説明

レンチウイルスベクターの精巣への感染による遺伝子組換え鳥類作製法

【課題】これまでG0トランスジェニック鳥類において目的タンパク質の高生産法は開示されてきたが、実用化にはすべての細胞に均一に導入遺伝子を有するG1トランスジェニック鳥類およびその子孫において導入遺伝子の高生産が必要とされている。
【解決手段】幼雛期の鳥類の雄性生殖器へ外来遺伝子を導入することによって、該雄性生殖器内において雄性生殖細胞及び/又は支持細胞のゲノムに外来遺伝子を挿入することからなるトランスジェニック鳥類作製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウイルスベクターを鳥類生殖器にインジェクションすることで、鳥類生殖細胞にin vivoで遺伝子導入を行う方法に関する。また、該手法により得られる目的遺伝子導入精子を用いて、自然交配あるいは人工交配により得られる、すべての細胞中に導入遺伝子を有するトランスジェニック鳥類及びその子孫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、組換えタンパク質生産技術が開発され多くの高機能性タンパク質製剤が次々と上市され、医薬品、食品業界で注目されている。ところが、生理活性の高いタンパク質医薬品は糖鎖修飾に代表される高度な翻訳後修飾が必要とされるため、一般的に動物培養細胞を用いた生産コストの高い発現システムおよび生産方法が用いられている。
【0003】
従来動物培養細胞でしか生産できないタンパク質をより安価に大量に生産する方法として期待されているのがトランスジェニック動物の利用である。ウシ、ヤギ、ヒツジといった大型哺乳類動物をトランスジェニック動物にする手法開発が先行したが、大型の哺乳動物を大量に飼育するには広大なスペースを要し、また性成熟の期間も長いという問題点があり、いくつかのターゲットで実用化に至ってはいるものの、未だリスクが非常に高い。
【0004】
これに対し、ニワトリやウズラに代表される家禽類は、飼育スペースが小さく、性成熟期間が短いなどの利点がある。そのため、有用タンパク質生産へのトランスジェニック鳥類の利用は大いに期待が持たれる。
トランスジェニック鳥類作製技術に関しては、特許文献1および特許文献2に開示されている。特許文献1では、外来遺伝子が導入された細胞と、導入されていない細胞をモザイク状に有する個体(本明細書ではG0とする)の作製法を開示している。特許文献2では、ニワトリ胚への外来遺伝子の導入による効率的な子孫トランスジェニック鳥類作製法を開示している。また、Kamihiraらが報告したトランスジェニック鳥類作製技術からは、G1(本明細書ではG0を用いた交配によって得られる後代ですべての細胞に導入遺伝子を均一に有する個体をG1とする。)作製効率はわずかに数パーセントであった(非特許文献1)。特許文献3では、脊椎動物において雄性生殖器内へ外因性遺伝物質を導入することによるトランスジェニック動物の作製方法を開示しているが、背骨側深くに存在する鳥類の雄性生殖器に遺伝子導入する手法を開示も示唆もしない。
【特許文献1】国際公開第2004/016081号パンフレット
【特許文献2】特開2002−176880号公報
【特許文献3】特表2002−543814号公報
【非特許文献1】Journal of virology,sept.2005,p.10864−10874
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでG0トランスジェニック鳥類において目的タンパク質の高生産法は開示されてきたが、実用化にはすべての細胞に導入遺伝子を均一に有するG1トランスジェニック鳥類およびその子孫において目的タンパク質の高生産が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これまでG0トランスジェニック鳥類における目的タンパク質の高生産法は確立している。しかし、生産された目的タンパク質を医薬品タンパク質とする実用化に向けては、その品質が均一であることが必須であるため、すべての細胞に導入遺伝子を均一に有するG1トランスジェニック鳥類およびその子孫において目的タンパク質の高生産が必要とされている。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、幼雛期に雄鳥類の雄性生殖器である精巣内へウイルスベクターを導入することによって得られたG0トランスジェニック鳥類から、高効率にG1トランスジェニック鳥類を得ることができることを見出した。
【0007】
よって、本発明が提供するのは、以下のとおりである。
(1)幼雛期の鳥類の雄性生殖器へ外来遺伝子を導入することによって、該雄性生殖器内において雄性生殖細胞及び/又は支持細胞のゲノムに外来遺伝子を挿入することからなるトランスジェニック鳥類作製法。
