説明

レンチキュラーレンズシート作製装置

【課題】 耐ホットオフセット性に優れ、かつ、透光性基材に対するレンズ層の接着強度が十分に確保されたレンチキュラーレンズシートを作製することができるレンチキュラーレンズシート作製装置を提供する。
【解決手段】 レンチキュラーレンズシート作製装置100は、透明トナー層形成部10とレンズ形成部5とを備える。透明トナー層形成部10は、感光体ドラム11と、感光体ドラム11に静電潜像を形成する帯電部12および露光部13と、透明トナー像を形成する現像部14と、透明トナー像を透光性基材の一方面に転写する転写部2と、透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を加熱して定着させ、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する定着部4とを含む。レンズ形成部5は、透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を加熱下で加圧して凹凸形状に成型し、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のレンチキュラーレンズシート作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、高画質画像を再現性および操作性良くかつ安価に形成できることから、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの2種以上の機能を有する複合機などとして利用されている。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる記録媒体としては、紙シート、プラスチックシート、OHP用シートなどの、厚み方向両面が平滑面である記録シートの他に、透光性基材の厚み方向一方面に凹凸状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートがある。
【0004】
画像形成装置によりレンチキュラーレンズシートに画像を形成すると、3次元の立体画像、2次元ではあるが見る角度を変えることで複数の画像が切替わる画像を表現することができる。
【0005】
特許文献1には、レンチキュラーレンズシートに画像を形成する方法が開示されている。特許文献1に開示される技術によれば、透光性基材の一方面にレンズ層を形成するための熱可塑性樹脂層、他方面にトナーによる画像形成のための熱可塑性樹脂層が設けられた記録媒体を用いて、トナーによる画像形成を行った後、レンズ層を形成するための熱可塑性樹脂層を加熱下で加圧して凹凸形状に成型してレンズ層を形成する。
【0006】
すなわち、特許文献1に開示される技術では、レンズ層を形成するための熱可塑性樹脂層が形成された、予め準備された記録媒体を用いて、凹凸形状のレンズ層を形成するので、透光性基材上に熱可塑性樹脂層を形成する装置と、その熱可塑性樹脂層を凹凸形状に成型してレンズ層を形成する装置との、複数の装置を用いることになり、レンチキュラーレンズシートを作製する装置構成としては、利便性がよいものとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−26477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような問題を解決するために、1つの装置でレンチキュラーレンズシートを作製することができるレンチキュラーレンズシート作製装置として、図7に示す装置が考えられる。図7は、レンチキュラーレンズシート作製装置600の構成を示す図である。
【0009】
図7に示すレンチキュラーレンズシート作製装置600は、透光性基材の厚み方向一方面に凹凸形状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを、電子写真方式で作製する装置である。レンチキュラーレンズシート作製装置600は、透明トナー像形成部601と、転写部602と、シート供給部603と、レンズ形成部605とを含んで構成される。また、透明トナー像形成部601は、感光体ドラム611と、帯電部612と、露光部613と、現像部614と、現像剤補給部615と、ドラムクリーナ616と、除電部617とを含む。
【0010】
レンチキュラーレンズシート作製装置600では、帯電部612および露光部613により感光体ドラム611に静電潜像を形成し、現像部614により透明トナーを用いて静電潜像を現像して透明トナー像を形成し、現像剤補給部615により透明トナーを現像部614に補給し、ドラムクリーナ616により感光体ドラム611上に残留する透明トナーを除去し、除電部617により感光体ドラム611の除電を行う。
【0011】
そして、シート供給部603により透光性基材を転写部602に供給し、転写部602により、感光体ドラム611に形成された透明トナー像を透光性基材の一方面に転写し、レンズ形成部605により、透明トナー像が転写された透光性基材を加熱加圧して透明トナー像を透光性基材に定着させるとともに、凹凸形状に成型してレンズ層を形成する。
【0012】
図7に示すレンチキュラーレンズシート作製装置600によれば、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを1つの装置で作製することができるが、その作製されたレンチキュラーレンズシートは高品質であるとは言えない。その理由としては、以下の理由による。
【0013】
