説明

レベル検知システム

【課題】内部を液体が流れる管において、安定して液体のレベルを検知する。
【解決手段】船舶内のバラスト処理装置DとシーチェストCとの間の主管P1の外側面にガイドパイプ2を設け、このガイドパイプ2に主管P1と連通する連通口21A及び連通口22を設ける。連通口21Aを連通口22よりも細くして、主管P1からガイドパイプ2に向けてバラスト水が流れにくくなるようにする。また、レベルゲージ3Aをガイドパイプ2に設け、フロート31Aを連通口22から連通口21Aに向けて浮上するようにする。加えて、ガイドパイプ2を主管P1よりも細くして、ガイドパイプ2における流速を主管P1における流速より抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベル検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンク等の内部に貯留されている液体の液位(レベル)を検知するものとして、以下の特許文献1のレベルゲージが知られている。このレベルゲージは、タンクの外側面に固設されており、パイプ部材、フロート部材、ゲージ部材及び確認窓を備えている。
【0003】
パイプ部材は、管状の部材であり、タンクの外側面に取り付けられている。このパイプ部材は、上端部の連通孔、及び下端部の流通孔で、タンクと連通している。フロート部材は、浮きとして機能する部材であり、浮動自在にパイプ部材に内挿されている。ゲージ部材は、棒状の部材であり、フロート部材の上端部に連結されている。このゲージ部材の上端部には、他の部分とは異なる色で着色された液面表示部が形成されている。確認窓は透明なガラス等でパイプ部材の全周にわたって形成されており、その位置はゲージ部材の液面表示部に対応した位置となっている。このように構成されたレベルゲージでは、液位に応じてフロートと共に液面表示部が上下に浮動するため、この液面表示部の位置を確認窓から確認することで、液体のレベルが適正範囲内であるか否かを確認できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−212382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば内部を液体が流れる管において、液体が所定レベル以上存在していることを検知しようとする場合、上記特許文献1のレベルゲージを適用することが考えられる。しかしながら、この場合、液体の流れがフロート部材の動作に悪影響を及ぼし、フロート部材の動作が安定せず正確な検知が行えないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、内部を液体が流れる管において、液体が所定レベル以上存在することを正確に検知することができるレベル検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレベル検知システムは、内部を液体が流れる主管と、主管よりも細い管状をなし、主管の内部に連通した連通口が軸心方向の両端部に設けられたガイドパイプと、ガイドパイプ内に配置されたフロートを有し、フロートの高さ位置を検出することで、主管内に液体が所定レベル以上存在することを検知するレベルゲージを備え、フロートは、ガイドパイプの他方の連通口からガイドパイプの一方の連通口に向けた方向に浮上し、一方の連通口においては、他方の連通口よりも、主管からガイドパイプに液体が流れにくくされていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、主管に連通されたガイドパイプの一方の連通口において、他方の連通口よりも、主管からガイドパイプに向けて液体が流れにくくされていることから、ガイドパイプにおける液体の流速が抑制される。このため、ガイドパイプにおける液体の流れはフロートの浮上を阻害せず、フロートの動作が安定する。加えて、ガイドパイプは主管よりも細いため、ガイドパイプにおける流速は主管における流速より抑制されてフロートの動作が安定する。従って、内部を液体が流れる管において、液体が所定レベル以上存在することを正確に検知することができる。
【0009】
ここで、一方の連通口においては、その大きさが他方の連通口よりも小さくされること、パンチングメタルが設けられること、オリフィスが設けられること、又は、バルブが設けられることで、他方の連通口よりも主管からガイドパイプに液体が流れにくくされていることが好ましい。こうすると、簡易な構成により、フロートの浮上する方向とガイドパイプにおける液体の流向とを一致させることができる。
【0010】
また、主管は、船舶におけるバラスト処理装置とシーチェストとの間に設けられたウォーターシール、又は、バラスト処理装置とバラストタンクとの間に設けられたウォーターシールを構成することが好ましい。船舶においては、バラスト処理装置の安全性を高めるべく、シーチェストやバラストタンクからバラスト処理装置にガスが流入することを防止するため、バラスト処理装置とシーチェストとの間、及び、バラスト処理装置とバラストタンクとの間にウォーターシールを設ける場合がある。この場合において、本発明では、ウォーターシールを構成する主管にバラスト水が所定レベル以上存在することを正確に検知できるため、船舶の安全性を高めることができる。
【0011】