(2)外来遺伝子の導入に、外来遺伝子をコードするポリヌクレオチドまたはウイルスベクターを用いる(1)に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(3)外来遺伝子の導入に、複製能欠損型レトロウイルスベクターを用いる(2)に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(4)複製能欠損型レトロウイルスベクターが、モロニーマウス白血病ウイルス及び/又はモロニーマウス肉腫ウイルス由来の配列を含む(2)又は(3)に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(5)複製能欠損型レトロウイルスベクターが複製能欠損型レンチウイルスベクターである(3)に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(6)複製能欠損型レンチウイルスベクターがヒト免疫不全ウイルス由来ウイルスベクター由来の配列を含む(5)に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(7)複製能欠損型レトロウイルスベクターがVSV−Gエンベロープを含む(3)〜(6)いずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(8)外来遺伝子の導入に、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法又はマイクロインジェクション法を用いる(1)〜(7)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(9)雄性生殖細胞が、精原幹細胞、B型精原幹細胞、精母細胞又は精細胞である(1)〜(8)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(10)支持細胞が、セルトリ細胞又はライディッヒ細胞である(1)〜(8)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(11)外来遺伝子が、有用タンパク質をコードするDNA配列である(1)〜(10)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(12)有用タンパク質が、抗体、サイトカイン又は成長因子である(11)に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(13)鳥類がニワトリまたはウズラである(1)〜(12)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
(14)(1)〜(13)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で得られたG0トランスジェニック鳥類。
(15)(1)〜(13)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で得られた外来遺伝子が導入された精子を持つG0トランスジェニック鳥類との自然交配または人工交配により誕生したG1トランスジェニック鳥類およびその子孫。
(16)鳥類がニワトリまたはウズラである(15)に記載のG1トランスジェニック鳥類およびその子孫。
(17)(1)〜(13)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で外来遺伝子を導入した雄性生殖細胞。
(18)(17)に記載の雄性生殖細胞より分化した精子。
(19)(1)〜(13)のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で外来遺伝子を導入した支持細胞。
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明によるトランスジェニック鳥類作製法について説明する。
本発明のトランスジェニック鳥類作製法は、幼雛期に雄鳥類の雄性生殖器へ外来遺伝子を導入することによって、該雄性生殖器内において雄性生殖細胞及び/又は支持細胞のゲノムに外来遺伝子を挿入することを特徴とする。
本発明で用いられる鳥類は特に限定されることはなく、例えばニワトリ、ウズラ、カモ、七面鳥等が挙げられる。中でもニワトリやウズラは入手が容易であり、産卵種として多産であり、長年の飼育経験から安全性が認められている点で特に好ましい。
【0009】
幼雛期とは、孵化後1日〜30日までのことを示し、開腹して雄性生殖器である精巣内へ遺伝子導入できれば特に限定されないが、孵化後1〜3日が、雄性生殖細胞及び/又は支持細胞への遺伝子導入効率が良い観点、及び、体内の精巣へ遺伝子導入器具のアクセスが容易であることから好ましい。
【0010】
本発明では、外来遺伝子の導入に、外来遺伝子をコードするポリヌクレオチドまたは外来遺伝子をコードするウイルスベクターを用いることが好ましい。上記ウイルスベクターとしては、例えばレトロウイルスが挙げられる。
レトロウイルスとしては特に限定されないが、モロニーマウス白血病ウイルス、モロニーマウス肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、マウス肝細胞ウイルス(MSCV)、マウス胚性肝細胞ウイルス(MESV)等の他、レンチウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)等が挙げられる。
安全性の観点からポリヌクレオチド、複製能欠損型レトロウイルスが好ましく、標的細胞である雄性生殖細胞及び/又は支持細胞のゲノムへの導入効率の観点から、複製能欠損型レトロウイルスがより好ましく、複製能欠損型レンチウイルスが特に好ましい。また、複製能欠損型レンチウイルス以外の複製能欠損型レトロウイルスとしては、モロニーマウス白血病ウイルス及び/又はモロニーマウス肉腫ウイルス由来の配列を含むものが好ましい。
本発明においては、鳥類細胞にこのウイルスベクターを効率的に感染させるため、外皮タンパクを人為的にウシ水疱性口内炎ウイルス由来のVSV−Gエンベロープタンパク質とすることが好ましいが、このウイルスタイプに限定されるものではない。
【0011】