レンチキュラーレンズシート作製装置600では、レンズ形成部605により、透明トナー像が転写された透光性基材を加熱加圧して透明トナー像を透光性基材に定着させるとともに、凹凸形状に成型してレンズ層を形成する。このレンズ形成部605における加熱条件を、高品質のレンチキュラーレンズシートが作製できるように設定するのが困難である。
【0014】
レンズ層を形成するために、レンズ形成に用いるためのレンズ形成部605のローラ等の部材表面は、レンズ形状に応じた形状に加工されている。レンズ形成部605のニップ内で透明トナー像を溶融させて、ローラ部材表面の形状に合うように透明トナー像をレンズ形状に成型するためには、ローラ部材は、その表面にゴム層が付与されていない、いわゆるハードローラ構造である必要がある。そのために、ニップの幅を広く取ることが困難となる。
【0015】
透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を定着させるためには、透明トナー像を高温で加熱する必要がある。レンズ形成部605において、ハードローラ構造の狭いニップ幅のローラ部材で透明トナー像を完全に溶融させて、定着させるためには、ローラ部材の表面温度を非常に高温にする必要がある。このように高温で加熱された透明トナー像は粘度が低下し、そのため、耐ホットオフセット性が低下し、これによってレンズ層の表面平滑性が低下してしまう。
【0016】
ホットオフセットの発生を抑制するためには、透明トナー像を加熱するときの加熱温度を低下させればよいが、この場合には、透光性基材に対するレンズ層の接着強度が低下し、たとえば、指で軽く触っただけでレンズ層が剥離してしまう。
【0017】
すなわち、レンチキュラーレンズシート作製装置600では、レンズ形成部605により、透明トナー像が転写された透光性基材を加熱加圧して透明トナー像を透光性基材に定着させるとともに、凹凸形状に成型してレンズ層を形成するので、レンズ層形成時の温度設定の自由度が低く、レンズ形成部605における加熱条件を、高品質のレンチキュラーレンズシートが作製できるように設定するのが困難である。
【0018】
したがって本発明の目的は、耐ホットオフセット性に優れ、かつ、透光性基材に対するレンズ層の接着強度が十分に確保されたレンチキュラーレンズシートを1つの装置で作製することができるレンチキュラーレンズシート作製装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを作製するレンチキュラーレンズシート作製装置において、
透光性基材の一方面に、結着樹脂を含む透明トナーにより構成される透明トナー層を形成する透明トナー層形成部であって、
像担持体と、
前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、
前記像担持体に形成された静電潜像を前記透明トナーを用いて現像し、前記像担持体に透明トナー像を形成する現像部と、
前記像担持体に形成された透明トナー像を、透光性基材の一方面に転写する転写部と、
透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を加熱して定着させ、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する定着部と、を含む透明トナー層形成部と、
透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を加熱下で加圧して凹凸形状に成型し、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層を形成するレンズ形成部と、を備えることを特徴とするレンチキュラーレンズシート作製装置である。
【0020】
また本発明のレンチキュラーレンズシート作製装置は、前記定着部が、透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を非接触で加熱して、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成することを特徴とする。
【0021】
また本発明のレンチキュラーレンズシート作製装置は、前記透明トナー層形成部を複数備え、各透明トナー層形成部において透明トナー層を順次形成して、透光性基材の一方面に、複数の透明トナー層を積層して形成することを特徴とする。
【0022】
また本発明のレンチキュラーレンズシート作製装置は、前記複数の透明トナー層形成部が直列に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、レンチキュラーレンズシート作製装置は、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを電子写真方式で作製する装置であり、透明トナー層形成部とレンズ形成部とを備える。透明トナー層形成部は、像担持体と、像担持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、透明トナーを用いて静電潜像を現像し、像担持体に透明トナー像を形成する現像部と、像担持体に形成された透明トナー像を透光性基材の一方面に転写する転写部と、透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を加熱して定着させ、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する定着部とを含んで構成される。そして、レンズ形成部は、透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を加熱下で加圧して凹凸形状に成型し、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層を形成する。本発明のレンチキュラーレンズシート作製装置は、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する定着部と、その透明トナー層を凹凸形状に成型してレンズ層を形成するレンズ形成部とが、それぞれ別々に設けられているので、定着部およびレンズ形成部における加熱条件の設定の自由度を向上することができ、耐ホットオフセット性に優れ、かつ、透光性基材に対するレンズ層の接着強度が十分に確保されたレンチキュラーレンズシートを1つの装置で作製することができる。
