説明

レンズ検査用マスクプレート及びレンズ検査方法

【課題】レンズの製造効率及び欠陥の検査効率を向上するレンズヤトイを提供する。
【解決手段】ヤトイ11は、台座12、蓋13、マスクプレート15とからなる。台座12には、表裏を貫通して設けられた第1開口16が所定の配列で複数設けられており、第1開口16にレンズ14が載置される。蓋13には、レンズ14よりも小さい第2開口22が第1開口16と同じ配列で複数設けられており、第1開口16に第2開口22が各々対応するように台座12に被せられ、台座12とともにレンズ14を挟持する。マスクプレート15は、暗色で、第2開口22よりも小さく、第1開口16及び第2開口22と同じ配列で複数の第3開口26が設けられており、レンズ14の欠陥検査を行うときに、第1開口16及び第2開口22に第3開口26が各々対応するように、蓋13上に被せられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズの製造工程や検査工程で複数のレンズが載置されるレンズヤトイとともに用いられる検査用のマスクプレートに関するものであり、さらに詳しくは、レンズの製造工程と検査工程とにまたがって使用されるレンズヤトイとともに用いられる検査用のマスクプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の普及により、以前にも増してレンズの需要が高まっている。このため、短時間のうちに大量にレンズを製造することが求められており、レンズの製造工場では連続的に多数のレンズを製造し続けている。
【0003】
このような連続的なレンズの製造工程内では、硝材やレンズは、ヤトイと称される治具に載置され、複数個をひとまとまりとして管理される。ヤトイには、載置される硝材やレンズの形状に応じた穴や窪みが、所定の個数,間隔で配列して設けられており、載置されたレンズ等の個々の識別も可能となっている。また、ヤトイは載置されるレンズ等の形状に対応している必要があり、また、続く製造工程で必要となる配列が異なる等の理由から、各種製造工程や各種検査工程で異なるヤトイが用いられる。
【0004】
ところで、連続的に多数のレンズを製造すると、なかには、キズや欠け、レンズ内部への気泡混入、レンズの表面に成膜される反射防止膜等の各種光学薄膜のムラや穴,キズといった様々な欠陥を抱えたレンズが製造されてしまうことがある。こうした欠陥は、欠陥の生じた位置や欠陥の程度によってはレンズの性能に甚大な影響を及ぼししてしまうために、レンズの欠陥検査は入念に行われる。
【0005】
レンズの欠陥検査としては、前述のヤトイからレンズをひとつひとつ取り上げ、検査員が目視で欠陥の有無を確認する欠陥検査が知られており、近年では、自動的に正確な欠陥検査を行う検査装置も提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−329714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、レンズはヤトイに載置されて複数をまとめて管理されるが、各種製造工程や各種検査工程毎に異なるヤトイを使用すると、ヤトイからヤトイへの移載が必要となり、製造タクト短縮の妨げとなっている。
【0007】
また、上述のように、安定して性能の良いレンズを提供するためには、入念な欠陥検査を欠かすことはできないが、入念に欠陥検査をするほど、欠陥検査に要する時間は必然的に長くなり、製造タクト短縮のボトルネックとなっている。このため、正確に、かつ、効率良く、製造したレンズの欠陥検査を行うことが求められている。
【0008】
目視によりレンズの欠陥検査を行う場合に、ヤトイからひとつひとつレンズを取り上げて検査していたのでは、非常に時間が掛かる上、検査中にレンズを落としてしまうなどの危険性もある。
【0009】
また、レンズ自体は、光学的に利用される径(いわゆる有効径)よりも大きく製造されている。このため、個々のレンズを取り上げて、透過光により欠陥の有無を検査する場合には、有効径よりも外側のレンズの周縁部分からの余分な光をも同時に観察することになり、欠陥の輪郭等がぼやけてしまう等の理由から、欠陥を見落としやすいという問題もある。
【0010】
さらに、有効径付近の欠陥は、スケールが刻印されたルーペなどにより、位置を確認する必要があるため、欠陥検査に非常に時間が掛かるという問題がある。
【0011】
欠陥検査を自動的に行う検査装置は、検査するレンズの位置や姿勢など敏感で、検査品質を向上することが難しい。また、検査装置で目視検査並みの正確な欠陥検査を行おうとすると、相応の時間を要するばかりか、導入にあたり多大な開発コストを要する。
