レンズ制御装置およびレンズ制御装置を備えた交換レンズ
【課題】ズームトラッキング動作において、より広範囲の被写体距離で良好な光学像が得られるレンズ制御装置、またはレンズ制御装置を備えた交換レンズを提供する。
【解決手段】レンズ制御装置は、合焦状態を調節するための第1および第2のフォーカスレンズ(G4、G5)と画角を調節するためのズームレンズ(G2)とを含む光学系の駆動を制御する。レンズ制御装置は、第1のフォーカスレンズ(G4)を駆動する第1の駆動部(264)と、第2のフォーカスレンズ(G5)を駆動する第2の駆動部(265)と、第1および第2の駆動部(264、265)を制御する制御部と、被写体に合焦するために第1および第2のフォーカスレンズ(G4、G5)のそれぞれの位置をズームレンズ(G2)の位置に関連付ける情報である第1および第2のトラッキングデータを格納している記憶部(210)とを備える。
【解決手段】レンズ制御装置は、合焦状態を調節するための第1および第2のフォーカスレンズ(G4、G5)と画角を調節するためのズームレンズ(G2)とを含む光学系の駆動を制御する。レンズ制御装置は、第1のフォーカスレンズ(G4)を駆動する第1の駆動部(264)と、第2のフォーカスレンズ(G5)を駆動する第2の駆動部(265)と、第1および第2の駆動部(264、265)を制御する制御部と、被写体に合焦するために第1および第2のフォーカスレンズ(G4、G5)のそれぞれの位置をズームレンズ(G2)の位置に関連付ける情報である第1および第2のトラッキングデータを格納している記憶部(210)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のレンズを制御するレンズ制御装置およびそのようなレンズ制御装置を備えた交換レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
フォーカスレンズおよびズームレンズを有する撮像装置において、合焦状態にあるときにズーム倍率が変更された場合、合焦状態が維持されるようズームトラッキングを行なう撮像装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、合焦状態でズーム倍率が変更されたときに、合焦状態を維持するために、フォーカスレンズまたは補正用レンズをトラッキングカーブに従って駆動するズームレンズシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−266312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のような単数のフォーカスレンズまたは単数の補正用レンズによるズームトラッキング動作では、ズーム倍率の変更に伴う合焦状態の維持は可能であったが、被写体距離によっては良好な光学特性(周辺解像度や収差等)の光学像が必ずしも得られないという問題があった。例えば近接撮影した場合に、良好な光学特性が得られなかった。
【0006】
本発明の目的は、ズームトラッキング動作において、より広範囲の被写体距離で良好な光学像が得られるレンズ制御装置、またはレンズ制御装置を備えた交換レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレンズ制御装置は、第1および第2のフォーカスレンズとズームレンズとを含む光学系の駆動を制御する。レンズ制御装置は、第1のフォーカスレンズを駆動する第1の駆動部と、第2のフォーカスレンズを駆動する第2の駆動部と、第1および第2の駆動部を制御する制御部と、第1のフォーカスレンズの位置をズームレンズの位置に関連付ける情報である第1のトラッキングデータ、および第2のフォーカスレンズの位置をズームレンズの位置に関連付ける情報である第2のトラッキングデータを格納している記憶部とを備える。制御部は、第1および第2のフォーカスレンズを駆動するとき、第1のフォーカスレンズの移動の目標位置である第1の目標位置を決定し、第1のトラッキングデータおよびズームレンズの位置に基づいて、第1のトラッキングデータに対する第1の目標位置の位置関係を決定し、第1の目標位置の位置関係と第2のトラッキングデータとズームレンズの位置とに基づいて、第2のフォーカスレンズの移動の目標位置である第2の目標位置を決定し、第1のフォーカスレンズが第1の目標位置に移動されるように第1の駆動部を制御し、第2のフォーカスレンズが第2の目標位置に移動されるように第2の駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレンズ制御装置によれば、合焦状態でズームレンズが駆動された場合に、第1および第2のトラッキングデータに基づいて第1および第2のフォーカスレンズを駆動することにより、ズームトラッキングが可能であると共に、1つのフォーカスレンズの場合に比べてより広範囲の被写体距離において良好な光学特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のデジタルカメラの構成図
【図2】第1フォーカスレンズ群のための第1トラッキングデータを示す図
【図3】第2フォーカスレンズ群のための第2トラッキングデータを示す図
【図4】トラッキングカーブに対するフォーカスレンズ群の位置の比率を説明するための図
【図5】ズーム動作における各レンズ群の位置を説明するための図
【図6】各レンズ群のリセット動作を説明するためのフローチャート
【図7】ズーム動作におけるズームトラッキング動作を説明するためのフローチャート
【図8】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にある場合の、第1フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図9】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にある場合の、第2フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図10】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にない場合の、第1フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図11】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にない場合の、第2フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図12】コントラストAF方式を説明するための図
【図13】オートフォーカス動作における第1および第2フォーカスレンズ群の位置の決定方法を説明するためのフローチャート
【図14】オートフォーカス動作における第1フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図15】オートフォーカス動作における第2フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
単数のフォーカスレンズ群による合焦では、そのフォーカスレンズ群の駆動範囲の一点で合焦位置が存在するが、その合焦位置において必ずしも良好な光学特性(周辺解像度や収差等)が得られるわけではない。
【0011】
この問題を解決するために、本実施形態では複数のフォーカスレンズ群によるズームトラッキング動作を実行する。複数のフォーカスレンズ群を個別に駆動できる構成にすることにより、各フォーカスレンズ群のズーム・トラッキング・カーブの設計の自由度が高まる。つまり、合焦状態であると共に良好な光学特性が得られるためのズーム・トラッキング・カーブを予め設計できる。これにより、ズーム動作に伴ってピント位置を追従させるとともに良好な光学像を得られる。
【0012】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態としてデジタルカメラを一例として挙げる。
【0013】
<1.デジタルカメラの構成>
図1を参照して、本実施形態のデジタルカメラの構成について説明する。デジタルカメラ1000は交換レンズ式のデジタルカメラである。デジタルカメラ1000はカメラボディ100と、カメラボディ100に取り外し可能に装着された交換レンズ200とで構成される。
【0014】
<1−1.カメラボディの構成>
カメラボディ100の構成について説明する。カメラボディ100は、ボディマウント104と、ボディ側通信部105と、ボディマイコン110と、画像処理エンジン140と、撮像センサ駆動制御部112と、撮像センサ135と、画像表示制御部121と、表示部120と、メモリカード190を着脱可能なカードスロットと、レリーズ釦130と、動画撮影操作ボタン124と、メニュー操作ボタン139とを備える。
【0015】
ボディ側通信部105とレンズ側通信部291(後述)は互いにデータの通信が可能である。通信データは例えば、レンズ固有データ(像倍率変化データ等)、フォーカス駆動制御信号、露光同期信号、動画記録中であるか否かの情報、ズーム位置情報、フォーカス位置情報などである。
【0016】
ボディマイコン110は、ボディ側通信部105およびレンズ側通信部291を通じてこれらの通信データを取得することにより、各種制御信号を生成する。
【0017】
撮像センサ135は、交換レンズ200の光学系を通じて形成される光学的な像を、電気的な信号に変換して、画像データを生成するセンサである。撮像センサ135によって生成された画像データは、画像処理エンジン140へ出力され、画像処理エンジン140で様々な画像処理が行われる。撮像センサ駆動制御部112は、撮像センサ135を駆動制御するためのタイミング信号を生成する。
【0018】
画像処理エンジン140は、撮像センサ135から出力された画像データに対して、YC変換処理、ホワイトバランス補正処理、ガンマ補正処理、画像拡大・縮小処理、画像の圧縮・縮小処理、コントラスト値を検出することによる合焦判定処理などの様々な画像処理を実行可能である。画像処理エンジン140によって処理された画像データは、メモリカード190に記録されたり、画像表示制御部121を通じて画像表示部120に表示されたりする。
【0019】
画像表示部120は、ライブモニタ画像や、メモリカード190に記録された画像などを再生表示する。画像表示制御部121は、これらの画像を画像表示部120が表示するように画像表示部120に命令を出す。
【0020】
メモリカード190は、撮像センサ135により生成された静止画像データや動画像データを保存する。ボディマイコン110は、カードスロットを通じて、各種データのメモリカード190に対する書き込みおよび読み出し処理を実行できる。
【0021】
カメラボディ100の上面に、レリーズ釦130や、動画撮影操作ボタン124が設置される。これらのボタンが操作されると、各ボタンに対応した撮影が実行される。レリーズ釦130は、浅く押下された半押し状態と、深く押下された全押し状態との2つの押下状態を有する。レリーズ釦130が使用者によって半押し状態にされると、ボディマイコン110は、被写体に合焦するようにオートフォーカス制御を実行する。続いてレリーズ釦130が全押し状態にされると、全押し状態にされたタイミングで、撮像センサ135によって生成された静止画像データがメモリカード190に記録される。
【0022】
動画撮影操作ボタン124が押下されると、ボディマイコン110は、撮像センサ135によって生成された動画像データをメモリカード190に記録する。つまり、ボディマイコン110は、動画撮影操作ボタン124が使用者による操作を受け付けると、動画記録のための各種動作を実行する。
【0023】
メニュー操作ボタン139は、使用者の操作を受け付けることにより様々なカメラ設定を可能とするためのボタンである。
【0024】
ボディマイコン110は、カメラボディ100の中枢を司る制御装置である。ボディマイコン110は、レリーズ釦130や、動画撮影操作ボタン124や、メニュー操作ボタン139などが操作されたことを検知し、検出された操作に応じた制御を実行する。また、ボディマイコン110は、交換レンズ200がカメラボディ100に装着されたことを検知する。ボディマイコン110は、デジタルカメラ1000の制御のために必要な情報(ズームレンズ位置情報やフォーカスレンズ位置情報など)を交換レンズ200から取得する。さらにボディマイコン110は、ズームレンズ群G2、第一のフォーカスレンズ群G4(後述)などを制御するための制御信号を、レンズマイコン240(後述)に対して送信する。
【0025】
なお、本実施形態のデジタルカメラ1000では、オートフォーカス方式として、撮像センサ135で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用される。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現できる。
【0026】
<1−2.交換レンズの構成>
交換レンズ200の構成について説明する。
交換レンズ200はレンズマウント295と、レンズ側通信部291と、レンズマイコン240と、第1固定レンズ群G1と、ズームレンズ群G2と、第2固定レンズ群G3と、第1フォーカスレンズ群G4と、第2フォーカスレンズ群G5と、第3固定レンズ群G6と、ズームモータ263と、第1フォーカスモータ264と、第2フォーカスモータ265と、レンズ駆動制御部241と、ROM210と、ズーム操作部250とを備える。レンズマイコン240と、ズームモータ263と、第1フォーカスモータ264と、第2フォーカスモータ265と、レンズ駆動制御部241と、ROM210とがレンズ制御部を構成する。
【0027】
交換レンズ200はレンズマウント295によって、カメラボディ100の前面に設置されたボディマウント104に連結される。交換レンズ200がカメラボディ100に連結されることにより、レンズマイコン240は、レンズ側通信部291およびボディ側通信部105を通じて、ボディマイコン110と通信できるようになる。
【0028】
交換レンズ200は、ズームレンズ群G2を光軸方向に動かすことにより、焦点距離を変更する。また、交換レンズ200は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5をそれぞれ光軸方向に動かすことにより、撮影距離(物体距離)を変更する。
【0029】
ズームモータ263、第1フォーカスモータ264および第2フォーカスモータ265はそれぞれ、ズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を駆動する。特に、これらのレンズ群G2、G4およびG5は、レンズマイコン240がレンズ駆動制御部241を通じて各モータ263、264、265に指示することにより、レンズ群毎に独立して駆動可能である。なお、ズームモータ263、第1フォーカスモータ264および第2フォーカスモータ265は、例えばステッピングモータによって実現できる。
【0030】
レンズマイコン240は、最初にズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の原点位置(後述)を検出した後、レンズマイコン240によってレンズ駆動制御部241に指示されたステップ数に従って、各レンズ群G2、G4およびG5の駆動位置を把握する。
【0031】
レンズマイコン240は、図2に示すような第1フォーカスレンズ群G4のトラッキングデータと、図3に示すような第2フォーカスレンズ群G5のトラッキングデータとを交換レンズ200内部のROM210に予め格納している。「トラッキングデータ」とは、ズームレンズ群G2が移動した場合に、合焦状態を維持するために、フォーカスレンズ群G4、G5が移動するべき位置を示す情報(ズーム・トラッキング・カーブ)を含む情報である。以下、第1フォーカスレンズ群G4のためのトラッキングデータを「第1トラッキングデータ」、第2フォーカスレンズ群G5のためのトラッキングデータを「第2トラッキングデータ」という。
【0032】
レンズマイコン240は、必要に応じて、ROM210から第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータを読み出し、これらトラッキングカーブに従って、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のトラッキング制御を実行する。
【0033】
図2および図3を参照して、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータについて説明する。図2および図3のグラフにおいて横軸はズームレンズ群G2の駆動位置を示し、縦軸は第1および第2フォーカスレンズ群G4、G5の駆動位置を示す。横軸の左側(Wide側)がワイドズーム側を、右側(Tele側)が望遠ズーム側を示す。横軸上の位置Zwはズームレンズ群G2のワイド側で設定可能な限界値(ワイド端)を、位置Ztはズームレンズ群G2の望遠側で設定可能な限界値(テレ端)を示す。
【0034】
図2および図3に示すように、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータはそれぞれ4つのトラッキングカーブを有する。第1トラッキングデータの4つのトラッキングカーブはそれぞれ、被写体距離が1m、2m、3m、無限遠(INF)であるときのトラッキングデータを示す。第2トラッキングデータが有する4つのトラッキングカーブもそれぞれ、被写体距離が1m、2m、3m、無限遠(INF)であるときのトラッキングデータを示す。このように、第2トラッキングデータに含まれる4つのトラッキングカーブはそれぞれ、第1トラッキングデータに含まれる4つのトラッキングカーブに、被写体距離に関して対応する。また、第2トラッキングデータのトラッキングカーブの数は、第1トラッキングデータのトラッキングカーブの数と同じである。ただし、ワイド端からテレ端までのズーム位置において、第2トラッキングデータによって描写されるズーム・トラッキング・カーブ(図3)は、第1トラッキングデータによって描写されるズーム・トラッキング・カーブ(図2)と異なってもよい。第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5が使用されることによってズームトラッキング動作が実行されると共により好適な光学特性が得られるように、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータは適宜、設計される。以下、例えば被写体距離が1mのときのトラッキングカーブを「トラッキングカーブ(1m)」という。別のトラッキングカーブについても同様である。
【0035】
トラッキングデータの見方は次の通りである。例えば、ズームレンズ群G2の現在位置が図2の位置Zaにあり、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がF1aにあるときに、被写体距離が1mである被写体に対して合焦しているとする。このとき、ズームレンズ群G2が位置Zbに駆動されると、合焦状態が維持されるように、第1フォーカスレンズ群G4はF1bへ駆動される。つまり、ズームレンズ群G2の駆動位置および第1フォーカスレンズ群G4の駆動位置によって決まる動作位置Pは、ズームレンズ群G2の駆動位置に従って、トラッキングカーブ(1m)に沿って移動する。図3に示されるような第2トラッキングデータについても同様である。
【0036】
また、ズームレンズ群G2およびフォーカスレンズ群G4、G5の駆動位置によっては、動作位置Pがトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合がある。その場合、本実施形態のレンズマイコン240は、有限個のトラッキングカーブに基づいて、動作位置Pをトラッキングカーブからの距離の比率で把握する。トラッキングカーブからの距離の比率は、図4で示されるトラッキングデータに基づいて、動作位置Pから、動作位置Pを挟むように存在する2つのトラッキングカーブそれぞれへの距離a、bから算出される。算出された距離の比率(a:b)に基づいて、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の駆動位置が決定される。