また、主管は、液体が鉛直方向上側から鉛直方向下側に流れる鉛直部を有し、ガイドパイプは、鉛直部に連通され、一方の連通口は、ガイドパイプの上端部に設けられ、他方の連通口は、ガイドパイプの下端部に設けられていることが好ましい。上側から下側に向けて液体が流れる主管の鉛直部にフロートを配置すると、鉛直部における液体の流向とフロートの浮上する方向とが逆になってフロートの動作が不安定になり、鉛直部に液体が所定レベル以上存在することを正確に検知できない。この点、本発明では、フロートの浮上を阻害しない流速まで液体の流れを抑制できるため、フロートの動作が安定するという本発明の上記作用効果を好適に発揮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内部を液体が流れる管において、安定して液体のレベルを検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレベル検知システムが設けられた船舶を示す概略構成図である。
【図2】図1のレベル検知システムを示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るレベル検知システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明のレベル検知システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るレベル検知システムが設けられた船舶を示す概略構成図である。図1に示すように、レベル検知システム1Aは、例えばタンカー等の貨物船舶である船舶Sに設けられている。この船舶Sは、シーチェストC、バラスト処理装置D、及びバラストタンクTを備えている。
【0016】
シーチェストCは、海水や清水等の水を船外からバラスト水として取り込むための取込口である。
【0017】
バラスト処理装置Dは、バラスト水の水処理(水生生物の除去)を行うものである。このバラスト処理装置Dとしては、種々のものを用いることができ、例えば電極に電力を印加してバラスト水を電解処理するもの、紫外線ランプに電力を印加して紫外線照射することによりバラスト水を水処理するもの、電力の印加で電場を発生させて電気ショックを与えることにより水処理するもの、等が挙げられる。
【0018】
バラストタンクTは、船舶S内の貨物積載量に応じてバラスト水を漲水又は排水することによって、バラスト水の重さで船舶S全体を貨物量によらず一定に降下させる機能を有するものである。バラストタンクTは、貨物が少ないときにバラスト水をポンプで吸引することによってバラスト水を漲水する一方、貨物が多いときにバラスト水を海等の船外へ排水する。バラストタンクTは、例えば、船舶Sの外板の内側に内部隔壁を設けて二重船殻構造とすることによって画設されており、船舶Sの左右方向(図1において紙面に垂直な方向)に沿った断面において、船体の左側面、底面、及び右側面に沿ったU字状をなしている。なお、バラストタンクTの上方には、カーゴタンクRが設けられている。
【0019】
バラスト処理装置DとシーチェストCとは、主管P1により接続されている。また、バラスト処理装置DとバラストタンクTとは、主管P2により接続されている。これら主管P1,P2は、上下方向に蛇行しており、それぞれバラスト水が鉛直方向上側から鉛直方向下側に向けて流れる鉛直部V1,V2を有している。そして、船舶Sでは、バラスト処理装置Dの安全性を高めるべく、シーチェストC及びバラストタンクTからバラスト処理装置Dにガスが流入することを防止するため、主管P1,P2の内部にバラスト水を流して所定の液位(レベル)以上のバラスト水を存在させてウォーターシールを構成している。
【0020】
主管P1,P2の径は、例えば、呼び径で600A程度とされている。また、主管P1,P2を流れるバラスト水は、その流速が例えば2m/sec程度とされており、その流量が例えば2000m/h程度とされている。
【0021】
レベル検知システム1A,1Aは、主管P1,P2の内部に所定レベル以上のバラスト水が存在するか否かを検知するためのシステムであり、バラスト水の流路(主管P1)におけるバラスト処理装置DとシーチェストCとの間、及び、バラスト水の流路(主管P2)におけるバラスト処理装置DとバラストタンクTとの間に設けられている。
【0022】
次に、本実施形態に係るレベル検知システム1Aについて、詳細に説明する。図2は、図1のレベル検知システムを示す概略構成図である。なお、主管P1側のレベル検知システム1Aと、主管P2側のレベル検知システム1Aとは、同様な構成になっているため、ここでは、主管P1側のレベル検知システム1Aについてのみ説明する。
【0023】
レベル検知システム1Aは、主管P1、ガイドパイプ2、レベルゲージ3A、及び警報装置4を備えている。
【0024】
ガイドパイプ2は、主管P1の鉛直部V1の外側面に沿って上下に真直ぐ設けられた管状の部材である。ガイドパイプ2の径は、例えば呼び径で65A程度であり、主管P1よりも細く、流体通過面積が主管P1よりも小さくなっている。ガイドパイプ2の軸心方向における上端部には、鉛直部V1に連通した連通口21Aが設けられ、下端部には、鉛直部V1に連通した連通口22が設けられている。
【0025】
連通口21Aは連通口22よりも小さくなっており、連通口21Aの流体通過面積は連通口22の流体通過面積よりも小さくなっている。これにより、連通口21Aにおいては、連通口22よりも、主管P1からガイドパイプ2にバラスト水が流れにくくなっている。
