レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置、および読取装置
【課題】光利用効率が高いレンズユニットを提供する。
【解決手段】レンズユニット1は、互いに光軸が平行となるように光軸と直交するY方向に配列された複数の第1のマイクロレンズ12−1を含む第1のレンズ板11−1と、複数の第1のマイクロレンズ12−1に対応してY方向に配列された複数の第2のマイクロレンズ12−2を含み、各第2のマイクロレンズ12−2は対応する第1のマイクロレンズ12−1と光軸が一致するように配置される、第2のレンズ板11−2とを有し、複数の第1のマイクロレンズおよび複数の第2のマイクロレンズのうち互いに光軸が一致する第1のマイクロレンズおよび第2のマイクロレンズは、光軸を含みY方向と直交する第1の平面において、物体からの光線が第1のマイクロレンズ12−1により平行化され、当該平行化された光線が第2のマイクロレンズ12−2により結像面に結像するように構成される。
【解決手段】レンズユニット1は、互いに光軸が平行となるように光軸と直交するY方向に配列された複数の第1のマイクロレンズ12−1を含む第1のレンズ板11−1と、複数の第1のマイクロレンズ12−1に対応してY方向に配列された複数の第2のマイクロレンズ12−2を含み、各第2のマイクロレンズ12−2は対応する第1のマイクロレンズ12−1と光軸が一致するように配置される、第2のレンズ板11−2とを有し、複数の第1のマイクロレンズおよび複数の第2のマイクロレンズのうち互いに光軸が一致する第1のマイクロレンズおよび第2のマイクロレンズは、光軸を含みY方向と直交する第1の平面において、物体からの光線が第1のマイクロレンズ12−1により平行化され、当該平行化された光線が第2のマイクロレンズ12−2により結像面に結像するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置、および読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)をアレイ状に配列したLEDヘッドを用いた電子写真方式の画像形成装置や、複数の受光素子をアレイ状に配列した受光部を用いたスキャナやファクシミリ等の読取装置では、物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系が用いられている。このような光学系として、それぞれ物体の正立等倍像を形成する複数のマイクロレンズ対を略直線状に配列したレンズアレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−83576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置や読取装置などに用いられる光学系では、光利用効率の向上が望まれている。
【0005】
例えば、画像形成装置においては、形成される画像の解像度を向上させるため、露光装置の発光素子を縮小し、発光素子の実装密度を高くすると、発光素子の発光光量が低下する。そこで、発光素子の光量が小さくても明るい結像を形成することができるよう、光学系の光利用効率の向上が求められる。また、読取装置においては、原稿を照明する照明装置の消費電力を低く抑えるために、光学系の光利用効率の向上が求められる。
【0006】
本発明は、光利用効率が高いレンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、物体からの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより結像面に結像するように構成される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光利用効率が高いレンズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1における画像形成装置としてのプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1における露光装置としてのLEDヘッドの構成を示す概略図である。
【図3】実施の形態1におけるLEDヘッドの構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】実施の形態1における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図6】実施の形態1における遮光板の構成を示す平面図である。
【図7】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図8】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。
【図9】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。
【図10】実施の形態1における第1のマイクロレンズの、視野の大きさと配列との関係を説明するための図である。
【図11】焦点距離測定器の構成を示す概略図である。
【図12】実施の形態2における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図13】実施の形態2におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図14】実施の形態2におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図15】実施の形態2におけるレンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。
【図16】実施の形態3におけるレンズユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図17】実施の形態3における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図18】実施の形態3における遮光板の構成を示す平面図である。
【図19】実施の形態3におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図20】実施の形態4における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図21】実施の形態4におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図22】実施の形態4におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図23】実施の形態5における読取装置としてのスキャナの構成を示す概略図である。
【図24】実施の形態5における読取ヘッドの構成を示す概略図である。
【図25】実施の形態5におけるレンズユニットの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
実施の形態1.
[画像形成装置の構成]
本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態における画像形成装置としてのプリンタ100の構成を示す概略図である。プリンタ100は、本実施の形態に係るレンズユニットを含む露光装置を用いて画像を形成する装置である。具体的には、プリンタ100は、電子写真方式の印刷装置であり、画像データに基づき露光装置により静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像剤で現像することにより、印字媒体上に画像を形成する。現像剤としては、例えば、色材としての顔料を含む樹脂製のトナーが用いられる。
【0011】
本例では、プリンタ100は、カラー電子写真方式のプリンタであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する画像形成部10Y,10M,10C,10Kを有する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、用紙101の搬送経路に沿って配置される。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、互いに同様の構成を有しており、以下、これらを「画像形成部10」と総称する。
【0012】
画像形成部10は、静電潜像担持体としての感光体ドラム41を有する。感光体ドラム41の周囲には、帯電ローラ42と、露光装置としてのLEDヘッド3と、現像器5と、クリーニングブレード43とが配置される。帯電ローラ42は、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して当該表面を帯電させる。LEDヘッド3は、帯電された感光体ドラム41の表面に、画像データに基づいて選択的に光を照射して、静電潜像を形成する。現像器5は、感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する。現像器5のトナーは、トナーカートリッジ51から供給される。クリーニングブレード43は、感光体ドラム41に接触して配置され、転写部(後述)を通過した後の感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去する。
【0013】
画像形成部10に印字媒体としての用紙101を供給するための構成として、プリンタ100は、用紙101を収容する給紙カセット60と、給紙カセット60から用紙101を取り出す給紙ローラ61と、給紙ローラ61により取り出された用紙101を画像形成部10に向けて搬送する搬送ローラ62,63とを有する。
【0014】
また、プリンタ100は、転写ベルトユニット8および転写ローラ80を有する。転写ベルトユニット8は、給紙カセット60からの用紙101を搬送する転写ベルト81と、この転写ベルト81が張架された駆動ローラ82aおよび従動ローラ82bと、転写ベルト81を清掃する転写ベルトクリーナ83とを有する。転写ベルト81は、その表面で用紙101を保持するとともに、駆動ローラ82aの回転によって移動し、画像形成部10Y,10M,10C,10Kに沿って用紙101を搬送する。転写ローラ80は、画像形成部10Y,10M,10C,10Kのそれぞれに対応して設けられ、対応する画像形成部10の感光体ドラム41との間で転写ベルト81を挟むように配置される。
【0015】
また、プリンタ100は、定着器9を有する。定着器9は、一対のローラ(例えば加熱ローラおよび加圧ローラ)9a,9bを有し、用紙101上に形成されたトナー像を熱および圧力で定着させる。定着器9の下流側には、定着器9を通過した用紙101を搬送する搬送ローラ64と、画像が形成された用紙101を収容する排出部7に用紙101を排出する排出ローラ65が配置される。
【0016】
さらに、プリンタ100は、図示しない駆動機構、電源、通信インタフェース、および制御部を有する。駆動機構は、モータやその駆動力を伝達するギヤなどを含み、転写ベルト81、感光体ドラム41、各ローラなどを回転駆動する。電源は、帯電ローラ42、LEDヘッド3、現像器5、転写ローラ80、定着器9、駆動機構の各モータなどに接続され、例えば帯電ローラ42や転写ローラ80に所定の電圧を印加する。通信インタフェースは、外部装置から印刷データ(または画像データ)を受信する。制御部は、現像器5、LEDヘッド3、定着器9、各モータなどに接続され、プリンタ100の全体の制御を行う。
【0017】
[露光装置の構成]
次に、本実施の形態における露光装置の構成について説明する。
図2は、本実施の形態における露光装置としてのLEDヘッド3の構成を示す概略図である。LEDヘッド3は、略直線状に配列された複数のLED素子(発光部)30を含む発光部アレイとしてのLEDアレイ300と、LEDアレイ300が配置される配線基板33と、LEDアレイ300に対向して配置されるレンズユニット1と、レンズユニット1を保持するホルダ34とを有する。
【0018】
図2では、LED素子30の配列方向、すなわちLEDアレイ300の長手方向は、Y方向(図2における左右方向)である。レンズユニット1は、長尺形状を有し、その長手方向がLEDアレイ300の長手方向(Y方向)と平行になるように配置される。図2には、感光体ドラム41も示されている。感光体ドラム41の回転軸AXRは、LEDアレイ300およびレンズアレイ1の長手方向(Y方向)と平行である。レンズユニット1には、その長手方向(Y方向)に沿って複数のマイクロレンズが配置され、各マイクロレンズは、その光軸の方向がZ方向(図2における上下方向)となるように配置される。
【0019】
図3は、本実施の形態におけるLEDヘッド3の構成を示す断面図である。図3は、図2の線分A−Aでの断面図を示す。レンズユニット1は、レンズユニット1の長手方向(Y方向)とマイクロレンズの光軸方向(Z方向)の両方に直交する方向(X方向、図3における左右方向)の幅を有している。レンズユニット1の幅方向(X方向)の中心を通るZ方向の直線(中心線)CL上に、LED素子30および感光体ドラム41の回転軸AXRが配置される。LED素子30は、LED素子30を駆動するドライバIC31とともに配線基板33上に配置される。LED素子30およびドライバIC31は、ワイヤ32により互いに接続される。配線基板33は、ホルダ34に支持される。
【0020】
具体的な一例では、LEDヘッド3の解像度は1200dpiであり、LEDアレイ300において、1インチ(約25.4mm)当たり1200個のLED素子30が配置される。すなわち、LED素子30の配列間隔(ピッチ)PDは、0.02117mmである。
【0021】
[レンズユニットの構成]
次に、本実施の形態におけるレンズユニットの構成について説明する。
図4は、本実施の形態におけるレンズユニット1の構成を示す分解斜視図である。レンズユニット1は、物体側のレンズアレイ(第1のレンズアレイ)としての第1のレンズ板11−1と、結像側のレンズアレイ(第2のレンズアレイ)としての第2のレンズ板11−2とを有する。
【0022】
第1のレンズ板11−1は、複数の第1のレンズとして、複数の第1のマイクロレンズ12−1を含む。複数の第1のマイクロレンズ12−1は、互いに光軸が平行となるように配列される。また、複数の第1のマイクロレンズ12−1は、当該レンズの光軸と直交する方向(第1の方向)に略直線状に配列される。図4において、第1のマイクロレンズ12−1の光軸方向はZ方向(図4における上下方向)であり、第1のマイクロレンズ12−1の配列方向はY方向である。
【0023】
第2のレンズ板11−2は、複数の第2のレンズとして、上記複数の第1のマイクロレンズ12−1に対応する、複数の第2のマイクロレンズ12−2を含む。複数の第2のマイクロレンズ12−2の各々は、当該レンズと対応する第1のマイクロレンズ12−1と光軸が一致するように配置される。また、複数の第2のマイクロレンズ12−2は、当該レンズの光軸と直交する方向(第1の方向、Y方向)に略直線状に配列される。図4において、Z方向の一点鎖線AXLは、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の共通の光軸を表す。第1のマイクロレンズ12−1の配列間隔と、第2のマイクロレンズ12−2の配列間隔とは、互いに同じである。
【0024】
また、レンズユニット1は、遮光部材としての遮光板21を有する。遮光板21は、第1のレンズ板11−1と第2のレンズ板11−2との間に配置される。すなわち、第1のレンズ板11−1と第2のレンズ板11−2とは、遮光板21を挟んで互いに対向して配置される。
【0025】
遮光板21は、第1のレンズ板11−1側から第2のレンズ板11−2側へ入射する光線を制限する絞り部材であり、それぞれ対応する第1のマイクロレンズ12−1からの光線を第2のマイクロレンズ12−2側に通過させる複数の開口部(絞り)22を有する。複数の開口部22はY方向に配列され、その配列間隔は、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の配列間隔と同じである。開口部22は、当該開口部22に対応する第1のマイクロレンズ12−1の光軸AXLと位置が一致するように配置される。すなわち、第1のマイクロレンズ12−1の光軸AXLは、当該レンズに対応する開口部22を通過する。
【0026】
このように、レンズユニット1は、互いに光軸が一致するように配置された2枚のマイクロレンズと絞りとからなるレンズ群を、当該光軸に垂直な方向に略直線状に配置した構成となっている。
【0027】
図5は、第1のレンズ板11−1の構成を示す平面図である。第1のレンズ板11−1には、複数の第1のマイクロレンズ12−1が、間隔PYで略直線状に配置される。
【0028】
第1のマイクロレンズ12−1の幅方向(X方向)における幅は、第1のマイクロレンズ12−1の配列方向(Y方向)における幅より大きい。本例では、第1のマイクロレンズ12−1は、XY平面において、半径RLXの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLX)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。すなわち、第1のマイクロレンズ12−1のX方向の幅はRLX×2(半幅または半径はRLX)であり、第1のマイクロレンズ12−1のY方向の幅はRLY×2(半幅はRLY)である。具体的な一例では、RLX=1.5mm、RLY=0.5mmであり、X方向の幅はY方向の幅の3倍である。
【0029】
第1のマイクロレンズ12−1の光軸AXLは、第1のレンズ板11−1の幅方向(X方向)における略中心に位置する。図5では、第1のマイクロレンズ12−1の光軸は、第1のレンズ板11−1のX方向の中心を通るY方向に平行な直線(中心線)CL上に位置している。
【0030】
互いに隣接する第1のマイクロレンズ12−1は、境界で接し、隙間なく連続して配置または形成されている。したがって、第1のマイクロレンズ12−1のY方向の半幅RLYは、第1のマイクロレンズ12−1の配列間隔PYにより、RLY=PY/2で表される。
【0031】
第2のレンズ板11−2の構成は、第1のレンズ板11−1と同様であり、第1のレンズ板11−1において第1のマイクロレンズ12−1を第2のマイクロレンズ12−2と置き換えたものと同等である。
【0032】
第1のレンズ板11−1および第2のレンズ板11−2は、発光部(LED素子30)の光を透過する素材により構成され、例えば、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製のZEONEX(ゼオネックス)E48R)を使用し、射出成形により複数のマイクロレンズを一体に成形することによって得られる。
【0033】
以下の説明では、光軸AXLを含みマイクロレンズの配列方向(Y方向)に平行な平面(第2の平面)をメリジオナル面(子午線面)と称する。また、光軸AXLを含みマイクロレンズの配列方向(Y方向)と直交する平面(すなわちレンズユニット1の幅方向に平行な平面、第1の平面)をサジタル面(球欠面)と称する。また、マイクロレンズの配列方向をメリジオナル方向、レンズユニットの幅方向をサジタル方向と称する。メリジオナル方向およびサジタル方向は、それぞれ図面におけるY方向およびX方向に対応する。
【0034】
第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2について、メリジオナル面による断面形状と、サジタル面による断面形状とは互いに異なる。具体的には、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の入射面(物体側の面)の断面形状は、メリジオナル面による断面とサジタル面による断面とで異なる。また、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の出射面(結像側の面)の断面形状は、メリジオナル面による断面とサジタル面による断面とで異なる。
【0035】
第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2について、サジタル面による断面形状の曲率半径は、メリジオナル面による断面形状の曲率半径より大きい。具体的には、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2のそれぞれの入射面および出射面について、サジタル面による断面形状の曲率半径は、メリジオナル面による断面形状の曲率半径より大きい。
【0036】
X方向を座標軸とする座標をX座標、Y方向を座標軸とする座標をY座標、Z方向を座標軸とする座標をZ座標とすると、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の曲面(具体的には入射面および出射面)は、例えば、下記のXY多項式(1)で表される形状を有する。Z座標の座標軸は、光軸(中心軸)AXLと一致し、物体から結像へ向かう方向を正方向とする。CRは曲率半径、Kはコーニック定数、CPn,mは多項式の係数を表す。nおよびmはそれぞれXおよびYの冪指数であり、正の整数である。
【数1】
【0037】
さらに、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2のそれぞれの入射面および出射面は、メリジオナル面を対称面として面対称であり、サジタル面を対称面として面対称である。このとき、上記式(1)の冪指数nおよびmは、それぞれ偶数である。
【0038】
図6は、遮光板21の構成を示す平面図である。遮光板21は、複数の開口部22を有する。開口部22の配列間隔は、第1および第2のマイクロレンズ12−1,12−2の配列間隔に一致する。すなわち、開口部22は、Y方向(図6における上下方向)に間隔PYで略直線状に配列される。
【0039】
本例では、開口部22は、XY平面において、半径RAXの円を、当該円の中心から距離RAY(<RAX)だけ離れたX方向(レンズユニット1の幅方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。開口部22の中心(半径RAXの円の中心)は、マイクロレンズの光軸AXLと一致する位置にある。
【0040】
遮光板21は、発光部(LED素子30)の光を遮光する素材により形成され、例えば、ポリカーボネートを用いて射出成型法により作成される。
【0041】
図7は、レンズユニット1の構成を示すサジタル面による断面図である。図7は、図5および図6の線分A−Aでの断面図を示す。図7には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0042】
物体面OP上において、レンズユニット1の幅方向(X方向)の中心を通るZ方向の直線(中心線)CL上の位置に、物体30AとしてのLEDアレイ300が配置される。物体面OPから光軸AXL方向に距離LOだけ離れた位置に第1のマイクロレンズ12−1が配置される。第2のマイクロレンズ12−2は、第1のマイクロレンズ12−1と光軸AXLが一致するように対向して、第1のマイクロレンズ12−1から光軸AXL方向に距離LSだけ隔てた位置に配置される。レンズユニット1の結像面IPの位置は、第2のマイクロレンズ12−2から光軸AXL方向に距離LIだけ隔てた位置である。第1のマイクロレンズ12−1の厚さはLT1であり、第2のマイクロレンズ12−2の厚さはLT2である。
【0043】
ここで、サジタル面内の平行光線(または平行光線束)による焦点、主平面、および焦点距離を、それぞれサジタル焦点、サジタル主平面、およびサジタル焦点距離と称する。
【0044】
第1のマイクロレンズ12−1は、サジタル焦点が物体30Aと一致するように、サジタル主平面HX1と物体面OPとの間隔がサジタル焦点距離FX1と一致するように配置される。また、第2のマイクロレンズ12−2は、サジタル焦点が結像30Cと一致するように、サジタル主平面HX2と結像面IPとの間隔がサジタル焦点距離FX2と一致するように配置される。
【0045】
距離FX1と距離LOの差は、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例し、距離FX2と距離LIの差は、第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径に反比例する。本例では、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径、および第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径はともに大きく、FX1とLOの差およびFX2とLIの差はともに無視することができる。したがって、第1のマイクロレンズ12−1のサジタル焦点距離FX1は、当該レンズから物体面OPまでの距離LOと略一致する。また、第2のマイクロレンズ12−2のサジタル焦点距離FX2は、当該レンズから結像面IPまでの距離LIと略一致する。
【0046】
