説明

レンズ鏡筒及び撮像装置

【課題】アクチュエータの推力を維持しつつ小型化が可能なレンズ鏡筒及び撮像装置を提供する。
【解決手段】光軸方向Hに移動するフォーカスレンズ4を保持する4群保持枠4と、4群保持枠を光軸方向に移動するVCMアクチュエータと、を備えたレンズ鏡筒。VCMアクチュエータは、光軸方向に平行に延びる部分を有するヨーク61と、光軸方向に垂直に配置された第2のヨーク62と、を有し、第2のヨーク62は第1のヨーク61よりも厚さが小さく幅が大きく第1のヨーク61の厚さと幅からなる断面積と第2のヨーク62の厚さと幅からなる断面積は等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動用アクチュエータを、光軸方向から見て2つの補正用アクチュエータのどちらか一方と光軸に関して対称な対象な位置に設けるレンズ鏡筒及び撮像装置を提案している。従来のボイスコイルモータ(VCM)のアクチュエータの全長は、特許文献1の上ヨークの厚み、下ヨークの厚み、コイルの高さ、移動レンズ群の移動量から決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−295249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上ヨークの厚み、下ヨークの厚み、コイルの高さのいずれかを短縮するとコイルへの通電量が同量であれば磁気回路に発生する推力が低下するため、アクチュエータ全長の短縮化が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、アクチュエータの推力を維持しつつ小型化が可能なレンズ鏡筒及び撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのレンズ鏡筒は、光軸方向に移動するレンズを保持する保持枠と、前記保持枠を前記光軸方向に移動するボイスコイルモータアクチュエータと、を備えたレンズ鏡筒であって、前記ボイスコイルモータアクチュエータは、前記光軸方向に平行に延びる部分を有する第1のヨークと、前記光軸方向に垂直に配置された第2のヨークと、を有し、前記第2のヨークは前記第1のヨークよりも厚さが小さく幅が大きく、前記第1のヨークの厚さと幅からなる断面積と前記第2のヨークの厚さと幅からなる断面積は等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、アクチュエータの推力を維持しつつ小型化が可能なレンズ鏡筒及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図2】図1に示すレンズ鏡筒の磁気回路の斜視図である。
【図3】実施例2の磁気回路の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、不図示のカメラ(撮像装置)に設けられた実施例1のレンズ鏡筒の分解斜視図であり、ボイスコイルモータアクチュエータ(VCMアクチュエータ)を搭載したフォーカス駆動装置を示している。レンズ鏡筒は、光軸方向Hに移動するフォーカスレンズL4を保持した4群保持枠4と、4群保持枠4を光軸方向Hに駆動するVCMアクチュエータと、を有する。
【0011】
4群保持枠4は、スリーブ部4aと振れ止め部4bを有する。スリーブ部4aと振れ止め部4bはそれぞれ、4群鏡筒6と撮像素子地板9に支持されているガイドバー65、66に係合している。撮像素子地板9は、不図示の撮像素子と赤外カット、ローパスフィルタなどの光学素子を固定保持し、また、不図示のビスにより、4群鏡筒6を固定保持している。
【0012】
VCMアクチュエータは、ヨーク(第1のヨーク)61と、光軸方向Hに垂直に配置されたヨーク(第2のヨーク)62と、光軸方向Hに延在された磁石63と、磁石63と離れて配置された略四角柱形状の空芯コイル41と、を有する。コイル41に通電すると磁気回路の作用により、4群保持枠4が光軸方向に駆動する。
【0013】
コイル41は、4群保持枠4に固定され、コイル41の中心軸は光軸方向Hに平行に延び、コイル41にはフレキシブル基板42が接続されている。
【0014】
図2は、ヨーク61、62、磁石63で構成される磁気回路60の斜視図であり、磁気回路60は4群鏡筒6に固定されている。
【0015】
ヨーク61は断面U字形状を有して光軸方向Hに平行に延びる部分を有し、U字内部に磁石63を保持している。ヨーク61にはコイル41が挿通され、コイル41と、ヨーク61、磁石63とは離れて配置されている。磁石63は光軸方向Hに直交する方向に磁化されて光軸方向Hに平行に延びている。ヨーク61のU字形状の開放端にはH字形状のヨーク62が保持されている。ヨーク62は、ヨーク61の厚さHよりも小さい厚さHを有し、光軸方向Hに垂直な幅方向Lにおいてヨーク61の幅Lよりも大きい幅Lを有する。なお、幅Lはヨーク61の最大幅ではなくヨーク62と接触する部分の幅である。