【0037】
なお、本実施形態では各トラッキングデータが4つのトラッキングカーブを有するとしたが、4以外の数のトラッキングカーブを各トラッキングデータが有してもよい。
【0038】
ズーム操作部250が使用者の操作を受け付けると、レンズマイコン240はその操作の方向および量を検出する。この検出結果に基づいてレンズマイコン240は、ズームレンズ群G2の移動の目標であるズーム目標位置を決定する。そしてレンズマイコン240は、このズーム目標位置にズームレンズ群G2を移動させるための制御信号をレンズ駆動制御部241に出力する。この制御信号に従って、ズームモータ263はズームレンズ群G2をズーム目標位置へ駆動する。なお、ズーム操作部250はレバー形状であってもよいし、スイッチ形状であってもよいし、環状であってもよい。
【0039】
図5を参照して、ズーム動作における、交換レンズ200の各レンズ群の移動について説明する。図5において、縦軸は、ズームレンズ群G2のワイド端(Wide端)からテレ端(Tele端)までのズーム範囲における、ズームの度合いを示す。横軸は、各レンズ群の位置を示す。
【0040】
図5に示すように、ズーム操作部250によって受け付けられた操作に従って、ズームはワイド端(Wide端)からテレ端(Tele端)までの範囲で設定可能である。例えばズームがワイド端からテレ端に変更されたとき、ズームレンズ群G2は、図5における右側へ移動する。このとき、ズームレンズ群G2が移動しても、第1固定レンズ群G1、第2固定レンズ群G3および第3固定レンズ群G6は移動しない。これは、これらの固定レンズ群G1、G3およびG6が固定レンズ群であるからである。一方、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5は、ズームレンズ群G2の移動に伴って、合焦状態を維持するように、図5に示すトラッキングカーブに従って移動する。特に本実施形態の交換レンズ200は、単独のフォーカスレンズ群を駆動することによってではなく、複数のフォーカスレンズ群(第1フォーカスレンズ群G4および、第2フォーカスレンズ群G5)を個別に駆動することによって、ズームトラッキング動作を実行する。
【0041】
単数のフォーカスレンズ群による合焦では、そのフォーカスレンズ群の駆動範囲の一点で合焦位置が存在するが、その合焦位置において必ずしも良好な光学特性(周辺解像度や収差等)が得られるわけではない。
【0042】
しかし複数のフォーカスレンズ群を使用することにより、各フォーカスレンズ群のズーム・トラッキング・カーブの設計の自由度が高まる。つまり、合焦状態であると共に良好な光学特性が得られるためのズーム・トラッキング・カーブを予め設計できる。これにより、ズーム動作に伴ってピント位置を追従させるとともに良好な光学像を得られる。
【0043】
レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のいずれか一方の位置を現在のフォーカス位置情報としてボディマイコン110に出力する。これによりボディマイコン110は、交換レンズ200内のフォーカスレンズ群の数を意識することなく、レンズマイコン240に対してフォーカス制御の指示を出すことが可能になる。
【0044】
なお、本実施形態では、第1フォーカスレンズ群G4の位置がフォーカス位置情報として、ボディマイコン110に送信される。これは、ズーム動作に伴う第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲(移動軌跡の幅)が第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲よりも大きいからである(図2および図3を参照)。移動範囲が大きければ、第1フォーカスレンズ群G4を駆動する第1フォーカスモータ264がより多くのステップ数で駆動できるため、トラッキングデータ間における第1フォーカスレンズ群G4の駆動位置(フォーカスレンズ位置)を把握する精度が高くなる。こうして把握された第1フォーカスレンズ群G4の駆動位置に基づくことにより、第2フォーカスレンズ群G5の駆動位置が精度良く決定されることになる。第2フォーカスレンズ群G5の駆動位置の決定については後述する。
【0045】
なお、ズームトラッキング動作時において、第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲が第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲よりも大きいとした。しかし前述のとおり、各フォーカスレンズ群の位置を決めるトラッキングデータは適宜設計可能である。したがって、第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲が第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲よりも大きいようなトラッキングデータが設計されてもよい。その場合は、レンズマイコン240はフォーカス位置情報として第2フォーカスレンズ群G5のフォーカス位置をボディマイコン110に出力する。
【0046】
<2.デジタルカメラの動作>
以下、デジタルカメラ1000の動作について説明する。
【0047】
<2−1.レンズ群のリセット動作>
図6を参照して、交換レンズ200における各レンズ群G2、G4、G5のリセット動作について説明する。
【0048】
カメラボディ100の電源がON状態に切り替えられると、ボディマイコン110は初期動作の実行のためのシステムを起動し、カメラボディ100の各部へ電力を供給する。また、ボディマイコン110は、ボディマウント104およびレンズマウント295を通じて、交換レンズ200の各部に電力を供給する。
【0049】
なお、電源はカメラボディ100に備えられるとしたが、電源が交換レンズ200に備えられてもよい。
【0050】
レンズマイコン240に電力が供給されると(ステップS500におけるYes)、レンズマイコン240はズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のリセット動作を実行する。以下、それぞれのレンズ群についてリセット動作を説明する。
【0051】
まず、ズームレンズ群G2のリセット動作について説明する。レンズマイコン240はレンズ駆動制御部241にリセット動作のための制御信号を出力する。レンズ駆動制御部241はこの制御信号に基づいて、ズームレンズ群G2が所定の方向に移動するようにズームモータ263を制御する。ズームレンズ群G2の移動軸沿いにはフォトインターラプタが設置されている。レンズマイコン240は、ズームレンズ群G2がフォトインターラプタの前を通過したことを検出することにより、ズームレンズ群G2の絶対位置を把握する。ズームレンズ群G2の絶対位置を把握したレンズマイコン240は、その絶対位置から所定距離離れた位置を、ズームレンズ群G2のズーム動作のための原点位置に設定する(S501)。原点位置の設定以後は、レンズマイコン240は、ズームモータ263がズームレンズ群G2を原点位置から駆動したステップ数に従って、ズームレンズ群G2の現在位置を把握する。ズームレンズ群G2の原点位置設定後、レンズマイコン240はズームレンズ群G2を、電源ON時の初期位置として、ワイド端へ移動する(S502)。
【0052】
次に第1フォーカスレンズ群G4のリセット動作について説明する。レンズ駆動制御部241は、レンズマイコン240によって出力されたリセット動作のための制御信号に基づいて、第1フォーカスレンズ群G4が所定の方向に移動するようにフォーカスモータ264を制御する。第1フォーカスレンズ群G4の移動軸沿いにはフォトインターラプタが設置されている。レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4がフォトインターラプタの前を通過したことを検出することにより、第1フォーカスレンズ群G4の絶対位置を把握する。第1フォーカスレンズ群G4の絶対位置を把握したレンズマイコン240は、その絶対位置から所定距離離れた位置を、第1フォーカスレンズ群G4のフォーカス動作のための原点位置に設定する(S503)。原点位置の設定以後、レンズマイコン240は、フォーカスモータ264が第1フォーカスレンズ群G4を原点位置から駆動したステップ数に従って、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置を把握する。次にレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の第1トラッキングデータを取得し、電源ON時の初期位置として、無限遠(INF)の被写体距離を示すトラッキングカーブ(INF)上のワイド端の位置(図2における位置P1)へ、第1フォーカスレンズ群G4を移動する(S504)。
【0053】
第2フォーカスレンズ群G5のリセット動作は、第1フォーカスレンズ群G4のリセット動作と同様に、実行される。すなわち、第2フォーカスレンズ群G5の原点位置が設定されると(S505)、第2フォーカスレンズ群G5は、第2トラッキングデータにおいてトラッキングカーブ(INF)上のワイド端に該当する位置(図3における位置P1)へ移動される(S506)。
【0054】
以上のようにズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のリセット動作が完了すると、レンズマイコン240は、ボディマイコン110にリセット動作の完了を示す信号を出力する(S507)。
【0055】
<2−2.ズームトラッキング動作>
図7を参照して、ズームレンズ群G2のズーム動作に伴う、各フォーカスレンズ群のズームトラッキング動作について説明する。
【0056】
前述のリセット動作が完了した後、レンズマイコン240はズーム操作部250の操作状態を監視する(S600)。ズーム操作部250が操作を受け付けると(ステップS600におけるYes)、レンズマイコン240はその操作の方向や量を検出する。
【0057】
レンズマイコン240は、検出された操作方向や操作量に基づいて、ズーム目標位置を決定する(S601)。検出された操作方向がテレ端方向へのズームを示す場合、レンズマイコン240はテレ端方向にズーム目標位置を決定する。また、現在のズーム位置からズーム目標位置までの距離は、検出された操作量に従って決定される。一方、検出された操作方向がワイド端方向へのズームを示す場合、レンズマイコン240はワイド端方向にズーム目標位置を決定する。また、現在のズーム位置からズーム目標位置までの距離は、検出された操作量に従って決定される。
【0058】
ズームレンズ群G2のズーム目標位置が決定されると、このズーム目標位置に従って、レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5それぞれのフォーカス目標位置を、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータを用いて決定する。フォーカス目標位置は、フォーカスレンズ群G4、G5の移動先の位置である。以下、第1フォーカスレンズ群G4のフォーカス目標位置を「第1フォーカス目標位置」、第2フォーカスレンズ群G5のフォーカス目標位置を「第2フォーカス目標位置」という。第1および第2フォーカス目標位置の具体的な決定方法を以下に説明する。
【0059】
<2−2−1.フォーカスレンズ群の現在位置がトラッキングカーブ上にある場合>
レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在の位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブに乗っているか否かを判定する(S602)。レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が第1トラッキングデータのトラッキングカーブのいずれかに乗っていると判断した場合(ステップS602におけるYes)、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が乗っているトラッキングカーブに従って、ズームレンズ群G2がズーム目標位置にあるときの、第1フォーカス目標位置を決定する(S603)。
【0060】
次にレンズマイコン240は、第2トラッキングデータの4つのトラッキングカーブの中から、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が乗っている第1トラッキングデータのトラッキングカーブに対応するものを選択する。例えば、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)に乗っている場合、レンズマイコン240は第2トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)を選択する。そしてレンズマイコン240は、第2トラッキングデータの選択されたトラッキングカーブに従って、ズームレンズ群G2がズーム目標位置にあるときの第2フォーカス目標位置を決定する(S604)。
【0061】
以上のようにズームレンズ群G2のズーム目標位置と、第1フォーカス目標位置と、第2フォーカス目標位置とが決定されると、レンズマイコン240は、レンズ駆動制御部241および各レンズモータ263、264、265を通じて、ズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5をそれぞれの目標位置に移動する(S608)。
【0062】
各レンズ群が目標位置に移動されると、レンズマイコン240は、ズーム操作部250が操作を受け付けるか否かを監視する状態に戻る(S600)。レンズマイコン240がズーム操作部250を監視することにより、ズーム操作部250によって受け付けられた操作方向および操作量に従って、図7のフローチャートを参照して説明した動作(ステップS600〜S608)を定期的に繰り返す。
【0063】
このようにズームレンズ群G2の位置に連動して第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の位置が変更されることにより、合焦状態を維持したままのズーム動作が可能となる。
【0064】
ここで、前述した、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にあった場合の、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について、具体例を挙げて説明する。
【0065】
図8および図9を参照して、ズーム動作における第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作の具体例を示す。図8は第1トラッキングデータを示す。横軸はズームレンズ群G2の位置を、縦軸は第1フォーカスレンズ群G4の位置を示す。また、図9は第2トラッキングデータを示す。図9の横軸はズームレンズ群G2の位置を、縦軸は第2フォーカスレンズ群G5の位置を示す。
【0066】
図8および図9で示される例において、前述のリセット動作によって、ズームレンズ群G2の現在位置が位置Zwに、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が図8の位置F11(位置P1)に、第2フォーカスレンズ群G5の現在位置が図9の位置F21(位置P1)にあるとする。また、この状態で被写体に合焦されているとする。
【0067】
この状態において、ズーム操作部250が操作を受け付けると(図7のステップS600におけるYes)、レンズマイコン240は、受け付けられた操作方向および操作量に従って、ズームレンズ群G2のズーム目標位置を位置Z2に決定する(S601)。
【0068】
そしてレンズマイコン240は、図8で示されるような第1トラッキングデータを、ROM210から読み出す。本例では第1フォーカスレンズ群G4の現在位置はトラッキングカーブ(INF)上にあるので、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にあると判断する(ステップS602におけるYes)。この場合、レンズマイコン240は、ズーム目標位置Z2に対するトラッキングカーブ(INF)上の位置P2を、第1フォーカス目標位置に決定する(S603)。
【0069】
続いてレンズマイコン240は図9で示されるような第2トラッキングデータを、ROM210から読み出す。
【0070】
そしてレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置の決定に用いられた第1トラッキングデータのトラッキングカーブに対応する第2トラッキングデータのトラッキングカーブに基づいて、ズーム目標位置Z2に対応する位置P2を、第2フォーカス目標位置に決定する(S604)。
【0071】
このように各レンズ群の目標位置が決定されると、レンズマイコン240は、ズームレンズ群G2を位置Z2へ、第1フォーカスレンズ群G4を位置F12へ、第2フォーカスレンズ群G5を位置F22へそれぞれ移動する(S608)。
【0072】
なお、以下の説明では、第1および第2トラッキングデータ内の位置P1や位置P2のことを「フォーカスレンズの位置」(現在位置、フォーカス目標位置)ともいう。
【0073】
各レンズ群の移動後にさらにズーム操作が受け付けられていれば、続けて前述のようなズーム動作およびズームトラッキング動作が実行される。これにより図8および図9に示されるように、ズームレンズ群G2は位置Z2→Z3→Z4→Z5→Z6と移動され、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5は位置P2→P3→P4→P5→P6と移動される。
【0074】
<2−2−2.フォーカスレンズ群の現在位置がトラッキングカーブ上にない場合>
一方、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブのいずれにも乗っていないと判断された場合(ステップS602におけるNo)、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブに対してどのような位置にあるかを、次のように算出する。
【0075】
レンズマイコン240は、第一のフォーカスレンズ群G4の現在位置が、第1トラッキングデータにおいて、どのトラッキングカーブ間にあるか判定する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置を挟むように存在する2つのトラッキングカーブを用いて、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置までの距離の比率(a:b)を算出する(S605)。以下、この比率を「位置比率」という。
【0076】
続いてレンズマイコン240は、算出された位置比率(a:b)に基づいて、第1フォーカス目標位置を決定する。具体的には、レンズマイコン240は、位置比率の算出時に使用された2つのトラッキングカーブを選択する。レンズマイコン240は、これら2つのトラッキングカーブ上にある、ズーム目標位置に対する、2つの第1フォーカスレンズ群G4の位置を取得する。レンズマイコン240は、取得された2つの第1フォーカスレンズ群G4の位置に対する第1フォーカス目標位置の位置比率が、先ほど算出された位置比率(a:b)と同じになるように、第1フォーカス目標位置を決定する(S606)。
【0077】
続いてレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置を決定したのと同様に、第2フォーカス目標位置を決定する。具体的には、レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置の決定のために使用された2つのトラッキングカーブに対応する、第2トラッキングデータ内の2つのトラッキングカーブを選択する。そしてレンズマイコン240は、これら2つのトラッキングカーブを用いて、ズーム目標位置に対する、2つの第2フォーカスレンズ群G5の位置を取得する。レンズマイコン240は、取得された2つの第2フォーカスレンズ群G5の位置と、先ほど算出された位置比率(a:b)とを用いて、第2フォーカス目標位置を決定する(S607)。
第1および第2フォーカス目標位置が決定されてからの動作は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が第1トラッキングデータのトラッキングカーブ上にある場合と同様である。
【0078】
ここで、前述した、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にない場合の、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について、具体例を挙げて説明する。
【0079】
図10および図11を参照して、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のズームトラッキング動作の具体例を示す。図10は第1トラッキングデータを示す。横軸および縦軸は、図8の場合と同様である。また、図11は第2トラッキングデータを示す。図11の横軸および縦軸は、図9の場合と同様である。図10および図11で示される例において、ズームレンズ群G2の現在位置が位置Z3に、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が図10の位置F13に、第2フォーカスレンズ群G5の現在位置が図11の位置F23にあるとする。そしてこの状態で被写体が合焦状態であるとする。
【0080】
この状態において、ズーム操作部250が操作を受け付けると(図7のS600におけるYes)、レンズマイコン240は、受け付けられた操作方向および操作量に従って、ズームレンズ群G2のズーム目標位置を位置Z4に決定する(S601)。そしてレンズマイコン240は、図10で示すような第1トラッキングデータをROM210から読み出す。本例では、第1トラッキングデータにおいて、ズームレンズ群G2の現在位置Z3と第1フォーカスレンズ群G4の現在位置F13に対応する位置P3は、いずれのトラッキングカーブの上にも存在しない。よってレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にないと判断する(ステップS602におけるNo)。
【0081】
この場合、レンズマイコン240は、次のように、トラッキングカーブを利用して第1フォーカスレンズ群G4の現在位置を示す位置比率を算出する。まずレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置P3を挟むように存在する2つのトラッキングカーブを選択する。本例では、トラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)が選択される。そしてレンズマイコン240は、ズームレンズ群G2の現在位置Z3に対する2つのトラッキングカーブ上の位置Q1、Q2を取得する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置P3が、位置Q1、Q2の間を分割する比率(位置比率)を算出する(S605)。本例では、この位置比率が50:50であるとする。
【0082】
続いてレンズマイコン240は、ズーム目標位置Z4に対する2つのトラッキングカーブ上の位置Q3、Q4を取得する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P4がこれら2つの位置Q3、Q4の間を先ほど算出された位置比率(50:50)で内分するように、第1フォーカス目標位置P4を決定する。つまり、位置Q1−位置Q2間の位置P3による内分比が、位置Q3−位置Q4間の位置P4による内分比と等しくなるように、位置P4(第1フォーカス目標位置)が決定される(S606)。
【0083】
続いてレンズマイコン240は、図11で示されるような第2トラッキングデータをROM210から読み出す。レンズマイコン240は、ズーム目標位置Z4に対する、第2トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)上の位置Q3、Q4を取得する。ここで、第2トラッキングデータにおいて、第1フォーカスレンズ群G4について使用された2つのトラッキングカーブに対応する、トラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)が用いられた。そしてレンズマイコン240は、第2フォーカス目標位置P4がこれら2つの位置Q3、Q4の間を先ほど算出された位置比率(50:50)で内分するように、第2フォーカス目標位置P4を決定する(S607)。
【0084】
このように各レンズ群の目標位置が決定されると、レンズマイコン240は、ズームレンズ群G2を位置Z4へ、第1フォーカスレンズ群G4を位置F14へ、第2フォーカスレンズ群G5を位置F24へ移動する(S608)。
【0085】
レンズマイコン240は、各レンズ群を目標位置に移動すると、ズーム操作部250が操作を受け付けたか否かを再び監視する(S600)。以降は前述の動作(S600〜S608)と同様である。
【0086】
このように、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にない場合においても、ズームレンズ群G2の位置に連動して第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の位置が変更されることにより、ズームトラッキング動作が可能となる。このとき、第2フォーカス目標位置が決定されるために使用される第2トラッキングデータのトラッキングカーブは、第1フォーカス目標位置が決定されるために使用された第1トラッキングデータのトラッキングカーブに対応する。また、第2トラッキングデータの2つのトラッキングカーブに対する第2フォーカス目標位置の位置比率が、第1トラッキングデータの2つのトラッキングカーブに対する第1フォーカス目標位置の位置比率と同じになるように、第2フォーカス目標位置は決定される。
【0087】
以上のようにして本実施形態のデジタルカメラ1000は、ズーム動作におけるズームトラッキング動作を実行する。つまり、第1トラッキングデータとズームレンズ群G2のズーム目標位置とに基づいて第1フォーカスレンズ群G4の第1フォーカス目標位置が決定される。そして、第1トラッキングデータに対する第1フォーカス目標位置の位置関係と、第2トラッキングデータと、ズーム目標位置とに基づいて第2フォーカス目標位置が決定される。
【0088】
本実施形態のデジタルカメラ1000は複数のフォーカスレンズ群でズームトラッキング動作を実行することにより、ズーム動作において合焦状態が維持されるとともに、単数のフォーカスレンズ群でズームトラッキング動作を実行するカメラに比べて、より広範囲の第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲において良好な光学特性が得られる。よって単数のフォーカスレンズ群でズームトラッキング動作を実行するカメラに比べて、より広範囲の被写体距離において光学特性が良好な光学像が得られる。
【0089】
<2−3.オートフォーカス動作>
以下、デジタルカメラ1000のオートフォーカス(AF)動作について説明する。
本実施形態のデジタルカメラ1000は、コントラストAF方式でAF動作を実行する。図12を参照して合焦状態の決定方法について説明する。図12において横軸は第1フォーカスレンズ群G4の位置を示し、縦軸はコントラスト値を示す。デジタルカメラ1000のボディマイコン110は、撮像センサ135によって撮像された被写体像のコントラスト値を、図12に示されるように、各フォーカスレンズ群G4、G5の位置を所定の距離ずつ変化させながら検出する。ボディマイコン110はコントラスト値が最大となる各フォーカスレンズ群G4、G5の位置を合焦位置として決定する。以下、このような合焦位置を決定するためにコントラスト値が最大になる各フォーカスレンズ群G4、G5の位置を探索することを「サーチ動作」という。
【0090】
図13を参照して、コントラストAF方式でのAF動作における、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について説明する。図6を参照して説明された各レンズ群のリセット動作の完了後、ボディマイコン110は、レリーズ釦130が半押し状態にされたか否かを監視する(S700)。ボディマイコン110は、レリーズ釦130が半押し状態にされたと判断すると(ステップS700におけるYes)、AF動作を開始する。
【0091】
AF動作が開始されると、ボディマイコン110は、ズームレンズ群G2、各フォーカスレンズ群G4、G5が現在位置にある状態で、各レンズ群を通じて生成された画像データのコントラスト値を検出する。また、ボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4の位置を、交換レンズ200との通信によって把握する。そしてボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5がサーチ動作を実行するように、レンズマイコン240に制御信号を出力する。
【0092】
ここで、ボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を個別の単位として認識するのではなく、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を「フォーカスレンズ」という1つの単位として認識する。つまりボディマイコン110は、複数のフォーカスレンズ群に対してではなく、「フォーカスレンズ」に対する制御信号を出力する。これにより、フォーカスレンズ群が3つ以上の構成であっても、ボディマイコン110はフォーカスレンズ群が1つである場合と同様の制御信号を出力できる。
【0093】
レンズマイコン240は、「フォーカスレンズ」にサーチ動作させるための制御信号をボディマイコン110から受信すると、第1フォーカスレンズ群G4にサーチ動作を実行させるために、レンズ駆動制御部241に制御信号を出力する。具体的には、ボディマイコン110は、「フォーカスレンズ」の現在位置から所定の距離離れた「フォーカスレンズ」のフォーカス目標位置をレンズマイコン240に対して通知する。レンズマイコン240は、通知された「フォーカスレンズ」のフォーカス目標位置に基づいて、第1フォーカスレンズ群G4のフォーカス目標位置(第1フォーカス目標位置)を決定する(S701)。ズームレンズ群G2の位置は現在位置に維持される。
【0094】
続いてレンズマイコン240は、第1トラッキングデータを参照する。レンズマイコン240は、決定された第1フォーカス目標位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブ上にあるか否かを判定する(S702)。
【0095】
レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置がトラッキングカーブ上にあると判断すると(ステップS702におけるYes)、第1フォーカス目標位置が乗っているトラッキングカーブに対応する、第2トラッキングデータのトラッキングカーブを取得する。レンズマイコン240は、取得されたトラッキングカーブとズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を決定する(S703)。ここで、第2フォーカス目標位置の決定方法は、前述のズームトラッキング動作における第2フォーカス目標位置の決定方法と同様である。
【0096】
第1および第2フォーカス目標位置が決定されると、レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を各フォーカス目標位置に移動する(S704)。
【0097】
続いてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5が各フォーカス目標位置に移動されたことによって、好適な合焦位置が検出されたか否かを判定する(S707)。ここで、好適な合焦位置が検出されるために、レンズマイコン240は、各フォーカスレンズ群G4、G5の移動後における画像データのコントラスト値を、移動前における画像データのコントラスト値と比較する。
【0098】
移動後のコントラスト値が移動前のコントラスト値より高い場合、レンズマイコン240は、合焦位置が検出されていないと判断する(ステップS707におけるNo)。これは、合焦位置がまだ先にあると考えられるからである。この場合、レンズマイコン240が次の第1フォーカス目標位置を決定することにより(S701)、サーチ動作が継続される。
【0099】
一方、各フォーカスレンズ群G4、G5の移動後におけるコントラスト値が移動前におけるコントラスト値より低い場合、レンズマイコン240は、合焦位置が検出されたと判断する(ステップS707におけるYes)。これは、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5が合焦位置をすでに通過したと考えられるからである。この場合、レンズマイコン240は、今までに取得された複数のコントラスト値に基づいて、フォーカスレンズ群G4、G5の合焦位置を決定する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を、決定された合焦位置に移動する(S708)。
【0100】
一方、第1フォーカス目標位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブのずれの上にもない場合(ステップS702におけるNo)、レンズマイコン240は、第1トラッキングデータに対する第1フォーカスレンズ群G4の位置比率を算出する(S705)。この位置比率の算出方法は、前述のズームトラッキング動作における第1フォーカスレンズ群G4の現在位置の位置比率の算出方法と同様である。レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の位置比率を算出すると、算出された位置比率と第2トラッキングデータとズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を決定する(S706)。ここで、第2フォーカス目標位置の決定方法は、前述のズームトラッキング動作時と同様である。第2フォーカス目標位置が決定されると、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を各フォーカス目標位置へ移動する(S704)。フォーカスレンズ群G4、G5の移動後、レンズマイコン240は、好適な合焦位置が検出されたか否かを判定する(S707)。この判定以降の動作は、第1フォーカス目標位置がトラッキングカーブ上にあった場合と同様である(S707〜S708)。
【0101】
以上の第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作(S701〜S707)は、好適な合焦位置が検出されるまで、繰り返される。
【0102】
<2−3−1.AF動作の具体例>
図14および図15を参照して、AF動作における第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について、具体例を挙げて説明する。図14は第1トラッキングデータを示し、図15は第2トラッキングデータを示す。図14および図15の横軸は、ズームレンズ群G2の位置を示す。図14の縦軸は第1フォーカスレンズ群G4の位置を、図15の縦軸は第2フォーカスレンズ群G5の位置を示す。
【0103】
図14および図15で示される例において、ズームレンズ群G2の現在位置は位置Z6であり、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置は図14のF16であり、第2フォーカスレンズ群G5の現在位置は図15のF26であると想定する。
【0104】
レンズマイコン240は、ボディマイコン110からAF動作のためのサーチ動作の制御信号を受信すると、レンズ駆動制御部241に第1フォーカス目標位置を送信する。本例では、図14の位置P7が第1フォーカス目標位置であるとする。
【0105】
この場合、第1フォーカス目標位置P7が、トラッキングカーブ(2m)とトラッキングカーブ(3m)との間に存在するため、レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P7がいずれのトラッキングカーブの上にもないと判断する(図13のステップS702におけるNo)。よってレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P7の位置比率を算出する。そしてレンズマイコン240は、算出された第1フォーカス目標位置の位置比率と、第2トラッキングデータと、ズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を算出する。
【0106】
第1および第2フォーカス目標位置が算出されると、レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を各フォーカス目標位置に移動する。各フォーカスレンズ群G4、G5が移動されると、ボディマイコン110はその状態で生成された画像データからコントラスト値を検出する。本例では、このときのコントラスト値は、各フォーカスレンズ群G4、G5がそれぞれ図14および図15における位置P6にあるときのコントラスト値よりも高いとする。
【0107】
ボディマイコン110は、各フォーカスレンズ群G4、G5の移動後におけるコントラスト値を移動前のコントラスト値と比較する。本例では、移動後のコントラスト値が移動前のコントラスト値より高いので、合焦位置のサーチ動作は継続される。
【0108】
続いてレンズマイコン240は、次の第1フォーカス目標位置を、例えば図14の位置P8に示す位置に決定する。本例では、位置P8は第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(1m)上に存在するとする。
【0109】
この場合、レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P8が乗っている第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(1m)に対応する第2トラッキングデータのトラッキングカーブ(1m)と、ズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を決定する。そしてレンズマイコン240は、決定された第1および第2フォーカス目標位置に各フォーカスレンズ群G4、G5を移動する。
【0110】
各フォーカスレンズ群G4、G5が移動された後、ボディマイコン110はその状態において生成された画像データのコントラスト値を検出する。そしてボディマイコン110は、図14および図15の位置P8でのコントラスト値を位置P7でのコントラスト値と比較する。その結果、本例では、位置P8でのコントラスト値が位置P7でのコントラスト値よりも低いと判断されるとする。
【0111】