第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、互いに同じ構成のレンズであってもよい。このとき、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、互いに同じ厚さおよびサジタル焦点距離を有し、LT1=LT2、FX1=FX2である。また、例えば、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面と同じ形状の第2のマイクロレンズ12−2の曲面が結像面側となるように、互いに対向して配置され、距離LOおよび距離LIは互いに等しい距離に設定される。
【0047】
図8は、レンズユニット1の構成を示すメリジオナル面による断面図である。図8は、図5および図6の線分B−Bでの断面図を示す。図8には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0048】
第1のマイクロレンズ12−1は、当該レンズから光軸AXL方向に距離LO1だけ離れた位置にある物体からのメリジオナル面内の光線(以下、「メリジオナル光線」という)を、当該レンズから光軸方向に距離LI1だけ離れた位置にある集光点30Bに集光する。第2のマイクロレンズ12−2は、当該レンズから光軸方向に距離LO2だけ離れた位置にある集光点30Bのメリジオナル光線を、当該レンズから光軸方向に距離LI2だけ隔てた位置に結像する。
【0049】
レンズユニット1の物体面OPから第1のマイクロレンズ12−1までの距離LOは、距離LO1と等しい距離に設定され、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2の間隔LSは、距離(LI1+LO2)と等しい距離に設定され、第2のマイクロレンズ12−2からレンズユニット1の結像面IPまでの距離LIは、距離LI2と等しい距離に設定される。
【0050】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2とが互いに同じ構成を有する場合、距離LO1と距離LI2とは互いに等しく、距離LI1と距離LO2とは互いに等しく、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2の間隔LSは、距離(LI1×2)となる。
【0051】
図9は、レンズユニット1の構成を示すメリジオナル面による断面図である。図9は、図5および図6の線分B−Bでの断面図を示す。図9には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0052】
ここで、メリジオナル面内の平行光線(または平行光線束)による焦点、主平面、および焦点距離を、それぞれメリジオナル焦点、メリジオナル主平面、およびメリジオナル焦点距離と称する。
【0053】
図9において、第1のマイクロレンズ12−1のメリジオナル焦点距離はFY1であり、第1のマイクロレンズ12−1のメリジオナル主平面HF1から物体面OPまでの距離はSO1である。また、第2のマイクロレンズ12−2のメリジオナル焦点距離はFY2であり、第2のマイクロレンズ12−2のメリジオナル主平面HS2から結像面IPまでの距離はSI2である。
【0054】
距離SO1と距離LO1の差は、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例し、距離SI2と距離LI2の差は、第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径に反比例する。本例では、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径、および第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径はともに大きく、SO1とLO1の差およびSI2とLI2の差はともに無視することができ、SO1≒LO1かつSI2≒LI2である。
【0055】
第1のマイクロレンズ12−1のメリジオナル焦点距離FY1は、当該レンズのサジタル焦点距離FX1に比べて小さくなっている。また、第2のマイクロレンズ12−2のメリジオナル焦点距離FY2は、当該レンズのサジタル焦点距離FX2に比べて小さくなっている。
【0056】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間では、物体面OP上の各点からの光線の主光線が光軸AXLと平行である。開口部22を画定する遮光板21の内壁の直近を通る光線BCの外側の周辺光線は遮光板21によって遮断される。光線BCと光軸AXLと物体面OPとで作られる三角形と、光線BCと光軸AXLとメリジオナル主平面HF1とで作られる三角形とは互いに相似である。これらのことから、第1のマイクロレンズ12−1の視野の大きさVY(物体面OPと光軸AXLとの交点から物体面OPと光線BCとの交点までの距離)は、下記式(2)で表される。
【数2】
【0057】
図10は、第1のマイクロレンズ12−1の視野の大きさと配列との関係を説明するための図である。図10には、第1のマイクロレンズ12−1および物体面OPのメリジオナル面による断面図が示されている。以下、図10を参照して、第1のマイクロレンズ12−1の視野の大きさVYと配列との関係を説明する。
【0058】
図10(a)は、すべてのLED素子30が少なくとも1つのマイクロレンズの視野に含まれ、すべてのLED素子30の結像が感光体ドラム41に形成される場合であって、視野の大きさVYが最小である場合を示している。このとき、視野の大きさVYは、マイクロレンズの配列間隔PYを用いて、下記式(3)で表される。
【数3】
【0059】
上記式(2)および式(3)から、すべてのLED素子30の結像が感光体ドラム41に形成されるための配列間隔PYの条件は、メリジオナル焦点距離FY1、距離LO1、Y方向における開口部22の開口の半幅RAYを用いて、下記式(4)で表される。
【数4】
【0060】
2つ以上のマイクロレンズによって各LED素子30の結像が形成されるように構成することによって、すべてのLED素子30の結像を略同じ形状で略同じ光量で形成することが可能になる。
【0061】
図10(b)は、すべてのLED素子30が2つの第1のマイクロレンズ12−1の視野に含まれる場合を示している。このとき、視野の大きさVYは、マイクロレンズの配列間隔PYを用いて、下記式(5)で表される。
【数5】
【0062】
一方、マイクロレンズによる結像は、わずかながらに歪みを持っているため、多数のマイクロレンズの結像が重ね合わされることによって結像が劣化する場合がある。実験によって、各LED素子30が4つ以上のマイクロレンズの視野に含まれ、結像が形成されるとき、各マイクロレンズの歪みによって解像度が著しく低下することが判明した。
【0063】
図10(c)は、すべてのLED素子30が4つの第1のマイクロレンズ12−1の視野に含まれる場合を示している。このとき、視野の大きさVYは、マイクロレンズの配列間隔PYを用いて、下記式(6)で表される。
【数6】
【0064】
上記式(2)、式(5)、および式(6)から、良好な結像を得るための配列間隔PYの条件は、メリジオナル焦点距離FY1、距離LO1、Y方向における開口部22の開口の半幅RAYを用いて、下記式(7)で表される。
【数7】
【0065】
[画像形成装置の動作]
上記構成を有する画像形成装置としてのプリンタ100の動作について、図1を参照して説明する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kの各々において、感光体ドラム1の表面は、電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって、帯電された感光体ドラム41の表面は、LEDヘッド3の付近に到達し、LEDヘッド3によって露光され、感光体ドラム41の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は現像器5により現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0066】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙101は、給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62,63により、転写ベルト81へ搬送される。さらに、用紙101は、転写ベルト81に保持されて搬送され、画像形成部10Y,10M,10C,10Kを順に通過する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kの各々の感光体ドラム41の表面上のトナー像は、感光体ドラム41の回転により、転写ローラ80および転写ベルト81の付近に搬送され、電圧が印加されている転写ローラ80と転写ベルト81によって用紙101上に転写される。続いて、表面にトナー像が形成された用紙101は、転写ベルト81の回転によって定着器9に搬送される。用紙101上のトナー像は、定着器9により加圧されながら加熱されることにより、溶融し、用紙101上に固定される。さらに、用紙101は、搬送ローラ64および排出ローラ65により、排出部7に排出され、プリンタ100の動作が終了する。
【0067】
[露光装置の動作]
次に、露光装置の動作について、図3を参照して説明する。プリンタ100の制御部は、画像データに基づき、露光装置としてのLEDヘッド3に制御信号を出力する。LEDヘッド3のドライバIC31は、制御部からの制御信号に基づき、各LED素子30に駆動信号を出力する。各LED素子30は、ドライバIC31からの駆動信号に応じた光量で発光する。LED素子30から出射された光はレンズユニット1に入射し、感光体ドラム41上に結像する。
【0068】
[レンズユニットの作用]
レンズユニット1の作用について、図7を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられる光線のうち、サジタル面内の光線(以下、「サジタル光線」という)は、第1のマイクロレンズ12−1に入射し、第1のマイクロレンズ12−1によって平行化されて平行光線となる。つまり、第1のマイクロレンズ12−1は、サジタル面内でコリメートレンズとして作用し、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間において、物体30Aのサジタル光線は平行光線となっている。そして、当該平行光線は、第2のマイクロレンズ12−2によって結像面IP上に集光し、これにより物体30Aの像である結像30Cが形成される。結像30Cは、物体30Aの倒立像であり、物体面OP上の+X方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、−X方向の矢印となる。すなわち、レンズユニット1は、X方向において、倒立像を形成する。
【0069】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2とが互いに同じ構成を有する場合にも、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間において、物体30Aのサジタル光線は平行光線となり、物体30Aの倒立像である結像30Cが形成される。
【0070】
このように、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、サジタル面において、物体30Aからの光線が第1のマイクロレンズ12−1により平行化され、当該平行化された光線が第2のマイクロレンズ12−2により結像面IPに結像するように構成される。
【0071】
なお、物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は、遮光板21により遮断される。
【0072】
次に、レンズユニット1の作用について、図8を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられる光線のうち、メリジオナル面内の光線(メリジオナル光線)は、第1のマイクロレンズ12−1に入射し、第1のマイクロレンズ12−1によって、当該レンズから光軸方向に距離LI1だけ隔てた集光面IMP上の集光点30Bに集光する。そして、集光点30Bを通過した光線は、第2のマイクロレンズ12−2によって結像面IP上に結像し、これにより、集光点30Bに形成された像の結像が結像面IP上に形成され、結像面IP上に物体30Aの像である結像30Cが形成される。集光点30Bに形成される像は、物体30Aの倒立縮小像であり、結像30Cは、集光点30Bの像の倒立拡大像である。すなわち、第1のマイクロレンズ12−1は、物体30Aの縮小等立像を形成し、第2のマイクロレンズ12−2は、第1のマイクロレンズ12−1により形成された像の拡大等立像を形成する。また、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間では、物体面OP上の各点からのメリジオナル光線の主光線が平行であり、いわゆるテレセントリックになっている。
【0073】
メリジオナル面において、結像30Cは、物体30Aの正立等倍像であり、物体面OP上の+Y方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、+Y方向の矢印となる。すなわち、レンズユニット1は、Y方向において、正立等倍像を形成する。
【0074】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2とが互いに同じ構成を有する場合にも、レンズユニット1は、メリジオナル面上で、物体30Aの正立等倍像を形成する。具体的には、物体30AとしてのLED素子30のメリジオナル光線は、第1のマイクロレンズ12−1に入射し、第1のマイクロレンズ12−1によって、当該レンズから光軸方向に距離LS/2だけ隔てた位置にある集光点30Bに集光する。さらに、第2のマイクロレンズ12−2によって、集光点30Bに形成された像の結像が結像面IP上に形成されることにより、結像面IP上に物体30Aの結像30Cが形成される。また、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間ではテレセントリックになっている。
【0075】
このように、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、メリジオナル面において、物体30Aからの光線が第1のマイクロレンズ12−1により集光点に集光し、当該集光点を通過した光線が第2のマイクロレンズ12−2により結像面に結像するように構成される。
【0076】
なお、物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は遮光板21により遮断される。
【0077】
以上のように、サジタル面においては、結像30Cは物体30Aの倒立像であり、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像である。つまり、結像30Cは、物体30Aの鏡像であり、例えば物体30Aに対しメリジオナル面を対称面とした鏡映対称となっている。
【0078】
[焦点距離の測定]
次に、レンズユニット1のマイクロレンズ(第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2)の焦点距離の測定について説明する。マイクロレンズの焦点距離は、例えば、ノーダル・スライド法により測定される。
【0079】
図11は、ノーダル・スライド法を用いた焦点距離測定器200の構成を示す概略図である。図11(a)および図11(b)は、それぞれ焦点距離測定器200の平面図および側面図である。
【0080】
焦点距離測定器200は、回転台201、ステージ202、顕微鏡203、および照明装置204を有する。回転台201は、回転軸201Aを中心に回転可能に構成されている。回転台201上には、ステージ202が配置される。ステージ202上には、被検レンズ12(第1のマイクロレンズ12−1または第2のマイクロレンズ12−2)が、当該被検レンズ12の光軸AXが顕微鏡203の光軸と一致するように固定される。ステージ202および被検レンズ12は、回転台201の回転に伴って回転する。また、ステージ202は、光軸AXと平行な方向に移動可能に構成されている。顕微鏡203は、光軸AXと平行な方向に移動可能に構成されている。また、顕微鏡203は、当該顕微鏡203の物体面の位置が回転軸201Aの位置と一致する場合を基準として、顕微鏡203の移動量が計測可能なように構成されている。照明装置204は、メリジオナル面内で光軸AXと平行な平行光線BTY、およびサジタル面内で光軸AXと平行な平行光線BTXを発し、被検レンズ12に入射させることができるように構成されている。
【0081】
図11(a)を参照して、メリジオナル焦点距離FYの測定方法について説明する。照明装置204から平行光線BTYを発し、顕微鏡203を被検レンズ12から離れる方向へ移動させ、被検レンズ12による平行光線BTYの像が最も小さくなる位置まで顕微鏡203を移動させる。次に、回転台201を微小に回転させても平行光線BTYの集光位置(像の位置)が変わらない位置となるように、ステージ202および顕微鏡203をそれぞれ移動させる。そして、上記位置になったときの顕微鏡203の移動量ZY1を計測する。すなわち、回転台201を微小に回転させても平行光線BTYの集光位置が変わらない状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZY1を計測する。ここで、移動量(距離)ZY1は、被検レンズ12のメリジオナル焦点距離FYに相当する。また、このとき、回転軸201Aの位置は、被検レンズ12のメリジオナル主平面の位置に相当する。
【0082】
次に、ステージ202の位置を固定したまま、顕微鏡203を被検レンズ12に近付ける方向に移動させ、顕微鏡203の物体面を被検レンズ12の面頂点に一致させる。そして、このときの顕微鏡203の移動量ZY2を計測する。すなわち、顕微鏡203の物体面が被検レンズ12の面頂点と一致する状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZY2を計測する。さらに、被検レンズ12の面頂点から被検レンズ12の物体面までの距離LOを別の方法で測定することによって、被検レンズ12の物体面とメリジオナル主平面との距離SOを、SO=ZY2+LOより求めることができる。
【0083】
図11(b)を参照して、サジタル焦点距離FXの測定方法について説明する。照明装置204から平行光線BTXを発し、顕微鏡203を被検レンズ12から離れる方向へ移動させ、被検レンズ12による平行光線BTXの像が最も小さくなる位置まで顕微鏡203を移動させる。次に、回転台201を微小に回転させても平行光線BTXの集光位置(像の位置)が変わらない位置となるように、ステージ202および顕微鏡203をそれぞれ移動させる。そして、上記位置となったときの顕微鏡203の移動量ZX1を計測する。すなわち、回転台201を微小に回転させても平行光線BTXの集光位置が変わらない状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZX1を計測する。ここで、移動量(距離)ZX1は、被検レンズ12のサジタル焦点距離FXに相当する。また、このとき、回転軸201Aの位置は、被検レンズ12のサジタル主平面の位置に相当する。
【0084】
次に、ステージ202の位置を固定したまま、顕微鏡203を被検レンズ12に近付ける方向に移動させ、顕微鏡203の物体面を被検レンズ12の面頂点に一致させる。そして、このときの顕微鏡203の移動量ZX2を計測する。すなわち、顕微鏡203の物体面が被検レンズ12の面頂点と一致する状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZX2を計測する。さらに、被検レンズ12の面頂点から被検レンズ12の物体面までの距離LOを別の方法で測定することによって、被検レンズ12の物体面とメリジオナル主平面との距離SOを、SO=ZX2+LOより求めることができる。
【0085】
[効果]
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果が得られ得る。
本実施の形態では、レンズユニットは、互いに光軸が平行となるように光軸と直交するY方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、それぞれ対応する第1のレンズと光軸が一致するようにY方向に配列された複数の第2のレンズを含む第2のレンズアレイとを有する。このレンズユニットにおいて、互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、光軸を含みY方向と直交するサジタル面において、物体からの光線が第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が第2のレンズにより結像面に結像するように構成される。この構成によれば、光利用効率が高いレンズユニットを得ることが可能となる。具体的には、光源からの光線を多く取り込み、明るい結像を形成することができるレンズユニットを構成することが可能となる。このようなレンズユニットによれば、光源の光量が小さくても、十分な明るさの結像を形成することが可能になる。
【0086】
より具体的には、サジタル面とメリジオナル面の両面において、物体からの光線が第1のレンズにより第1のレンズと第2のレンズとの間の集光点に集光し、当該集光点を通過した光線が第2のレンズにより結像面に結像する従来の構成では、第1のレンズの物体側の面および第2のレンズの結像側の面の曲率半径が比較的小さい。このため、当該構成では、多くの光線を取り込むことができるようにレンズのX方向の寸法(例えば幅または半径)を大きくすると、レンズの厚さが厚くなってしまう。レンズが厚くなると、隣り合う2つのレンズの一方から他方へ透過する光(いわゆるクロストーク光)が増加して、結像のコントラストが低下してしまう。
【0087】
一方、本実施の形態では、サジタル面内において、第1のレンズは物体からの光線を平行化するように(すなわちコリメートレンズとして作用するように)構成され、第2のレンズは平行化された光線を結像するように構成される。この構成では、サジタル面において、第1のレンズの物体側の面および第2のレンズの結像側の面の曲率半径が比較的大きくなる。このため、当該構成によれば、レンズのX方向の寸法を大きくした場合におけるレンズの厚さの増大を回避または軽減することができ、クロストーク光の増大を回避または軽減することができる。これにより、結像のコントラストの低下を回避または軽減しつつ、多くの光線を取り込むことができるようにレンズを大きくすることが可能となり、光利用効率が高いレンズユニットを得ることが可能となる。
【0088】
具体的な一例では、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の半幅RLXを半幅RLY(=0.5mm)の3倍の1.5mmとすることにより、半幅RLXおよび半幅RLYがともに0.5mmの場合と比較して、マイクロレンズの光量を増大させることができる。
【0089】
また、本実施の形態のレンズユニットにおいては、レンズのサジタル焦点距離が、上記従来の構成に比べて大きくなる。一般にレンズの明るさFNは、レンズの焦点距離をF、レンズの口径(外径)をΦとしたとき、FN=F/Φで表され、焦点距離が大きいほど明るさFNは大きくなる。よって、本実施の形態のレンズユニットは、従来のレンズユニットに比べて明るい結像を形成することができる。
【0090】
さらに、サジタル面内において、第1のレンズから出射される光線が平行光線であるため、従来のレンズユニットに比べて収差が低減され、結像の歪みやボケが低減される。
【0091】
なお、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、球面で形成されても良いし、アナモフィック非球面や、放物面、楕円面、双曲面、コーニック面等の曲面で形成されても良い。
【0092】
また、第1のレンズ板11−1および第2のレンズ板11−2は、例えば金型成型により形成されるが、樹脂を型に用いた型成型法や切削加工などにより形成されてもよい。
【0093】
また、第1のレンズ板11−1および第2のレンズ板11−2の素材は、例えば樹脂であるが、ガラス等でも良い。
【0094】
また、遮光板21は、例えばポリカーボネートを用いて射出成型法により作成されるが、この限りではなく、切削加工により作成されても良いし、金属をエッチングすることで作成されても良い。
【0095】
また、上記の説明では、発光部としてLED素子を用いる場合を例示したが、発光部としては、有機EL(エレクトロルミネッセンス)やレーザなど、LED素子以外のものが用いられても良い。
【0096】
また、本件明細書において、「直交」、「平行」、「一致」とは、それぞれ、厳密な意味での直交、平行、一致に限定されるものではなく、略直交、略平行、略一致も含む。
【0097】
実施の形態2.
