説明

レンズユニットの包装体

【課題】レンズユニットの防塵性の向上並びにレンズユニットの損傷を確実に防止し、かつ、真空包装したレンズユニットを取り出す際、上段側のトレー本体とレンズユニットとが確実に分離できるようにする。
【解決手段】レンズユニット50を収納保持したトレー本体1を多段に積み重ね、これをフィルム体Hで真空包装して密閉した包装体とする。トレー本体は多段に積み重ねた際、下段側のレンズユニットと上段側のトレー本体との間に段部7による空隙部8が形成され、この空隙部が空気の逃し路となり、空間部S1内が負圧とならない。これにより、レンズユニットを取り出す際、上段側のトレー本体とレンズユニットとが確実に分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器用カメラなどに組み込まれるレンズユニットの保管、運搬に用いる包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の保管、運搬に用いる収納用トレーとして従来からポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、PET樹脂等の熱可塑性の合成樹脂シートを真空成形などで成形したトレーが知られている。このような収納用トレーとして特許文献1で示すように、全体として全体形状が略皿形に形成され、内部に電子部品を収納保持させた状態で積み重ねられるように、トレー本体が、電子部品を載置する平板部と、この平板部の周縁部から立ち上がる鍔部と、この鍔部の周縁部から下方に向かって末広がり状に傾斜した傾斜面とから成り、前記平板部に電子部品を収納保持するための複数の収納凹部を形成し、この収納凹部に電子部品等のレンズユニットを位置決め保持した状態で順次、下段側のトレー本体の鍔部に上段のトレー本体を積み重ねるように構成している。また、特許文献2には、リード端子を備えた電子部品に対する包装方法に関し、電子部品における厚さ寸法に近似した厚さにした第1板状体と、軟質性を有する第2板状体とを、前記第1板状体に複数個穿設した各装填孔内に前記電子部品を装填して重ね合わせたのち、これらの全体をフィルムにて、真空包装するように構成したリード端子付き電子部品の包装方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−276790号公報
【特許文献2】特開平11−59611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された収納用トレーにより、電子部品を収納し、これを順次、積み重ねて保管、運搬などに用いられるが、携帯機器用カメラなどに組み込まれるレンズユニットは、保管時あるいは運搬時において塵や埃などが付着すると、光学的性能が劣化することから、防塵性を高める目的で特許文献2で示すようにフィルムを用いて真空包装する場合、積層した収納用トレーを真空包装した際、図11に示すように、携帯機器用カメラのレンズユニットAは、レンズ鏡筒A1とレンズA2とからなり、レンズA2はレンズ鏡筒A1から突出しないようにレンズ鏡筒A1より低い。このため、上段側に積み重ねたトレー本体Bと下段側のトレー本体Bに収納されたレンズ鏡筒A1とが密着した際、レンズA2と上段側のトレー本体Bとの間に密閉空間Cが形成され、その密閉空間C内の空気が抜かれることによって密閉空間Cが負圧となり、本来、下段側のトレー本体に収納されるべきレンズユニットAのいくつかがトレー本体Bの裏面側に貼り付いてしまう。このため、包装体から収納用トレーを取り出して多段に積み重ねたトレー本体を分離する際、上段側のトレー本体に貼り付けたレンズユニットAを剥がすといった煩わしい手間がかかり、作業性の低下を招くという課題を有していた。また、最上部に積み重ねたトレー本体に収納したレンズユニットの前面にフィルムが密着してしまい、レンズユニットに組み込んだレンズが損傷する危険あり、特にレンズなどの光学部品を収納する際、レンズを保護することが重要な課題であった。