上記外来遺伝子としては特に限定されないが、GFP、EGFP、dsRed、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ等をコードする既知のマーカー遺伝子;ヒト成長ホルモン(hGH)等の成長因子やヒトエリスロポエチン(hEPO)、サイトカイン、抗体等の有用タンパク質をコードするDNA配列等が挙げられる。
上記マーカー遺伝子としては、GFP、EGFP、ルシフェラーゼ又はβ−ガラクトシダーゼをコードするDNA配列が好ましい。
上記有用タンパク質としては、抗体、サイトカイン又は成長因子が好ましい。
【0012】
上記ウイルスベクターにコードされる遺伝子は、上記外来遺伝子のほかにプロモーター、エンハンサー、調節因子等、特に限定されないが、鳥類細胞で外来遺伝子が発現するために、適切にデザインされたものを用いることが好ましい。
プロモーターとは遺伝子の転写開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節する、DNA又はRNA上の領域のことである。プロモーターとしては鳥類で有効に機能するプロモーターであれば限定されないが、一般的によく用いられている、EF1αプロモーター、チミジンキナーゼプロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、ミューリン・フォフフォグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターや、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウスザルコーマウイルス(RSV)プロモーター等のウイルスプロモーター、テトラサイクリン誘導型プロモーターのような誘導型プロモーターを用いることができる。また、組織特異的なプロモーターを用いると、鳥類の特定の組織・細胞で特に強い導入タンパク質の発現が望める。その例として、オボアルブミンプロモーターが挙げられ、ユビキタス発現プロモーターとしてニワトリβアクチンプロモーターがあげられる。
【0013】
エンハンサーとは、プロモーターからの転写を促進する配列であるが、単独では転写を起こせないDNA又はRNA上の領域を指す。本来機能しているものとは異なるプロモーターに連結した場合にも機能することが多いので、プロモーターとの組み合わせについては限定しない。エンハンサーとしては、特に限定されないが、SV40、CMV、チミジンキナーゼエンハンサー、ステロイド応答エレメントやリゾチームエンハンサー等が挙げられる。
調節因子は転写調節や、転写後のRNAの安定化に寄与する、単独では転写を起こせないDNAまたはRNA上の領域のことである。調節因子としては特に限定されないが、ウッドチャック肝炎ウイルス由来調節エレメント(woodchuck post−transcriptional regulatory element:WPRE、米国特許6136597号明細書)等が挙げられる。
上記外来遺伝子、プロモーター、エンハンサー、調節因子等はベクターコンストラクト上でプロウイルスの5´末端および3´末端の間に挿入される。
上記ウイルスベクターは、5’末端、3’末端に長い反復配列(long terminal repeat,LTR)の少なくとも一部を含む。LTRは転写プロモーター遺伝子やpolyA付加シグナルを持つことから、プロモーター遺伝子やターミネーター遺伝子として利用し得る。ウイルスベクターにおいて、目的タンパク質のコード配列、プロモーター遺伝子、転写エンハンサー及び/又は調節エレメントは、5’LTRと3’LTRの間に含まれる。LTR以外のプロモーターを用いる差異は、プロモーターの下流に目的タンパク質のコード配列を接続した構造を有することが好ましい。ウイルスベクターが転写され、ウイルス粒子が作製されるためには、5’LTRから3’LTRの間にターミネーターやpolyAシグナルを含まないことが好ましい。
【0014】
次に、本発明で好適に用いられる複製能欠損型レトロウイルスベクターの調製法について、好ましい一態様を説明する。
本発明で用いられる複製能欠損型レトロウイルスベクターは、複製に必要とされるgag、polおよびenv遺伝子を欠失している。gag、pol遺伝子を保有するパッケージング細胞に目的とする有用タンパク質を発現可能な複製能欠損型レトロウイルスプラスミドとVSV−G発現プラスミドを共導入し、培養上清をウイルス液とする。あるいは、望ましくは、上記ウイルス液を感染させたパッケージング細胞にVSV−G発現プラスミドを導入し、培養上清をウイルス液とする。ウイルス液は、必要に応じて濃縮することが好ましい。
複製能欠損型レトロウイルスベクターの調製は、このような方法に限定されるものではない。
【0015】
上記ウイルス液において、ウイルスベクターの力価(タイター)は、1×10〜1×1010cfu/mlが好ましく、1×10〜1×1010cfu/mlがより好ましい。
上記ウイルス液の力価は、レンチウイルス以外のレトロウイルスベクターの場合、NIH3T3細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション CRL−1658)を使用し、レンチウイルスベクターの場合は、Hela細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション CCL−2)を使用して、これら細胞にウイルス液を添加したとき、感染した細胞の数によって定義する。具体的には、24ウェル培養プレートの各ウェル(底面積約1.9cm)に存在する5×10のNIH3T3細胞またはHela細胞に、10から10倍の希釈率で希釈したウイルス溶液を1ml加え、例えばマーカー遺伝子である蛍光タンパク質を発現している細胞の割合を調べることによりウイルス液の力価を測定する。