以下、実施の形態2におけるレンズユニットについて説明する。本実施の形態におけるレンズユニットは、実施の形態1のレンズユニット1に対し、マイクロレンズの形状が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0098】
図12は、第1のレンズ板11−1の構成を示す平面図である。図13および図14は、レンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。図15は、レンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。図13および図14は、図12の線分A−Aでの断面図を示す。図15は、図12の線分B−Bでの断面図を示す。図13〜図15には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0099】
図12〜図15に示されるように、第1のマイクロレンズ12−1は、物体側の面としての外側面13−1と、結像側の面としての内側面14−1とを有する。第2のマイクロレンズ12−2は、物体側の面としての内側面14−2と、結像側の面としての外側面13−2とを有する。
【0100】
外側面13−1は、XY平面において、半径RLXAの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXA)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。したがって、外側面13−1のX方向における幅はRLXA×2(半幅または半径はRLXA)であり、外側面13−1のY方向における幅はRLY×2(半幅はRLY)であり、外側面13−1のX方向における幅はY方向における幅より大きい。
【0101】
内側面14−1は、XY平面において、半径RLXBの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXB)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。したがって、内側面14−1のX方向における幅はRLXB×2(半幅または半径はRLXA)であり、内側面14−1のY方向における幅はRLY×2(半幅はRLY)であり、内側面14−1のX方向における幅はY方向における幅より大きい。
【0102】
本例では、外側面13−2は、上記外側面13−1と同様の形状を有し、内側面14−2は、上記内側面14−1と同様の形状を有する。ただし、外側面13−2および内側面14−2は、それぞれ外側面13−1および内側面14−1と異なる形状であってもよい。
【0103】
図13および図14に示されるように、第1のマイクロレンズ12−1は、X方向(またはサジタル面)において、外側面13−1の幅(または半幅)が、内側面14−1の幅(または半幅)より小さくなるように構成されている。また、第2のマイクロレンズ12−2は、X方向(またはサジタル面)において、外側面13−2の幅(または半幅)が、内側面14−2の幅(または半幅)より小さくなるように構成されている。本例では、外側面13−1のX方向における半径RLXAは、内側面14−1のX方向における半径RLXBより小さくされている。また、外側面13−2のX方向における半径RLXAは、内側面14−2のX方向における半径RLXBより小さくされている。
【0104】
図14において、平面HX1は、物体30A側に向かい内側面14−1に入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR1は、物体30A側に向かい内側面14−1にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面14−1の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P1は、周辺光線PR1と光軸AXLとの交点の位置(物体30Aの位置)を表す。点P3は、外側面13−1の頂点を表す。点P2は、外側面13−1の頂点P3における接線と周辺光線PR1との交点を表す。点P4は、周辺光線PR1とサジタル主平面HX1との交点を表す。点P5は、光軸AXLとサジタル主平面HX1との交点を表す。
【0105】
三角形P1P2P3と三角形P1P4P5とは、相似の関係である。したがって、物体30Aからサジタル主平面HX1までの距離をSO1、物体30Aから外側面13−1までの距離をLO1とすると、線分P2P3の長さは、下記式(8)で表される。
【数8】
【0106】
周辺光線PR1が外側面13−1の最も外側を通過する場合、外側面13−1のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(9)を満たす。
【数9】
【0107】
そこで、一つの態様では、第1のマイクロレンズ12−1は、外側面13−1のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(9)を満たすように構成される。
【0108】
また、一つの態様では、第1のマイクロレンズ12−1は、サジタル面において、物体30A側に向かい内側面14−1に平行光線を入射させた場合、内側面14−1の端部に入射した光線が、外側面13−1の端部を通過するように構成される。
【0109】
図14において、平面HX2は、結像30C側に向かい内側面14−2へ入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR2は、結像30C側に向かい内側面14−2にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面14−2の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P6は、周辺光線PR2と光軸AXLとの交点の位置(結像30Cの位置)を表す。点P8は、外側面13−2の頂点を表す。点P7は、外側面13−2の頂点P8における接線と周辺光線PR2との交点を表す。点P9は、周辺光線PR2とサジタル主平面HX2との交点を表す。点P10は、光軸AXLとサジタル主平面HX2との交点を表す。
【0110】
三角形P6P7P8と三角形P6P9P10とは、相似の関係である。したがって、サジタル主平面HX2から結像30Cまでの距離をSI2、外側面13−2から結像30Cまでの距離をLI2とすると、線分P7P8の長さは、下記式(10)で表される。
【数10】
【0111】
周辺光線PR2が外側面13−2の最も外側を通過する場合、外側面13−2のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(11)を満たす。
【数11】
【0112】
そこで、一つの態様では、第2のマイクロレンズ12−2は、外側面13−2のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(11)を満たすように構成される。
【0113】
また、一つの態様では、第2のマイクロレンズ12−2は、サジタル面において、結像30C側に向かい内側面14−2に平行光線を入射させた場合、内側面14−2の端部に入射した光線が、外側面13−2の端部を通過するように構成される。
【0114】
図13および図14に示されるように、X方向またはサジタル面において、内側面14−1の幅または半幅は、開口部22の幅または半幅より大きくされる。具体的には、内側面14−1のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。また、内側面14−2の幅または半幅は、開口部22の幅または半幅より大きくされる。具体的には、内側面14−2のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。
【0115】
図15に示されるように、レンズユニットのメリジオナル面における構成は、実施の形態1におけるレンズユニット1と同様である。
【0116】
以上説明した本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果の他に、以下の効果が得られ得る。
本実施の形態では、第1のレンズは、X方向における物体側の面の幅が、X方向における結像側の面の幅より小さくなるように構成される。また、第2のレンズは、X方向における結像側の面の幅が、X方向における物体側の面の幅より小さくなるように構成される。このように、レンズの一方の面(外側面)を小さく構成することにより、レンズの加工領域を少なくすることが可能となる。これにより、例えば、加工時間の短縮や加工精度の向上が可能となる。特に、第1のレンズの物体側の面の幅または第2のレンズの結像側の面の幅を、有効な光線が入射する範囲内に収めることにより、有効な光線が入射しない領域の加工を無くすことができ、加工領域を最小限にすることができる。
【0117】
具体的には、レンズユニットの光利用効率を高くするため(レンズアレイの光量を増加させるため)、レンズの寸法(例えば半径)を拡大すると、レンズの加工領域が増大するので、加工に時間がかかったり、加工の精度が低下したりすることが考えられる。また、レンズの周囲での厚さが薄くなるので、強度が低下することによって、レンズアレイに歪みが生じることが考えられる。
【0118】
これに対し、本実施の形態の構成によれば、レンズの寸法を拡大した場合におけるレンズの加工領域の増大を抑えることが可能となる。特に、第1のレンズの物体側の面の幅または第2のレンズの結像側の面の幅を、有効な光線が入射する範囲内に収めることにより、有効な光線が入射しない領域の加工を無くすことができ、加工領域の増大を最小限に抑えることができる。また、レンズの寸法を拡大する場合に、第1のレンズの物体側の面または第2のレンズの結像側の面の周囲の高さ(第1のレンズまたは第2のレンズの周囲の厚さ)を確保することができ、レンズアレイの強度を保つことができる。具体的には、凸レンズの場合、曲率半径が同じである場合、レンズの径が大きくなるほど、レンズの縁の厚さが薄くなる。本実施の形態の構成では、レンズの径が小さくなっているので、レンズの縁の厚さが確保される。
【0119】
また、本実施の形態では、X方向について、第1のレンズの結像側の面の幅は、開口部の幅より大きい。この構成により、第1のレンズアレイと遮光部材との接合が容易となり、レンズユニットの組み立て性が向上する。例えば、第1のレンズアレイと遮光部材とを接合して組み立てる際に、幅方向(X方向)に多少の位置ずれが生じても、第1のレンズの物体側の面の周囲からの光線が開口部に入射しにくく、結像の劣化(例えば結像の解像度の劣化)がおきにくい。また、本実施の形態では、第2のレンズの物体側の面の幅は、開口部の幅より大きい。この構成により、第2のレンズアレイと遮光部材との接合が容易となり、レンズユニットの組み立て性が向上する。例えば、第2のレンズアレイと遮光部材とを接合して組み立てる際に、幅方向(X方向)に多少の位置ずれが生じても、開口部を通過した光線が第2のレンズの結像側の面の周囲に入射しにくく、結像の劣化(例えば結像の解像度の劣化)がおきにくい。
【0120】
実施の形態3.
以下、実施の形態3におけるレンズユニットについて説明する。本実施の形態のレンズユニットは、実施の形態1のレンズユニット1に対し、マイクロレンズの配置が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0121】
図16は、本実施の形態におけるレンズユニットの構成を示す分解斜視図である。レンズユニットは、物体側のレンズアレイ(第1のレンズアレイ)としての第1のレンズ板111−1と、結像側のレンズアレイ(第2のレンズアレイ)としての第2のレンズ板111−2とを有する。
【0122】
第1のレンズ板111−1は、第1のレンズ列115−1と、第2のレンズ列116−1とを有する。第1のレンズ列115−1および第2のレンズ列116−1は、それぞれ複数の第1のマイクロレンズ112−1を含む。これらの複数の第1のマイクロレンズ112−1は、互いに光軸が平行となるように配列される。また、第1のレンズ列115−1および第2のレンズ列116−1の各々において、複数の第1のマイクロレンズ112−1は、光軸と直交する方向に略直線状に配列される。第1のマイクロレンズ112−1の光軸方向はZ方向であり、第1のマイクロレンズ112−1の配列方向はY方向である。
【0123】
第2のレンズ板111−2は、第1のレンズ列115−2と、第2のレンズ列116−2とを有する。第1のレンズ列115−2および第2のレンズ列116−2は、それぞれ複数の第2のマイクロレンズ112−2を含む。複数の第2のマイクロレンズ112−2の各々は、当該レンズと対応する第1のマイクロレンズ112−1と光軸が一致するように配列される。第1のレンズ列115−2および第2のレンズ列116−2の各々において、複数の第2のマイクロレンズ112−2は、光軸と直交する方向(Y方向)に略直線状に配列される。図16において、Z方向の一点鎖線AXLは、第1のマイクロレンズ112−1および第2のマイクロレンズ112−2の共通の光軸を表す。第1のマイクロレンズ112−1の配列間隔と、第2のマイクロレンズ112−2の配列間隔とは、互いに同じである。
【0124】
このように、本実施の形態では、第1のレンズ板111−1には第1のマイクロレンズ112−1が2列に配列され、第2のレンズ板111−2には第2のマイクロレンズ112−2が2列に配列される。
【0125】
また、レンズユニットは、遮光部材としての遮光板121を有する。この遮光板121は、第1のレンズ板111−1側から第2のレンズ板111−2側へ入射する光線を制限する絞り部材であり、それぞれ対応する第1のマイクロレンズ112−1からの光線を第2のマイクロレンズ112−2側に通過させる複数の開口部(絞り)122を有する。
【0126】
第1のレンズ板111−1と第2のレンズ板111−2とは、遮光板121を挟んで互いに対向して配置される。
【0127】
図17は、第1のレンズ板111−1の構成を示す平面図である。第1のレンズ板111−1において、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1と、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1とは、マイクロレンズの配列方向(Y方向)について交互に配置される。具体的には、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1の配列方向は、第1のレンズ板111−1の長手方向に平行な方向であり、配列間隔はPY×2である。同様に、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1の配列方向は、第1のレンズ板111−1の長手方向に平行な方向であり、配列間隔はPY×2である。第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1と第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1との配列間隔はPYである。このように、図17の例では、第1のレンズ板111−1には、第1のマイクロレンズ112−1が、2列に、千鳥格子状に配置されている。
【0128】
第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1は、XY平面において、半径RLXの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLX)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心を通るY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。したがって、第1のマイクロレンズ112−1のX方向(またはサジタル面)における幅(または半径)はRLXであり、Y方向(またはメリジオナル面)における幅はRLY×2(半幅はRLY)である。具体的な一例では、RLX=1.5mm、RLY=0.5mmである。
【0129】
第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1は、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1を、光軸AXLを回転軸として(Z方向周りに)180度回転させた形状を有する。
【0130】
第1のマイクロレンズ112−1は、例えば、実施の形態1における第1のマイクロレンズ12−1をYZ平面で半分に切断した形状となっている。
【0131】
第1のレンズ板111−1において、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLと、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLとは、レンズユニットの幅方向(X方向)における略中心に位置し、図17の例では、レンズユニットの幅方向の中心を通るY方向の中心線CL上に位置している。第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1と、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1とは、中心線CLで互いにX方向に隣接する。
【0132】
第1のレンズ列115−1および第2のレンズ列116−1において、互いにY方向に隣接する第1のマイクロレンズ112−1は、境界で接し、隙間なく連続して配置または形成されている。したがって、第1のマイクロレンズ112−1の配列方向(Y方向)の半幅RLYは、レンズ配列間隔PYと等しくなっている。
【0133】
第2のレンズ板111−2の構成は、第1のレンズ板111−1と同様であり、第1のレンズ板111−1において第1のマイクロレンズ112−1を第2のマイクロレンズ112−2と置き換えたものと同等である。
【0134】
図18は、遮光板121の構成を示す平面図である。遮光板121は、複数の開口部122を有する。開口部122のY方向(マイクロレンズ配列方向)の配列間隔は、第1のマイクロレンズ112−1のY方向の配列間隔と一致する。開口部122は、対応する第1のマイクロレンズ112−1と対向するように配置される。具体的には、開口部122のY方向における中心位置は、対応する第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLの位置と一致するように配置される。
【0135】
開口部122は、半径RAXの円を、当該円の中心から距離RAY(<RAX)だけ離れたX方向(レンズユニットの幅方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心から距離TB/2だけ離れたY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。上記半径RAXの円の中心位置は、対応する第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLの位置と一致する。第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLは、遮光板121の幅方向(X方向)の中心を通る中心線CL上に位置する。第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLは開口部122の範囲外にあり、物体30Aから発せられた光軸AXLに一致する光線は、遮光板121により遮光される。
【0136】
図19は、レンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。図19は、図17および図18の線分A−Aでの断面図を示す。図19には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0137】
物体面OP上において、レンズユニットの幅方向(X方向)の中心を通るZ方向の直線(中心線)CL上の位置に、物体30AとしてのLEDアレイ300が配置される。物体面OPから光軸AXL方向に距離LOだけ離れた位置に第1のマイクロレンズ112−1が配置される。第2のマイクロレンズ112−2は、第1のマイクロレンズ112−1と光軸AXLが一致するように対向して、第1のマイクロレンズ112−1から光軸AXL方向に距離LSだけ隔てた位置に配置される。レンズユニットの結像面IPの位置は、第2のマイクロレンズ112−2から光軸AXL方向に距離LIだけ隔てた位置である。第1のマイクロレンズ112−1の厚さはLT1であり、第2のマイクロレンズ112−2の厚さはLT2である。
【0138】
第1のマイクロレンズ112−1は、サジタル焦点が物体30Aと一致するように、サジタル主平面HX1と物体面OPとの間隔がサジタル焦点距離FX1と一致するように配置される。また、第2のマイクロレンズ112−2は、サジタル焦点が結像30Cと一致するように、サジタル主平面HX2と結像面IPとの間隔がサジタル焦点距離FX2と一致するように配置される。
【0139】
本例では、第1のマイクロレンズ112−1の物体面側の曲面の曲率半径、および第2のマイクロレンズ112−2の結像面側の曲面の曲率半径はともに大きく、FX1とLOの差およびFX2とLIの差はともに無視することができる。したがって、第1のマイクロレンズ112−1のサジタル焦点距離FX1は、当該レンズから物体面OPまでの距離LOと略一致する。また、第2のマイクロレンズ112−2のサジタル焦点距離FX2は、当該レンズから結像面IPまでの距離LIと略一致する。
【0140】
以下、レンズユニットの作用について、図19を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられたサジタル光線は、第1のマイクロレンズ112−1に入射し、第1のマイクロレンズ112−1によって平行光線となる。そして、当該平行光線は、第2のマイクロレンズ112−2によって結像面IP上に集光し、これにより物体30Aの像である結像30Cが形成される。結像30Cは、物体30Aの倒立像であり、物体面OP上の+X方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、−X方向の矢印となる。物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は、遮光板121により遮断される。
【0141】
実施の形態1と同様に、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像であり、物体面OP上の+Y方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、+Y方向の矢印となる。
【0142】
このように、サジタル面においては、結像30Cは物体30Aの倒立像であり、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像である。つまり、結像30Cは、物体30Aの鏡像であり、例えば物体30Aに対しメリジオナル面を対称面とした鏡映対称となっている。
【0143】
以上説明した本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果の他に、以下の効果が得られ得る。
本実施の形態では、第1のレンズアレイは、それぞれ第1のレンズがY方向に配列された第1および第2のレンズ列を有し、第2のレンズアレイは、それぞれ第2のレンズがY方向に配列された第1および第2のレンズ列を有する。この構成によれば、レンズアレイが1列のレンズ列のみを有する場合と比較して、Y方向におけるレンズの配列間隔を短くすることが可能となり、均一な光学特性を得ることが可能となる。具体的には、レンズの配置に依存する光量や解像度の周期的な低下を抑制し、レンズユニット全体で均一な光学特性を得ることが可能となる。また、これにより、露光装置全体で均一な光学特性を得ることが可能となる。
なお、図16に示される実施の形態3のレンズユニットでは、1個のマイクロレンズに着目すると、光軸AXLに対して+X方向または−X方向のどちらか一方にしか形成されておらず、図4に示される実施の形態1のレンズユニットと比較して、マイクロレンズ1個当たりの結像の光量は小さくなる。しかし、図16に示されるレンズユニットでは、図4に示されるレンズユニットと比較して、実質2倍の個数のマイクロレンズが形成されているので、レンズユニット1つ当たりの光量は略同じである。
【0144】
実施の形態4.