すると、ボディマイコン110は、図14および図15の位置P6、P7、P8において検出されたコントラスト値の中から、最大値を算出する。本例では、最大のコントラスト値が検出されたのは、位置P7で示される状態においてであったとする。よって、ボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4を図14における位置P9(P7)へ、第2フォーカスレンズ群G5を図15における位置P9(P7)へ移動する。ここで位置P9は位置P7と同じである。以上のように、本実施形態のデジタルカメラ1000はAF動作を実行する。
【0112】
なお、前述のAF動作に続いてズーム動作が実行された場合は、図14および図15の位置P9→P10→P11→P12という流れで、各レンズ群G2、G4、G5は、目標位置が決定され、移動される。このときの第1フォーカスレンズ群G4の現在位置の位置比率の算出方法と、第1フォーカス目標位置および第2フォーカス目標位置の決定方法とは、前述のズームトラッキング動作における方法と同様である。
【0113】
本例では、第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)に対する、位置P9における第1フォーカスレンズ群G4の現在位置の位置比率が60:40であるとする。よって、図14および図15の位置P10、P11、P12における第1および第2フォーカス目標位置の位置比率は60:40である。
【0114】
以上のように、デジタルカメラ1000は、第1フォーカスレンズ群G4の位置比率と第2フォーカスレンズ群G5の位置比率とが合うように、第1フォーカスレンズ群G4と第2フォーカスレンズ群G5とを連携させて駆動する。このとき、第1フォーカスレンズ群G4の目標位置および第2フォーカスレンズ群G5の目標位置はそれぞれ、第1および第2トラッキングデータに従って決定される。ここで、前述のとおり、第1トラッキングデータによって画定される第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲は、第2トラッキングデータによって画定される第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲と比べて、大きいことも小さいこともありうる。そのため、同じズーム位置に移動するにしても、第1フォーカスレンズ群G4と第2フォーカスレンズ群G5とで、移動距離が異なる。すなわち、フォーカシング時において、第1フォーカスレンズ群G4と第2フォーカスレンズ群G5の移動速度比が、ズーム位置によって異なる。これにより、デジタルカメラ1000は、ズーム動作に合わせて好適なトラッキング動作を実行できる。また、トラッキングデータに含まれる各トラッキングカーブは、被写体距離によって異なる。そのため、フォーカシング時において、第1フォーカスレンズ群G4と、第2フォーカスレンズ群G5の移動速度比が、被写体距離によっても異なる。これにより、デジタルカメラ1000は、被写体距離が異なっても、ズーム動作に合わせて好適なトラッキング動作を行うことができる。
【0115】
<3.本実施形態のまとめ>
以上のとおり、本実施形態のデジタルカメラ1000においてレンズ制御部は、被写体像の合焦状態を調節するための第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5と被写体像の画角を調節するためのズームレンズ群G2とを含む光学系の駆動を制御する。レンズ制御部は、第1フォーカスレンズ群G4を駆動する第1フォーカスモータ264と、第2フォーカスレンズ群G5を駆動する第2フォーカスモータ265と、第1および第2フォーカスモータ264、265を制御するレンズマイコン240と、被写体に合焦するために第1フォーカスレンズ群G4の位置をズームレンズ群G2の位置に関連付ける情報である第1トラッキングデータ、および被写体に合焦するために第2フォーカスレンズ群G5の位置をズームレンズ群G2の位置に関連付ける情報である第2トラッキングデータを格納しているROM210とを備える。レンズマイコン240は、第1および第2フォーカスレンズ群G4,G5を駆動するとき、第1フォーカスレンズ群G4の移動の目標位置である第1目標位置を決定し、第1トラッキングデータおよびズームレンズ群G2の位置に基づいて、第1トラッキングデータに対する第1目標位置の位置関係を決定し、第1目標位置の位置関係と第2トラッキングデータとズームレンズ群G2の位置とに基づいて、第2フォーカスレンズ群の移動の目標位置である第2目標位置を決定し、第1フォーカスレンズ群G4が第1目標位置に移動されるように第1フォーカスモータ264を制御し、第2フォーカスレンズ群G5が第2目標位置に移動されるように第2フォーカスモータ265を制御する。
【0116】
このような構成により、本実施形態のレンズ制御部は、合焦状態でズームレンズ群G2が駆動された場合に、第1および第2トラッキングデータに基づいて第1および第2フォーカスレンズ群G4、G5を駆動することにより、ズームトラッキングが可能であると共に、1つのフォーカスレンズ群の場合に比べてより広範囲の被写体距離において良好な光学特性が得られる。
【0117】
<4.他の実施形態>
本発明は前述の実施形態に限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、好ましいものとして例示されたものである。前述の実施形態は、本発明、その適用物あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0118】
また、前述の実施形態において、第1および第2フォーカス目標位置の決定後、フォーカスレンズ群G4、G5がそれぞれ第1および第2フォーカス目標位置に移動されるとした。しかし本発明はこれに限定されない。第1フォーカス目標位置が決定されて第1フォーカスレンズ群G4が第1フォーカス目標位置に移動された後、第2フォーカス目標位置が決定されて第2フォーカスレンズ群G5が第2フォーカス目標位置に移動されてもよい。
【0119】
また、前述の実施形態において、各レンズ(固定レンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ)はレンズ群で構成された。しかし本発明はこれに限定されない。各レンズは単体のレンズで構成されてもよい。
【0120】
また、前述の実施形態において、レンズマイコン240がズームトラッキング動作を制御するものとした。しかし本発明はこれに限定されない。ボディマイコン110がズームトラッキング動作を制御してもよい。
【0121】
また、前述の実施形態において、ズーム動作は電動ズームでもよいし、マニュアルズームでもよい。ただし、マニュアルズームの場合は、各フォーカスレンズ群の初期位置は、電源がON状態にされたときのズーム位置に対するトラッキングカーブ(INF)上の位置に決定される。
【0122】
また、前述の実施形態において、各レンズモータ263、264、265はステッピングモータでなくてもよい。複数のフォーカスレンズ群をそれぞれ独立に駆動可能であり、駆動した位置を把握できる構成であればよい。
【0123】
また、前述の実施形態のリセット動作において、各フォーカスレンズ群G4、G5の絶対位置を把握するために、フォトインターラプタが各フォーカスレンズ群G4、G5それぞれに設けられた。しかし本発明はこれに限定されない。フォトインターラプタを共用して、フォトインターラプタが1つの構成であってもよい。
【0124】
また、前述の実施形態において、使用者のズーム操作は、交換レンズ200側の操作部材によって受け付けられてもよいし、カメラボディ100側の操作部材によって受け付けられてもよい。ズーム操作がカメラボディ100側の操作部材によって受け付けられた場合、その操作内容は、カメラボディ100から交換レンズ200へ送信される。
【0125】
また、前述の実施形態のデジタルカメラ1000は、2つのフォーカスレンズ群を備えた。しかし本発明はこれに限定されない。デジタルカメラ1000が3つ以上のフォーカスレンズ群を備えてもよい。その場合、ある1つのフォーカスレンズ群を主フォーカスレンズ群(前述の実施形態における第1フォーカスレンズ群G4)とし、他のフォーカスレンズ群は、それぞれのトラッキングデータと、主フォーカスレンズ群の駆動位置とに基づいて駆動されるものとする。
【0126】
また、前述の実施形態のデジタルカメラ1000は、カメラボディ100およびカメラボディ100に着脱可能な交換レンズ200によって構成された。しかし本発明はこれに限定されない。レンズが内蔵されたカメラにも本発明は適用できる。複数のフォーカスレンズ群を備える撮像装置に、本発明は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、複数のフォーカスレンズ群を備える撮像装置(カムコーダ、カメラ付き携帯電話など)などのレンズ制御装置を有する電子機器にとって、有用である。
【符号の説明】
【0128】
1000:デジタルカメラ
100:カメラボディ
104:ボディマウント
105:ボディ側通信部
110:ボディマイコン
112:撮像センサ駆動制御部
120:表示部
121:画像表示制御部
124:動画撮影操作ボタン
130:静止画撮影操作ボタン(レリーズ釦)
135:撮像センサ
139:メニュー操作ボタン
140:画像処理エンジン
190:メモリカード
200:交換レンズ
G1、G3、G6:固定レンズ
G2:ズームレンズ群
G4:第1フォーカスレンズ群
G5:第2フォーカスレンズ群
210:ROM
240:レンズマイコン
241:レンズ駆動制御部
250:ズーム操作部
263:ズームモータ
264:第1フォーカスモータ
265:第2フォーカスモータ
291:レンズ側通信部
295:レンズマウント
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のレンズを制御するレンズ制御装置およびそのようなレンズ制御装置を備えた交換レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
フォーカスレンズおよびズームレンズを有する撮像装置において、合焦状態にあるときにズーム倍率が変更された場合、合焦状態が維持されるようズームトラッキングを行なう撮像装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、合焦状態でズーム倍率が変更されたときに、合焦状態を維持するために、フォーカスレンズまたは補正用レンズをトラッキングカーブに従って駆動するズームレンズシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−266312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のような単数のフォーカスレンズまたは単数の補正用レンズによるズームトラッキング動作では、ズーム倍率の変更に伴う合焦状態の維持は可能であったが、被写体距離によっては良好な光学特性(周辺解像度や収差等)の光学像が必ずしも得られないという問題があった。例えば近接撮影した場合に、良好な光学特性が得られなかった。
【0006】
本発明の目的は、ズームトラッキング動作において、より広範囲の被写体距離で良好な光学像が得られるレンズ制御装置、またはレンズ制御装置を備えた交換レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレンズ制御装置は、第1および第2のフォーカスレンズとズームレンズとを含む光学系の駆動を制御する。レンズ制御装置は、第1のフォーカスレンズを駆動する第1の駆動部と、第2のフォーカスレンズを駆動する第2の駆動部と、第1および第2の駆動部を制御する制御部と、第1のフォーカスレンズの位置をズームレンズの位置に関連付ける情報である第1のトラッキングデータ、および第2のフォーカスレンズの位置をズームレンズの位置に関連付ける情報である第2のトラッキングデータを格納している記憶部とを備える。制御部は、第1および第2のフォーカスレンズを駆動するとき、第1のフォーカスレンズの移動の目標位置である第1の目標位置を決定し、第1のトラッキングデータおよびズームレンズの位置に基づいて、第1のトラッキングデータに対する第1の目標位置の位置関係を決定し、第1の目標位置の位置関係と第2のトラッキングデータとズームレンズの位置とに基づいて、第2のフォーカスレンズの移動の目標位置である第2の目標位置を決定し、第1のフォーカスレンズが第1の目標位置に移動されるように第1の駆動部を制御し、第2のフォーカスレンズが第2の目標位置に移動されるように第2の駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレンズ制御装置によれば、合焦状態でズームレンズが駆動された場合に、第1および第2のトラッキングデータに基づいて第1および第2のフォーカスレンズを駆動することにより、ズームトラッキングが可能であると共に、1つのフォーカスレンズの場合に比べてより広範囲の被写体距離において良好な光学特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のデジタルカメラの構成図
【図2】第1フォーカスレンズ群のための第1トラッキングデータを示す図
【図3】第2フォーカスレンズ群のための第2トラッキングデータを示す図
【図4】トラッキングカーブに対するフォーカスレンズ群の位置の比率を説明するための図
【図5】ズーム動作における各レンズ群の位置を説明するための図
【図6】各レンズ群のリセット動作を説明するためのフローチャート
【図7】ズーム動作におけるズームトラッキング動作を説明するためのフローチャート
【図8】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にある場合の、第1フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図9】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にある場合の、第2フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図10】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にない場合の、第1フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図11】ズームトラッキング動作において、第1フォーカスレンズ群がトラッキングカーブ上にない場合の、第2フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図12】コントラストAF方式を説明するための図
【図13】オートフォーカス動作における第1および第2フォーカスレンズ群の位置の決定方法を説明するためのフローチャート
【図14】オートフォーカス動作における第1フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【図15】オートフォーカス動作における第2フォーカスレンズ群の位置の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
単数のフォーカスレンズ群による合焦では、そのフォーカスレンズ群の駆動範囲の一点で合焦位置が存在するが、その合焦位置において必ずしも良好な光学特性(周辺解像度や収差等)が得られるわけではない。
【0011】
この問題を解決するために、本実施形態では複数のフォーカスレンズ群によるズームトラッキング動作を実行する。複数のフォーカスレンズ群を個別に駆動できる構成にすることにより、各フォーカスレンズ群のズーム・トラッキング・カーブの設計の自由度が高まる。つまり、合焦状態であると共に良好な光学特性が得られるためのズーム・トラッキング・カーブを予め設計できる。これにより、ズーム動作に伴ってピント位置を追従させるとともに良好な光学像を得られる。
【0012】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態としてデジタルカメラを一例として挙げる。
【0013】
<1.デジタルカメラの構成>
図1を参照して、本実施形態のデジタルカメラの構成について説明する。デジタルカメラ1000は交換レンズ式のデジタルカメラである。デジタルカメラ1000はカメラボディ100と、カメラボディ100に取り外し可能に装着された交換レンズ200とで構成される。
【0014】
<1−1.カメラボディの構成>
カメラボディ100の構成について説明する。カメラボディ100は、ボディマウント104と、ボディ側通信部105と、ボディマイコン110と、画像処理エンジン140と、撮像センサ駆動制御部112と、撮像センサ135と、画像表示制御部121と、表示部120と、メモリカード190を着脱可能なカードスロットと、レリーズ釦130と、動画撮影操作ボタン124と、メニュー操作ボタン139とを備える。
【0015】
ボディ側通信部105とレンズ側通信部291(後述)は互いにデータの通信が可能である。通信データは例えば、レンズ固有データ(像倍率変化データ等)、フォーカス駆動制御信号、露光同期信号、動画記録中であるか否かの情報、ズーム位置情報、フォーカス位置情報などである。
【0016】
ボディマイコン110は、ボディ側通信部105およびレンズ側通信部291を通じてこれらの通信データを取得することにより、各種制御信号を生成する。
【0017】
撮像センサ135は、交換レンズ200の光学系を通じて形成される光学的な像を、電気的な信号に変換して、画像データを生成するセンサである。撮像センサ135によって生成された画像データは、画像処理エンジン140へ出力され、画像処理エンジン140で様々な画像処理が行われる。撮像センサ駆動制御部112は、撮像センサ135を駆動制御するためのタイミング信号を生成する。
【0018】
画像処理エンジン140は、撮像センサ135から出力された画像データに対して、YC変換処理、ホワイトバランス補正処理、ガンマ補正処理、画像拡大・縮小処理、画像の圧縮・縮小処理、コントラスト値を検出することによる合焦判定処理などの様々な画像処理を実行可能である。画像処理エンジン140によって処理された画像データは、メモリカード190に記録されたり、画像表示制御部121を通じて画像表示部120に表示されたりする。
【0019】
画像表示部120は、ライブモニタ画像や、メモリカード190に記録された画像などを再生表示する。画像表示制御部121は、これらの画像を画像表示部120が表示するように画像表示部120に命令を出す。
【0020】
メモリカード190は、撮像センサ135により生成された静止画像データや動画像データを保存する。ボディマイコン110は、カードスロットを通じて、各種データのメモリカード190に対する書き込みおよび読み出し処理を実行できる。
【0021】
カメラボディ100の上面に、レリーズ釦130や、動画撮影操作ボタン124が設置される。これらのボタンが操作されると、各ボタンに対応した撮影が実行される。レリーズ釦130は、浅く押下された半押し状態と、深く押下された全押し状態との2つの押下状態を有する。レリーズ釦130が使用者によって半押し状態にされると、ボディマイコン110は、被写体に合焦するようにオートフォーカス制御を実行する。続いてレリーズ釦130が全押し状態にされると、全押し状態にされたタイミングで、撮像センサ135によって生成された静止画像データがメモリカード190に記録される。
【0022】
動画撮影操作ボタン124が押下されると、ボディマイコン110は、撮像センサ135によって生成された動画像データをメモリカード190に記録する。つまり、ボディマイコン110は、動画撮影操作ボタン124が使用者による操作を受け付けると、動画記録のための各種動作を実行する。
【0023】
メニュー操作ボタン139は、使用者の操作を受け付けることにより様々なカメラ設定を可能とするためのボタンである。
【0024】