【0024】
また本発明によれば、定着部は、透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を非接触で加熱して、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する。これによって、定着部におけるホットオフセットの発生を防止することができるので、定着部における加熱温度を高い値に設定することができる。そのため、定着部は、厚みの大きな透明トナー層を高品質で形成することができる。したがって、レンチキュラーレンズシート作製装置は、厚みの大きなレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを高品質で作製することができる。
【0025】
また本発明によれば、レンチキュラーレンズシート作製装置は、透明トナー層形成部を複数備え、各透明トナー層形成部において透明トナー層を順次形成して、透光性基材の一方面に、複数の透明トナー層を積層して形成する。これによって、各透明トナー層形成部において比較的厚みの小さな透明トナー層を形成し、それらを積層して厚みの大きな透明トナー層を形成することができるので、各透明トナー層形成部の定着部における加熱温度を低い値に設定してホットオフセットの発生を抑制して、厚みの大きな透明トナー層を高品質で形成することができる。したがって、レンチキュラーレンズシート作製装置は、厚みの大きなレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを高品質で作製することができる。
【0026】
レンズ間のピッチが一定で、厚みの大きなレンズ層、すなわち、レンズの凸部の高さが高いレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートでは、透光性基材の厚みを相対的に薄くすることができる。これによって、たとえば、透明トナー層形成部とレンズ形成部との間に設けられる搬送ローラなどの搬送関連のローラに対する負荷を低減することができるので、良好なレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートをロングライフで形成可能となる。
【0027】
また本発明によれば、レンチキュラーレンズシート作製装置は、複数の透明トナー層形成部が直列に配置される。これによって、各透明トナー層形成部において透明トナー層を順次形成して、透光性基材の一方面に、複数の透明トナー層を積層して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズシート作製装置100の構成を示す図である。
【図2】定着部4の構成を示す図である。
【図3】レンズ形成部5の構成を示す図である。
【図4】レンズ形成ローラ51の要部を拡大して示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るレンチキュラーレンズシート作製装置200の構成を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るレンチキュラーレンズシート作製装置300の構成を示す図である。
【図7】レンチキュラーレンズシート作製装置600の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態に係るレンチキュラーレンズシート作製装置100の構成を示す図である。本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置100は、透光性基材の厚み方向一方面に凹凸形状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを、電子写真方式で作製する装置である。
【0030】
レンチキュラーレンズシート作製装置100は、透明トナー層形成部10と、シート供給部3と、レンズ形成部5と、シート排出部6とを含んで構成される。
【0031】
透明トナー層形成部10は、透光性基材の一方面に、結着樹脂を含む透明トナーにより構成される透明トナー層を形成する。この透明トナー層形成部10は、透明トナー像形成部1と、転写部2と、定着部4とを含む。
【0032】
透明トナー像形成部1は、像担持体である感光体ドラム11と、帯電部12と、露光部13と、現像部14と、現像剤補給部15と、ドラムクリーナ16と、除電部17とを含む。本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置100において潜像形成部は、帯電部12と露光部13とで構成される。また、帯電部12、現像部14、転写部2、ドラムクリーナ16および除電部17は、この順に、感光体ドラム11の周囲に感光体ドラム11の回転方向上流側から下流側に向かって配置される。
【0033】