以下、実施の形態4におけるレンズユニットについて説明する。本実施の形態のレンズユニットは、実施の形態3のレンズユニットに対し、マイクロレンズの形状が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態3と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態3と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0145】
図20は、第1のレンズ板111−1の構成を示す平面図である。図21および図22は、レンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。図21および図22は、図20の線分A−Aの位置での断面図を示す。図21および図22には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0146】
図20〜図22に示されるように、第1のマイクロレンズ112−1は、物体側の面としての外側面113−1と、結像側の面としての内側面114−1とを有する。第2のマイクロレンズ112−2は、物体側の面としての内側面114−2と、結像側の面としての外側面113−2とを有する。
【0147】
外側面113−1は、XY平面において、半径RLXAの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXA)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心を通るY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。したがって、外側面113−1のX方向(またはサジタル面)における幅(または半径)はRLXAであり、Y方向(またはメリジオナル面)における幅はRLY×2(半幅はRLY)である。
【0148】
内側面114−1は、XY平面において、半径RLXBの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXB)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心を通るY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。したがって、内側面114−1のX方向(またはサジタル面)における幅(または半径)はRLXBであり、Y方向(またはメリジオナル面)における幅はRLY×2(半幅はRLY)である。
【0149】
本例では、外側面113−2は、上記外側面113−1と同様の形状を有し、内側面114−2は、上記内側面114−1と同様の形状を有する。ただし、外側面113−2および内側面114−2は、それぞれ外側面113−1および内側面114−1と異なる形状であってもよい。
【0150】
図21および図22に示されるように、第1のマイクロレンズ112−1は、X方向(またはサジタル面)において、外側面113−1の幅が、内側面114−1の幅より小さくなるように構成されている。また、第2のマイクロレンズ112−2は、X方向(またはサジタル面)において、外側面113−2の幅が、内側面114−2の幅より小さくなるように構成されている。本例では、外側面113−1のX方向における半径RLXAは、内側面114−1のX方向における半径RLXBより小さくされている。また、外側面113−2のX方向における半径RLXAは、内側面114−2のX方向における半径RLXBより小さくされている。
【0151】
第1のマイクロレンズ112−1は、例えば、実施の形態2における第1のマイクロレンズ12−1をYZ平面で半分に切断した形状となっている。また、第2のマイクロレンズ112−2は、例えば、実施の形態2における第2のマイクロレンズ12−2をYZ平面で半分に切断した形状となっている。
【0152】
図22において、平面HX1は、物体30A側に向かい内側面114−1に入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR1は、物体30A側に向かい内側面114−1にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面114−1の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P1は、周辺光線PR1と光軸AXLとの交点の位置(物体30Aの位置)を表す。点P3は、外側面113−1の頂点を表す。点P2は、外側面113−1の頂点P3における接線と周辺光線PR1との交点を表す。点P4は、周辺光線PR1とサジタル主平面HX1との交点を表す。点P5は、光軸AXLとサジタル主平面HX1との交点を表す。
【0153】
三角形P1P2P3と三角形P1P4P5とは、相似の関係である。したがって、物体30Aからサジタル主平面HX1までの距離をSO1、物体30Aから外側面113−1までの距離をLO1とすると、線分P2P3の長さは、下記式(12)で表される。
【数12】
【0154】
周辺光線PR1が外側面113−1の最も外側を通過する場合、外側面113−1のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(13)を満たす。
【数13】
【0155】
そこで、一つの態様では、第1のマイクロレンズ112−1は、外側面113−1のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(13)を満たすように構成される。
【0156】
また、一つの態様では、第1のマイクロレンズ112−1は、サジタル面において、物体30A側に向かい内側面114−1に平行光線を入射させた場合、内側面114−1の端部に入射した光線が、外側面113−1の端部を通過するように構成される。
【0157】
図22において、平面HX2は、結像30C側に向かい内側面114−2に入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR2は、結像30C側に向かい内側面114−2にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面114−2の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P6は、周辺光線PR2と光軸AXLとの交点の位置(結像30Cの位置)を表す。点P8は、外側面113−2の頂点を表す。点P7は、外側面113−2の頂点P8における接線と周辺光線PR2との交点を表す。点P9は、周辺光線PR2とサジタル主平面HX2との交点を表す。点P10は、光軸AXLとサジタル主平面HX2との交点を表す。
【0158】
三角形P6P7P8と三角形P6P9P10とは、相似の関係である。したがって、サジタル主平面HX2から結像30Cまでの距離をSI2、外側面113−2から結像30Cまでの距離をLI2とすると、線分P7P8の長さは、下記式(14)で表される。
【数14】
【0159】
周辺光線PR2が外側面113−2の最も外側を通過する場合、外側面113−2のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(15)を満たす。
【数15】
【0160】
そこで、一つの態様では、第2のマイクロレンズ112−2は、外側面113−2のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(15)を満たすように構成される。
【0161】
また、一つの態様では、第2のマイクロレンズ112−2は、サジタル面において、結像30C側に向かい内側面114−2に平行光線を入射させた場合、内側面114−2の端部に入射した光線が、外側面113−2の端部を通過するように構成される。
【0162】
図21および図22に示されるように、X方向またはサジタル面において、内側面114−1の幅は、開口部22の幅より大きくされる。具体的には、内側面114−1のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。また、内側面114−2の幅は、開口部22の幅より大きくされる。具体的には、内側面114−2のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。
【0163】
レンズユニットのメリジオナル面における構成は、実施の形態1におけるレンズユニット1と同様である。
【0164】
以下、レンズユニットの作用について、図21を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられたサジタル光線は、第1のマイクロレンズ112−1に入射し、第1のマイクロレンズ112−1によって平行光線となる。そして、当該平行光線は、第2のマイクロレンズ112−2によって結像面IP上に集光し、これにより物体30Aの像である結像30Cが形成される。結像30Cは、物体30Aの倒立像であり、物体面OP上の+X方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、−X方向の矢印となる。物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は、遮光板121により遮断される。
【0165】
実施の形態1と同様に、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像であり、サジタル面においては、結像30Cは、物体30Aの倒立像である。つまり、結像30Cは、物体30Aの鏡像であり、例えば物体30Aに対しメリジオナル面を対称面とした鏡映対称となっている。
【0166】
以上説明した本実施の形態によれば、実施の形態1、2、および3に記載の効果が得られ得る。
【0167】
実施の形態5.
以下、実施の形態5における読取装置について説明する。
図23は、本実施の形態における読取装置としてのスキャナ500の構成を示す概略図である。このスキャナ500は、実施の形態1〜4のいずれかのレンズユニットを用い、原稿600の画像を読み取り、当該画像を表す電子データ(画像データ)を生成するものである。
【0168】
[読取装置の構成]
スキャナ500は、原稿600を載置する原稿台502と、原稿600を照明する照明装置としてのランプ501と、原稿600の表面で反射した光を取り込み、電子データに変換する読取ヘッド400と、この読取ヘッド400を原稿600の面と平行に移動可能に支持するレール503と、読取ヘッド400をレール503に沿って移動させる駆動機構510とを備えている。原稿台502は、可視光を透過する素材で構成されている。ランプ501は、当該ランプ501から発せられた光が、原稿台502を透過して原稿600の表面で反射し、再び原稿台502を透過して読取ヘッド400内に取り込まれるように配置される。
【0169】
駆動機構510は、モータ506と、このモータ506により回転駆動される駆動ベルト505と、駆動ベルト505が張架された複数の滑車504とを備え、駆動ベルト505の一部が読取ヘッド400に接続されている。モータ506の回転により、駆動ベルト505が移動し、これにより読取ヘッド400がレール503に沿って、原稿600の面と平行に移動する。なお、上記のランプ501は読取ヘッド400に取り付けられており、読取ヘッド400と共に移動する。
【0170】
[読取ヘッドの構成]
図24は、読取ヘッド400の構成を示す概略図である。読取ヘッド400は、原稿600で反射した光の光路を折り曲げるミラー402と、原稿600の結像を形成するレンズユニット1と、レンズユニット1による結像位置に配設された受光素子アレイとしてのラインセンサ401とを備えている。ラインセンサ401は、略直線状に配置された複数の受光素子を備え、原稿600の結像を電気信号に変換する。なお、ラインセンサ401における複数の受光素子の配列方向は、原稿台502と平行で、且つ、読取ヘッド400の移動方向と直交する方向である。
【0171】
図25は、本実施の形態における読み取りヘッド400のレンズユニット1の構成を示す断面図である。図25に示すように、レンズユニット1は、その物体面OPが原稿600の表面と一致し、結像面IPがラインセンサ401の入射面と一致するように配置される。本実施の形態におけるレンズユニット1は、例えば実施の形態1におけるレンズユニットであり、第1のマイクロレンズ12−1を含む第1のレンズ板11−1と、第2のマイクロレンズ12−2を含む第2のレンズ板11−2と、開口部22を含む遮光板21とを有する。第1のマイクロレンズ12−1の配列方向、および第2のマイクロレンズ12−2の配列方向は、ラインヘッド401の受光素子の配列方向と平行である。
【0172】
具体的な一例では、ラインセンサ401の解像度は1200dpiであり、1インチ(約25.4mm)当たり1200個の受光素子が配置される。すなわち、受光素子の配列間隔は0.02117mmである。
【0173】
[読取装置の動作]
次に、スキャナ(読取装置)500の動作について、図23〜図25を参照して説明する。
【0174】
図23において、ランプ501が点灯すると、ランプ501から発せられた光線は、原稿台502を透過して原稿600の表面で反射され、再び原稿台502を透過して読取ヘッド400に入射する。モータ506により駆動ベルト505が駆動され、読取ヘッド400およびランプ501がレール503に沿って移動する。これにより、原稿600の全面から反射した光線が、読取ヘッド400に入射する。
【0175】
図24において、原稿600から読取ヘッド400に入射した光線は、ミラー402により反射し、レンズユニット1に入射し、レンズユニット1によりラインセンサ401上に原稿600の結像が形成される。ラインセンサ401は、原稿600の結像を電気信号に変換する。
【0176】
上記構成を有する読取装置を実際に作成し、当該読取装置で原稿を読み取ったところ、原稿と略同一の画像を表す電子データが得られた。このとき用いられた原稿は、間隔PD=0.02117mm、解像度1200dpiの全ドットのうち、1つおきにドットを形成した画像を媒体上の印字領域全面に形成したものであった。
【0177】
以上説明した本実施の形態によれば、原稿を照明する照明装置の光量を小さくしても、原稿の画像を良好に読み取ることが可能となる。
【0178】
なお、上記の説明では、レンズユニットをスキャナに適用した場合を例示したが、レンズユニットは、光学的信号を電気的信号に変換するセンサやスイッチ、またはそれらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置、寸法測定器などに適用されてもよい。
【0179】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0180】
1 レンズユニット、 11−1,111−1 第1のレンズ板(第1のレンズアレイ)、 11−2,111−2 第2のレンズ板(第2のレンズアレイ)、 12−1,112−1 第1のマイクロレンズ(第1のレンズ)、 12−2,112−2 第2のマイクロレンズ(第2のレンズ)、 21,121 遮光板(遮光部材)、 22,122 開口部、 113−1,113−2 外側面、 114−1,114−2 内側面、 115−1,115−2 第1のレンズ列、 116−1,116−2 第2のレンズ列、 100 プリンタ(画像形成装置)、 300 LEDヘッド(露光装置)、 500 スキャナ(読取装置)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置、および読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)をアレイ状に配列したLEDヘッドを用いた電子写真方式の画像形成装置や、複数の受光素子をアレイ状に配列した受光部を用いたスキャナやファクシミリ等の読取装置では、物体の正立等倍像をライン状に形成する光学系が用いられている。このような光学系として、それぞれ物体の正立等倍像を形成する複数のマイクロレンズ対を略直線状に配列したレンズアレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−83576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置や読取装置などに用いられる光学系では、光利用効率の向上が望まれている。
【0005】
例えば、画像形成装置においては、形成される画像の解像度を向上させるため、露光装置の発光素子を縮小し、発光素子の実装密度を高くすると、発光素子の発光光量が低下する。そこで、発光素子の光量が小さくても明るい結像を形成することができるよう、光学系の光利用効率の向上が求められる。また、読取装置においては、原稿を照明する照明装置の消費電力を低く抑えるために、光学系の光利用効率の向上が求められる。
【0006】
本発明は、光利用効率が高いレンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、物体からの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより結像面に結像するように構成される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光利用効率が高いレンズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1における画像形成装置としてのプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1における露光装置としてのLEDヘッドの構成を示す概略図である。
【図3】実施の形態1におけるLEDヘッドの構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】実施の形態1における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図6】実施の形態1における遮光板の構成を示す平面図である。
【図7】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図8】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。
【図9】実施の形態1におけるレンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。
【図10】実施の形態1における第1のマイクロレンズの、視野の大きさと配列との関係を説明するための図である。
【図11】焦点距離測定器の構成を示す概略図である。
【図12】実施の形態2における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図13】実施の形態2におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図14】実施の形態2におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図15】実施の形態2におけるレンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。
【図16】実施の形態3におけるレンズユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図17】実施の形態3における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図18】実施の形態3における遮光板の構成を示す平面図である。
【図19】実施の形態3におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図20】実施の形態4における第1のレンズ板の構成を示す平面図である。
【図21】実施の形態4におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図22】実施の形態4におけるレンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。
【図23】実施の形態5における読取装置としてのスキャナの構成を示す概略図である。
【図24】実施の形態5における読取ヘッドの構成を示す概略図である。
【図25】実施の形態5におけるレンズユニットの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
実施の形態1.