【0012】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、レンズの製造効率及び欠陥の検査効率を向上するレンズヤトイを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のレンズ検査用マスクプレートは、レンズの製造工程で複数個のレンズをその光学面の両面を露出させた状態で配列保持するレンズヤトイに重ねて用いられ、前記レンズヤトイで保持された複数個のレンズの一方の光学面を露呈させる開口が配列され、少なくとも前記開口の周辺が暗色であることを特徴とする。
【0014】
また、表面の全体が暗色であることを特徴とする。
【0015】
また、前記開口は、前記レンズヤトイで保持されたレンズの露出範囲を狭める開口径であることを特徴とする。
【0016】
また、前記レンズヤトイは、レンズを両面側から保持する台座と蓋で構成され、レンズ表面へのコーティング処理に用いられるコートヤトイであることを特徴とする。
【0017】
また、前記開口が前記レンズヤトイに保持された各々の前記レンズに対応するように、前記レンズヤトイに対して位置決めして配置されることを特徴とする。
【0018】
また、前記レンズヤトイの外形が台形であることを特徴とする。
【0019】
本発明のレンズ検査方法は、レンズの製造工程でレンズに欠陥があるか否かを検査するレンズ検査方法であり、前記製造工程で複数個のレンズをその光学面の両面を露出させた状態で配列保持するレンズヤトイに、前記複数個のレンズの一方の光学面を露呈させる開口が配列され、少なくとも前記開口の周辺が暗色であるレンズ検査用マスクプレートを重ね合わせ、前記レンズ検査用マスクプレート側から各レンズの光学面を観察することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レンズの製造効率及び欠陥の検査効率を向上するレンズヤトイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1に示すように、ヤトイ11は台座12と蓋13とから構成され、複数のレンズ14をその光学面の両面を露出させた状態で配列保持する。ヤトイ11は、いわゆるコートヤトイであり、保持するレンズ14に反射防止膜等の各種光学薄膜(以下、コーティング膜という)を成膜するときに、コーティング装置内に設けられた傘状のコートドームにレンズ14を配列保持した状態で複数載置される。また、検査用のマスクプレート15は、コーティング膜が成膜されたレンズ14の検査を行うときに、コーティング膜が成膜されたレンズ14を配列保持した状態のヤトイ11に、蓋13側にさらに重ねて配置され、ヤトイ11で保持されたレンズ14の露出範囲を検査に必要な範囲に狭める。
【0022】
台座12は、真鍮等の安価な金属製の板からなり、台形状に設けられている。台座12(及びヤトイ11)が台形状に設けられていることにより、ヤトイ11ごと前述のコートドームの側面に載置されるときに、効率良く配列できるようになっている。また、台座12には、第1開口16と位置決めピン17,18が設けられている。
【0023】
第1開口16は、台座12の表裏を貫通するように設けられており、レンズ14が載置される。また、第1開口16は、台座12内に所定の間隔で配列して複数設けられている。第1開口16は、台座12裏側の開口径よりも台座12表側の開口径の方が大きいように、開口径が2段階となっている。第1開口16の台座12表側の開口径は、載置するレンズ14の全体の大きさよりも若干大きいが、レンズ14の全体の大きさと略等しく定められている。
【0024】
また、第1開口16の台座12裏側の開口径は、フランジ部分を含めたレンズ14の外径よりも小さく、レンズ14が組み込まれた製品内で実際に光学的に有効に作用する径(いわゆる有効径)よりも大きい。これにより、台座12表側から第1開口16にレンズ14を入れると、第1開口16内の段差に引っかかり、台座12裏面側に落下せずに、少なくとも有効径の内側が台座12の表面及び裏面側に露呈されるように第1開口16内にレンズ14が載置される。さらに、第1開口16の2段階の開口のうち、開口径の小さい台座12裏面側の開口は、レンズ14にコーティング膜を成膜するときに、コーティング膜材料の飛来進路が妨げられないように、レンズ14から遠い方の表面に近づくにつれて径が大きくなるように円錐状の開口となっている。また、第1開口16の裏面側が円錐形状の開口となっていることにより、ヤトイ11にレンズ14を保持したまま、レンズ14を検査するときに、第1開口16側から入射させる照明光は第1開口16の端に妨げられることなく、レンズ14に入射する。
【0025】
位置決めピン17,18は、台座12の上底側と下底側のエッジ付近に、台座12表側から突出するように、各々設けられており、蓋13やマスクプレート15に設けられた位置決め穴23,24,27,28に各々挿通されることで台座12に対する蓋13やマスクプレート15の配置を定める。
【0026】