【0016】
外来遺伝子を導入する標的細胞としては、精巣内にある細胞であれば特に限定されず、精原幹細胞、B型精原幹細胞、精母細胞、精細胞等の雄性生殖細胞や、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞等の支持細胞等が挙げられ、これら細胞のゲノムに後述の手法によりインビボで外来遺伝子を導入する。
【0017】
遺伝子導入方法としてはリン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法等の既知のあらゆる方法が可能であるが、マイクロインジェクション法が簡便で好ましい。
また遺伝子導入器具としては、特に限定されないが、ガラス製、プラスチック製素材が強度、再現性が良く、好ましい。遺伝子導入器具の形状としては限定されないが、先端の細いまたは鋭利である針または管状の形状が好ましく、精巣にアクセスするため必要に応じ先端を曲げたものも用いることが出来る。
【0018】
上述のトランスジェニック鳥類作製法で得られた鳥類は、一部の雄性生殖細胞及び/又は支持細胞に外来遺伝子を有するG0トランスジェニック鳥類であり、外来遺伝子を有する雄性生殖細胞が分化して、外来遺伝子を有する精子となる。そして、外来遺伝子が導入された精子を持つG0トランスジェニック鳥類との自然交配または人工交配により誕生したG1トランスジェニック鳥類とその子孫は、全ての体細胞に外来遺伝子を有することとなる。
【0019】
以下に、幼雛期に雄鳥類の雄性生殖器へ遺伝子を導入し、外来遺伝子が導入された精子を持つG0トランスジェニック鳥類を得た後、全身のすべての細胞に外来遺伝子を有する鳥類個体を作製する好ましい形態での手法を開示するが、記載の手法に限定されることはない。
幼雛期の雄性生殖器に遺伝子導入を行った雄鳥類個体を、公知の獣医学的または畜産学的方法によって性成熟させる。ここに言う性成熟とは、雄個体が精子を産生することを示す。性成熟した該雄個体を、雌鳥類個体と交配させ、得られうる子孫より外来遺伝子を有する個体を選抜する。
【0020】
交配方法としては、自然交配または人工交配を用いることが出来る。ここでいう人工交配としては、雄個体精子を雌卵子と受精させ得るあらゆる公知の手法を用いることができ、例として、精子を採取して雌生殖器へ導入する方法、卵子への体外受精等が挙げられるがこれに限定されない。
交配する雌個体としては特に限定しないが、同種の鳥類の他に、異種鳥類も可能である。野生型鳥類や外来遺伝子を導入したトランスジェニック鳥類を交配に用いることも可能であるが特に限定しない。
【0021】
交配によって得られる個体について、導入した外来遺伝子を有する個体の選別方法は公知のあらゆる手法を用いることができる。例えば、鳥類体細胞ゲノムDNAを用いたPCRにより目的遺伝子の導入確認が挙げられるが、これに限定しない。また、導入遺伝子が発現しているか否かの選別には公知のあらゆる手段を用いることができ、enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)やWestern blotting等の免疫学的方法が挙げられるが、これに限定しない。
本発明によると、交配によって得られる全身に目的とする外来遺伝子を有する鳥類を得、該個体およびその子孫から得られる血液、体細胞及び/又は卵より、目的とする有用タンパク質を既知の抽出、精製法により回収し、医薬品原料としての供給が可能である。
抽出、精製に用いる方法としては特に限定されず、例えば、分別沈殿、遠心法、二相分離、限外濾過、膜分離、クロマトグラフィー、免疫化学的方法、結晶化することのいずれか及び/又はその組み合わせを含む方法などが挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、極めて高い確率で導入した外来遺伝子を後代へ伝播できるトランスジェニック鳥類作製が可能となり、すべての細胞に均一に外来遺伝子を有するG1トランスジェニック鳥類およびその子孫において有用タンパク質の高生産が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下、断りがない限りPCR反応にはKOD−Plus−DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)、ライゲーションにはLigaFast Rapid DNA Ligation System(商品名、プロメガ社製)、PCR反応液および電気泳動により得たDNA断片精製にはMagExtractor−PCR&Gel Clean up−(東洋紡社製)を使用した。操作は特に記載のない限り説明書の指示に従った。
(実施例1)複製能欠損型レトロウイルスベクターコンストラクトの構築
複製能欠損型レトロウイルスベクターコンストラクトpMSCV/NΔAβを、JOURNAL OF VIROLOGY,Sept.2005,p.10864−10874に記載の方法に従って、構築した。構築方法を以下に示す。
複製能欠損型レトロウイルスベクタープラスミドpMSCVneo(クローンテック社製)から一連のミューリン・ホスホグリセレート・キナーゼ(PGK)プロモーターおよびNeo遺伝子を含む断片を制限酵素BaglIIおよびBamHIによって除去した。また、pLNHX(クローンテック社製)由来Neo遺伝子、pmiwZ由来ニワトリβアクチンプロモーターおよびpCMVβ由来β−ガラクトシダーゼ遺伝子(β−gal)をpMSCVのBaglII−BamHIサイトに挿入しpMSCV/NΔAβとした。本ベクターコンストラクトの概略図を図1に示す。