[画像形成装置の構成]
本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態における画像形成装置としてのプリンタ100の構成を示す概略図である。プリンタ100は、本実施の形態に係るレンズユニットを含む露光装置を用いて画像を形成する装置である。具体的には、プリンタ100は、電子写真方式の印刷装置であり、画像データに基づき露光装置により静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像剤で現像することにより、印字媒体上に画像を形成する。現像剤としては、例えば、色材としての顔料を含む樹脂製のトナーが用いられる。
【0011】
本例では、プリンタ100は、カラー電子写真方式のプリンタであり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する画像形成部10Y,10M,10C,10Kを有する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、用紙101の搬送経路に沿って配置される。画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、互いに同様の構成を有しており、以下、これらを「画像形成部10」と総称する。
【0012】
画像形成部10は、静電潜像担持体としての感光体ドラム41を有する。感光体ドラム41の周囲には、帯電ローラ42と、露光装置としてのLEDヘッド3と、現像器5と、クリーニングブレード43とが配置される。帯電ローラ42は、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して当該表面を帯電させる。LEDヘッド3は、帯電された感光体ドラム41の表面に、画像データに基づいて選択的に光を照射して、静電潜像を形成する。現像器5は、感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する。現像器5のトナーは、トナーカートリッジ51から供給される。クリーニングブレード43は、感光体ドラム41に接触して配置され、転写部(後述)を通過した後の感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去する。
【0013】
画像形成部10に印字媒体としての用紙101を供給するための構成として、プリンタ100は、用紙101を収容する給紙カセット60と、給紙カセット60から用紙101を取り出す給紙ローラ61と、給紙ローラ61により取り出された用紙101を画像形成部10に向けて搬送する搬送ローラ62,63とを有する。
【0014】
また、プリンタ100は、転写ベルトユニット8および転写ローラ80を有する。転写ベルトユニット8は、給紙カセット60からの用紙101を搬送する転写ベルト81と、この転写ベルト81が張架された駆動ローラ82aおよび従動ローラ82bと、転写ベルト81を清掃する転写ベルトクリーナ83とを有する。転写ベルト81は、その表面で用紙101を保持するとともに、駆動ローラ82aの回転によって移動し、画像形成部10Y,10M,10C,10Kに沿って用紙101を搬送する。転写ローラ80は、画像形成部10Y,10M,10C,10Kのそれぞれに対応して設けられ、対応する画像形成部10の感光体ドラム41との間で転写ベルト81を挟むように配置される。
【0015】
また、プリンタ100は、定着器9を有する。定着器9は、一対のローラ(例えば加熱ローラおよび加圧ローラ)9a,9bを有し、用紙101上に形成されたトナー像を熱および圧力で定着させる。定着器9の下流側には、定着器9を通過した用紙101を搬送する搬送ローラ64と、画像が形成された用紙101を収容する排出部7に用紙101を排出する排出ローラ65が配置される。
【0016】
さらに、プリンタ100は、図示しない駆動機構、電源、通信インタフェース、および制御部を有する。駆動機構は、モータやその駆動力を伝達するギヤなどを含み、転写ベルト81、感光体ドラム41、各ローラなどを回転駆動する。電源は、帯電ローラ42、LEDヘッド3、現像器5、転写ローラ80、定着器9、駆動機構の各モータなどに接続され、例えば帯電ローラ42や転写ローラ80に所定の電圧を印加する。通信インタフェースは、外部装置から印刷データ(または画像データ)を受信する。制御部は、現像器5、LEDヘッド3、定着器9、各モータなどに接続され、プリンタ100の全体の制御を行う。
【0017】
[露光装置の構成]
次に、本実施の形態における露光装置の構成について説明する。
図2は、本実施の形態における露光装置としてのLEDヘッド3の構成を示す概略図である。LEDヘッド3は、略直線状に配列された複数のLED素子(発光部)30を含む発光部アレイとしてのLEDアレイ300と、LEDアレイ300が配置される配線基板33と、LEDアレイ300に対向して配置されるレンズユニット1と、レンズユニット1を保持するホルダ34とを有する。
【0018】
図2では、LED素子30の配列方向、すなわちLEDアレイ300の長手方向は、Y方向(図2における左右方向)である。レンズユニット1は、長尺形状を有し、その長手方向がLEDアレイ300の長手方向(Y方向)と平行になるように配置される。図2には、感光体ドラム41も示されている。感光体ドラム41の回転軸AXRは、LEDアレイ300およびレンズアレイ1の長手方向(Y方向)と平行である。レンズユニット1には、その長手方向(Y方向)に沿って複数のマイクロレンズが配置され、各マイクロレンズは、その光軸の方向がZ方向(図2における上下方向)となるように配置される。
【0019】
図3は、本実施の形態におけるLEDヘッド3の構成を示す断面図である。図3は、図2の線分A−Aでの断面図を示す。レンズユニット1は、レンズユニット1の長手方向(Y方向)とマイクロレンズの光軸方向(Z方向)の両方に直交する方向(X方向、図3における左右方向)の幅を有している。レンズユニット1の幅方向(X方向)の中心を通るZ方向の直線(中心線)CL上に、LED素子30および感光体ドラム41の回転軸AXRが配置される。LED素子30は、LED素子30を駆動するドライバIC31とともに配線基板33上に配置される。LED素子30およびドライバIC31は、ワイヤ32により互いに接続される。配線基板33は、ホルダ34に支持される。
【0020】
具体的な一例では、LEDヘッド3の解像度は1200dpiであり、LEDアレイ300において、1インチ(約25.4mm)当たり1200個のLED素子30が配置される。すなわち、LED素子30の配列間隔(ピッチ)PDは、0.02117mmである。
【0021】
[レンズユニットの構成]
次に、本実施の形態におけるレンズユニットの構成について説明する。
図4は、本実施の形態におけるレンズユニット1の構成を示す分解斜視図である。レンズユニット1は、物体側のレンズアレイ(第1のレンズアレイ)としての第1のレンズ板11−1と、結像側のレンズアレイ(第2のレンズアレイ)としての第2のレンズ板11−2とを有する。
【0022】
第1のレンズ板11−1は、複数の第1のレンズとして、複数の第1のマイクロレンズ12−1を含む。複数の第1のマイクロレンズ12−1は、互いに光軸が平行となるように配列される。また、複数の第1のマイクロレンズ12−1は、当該レンズの光軸と直交する方向(第1の方向)に略直線状に配列される。図4において、第1のマイクロレンズ12−1の光軸方向はZ方向(図4における上下方向)であり、第1のマイクロレンズ12−1の配列方向はY方向である。
【0023】
第2のレンズ板11−2は、複数の第2のレンズとして、上記複数の第1のマイクロレンズ12−1に対応する、複数の第2のマイクロレンズ12−2を含む。複数の第2のマイクロレンズ12−2の各々は、当該レンズと対応する第1のマイクロレンズ12−1と光軸が一致するように配置される。また、複数の第2のマイクロレンズ12−2は、当該レンズの光軸と直交する方向(第1の方向、Y方向)に略直線状に配列される。図4において、Z方向の一点鎖線AXLは、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の共通の光軸を表す。第1のマイクロレンズ12−1の配列間隔と、第2のマイクロレンズ12−2の配列間隔とは、互いに同じである。
【0024】
また、レンズユニット1は、遮光部材としての遮光板21を有する。遮光板21は、第1のレンズ板11−1と第2のレンズ板11−2との間に配置される。すなわち、第1のレンズ板11−1と第2のレンズ板11−2とは、遮光板21を挟んで互いに対向して配置される。
【0025】
遮光板21は、第1のレンズ板11−1側から第2のレンズ板11−2側へ入射する光線を制限する絞り部材であり、それぞれ対応する第1のマイクロレンズ12−1からの光線を第2のマイクロレンズ12−2側に通過させる複数の開口部(絞り)22を有する。複数の開口部22はY方向に配列され、その配列間隔は、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の配列間隔と同じである。開口部22は、当該開口部22に対応する第1のマイクロレンズ12−1の光軸AXLと位置が一致するように配置される。すなわち、第1のマイクロレンズ12−1の光軸AXLは、当該レンズに対応する開口部22を通過する。
【0026】
このように、レンズユニット1は、互いに光軸が一致するように配置された2枚のマイクロレンズと絞りとからなるレンズ群を、当該光軸に垂直な方向に略直線状に配置した構成となっている。
【0027】
図5は、第1のレンズ板11−1の構成を示す平面図である。第1のレンズ板11−1には、複数の第1のマイクロレンズ12−1が、間隔PYで略直線状に配置される。
【0028】
第1のマイクロレンズ12−1の幅方向(X方向)における幅は、第1のマイクロレンズ12−1の配列方向(Y方向)における幅より大きい。本例では、第1のマイクロレンズ12−1は、XY平面において、半径RLXの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLX)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。すなわち、第1のマイクロレンズ12−1のX方向の幅はRLX×2(半幅または半径はRLX)であり、第1のマイクロレンズ12−1のY方向の幅はRLY×2(半幅はRLY)である。具体的な一例では、RLX=1.5mm、RLY=0.5mmであり、X方向の幅はY方向の幅の3倍である。
【0029】
第1のマイクロレンズ12−1の光軸AXLは、第1のレンズ板11−1の幅方向(X方向)における略中心に位置する。図5では、第1のマイクロレンズ12−1の光軸は、第1のレンズ板11−1のX方向の中心を通るY方向に平行な直線(中心線)CL上に位置している。
【0030】
互いに隣接する第1のマイクロレンズ12−1は、境界で接し、隙間なく連続して配置または形成されている。したがって、第1のマイクロレンズ12−1のY方向の半幅RLYは、第1のマイクロレンズ12−1の配列間隔PYにより、RLY=PY/2で表される。
【0031】
第2のレンズ板11−2の構成は、第1のレンズ板11−1と同様であり、第1のレンズ板11−1において第1のマイクロレンズ12−1を第2のマイクロレンズ12−2と置き換えたものと同等である。
【0032】
第1のレンズ板11−1および第2のレンズ板11−2は、発光部(LED素子30)の光を透過する素材により構成され、例えば、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製のZEONEX(ゼオネックス)E48R)を使用し、射出成形により複数のマイクロレンズを一体に成形することによって得られる。
【0033】
以下の説明では、光軸AXLを含みマイクロレンズの配列方向(Y方向)に平行な平面(第2の平面)をメリジオナル面(子午線面)と称する。また、光軸AXLを含みマイクロレンズの配列方向(Y方向)と直交する平面(すなわちレンズユニット1の幅方向に平行な平面、第1の平面)をサジタル面(球欠面)と称する。また、マイクロレンズの配列方向をメリジオナル方向、レンズユニットの幅方向をサジタル方向と称する。メリジオナル方向およびサジタル方向は、それぞれ図面におけるY方向およびX方向に対応する。
【0034】
第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2について、メリジオナル面による断面形状と、サジタル面による断面形状とは互いに異なる。具体的には、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の入射面(物体側の面)の断面形状は、メリジオナル面による断面とサジタル面による断面とで異なる。また、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の出射面(結像側の面)の断面形状は、メリジオナル面による断面とサジタル面による断面とで異なる。
【0035】
第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2について、サジタル面による断面形状の曲率半径は、メリジオナル面による断面形状の曲率半径より大きい。具体的には、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2のそれぞれの入射面および出射面について、サジタル面による断面形状の曲率半径は、メリジオナル面による断面形状の曲率半径より大きい。
【0036】
X方向を座標軸とする座標をX座標、Y方向を座標軸とする座標をY座標、Z方向を座標軸とする座標をZ座標とすると、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の曲面(具体的には入射面および出射面)は、例えば、下記のXY多項式(1)で表される形状を有する。Z座標の座標軸は、光軸(中心軸)AXLと一致し、物体から結像へ向かう方向を正方向とする。CRは曲率半径、Kはコーニック定数、CPn,mは多項式の係数を表す。nおよびmはそれぞれXおよびYの冪指数であり、正の整数である。
【数1】
【0037】
さらに、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2のそれぞれの入射面および出射面は、メリジオナル面を対称面として面対称であり、サジタル面を対称面として面対称である。このとき、上記式(1)の冪指数nおよびmは、それぞれ偶数である。
【0038】
図6は、遮光板21の構成を示す平面図である。遮光板21は、複数の開口部22を有する。開口部22の配列間隔は、第1および第2のマイクロレンズ12−1,12−2の配列間隔に一致する。すなわち、開口部22は、Y方向(図6における上下方向)に間隔PYで略直線状に配列される。
【0039】
本例では、開口部22は、XY平面において、半径RAXの円を、当該円の中心から距離RAY(<RAX)だけ離れたX方向(レンズユニット1の幅方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。開口部22の中心(半径RAXの円の中心)は、マイクロレンズの光軸AXLと一致する位置にある。
【0040】
遮光板21は、発光部(LED素子30)の光を遮光する素材により形成され、例えば、ポリカーボネートを用いて射出成型法により作成される。
【0041】
図7は、レンズユニット1の構成を示すサジタル面による断面図である。図7は、図5および図6の線分A−Aでの断面図を示す。図7には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0042】
物体面OP上において、レンズユニット1の幅方向(X方向)の中心を通るZ方向の直線(中心線)CL上の位置に、物体30AとしてのLEDアレイ300が配置される。物体面OPから光軸AXL方向に距離LOだけ離れた位置に第1のマイクロレンズ12−1が配置される。第2のマイクロレンズ12−2は、第1のマイクロレンズ12−1と光軸AXLが一致するように対向して、第1のマイクロレンズ12−1から光軸AXL方向に距離LSだけ隔てた位置に配置される。レンズユニット1の結像面IPの位置は、第2のマイクロレンズ12−2から光軸AXL方向に距離LIだけ隔てた位置である。第1のマイクロレンズ12−1の厚さはLT1であり、第2のマイクロレンズ12−2の厚さはLT2である。
【0043】
ここで、サジタル面内の平行光線(または平行光線束)による焦点、主平面、および焦点距離を、それぞれサジタル焦点、サジタル主平面、およびサジタル焦点距離と称する。
【0044】
第1のマイクロレンズ12−1は、サジタル焦点が物体30Aと一致するように、サジタル主平面HX1と物体面OPとの間隔がサジタル焦点距離FX1と一致するように配置される。また、第2のマイクロレンズ12−2は、サジタル焦点が結像30Cと一致するように、サジタル主平面HX2と結像面IPとの間隔がサジタル焦点距離FX2と一致するように配置される。
【0045】
距離FX1と距離LOの差は、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例し、距離FX2と距離LIの差は、第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径に反比例する。本例では、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径、および第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径はともに大きく、FX1とLOの差およびFX2とLIの差はともに無視することができる。したがって、第1のマイクロレンズ12−1のサジタル焦点距離FX1は、当該レンズから物体面OPまでの距離LOと略一致する。また、第2のマイクロレンズ12−2のサジタル焦点距離FX2は、当該レンズから結像面IPまでの距離LIと略一致する。
【0046】
第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、互いに同じ構成のレンズであってもよい。このとき、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、互いに同じ厚さおよびサジタル焦点距離を有し、LT1=LT2、FX1=FX2である。また、例えば、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面と同じ形状の第2のマイクロレンズ12−2の曲面が結像面側となるように、互いに対向して配置され、距離LOおよび距離LIは互いに等しい距離に設定される。
【0047】
図8は、レンズユニット1の構成を示すメリジオナル面による断面図である。図8は、図5および図6の線分B−Bでの断面図を示す。図8には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0048】
第1のマイクロレンズ12−1は、当該レンズから光軸AXL方向に距離LO1だけ離れた位置にある物体からのメリジオナル面内の光線(以下、「メリジオナル光線」という)を、当該レンズから光軸方向に距離LI1だけ離れた位置にある集光点30Bに集光する。第2のマイクロレンズ12−2は、当該レンズから光軸方向に距離LO2だけ離れた位置にある集光点30Bのメリジオナル光線を、当該レンズから光軸方向に距離LI2だけ隔てた位置に結像する。
【0049】
レンズユニット1の物体面OPから第1のマイクロレンズ12−1までの距離LOは、距離LO1と等しい距離に設定され、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2の間隔LSは、距離(LI1+LO2)と等しい距離に設定され、第2のマイクロレンズ12−2からレンズユニット1の結像面IPまでの距離LIは、距離LI2と等しい距離に設定される。
【0050】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2とが互いに同じ構成を有する場合、距離LO1と距離LI2とは互いに等しく、距離LI1と距離LO2とは互いに等しく、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2の間隔LSは、距離(LI1×2)となる。
【0051】
図9は、レンズユニット1の構成を示すメリジオナル面による断面図である。図9は、図5および図6の線分B−Bでの断面図を示す。図9には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0052】
ここで、メリジオナル面内の平行光線(または平行光線束)による焦点、主平面、および焦点距離を、それぞれメリジオナル焦点、メリジオナル主平面、およびメリジオナル焦点距離と称する。
【0053】
図9において、第1のマイクロレンズ12−1のメリジオナル焦点距離はFY1であり、第1のマイクロレンズ12−1のメリジオナル主平面HF1から物体面OPまでの距離はSO1である。また、第2のマイクロレンズ12−2のメリジオナル焦点距離はFY2であり、第2のマイクロレンズ12−2のメリジオナル主平面HS2から結像面IPまでの距離はSI2である。
【0054】
距離SO1と距離LO1の差は、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径に反比例し、距離SI2と距離LI2の差は、第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径に反比例する。本例では、第1のマイクロレンズ12−1の物体面側の曲面の曲率半径、および第2のマイクロレンズ12−2の結像面側の曲面の曲率半径はともに大きく、SO1とLO1の差およびSI2とLI2の差はともに無視することができ、SO1≒LO1かつSI2≒LI2である。
【0055】
第1のマイクロレンズ12−1のメリジオナル焦点距離FY1は、当該レンズのサジタル焦点距離FX1に比べて小さくなっている。また、第2のマイクロレンズ12−2のメリジオナル焦点距離FY2は、当該レンズのサジタル焦点距離FX2に比べて小さくなっている。
【0056】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間では、物体面OP上の各点からの光線の主光線が光軸AXLと平行である。開口部22を画定する遮光板21の内壁の直近を通る光線BCの外側の周辺光線は遮光板21によって遮断される。光線BCと光軸AXLと物体面OPとで作られる三角形と、光線BCと光軸AXLとメリジオナル主平面HF1とで作られる三角形とは互いに相似である。これらのことから、第1のマイクロレンズ12−1の視野の大きさVY(物体面OPと光軸AXLとの交点から物体面OPと光線BCとの交点までの距離)は、下記式(2)で表される。
【数2】
【0057】
図10は、第1のマイクロレンズ12−1の視野の大きさと配列との関係を説明するための図である。図10には、第1のマイクロレンズ12−1および物体面OPのメリジオナル面による断面図が示されている。以下、図10を参照して、第1のマイクロレンズ12−1の視野の大きさVYと配列との関係を説明する。
【0058】
図10(a)は、すべてのLED素子30が少なくとも1つのマイクロレンズの視野に含まれ、すべてのLED素子30の結像が感光体ドラム41に形成される場合であって、視野の大きさVYが最小である場合を示している。このとき、視野の大きさVYは、マイクロレンズの配列間隔PYを用いて、下記式(3)で表される。
【数3】
【0059】
上記式(2)および式(3)から、すべてのLED素子30の結像が感光体ドラム41に形成されるための配列間隔PYの条件は、メリジオナル焦点距離FY1、距離LO1、Y方向における開口部22の開口の半幅RAYを用いて、下記式(4)で表される。
【数4】
【0060】
2つ以上のマイクロレンズによって各LED素子30の結像が形成されるように構成することによって、すべてのLED素子30の結像を略同じ形状で略同じ光量で形成することが可能になる。
【0061】
図10(b)は、すべてのLED素子30が2つの第1のマイクロレンズ12−1の視野に含まれる場合を示している。このとき、視野の大きさVYは、マイクロレンズの配列間隔PYを用いて、下記式(5)で表される。
【数5】
【0062】
一方、マイクロレンズによる結像は、わずかながらに歪みを持っているため、多数のマイクロレンズの結像が重ね合わされることによって結像が劣化する場合がある。実験によって、各LED素子30が4つ以上のマイクロレンズの視野に含まれ、結像が形成されるとき、各マイクロレンズの歪みによって解像度が著しく低下することが判明した。
【0063】
図10(c)は、すべてのLED素子30が4つの第1のマイクロレンズ12−1の視野に含まれる場合を示している。このとき、視野の大きさVYは、マイクロレンズの配列間隔PYを用いて、下記式(6)で表される。
【数6】
【0064】
上記式(2)、式(5)、および式(6)から、良好な結像を得るための配列間隔PYの条件は、メリジオナル焦点距離FY1、距離LO1、Y方向における開口部22の開口の半幅RAYを用いて、下記式(7)で表される。
【数7】
【0065】
[画像形成装置の動作]
上記構成を有する画像形成装置としてのプリンタ100の動作について、図1を参照して説明する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kの各々において、感光体ドラム1の表面は、電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって、帯電された感光体ドラム41の表面は、LEDヘッド3の付近に到達し、LEDヘッド3によって露光され、感光体ドラム41の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は現像器5により現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0066】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙101は、給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62,63により、転写ベルト81へ搬送される。さらに、用紙101は、転写ベルト81に保持されて搬送され、画像形成部10Y,10M,10C,10Kを順に通過する。画像形成部10Y,10M,10C,10Kの各々の感光体ドラム41の表面上のトナー像は、感光体ドラム41の回転により、転写ローラ80および転写ベルト81の付近に搬送され、電圧が印加されている転写ローラ80と転写ベルト81によって用紙101上に転写される。続いて、表面にトナー像が形成された用紙101は、転写ベルト81の回転によって定着器9に搬送される。用紙101上のトナー像は、定着器9により加圧されながら加熱されることにより、溶融し、用紙101上に固定される。さらに、用紙101は、搬送ローラ64および排出ローラ65により、排出部7に排出され、プリンタ100の動作が終了する。