【0005】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、保管時あるいは運搬時においてレンズユニットへの塵や埃などの付着やレンズユニットの損傷を確実に防止することができるとともに、収納保持した複数のトレー本体を一体化して効率的に保管、輸送でき、かつ、真空包装したレンズユニットを取り出す際、上段側のトレー本体へのレンズユニットの貼り付きを抑えて確実に分離することができるレンズユニットの包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のレンズユニットの包装体は、包装対象である携帯電話用カメラなどに組み込まれるレンズユニットを収納する全体形状が略皿形に形成されたトレー本体を備え、このトレー本体に前記レンズユニットが嵌合する複数の収納凹部を形成し、この収納凹部に前記レンズユニットを位置決め保持した前記トレー本体を多段に積み重ねるとともに、最上部のトレー本体はレンズユニットが収納されていないトレー本体を配置し、これらトレー本体全体をフィルムで真空包装することを特徴とする。
【0007】
請求項1の構成により、光学部品であるレンズユニットを保管、輸送する際、レンズユニットをトレー本体に収納保持し、このトレー本体を多段に積み重ねてトレー本体全体をフィルムで真空包装することで、多段に積み重ねたトレー本体がフィルムにより一体化され、内部に収納したレンズユニットのずれや変動が抑えられるとともに、仮に包装体の天地を逆にしてもレンズユニットが外れてトレー本体から落下することなく、確実にトレー本体に収納保持できる。また、最上段のトレー本体は、蓋として機能するのみでレンズユニットが収納されていないで、レンズユニットにフィルムが貼り付くことによるレンズユニットの損傷を防止することができる。
【0008】
請求項2のレンズユニットの包装体は、請求項1記載のレンズユニットの包装体において、前記トレー本体には、前記フィルムで真空包装する際、下段側のトレー本体の収納凹部内に収納した前記レンズユニットが上段側に積み重ねたトレー本体の収納凹部裏面側に密着して貼り付くことを防止するための吸着防止手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の構成により、多段に積み重ねたトレー本体をフィルムで真空包装する際、下段側のトレー本体に収納保持したレンズユニットが密着して貼り付きやすくなるが、吸着防止手段により上段側に位置する収納凹部裏面側へのレンズユニットの貼り付きが防止される。
【0010】
請求項3のレンズユニットの包装体は、請求項2記載のレンズユニットの包装体において、前記吸着防止手段として、前記収納凹部の底部に一つ以上の凹状又は凸状の段部を形成し、前記レンズユニットを収納したトレー本体を積み重ねた際、前記段部によって、少なくとも下段側の収納凹部内に収納したレンズユニットと上段側の収納凹部裏面側との間に空隙部を形成し、前記真空包装時において、前記空隙部と積み重ねた前記各トレー本体の間に形成される収納空間とが連通して空気の逃し路として機能させたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の構成により、上段側に位置するトレー本体の収納凹部裏面側との間には段部による空隙部が形成されるから、この空隙部から空気が逃げてレンズユニットとトレー本体とが密着しにくくなる。
【0012】
請求項4のレンズユニットの包装体は、前記収納凹部の裏面周縁から拡径状に広がるテーパ面で構成され、前記レンズユニットを収納したトレー本体を積み重ねた際、下段側の収納凹部内に収納したレンズユニットの前面周縁が前記テーパ面の内周面に線接触可能とすることで、少なくとも下段側のトレー本体に収納するレンズユニットの前面と上段側のトレー本体とが非接触状態を保ったまま収納保持されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の構成により、トレー本体を多段に積み重ねた際、下段側のトレー本体に収納保持したレンズユニットの前面周縁が上段側のトレー本体のテーパ面の内周面に線接触し、下段側のレンズユニットは、テーパ面に線接触状態で当接するから、レンズユニットの前面部が上段側のトレー本体と接触しない。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレンズユニットの包装体は、レンズユニットを収納保持したトレー本体を多段に積み重ね、これをフィルムで真空包装することでレンズユニットを収納保持した個々のトレー本体がフィルムにより一体化され、内部に収納した収納保持のずれや変動が抑えられるとともに、仮に包装体の天地を逆にしてもレンズユニットが外れてトレー本体から落下することなく、確実にトレー本体に収納保持できる。また、保管、輸送時などにおいて、防塵性が向上し、レンズユニットへの塵や埃などの付着を防止することができるとともに、レンズユニットの損傷を防止することができる。