【0026】
レベルゲージ3Aは、いわゆる縦型のレベルゲージであり、フロート31A、軸32、上部ストッパー33、及び下部ストッパー34を有している。
【0027】
フロート31Aは、浮きとして機能する部材であり、ガイドパイプ2の内部に配置され、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベル、すなわち、主管P1の内部のバラスト水のレベルに合わせて、上下に浮動するようになっている。フロート31Aは、下方に設けられている連通口22から、上方に設けられている連通口21Aに向けた方向に浮上するようになっている。
【0028】
軸32は、フロート31Aの浮動を案内するための軸状の部材であり、ガイドパイプ2の軸心に沿うように、端部がそれぞれガイドパイプ2内部の上面及び下面に取り付けられている。
【0029】
上部ストッパー33は、浮上するフロート31Aのストッパーとして機能する部材であり、軸32の長さ方向の略中央部に設けられている。この上部ストッパー33は、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL1以上に維持されている場合、浮上したフロート31Aと接触する。これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL1以上に維持されていることが検知されるようになっている。
【0030】
下部ストッパー34は、降下するフロート31Aのストッパーとして機能する部材であり、軸32における上部ストッパー33の下方に設けられている。この下部ストッパー34は、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下した場合、バラスト水のレベル低下に伴って降下したフロート31Aと接触する。これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下したことが検知されるようになっている。このように、レベルゲージ3Aは、フロート31Aの高さ位置を検出することで、主管P1内にバラスト水が所定レベル以上存在することを検知する。
【0031】
警報装置4は、レベルゲージ3Aに接続されており、当該レベルゲージ3Aにより主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2以下に低下したことが検知されると、船舶Sの乗員に向けて警報を発するようになっている。
【0032】
このようなレベル検知システム1Aでは、シーチェストCによりバラスト水が取り込まれる際、主管P1内のバラスト水のレベルが下側の連通口22まで上昇すると、バラスト水の一部は、連通口22からガイドパイプ2の内部に流入する。そして、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベル(すなわち、主管P1の内部のバラスト水のレベル)が所定レベルL2よりも上昇すると、フロート31Aは下部ストッパー34から離脱し、これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも上昇したことが検知される。
【0033】
続いて、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL1よりも上昇すると、フロート31Aが浮上して上部ストッパー33と接触し、これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL1よりも上昇したことが検知される。
【0034】
そして、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベルが連通口21Aまで上昇すると、ガイドパイプ2の内部のバラスト水は連通口21Aから主管P1に流出し、連通口21A及び連通口22の双方がバラスト水で満たされる。
【0035】
なお、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベルの上昇に伴い、バラスト水の流入前にガイドパイプ2の内部に存在していたガスは、上側の連通口21Aから主管P1側に開放される。
【0036】
ここで、連通口21Aは連通口22よりも小さく、連通口21Aにおいては、連通口22よりも主管P1からガイドパイプ2に向けてバラスト水が流れにくくなっていることから、ガイドパイプ2におけるバラスト水の流速は抑制される。
【0037】
また、上述のように、ガイドパイプ2は主管P1よりも細くなっているため、ガイドパイプにおける流速は、主管P1における流速よりも抑制され、例えば0.05m/sec程度まで低減される。
【0038】
一方、例えば主管P1からのバラスト水の漏洩等により、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下した場合、フロート31Aは降下して下部ストッパー34と接触し、これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下したことが検知され、警報装置4により船舶Sの乗員に向けて警報が発せられる。なお、当該バラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下したことが検知されたとき、バラスト水処理装置Dを自動的に停止させ(電源を切り)、安全性を高める場合もある。