【0016】
4群保持枠4には、光軸方向に沿うエンコーダー磁石43が保持されている。エンコーダー磁石43に対向する位置には、4群鏡筒6に固定されたMRセンサ67が配置されている。4群保持枠4に保持されたエンコーダー磁石43が4群鏡筒6に固定されたMRセンサ67に相対して移動することにより作用する、磁気の変化に対応したMRセンサ67の出力から4群保持枠4の位置を検出する。4群保持枠4は、エンコーダー磁石43とMRセンサ67により位置検出されて、コイル41(移動用アクチュエーター)に通電する電流を制御して駆動される。
【0017】
ヨーク62の、ヨーク61からL方向に突出している突出部分には、ヨーク61からの磁束が流れ込む。ヨーク61からヨーク62に流れ込む磁束はヨーク61の厚さHと幅Lからなる断面を通過してヨーク62の厚さHと幅Lからなる断面を通過する。磁気飽和に対し余裕がない場合、ヨーク61の断面積に対しヨーク62の断面積が不足していると、その分磁束を損失してしまうため、2つのヨークの断面積を等しくする。これにより、推力を維持することができる。従来は、ヨーク62の厚さと幅はヨーク61と同様であったが、本実施例では、ヨーク62の光軸方向Hにおける厚さが小さくされているため、光軸方向HにおけるVCMアクチュエータ全長を短縮することができる。
【実施例2】
【0018】
実施例2のレンズ鏡筒は実施例1のそれと同様であり、VCMアクチュエータの構成のみが異なる。図3は、図2に対応する磁気回路の斜視図である。実施例2では、ヨーク61の代わりにヨーク64を使用する。ヨーク64は、光軸方向Hに垂直に配置されたヨーク(第2のヨーク)64aと、光軸方向Hに平行に延びる部分である一対のヨーク(第1のヨーク)64bと、を有する。ヨーク64aは、ヨーク64bの厚さHよりも小さい厚さHを有し、光軸方向Hに垂直な幅方向Lにおいてヨーク61の幅Lよりも大きい幅Lを有する。
【0019】
実施例1と同様に、ヨーク64aの、ヨーク64bから幅方向Lで突出している突出部分にも、ヨーク64bからの磁束が流れ込む。また、ヨーク64bから漏洩した磁束がヨーク64aの突出部分に流れ込むこともある。
【0020】
ヨーク64bからヨーク64aに流れ込む磁束はヨーク64bの厚さHと幅Lからなる断面を通過してヨーク64aの厚さHと幅Lからなる断面を通過する。磁気飽和に対し余裕がない場合、ヨーク64bの断面積に対しヨーク64aの断面積が不足していると、その分磁束を損失してしまうため、2つのヨークの断面積を等しくする。これにより、ほとんど推力を減衰することなく、光軸方向HにおけるVCMアクチュエータ全長を短縮することができる。
【0021】
実施例2ではヨーク64aとヨーク64bがMIM(金属粉末射出成形)等により一体であるが、それぞれ別体で接着等により接合されてもよい。また、フォーカスレンズの位置を検出するセンサとして、光学センサなど、他の位置検出センサを使用してもよい。
【0022】
なお、実施例1及び2は、VCMを使用した駆動装置としてフォーカスレンズの移動機構について説明したが、これに限定するものではなく、他の移動レンズ郡の移動機構に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
撮像装置は、被写体の撮像に適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
L4 フォーカスレンズ
4 4群保持枠
61、64b 第1のヨーク
62、64a 第2のヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に移動するレンズを保持する保持枠と、前記保持枠を前記光軸方向に移動するボイスコイルモータアクチュエータと、を備えたレンズ鏡筒であって、
前記ボイスコイルモータアクチュエータは、前記光軸方向に平行に延びる部分を有する第1のヨークと、前記光軸方向に垂直に配置された第2のヨークと、を有し、
前記第2のヨークは前記第1のヨークよりも厚さが小さく幅が大きく、前記第1のヨークの厚さと幅からなる断面積と前記第2のヨークの厚さと幅からなる断面積は等しいことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒を有することを特徴とする撮像装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−75674(P2011−75674A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225033(P2009−225033)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】