【0015】
また、真空包装したレンズユニットを取り出す際、下段側の収納凹部内に収納したレンズユニットが上段側のトレー本体の裏面側に貼り付くことなく、確実に収納凹部内に収納保持されるから、上段側のトレー本体の裏面側に貼り付いたレンズユニットを剥がすといった煩わしい作業も不要であり、作業性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の収納用トレーの具体的実施例として添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の収納トレーを包装体に収納した状態を示す一部を切り欠いた包装体の正面図、図2はトレー本体の重なり部を示す拡大断面図、図3は図2におけるA部分の拡大断面図、図4は収納用トレーを示す一部を拡大した平面図、図5は図4におけるB−B線断面図に沿った拡大断面図、図6は収納凹部の拡大平面図である。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【実施例1】
【0017】
図において1は、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、PET樹脂等の熱可塑性の合成樹脂シートを真空成形等で成形したトレー本体であり、全体として略皿形に形成されている。このトレー本体1は、平坦な平板部2と、この平板部2の周縁から立ち上がる鍔部3及び該鍔部3の周縁からから下方に向かって末広がり状に傾斜した傾斜面4を備え、図1などに示すように、前記平板部2に形成する複数の収納凹部5にレンズユニットとして携帯機器用カメラなどに組み込まれるレンズユニット50を位置決め保持した状態で順次、下段側のトレー本体1の鍔部3に上段のトレー本体1を積み重ねることによって保管あるいは輸送するものである。
【0018】
前記収納凹部5は、レンズユニット50の外周が嵌合するように平板部2から円形状に陥没している。また、本実施例において、収納凹部5は、平板部2を横長として見た場合、縦方向に10列、横方向に16列の収納凹部5が等間隔に並列され、計160個のレンズユニット50が収納可能である。また、平板部2には並設された複数の収納凹部5の中心を相互に結ぶように十字状の溝部5Aが形成されるとともに、収納凹部5の底部には、収納凹部5の表面から突出して前記レンズユニット50の底面と当接する左右一対の載置用凸部6,6を形成している。この載置用凸部6,6は、図4(拡大部分)に示すように、それぞれ前記収納凹部5の内周面から収納凹部5の中心に向かって円弧状に突出し、収納凹部5内におけるレンズユニット50の高さ方向に位置決めを成す。また、収納凹部5の表面に載置用凸部6,6を形成することによって、収納凹部5の裏面側に載置用凸部6,6と対応した位置、すなわち、収納凹部5の外周縁を円弧状に切り欠いた凹状の段部7が形成され、この段部7が吸着防止手段となる。この吸着防止手段である段部7によって、前記トレー本体1を多段に積み重ねた際、下段側の収納凹部5内に収納したレンズユニット50と上段側のトレー本体1に形成する収納凹部5の裏面とが接触した際、収納凹部5の裏面に陥没した段部7によって収納凹部5の裏面とレンズユニット50と間に空隙部8が形成される。この空隙部8は、トレー本体1を多段に積み重ねた際、上下各トレー本体1間に形成する収納空間Sと連通することになるから、後述するトレー本体1を真空包装する際、空隙部8が空気の逃し路として機能する。
【0019】