【0024】
(実施例2)複製能欠損型レンチウイルスベクターの作製
複製能欠損型レンチウイルスベクターコンストラクトpLenti/cDfΔAβWベクターを構築した。構築方法を以下に示す。
pWHV8(ATCC 45097)ベクターより、WPRE配列を合成オリゴヌクレオチド5’−ACCGGTACCAATCAACCTCTGGATTACAAA−3’(配列番号1、下線部はKpnI制限酵素サイト)、5’−ATAGGTACCCAGGCGGGGAGGC−3’(配列番号2、下線部はKpnI制限酵素サイト)をプライマーとして用いてPCR(94℃15秒、63℃30秒、68℃40秒;35サイクル)で増幅した。これを制限酵素NotIおよびKpnIで処理し、pET−Blue2(ノバジェン社製)のNotI−KpnIサイトに挿入し、このプラスミドをpET−Blue2Wとした。
pLNΔAβ(WO2004/016081)の制限酵素NotIでβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)遺伝子を切り出した。
pcDNA4(インビトロジェン社製)のNotI−KpnIサイトに、pET−Blue2Wを制限酵素NotI、KpnIで処理した断片およびβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)遺伝子を挿入し、pcDNA4/β−galWとした。
次いで、pLenti/ΔAsPEを作製した。
pMSCV/GΔAscFv−Fc(J.Biosci.Bioeng.95:231−238)を制限酵素NheIで処理し、scFv−Fc遺伝子をpBluescript KS(−)(東洋紡社製)の制限酵素XbaIサイトに挿入し、pBluescript/scFv−Fcとした。
pBluescript/scFv−Fcから制限酵素XhaI、NotIでscFv−Fc遺伝子を切り出し、pMSCV/GΔAscFv−Fcから制限酵素NheI、NotIでニワトリβアクチンプロモーター遺伝子を切り出し、pBluescript KS(−)の制限酵素NotIサイトに挿入し、pBluescript/ΔAsとした。
pLenti/TOPO−GFP(インビトロジェン社製)を制限酵素XbaI、SpeIでGFP遺伝子を切り取り、pBluescript KS(−)の制限酵素XbaI−SpeIサイトへ挿入し、pBluescript/GFPとした。
pMSCVpuro(クローンテック社製)から制限酵素XhoI、PstIでミューリン・ポスポグリセレート・キナーゼ(PGK)プロモーター遺伝子を切り取り、pBluescript/GFPの制限酵素XhoI−PstIサイトに挿入し、pBluescript/PGとした。
pBluescript/PGから制限酵素XhoIでPGKプロモーター遺伝子およびGFP遺伝子を切り出し、pBluescript KS(−)の制限酵素XhoIサイトに挿入しpBluescript/GPとした。
pBluescript/GPから制限酵素ClaIおよびKpnIでPGKプロモーター遺伝子およびGFP遺伝子を切り出し、pLenti/TOPO−GFPの制限酵素ClaI−KpnIサイトに挿入し、pLenti/GPとした。
pLenti/GPを制限酵素XhoIで処理し、再び2断片をライゲーションしてpLenti/PGとした。
pBluescript/ΔAsから制限酵素ClaIでニワトリβアクチンプロモーター遺伝子およびscFv−Fc遺伝子を切り出し、pLenti/PGの制限酵素ClaIサイトに挿入し、pLenti/ΔAsPGとした。
EGFPはpIRESEGFP(クローンテック社製)を鋳型として、合成遺伝子5’−ATTGGATCCACACGATGATAATATGGCCAC−3’(配列番号3、下線部はBamHI制限酵素部位)、5’−GGTACCAGGCCGCTTTACTTGTACAG−3’(配列番号4、下線部はKpnI制限酵素部位)をプライマーとして、PCR(94℃/15秒、52℃/30秒、68℃/48秒;35サイクル)により増幅し、制限酵素BamHI、KpnIで処理し、pLenti/PGの制限酵素BamHI−KpnIサイトに挿入し、pLenti/PEとした。これを制限酵素HpaI、BlnIで処理しPGKプロモーターおよびEGFP断片を切りだし、pLenti/ΔAsPGの制限酵素HpaI−BlnIサイトに挿入し、pLenti/ΔAsPEとした。
次にpLenti/cDf−ΔAsPEを作製した。
The ViraPower Lentiviral Expression System(インビトロ社製)のpLPベクター(インビトロ社製)よりCentral DNA flap(ウイルスゲノムを宿主核に移行するのを促進する配列、本明細書ではcDfとする。)領域をプライマー5’−ACGTCTAGAAGACAGCAGTACAAATGGCAGTATT−3’(配列番号5、下線部はXbaI制限酵素サイト)および5’−AAGTCTAGACCAAACTGGATCTCTGCTGTCC−3’(配列番号6、下線部はXbaI制限酵素サイト)を用いてPCR(94℃15秒、59℃30秒、68℃30秒;35サイクル)で増幅した。これを制限酵素XbaIで処理し、pLenti/ΔAsPEの制限酵素XbaIサイトに挿入し、pLenti/cDf−ΔAsPEとした。