【0067】
[露光装置の動作]
次に、露光装置の動作について、図3を参照して説明する。プリンタ100の制御部は、画像データに基づき、露光装置としてのLEDヘッド3に制御信号を出力する。LEDヘッド3のドライバIC31は、制御部からの制御信号に基づき、各LED素子30に駆動信号を出力する。各LED素子30は、ドライバIC31からの駆動信号に応じた光量で発光する。LED素子30から出射された光はレンズユニット1に入射し、感光体ドラム41上に結像する。
【0068】
[レンズユニットの作用]
レンズユニット1の作用について、図7を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられる光線のうち、サジタル面内の光線(以下、「サジタル光線」という)は、第1のマイクロレンズ12−1に入射し、第1のマイクロレンズ12−1によって平行化されて平行光線となる。つまり、第1のマイクロレンズ12−1は、サジタル面内でコリメートレンズとして作用し、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間において、物体30Aのサジタル光線は平行光線となっている。そして、当該平行光線は、第2のマイクロレンズ12−2によって結像面IP上に集光し、これにより物体30Aの像である結像30Cが形成される。結像30Cは、物体30Aの倒立像であり、物体面OP上の+X方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、−X方向の矢印となる。すなわち、レンズユニット1は、X方向において、倒立像を形成する。
【0069】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2とが互いに同じ構成を有する場合にも、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間において、物体30Aのサジタル光線は平行光線となり、物体30Aの倒立像である結像30Cが形成される。
【0070】
このように、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、サジタル面において、物体30Aからの光線が第1のマイクロレンズ12−1により平行化され、当該平行化された光線が第2のマイクロレンズ12−2により結像面IPに結像するように構成される。
【0071】
なお、物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は、遮光板21により遮断される。
【0072】
次に、レンズユニット1の作用について、図8を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられる光線のうち、メリジオナル面内の光線(メリジオナル光線)は、第1のマイクロレンズ12−1に入射し、第1のマイクロレンズ12−1によって、当該レンズから光軸方向に距離LI1だけ隔てた集光面IMP上の集光点30Bに集光する。そして、集光点30Bを通過した光線は、第2のマイクロレンズ12−2によって結像面IP上に結像し、これにより、集光点30Bに形成された像の結像が結像面IP上に形成され、結像面IP上に物体30Aの像である結像30Cが形成される。集光点30Bに形成される像は、物体30Aの倒立縮小像であり、結像30Cは、集光点30Bの像の倒立拡大像である。すなわち、第1のマイクロレンズ12−1は、物体30Aの縮小等立像を形成し、第2のマイクロレンズ12−2は、第1のマイクロレンズ12−1により形成された像の拡大等立像を形成する。また、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間では、物体面OP上の各点からのメリジオナル光線の主光線が平行であり、いわゆるテレセントリックになっている。
【0073】
メリジオナル面において、結像30Cは、物体30Aの正立等倍像であり、物体面OP上の+Y方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、+Y方向の矢印となる。すなわち、レンズユニット1は、Y方向において、正立等倍像を形成する。
【0074】
第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2とが互いに同じ構成を有する場合にも、レンズユニット1は、メリジオナル面上で、物体30Aの正立等倍像を形成する。具体的には、物体30AとしてのLED素子30のメリジオナル光線は、第1のマイクロレンズ12−1に入射し、第1のマイクロレンズ12−1によって、当該レンズから光軸方向に距離LS/2だけ隔てた位置にある集光点30Bに集光する。さらに、第2のマイクロレンズ12−2によって、集光点30Bに形成された像の結像が結像面IP上に形成されることにより、結像面IP上に物体30Aの結像30Cが形成される。また、第1のマイクロレンズ12−1と第2のマイクロレンズ12−2との間ではテレセントリックになっている。
【0075】
このように、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、メリジオナル面において、物体30Aからの光線が第1のマイクロレンズ12−1により集光点に集光し、当該集光点を通過した光線が第2のマイクロレンズ12−2により結像面に結像するように構成される。
【0076】
なお、物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は遮光板21により遮断される。
【0077】
以上のように、サジタル面においては、結像30Cは物体30Aの倒立像であり、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像である。つまり、結像30Cは、物体30Aの鏡像であり、例えば物体30Aに対しメリジオナル面を対称面とした鏡映対称となっている。
【0078】
[焦点距離の測定]
次に、レンズユニット1のマイクロレンズ(第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2)の焦点距離の測定について説明する。マイクロレンズの焦点距離は、例えば、ノーダル・スライド法により測定される。
【0079】
図11は、ノーダル・スライド法を用いた焦点距離測定器200の構成を示す概略図である。図11(a)および図11(b)は、それぞれ焦点距離測定器200の平面図および側面図である。
【0080】
焦点距離測定器200は、回転台201、ステージ202、顕微鏡203、および照明装置204を有する。回転台201は、回転軸201Aを中心に回転可能に構成されている。回転台201上には、ステージ202が配置される。ステージ202上には、被検レンズ12(第1のマイクロレンズ12−1または第2のマイクロレンズ12−2)が、当該被検レンズ12の光軸AXが顕微鏡203の光軸と一致するように固定される。ステージ202および被検レンズ12は、回転台201の回転に伴って回転する。また、ステージ202は、光軸AXと平行な方向に移動可能に構成されている。顕微鏡203は、光軸AXと平行な方向に移動可能に構成されている。また、顕微鏡203は、当該顕微鏡203の物体面の位置が回転軸201Aの位置と一致する場合を基準として、顕微鏡203の移動量が計測可能なように構成されている。照明装置204は、メリジオナル面内で光軸AXと平行な平行光線BTY、およびサジタル面内で光軸AXと平行な平行光線BTXを発し、被検レンズ12に入射させることができるように構成されている。
【0081】
図11(a)を参照して、メリジオナル焦点距離FYの測定方法について説明する。照明装置204から平行光線BTYを発し、顕微鏡203を被検レンズ12から離れる方向へ移動させ、被検レンズ12による平行光線BTYの像が最も小さくなる位置まで顕微鏡203を移動させる。次に、回転台201を微小に回転させても平行光線BTYの集光位置(像の位置)が変わらない位置となるように、ステージ202および顕微鏡203をそれぞれ移動させる。そして、上記位置になったときの顕微鏡203の移動量ZY1を計測する。すなわち、回転台201を微小に回転させても平行光線BTYの集光位置が変わらない状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZY1を計測する。ここで、移動量(距離)ZY1は、被検レンズ12のメリジオナル焦点距離FYに相当する。また、このとき、回転軸201Aの位置は、被検レンズ12のメリジオナル主平面の位置に相当する。
【0082】
次に、ステージ202の位置を固定したまま、顕微鏡203を被検レンズ12に近付ける方向に移動させ、顕微鏡203の物体面を被検レンズ12の面頂点に一致させる。そして、このときの顕微鏡203の移動量ZY2を計測する。すなわち、顕微鏡203の物体面が被検レンズ12の面頂点と一致する状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZY2を計測する。さらに、被検レンズ12の面頂点から被検レンズ12の物体面までの距離LOを別の方法で測定することによって、被検レンズ12の物体面とメリジオナル主平面との距離SOを、SO=ZY2+LOより求めることができる。
【0083】
図11(b)を参照して、サジタル焦点距離FXの測定方法について説明する。照明装置204から平行光線BTXを発し、顕微鏡203を被検レンズ12から離れる方向へ移動させ、被検レンズ12による平行光線BTXの像が最も小さくなる位置まで顕微鏡203を移動させる。次に、回転台201を微小に回転させても平行光線BTXの集光位置(像の位置)が変わらない位置となるように、ステージ202および顕微鏡203をそれぞれ移動させる。そして、上記位置となったときの顕微鏡203の移動量ZX1を計測する。すなわち、回転台201を微小に回転させても平行光線BTXの集光位置が変わらない状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZX1を計測する。ここで、移動量(距離)ZX1は、被検レンズ12のサジタル焦点距離FXに相当する。また、このとき、回転軸201Aの位置は、被検レンズ12のサジタル主平面の位置に相当する。
【0084】
次に、ステージ202の位置を固定したまま、顕微鏡203を被検レンズ12に近付ける方向に移動させ、顕微鏡203の物体面を被検レンズ12の面頂点に一致させる。そして、このときの顕微鏡203の移動量ZX2を計測する。すなわち、顕微鏡203の物体面が被検レンズ12の面頂点と一致する状態における、回転軸201Aから顕微鏡203の物体面までの距離ZX2を計測する。さらに、被検レンズ12の面頂点から被検レンズ12の物体面までの距離LOを別の方法で測定することによって、被検レンズ12の物体面とメリジオナル主平面との距離SOを、SO=ZX2+LOより求めることができる。
【0085】
[効果]
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果が得られ得る。
本実施の形態では、レンズユニットは、互いに光軸が平行となるように光軸と直交するY方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、それぞれ対応する第1のレンズと光軸が一致するようにY方向に配列された複数の第2のレンズを含む第2のレンズアレイとを有する。このレンズユニットにおいて、互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、光軸を含みY方向と直交するサジタル面において、物体からの光線が第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が第2のレンズにより結像面に結像するように構成される。この構成によれば、光利用効率が高いレンズユニットを得ることが可能となる。具体的には、光源からの光線を多く取り込み、明るい結像を形成することができるレンズユニットを構成することが可能となる。このようなレンズユニットによれば、光源の光量が小さくても、十分な明るさの結像を形成することが可能になる。
【0086】
より具体的には、サジタル面とメリジオナル面の両面において、物体からの光線が第1のレンズにより第1のレンズと第2のレンズとの間の集光点に集光し、当該集光点を通過した光線が第2のレンズにより結像面に結像する従来の構成では、第1のレンズの物体側の面および第2のレンズの結像側の面の曲率半径が比較的小さい。このため、当該構成では、多くの光線を取り込むことができるようにレンズのX方向の寸法(例えば幅または半径)を大きくすると、レンズの厚さが厚くなってしまう。レンズが厚くなると、隣り合う2つのレンズの一方から他方へ透過する光(いわゆるクロストーク光)が増加して、結像のコントラストが低下してしまう。
【0087】
一方、本実施の形態では、サジタル面内において、第1のレンズは物体からの光線を平行化するように(すなわちコリメートレンズとして作用するように)構成され、第2のレンズは平行化された光線を結像するように構成される。この構成では、サジタル面において、第1のレンズの物体側の面および第2のレンズの結像側の面の曲率半径が比較的大きくなる。このため、当該構成によれば、レンズのX方向の寸法を大きくした場合におけるレンズの厚さの増大を回避または軽減することができ、クロストーク光の増大を回避または軽減することができる。これにより、結像のコントラストの低下を回避または軽減しつつ、多くの光線を取り込むことができるようにレンズを大きくすることが可能となり、光利用効率が高いレンズユニットを得ることが可能となる。
【0088】
具体的な一例では、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2の半幅RLXを半幅RLY(=0.5mm)の3倍の1.5mmとすることにより、半幅RLXおよび半幅RLYがともに0.5mmの場合と比較して、マイクロレンズの光量を増大させることができる。
【0089】
また、本実施の形態のレンズユニットにおいては、レンズのサジタル焦点距離が、上記従来の構成に比べて大きくなる。一般にレンズの明るさFNは、レンズの焦点距離をF、レンズの口径(外径)をΦとしたとき、FN=F/Φで表され、焦点距離が大きいほど明るさFNは大きくなる。よって、本実施の形態のレンズユニットは、従来のレンズユニットに比べて明るい結像を形成することができる。
【0090】
さらに、サジタル面内において、第1のレンズから出射される光線が平行光線であるため、従来のレンズユニットに比べて収差が低減され、結像の歪みやボケが低減される。
【0091】
なお、第1のマイクロレンズ12−1および第2のマイクロレンズ12−2は、球面で形成されても良いし、アナモフィック非球面や、放物面、楕円面、双曲面、コーニック面等の曲面で形成されても良い。
【0092】
また、第1のレンズ板11−1および第2のレンズ板11−2は、例えば金型成型により形成されるが、樹脂を型に用いた型成型法や切削加工などにより形成されてもよい。
【0093】
また、第1のレンズ板11−1および第2のレンズ板11−2の素材は、例えば樹脂であるが、ガラス等でも良い。
【0094】
また、遮光板21は、例えばポリカーボネートを用いて射出成型法により作成されるが、この限りではなく、切削加工により作成されても良いし、金属をエッチングすることで作成されても良い。
【0095】
また、上記の説明では、発光部としてLED素子を用いる場合を例示したが、発光部としては、有機EL(エレクトロルミネッセンス)やレーザなど、LED素子以外のものが用いられても良い。
【0096】
また、本件明細書において、「直交」、「平行」、「一致」とは、それぞれ、厳密な意味での直交、平行、一致に限定されるものではなく、略直交、略平行、略一致も含む。
【0097】
実施の形態2.
以下、実施の形態2におけるレンズユニットについて説明する。本実施の形態におけるレンズユニットは、実施の形態1のレンズユニット1に対し、マイクロレンズの形状が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0098】
図12は、第1のレンズ板11−1の構成を示す平面図である。図13および図14は、レンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。図15は、レンズユニットの構成を示すメリジオナル面による断面図である。図13および図14は、図12の線分A−Aでの断面図を示す。図15は、図12の線分B−Bでの断面図を示す。図13〜図15には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0099】
図12〜図15に示されるように、第1のマイクロレンズ12−1は、物体側の面としての外側面13−1と、結像側の面としての内側面14−1とを有する。第2のマイクロレンズ12−2は、物体側の面としての内側面14−2と、結像側の面としての外側面13−2とを有する。
【0100】
外側面13−1は、XY平面において、半径RLXAの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXA)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。したがって、外側面13−1のX方向における幅はRLXA×2(半幅または半径はRLXA)であり、外側面13−1のY方向における幅はRLY×2(半幅はRLY)であり、外側面13−1のX方向における幅はY方向における幅より大きい。
【0101】
内側面14−1は、XY平面において、半径RLXBの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXB)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断した形状を有する。したがって、内側面14−1のX方向における幅はRLXB×2(半幅または半径はRLXA)であり、内側面14−1のY方向における幅はRLY×2(半幅はRLY)であり、内側面14−1のX方向における幅はY方向における幅より大きい。
【0102】
本例では、外側面13−2は、上記外側面13−1と同様の形状を有し、内側面14−2は、上記内側面14−1と同様の形状を有する。ただし、外側面13−2および内側面14−2は、それぞれ外側面13−1および内側面14−1と異なる形状であってもよい。
【0103】
図13および図14に示されるように、第1のマイクロレンズ12−1は、X方向(またはサジタル面)において、外側面13−1の幅(または半幅)が、内側面14−1の幅(または半幅)より小さくなるように構成されている。また、第2のマイクロレンズ12−2は、X方向(またはサジタル面)において、外側面13−2の幅(または半幅)が、内側面14−2の幅(または半幅)より小さくなるように構成されている。本例では、外側面13−1のX方向における半径RLXAは、内側面14−1のX方向における半径RLXBより小さくされている。また、外側面13−2のX方向における半径RLXAは、内側面14−2のX方向における半径RLXBより小さくされている。
【0104】
図14において、平面HX1は、物体30A側に向かい内側面14−1に入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR1は、物体30A側に向かい内側面14−1にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面14−1の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P1は、周辺光線PR1と光軸AXLとの交点の位置(物体30Aの位置)を表す。点P3は、外側面13−1の頂点を表す。点P2は、外側面13−1の頂点P3における接線と周辺光線PR1との交点を表す。点P4は、周辺光線PR1とサジタル主平面HX1との交点を表す。点P5は、光軸AXLとサジタル主平面HX1との交点を表す。
【0105】
三角形P1P2P3と三角形P1P4P5とは、相似の関係である。したがって、物体30Aからサジタル主平面HX1までの距離をSO1、物体30Aから外側面13−1までの距離をLO1とすると、線分P2P3の長さは、下記式(8)で表される。
【数8】
【0106】
周辺光線PR1が外側面13−1の最も外側を通過する場合、外側面13−1のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(9)を満たす。
【数9】
【0107】
そこで、一つの態様では、第1のマイクロレンズ12−1は、外側面13−1のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(9)を満たすように構成される。
【0108】
また、一つの態様では、第1のマイクロレンズ12−1は、サジタル面において、物体30A側に向かい内側面14−1に平行光線を入射させた場合、内側面14−1の端部に入射した光線が、外側面13−1の端部を通過するように構成される。
【0109】
図14において、平面HX2は、結像30C側に向かい内側面14−2へ入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR2は、結像30C側に向かい内側面14−2にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面14−2の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P6は、周辺光線PR2と光軸AXLとの交点の位置(結像30Cの位置)を表す。点P8は、外側面13−2の頂点を表す。点P7は、外側面13−2の頂点P8における接線と周辺光線PR2との交点を表す。点P9は、周辺光線PR2とサジタル主平面HX2との交点を表す。点P10は、光軸AXLとサジタル主平面HX2との交点を表す。
【0110】
三角形P6P7P8と三角形P6P9P10とは、相似の関係である。したがって、サジタル主平面HX2から結像30Cまでの距離をSI2、外側面13−2から結像30Cまでの距離をLI2とすると、線分P7P8の長さは、下記式(10)で表される。
【数10】
【0111】
周辺光線PR2が外側面13−2の最も外側を通過する場合、外側面13−2のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(11)を満たす。
【数11】
【0112】
そこで、一つの態様では、第2のマイクロレンズ12−2は、外側面13−2のサジタル面(またはX方向)における半幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(11)を満たすように構成される。
【0113】
また、一つの態様では、第2のマイクロレンズ12−2は、サジタル面において、結像30C側に向かい内側面14−2に平行光線を入射させた場合、内側面14−2の端部に入射した光線が、外側面13−2の端部を通過するように構成される。
【0114】
図13および図14に示されるように、X方向またはサジタル面において、内側面14−1の幅または半幅は、開口部22の幅または半幅より大きくされる。具体的には、内側面14−1のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。また、内側面14−2の幅または半幅は、開口部22の幅または半幅より大きくされる。具体的には、内側面14−2のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。
【0115】
図15に示されるように、レンズユニットのメリジオナル面における構成は、実施の形態1におけるレンズユニット1と同様である。
【0116】
以上説明した本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果の他に、以下の効果が得られ得る。
本実施の形態では、第1のレンズは、X方向における物体側の面の幅が、X方向における結像側の面の幅より小さくなるように構成される。また、第2のレンズは、X方向における結像側の面の幅が、X方向における物体側の面の幅より小さくなるように構成される。このように、レンズの一方の面(外側面)を小さく構成することにより、レンズの加工領域を少なくすることが可能となる。これにより、例えば、加工時間の短縮や加工精度の向上が可能となる。特に、第1のレンズの物体側の面の幅または第2のレンズの結像側の面の幅を、有効な光線が入射する範囲内に収めることにより、有効な光線が入射しない領域の加工を無くすことができ、加工領域を最小限にすることができる。
【0117】
具体的には、レンズユニットの光利用効率を高くするため(レンズアレイの光量を増加させるため)、レンズの寸法(例えば半径)を拡大すると、レンズの加工領域が増大するので、加工に時間がかかったり、加工の精度が低下したりすることが考えられる。また、レンズの周囲での厚さが薄くなるので、強度が低下することによって、レンズアレイに歪みが生じることが考えられる。
【0118】
これに対し、本実施の形態の構成によれば、レンズの寸法を拡大した場合におけるレンズの加工領域の増大を抑えることが可能となる。特に、第1のレンズの物体側の面の幅または第2のレンズの結像側の面の幅を、有効な光線が入射する範囲内に収めることにより、有効な光線が入射しない領域の加工を無くすことができ、加工領域の増大を最小限に抑えることができる。また、レンズの寸法を拡大する場合に、第1のレンズの物体側の面または第2のレンズの結像側の面の周囲の高さ(第1のレンズまたは第2のレンズの周囲の厚さ)を確保することができ、レンズアレイの強度を保つことができる。具体的には、凸レンズの場合、曲率半径が同じである場合、レンズの径が大きくなるほど、レンズの縁の厚さが薄くなる。本実施の形態の構成では、レンズの径が小さくなっているので、レンズの縁の厚さが確保される。
【0119】
また、本実施の形態では、X方向について、第1のレンズの結像側の面の幅は、開口部の幅より大きい。この構成により、第1のレンズアレイと遮光部材との接合が容易となり、レンズユニットの組み立て性が向上する。例えば、第1のレンズアレイと遮光部材とを接合して組み立てる際に、幅方向(X方向)に多少の位置ずれが生じても、第1のレンズの物体側の面の周囲からの光線が開口部に入射しにくく、結像の劣化(例えば結像の解像度の劣化)がおきにくい。また、本実施の形態では、第2のレンズの物体側の面の幅は、開口部の幅より大きい。この構成により、第2のレンズアレイと遮光部材との接合が容易となり、レンズユニットの組み立て性が向上する。例えば、第2のレンズアレイと遮光部材とを接合して組み立てる際に、幅方向(X方向)に多少の位置ずれが生じても、開口部を通過した光線が第2のレンズの結像側の面の周囲に入射しにくく、結像の劣化(例えば結像の解像度の劣化)がおきにくい。
【0120】
実施の形態3.