本実施例は以上の構成からなり、トレー本体1に形成する複数の収納凹部5内にそれぞれレンズユニット50を嵌め入れることにより、レンズユニット50の周縁が収納凹部5の内周面に位置決めされるとともに、レンズユニット50の底面が収納凹部5の底部の突出形成した2つの載置用凸部6に当接した状態で位置決めされる。これにより、収納凹部5内においてレンズユニット50がガタ付くことなく、レンズユニット50が収納保持される。このようにして、レンズユニット50を組み込んだトレー本体1を上下多段に積み重ねるが、所定の枚数トレー本体1を積み重ねたら、最上部のトレー本体1にはレンズユニット50が組み込まれていないトレー本体1を載置する。すなわち、トレー本体1を上下多段に積み重ねることで、上下各トレー本体1の間には各トレー本体1で囲まれたレンズユニット50の収納空間Sが形成され、最上部のトレー本体1は単に蓋体として機能する。このようにして、レンズユニット50を収納保持したトレー本体1を多段に積み重ねた後、図1に示すように、フィルム体Hなどに収納し、そのフィルム体H内の空気を抜いてフィルム体Hの開口部を熱溶着することによって密閉した包装体10を形成している。これにより、多段に積み重ねたトレー本体1の周囲がフィルム体Hで押されて一体化され、内部に収納したレンズユニット50のずれや変動が抑えられ、また、例え、包装体10の天地を逆にしてもレンズユニット50が外れてトレー本体1から落下することもなく、また、レンズユニット50への塵、埃などの付着を防止して防塵性を高めるとともに、レンズユニット50の損傷も防止される。
【0020】
このように、本実施例においては、防塵性を高めるために、レンズユニット50が組み込まれたトレー本体1をフィルム体Hで密封する。この時、フィルム体H内の空気を抜くことから、多段に積み重ねたトレー本体1は、相互に密着し、下段側のトレー本体1に収納保持したレンズユニット50の表面が上段側のトレー本体1に形成する収納凹部5の裏面に当接する。この時、レンズユニット50に組み込んだレンズ50Aと収納凹部5の裏面との間に空間部S1が生じたとしても、下段側の収納凹部5内に収納したレンズユニット50と上段側のトレー本体1に形成する収納凹部5の裏面との間に空隙部8が形成され、空隙部8によってレンズ50Aと収納凹部5との空間部S1が上下各トレー本体1間に形成される収納空間Sと連通し、空間部S1内の空気は空隙部8を通って収納空間Sへと流れる。したがって、包装体10からトレー本体1を取り出す際、下段側の収納凹部5内に収納したレンズユニット50が上段側のトレー本体1の裏面側に貼り付くことなく、確実に収納凹部5内に収納保持される。
【0021】
以上のように、本実施例においては、包装体10からトレー本体1を取り出した後、上段側のトレー本体1の裏面側に貼り付いたレンズユニット50を剥がすといった煩わしい作業が不要であり、作業性を高めることができるとともに、レンズユニット50を収納保持したトレー本体1をフィルム体H内に収納して密封した包装体10とすることにより、多段に積み重ねたトレー本体1が一体化され、内部に収納したレンズユニット50のずれや変動が抑えられ、また、例え、包装体10の天地を逆にしてもレンズユニット50が外れてトレー本体1から落下することもないから、保管時、輸送時などにおいて取り扱いにも便利であるとともに、最上段のトレー本体1は、蓋として機能するのみでレンズユニット50が収納されていないで、レンズユニット50にフィルム体Hが貼り付くことによるレンズユニット50の損傷を防止することができる。このように、複数のレンズユニット50を収納保持したトレー本体1を多段に積み重ねてフィルム体Hで真空包装することでレンズユニット50の損傷の防止並びにレンズユニット50への塵、埃などの付着を確実に防止して防塵性を高めることができる。
【実施例2】
【0022】
図7及び図8は本発明の実施例2を示し、図7は本発明の実施例2を示す収納用トレーを示す一部を拡大した平面図、図8はトレー本体の重なり部を示す拡大断面図である。なお、実施例2において、前記実施例1と共通する機能を有する部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0023】
前記実施例1においては、収納凹部5の底部に、収納凹部5の表面から突出する載置用凸部6,6を形成することによって収納凹部5の裏面側に吸着防止手段となる凹状の段部7を形成した例を示したが、本実施例においては、収納凹部5の裏面側に下段側に収納保持したレンズユニット50に前面周縁部分と当接可能な4つの突き当て凸部20を形成することによって収納凹部5の裏面側に吸着防止手段となる凸状の段部21を形成している。突き当て凸部20は、図7に示すように、それぞれ前記収納凹部5の底部周縁部に位置してそれぞれ90度毎に間隔毎に形成されており、また、形状は前記実施例1と同様、円弧状である。