ここで、pcDNA4/β−galWを制限酵素XhoI−KpnIで処理し、β−galおよびWPRE遺伝子を切り出した。また、pLenti/cDf−ΔAsPEを制限酵素XhoI−KpnIで処理し、β−galおよびWPRE遺伝子を挿入し、pLenti/cDfΔΔAβWとした。また、pLenti/cDf−ΔAsPEを制限酵素EcoRI、SalIで処理し、cDfおよびアクチンプロモーター遺伝子を切り取り、pLenti/cDfΔΔAβWの制限酵素EcoRI−XhoIサイトに挿入し、pLenti/cDfΔAβWとした。本ベクターコンストラクトの概略図は図1に示す。
【0025】
(実施例3)pMSCV/NΔAβとpVSV−Gを用いた複製能欠損型レトロウイルスベクターの調製
以後、特に記述のない限り、培地は10%の牛胎児血清(Fetal Bovine Serum,FBS)と50units/mlのペニシリン、ストレプトマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium,DMEM;ギブコ社製)を用いた。培養は37℃、CO5%で行った。
実施例1で構築したベクターコンストラクトpMSCV/NΔAβより複製能欠損型レトロウイルスベクターを調製するため、パッケージング細胞GP293(クロンテック社製)を100mmのコラーゲンコートされた培養ディッシュ(底面積60cm)に5×10細胞/ディッシュ(70%コンフルエント)になるように播種した(翌日90%コンフルエントになるようにする)。次の日、培地を取り除き、7mlの培地を加えた。56μlのLipofectamine.2000(インビトロジェン社製)を1.5mlのOpti−MEM I Reduced Medium(商品名、ギブコ社製)に懸濁し、室温で5分置いた(Lipofectamine.2000溶液)。12μgのpMSCV/NΔAβと12μgのpVSV−Gを1.5mlのOpti−MEM I Reduced Mediumに懸濁した(プラスミドDNA溶液)。Lipofectamine.2000溶液とプラスミドDNA溶液を混合し、室温で20分おいた。これを培養ディッシュに全量加え、6時間培養した。6時間後、培地を取り除き、9mlの培地と200μlの1M HEPES Buffer Solution(ギブコ社製)を加え、さらに24時間培養した。
培養上清を0.45μmセルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製)に通し、遠心管に集め、50000×gで90分間遠心分離した。ウイルスの沈殿に約10μ1のTNE緩衝液(50mM Tris‐HCl(pH7.8)、130mM NaCl、1mM EDTA)を添加して、一晩4℃で静置させ、翌日ウイルス粒子を懸濁し、ウイルス溶液とした。
【0026】
(実施例4)pMSCV/NΔAβ安定パッケージング細胞の選択
本発明では、高力価の複製能欠損型レトロウイルスベクターを得るために、一旦安定パッケージング細胞を作製し、それを用いて改めて複製能欠損型レトロウイルスベクターを作製した。
ウイルス感染の前日に24ウェル培養プレート(底面積1.9cm)にGP293細胞を1.5×10細胞/ウェルとなるように播種し培養した。ウイルス感染の当日10μg/mlのポリプロピレンを含有する培地1mlと交換した。これに実施例3で作製したウイルス液を感染させた。以後、細胞を限界希釈法によりクローン化した。具体的には、次の日、細胞を800μg/mlのG418(ギブコ社製)を含む培地に懸濁し、同じ培地に10細胞/mlとなるように希釈した。希釈した細胞を96ウェル培養プレートに100μlずつ播種し(ウェルに1個の細胞が入るようにする)、細胞増殖速度が速く、GP293と形態の近い細胞を選択し、pMSCV/NΔAβ安定パッケージング細胞クローンを得た。
【0027】
(実施例5)pMSCV/NΔAβ安定パッケージング細胞とpVSV−Gを用いた複製能欠損型レトロウイルスベクターの調製
実施例4で得られたpMSCV/NΔAβ安定パッケージング細胞を100mmのコラーゲンコートされた培養ディッシュに5×10細胞/ディッシュ(70%コンフレント)になるように播種した(翌日90%コンフルエントになるようにする)。次の日、培地を取り除き、7mlの培地を加えた。56μlのLipofectamine.2000を1.5mlのOpti−MEM I Reduced Mediumに懸濁し、室温で5分置いた(Lipofectamine.2000溶液)。12μgのpVSV−Gを1.5mlのOpti−MEM I Reduced Mediumに懸濁した(pVSV−G溶液)。Lipofectamine.2000溶液とpVSV−G溶液を混合し、室温で20分おいた。これを培養ディッシュに全量加え、6時間培養した。6時間後、培地を取り除き、9mlの培地と200μlの1M HEPES Buffer Solutionを加え、さらに24時間培養した。
培養上清を0.45μmセルロースアセテートフィルターに通し、遠心管に集め、50000×gで90分間遠心分離し、約10μ1のTNE緩衝液を添加して、一晩4℃で静置させ、翌日ウイルス粒子を懸濁し、複製能欠損型レトロウイルス溶液とした。
【0028】
(実施例6)pLenti/cDfΔAβWを用いた複製能欠損型レンチウイルスベクターの調製
本発明に用いた複製能欠損型レンチウイルスベクターは、インビトロジェン社製レンチウイルスベクターのプロトコールを参考に作製した。以下、特に断りがない限り、該プロトコールに従った。
複製能欠損型レンチウイルスベクターは以下の手法により調製した。
