね部が復元し、前記レバーが前記軸部を支点に反対回りに回動することで前記第1可動接点が前記絶縁部から離れて前記第1固定接点に復帰する
ことを特徴とするレバースイッチ。
【請求項2】
開口部を有するケースと、
前記ケース内の底面に絶縁部を介して配置された第1固定接点及び第2固定接点と、
前記ケース内に収容され、板ばね材の両端を内側に折り曲げて反曲部を形成し、折り曲げた二辺を前記ケース内の底面上で交差させた一対のばね部を有し、一方のばね部の先端を二股に分岐した第1可動接点が前記絶縁部に接触し、他方のばね部の先端を二股に分岐した第2可動接点が前記第2固定接点に接触してなる接点ばね片と、
前記ケースの開口部から突出した操作部を有し、前記接点ばね片に当接するカム部が軸部を介して前記ケースに回動可能に支持されるレバーと、を備え、
前記操作部を押し込むと前記レバーが前記軸部を支点に所定角度回動し、前記カム部が前記接点ばね片のばね部を弾性変形させることで前記第1可動接点が前記絶縁部から離れて前記第1固定接点に移動する一方、
前記操作部の押し込みを解除すると前記接点ばね片のばね部が復元し、前記レバーが前記軸部を支点に反対回りに回動することで前記第1可動接点が前記第1固定接点から離れて前記絶縁部に復帰することを特徴とするレバースイッチ。
【請求項3】
前記レバーには前記カム部の側面に突起が形成され、当該レバーの静止時にこの突起が前記ケースの天板裏面に引っ掛かって抜け止めされることを特徴とする請求項1又は2に記載のレバースイッチ。
【請求項4】
前記ケースの正面及び背面に一対の凹部が形成され、この凹部が前記レバーの軸部の両端を支えることで当該レバーが回転可能に支持されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレバースイッチ。
【請求項5】
前記ケースの天板裏面にボス部が形成され、このボス部が前記接点ばね片の一方側の反曲部を押さえ付けることで前記レバーの動作時に当該接点ばね片の浮き上がりが規制されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレバースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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