蓋13は、真鍮等の安価な金属製の板からなり、台座12と同じ大きさの台形状に設けられており、レンズ14を載置した台座12に被せるように配置されると、レンズ14の上面を押さえ、台座12とともにレンズ14を挟持する。また、蓋13には、第2開口22と位置決め穴23,24とが設けられている。
【0027】
第2開口22は、蓋13の表裏を貫通するように設けられており、蓋13が台座12に被せられたときに第1開口16の中心位置と第2開口22の中心位置が一致するように、第1開口16と等しい個数及び配列間隔で複数設けられている。
【0028】
第2開口22の開口径は、フランジ部分を含めたレンズ14の外径よりも小さく、有効径よりも大きい。これにより、レンズ14は第2開口22を通り抜けることはできず、レンズ14が載置された台座12に蓋13が被せられたときには、少なくともレンズ14上面の有効径内が第2開口22から露呈される。さらに、第2開口22は、レンズ14の上面側にコーティング膜を成膜するときに、コーティング膜材料の飛来進路が妨げられないように、レンズ14から遠い方の表面に近づくにつれて径が大きくなるように円錐状の開口となっている。
【0029】
位置決め穴23,24は、位置決めピン17,18に各々対応する位置に設けられており、蓋13を台座12に被せるときに、位置決めピン17,18が挿通される。これにより、第2開口22の中心位置と第1開口16の中心位置が正確に一致する。
【0030】
マスクプレート15は、アルミニウム製の板で、表面には黒色の陽極酸化皮膜(いわゆる黒色のアルマイト(登録商標))が形成されている。このマスクプレート15は、台座12及び蓋13と同じ大きさの台形状に設けられており、レンズ14の欠陥検査を行うときに、台座12とともにレンズ14を挟持した蓋13の上に被せるようにして配置される。また、マスクプレート15には、第3開口26と位置決め穴27,28が設けられている。
【0031】
第3開口26は、マスクプレート15の表裏を貫通するように設けられており、蓋13上に被せられたときに、第1開口16及び第2開口22の中心位置と第3開口26の中心位置とが一致するように、第1開口16及び第2開口22と等しい個数,配列間隔で複数設けられている。
【0032】
第3開口26の開口径は、有効径と等しい大きさに定められている。このため、マスクプレート15を蓋13上に配置して、マスクプレート15側からレンズ14を観察すると、有効径外のレンズ14の表面はマスクプレート15に覆い隠され、第3開口26からは有効径内のレンズ14の上面が露呈される。
【0033】
位置決め穴27,28は、蓋13の位置決め穴23,24と同様に、位置決めピン17,18に各々対応する位置に設けられており、マスクプレート15を蓋13上に被せるときに、位置決め穴23,24通って蓋13上に突出した位置決めピン17,18が挿通される。これにより、第3開口26の中心位置が、第1開口16及び第2開口22の中心位置に一致する。
【0034】
上述のように構成されるヤトイ11は、図2(A)に示すように、成形されたレンズ14を台座12と蓋13とで光学面の両面を露出させた状態で挟持する。このとき、レンズ14の上面は第2開口22から、レンズ14の下面は第1開口16から露呈される。また、レンズ14が、第1開口16及び第2開口22から露呈される範囲は、後にコーティング膜が成膜されるコーティング範囲D1となっている。
【0035】
こうした光学薄膜のコーティング工程は、図2(B)に示すように、マスクプレート15を除く、ヤトイ11がコートヤトイとして用いられる。このコーティング工程では、まず、レンズ14がヤトイ11に挟持された状態で、蒸着などにより、上面(又は下面)のコーティング範囲D1に一様なコーティング膜31が成膜される。次いで、一方の面にコーティング膜31を成膜されたレンズ14を挟持したままの状態で、蒸着源側に向ける面を入れ替えるように、ヤトイ11が裏返され、他方の面にも同様に一様なコーティング膜31が成膜される。
【0036】
このようにレンズ14の両面にコーティング膜31が成膜されると、台座12及び蓋13の表面にはレンズ14の表面と同様に成膜されている。このため、台座12及び蓋13は、続く検査工程を経た後に、表面に成膜されたコーティング膜31を除去され、次のレンズ14のコーティング工程に利用される。
【0037】
コーティング膜31を両面に成膜されたレンズ14は、ヤトイ11挟持されたまま搬送され、図2(C)に示すように、蓋13上にマスクプレート15を被せられて、コーティング膜31の欠陥検査が行われる。この検査工程では、台座12側からレンズ14に光を入射させ、レンズ14を通り、第3開口26から出射される光を観察して、成膜されたコーティング膜31にキズやムラ等の欠陥の有無を目視検査される。このとき検査員33は、マスクプレート15側からレンズ14を覗き込んで観察するが、検査員33が観察する範囲D2は有効径に略等しく、コーティング範囲D1よりも小さい。
【0038】