ボディマイコン110は、カメラボディ100の中枢を司る制御装置である。ボディマイコン110は、レリーズ釦130や、動画撮影操作ボタン124や、メニュー操作ボタン139などが操作されたことを検知し、検出された操作に応じた制御を実行する。また、ボディマイコン110は、交換レンズ200がカメラボディ100に装着されたことを検知する。ボディマイコン110は、デジタルカメラ1000の制御のために必要な情報(ズームレンズ位置情報やフォーカスレンズ位置情報など)を交換レンズ200から取得する。さらにボディマイコン110は、ズームレンズ群G2、第一のフォーカスレンズ群G4(後述)などを制御するための制御信号を、レンズマイコン240(後述)に対して送信する。
【0025】
なお、本実施形態のデジタルカメラ1000では、オートフォーカス方式として、撮像センサ135で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用される。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現できる。
【0026】
<1−2.交換レンズの構成>
交換レンズ200の構成について説明する。
交換レンズ200はレンズマウント295と、レンズ側通信部291と、レンズマイコン240と、第1固定レンズ群G1と、ズームレンズ群G2と、第2固定レンズ群G3と、第1フォーカスレンズ群G4と、第2フォーカスレンズ群G5と、第3固定レンズ群G6と、ズームモータ263と、第1フォーカスモータ264と、第2フォーカスモータ265と、レンズ駆動制御部241と、ROM210と、ズーム操作部250とを備える。レンズマイコン240と、ズームモータ263と、第1フォーカスモータ264と、第2フォーカスモータ265と、レンズ駆動制御部241と、ROM210とがレンズ制御部を構成する。
【0027】
交換レンズ200はレンズマウント295によって、カメラボディ100の前面に設置されたボディマウント104に連結される。交換レンズ200がカメラボディ100に連結されることにより、レンズマイコン240は、レンズ側通信部291およびボディ側通信部105を通じて、ボディマイコン110と通信できるようになる。
【0028】
交換レンズ200は、ズームレンズ群G2を光軸方向に動かすことにより、焦点距離を変更する。また、交換レンズ200は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5をそれぞれ光軸方向に動かすことにより、撮影距離(物体距離)を変更する。
【0029】
ズームモータ263、第1フォーカスモータ264および第2フォーカスモータ265はそれぞれ、ズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を駆動する。特に、これらのレンズ群G2、G4およびG5は、レンズマイコン240がレンズ駆動制御部241を通じて各モータ263、264、265に指示することにより、レンズ群毎に独立して駆動可能である。なお、ズームモータ263、第1フォーカスモータ264および第2フォーカスモータ265は、例えばステッピングモータによって実現できる。
【0030】
レンズマイコン240は、最初にズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の原点位置(後述)を検出した後、レンズマイコン240によってレンズ駆動制御部241に指示されたステップ数に従って、各レンズ群G2、G4およびG5の駆動位置を把握する。
【0031】
レンズマイコン240は、図2に示すような第1フォーカスレンズ群G4のトラッキングデータと、図3に示すような第2フォーカスレンズ群G5のトラッキングデータとを交換レンズ200内部のROM210に予め格納している。「トラッキングデータ」とは、ズームレンズ群G2が移動した場合に、合焦状態を維持するために、フォーカスレンズ群G4、G5が移動するべき位置を示す情報(ズーム・トラッキング・カーブ)を含む情報である。以下、第1フォーカスレンズ群G4のためのトラッキングデータを「第1トラッキングデータ」、第2フォーカスレンズ群G5のためのトラッキングデータを「第2トラッキングデータ」という。
【0032】
レンズマイコン240は、必要に応じて、ROM210から第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータを読み出し、これらトラッキングカーブに従って、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のトラッキング制御を実行する。
【0033】
図2および図3を参照して、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータについて説明する。図2および図3のグラフにおいて横軸はズームレンズ群G2の駆動位置を示し、縦軸は第1および第2フォーカスレンズ群G4、G5の駆動位置を示す。横軸の左側(Wide側)がワイドズーム側を、右側(Tele側)が望遠ズーム側を示す。横軸上の位置Zwはズームレンズ群G2のワイド側で設定可能な限界値(ワイド端)を、位置Ztはズームレンズ群G2の望遠側で設定可能な限界値(テレ端)を示す。
【0034】
図2および図3に示すように、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータはそれぞれ4つのトラッキングカーブを有する。第1トラッキングデータの4つのトラッキングカーブはそれぞれ、被写体距離が1m、2m、3m、無限遠(INF)であるときのトラッキングデータを示す。第2トラッキングデータが有する4つのトラッキングカーブもそれぞれ、被写体距離が1m、2m、3m、無限遠(INF)であるときのトラッキングデータを示す。このように、第2トラッキングデータに含まれる4つのトラッキングカーブはそれぞれ、第1トラッキングデータに含まれる4つのトラッキングカーブに、被写体距離に関して対応する。また、第2トラッキングデータのトラッキングカーブの数は、第1トラッキングデータのトラッキングカーブの数と同じである。ただし、ワイド端からテレ端までのズーム位置において、第2トラッキングデータによって描写されるズーム・トラッキング・カーブ(図3)は、第1トラッキングデータによって描写されるズーム・トラッキング・カーブ(図2)と異なってもよい。第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5が使用されることによってズームトラッキング動作が実行されると共により好適な光学特性が得られるように、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータは適宜、設計される。以下、例えば被写体距離が1mのときのトラッキングカーブを「トラッキングカーブ(1m)」という。別のトラッキングカーブについても同様である。
【0035】
トラッキングデータの見方は次の通りである。例えば、ズームレンズ群G2の現在位置が図2の位置Zaにあり、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がF1aにあるときに、被写体距離が1mである被写体に対して合焦しているとする。このとき、ズームレンズ群G2が位置Zbに駆動されると、合焦状態が維持されるように、第1フォーカスレンズ群G4はF1bへ駆動される。つまり、ズームレンズ群G2の駆動位置および第1フォーカスレンズ群G4の駆動位置によって決まる動作位置Pは、ズームレンズ群G2の駆動位置に従って、トラッキングカーブ(1m)に沿って移動する。図3に示されるような第2トラッキングデータについても同様である。
【0036】
また、ズームレンズ群G2およびフォーカスレンズ群G4、G5の駆動位置によっては、動作位置Pがトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合がある。その場合、本実施形態のレンズマイコン240は、有限個のトラッキングカーブに基づいて、動作位置Pをトラッキングカーブからの距離の比率で把握する。トラッキングカーブからの距離の比率は、図4で示されるトラッキングデータに基づいて、動作位置Pから、動作位置Pを挟むように存在する2つのトラッキングカーブそれぞれへの距離a、bから算出される。算出された距離の比率(a:b)に基づいて、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の駆動位置が決定される。
【0037】
なお、本実施形態では各トラッキングデータが4つのトラッキングカーブを有するとしたが、4以外の数のトラッキングカーブを各トラッキングデータが有してもよい。
【0038】
ズーム操作部250が使用者の操作を受け付けると、レンズマイコン240はその操作の方向および量を検出する。この検出結果に基づいてレンズマイコン240は、ズームレンズ群G2の移動の目標であるズーム目標位置を決定する。そしてレンズマイコン240は、このズーム目標位置にズームレンズ群G2を移動させるための制御信号をレンズ駆動制御部241に出力する。この制御信号に従って、ズームモータ263はズームレンズ群G2をズーム目標位置へ駆動する。なお、ズーム操作部250はレバー形状であってもよいし、スイッチ形状であってもよいし、環状であってもよい。
【0039】
図5を参照して、ズーム動作における、交換レンズ200の各レンズ群の移動について説明する。図5において、縦軸は、ズームレンズ群G2のワイド端(Wide端)からテレ端(Tele端)までのズーム範囲における、ズームの度合いを示す。横軸は、各レンズ群の位置を示す。
【0040】
図5に示すように、ズーム操作部250によって受け付けられた操作に従って、ズームはワイド端(Wide端)からテレ端(Tele端)までの範囲で設定可能である。例えばズームがワイド端からテレ端に変更されたとき、ズームレンズ群G2は、図5における右側へ移動する。このとき、ズームレンズ群G2が移動しても、第1固定レンズ群G1、第2固定レンズ群G3および第3固定レンズ群G6は移動しない。これは、これらの固定レンズ群G1、G3およびG6が固定レンズ群であるからである。一方、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5は、ズームレンズ群G2の移動に伴って、合焦状態を維持するように、図5に示すトラッキングカーブに従って移動する。特に本実施形態の交換レンズ200は、単独のフォーカスレンズ群を駆動することによってではなく、複数のフォーカスレンズ群(第1フォーカスレンズ群G4および、第2フォーカスレンズ群G5)を個別に駆動することによって、ズームトラッキング動作を実行する。
【0041】
単数のフォーカスレンズ群による合焦では、そのフォーカスレンズ群の駆動範囲の一点で合焦位置が存在するが、その合焦位置において必ずしも良好な光学特性(周辺解像度や収差等)が得られるわけではない。
【0042】
しかし複数のフォーカスレンズ群を使用することにより、各フォーカスレンズ群のズーム・トラッキング・カーブの設計の自由度が高まる。つまり、合焦状態であると共に良好な光学特性が得られるためのズーム・トラッキング・カーブを予め設計できる。これにより、ズーム動作に伴ってピント位置を追従させるとともに良好な光学像を得られる。
【0043】
レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のいずれか一方の位置を現在のフォーカス位置情報としてボディマイコン110に出力する。これによりボディマイコン110は、交換レンズ200内のフォーカスレンズ群の数を意識することなく、レンズマイコン240に対してフォーカス制御の指示を出すことが可能になる。
【0044】
なお、本実施形態では、第1フォーカスレンズ群G4の位置がフォーカス位置情報として、ボディマイコン110に送信される。これは、ズーム動作に伴う第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲(移動軌跡の幅)が第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲よりも大きいからである(図2および図3を参照)。移動範囲が大きければ、第1フォーカスレンズ群G4を駆動する第1フォーカスモータ264がより多くのステップ数で駆動できるため、トラッキングデータ間における第1フォーカスレンズ群G4の駆動位置(フォーカスレンズ位置)を把握する精度が高くなる。こうして把握された第1フォーカスレンズ群G4の駆動位置に基づくことにより、第2フォーカスレンズ群G5の駆動位置が精度良く決定されることになる。第2フォーカスレンズ群G5の駆動位置の決定については後述する。
【0045】
なお、ズームトラッキング動作時において、第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲が第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲よりも大きいとした。しかし前述のとおり、各フォーカスレンズ群の位置を決めるトラッキングデータは適宜設計可能である。したがって、第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲が第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲よりも大きいようなトラッキングデータが設計されてもよい。その場合は、レンズマイコン240はフォーカス位置情報として第2フォーカスレンズ群G5のフォーカス位置をボディマイコン110に出力する。
【0046】
<2.デジタルカメラの動作>
以下、デジタルカメラ1000の動作について説明する。
【0047】
<2−1.レンズ群のリセット動作>
図6を参照して、交換レンズ200における各レンズ群G2、G4、G5のリセット動作について説明する。
【0048】
カメラボディ100の電源がON状態に切り替えられると、ボディマイコン110は初期動作の実行のためのシステムを起動し、カメラボディ100の各部へ電力を供給する。また、ボディマイコン110は、ボディマウント104およびレンズマウント295を通じて、交換レンズ200の各部に電力を供給する。
【0049】
なお、電源はカメラボディ100に備えられるとしたが、電源が交換レンズ200に備えられてもよい。
【0050】
レンズマイコン240に電力が供給されると(ステップS500におけるYes)、レンズマイコン240はズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のリセット動作を実行する。以下、それぞれのレンズ群についてリセット動作を説明する。
【0051】
まず、ズームレンズ群G2のリセット動作について説明する。レンズマイコン240はレンズ駆動制御部241にリセット動作のための制御信号を出力する。レンズ駆動制御部241はこの制御信号に基づいて、ズームレンズ群G2が所定の方向に移動するようにズームモータ263を制御する。ズームレンズ群G2の移動軸沿いにはフォトインターラプタが設置されている。レンズマイコン240は、ズームレンズ群G2がフォトインターラプタの前を通過したことを検出することにより、ズームレンズ群G2の絶対位置を把握する。ズームレンズ群G2の絶対位置を把握したレンズマイコン240は、その絶対位置から所定距離離れた位置を、ズームレンズ群G2のズーム動作のための原点位置に設定する(S501)。原点位置の設定以後は、レンズマイコン240は、ズームモータ263がズームレンズ群G2を原点位置から駆動したステップ数に従って、ズームレンズ群G2の現在位置を把握する。ズームレンズ群G2の原点位置設定後、レンズマイコン240はズームレンズ群G2を、電源ON時の初期位置として、ワイド端へ移動する(S502)。
【0052】
次に第1フォーカスレンズ群G4のリセット動作について説明する。レンズ駆動制御部241は、レンズマイコン240によって出力されたリセット動作のための制御信号に基づいて、第1フォーカスレンズ群G4が所定の方向に移動するようにフォーカスモータ264を制御する。第1フォーカスレンズ群G4の移動軸沿いにはフォトインターラプタが設置されている。レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4がフォトインターラプタの前を通過したことを検出することにより、第1フォーカスレンズ群G4の絶対位置を把握する。第1フォーカスレンズ群G4の絶対位置を把握したレンズマイコン240は、その絶対位置から所定距離離れた位置を、第1フォーカスレンズ群G4のフォーカス動作のための原点位置に設定する(S503)。原点位置の設定以後、レンズマイコン240は、フォーカスモータ264が第1フォーカスレンズ群G4を原点位置から駆動したステップ数に従って、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置を把握する。次にレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の第1トラッキングデータを取得し、電源ON時の初期位置として、無限遠(INF)の被写体距離を示すトラッキングカーブ(INF)上のワイド端の位置(図2における位置P1)へ、第1フォーカスレンズ群G4を移動する(S504)。
【0053】
第2フォーカスレンズ群G5のリセット動作は、第1フォーカスレンズ群G4のリセット動作と同様に、実行される。すなわち、第2フォーカスレンズ群G5の原点位置が設定されると(S505)、第2フォーカスレンズ群G5は、第2トラッキングデータにおいてトラッキングカーブ(INF)上のワイド端に該当する位置(図3における位置P1)へ移動される(S506)。
【0054】
以上のようにズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のリセット動作が完了すると、レンズマイコン240は、ボディマイコン110にリセット動作の完了を示す信号を出力する(S507)。
【0055】
<2−2.ズームトラッキング動作>
図7を参照して、ズームレンズ群G2のズーム動作に伴う、各フォーカスレンズ群のズームトラッキング動作について説明する。
【0056】
前述のリセット動作が完了した後、レンズマイコン240はズーム操作部250の操作状態を監視する(S600)。ズーム操作部250が操作を受け付けると(ステップS600におけるYes)、レンズマイコン240はその操作の方向や量を検出する。
【0057】
レンズマイコン240は、検出された操作方向や操作量に基づいて、ズーム目標位置を決定する(S601)。検出された操作方向がテレ端方向へのズームを示す場合、レンズマイコン240はテレ端方向にズーム目標位置を決定する。また、現在のズーム位置からズーム目標位置までの距離は、検出された操作量に従って決定される。一方、検出された操作方向がワイド端方向へのズームを示す場合、レンズマイコン240はワイド端方向にズーム目標位置を決定する。また、現在のズーム位置からズーム目標位置までの距離は、検出された操作量に従って決定される。
【0058】
ズームレンズ群G2のズーム目標位置が決定されると、このズーム目標位置に従って、レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5それぞれのフォーカス目標位置を、第1トラッキングデータおよび第2トラッキングデータを用いて決定する。フォーカス目標位置は、フォーカスレンズ群G4、G5の移動先の位置である。以下、第1フォーカスレンズ群G4のフォーカス目標位置を「第1フォーカス目標位置」、第2フォーカスレンズ群G5のフォーカス目標位置を「第2フォーカス目標位置」という。第1および第2フォーカス目標位置の具体的な決定方法を以下に説明する。
【0059】
<2−2−1.フォーカスレンズ群の現在位置がトラッキングカーブ上にある場合>
レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在の位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブに乗っているか否かを判定する(S602)。レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が第1トラッキングデータのトラッキングカーブのいずれかに乗っていると判断した場合(ステップS602におけるYes)、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が乗っているトラッキングカーブに従って、ズームレンズ群G2がズーム目標位置にあるときの、第1フォーカス目標位置を決定する(S603)。
【0060】
次にレンズマイコン240は、第2トラッキングデータの4つのトラッキングカーブの中から、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が乗っている第1トラッキングデータのトラッキングカーブに対応するものを選択する。例えば、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)に乗っている場合、レンズマイコン240は第2トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)を選択する。そしてレンズマイコン240は、第2トラッキングデータの選択されたトラッキングカーブに従って、ズームレンズ群G2がズーム目標位置にあるときの第2フォーカス目標位置を決定する(S604)。
【0061】
以上のようにズームレンズ群G2のズーム目標位置と、第1フォーカス目標位置と、第2フォーカス目標位置とが決定されると、レンズマイコン240は、レンズ駆動制御部241および各レンズモータ263、264、265を通じて、ズームレンズ群G2、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5をそれぞれの目標位置に移動する(S608)。
【0062】
各レンズ群が目標位置に移動されると、レンズマイコン240は、ズーム操作部250が操作を受け付けるか否かを監視する状態に戻る(S600)。レンズマイコン240がズーム操作部250を監視することにより、ズーム操作部250によって受け付けられた操作方向および操作量に従って、図7のフローチャートを参照して説明した動作(ステップS600〜S608)を定期的に繰り返す。
【0063】
このようにズームレンズ群G2の位置に連動して第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の位置が変更されることにより、合焦状態を維持したままのズーム動作が可能となる。
【0064】
ここで、前述した、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にあった場合の、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について、具体例を挙げて説明する。
【0065】
図8および図9を参照して、ズーム動作における第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作の具体例を示す。図8は第1トラッキングデータを示す。横軸はズームレンズ群G2の位置を、縦軸は第1フォーカスレンズ群G4の位置を示す。また、図9は第2トラッキングデータを示す。図9の横軸はズームレンズ群G2の位置を、縦軸は第2フォーカスレンズ群G5の位置を示す。
【0066】
図8および図9で示される例において、前述のリセット動作によって、ズームレンズ群G2の現在位置が位置Zwに、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が図8の位置F11(位置P1)に、第2フォーカスレンズ群G5の現在位置が図9の位置F21(位置P1)にあるとする。また、この状態で被写体に合焦されているとする。
【0067】
この状態において、ズーム操作部250が操作を受け付けると(図7のステップS600におけるYes)、レンズマイコン240は、受け付けられた操作方向および操作量に従って、ズームレンズ群G2のズーム目標位置を位置Z2に決定する(S601)。
【0068】
そしてレンズマイコン240は、図8で示されるような第1トラッキングデータを、ROM210から読み出す。本例では第1フォーカスレンズ群G4の現在位置はトラッキングカーブ(INF)上にあるので、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にあると判断する(ステップS602におけるYes)。この場合、レンズマイコン240は、ズーム目標位置Z2に対するトラッキングカーブ(INF)上の位置P2を、第1フォーカス目標位置に決定する(S603)。
【0069】
続いてレンズマイコン240は図9で示されるような第2トラッキングデータを、ROM210から読み出す。
【0070】
そしてレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置の決定に用いられた第1トラッキングデータのトラッキングカーブに対応する第2トラッキングデータのトラッキングカーブに基づいて、ズーム目標位置Z2に対応する位置P2を、第2フォーカス目標位置に決定する(S604)。
【0071】
このように各レンズ群の目標位置が決定されると、レンズマイコン240は、ズームレンズ群G2を位置Z2へ、第1フォーカスレンズ群G4を位置F12へ、第2フォーカスレンズ群G5を位置F22へそれぞれ移動する(S608)。
【0072】
なお、以下の説明では、第1および第2トラッキングデータ内の位置P1や位置P2のことを「フォーカスレンズの位置」(現在位置、フォーカス目標位置)ともいう。
【0073】
各レンズ群の移動後にさらにズーム操作が受け付けられていれば、続けて前述のようなズーム動作およびズームトラッキング動作が実行される。これにより図8および図9に示されるように、ズームレンズ群G2は位置Z2→Z3→Z4→Z5→Z6と移動され、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5は位置P2→P3→P4→P5→P6と移動される。
【0074】
<2−2−2.フォーカスレンズ群の現在位置がトラッキングカーブ上にない場合>
一方、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブのいずれにも乗っていないと判断された場合(ステップS602におけるNo)、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブに対してどのような位置にあるかを、次のように算出する。
【0075】
レンズマイコン240は、第一のフォーカスレンズ群G4の現在位置が、第1トラッキングデータにおいて、どのトラッキングカーブ間にあるか判定する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置を挟むように存在する2つのトラッキングカーブを用いて、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置までの距離の比率(a:b)を算出する(S605)。以下、この比率を「位置比率」という。
【0076】
続いてレンズマイコン240は、算出された位置比率(a:b)に基づいて、第1フォーカス目標位置を決定する。具体的には、レンズマイコン240は、位置比率の算出時に使用された2つのトラッキングカーブを選択する。レンズマイコン240は、これら2つのトラッキングカーブ上にある、ズーム目標位置に対する、2つの第1フォーカスレンズ群G4の位置を取得する。レンズマイコン240は、取得された2つの第1フォーカスレンズ群G4の位置に対する第1フォーカス目標位置の位置比率が、先ほど算出された位置比率(a:b)と同じになるように、第1フォーカス目標位置を決定する(S606)。
【0077】
続いてレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置を決定したのと同様に、第2フォーカス目標位置を決定する。具体的には、レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置の決定のために使用された2つのトラッキングカーブに対応する、第2トラッキングデータ内の2つのトラッキングカーブを選択する。そしてレンズマイコン240は、これら2つのトラッキングカーブを用いて、ズーム目標位置に対する、2つの第2フォーカスレンズ群G5の位置を取得する。レンズマイコン240は、取得された2つの第2フォーカスレンズ群G5の位置と、先ほど算出された位置比率(a:b)とを用いて、第2フォーカス目標位置を決定する(S607)。
第1および第2フォーカス目標位置が決定されてからの動作は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が第1トラッキングデータのトラッキングカーブ上にある場合と同様である。
【0078】
ここで、前述した、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にない場合の、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について、具体例を挙げて説明する。
【0079】
図10および図11を参照して、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5のズームトラッキング動作の具体例を示す。図10は第1トラッキングデータを示す。横軸および縦軸は、図8の場合と同様である。また、図11は第2トラッキングデータを示す。図11の横軸および縦軸は、図9の場合と同様である。図10および図11で示される例において、ズームレンズ群G2の現在位置が位置Z3に、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置が図10の位置F13に、第2フォーカスレンズ群G5の現在位置が図11の位置F23にあるとする。そしてこの状態で被写体が合焦状態であるとする。
【0080】
この状態において、ズーム操作部250が操作を受け付けると(図7のS600におけるYes)、レンズマイコン240は、受け付けられた操作方向および操作量に従って、ズームレンズ群G2のズーム目標位置を位置Z4に決定する(S601)。そしてレンズマイコン240は、図10で示すような第1トラッキングデータをROM210から読み出す。本例では、第1トラッキングデータにおいて、ズームレンズ群G2の現在位置Z3と第1フォーカスレンズ群G4の現在位置F13に対応する位置P3は、いずれのトラッキングカーブの上にも存在しない。よってレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にないと判断する(ステップS602におけるNo)。
【0081】
この場合、レンズマイコン240は、次のように、トラッキングカーブを利用して第1フォーカスレンズ群G4の現在位置を示す位置比率を算出する。まずレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置P3を挟むように存在する2つのトラッキングカーブを選択する。本例では、トラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)が選択される。そしてレンズマイコン240は、ズームレンズ群G2の現在位置Z3に対する2つのトラッキングカーブ上の位置Q1、Q2を取得する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置P3が、位置Q1、Q2の間を分割する比率(位置比率)を算出する(S605)。本例では、この位置比率が50:50であるとする。
【0082】
続いてレンズマイコン240は、ズーム目標位置Z4に対する2つのトラッキングカーブ上の位置Q3、Q4を取得する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P4がこれら2つの位置Q3、Q4の間を先ほど算出された位置比率(50:50)で内分するように、第1フォーカス目標位置P4を決定する。つまり、位置Q1−位置Q2間の位置P3による内分比が、位置Q3−位置Q4間の位置P4による内分比と等しくなるように、位置P4(第1フォーカス目標位置)が決定される(S606)。
【0083】
続いてレンズマイコン240は、図11で示されるような第2トラッキングデータをROM210から読み出す。レンズマイコン240は、ズーム目標位置Z4に対する、第2トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)上の位置Q3、Q4を取得する。ここで、第2トラッキングデータにおいて、第1フォーカスレンズ群G4について使用された2つのトラッキングカーブに対応する、トラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)が用いられた。そしてレンズマイコン240は、第2フォーカス目標位置P4がこれら2つの位置Q3、Q4の間を先ほど算出された位置比率(50:50)で内分するように、第2フォーカス目標位置P4を決定する(S607)。
【0084】
このように各レンズ群の目標位置が決定されると、レンズマイコン240は、ズームレンズ群G2を位置Z4へ、第1フォーカスレンズ群G4を位置F14へ、第2フォーカスレンズ群G5を位置F24へ移動する(S608)。
【0085】
レンズマイコン240は、各レンズ群を目標位置に移動すると、ズーム操作部250が操作を受け付けたか否かを再び監視する(S600)。以降は前述の動作(S600〜S608)と同様である。
【0086】
このように、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置がトラッキングカーブ上にない場合においても、ズームレンズ群G2の位置に連動して第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の位置が変更されることにより、ズームトラッキング動作が可能となる。このとき、第2フォーカス目標位置が決定されるために使用される第2トラッキングデータのトラッキングカーブは、第1フォーカス目標位置が決定されるために使用された第1トラッキングデータのトラッキングカーブに対応する。また、第2トラッキングデータの2つのトラッキングカーブに対する第2フォーカス目標位置の位置比率が、第1トラッキングデータの2つのトラッキングカーブに対する第1フォーカス目標位置の位置比率と同じになるように、第2フォーカス目標位置は決定される。
【0087】
以上のようにして本実施形態のデジタルカメラ1000は、ズーム動作におけるズームトラッキング動作を実行する。つまり、第1トラッキングデータとズームレンズ群G2のズーム目標位置とに基づいて第1フォーカスレンズ群G4の第1フォーカス目標位置が決定される。そして、第1トラッキングデータに対する第1フォーカス目標位置の位置関係と、第2トラッキングデータと、ズーム目標位置とに基づいて第2フォーカス目標位置が決定される。
【0088】
本実施形態のデジタルカメラ1000は複数のフォーカスレンズ群でズームトラッキング動作を実行することにより、ズーム動作において合焦状態が維持されるとともに、単数のフォーカスレンズ群でズームトラッキング動作を実行するカメラに比べて、より広範囲の第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲において良好な光学特性が得られる。よって単数のフォーカスレンズ群でズームトラッキング動作を実行するカメラに比べて、より広範囲の被写体距離において光学特性が良好な光学像が得られる。
【0089】
<2−3.オートフォーカス動作>
以下、デジタルカメラ1000のオートフォーカス(AF)動作について説明する。
本実施形態のデジタルカメラ1000は、コントラストAF方式でAF動作を実行する。図12を参照して合焦状態の決定方法について説明する。図12において横軸は第1フォーカスレンズ群G4の位置を示し、縦軸はコントラスト値を示す。デジタルカメラ1000のボディマイコン110は、撮像センサ135によって撮像された被写体像のコントラスト値を、図12に示されるように、各フォーカスレンズ群G4、G5の位置を所定の距離ずつ変化させながら検出する。ボディマイコン110はコントラスト値が最大となる各フォーカスレンズ群G4、G5の位置を合焦位置として決定する。以下、このような合焦位置を決定するためにコントラスト値が最大になる各フォーカスレンズ群G4、G5の位置を探索することを「サーチ動作」という。
【0090】
図13を参照して、コントラストAF方式でのAF動作における、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について説明する。図6を参照して説明された各レンズ群のリセット動作の完了後、ボディマイコン110は、レリーズ釦130が半押し状態にされたか否かを監視する(S700)。ボディマイコン110は、レリーズ釦130が半押し状態にされたと判断すると(ステップS700におけるYes)、AF動作を開始する。
【0091】
AF動作が開始されると、ボディマイコン110は、ズームレンズ群G2、各フォーカスレンズ群G4、G5が現在位置にある状態で、各レンズ群を通じて生成された画像データのコントラスト値を検出する。また、ボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4の位置を、交換レンズ200との通信によって把握する。そしてボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5がサーチ動作を実行するように、レンズマイコン240に制御信号を出力する。
【0092】
ここで、ボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を個別の単位として認識するのではなく、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を「フォーカスレンズ」という1つの単位として認識する。つまりボディマイコン110は、複数のフォーカスレンズ群に対してではなく、「フォーカスレンズ」に対する制御信号を出力する。これにより、フォーカスレンズ群が3つ以上の構成であっても、ボディマイコン110はフォーカスレンズ群が1つである場合と同様の制御信号を出力できる。
【0093】
レンズマイコン240は、「フォーカスレンズ」にサーチ動作させるための制御信号をボディマイコン110から受信すると、第1フォーカスレンズ群G4にサーチ動作を実行させるために、レンズ駆動制御部241に制御信号を出力する。具体的には、ボディマイコン110は、「フォーカスレンズ」の現在位置から所定の距離離れた「フォーカスレンズ」のフォーカス目標位置をレンズマイコン240に対して通知する。レンズマイコン240は、通知された「フォーカスレンズ」のフォーカス目標位置に基づいて、第1フォーカスレンズ群G4のフォーカス目標位置(第1フォーカス目標位置)を決定する(S701)。ズームレンズ群G2の位置は現在位置に維持される。
【0094】
続いてレンズマイコン240は、第1トラッキングデータを参照する。レンズマイコン240は、決定された第1フォーカス目標位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブ上にあるか否かを判定する(S702)。
【0095】
レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置がトラッキングカーブ上にあると判断すると(ステップS702におけるYes)、第1フォーカス目標位置が乗っているトラッキングカーブに対応する、第2トラッキングデータのトラッキングカーブを取得する。レンズマイコン240は、取得されたトラッキングカーブとズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を決定する(S703)。ここで、第2フォーカス目標位置の決定方法は、前述のズームトラッキング動作における第2フォーカス目標位置の決定方法と同様である。