【0024】
以上のように構成される本実施例においては、トレー本体1を収納したフィルム体H内の空気を抜く際、下段側のトレー本体1に収納保持したレンズユニット50の表面が上段側に位置するトレー本体1の収納凹部5の裏面側に突設した突き当て凸部20と当接し、この凸部20によって構成される凸状の段部21により、レンズユニット50と上段側のトレー本体1に形成する収納凹部5の裏面との間に空隙部8が形成されるから、前記実施例1と同様、空隙部8を介してレンズ50Aと収納凹部5の裏面との間に形成される空間部S1と上下各トレー本体1間に形成する収納空間Sとが連通し、空隙部8がフィルム体H内の空気を抜く際の空気の逃し路として機能する。これにより、包装体10からトレー本体1を取り出す際、下段側の収納凹部5内に収納したレンズユニット50が上段側のトレー本体1の裏面側に貼り付くことなく、確実に収納凹部5内に収納保持される。
【実施例3】
【0025】
図9及び図10は本発明の実施例3を示し、図9は収納用トレーを示す一部を拡大した平面図、図10はトレー本体の重なり部を示す拡大断面図である。なお、実施例3において、前記各実施例と共通する機能を有する部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0026】
前記実施例1、2においては、レンズユニット50に組み込まれるレンズ50Aがレンズユニット50の表面より下がった位置に組み込まれる場合を示したが、レンズユニット50のタイプによってはレンズ50Aの表面側にレンズ50の保護あるいは赤外線などを遮断するためにフィルタ50Bを組み込んだものもある。このようなフィルタ50Bはレンズユニット50の表面とフラットに連続するように組み込まれるものが多く、実施例1あるいは実施例2のように、レンズユニット50の表面にトレー本体1の収納凹部5又は突き当て凸部20を直接的に接触すると、フィルタ50Bが損傷する虞れがある。このため、本実施例においては、レンズユニット50の表面と上段側に位置するトレー本体1の収納凹部5の裏面側とが直接的に接触しないように構成している。すなわち、本実施例では、吸着防止手段として、収納凹部5の裏面周縁から拡径状に広がるテーパ面30を形成し、レンズユニット50を収納したトレー本体1を積み重ねた際、下段側の収納凹部5内に収納したレンズユニット50の前面周縁を前記テーパ面30の内周面に線接触させている。
【0027】
以上のように構成される本実施例においては、トレー本体1を収納したフィルム体H内の空気を抜く際、下段側のトレー本体1に収納保持したレンズユニット50の前面周縁を上段側に位置するトレー本体1の収納凹部5の裏面周縁から延設したテーパ面30の内周面に当接したとしてもテーパ面30とレンズユニット50とは線接触するから、レンズユニット50とテーパ面30との接触面積が極めて少ないとともに、レンズユニット50をテーパ面30に突き当てることで、レンズユニット50とテーパ面30との間に形成される空間部S1内の容積が可及的に狭くなる。したがって、フィルム体H内の空気を抜く際、レンズユニット50とテーパ面30との間から空気が洩れやすく、下段側の収納凹部5内に収納したレンズユニット50が上段側のトレー本体1に密着しにくくなる。
【0028】
以上のように、本実施例においては、レンズユニット50の表面側に露出するフィルタ50Bとトレー本体1とが非接触状態を保ち、フィルタ50Bの損傷を防止することができるとともに、包装体10からトレー本体1を取り出した後、上段側のトレー本体1の裏面側に貼り付いたレンズユニット50を剥がすといった煩わしい作業も不要であり、作業性を高めることができる。