感光体ドラム11は、ドラム形状を呈し、図示しない駆動手段によって軸線まわりに回転駆動される。感光体ドラム11は、アルミニウムなどからなる導電性基体と、導電性基体の表面に設けられる感光層とを有する。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状の導電性基体を好ましく使用できる。感光層としては、有機感光層、無機感光層などが挙げられる。
【0034】
有機感光層としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、または、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる。無機感光層としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む樹脂層が挙げられる。
【0035】
導電性基体と感光層との間には、下地層が介在してもよい。また、感光層の表面には感光層を保護するための表面層(保護層)が設けられてもよい。
【0036】
帯電部12は、感光体ドラム11の表面を所定の極性および電位に帯電させる部材である。帯電部12は、感光体ドラム11に臨む位置に、感光体ドラム11の軸線方向に沿って設置される。帯電部12は、接触帯電方式および非接触帯電方式のいずれの方式の帯電装置でもよく、接触帯電方式の場合には、感光体ドラム11の表面に接するように設置され、非接触帯電方式の場合には、感光体ドラム11の表面から離隔するように設置される。帯電部12としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
【0037】
露光部13は、帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、デジタル信号からなる画像情報に対応するレーザ光を照射して、感光体ドラム11の表面に該画像情報に対応する静電潜像を形成する。露光部13には、半導体レーザ装置などを使用できる。
【0038】
現像部14は、現像槽14aと、現像ローラ14bと、撹拌ローラ14cとを含む。現像槽14aは、透明トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容する容器状部材である。現像ローラ14bは、軸線まわりに回転可能に設けられるローラ状部材である。現像ローラ14bは、現像槽14aの感光体ドラム11に臨む面に形成される開口部から、その一部が外方に向けて突出して感光体ドラム11の表面に近接するように設けられる。
【0039】
現像ローラ14bは、図示しない固定磁石を内蔵しており、該固定磁石によって、現像ローラ14b表面に透明トナーを担持する。現像ローラ14bは、現像ローラ14bと感光体ドラム11との近接部(現像ニップ部)において、担持した透明トナーを感光体ドラム11の表面の静電潜像に供給し、感光体ドラム11の表面に透明トナー像を形成する。現像ローラ14bは、感光体ドラム11と逆方向に回転駆動される。したがって、現像ニップ部においては、現像ローラ14bの表面と感光体ドラム11の表面とが同じ方向に移動する。現像ローラ14bは、図示しない電源と接続され、該電源から直流電圧(現像電圧)が印加される。これによって、現像ローラ14bの表面の透明トナーは、静電潜像に円滑に供給される。
【0040】
なお、現像部14は、透明トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて感光体ドラム11の表面に形成される静電潜像を現像する方式に限定されるものではなく、透明トナーのみからなる一成分現像剤を用いて現像する方式としてもよい。現像部14が、透明トナーのみからなる一成分現像剤を用いて現像する方式の場合には、現像ローラ14bとして、ゴムローラや内部に固定磁石を有さない金属ローラなどのローラを用いる。
【0041】
撹拌ローラ14cは、現像槽14aの内部において軸線まわりに回転可能に設けられるスクリュー状部材である。撹拌ローラ14cは、回転駆動されることによって、現像槽14a内の透明トナーを現像ローラ14bの表面周辺に送給する。
【0042】
現像剤補給部15は、その内部空間に透明トナーを貯留する容器状部材である。現像剤補給部15は、現像部14における透明トナーの消費状況に応じて、現像槽14aに透明トナーを補給する。
【0043】
ここで、本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置100において用いられる透明トナーについて説明する。透明トナーは、透光性を有するトナーであり、着色剤を含まないこと以外は、電子写真方式の画像形成装置で常用されるトナーと同様の構成成分からなる。透明トナーは、結着樹脂を含み、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などが添加されている。
【0044】
結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンの置換体の単独重合体からなる樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、環状オレフィン樹脂などが挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
これらの結着樹脂の中でも、保存性、耐久性などに優れることから、軟化温度が100〜150℃、ガラス転移温度が50〜80℃である結着樹脂が好ましく、前記の軟化温度およびガラス転移温度を有するポリエステル樹脂が好ましいが、透明性という観点では環状オレフィン樹脂も良好である。
【0046】