実施例2で構築したベクターコンストラクトpLenti/cDfΔAβWよりレンチウイルスベクターを調製するため、パッケージング細胞293FT細胞(インビトロジェン社製)を100mmのコラーゲンコートされた培養ディッシュに5×10細胞/ディッシュ(70%コンフルエント)になるように播種した(翌日90%コンフルエントになるようにする)。次の日、培地を取り除き、2mM L−glutamine、0.1mM MEM Non−Essential Amino Acids(NEAA;ギブコ社製)を加えた5mlのD−MEMに交換した。56μlのLipofectamine.2000を1.5mlのOpti−MEM I Reduced Mediumに懸濁し、室温で5分置いた(Lipofectamine.2000溶液)。2.24μgのpLP1、3.36μgのpLP2、2.24μgのpLP/VSV−G、4.2μgのpLenti/cDfΔAβWを1.5mlのOpti−MEM I Reduced Mediumに懸濁した(プラスミドDNA溶液)。Lipofectamine.2000溶液とプラスミドDNA溶液を混合し、室温で20分おいた。これを培養ディッシュに全量加え、6時間培養した。6時間後、培地を取り除き、1M HEPES Buffer Solutionを加えた9mlのD−MEM培地を加え、さらに24時間培養した。培養上清を0.45μmセルロースアセテートフィルターに通し、遠心管に集め、50000×gで90分間遠心分離し、約10μ1のTNE緩衝液を添加して、一晩4℃で静置させ、翌日ウイルス粒子を懸濁し、複製能欠損型レンチウイルスベクター溶液とした。
【0029】
(実施例7)複製能欠損型レトロウイルスベクターの力価測定
複製能欠損型レトロウイルス液の力価は、NIH3T3細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション CRL−1658)にレトロウイルス液を添加したとき、感染し発現した細胞の数によって定義した。
24ウェル培養プレートに1.5×10細胞/ウェルで播種した。翌日の細胞数3×10細胞/ウェルに対して、10〜10倍の希釈率で希釈したウイルス溶液を1ml加え、48時間後にPhosphate−Buffered Saline(PBS;137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO・12HO、1.5mM KHPO,pH7.4)で3回洗浄し、0.25%グルタルアルデヒド溶液を加え4℃で10分間置いた。その後、PBSで4回洗浄し、X−gal染色溶液(200mM K[Fe(CN)]、200mM K[Fe(CN)]、2M MgCl、20mg/ml X−gal/N,N−Dimethylformamide)を加え、室温で3〜6時間置いた後、β−ガラクトシダーゼの活性を示す細胞数を求めた。本発明では、ウイルス力価は5.6×10cfu/mlであった。
【0030】
(実施例8)複製能欠損型レンチウイルスベクターの力価測定
複製能欠損型レンチウイルスベクター液の力価は、Hela細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション CCL−2)に複製能欠損型レンチウイルスベクター液を添加したとき、感染し発現した細胞の数によって定義した。
24ウェル培養プレートに2×10細胞/ウェルで播種した。翌日の細胞数4×10細胞/ウェルに対して、10〜10倍の希釈率で希釈したウイルス溶液を1ml加え、実施例7と同様にしてβ−ガラクトシダーゼの活性を示す細胞数を求めた。本発明では、ウイルス力価は1.5×10cfu/mlであった。
【0031】
(実施例9)ニワトリ精巣への遺伝子導入のためのガラスマイクロピペットの作製
ウイルス溶液打ち込み用のガラスマイクロピペットは、ガラス管をマイクロピペット作製機で加工し、外径約20μmになるように作製した。また、精巣へウイルスを注入しやすいように、先を約45度に曲げて使用した。
【0032】
(実施例10)ニワトリ精巣へのウイルスベクターを用いた遺伝子導入
生後2日目のオスの雛(12羽;うち、5羽に実施例5で調整した複製能欠損型レトロウイルスベクター溶液を注入。7羽に実施例6で調製した複製能欠損型レンチウイルス溶液を注入)の大腿部にベントバルビタール麻酔液を筋肉注射し、眠らせた。その後、左側を下に保定し、皮膚、腹腔を切開し、精巣を露出させた(左側の精巣にのみ遺伝子導入を行った)。ピンセットで精巣を固定し、マイクロインジェクター(Transjector 5246;Eppendorf、HamBurg、Germany)を用いて、濃縮したウイルス溶液をそれぞれ約6〜8μl程度注入した。最後に腹腔、皮膚の順番でアロンアルファー(商品名、東亜合成社製)により接着した。
【0033】
(実施例11)ニワトリ精巣ゲノムへの導入遺伝子の組込み検出による検定
ウイルス導入後7日目(生後9日目)の雄の雛から摘出した精巣より、MagExtractor(東洋紡社製)を用いてゲノムを精製した。これを鋳型としたPCR(94℃/15秒、60℃/30秒、68℃/30秒;35サイクル)により遺伝子の導入を確認した。プライマーは5’−GTCACGAGCATCATCCTCTGC−3’(配列番号7)、5’−GGCTTCATCCACCACATACAG−3’(配列番号8)を用いた。結果を図2に示す。図2中のRは右側精巣を示し、Lはインジェクションを行った左側精巣を示す。
図2の結果から、遺伝子導入をおこなった左側の精巣ゲノムに導入遺伝子が挿入されていることが分かる。しかしながら、対照実験として行った、右側の精巣のゲノムではその挿入が確認できない。
【0034】