【0096】
第1および第2フォーカス目標位置が決定されると、レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を各フォーカス目標位置に移動する(S704)。
【0097】
続いてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5が各フォーカス目標位置に移動されたことによって、好適な合焦位置が検出されたか否かを判定する(S707)。ここで、好適な合焦位置が検出されるために、レンズマイコン240は、各フォーカスレンズ群G4、G5の移動後における画像データのコントラスト値を、移動前における画像データのコントラスト値と比較する。
【0098】
移動後のコントラスト値が移動前のコントラスト値より高い場合、レンズマイコン240は、合焦位置が検出されていないと判断する(ステップS707におけるNo)。これは、合焦位置がまだ先にあると考えられるからである。この場合、レンズマイコン240が次の第1フォーカス目標位置を決定することにより(S701)、サーチ動作が継続される。
【0099】
一方、各フォーカスレンズ群G4、G5の移動後におけるコントラスト値が移動前におけるコントラスト値より低い場合、レンズマイコン240は、合焦位置が検出されたと判断する(ステップS707におけるYes)。これは、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5が合焦位置をすでに通過したと考えられるからである。この場合、レンズマイコン240は、今までに取得された複数のコントラスト値に基づいて、フォーカスレンズ群G4、G5の合焦位置を決定する。そしてレンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を、決定された合焦位置に移動する(S708)。
【0100】
一方、第1フォーカス目標位置が、第1トラッキングデータのトラッキングカーブのずれの上にもない場合(ステップS702におけるNo)、レンズマイコン240は、第1トラッキングデータに対する第1フォーカスレンズ群G4の位置比率を算出する(S705)。この位置比率の算出方法は、前述のズームトラッキング動作における第1フォーカスレンズ群G4の現在位置の位置比率の算出方法と同様である。レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4の位置比率を算出すると、算出された位置比率と第2トラッキングデータとズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を決定する(S706)。ここで、第2フォーカス目標位置の決定方法は、前述のズームトラッキング動作時と同様である。第2フォーカス目標位置が決定されると、レンズマイコン240は、第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を各フォーカス目標位置へ移動する(S704)。フォーカスレンズ群G4、G5の移動後、レンズマイコン240は、好適な合焦位置が検出されたか否かを判定する(S707)。この判定以降の動作は、第1フォーカス目標位置がトラッキングカーブ上にあった場合と同様である(S707〜S708)。
【0101】
以上の第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作(S701〜S707)は、好適な合焦位置が検出されるまで、繰り返される。
【0102】
<2−3−1.AF動作の具体例>
図14および図15を参照して、AF動作における第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5の動作について、具体例を挙げて説明する。図14は第1トラッキングデータを示し、図15は第2トラッキングデータを示す。図14および図15の横軸は、ズームレンズ群G2の位置を示す。図14の縦軸は第1フォーカスレンズ群G4の位置を、図15の縦軸は第2フォーカスレンズ群G5の位置を示す。
【0103】
図14および図15で示される例において、ズームレンズ群G2の現在位置は位置Z6であり、第1フォーカスレンズ群G4の現在位置は図14のF16であり、第2フォーカスレンズ群G5の現在位置は図15のF26であると想定する。
【0104】
レンズマイコン240は、ボディマイコン110からAF動作のためのサーチ動作の制御信号を受信すると、レンズ駆動制御部241に第1フォーカス目標位置を送信する。本例では、図14の位置P7が第1フォーカス目標位置であるとする。
【0105】
この場合、第1フォーカス目標位置P7が、トラッキングカーブ(2m)とトラッキングカーブ(3m)との間に存在するため、レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P7がいずれのトラッキングカーブの上にもないと判断する(図13のステップS702におけるNo)。よってレンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P7の位置比率を算出する。そしてレンズマイコン240は、算出された第1フォーカス目標位置の位置比率と、第2トラッキングデータと、ズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を算出する。
【0106】
第1および第2フォーカス目標位置が算出されると、レンズマイコン240は第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5を各フォーカス目標位置に移動する。各フォーカスレンズ群G4、G5が移動されると、ボディマイコン110はその状態で生成された画像データからコントラスト値を検出する。本例では、このときのコントラスト値は、各フォーカスレンズ群G4、G5がそれぞれ図14および図15における位置P6にあるときのコントラスト値よりも高いとする。
【0107】
ボディマイコン110は、各フォーカスレンズ群G4、G5の移動後におけるコントラスト値を移動前のコントラスト値と比較する。本例では、移動後のコントラスト値が移動前のコントラスト値より高いので、合焦位置のサーチ動作は継続される。
【0108】
続いてレンズマイコン240は、次の第1フォーカス目標位置を、例えば図14の位置P8に示す位置に決定する。本例では、位置P8は第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(1m)上に存在するとする。
【0109】
この場合、レンズマイコン240は、第1フォーカス目標位置P8が乗っている第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(1m)に対応する第2トラッキングデータのトラッキングカーブ(1m)と、ズームレンズ群G2の現在位置とに基づいて、第2フォーカス目標位置を決定する。そしてレンズマイコン240は、決定された第1および第2フォーカス目標位置に各フォーカスレンズ群G4、G5を移動する。
【0110】
各フォーカスレンズ群G4、G5が移動された後、ボディマイコン110はその状態において生成された画像データのコントラスト値を検出する。そしてボディマイコン110は、図14および図15の位置P8でのコントラスト値を位置P7でのコントラスト値と比較する。その結果、本例では、位置P8でのコントラスト値が位置P7でのコントラスト値よりも低いと判断されるとする。
【0111】
すると、ボディマイコン110は、図14および図15の位置P6、P7、P8において検出されたコントラスト値の中から、最大値を算出する。本例では、最大のコントラスト値が検出されたのは、位置P7で示される状態においてであったとする。よって、ボディマイコン110は、第1フォーカスレンズ群G4を図14における位置P9(P7)へ、第2フォーカスレンズ群G5を図15における位置P9(P7)へ移動する。ここで位置P9は位置P7と同じである。以上のように、本実施形態のデジタルカメラ1000はAF動作を実行する。
【0112】
なお、前述のAF動作に続いてズーム動作が実行された場合は、図14および図15の位置P9→P10→P11→P12という流れで、各レンズ群G2、G4、G5は、目標位置が決定され、移動される。このときの第1フォーカスレンズ群G4の現在位置の位置比率の算出方法と、第1フォーカス目標位置および第2フォーカス目標位置の決定方法とは、前述のズームトラッキング動作における方法と同様である。
【0113】
本例では、第1トラッキングデータのトラッキングカーブ(2m)およびトラッキングカーブ(3m)に対する、位置P9における第1フォーカスレンズ群G4の現在位置の位置比率が60:40であるとする。よって、図14および図15の位置P10、P11、P12における第1および第2フォーカス目標位置の位置比率は60:40である。
【0114】
以上のように、デジタルカメラ1000は、第1フォーカスレンズ群G4の位置比率と第2フォーカスレンズ群G5の位置比率とが合うように、第1フォーカスレンズ群G4と第2フォーカスレンズ群G5とを連携させて駆動する。このとき、第1フォーカスレンズ群G4の目標位置および第2フォーカスレンズ群G5の目標位置はそれぞれ、第1および第2トラッキングデータに従って決定される。ここで、前述のとおり、第1トラッキングデータによって画定される第1フォーカスレンズ群G4の移動範囲は、第2トラッキングデータによって画定される第2フォーカスレンズ群G5の移動範囲と比べて、大きいことも小さいこともありうる。そのため、同じズーム位置に移動するにしても、第1フォーカスレンズ群G4と第2フォーカスレンズ群G5とで、移動距離が異なる。すなわち、フォーカシング時において、第1フォーカスレンズ群G4と第2フォーカスレンズ群G5の移動速度比が、ズーム位置によって異なる。これにより、デジタルカメラ1000は、ズーム動作に合わせて好適なトラッキング動作を実行できる。また、トラッキングデータに含まれる各トラッキングカーブは、被写体距離によって異なる。そのため、フォーカシング時において、第1フォーカスレンズ群G4と、第2フォーカスレンズ群G5の移動速度比が、被写体距離によっても異なる。これにより、デジタルカメラ1000は、被写体距離が異なっても、ズーム動作に合わせて好適なトラッキング動作を行うことができる。
【0115】
<3.本実施形態のまとめ>
以上のとおり、本実施形態のデジタルカメラ1000においてレンズ制御部は、被写体像の合焦状態を調節するための第1フォーカスレンズ群G4および第2フォーカスレンズ群G5と被写体像の画角を調節するためのズームレンズ群G2とを含む光学系の駆動を制御する。レンズ制御部は、第1フォーカスレンズ群G4を駆動する第1フォーカスモータ264と、第2フォーカスレンズ群G5を駆動する第2フォーカスモータ265と、第1および第2フォーカスモータ264、265を制御するレンズマイコン240と、被写体に合焦するために第1フォーカスレンズ群G4の位置をズームレンズ群G2の位置に関連付ける情報である第1トラッキングデータ、および被写体に合焦するために第2フォーカスレンズ群G5の位置をズームレンズ群G2の位置に関連付ける情報である第2トラッキングデータを格納しているROM210とを備える。レンズマイコン240は、第1および第2フォーカスレンズ群G4,G5を駆動するとき、第1フォーカスレンズ群G4の移動の目標位置である第1目標位置を決定し、第1トラッキングデータおよびズームレンズ群G2の位置に基づいて、第1トラッキングデータに対する第1目標位置の位置関係を決定し、第1目標位置の位置関係と第2トラッキングデータとズームレンズ群G2の位置とに基づいて、第2フォーカスレンズ群の移動の目標位置である第2目標位置を決定し、第1フォーカスレンズ群G4が第1目標位置に移動されるように第1フォーカスモータ264を制御し、第2フォーカスレンズ群G5が第2目標位置に移動されるように第2フォーカスモータ265を制御する。
【0116】
このような構成により、本実施形態のレンズ制御部は、合焦状態でズームレンズ群G2が駆動された場合に、第1および第2トラッキングデータに基づいて第1および第2フォーカスレンズ群G4、G5を駆動することにより、ズームトラッキングが可能であると共に、1つのフォーカスレンズ群の場合に比べてより広範囲の被写体距離において良好な光学特性が得られる。
【0117】
<4.他の実施形態>
本発明は前述の実施形態に限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、好ましいものとして例示されたものである。前述の実施形態は、本発明、その適用物あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0118】
また、前述の実施形態において、第1および第2フォーカス目標位置の決定後、フォーカスレンズ群G4、G5がそれぞれ第1および第2フォーカス目標位置に移動されるとした。しかし本発明はこれに限定されない。第1フォーカス目標位置が決定されて第1フォーカスレンズ群G4が第1フォーカス目標位置に移動された後、第2フォーカス目標位置が決定されて第2フォーカスレンズ群G5が第2フォーカス目標位置に移動されてもよい。
【0119】
また、前述の実施形態において、各レンズ(固定レンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ)はレンズ群で構成された。しかし本発明はこれに限定されない。各レンズは単体のレンズで構成されてもよい。
【0120】
また、前述の実施形態において、レンズマイコン240がズームトラッキング動作を制御するものとした。しかし本発明はこれに限定されない。ボディマイコン110がズームトラッキング動作を制御してもよい。
【0121】
また、前述の実施形態において、ズーム動作は電動ズームでもよいし、マニュアルズームでもよい。ただし、マニュアルズームの場合は、各フォーカスレンズ群の初期位置は、電源がON状態にされたときのズーム位置に対するトラッキングカーブ(INF)上の位置に決定される。
【0122】
また、前述の実施形態において、各レンズモータ263、264、265はステッピングモータでなくてもよい。複数のフォーカスレンズ群をそれぞれ独立に駆動可能であり、駆動した位置を把握できる構成であればよい。
【0123】
また、前述の実施形態のリセット動作において、各フォーカスレンズ群G4、G5の絶対位置を把握するために、フォトインターラプタが各フォーカスレンズ群G4、G5それぞれに設けられた。しかし本発明はこれに限定されない。フォトインターラプタを共用して、フォトインターラプタが1つの構成であってもよい。
【0124】
また、前述の実施形態において、使用者のズーム操作は、交換レンズ200側の操作部材によって受け付けられてもよいし、カメラボディ100側の操作部材によって受け付けられてもよい。ズーム操作がカメラボディ100側の操作部材によって受け付けられた場合、その操作内容は、カメラボディ100から交換レンズ200へ送信される。
【0125】
また、前述の実施形態のデジタルカメラ1000は、2つのフォーカスレンズ群を備えた。しかし本発明はこれに限定されない。デジタルカメラ1000が3つ以上のフォーカスレンズ群を備えてもよい。その場合、ある1つのフォーカスレンズ群を主フォーカスレンズ群(前述の実施形態における第1フォーカスレンズ群G4)とし、他のフォーカスレンズ群は、それぞれのトラッキングデータと、主フォーカスレンズ群の駆動位置とに基づいて駆動されるものとする。
【0126】
また、前述の実施形態のデジタルカメラ1000は、カメラボディ100およびカメラボディ100に着脱可能な交換レンズ200によって構成された。しかし本発明はこれに限定されない。レンズが内蔵されたカメラにも本発明は適用できる。複数のフォーカスレンズ群を備える撮像装置に、本発明は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、複数のフォーカスレンズ群を備える撮像装置(カムコーダ、カメラ付き携帯電話など)などのレンズ制御装置を有する電子機器にとって、有用である。
【符号の説明】
【0128】
1000:デジタルカメラ
100:カメラボディ
104:ボディマウント
105:ボディ側通信部
110:ボディマイコン
112:撮像センサ駆動制御部
120:表示部
121:画像表示制御部
124:動画撮影操作ボタン
130:静止画撮影操作ボタン(レリーズ釦)
135:撮像センサ
139:メニュー操作ボタン
140:画像処理エンジン
190:メモリカード
200:交換レンズ
G1、G3、G6:固定レンズ
G2:ズームレンズ群
G4:第1フォーカスレンズ群
G5:第2フォーカスレンズ群
210:ROM
240:レンズマイコン
241:レンズ駆動制御部
250:ズーム操作部
263:ズームモータ
264:第1フォーカスモータ
265:第2フォーカスモータ
291:レンズ側通信部
295:レンズマウント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のフォーカスレンズとズームレンズとを含む光学系の駆動を制御するレンズ制御装置であって、
前記第1のフォーカスレンズを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のフォーカスレンズを駆動する第2の駆動部と、
前記第1および前記第2の駆動部を制御する制御部と、
前記第1のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第1のトラッキングデータおよび前記第2のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第2のトラッキングデータを格納している記憶部と
を備え、
前記制御部は、
前記第1および前記第2のフォーカスレンズを駆動するとき、
前記第1のフォーカスレンズの移動の目標位置である第1の目標位置を決定し、
前記第1のトラッキングデータおよび前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第1のトラッキングデータに対する前記第1の目標位置の位置関係を決定し、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のフォーカスレンズの移動の目標位置である第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
レンズ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のトラッキングデータに対する前記第2の目標位置の位置関係が、前記第1の目標位置の位置関係と同じになるように、前記第2の目標位置を決定する
請求項1記載のレンズ制御装置。
【請求項3】
前記第1のトラッキングデータは、異なる被写体距離に対して設けられた複数の第1のトラッキングカーブを含み、
前記第2のトラッキングデータは、前記第1のトラッキングカーブに関する被写体距離のそれぞれと同一の被写体距離に対して設けられた複数の第2のトラッキングカーブを含む、
請求項2記載のレンズ制御装置。
【請求項4】
オートフォーカス動作の命令を受け付ける受け付け部をさらに備え、
前記制御部は、前記受け付け部がオートフォーカス動作の命令を受け付けたとき、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれかの上に存在する場合、前記制御部は、前記第1の目標位置が存在する前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された第2のトラッキングカーブと前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、前記制御部は、前記第1の目標位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率である位置比率を算出し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項3記載のレンズ制御装置。