離型剤としては、特に限定されるものではなく、たとえば、ワックスを用いることができる。ワックスとしては、この分野で常用されるものを用いることができ、たとえば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、エステルワックスなどが挙げられる。
【0047】
帯電制御剤としては、透明トナーを帯電させる、またはその帯電をコントロールできるものであれば特に限定されるものではない。しかし、透明トナーの透明性に影響を及ぼさないものであることが好ましい。このような帯電制御剤としては、一般的には、たとえば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン誘導体、サリチル酸亜鉛錯体、ナフトール酸亜鉛錯体、ベンジル酸誘導体の金属酸化物などが挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上の帯電制御剤を併用してもよい。
【0048】
透明トナーは、従来公知の製造方法に従って製造することができ、その製造方法としては、たとえば、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法などを挙げることができる。
【0049】
透明トナーの体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、2〜10μmであることが好ましい。透明トナーの体積平均粒子径が2μm未満の場合には、透明トナーの流動性が低下する。これによって、現像部14における現像動作の際に、透明トナーの供給、撹拌および帯電が不充分になり、トナー量の不足、逆帯電トナーの増加などが起こる。この結果、良好な透明トナーの像形成ができないなどの問題が発生するおそれがある。一方、透明トナーの体積平均粒子径が10μmを超える場合には、透光性基材の一方面に形成される透明トナー層の表面平滑性が低下するおそれがあり、そのため、透明トナー層が凹凸形状に成型されてなるレンズ層の表面平滑性も低下するおそれがある。
【0050】
また、透明トナーには、外添剤が外添されてもよい。外添剤は、透明トナーに対して、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性改善、クリーニング特性改善、および感光体ドラム11表面の磨耗特性制御などの機能を付与する目的で添加される。外添剤としては、この分野で常用されるものを用いることができ、たとえばシリカ、アルミナ、酸化チタン、アクリル微粉末、金属石鹸微粒子などが挙げられる。
【0051】
また、二成分現像剤として、透明トナーとともに用いられるキャリアは、特に限定されるものではなく、この分野で常用されるものを用いることができる。キャリアとしては、たとえば、鉄、ニッケル、コバルトなどの磁性材料、フェライト、マグネタイトなどの磁性酸化物などが挙げられる。さらに、前記の磁性材料、磁性酸化物を芯材として、その芯材の表面に樹脂材料で被覆層が形成された樹脂被覆キャリアとして用いてもよい。被覆層が形成されていないキャリア、および樹脂被覆キャリアのいずれのキャリアを用いるかは、透明トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。キャリアの体積平均粒子径は特に限定されるものではないが、表面平滑性の良好な透明トナー層を形成するためには、30〜100μmであることが好ましい。また、二成分現像剤において透明トナーは、二成分現像剤全量に対して、3〜20重量%の濃度となるように含まれていることが好ましい。
【0052】
ドラムクリーナ16は、現像部14により感光体ドラム11の表面に形成された透明トナー像が、転写部2により透光性基材に転写された後に、感光体ドラム11の表面に残存する透明トナーを除去、回収する。
【0053】
除電部17は、ドラムクリーナ16によって透明トナーが除去された後の感光体ドラム11を除電する。除電部17にはランプなどの照明部材を用いることができる。
【0054】
転写部2は、図示しない駆動手段によって軸線まわりに回転可能に設けられる転写ローラ21を有す。転写ローラ21は、感光体ドラム11に圧接して設けられる。転写ローラ21と感光体ドラム11との圧接部を転写ニップ部と呼ぶ。転写ローラ21は、感光体ドラム11の表面に形成された透明トナー像を、後述するシート供給部3によって供給される透光性基材の一方面に、転写ニップ部において転写する。転写部2において透明トナー像が転写された透光性基材は、定着部4に搬送される。
【0055】
転写ローラ21は、たとえば、金属製軸体と、該金属製軸体の表面を被覆する導電性層とを含むローラ状部材である。金属製軸体は、たとえば、ステンレス鋼などの金属によって形成される。導電性層は、導電性の弾性体などによって形成される。導電性の弾性体としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カーボンブラックなどの導電剤を含む、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどが挙げられる。さらにその表面をPFAなどのチューブ材で被覆してもよい。
【0056】
転写ローラ21は、図示しない高圧電源と接続される。転写ローラ21には、高圧電源から、感光体ドラム11の表面に形成される透明トナー像の帯電極性とは逆極性の高電圧が印加される。これによって、感光体ドラム11の表面に形成される透明トナー像は、透光性基材の一方面に円滑に転写される。
【0057】
シート供給部3は、シート搬送経路30と、透光性基材を収納する複数のカセット31と、ピックアップローラ32と、搬送ローラ33と、レジストローラ34とを含む。ここで、透光性基材は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂製の、厚みが100〜600μm程度のシートであり、そのサイズは、日本工業規格(略称JIS)でいうA4、B5、B4、葉書サイズなどがある。