【0039】
以上、本実施形態に係るレベル検知システム1Aでは、ガイドパイプ2の一方の連通口21Aにおいて、他方の連通口22よりも、主管P1からガイドパイプ2に向けてバラスト水が流れにくくなっているため、ガイドパイプ2におけるバラスト水の流速が抑制される。このため、ガイドパイプ2におけるバラスト水の流れがフロート31Aの浮上を阻害しないこととなる。
【0040】
ところで、ガイドパイプ2におけるバラスト水の流向とフロート31Aが浮上する向きとが逆向きであると、このバラスト水によりフロート31Aを降下させようとする力が作用し、フロート31Aが振動して動作が不安定になる。このため、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2以上であったとしても、所定レベルL2よりも低下したと誤検知されるおそれがある。これに対し、本実施形態に係るレベル検知システム1Aでは、上述のように、ガイドパイプ2におけるバラスト水の流れがフロート31Aの浮上を阻害しないため、フロート31Aの動作が安定し、主管P1においてバラスト水が所定レベルL2以上存在することを正確に検知することができる。
【0041】
また、ガイドパイプ2は主管P1よりも細いため、ガイドパイプ2における流速が主管P1における流速より抑制されると共に、主管P1内に局所的に発生する乱流が抑制され、フロートの動作が安定する。従って、この点においても、本実施形態では、主管P1のバラスト水が所定レベルL2以上存在することを正確に検知することができる。
【0042】
また、レベル検知システム1Aでは、一方の連通口21Aを他方の連通口22よりも小さくすることで、一方の連通口21Aにおいて他方の連通口22よりも主管P1からガイドパイプ2に向けてバラスト水が流れにくくなっている。そのため、簡易な構成により、ガイドパイプ2におけるバラスト水の流れがフロート31Aの浮上を阻害させなくすることができる。
【0043】
また、上述したように、船舶Sでは、バラスト処理装置Dの安全性を高くすべくシーチェストC及びバラストタンクTからバラスト処理装置Dにガスが流入することを防止するため、バラスト処理装置DとシーチェストCとの間、及び、バラスト処理装置DとバラストタンクTとの間に主管P1,P2を設け、この主管P1,P2にバラスト水を所定レベルL2以上存在させることで、ウォーターシールを構成している。この場合において、レベル検知システム1Aでは、主管P1,P2におけるバラスト水のレベルを安定して検知することができるため、船舶Sの安全性を高めることが可能となる。
【0044】
また、上述のように、主管P1は、バラスト水が鉛直方向上側から鉛直方向下側に流れる鉛直部V1を有し、ガイドパイプ2は、鉛直部V1に連通され、一方の連通口21Aは、ガイドパイプ2の上端部に設けられ、他方の連通口22は、ガイドパイプ2の下端部に設けられており、これにより、バラスト水の流向とフロート31Aの浮上する方向とがいずれも下側から上側に向けた方向にされている。ここで、上側から下側に向けてバラスト水が流れる鉛直部V1にフロート31Aを配置すると、鉛直部V1におけるバラスト水の流向とフロート31Aの浮上する方向とが逆になってフロート31Aの動作が不安定になり、主管P1にバラスト水が所定レベルL2以上存在することを正確に検知できない。この点、レベル検知システム1Aでは、上述のように、バラスト水の流れがフロート31Aの浮上を阻害しないため、フロート31Aの動作が安定するという作用効果を最大限に発揮することができる。
【0045】
因みに、ガイドパイプ2の下端部のみに連通口22を設け、この連通口22においてのみ、主管P1とガイドパイプ2との間のバラスト水の流れを許容することが考えられる。この場合、バラスト水をガイドパイプ2内に流入させる前にガイドパイプ2内に溜まっている空気を開放するために、ガイドパイプ2の上端部を主管P1の上端部よりも高くし、主管P1の内部のバラスト水のレベルよりも高い位置に開放口(空気孔)を設ける必要がある。そうすると、ガイドパイプ2の長さが長くなり、レベル検知システムが大型化するという問題がある。
【0046】
これに対し、レベル検知システム1Aでは、下端部の連通口22の他に、上端部に連通口21Aが設けられているため、バラスト水が流入する前にガイドパイプ2内に溜まっている空気は、上述のように、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベルの上昇に伴い、連通口21Aから主管P1に開放される。従って、ガイドパイプ2に開放口を別途設ける必要がなく、ガイドパイプ2の長さを低減することができる。よって、レベル検知システムの大型化を抑制することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係るレベル検知システムを示す概略構成図である。本実施形態に係るレベル検知システム1Bが第1実施形態に係るレベル検知システム1A(図2参照)と主に異なる点は、上端部の連通口21Bにバルブ23が設けられている点、及び、縦型のレベルゲージ3Aに代えていわゆる横型のレベルゲージ3Bが設けられている点である。
【0048】