以下、実施の形態3におけるレンズユニットについて説明する。本実施の形態のレンズユニットは、実施の形態1のレンズユニット1に対し、マイクロレンズの配置が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0121】
図16は、本実施の形態におけるレンズユニットの構成を示す分解斜視図である。レンズユニットは、物体側のレンズアレイ(第1のレンズアレイ)としての第1のレンズ板111−1と、結像側のレンズアレイ(第2のレンズアレイ)としての第2のレンズ板111−2とを有する。
【0122】
第1のレンズ板111−1は、第1のレンズ列115−1と、第2のレンズ列116−1とを有する。第1のレンズ列115−1および第2のレンズ列116−1は、それぞれ複数の第1のマイクロレンズ112−1を含む。これらの複数の第1のマイクロレンズ112−1は、互いに光軸が平行となるように配列される。また、第1のレンズ列115−1および第2のレンズ列116−1の各々において、複数の第1のマイクロレンズ112−1は、光軸と直交する方向に略直線状に配列される。第1のマイクロレンズ112−1の光軸方向はZ方向であり、第1のマイクロレンズ112−1の配列方向はY方向である。
【0123】
第2のレンズ板111−2は、第1のレンズ列115−2と、第2のレンズ列116−2とを有する。第1のレンズ列115−2および第2のレンズ列116−2は、それぞれ複数の第2のマイクロレンズ112−2を含む。複数の第2のマイクロレンズ112−2の各々は、当該レンズと対応する第1のマイクロレンズ112−1と光軸が一致するように配列される。第1のレンズ列115−2および第2のレンズ列116−2の各々において、複数の第2のマイクロレンズ112−2は、光軸と直交する方向(Y方向)に略直線状に配列される。図16において、Z方向の一点鎖線AXLは、第1のマイクロレンズ112−1および第2のマイクロレンズ112−2の共通の光軸を表す。第1のマイクロレンズ112−1の配列間隔と、第2のマイクロレンズ112−2の配列間隔とは、互いに同じである。
【0124】
このように、本実施の形態では、第1のレンズ板111−1には第1のマイクロレンズ112−1が2列に配列され、第2のレンズ板111−2には第2のマイクロレンズ112−2が2列に配列される。
【0125】
また、レンズユニットは、遮光部材としての遮光板121を有する。この遮光板121は、第1のレンズ板111−1側から第2のレンズ板111−2側へ入射する光線を制限する絞り部材であり、それぞれ対応する第1のマイクロレンズ112−1からの光線を第2のマイクロレンズ112−2側に通過させる複数の開口部(絞り)122を有する。
【0126】
第1のレンズ板111−1と第2のレンズ板111−2とは、遮光板121を挟んで互いに対向して配置される。
【0127】
図17は、第1のレンズ板111−1の構成を示す平面図である。第1のレンズ板111−1において、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1と、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1とは、マイクロレンズの配列方向(Y方向)について交互に配置される。具体的には、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1の配列方向は、第1のレンズ板111−1の長手方向に平行な方向であり、配列間隔はPY×2である。同様に、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1の配列方向は、第1のレンズ板111−1の長手方向に平行な方向であり、配列間隔はPY×2である。第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1と第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1との配列間隔はPYである。このように、図17の例では、第1のレンズ板111−1には、第1のマイクロレンズ112−1が、2列に、千鳥格子状に配置されている。
【0128】
第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1は、XY平面において、半径RLXの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLX)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心を通るY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。したがって、第1のマイクロレンズ112−1のX方向(またはサジタル面)における幅(または半径)はRLXであり、Y方向(またはメリジオナル面)における幅はRLY×2(半幅はRLY)である。具体的な一例では、RLX=1.5mm、RLY=0.5mmである。
【0129】
第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1は、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1を、光軸AXLを回転軸として(Z方向周りに)180度回転させた形状を有する。
【0130】
第1のマイクロレンズ112−1は、例えば、実施の形態1における第1のマイクロレンズ12−1をYZ平面で半分に切断した形状となっている。
【0131】
第1のレンズ板111−1において、第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLと、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLとは、レンズユニットの幅方向(X方向)における略中心に位置し、図17の例では、レンズユニットの幅方向の中心を通るY方向の中心線CL上に位置している。第1のレンズ列115−1の第1のマイクロレンズ112−1と、第2のレンズ列116−1の第1のマイクロレンズ112−1とは、中心線CLで互いにX方向に隣接する。
【0132】
第1のレンズ列115−1および第2のレンズ列116−1において、互いにY方向に隣接する第1のマイクロレンズ112−1は、境界で接し、隙間なく連続して配置または形成されている。したがって、第1のマイクロレンズ112−1の配列方向(Y方向)の半幅RLYは、レンズ配列間隔PYと等しくなっている。
【0133】
第2のレンズ板111−2の構成は、第1のレンズ板111−1と同様であり、第1のレンズ板111−1において第1のマイクロレンズ112−1を第2のマイクロレンズ112−2と置き換えたものと同等である。
【0134】
図18は、遮光板121の構成を示す平面図である。遮光板121は、複数の開口部122を有する。開口部122のY方向(マイクロレンズ配列方向)の配列間隔は、第1のマイクロレンズ112−1のY方向の配列間隔と一致する。開口部122は、対応する第1のマイクロレンズ112−1と対向するように配置される。具体的には、開口部122のY方向における中心位置は、対応する第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLの位置と一致するように配置される。
【0135】
開口部122は、半径RAXの円を、当該円の中心から距離RAY(<RAX)だけ離れたX方向(レンズユニットの幅方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心から距離TB/2だけ離れたY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。上記半径RAXの円の中心位置は、対応する第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLの位置と一致する。第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLは、遮光板121の幅方向(X方向)の中心を通る中心線CL上に位置する。第1のマイクロレンズ112−1の光軸AXLは開口部122の範囲外にあり、物体30Aから発せられた光軸AXLに一致する光線は、遮光板121により遮光される。
【0136】
図19は、レンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。図19は、図17および図18の線分A−Aでの断面図を示す。図19には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0137】
物体面OP上において、レンズユニットの幅方向(X方向)の中心を通るZ方向の直線(中心線)CL上の位置に、物体30AとしてのLEDアレイ300が配置される。物体面OPから光軸AXL方向に距離LOだけ離れた位置に第1のマイクロレンズ112−1が配置される。第2のマイクロレンズ112−2は、第1のマイクロレンズ112−1と光軸AXLが一致するように対向して、第1のマイクロレンズ112−1から光軸AXL方向に距離LSだけ隔てた位置に配置される。レンズユニットの結像面IPの位置は、第2のマイクロレンズ112−2から光軸AXL方向に距離LIだけ隔てた位置である。第1のマイクロレンズ112−1の厚さはLT1であり、第2のマイクロレンズ112−2の厚さはLT2である。
【0138】
第1のマイクロレンズ112−1は、サジタル焦点が物体30Aと一致するように、サジタル主平面HX1と物体面OPとの間隔がサジタル焦点距離FX1と一致するように配置される。また、第2のマイクロレンズ112−2は、サジタル焦点が結像30Cと一致するように、サジタル主平面HX2と結像面IPとの間隔がサジタル焦点距離FX2と一致するように配置される。
【0139】
本例では、第1のマイクロレンズ112−1の物体面側の曲面の曲率半径、および第2のマイクロレンズ112−2の結像面側の曲面の曲率半径はともに大きく、FX1とLOの差およびFX2とLIの差はともに無視することができる。したがって、第1のマイクロレンズ112−1のサジタル焦点距離FX1は、当該レンズから物体面OPまでの距離LOと略一致する。また、第2のマイクロレンズ112−2のサジタル焦点距離FX2は、当該レンズから結像面IPまでの距離LIと略一致する。
【0140】
以下、レンズユニットの作用について、図19を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられたサジタル光線は、第1のマイクロレンズ112−1に入射し、第1のマイクロレンズ112−1によって平行光線となる。そして、当該平行光線は、第2のマイクロレンズ112−2によって結像面IP上に集光し、これにより物体30Aの像である結像30Cが形成される。結像30Cは、物体30Aの倒立像であり、物体面OP上の+X方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、−X方向の矢印となる。物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は、遮光板121により遮断される。
【0141】
実施の形態1と同様に、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像であり、物体面OP上の+Y方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、+Y方向の矢印となる。
【0142】
このように、サジタル面においては、結像30Cは物体30Aの倒立像であり、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像である。つまり、結像30Cは、物体30Aの鏡像であり、例えば物体30Aに対しメリジオナル面を対称面とした鏡映対称となっている。
【0143】
以上説明した本実施の形態によれば、上記実施の形態1の効果の他に、以下の効果が得られ得る。
本実施の形態では、第1のレンズアレイは、それぞれ第1のレンズがY方向に配列された第1および第2のレンズ列を有し、第2のレンズアレイは、それぞれ第2のレンズがY方向に配列された第1および第2のレンズ列を有する。この構成によれば、レンズアレイが1列のレンズ列のみを有する場合と比較して、Y方向におけるレンズの配列間隔を短くすることが可能となり、均一な光学特性を得ることが可能となる。具体的には、レンズの配置に依存する光量や解像度の周期的な低下を抑制し、レンズユニット全体で均一な光学特性を得ることが可能となる。また、これにより、露光装置全体で均一な光学特性を得ることが可能となる。
なお、図16に示される実施の形態3のレンズユニットでは、1個のマイクロレンズに着目すると、光軸AXLに対して+X方向または−X方向のどちらか一方にしか形成されておらず、図4に示される実施の形態1のレンズユニットと比較して、マイクロレンズ1個当たりの結像の光量は小さくなる。しかし、図16に示されるレンズユニットでは、図4に示されるレンズユニットと比較して、実質2倍の個数のマイクロレンズが形成されているので、レンズユニット1つ当たりの光量は略同じである。
【0144】
実施の形態4.
以下、実施の形態4におけるレンズユニットについて説明する。本実施の形態のレンズユニットは、実施の形態3のレンズユニットに対し、マイクロレンズの形状が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態3と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態3と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0145】
図20は、第1のレンズ板111−1の構成を示す平面図である。図21および図22は、レンズユニットの構成を示すサジタル面による断面図である。図21および図22は、図20の線分A−Aの位置での断面図を示す。図21および図22には、物体面OPおよび結像面IPも示されている。
【0146】
図20〜図22に示されるように、第1のマイクロレンズ112−1は、物体側の面としての外側面113−1と、結像側の面としての内側面114−1とを有する。第2のマイクロレンズ112−2は、物体側の面としての内側面114−2と、結像側の面としての外側面113−2とを有する。
【0147】
外側面113−1は、XY平面において、半径RLXAの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXA)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心を通るY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。したがって、外側面113−1のX方向(またはサジタル面)における幅(または半径)はRLXAであり、Y方向(またはメリジオナル面)における幅はRLY×2(半幅はRLY)である。
【0148】
内側面114−1は、XY平面において、半径RLXBの円を、当該円の中心から距離RLY(<RLXB)だけ離れた幅方向(X方向)に平行な2つの直線で切断し、当該円の中心を通るY方向(マイクロレンズの配列方向)に平行な直線で切断した形状を有する。したがって、内側面114−1のX方向(またはサジタル面)における幅(または半径)はRLXBであり、Y方向(またはメリジオナル面)における幅はRLY×2(半幅はRLY)である。
【0149】
本例では、外側面113−2は、上記外側面113−1と同様の形状を有し、内側面114−2は、上記内側面114−1と同様の形状を有する。ただし、外側面113−2および内側面114−2は、それぞれ外側面113−1および内側面114−1と異なる形状であってもよい。
【0150】
図21および図22に示されるように、第1のマイクロレンズ112−1は、X方向(またはサジタル面)において、外側面113−1の幅が、内側面114−1の幅より小さくなるように構成されている。また、第2のマイクロレンズ112−2は、X方向(またはサジタル面)において、外側面113−2の幅が、内側面114−2の幅より小さくなるように構成されている。本例では、外側面113−1のX方向における半径RLXAは、内側面114−1のX方向における半径RLXBより小さくされている。また、外側面113−2のX方向における半径RLXAは、内側面114−2のX方向における半径RLXBより小さくされている。
【0151】
第1のマイクロレンズ112−1は、例えば、実施の形態2における第1のマイクロレンズ12−1をYZ平面で半分に切断した形状となっている。また、第2のマイクロレンズ112−2は、例えば、実施の形態2における第2のマイクロレンズ12−2をYZ平面で半分に切断した形状となっている。
【0152】
図22において、平面HX1は、物体30A側に向かい内側面114−1に入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR1は、物体30A側に向かい内側面114−1にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面114−1の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P1は、周辺光線PR1と光軸AXLとの交点の位置(物体30Aの位置)を表す。点P3は、外側面113−1の頂点を表す。点P2は、外側面113−1の頂点P3における接線と周辺光線PR1との交点を表す。点P4は、周辺光線PR1とサジタル主平面HX1との交点を表す。点P5は、光軸AXLとサジタル主平面HX1との交点を表す。
【0153】
三角形P1P2P3と三角形P1P4P5とは、相似の関係である。したがって、物体30Aからサジタル主平面HX1までの距離をSO1、物体30Aから外側面113−1までの距離をLO1とすると、線分P2P3の長さは、下記式(12)で表される。
【数12】
【0154】
周辺光線PR1が外側面113−1の最も外側を通過する場合、外側面113−1のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(13)を満たす。
【数13】
【0155】
そこで、一つの態様では、第1のマイクロレンズ112−1は、外側面113−1のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(13)を満たすように構成される。
【0156】
また、一つの態様では、第1のマイクロレンズ112−1は、サジタル面において、物体30A側に向かい内側面114−1に平行光線を入射させた場合、内側面114−1の端部に入射した光線が、外側面113−1の端部を通過するように構成される。
【0157】
図22において、平面HX2は、結像30C側に向かい内側面114−2に入射するサジタル面内の平行光線による主平面(サジタル主平面)を表す。直線PR2は、結像30C側に向かい内側面114−2にサジタル面内の平行光線を入射させた場合に、内側面114−2の最も外側に入射した光線(周辺光線)を表す。点P6は、周辺光線PR2と光軸AXLとの交点の位置(結像30Cの位置)を表す。点P8は、外側面113−2の頂点を表す。点P7は、外側面113−2の頂点P8における接線と周辺光線PR2との交点を表す。点P9は、周辺光線PR2とサジタル主平面HX2との交点を表す。点P10は、光軸AXLとサジタル主平面HX2との交点を表す。
【0158】
三角形P6P7P8と三角形P6P9P10とは、相似の関係である。したがって、サジタル主平面HX2から結像30Cまでの距離をSI2、外側面113−2から結像30Cまでの距離をLI2とすると、線分P7P8の長さは、下記式(14)で表される。
【数14】
【0159】
周辺光線PR2が外側面113−2の最も外側を通過する場合、外側面113−2のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAは、下記の条件式(15)を満たす。
【数15】
【0160】
そこで、一つの態様では、第2のマイクロレンズ112−2は、外側面113−2のサジタル面(またはX方向)における幅(または半径)RLXAが、上記の条件式(15)を満たすように構成される。
【0161】
また、一つの態様では、第2のマイクロレンズ112−2は、サジタル面において、結像30C側に向かい内側面114−2に平行光線を入射させた場合、内側面114−2の端部に入射した光線が、外側面113−2の端部を通過するように構成される。
【0162】
図21および図22に示されるように、X方向またはサジタル面において、内側面114−1の幅は、開口部22の幅より大きくされる。具体的には、内側面114−1のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。また、内側面114−2の幅は、開口部22の幅より大きくされる。具体的には、内側面114−2のX方向における半径RLXBは、開口部22のX方向における半径RAXより大きくされる。
【0163】
レンズユニットのメリジオナル面における構成は、実施の形態1におけるレンズユニット1と同様である。
【0164】
以下、レンズユニットの作用について、図21を参照して説明する。物体30AとしてのLED素子30から発せられたサジタル光線は、第1のマイクロレンズ112−1に入射し、第1のマイクロレンズ112−1によって平行光線となる。そして、当該平行光線は、第2のマイクロレンズ112−2によって結像面IP上に集光し、これにより物体30Aの像である結像30Cが形成される。結像30Cは、物体30Aの倒立像であり、物体面OP上の+X方向の矢印(物体)に対応する結像面IP上の結像は、−X方向の矢印となる。物体30Aからの光線のうち、結像に寄与しない光線(不要な光線)は、遮光板121により遮断される。
【0165】
実施の形態1と同様に、メリジオナル面においては、結像30Cは物体30Aの正立等倍像であり、サジタル面においては、結像30Cは、物体30Aの倒立像である。つまり、結像30Cは、物体30Aの鏡像であり、例えば物体30Aに対しメリジオナル面を対称面とした鏡映対称となっている。
【0166】
以上説明した本実施の形態によれば、実施の形態1、2、および3に記載の効果が得られ得る。
【0167】
実施の形態5.