(実施例12)ニワトリ精巣での導入遺伝子の発現検出による検定
ウイルス導入後7日目(生後9日目)の雄の雛から摘出した精巣をPBSで3回洗浄し、アルデヒド固定液(0.2% glutaraldehyde、2% formaldehyde、PBS)を加え、4℃で60分間固定した。その後、PBSで4回洗浄し、X−gal染色溶液を加え、37℃で3時間おいたところ、生殖腺への定着を確認することができた。結果を図3に示す。図3の結果から複製能欠損型レトロウイルス及び複製能欠損型レンチウイルスでの遺伝子導入で精巣に目的遺伝子が挿入され、発現していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】インジェクションに用いた複製能欠損型レトロウイルスベクターコンストラクトおよび複製能欠損型レンチウイルスベクターコンストラクトの概略図を示す。
【図2】実施例11で行ったウイルスベクター導入後7日目の個体の精巣への導入遺伝子挿入の検定結果を示す。
【図3】実施例12で行ったウイルスベクター導入後7日目の個体の精巣でのβ−ガラクトシダーゼ活性測定結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼雛期の鳥類の雄性生殖器へ外来遺伝子を導入することによって、該雄性生殖器内において雄性生殖細胞及び/又は支持細胞のゲノムに外来遺伝子を挿入することからなるトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項2】
外来遺伝子の導入に、外来遺伝子をコードするポリヌクレオチドまたはウイルスベクターを用いる請求項1に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項3】
外来遺伝子の導入に、複製能欠損型レトロウイルスベクターを用いる請求項2に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項4】
複製能欠損型レトロウイルスベクターが、モロニーマウス白血病ウイルス及び/又はモロニーマウス肉腫ウイルス由来の配列を含む請求項2又は3に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項5】
複製能欠損型レトロウイルスベクターが複製能欠損型レンチウイルスベクターである請求項3に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項6】
複製能欠損型レンチウイルスベクターがヒト免疫不全ウイルス由来の配列を含む請求項5に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項7】
複製能欠損型レトロウイルスベクターがVSV−Gエンベロープを含む請求項3〜6いずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項8】
外来遺伝子の導入に、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法又はマイクロインジェクション法を用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項9】
雄性生殖細胞が、精原幹細胞、B型精原幹細胞、精母細胞又は精細胞である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項10】
支持細胞が、セルトリ細胞又はライディッヒ細胞である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項11】
外来遺伝子が、有用タンパク質をコードするDNA配列である請求項1〜10のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項12】
有用タンパク質が、抗体、サイトカイン又は成長因子である請求項11に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項13】
鳥類がニワトリまたはウズラである請求項1〜12のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で得られたG0トランスジェニック鳥類。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で得られた外来遺伝子が導入された精子を持つG0トランスジェニック鳥類との自然交配または人工交配により誕生したG1トランスジェニック鳥類およびその子孫。
【請求項16】
鳥類がニワトリまたはウズラである請求項15に記載のG1トランスジェニック鳥類およびその子孫。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で外来遺伝子を導入した雄性生殖細胞。
【請求項18】
請求項17に記載の雄性生殖細胞より分化した精子。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のトランスジェニック鳥類作製法で外来遺伝子を導入した支持細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−275004(P2007−275004A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107812(P2006−107812)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】