このため、有効径内の検査対象エリア36のコーティング膜31の欠陥の有無だけを検査され、コーティング膜31が成膜されているものの、欠陥があったとしてもレンズ14の性能に影響を及ぼさない対象外エリア37の欠陥の有無を検査されない。また、観察する範囲D2が有効径に略等しいので、有効径内に欠陥がある場合に、レンズ14の有効径外を通って出射する光はマスクプレート15によって遮られるから、有効径内の欠陥の輪郭がぼやけてしまうことなく観察することができるから、有効径内の欠陥を見落とし難くなる。
【0039】
さらに、観察する範囲D2は有効径に略等しいから、コーティング膜31の欠陥が発見された場合には、発見された欠陥は有効径内にあるものであり、有効径内か有効径外かを判断するためにスケールの表示されるルーペ等で、発見された欠陥の位置を確認する必要はなく、効率良く欠陥検査を行うことができる。
【0040】
また、こうしたレンズ14の欠陥検査は、図3に示すように、レンズ14を挟持したヤトイ11ごと、ヤトイ11のサイズに合わせて照明面41が設けられた照明装置42に載置し、ヤトイ11の裏面側からヤトイ11内のレンズ14を一様に照明して行われる。このため、ヤトイ11からレンズ14を個々に取り出さずに、多数のレンズ14の欠陥検査を同時に素早く行うことができる。
【0041】
さらに、ヤトイ11の最上段に配置されるマスクプレート15が黒色の皮膜で覆われているので、複数のレンズ14を同時に観察して、欠陥検査を行うときに、照明装置42以外からの光がマスクプレート15の表面に反射して各レンズ14の検査の妨げになることは無く、検査品質や検査効率が向上する。また、これにともない、ヤトイ11を用いることでレンズ14の製造効率が向上する。
【0042】
なお、上述の実施形態で、レンズ14へのコーティング膜31の成膜は、図4に示すコーティング装置51によって行われる。コーティング装置51は、真空槽52と、ヤトイ11が複数載置されるコートドーム53、コーティング膜の材料が入れられた材料ホルダ56、材料ホルダ56に電子線を照射してコーティング膜の材料を溶融させる電子銃57等からなる。真空槽52は、コートドーム53を出し入れできるように開閉自在となっているとともに、レンズ14にコーティング膜を成膜するときには、真空ポンプ(図示しない)によって内部を真空引きされる。
【0043】
また、コートドーム53は、材料ホルダ56が配置された下方に向けて開いた傘状となっているとともに、真空槽52に着脱自在に設けられている。このコートドーム53の側面には、ヤトイ載置穴59が複数設けられている。ヤトイ載置穴59は、ヤトイ11をその周縁部分でコートドーム53の外面側に保持する開口となっているため、ヤトイ載置穴59に載置されたヤトイ11はコートドーム53の内側に露呈される。したがって、電子ビームで加熱されて溶融したコーティング膜31の材料がコートドーム53の内面に向けて飛散すると、ヤトイ11に配列保持されたレンズ14のコートドーム53内面に露呈された表面にコーティング膜31が成膜される。
【0044】
このように、傘状のコートドーム53にヤトイ11を複数載置してコーティング膜31の成膜を行うときには、コートドーム53の側面に効率良くヤトイ11を載置することができるから、上述の実施形態のようにヤトイ11をコートドーム53の形状に合わせた台形状としておくことが好ましい。
【0045】
なお、上述の実施形態でヤトイ11はコートヤトイであり、コーティング工程と欠陥の検査工程に共通に用いられるが、これに限らず、レンズの成形工程と、レンズ内の気泡の有無やキズ、欠けなどの欠陥検査工程とに共通して上述のヤトイ11を好適に用いることができる。また、同様に、ヤトイ11は、レンズ14の洗浄工程に用いられる洗浄ヤトイであっても良い。さらに、台座12、または台座12及び蓋13をレンズ14の製造工程で一貫して用いるようにし、各種検査工程でマスクプレート15を被せて検査を行うようにすれば、上述の実施形態で説明したコーティング工程とコーティング膜31の検査工程以外の工程にも、ヤトイ11を好適に用いることができる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、マスクプレート15の全面が黒色となっているが、これに限らず、少なくとも検査工程で検査員33が観察する第3開口26の周辺部分が、レンズ14を透過してきた光を観察するために妨げとならない暗色となっていれば良い。また、上述の実施形態のように、マスクプレート15の両面が黒色(暗色)となっていることにも限られず、少なくとも検査工程で検査員33がレンズ14を観察する側の表面が、検査の妨げにならない暗色となっていれば良い。
【0047】
なお、上述の実施形態では、アルミニウム製で黒色の陽極酸化皮膜を設けたマスクプレート15の例を説明したが、これに限らず、予め黒色の物質でマスクプレート15を構成しても良い。また、マスクプレート15は、黒色の陽極酸化皮膜を設けたアルミニウム製であることに限らず、黒色の塗料で塗装したり、黒色のめっきを施したものであっても良い。