【0029】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、収納凹部5に形成する載置用凸部6や突き当て凸部20の形状あるいは数などは前記実施例に限らず適宜選定すればよい。また、トレー本体1や収納凹部5の形状あるいはトレー本体1に組み込まれるレンズユニット50の個数も適宜選定すればよい。また、実施例3において、トレー本体1に収納するレンズユニット50として、レンズ50Aの表面側にレンズ50の保護あるいは赤外線などを遮断するためにフィルタ50Bを設け、このフィルタ50Bをレンズユニット50の表面とフラットに連続させたタイプを例示したが、実施例3に示すトレー本体1に実施例1、2に示すように、レンズ50Aがレンズユニット50の表面より下がった位置に組み込まれるタイプのレンズユニット50を組み込むことも可能である。さらに、前記各実施例においては、レンズユニットとして携帯電話などに組み込まれるレンズユニット50を例として説明したが、他の電子部品の収納用トレーとして広く適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1における収納トレーを包装体に収納した状態を示す一部を切り欠いた包装体の正面図である。
【図2】同上、トレー本体の重なり部を示す拡大断面図である。
【図3】同上、図2のA部分の拡大断面図である。
【図4】収納用トレーを示す一部を拡大した平面図である。
【図5】同上、図4におけるB−B線断面図に沿った拡大断面図である。
【図6】同上、収納凹部の拡大平面図である。
【図7】本発明の実施例2における収納用トレーを示す一部を拡大した平面図である。
【図8】同上、トレー本体の重なり部を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の実施例3における収納用トレーを示す一部を拡大した平面図である。
【図10】同上、トレー本体の重なり部を示す拡大断面図である。
【図11】従来例を示すトレー本体の重なり部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 トレー本体
5 収納凹部
6 載置用凸部
7 凹状の段部
8 空隙部
10 包装体
20 突き当て凸部
21 凸状の段部
30 テーパ面
50 レンズユニット
S 収納空間
S1 空間部
H フィルム体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装対象である携帯電話用カメラなどに組み込まれるレンズユニットを収納する全体形状が略皿形に形成されたトレー本体を備え、このトレー本体に前記レンズユニットが嵌合する複数の収納凹部を形成し、この収納凹部に前記レンズユニットを位置決め保持した前記トレー本体を多段に積み重ねるとともに、最上部のトレー本体はレンズユニットが収納されていないトレー本体を配置し、これらトレー本体全体をフィルムで真空包装することを特徴とするレンズユニットの包装体。
【請求項2】
前記トレー本体には、前記フィルムで真空包装する際、下段側のトレー本体の収納凹部内に収納した前記レンズユニットが上段側に積み重ねたトレー本体の収納凹部裏面側に密着して貼り付くことを防止するための吸着防止手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のレンズユニットの包装体。
【請求項3】
前記吸着防止手段として、前記収納凹部の底部に一つ以上の凹状又は凸状の段部を形成し、前記レンズユニットを収納したトレー本体を積み重ねた際、前記段部によって、少なくとも下段側の収納凹部内に収納したレンズユニットと上段側の収納凹部裏面側との間に空隙部を形成し、前記真空包装時において、前記空隙部と積み重ねた前記各トレー本体の間に形成される収納空間とが連通して空気の逃し路として機能させたことを特徴とする請求項2記載のレンズユニットの包装体。
【請求項4】
前記収納凹部の裏面周縁から拡径状に広がるテーパ面で構成され、前記レンズユニットを収納したトレー本体を積み重ねた際、下段側の収納凹部内に収納したレンズユニットの前面周縁が前記テーパ面の内周面に線接触可能とすることで、少なくとも下段側のトレー本体に収納するレンズユニットの前面と上段側のトレー本体とが非接触状態を保ったまま収納保持されていることを特徴とする請求項1記載のレンズユニットの包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−13201(P2008−13201A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185195(P2006−185195)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(391014055)カンタツ株式会社 (84)
【Fターム(参考)】