以下、実施の形態5における読取装置について説明する。
図23は、本実施の形態における読取装置としてのスキャナ500の構成を示す概略図である。このスキャナ500は、実施の形態1〜4のいずれかのレンズユニットを用い、原稿600の画像を読み取り、当該画像を表す電子データ(画像データ)を生成するものである。
【0168】
[読取装置の構成]
スキャナ500は、原稿600を載置する原稿台502と、原稿600を照明する照明装置としてのランプ501と、原稿600の表面で反射した光を取り込み、電子データに変換する読取ヘッド400と、この読取ヘッド400を原稿600の面と平行に移動可能に支持するレール503と、読取ヘッド400をレール503に沿って移動させる駆動機構510とを備えている。原稿台502は、可視光を透過する素材で構成されている。ランプ501は、当該ランプ501から発せられた光が、原稿台502を透過して原稿600の表面で反射し、再び原稿台502を透過して読取ヘッド400内に取り込まれるように配置される。
【0169】
駆動機構510は、モータ506と、このモータ506により回転駆動される駆動ベルト505と、駆動ベルト505が張架された複数の滑車504とを備え、駆動ベルト505の一部が読取ヘッド400に接続されている。モータ506の回転により、駆動ベルト505が移動し、これにより読取ヘッド400がレール503に沿って、原稿600の面と平行に移動する。なお、上記のランプ501は読取ヘッド400に取り付けられており、読取ヘッド400と共に移動する。
【0170】
[読取ヘッドの構成]
図24は、読取ヘッド400の構成を示す概略図である。読取ヘッド400は、原稿600で反射した光の光路を折り曲げるミラー402と、原稿600の結像を形成するレンズユニット1と、レンズユニット1による結像位置に配設された受光素子アレイとしてのラインセンサ401とを備えている。ラインセンサ401は、略直線状に配置された複数の受光素子を備え、原稿600の結像を電気信号に変換する。なお、ラインセンサ401における複数の受光素子の配列方向は、原稿台502と平行で、且つ、読取ヘッド400の移動方向と直交する方向である。
【0171】
図25は、本実施の形態における読み取りヘッド400のレンズユニット1の構成を示す断面図である。図25に示すように、レンズユニット1は、その物体面OPが原稿600の表面と一致し、結像面IPがラインセンサ401の入射面と一致するように配置される。本実施の形態におけるレンズユニット1は、例えば実施の形態1におけるレンズユニットであり、第1のマイクロレンズ12−1を含む第1のレンズ板11−1と、第2のマイクロレンズ12−2を含む第2のレンズ板11−2と、開口部22を含む遮光板21とを有する。第1のマイクロレンズ12−1の配列方向、および第2のマイクロレンズ12−2の配列方向は、ラインヘッド401の受光素子の配列方向と平行である。
【0172】
具体的な一例では、ラインセンサ401の解像度は1200dpiであり、1インチ(約25.4mm)当たり1200個の受光素子が配置される。すなわち、受光素子の配列間隔は0.02117mmである。
【0173】
[読取装置の動作]
次に、スキャナ(読取装置)500の動作について、図23〜図25を参照して説明する。
【0174】
図23において、ランプ501が点灯すると、ランプ501から発せられた光線は、原稿台502を透過して原稿600の表面で反射され、再び原稿台502を透過して読取ヘッド400に入射する。モータ506により駆動ベルト505が駆動され、読取ヘッド400およびランプ501がレール503に沿って移動する。これにより、原稿600の全面から反射した光線が、読取ヘッド400に入射する。
【0175】
図24において、原稿600から読取ヘッド400に入射した光線は、ミラー402により反射し、レンズユニット1に入射し、レンズユニット1によりラインセンサ401上に原稿600の結像が形成される。ラインセンサ401は、原稿600の結像を電気信号に変換する。
【0176】
上記構成を有する読取装置を実際に作成し、当該読取装置で原稿を読み取ったところ、原稿と略同一の画像を表す電子データが得られた。このとき用いられた原稿は、間隔PD=0.02117mm、解像度1200dpiの全ドットのうち、1つおきにドットを形成した画像を媒体上の印字領域全面に形成したものであった。
【0177】
以上説明した本実施の形態によれば、原稿を照明する照明装置の光量を小さくしても、原稿の画像を良好に読み取ることが可能となる。
【0178】
なお、上記の説明では、レンズユニットをスキャナに適用した場合を例示したが、レンズユニットは、光学的信号を電気的信号に変換するセンサやスイッチ、またはそれらを用いた入出力装置、生体認証装置、通信装置、寸法測定器などに適用されてもよい。
【0179】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0180】
1 レンズユニット、 11−1,111−1 第1のレンズ板(第1のレンズアレイ)、 11−2,111−2 第2のレンズ板(第2のレンズアレイ)、 12−1,112−1 第1のマイクロレンズ(第1のレンズ)、 12−2,112−2 第2のマイクロレンズ(第2のレンズ)、 21,121 遮光板(遮光部材)、 22,122 開口部、 113−1,113−2 外側面、 114−1,114−2 内側面、 115−1,115−2 第1のレンズ列、 116−1,116−2 第2のレンズ列、 100 プリンタ(画像形成装置)、 300 LEDヘッド(露光装置)、 500 スキャナ(読取装置)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、物体からの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより結像面に結像するように構成される、
ことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第1のレンズまたは第2のレンズについて、前記第1の方向と前記光軸に平行な第2の方向とに直交する第3の方向における幅が、前記第1の方向における幅より大きいことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1のレンズおよび第2のレンズについて、前記光軸を含み前記第1の方向に平行な第2の平面による断面形状と、前記第1の平面による断面形状とが互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記第1のレンズおよび第2のレンズについて、前記第1の平面による断面形状の曲率半径は、前記第2の平面による断面形状の曲率半径より大きいことを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第3の方向を座標軸とする座標をX座標、前記第1の方向を座標軸とする座標をY座標、前記第2の方向を座標軸とする座標をZ座標、CRを曲率半径、Kをコーニック定数、CPn,m(nおよびmは正の整数)を多項式の係数としたとき、前記第1のレンズおよび第2のレンズの形状は、下記式(16)で表されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【数16】
【請求項6】
前記第1のレンズユニット側から前記第2のレンズユニット側へ入射する光線を制限する遮光部材であって、それぞれ対応する前記第1のレンズからの光線を前記第2のレンズ側に通過させる複数の開口部を有する遮光部材をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記第1の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離は、前記第1のレンズから物体面までの距離と略一致することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記第1の平面内の平行光線による前記第2のレンズの焦点距離は、前記第2のレンズから結像面までの距離と略一致することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記第1の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離は、前記第2の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離より大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記第1の平面内の平行光線による前記第2のレンズの焦点距離は、前記第2の平面内の平行光線による前記第2のレンズの焦点距離より大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記第2の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離をFY1、前記第1のレンズから物体面までの距離をLO1、前記第1のレンズの前記第1の方向における配列間隔をPY、前記開口部の前記第1の方向における半幅をRAYとしたとき、下記式(17)の関係が成り立つことを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【数17】
【請求項12】
下記式(18)の関係が成り立つことを特徴とする請求項11に記載のレンズユニット。
【数18】
【請求項13】
互いに隣接する前記第1のレンズまたは互いに隣接する前記第2のレンズは、隙間なく配置されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項14】
前記第1のレンズは、前記第3の方向における物体側の面の幅が、前記第3の方向における結像側の面の幅より小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項15】
前記第2のレンズは、前記第3の方向における結像側の面の幅が、前記第3の方向における物体側の面の幅より小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1または14に記載のレンズユニット。
【請求項16】
前記第1の平面において、物体側に向かい前記第1のレンズの結像側の面に入射した平行光線による前記第1のレンズの主平面と物体との距離をSO1、物体から前記第1のレンズの物体側の面までの距離をLO1、前記第1のレンズの結像側の面の半幅をRLXBとしたとき、前記第1のレンズの物体側の面の半幅RLXAは、下記式(19)を満たすことを特徴とする請求項14または15に記載のレンズユニット。
【数19】
【請求項17】
前記第1の平面において、結像側に向かい前記第2のレンズの物体側の面に入射した平行光線による前記第2のレンズの主平面と結像との距離をSI2、前記第2のレンズの結像側の面から結像までの距離をLI2、前記第2のレンズの物体側の面の半幅をRLXBとしたとき、前記第2のレンズの結像側の面の半幅RLXAは、下記式(20)を満たすことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【数20】
【請求項18】
前記第1の平面において、物体側に向かい前記第1のレンズの結像側の面に平行光線を入射させた場合、前記結像側の面の端部に入射した光線は、前記第1のレンズの物体側の面の端部を通過することを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項19】
前記第1の平面において、結像側に向かい前記第2のレンズの物体側の面に平行光線を入射させた場合、前記物体側の面の端部に入射した光線は、前記第2のレンズの結像側の面の端部を通過することを特徴とする請求項14から18のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項20】
前記第1のレンズの結像側の面について、前記第3の方向における幅は、前記第1の方向における幅より大きいことを特徴とする請求項14から19のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項21】
前記第2のレンズの物体側の面について、前記第3の方向における幅は、前記第1の方向における幅より大きいことを特徴とする請求項14から20のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項22】
前記第1のレンズユニット側から前記第2のレンズユニット側へ入射する光線を制限する遮光部材であって、それぞれ対応する前記第1のレンズからの光線を前記第2のレンズ側に通過させる複数の開口部を有する遮光部材をさらに有することを特徴とする請求項14から21のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項23】
前記第3の方向における前記第1のレンズの結像側の面の幅は、前記第3の方向における前記開口部の幅より大きいことを特徴とする請求項22に記載のレンズユニット。
【請求項24】
前記第3の方向における前記第2のレンズの物体側の面の幅は、前記第3の方向における前記開口部の幅より大きいことを特徴とする請求項22または23に記載のレンズユニット。
【請求項25】
前記第1のレンズの光軸が、前記第1のレンズアレイの前記第3の方向における略中心に位置することを特徴とする請求項14から24のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項26】
前記第1のレンズアレイは、それぞれ前記第1のレンズが前記第1の方向に配列された第1および第2のレンズ列を有し、
前記第2のレンズアレイは、それぞれ前記第2のレンズが前記第1の方向に配列された第1および第2のレンズ列を有する、
ことを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項27】
前記第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイにおいて、前記第1のレンズ列のレンズと前記第2のレンズ列のレンズとは、前記第1の方向について交互に配置されることを特徴とする請求項26に記載のレンズユニット。
【請求項28】
前記第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイにおいて、前記第1のレンズ列のレンズの光軸と、前記第2のレンズ列のレンズの光軸とが、前記レンズユニットの前記第3の方向における略中心に位置することを特徴とする請求項26または27に記載のレンズユニット。
【請求項29】
前記第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイにおいて、前記第2のレンズ列のレンズは、前記第1のレンズ列のレンズを前記第2の方向周りに180度回転させた形状を有することを特徴とする請求項26から28のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項30】
前記第1のレンズの光軸と一致する物体からの光線が、前記遮光部材により遮光されることを特徴とする請求項26から29のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項31】
複数のLED素子を含むLEDアレイと、
前記LEDアレイからの光線を結像面に結像させるレンズユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記LEDアレイからの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記結像面に結像するように構成される、
ことを特徴とするLEDヘッド。
【請求項32】
複数の発光部を含む発光部アレイと、
前記発光部アレイからの光線を静電潜像担持体上に結像させるレンズユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記発光部アレイからの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記静電潜像担持体上に結像するように構成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項33】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、
を備え、
前記露光装置は、
複数の発光部を含む発光部アレイと、
前記発光部アレイからの光線を前記静電潜像担持体上に結像させるレンズユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記発光部アレイからの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記静電潜像担持体上に結像するように構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項34】
原稿を照明する照明装置と、
前記原稿の表面で反射した光を電気信号に変換する読取ヘッドと、
を備え、
前記読取ヘッドは、
前記原稿の表面で反射した光を結像するレンズユニットと、
前記レンズユニットによる結像を電気信号に変換する複数の受光素子を含む受光素子アレイと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記原稿の表面からの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記受光素子アレイ上に結像するように構成される、
ことを特徴とする読取装置。
【請求項1】
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、物体からの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより結像面に結像するように構成される、
ことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第1のレンズまたは第2のレンズについて、前記第1の方向と前記光軸に平行な第2の方向とに直交する第3の方向における幅が、前記第1の方向における幅より大きいことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1のレンズおよび第2のレンズについて、前記光軸を含み前記第1の方向に平行な第2の平面による断面形状と、前記第1の平面による断面形状とが互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記第1のレンズおよび第2のレンズについて、前記第1の平面による断面形状の曲率半径は、前記第2の平面による断面形状の曲率半径より大きいことを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第3の方向を座標軸とする座標をX座標、前記第1の方向を座標軸とする座標をY座標、前記第2の方向を座標軸とする座標をZ座標、CRを曲率半径、Kをコーニック定数、CPn,m(nおよびmは正の整数)を多項式の係数としたとき、前記第1のレンズおよび第2のレンズの形状は、下記式(16)で表されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【数16】
【請求項6】
前記第1のレンズユニット側から前記第2のレンズユニット側へ入射する光線を制限する遮光部材であって、それぞれ対応する前記第1のレンズからの光線を前記第2のレンズ側に通過させる複数の開口部を有する遮光部材をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記第1の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離は、前記第1のレンズから物体面までの距離と略一致することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記第1の平面内の平行光線による前記第2のレンズの焦点距離は、前記第2のレンズから結像面までの距離と略一致することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記第1の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離は、前記第2の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離より大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記第1の平面内の平行光線による前記第2のレンズの焦点距離は、前記第2の平面内の平行光線による前記第2のレンズの焦点距離より大きいことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記第2の平面内の平行光線による前記第1のレンズの焦点距離をFY1、前記第1のレンズから物体面までの距離をLO1、前記第1のレンズの前記第1の方向における配列間隔をPY、前記開口部の前記第1の方向における半幅をRAYとしたとき、下記式(17)の関係が成り立つことを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【数17】
【請求項12】
下記式(18)の関係が成り立つことを特徴とする請求項11に記載のレンズユニット。
【数18】
【請求項13】
互いに隣接する前記第1のレンズまたは互いに隣接する前記第2のレンズは、隙間なく配置されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項14】
前記第1のレンズは、前記第3の方向における物体側の面の幅が、前記第3の方向における結像側の面の幅より小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項15】
前記第2のレンズは、前記第3の方向における結像側の面の幅が、前記第3の方向における物体側の面の幅より小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1または14に記載のレンズユニット。
【請求項16】
前記第1の平面において、物体側に向かい前記第1のレンズの結像側の面に入射した平行光線による前記第1のレンズの主平面と物体との距離をSO1、物体から前記第1のレンズの物体側の面までの距離をLO1、前記第1のレンズの結像側の面の半幅をRLXBとしたとき、前記第1のレンズの物体側の面の半幅RLXAは、下記式(19)を満たすことを特徴とする請求項14または15に記載のレンズユニット。
【数19】
【請求項17】
前記第1の平面において、結像側に向かい前記第2のレンズの物体側の面に入射した平行光線による前記第2のレンズの主平面と結像との距離をSI2、前記第2のレンズの結像側の面から結像までの距離をLI2、前記第2のレンズの物体側の面の半幅をRLXBとしたとき、前記第2のレンズの結像側の面の半幅RLXAは、下記式(20)を満たすことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【数20】
【請求項18】
前記第1の平面において、物体側に向かい前記第1のレンズの結像側の面に平行光線を入射させた場合、前記結像側の面の端部に入射した光線は、前記第1のレンズの物体側の面の端部を通過することを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項19】
前記第1の平面において、結像側に向かい前記第2のレンズの物体側の面に平行光線を入射させた場合、前記物体側の面の端部に入射した光線は、前記第2のレンズの結像側の面の端部を通過することを特徴とする請求項14から18のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項20】
前記第1のレンズの結像側の面について、前記第3の方向における幅は、前記第1の方向における幅より大きいことを特徴とする請求項14から19のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項21】
前記第2のレンズの物体側の面について、前記第3の方向における幅は、前記第1の方向における幅より大きいことを特徴とする請求項14から20のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項22】
前記第1のレンズユニット側から前記第2のレンズユニット側へ入射する光線を制限する遮光部材であって、それぞれ対応する前記第1のレンズからの光線を前記第2のレンズ側に通過させる複数の開口部を有する遮光部材をさらに有することを特徴とする請求項14から21のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項23】
前記第3の方向における前記第1のレンズの結像側の面の幅は、前記第3の方向における前記開口部の幅より大きいことを特徴とする請求項22に記載のレンズユニット。
【請求項24】
前記第3の方向における前記第2のレンズの物体側の面の幅は、前記第3の方向における前記開口部の幅より大きいことを特徴とする請求項22または23に記載のレンズユニット。
【請求項25】
前記第1のレンズの光軸が、前記第1のレンズアレイの前記第3の方向における略中心に位置することを特徴とする請求項14から24のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項26】
前記第1のレンズアレイは、それぞれ前記第1のレンズが前記第1の方向に配列された第1および第2のレンズ列を有し、
前記第2のレンズアレイは、それぞれ前記第2のレンズが前記第1の方向に配列された第1および第2のレンズ列を有する、
ことを特徴とする請求項1から25のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項27】
前記第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイにおいて、前記第1のレンズ列のレンズと前記第2のレンズ列のレンズとは、前記第1の方向について交互に配置されることを特徴とする請求項26に記載のレンズユニット。
【請求項28】
前記第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイにおいて、前記第1のレンズ列のレンズの光軸と、前記第2のレンズ列のレンズの光軸とが、前記レンズユニットの前記第3の方向における略中心に位置することを特徴とする請求項26または27に記載のレンズユニット。
【請求項29】
前記第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイにおいて、前記第2のレンズ列のレンズは、前記第1のレンズ列のレンズを前記第2の方向周りに180度回転させた形状を有することを特徴とする請求項26から28のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項30】
前記第1のレンズの光軸と一致する物体からの光線が、前記遮光部材により遮光されることを特徴とする請求項26から29のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項31】
複数のLED素子を含むLEDアレイと、
前記LEDアレイからの光線を結像面に結像させるレンズユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記LEDアレイからの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記結像面に結像するように構成される、
ことを特徴とするLEDヘッド。
【請求項32】
複数の発光部を含む発光部アレイと、
前記発光部アレイからの光線を静電潜像担持体上に結像させるレンズユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記発光部アレイからの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記静電潜像担持体上に結像するように構成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項33】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、
を備え、
前記露光装置は、
複数の発光部を含む発光部アレイと、
前記発光部アレイからの光線を前記静電潜像担持体上に結像させるレンズユニットと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記発光部アレイからの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記静電潜像担持体上に結像するように構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項34】
原稿を照明する照明装置と、
前記原稿の表面で反射した光を電気信号に変換する読取ヘッドと、
を備え、
前記読取ヘッドは、
前記原稿の表面で反射した光を結像するレンズユニットと、
前記レンズユニットによる結像を電気信号に変換する複数の受光素子を含む受光素子アレイと、
を備え、
前記レンズユニットは、
互いに光軸が平行となるように前記光軸と直交する第1の方向に配列された複数の第1のレンズを含む第1のレンズアレイと、
前記複数の第1のレンズに対応して前記第1の方向に配列された複数の第2のレンズを含み、前記各第2のレンズは対応する前記第1のレンズと光軸が一致するように配置される、第2のレンズアレイと、
を有し、
前記複数の第1のレンズおよび複数の第2のレンズのうち互いに光軸が一致する第1のレンズおよび第2のレンズは、前記光軸を含み前記第1の方向と直交する第1の平面において、前記原稿の表面からの光線が前記第1のレンズにより平行化され、当該平行化された光線が前記第2のレンズにより前記受光素子アレイ上に結像するように構成される、
ことを特徴とする読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−247565(P2012−247565A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118218(P2011−118218)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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