【0048】
さらに、上述の実施形態では、マスクプレート15の色を最も好適な黒色の例を説明したが、これに限らず、ヤトイ11を単位として複数のレンズ14の欠陥検査を同時に行うときに、レンズ14の観察の妨げとならない色であれば良く、暗色であることが好ましい。また、マスクプレート15の表面には、反射防止処理等を施しておくことが好ましい。
【0049】
なお、上述の実施形態では、蓋13とマスクプレート15とを別個に設ける例を説明したが、これに限らず、蓋13を黒色の物質で構成したり、黒色の塗装や皮膜を施すことで、蓋13をマスクプレート15として兼用しても良い。この場合、蓋13の材料や、蓋13に設ける塗装や皮膜の材料は、コーティング膜31の除去時に剥がれ落ちたり劣化したりし難い材料とすることが好ましい。
【0050】
なお、上述の実施形態では、ヤトイ11の形状を台形とする例を説明するが、これに限らず、ヤトイ11の形状は所望の形状として良い。
【0051】
また、上述の実施形態では、レンズ14を目視検査する例を説明するが、これに限らず、欠陥検査を自動的に行う検査装置においても、ヤトイ11を好適に用いることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、ヤトイ11に合わせてつくられた照明装置42を用いてレンズ14の検査を行うが、これに限らず、特別な照明装置42を用いずに、ヤトイ11を把持してレンズ14を透かし、欠陥検査を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ヤトイの構成を示す分解斜視図である。
【図2】ヤトイの作用を示す断面図である。
【図3】ヤトイに挟持されたレンズの欠陥検査を概略的に示す説明図である。
【図4】コーティング装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0054】
11 ヤトイ
12 台座
13 蓋
14 レンズ
15 マスクプレート
16 第1開口
17,18 位置決めピン
22 第2開口
23,24,27,28 位置決め穴
26 第3開口
31 コーティング膜
33 検査員
36 検査対称エリア
37 対象外エリア
41 照明面
42 照明装置
51 コーティング装置
52 真空槽
53 コートドーム
56 材料ホルダ
57 電子銃
59 ヤトイ載置穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの製造工程で複数個のレンズをその光学面の両面を露出させた状態で配列保持するレンズヤトイに重ねて用いられ、前記レンズヤトイで保持された複数個のレンズの一方の光学面を露呈させる開口が配列され、少なくとも前記開口の周辺が暗色であることを特徴とするレンズ検査用マスクプレート。
【請求項2】
表面の全体が暗色であることを特徴とする請求項1記載のレンズ検査用マスクプレート。
【請求項3】
前記開口は、前記レンズヤトイで保持されたレンズの露出範囲を狭める開口径であることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ検査用マスクプレート。
【請求項4】
前記レンズヤトイは、レンズを両面側から保持する台座と蓋で構成され、レンズ表面へのコーティング処理に用いられるコートヤトイであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のレンズ検査用マスクプレート。
【請求項5】
前記開口が前記レンズヤトイに保持された各々の前記レンズに対応するように、前記レンズヤトイに対して位置決めして配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のレンズ検査用マスクプレート。
【請求項6】
前記レンズヤトイの外形が台形であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のレンズ検査用マスクプレート。
【請求項7】
レンズの製造工程でレンズに欠陥があるか否かを検査するレンズ検査方法において、
前記製造工程で複数個のレンズをその光学面の両面を露出させた状態で配列保持するレンズヤトイに、前記複数個のレンズの一方の光学面を露呈させる開口が配列され、少なくとも前記開口の周辺が暗色であるレンズ検査用マスクプレートを重ね合わせ、前記レンズ検査用マスクプレート側から各レンズの光学面を観察することを特徴とするレンズ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−243975(P2009−243975A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88796(P2008−88796)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】