【請求項5】
ズーム動作の命令を受け付けるズーム命令受け付け部をさらに備え、
前記ズームレンズ、前記第1のフォーカスレンズおよび前記第2のフォーカスレンズがそれぞれ現在の位置に存在することにより合焦状態であるとき、
前記制御部は、
前記ズーム命令受け付け部がズーム動作の命令を受け付けたとき、その命令に従ってズームレンズの移動の目標位置を示すズーム目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブの上に存在する場合、
前記制御部は、
前記第1のトラッキングカーブと前記ズーム目標位置とに基づいて、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された第2のトラッキングカーブとズーム目標位置とに基づいて前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、
前記制御部は、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1のフォーカスレンズの現在位置によって内分される比率である位置比率を算出し、
前記ズームレンズが前記ズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第1の目標位置を決定し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、
前記ズームレンズがズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項3記載のレンズ制御装置。
【請求項6】
第1および第2のフォーカスレンズとズームレンズとを含む光学系と、
前記光学系の駆動を制御するレンズ制御部と
を備え、
前記レンズ制御部は、
前記第1のフォーカスレンズを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のフォーカスレンズを駆動する第2の駆動部と、
前記第1および前記第2の駆動部を制御する制御部と、
前記第1のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第1のトラッキングデータおよび前記第2のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第2のトラッキングデータを格納している記憶部と
を含み、
前記制御部は、
前記第1および前記第2のフォーカスレンズを駆動するとき、
前記第1のフォーカスレンズの移動の目標位置である第1の目標位置を決定し、 前記第1のトラッキングデータおよび前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第1のトラッキングデータに対する前記第1の目標位置の位置関係を決定し、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のフォーカスレンズの移動の目標位置である第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
交換レンズ。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のトラッキングデータに対する前記第2の目標位置の位置関係が、前記第1の目標位置の位置関係と同じになるように、前記第2の目標位置を決定する
請求項6記載の交換レンズ。
【請求項8】
前記第1のトラッキングデータは、異なる被写体距離に対して設けられた複数の第1のトラッキングカーブを含み、
前記第2のトラッキングデータは、前記第1のトラッキングカーブに関する被写体距離のそれぞれと同一の被写体距離に対して設けられた複数の第2のトラッキングカーブを含む、
請求項7記載の交換レンズ。
【請求項9】
前記レンズ制御部はオートフォーカス動作の命令を受け付ける受け付け部をさらに備え、
前記制御部は、前記受け付け部がオートフォーカス動作の命令を受け付けたとき、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれかの上に存在する場合、前記制御部は、前記第1の目標位置が存在する前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された第2のトラッキングカーブと前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、前記制御部は、前記第1の目標位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率である位置比率を算出し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項8記載の交換レンズ。
【請求項10】
前記レンズ制御部はズーム動作の命令を受け付けるズーム命令受け付け部をさらに備え、
前記ズームレンズ、前記第1のフォーカスレンズおよび前記第2のフォーカスレンズがそれぞれ現在の位置に存在することにより合焦状態であるとき、
前記制御部は、
前記ズーム命令受け付け部がズーム動作の命令を受け付けたとき、その命令に従ってズームレンズの移動の目標位置を示すズーム目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブの上に存在する場合、
前記制御部は、
前記第1のトラッキングカーブと前記ズーム目標位置とに基づいて、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された第2のトラッキングカーブとズーム目標位置とに基づいて前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、
前記制御部は、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1のフォーカスレンズの現在位置によって内分される比率である位置比率を算出し、
前記ズームレンズが前記ズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第1の目標位置を決定し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、
前記ズームレンズがズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項8記載の交換レンズ。
【請求項11】
前記第1のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第1のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含み、
前記第2のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第2のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含む、
請求項1記載のレンズ制御装置。
【請求項12】
前記第1のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第1のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含み、
前記第2のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第2のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含む、
請求項6記載の交換レンズ。
【請求項1】
第1および第2のフォーカスレンズとズームレンズとを含む光学系の駆動を制御するレンズ制御装置であって、
前記第1のフォーカスレンズを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のフォーカスレンズを駆動する第2の駆動部と、
前記第1および前記第2の駆動部を制御する制御部と、
前記第1のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第1のトラッキングデータおよび前記第2のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第2のトラッキングデータを格納している記憶部と
を備え、
前記制御部は、
前記第1および前記第2のフォーカスレンズを駆動するとき、
前記第1のフォーカスレンズの移動の目標位置である第1の目標位置を決定し、
前記第1のトラッキングデータおよび前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第1のトラッキングデータに対する前記第1の目標位置の位置関係を決定し、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のフォーカスレンズの移動の目標位置である第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
レンズ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のトラッキングデータに対する前記第2の目標位置の位置関係が、前記第1の目標位置の位置関係と同じになるように、前記第2の目標位置を決定する
請求項1記載のレンズ制御装置。
【請求項3】
前記第1のトラッキングデータは、異なる被写体距離に対して設けられた複数の第1のトラッキングカーブを含み、
前記第2のトラッキングデータは、前記第1のトラッキングカーブに関する被写体距離のそれぞれと同一の被写体距離に対して設けられた複数の第2のトラッキングカーブを含む、
請求項2記載のレンズ制御装置。
【請求項4】
オートフォーカス動作の命令を受け付ける受け付け部をさらに備え、
前記制御部は、前記受け付け部がオートフォーカス動作の命令を受け付けたとき、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれかの上に存在する場合、前記制御部は、前記第1の目標位置が存在する前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された第2のトラッキングカーブと前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、前記制御部は、前記第1の目標位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率である位置比率を算出し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項3記載のレンズ制御装置。
【請求項5】
ズーム動作の命令を受け付けるズーム命令受け付け部をさらに備え、
前記ズームレンズ、前記第1のフォーカスレンズおよび前記第2のフォーカスレンズがそれぞれ現在の位置に存在することにより合焦状態であるとき、
前記制御部は、
前記ズーム命令受け付け部がズーム動作の命令を受け付けたとき、その命令に従ってズームレンズの移動の目標位置を示すズーム目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブの上に存在する場合、
前記制御部は、
前記第1のトラッキングカーブと前記ズーム目標位置とに基づいて、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された第2のトラッキングカーブとズーム目標位置とに基づいて前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、
前記制御部は、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1のフォーカスレンズの現在位置によって内分される比率である位置比率を算出し、
前記ズームレンズが前記ズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第1の目標位置を決定し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、
前記ズームレンズがズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項3記載のレンズ制御装置。
【請求項6】
第1および第2のフォーカスレンズとズームレンズとを含む光学系と、
前記光学系の駆動を制御するレンズ制御部と
を備え、
前記レンズ制御部は、
前記第1のフォーカスレンズを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のフォーカスレンズを駆動する第2の駆動部と、
前記第1および前記第2の駆動部を制御する制御部と、
前記第1のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第1のトラッキングデータおよび前記第2のフォーカスレンズの位置を前記ズームレンズの位置に関連付ける情報である第2のトラッキングデータを格納している記憶部と
を含み、
前記制御部は、
前記第1および前記第2のフォーカスレンズを駆動するとき、
前記第1のフォーカスレンズの移動の目標位置である第1の目標位置を決定し、 前記第1のトラッキングデータおよび前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第1のトラッキングデータに対する前記第1の目標位置の位置関係を決定し、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のフォーカスレンズの移動の目標位置である第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
交換レンズ。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の目標位置の位置関係と前記第2のトラッキングデータと前記ズームレンズの位置とに基づいて、前記第2のトラッキングデータに対する前記第2の目標位置の位置関係が、前記第1の目標位置の位置関係と同じになるように、前記第2の目標位置を決定する
請求項6記載の交換レンズ。
【請求項8】
前記第1のトラッキングデータは、異なる被写体距離に対して設けられた複数の第1のトラッキングカーブを含み、
前記第2のトラッキングデータは、前記第1のトラッキングカーブに関する被写体距離のそれぞれと同一の被写体距離に対して設けられた複数の第2のトラッキングカーブを含む、
請求項7記載の交換レンズ。
【請求項9】
前記レンズ制御部はオートフォーカス動作の命令を受け付ける受け付け部をさらに備え、
前記制御部は、前記受け付け部がオートフォーカス動作の命令を受け付けたとき、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれかの上に存在する場合、前記制御部は、前記第1の目標位置が存在する前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された第2のトラッキングカーブと前記ズームレンズの位置に基づいて、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1の目標位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、前記制御部は、前記第1の目標位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率である位置比率を算出し、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項8記載の交換レンズ。
【請求項10】
前記レンズ制御部はズーム動作の命令を受け付けるズーム命令受け付け部をさらに備え、
前記ズームレンズ、前記第1のフォーカスレンズおよび前記第2のフォーカスレンズがそれぞれ現在の位置に存在することにより合焦状態であるとき、
前記制御部は、
前記ズーム命令受け付け部がズーム動作の命令を受け付けたとき、その命令に従ってズームレンズの移動の目標位置を示すズーム目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブの上に存在する場合、
前記制御部は、
前記第1のトラッキングカーブと前記ズーム目標位置とに基づいて、前記第1の目標位置を決定し、
前記第1のトラッキングカーブに対応する前記第2のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された第2のトラッキングカーブとズーム目標位置とに基づいて前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置が前記第1のトラッキングカーブのいずれの上にも存在しない場合、
前記制御部は、
前記第1のフォーカスレンズの現在位置を挟むように存在する2つの前記第1のトラッキングカーブを選択し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1のフォーカスレンズの現在位置によって内分される比率である位置比率を算出し、
前記ズームレンズが前記ズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第1のトラッキングカーブの間が前記第1の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第1の目標位置を決定し、
前記選択された2つの第1のトラッキングカーブに対応する2つの第2のトラッキングカーブを選択し、
前記ズームレンズがズーム目標位置にあるときに、前記選択された2つの第2のトラッキングカーブの間が前記第2の目標位置によって内分される比率が、前記位置比率と同じになるように、前記第2の目標位置を決定し、
前記第1のフォーカスレンズが前記第1の目標位置に移動されるように前記第1の駆動部を制御し、前記第2のフォーカスレンズが前記第2の目標位置に移動されるように前記第2の駆動部を制御する
請求項8記載の交換レンズ。
【請求項11】
前記第1のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第1のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含み、
前記第2のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第2のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含む、
請求項1記載のレンズ制御装置。
【請求項12】
前記第1のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第1のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含み、
前記第2のトラッキングデータは、合焦状態を維持するための、前記ズームレンズの複数の位置のそれぞれに対応する前記第2のフォーカスレンズの複数の位置を示す情報を含む、
請求項6記載の交換レンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−33247(P2013−33247A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−150621(P2012−150621)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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