レベル検知システム1Bでは、上端部の連通口21Bが下端部の連通口22と同程度の太さにされている。また、レベル検知システム1Bでは、バルブ23によって連通口21Bにおける流体通過面積を連通口22よりも小さくすることが可能になっている。これにより、連通口21Bにおいては、連通口22よりも、主管P1からガイドパイプ2に向けてバラスト水が流れにくくなっている。
【0049】
レベルゲージ3Bは、フロート31B及び設置部35を有している。フロート31Bは、浮きとして機能する部材であり、ガイドパイプ2の内部に配置され、ガイドパイプ2の内部のバラスト水のレベル、すなわち、主管P1の内部のバラスト水のレベルに合わせて、上下に浮動するようになっている。設置部35は、フロート31Bを片持ち支持して設置するものであり、ガイドパイプ2の側面に取り付けられている。フロート31Bと設置部35とは、連結棒36により互いに連結されている。
【0050】
レベル検知システム1Bでは、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL1以上に維持されていると、フロート31Bが浮上して連結棒36が設置部35に対して上方に傾き、これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL1以上に維持されていることが検知される。また、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下すると、フロート31Bは降下して連結棒36が設置部35に対して下方に傾き、これにより、主管P1の内部のバラスト水のレベルが所定レベルL2よりも低下したことが検知される。
【0051】
このようなレベル検知システム1Bが、第1実施形態に係るレベル検知システム1Aと同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0052】
以上、本発明のレベル検知システムに係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態では一方の連通口21Aを他方の連通口22よりも小さくすること、第2実施形態では一方の連通口21Bにバルブ23を設けることで、一方の連通口21A,21Bにおいて他方の連通口22よりもバラスト水を流れにくくしているが、一方の連通口にパンチングメタルやオリフィスを設け、一方の連通口における流体通過面積を他方の連通口における流体通過面積よりも小さくすることで、一方の連通口において他方の連通口よりもバラスト水を流れにくくしても良い。つまり、バルブ等の流量を絞る(制御する)機器を設けても良い。
【0053】
また、上記実施形態では、レベル検知システム1A,1Bが、主管P1,P2の双方に設けられているが、これらのいずれか一方のみに設けられていても良い。また、レベル検知システム1A,1Bは、船舶Sにおける主管P1,P2内のバラスト水のレベルを検知するものであるが、これに限らず、本発明は内部を液体が流れる管において液体のレベルを検知するものとして使用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1A,1B…レベル検知システム、2…ガイドパイプ、21A,21B…連通口(一方の連通口)、22…連通口(他方の連通口)、23…バルブ、31A,31B…フロート、P1,P2…主管、C…シーチェスト、D…バラスト処理装置、T…バラストタンク、S…船舶。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を液体が流れる主管と、
前記主管よりも細い管状をなし、前記主管の内部に連通した連通口が軸心方向の両端部に設けられたガイドパイプと、
前記ガイドパイプ内に配置されたフロートを有し、前記フロートの高さ位置を検出することで、前記主管内に前記液体が所定レベル以上存在することを検知するレベルゲージを備え、
前記フロートは、前記ガイドパイプの他方の連通口から前記ガイドパイプの一方の連通口に向けた方向に浮上し、
前記一方の連通口においては、前記他方の連通口よりも、前記主管から前記ガイドパイプに前記液体が流れにくくされていることを特徴とするレベル検知システム。
【請求項2】
前記一方の連通口においては、その大きさが前記他方の連通口よりも小さくされること、パンチングメタルが設けられること、オリフィスが設けられること、又は、バルブが設けられることで、前記他方の連通口よりも前記主管から前記ガイドパイプに前記液体が流れにくくされていることを特徴とする請求項1に記載のレベル検知システム。
【請求項3】
前記主管は、船舶におけるバラスト処理装置とシーチェストとの間に設けられたウォーターシール、又は、前記バラスト処理装置とバラストタンクとの間に設けられたウォーターシールを構成することを特徴とする請求項1又は2に記載のレベル検知システム。
【請求項4】
前記主管は、前記液体が鉛直方向上側から鉛直方向下側に流れる鉛直部を有し、
前記ガイドパイプは、前記鉛直部に連通され、
前記一方の連通口は、前記ガイドパイプの上端部に設けられ、
前記他方の連通口は、前記ガイドパイプの下端部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレベル検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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