【0058】
シート搬送経路30は、カセット31に収納される透光性基材を、転写部2、定着部4およびレンズ形成部5を経由して、シート排出部6に送るための経路である。ピックアップローラ32は、カセット31内の透光性基材を一枚ずつシート搬送経路30内に繰り出すローラ状部材である。搬送ローラ33は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、ピックアップローラ32により繰り出された透光性基材をレジストローラ34に向けて搬送する。レジストローラ34は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。このレジストローラ34は、感光体ドラム11の表面に形成された透明トナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、該転写ニップ部に透光性基材を送給する。
【0059】
図2は、定着部4の構成を示す図である。定着部4は、定着ローラ40と、加圧ローラ41と、定着クリーニング部42とを含む。定着ローラ40は、軸線まわりに回転可能に設けられるローラ状部材であり、図示しない駆動手段により所定の周速度で回転駆動される。定着ローラ40は、加圧ローラ41とともに、透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を加熱溶融して定着させ、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する。
【0060】
定着ローラ40としては、芯金401、弾性体層402および表面層403を含むローラ状部材が使用できる。芯金401を形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、たとえば、アルミニウム、鉄などを使用することができる。芯金401の形状としては、円筒状または円柱状などが挙げられる。弾性体層402を構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないけれども、さらに耐熱性にも優れるものが好ましい。このような材料の具体例としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、またはフルオロシリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムが好ましい。表面層403を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、透明トナーとの付着力が弱いものであれば特に制限されず、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、またはフッ素ゴムなどが挙げられる。本実施形態では、定着ローラ40は、外径36mm、肉厚2mmの鉄製の芯金401上に、弾性体層402として厚み2mmのシリコーンゴム層を形成し、更に表面層403として厚み40μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラである。
【0061】
定着ローラ40は、内部に内部ヒーターランプ44を備える。本実施形態では、内部ヒーターランプ44にはハロゲンランプが用いられるが、これに限らず、内部から定着ローラ40を加熱する任意の加熱手段を用いることができる。また、内部ヒーターランプ44は、定着ローラ40の中心軸(ここでは回転軸に同じ)に沿って配置されている。
【0062】
加圧ローラ41は、図示しない加圧機構により定着ローラ40に圧接された状態で回転自在に設けられる。定着ローラ40と加圧ローラ41との圧接部は定着ニップ部45となっている。加圧ローラ41は、定着ローラ40の回転に伴って従動回転する。加圧ローラ41は、定着ローラ40による透明トナー像の透光性基材への加熱定着に際し、溶融状態にある透明トナーを透光性基材に対して押圧することによって、透明トナー像の透光性基材への定着を促進する。
【0063】
加圧ローラ41としては、芯金411、弾性体層412および表面層413を含むローラ状部材が使用できる。芯金411、弾性体層412および表面層413を構成する材料としては、それぞれ、定着ローラ40の芯金401、弾性体層402および表面層403を構成する材料と同じものを使用できる。また、芯金411の形状も定着ローラ40の芯金401と同様である。本実施形態では、加圧ローラ41は、外径38mm、肉厚1mmの鉄製の芯金411上に、弾性体層412として厚み1mmのシリコーンゴム層を形成し、更に表面層413として厚み40μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラである。
【0064】
加圧ローラ41は、内部に内部ヒーターランプ46を備える。この内部ヒーターランプ46は、レンチキュラーレンズシート作製装置100の電源ONから透明トナー層形成可能になるまでの立ち上げ時間の短縮のため、透明トナー像定着時に透光性基材に熱が移行することに起因する加圧ローラ41の表面温度の急激な低下などを防止するためのものである。本実施形態では、内部ヒーターランプ46にはハロゲンランプが用いられる。
【0065】
定着クリーニング部42は、ウェブ421と、送出ローラ422と、ウェブ圧接ローラ423と、巻取りローラ424とを含み、定着ローラ40の表面に付着するオフセットトナーなどを除去する。
【0066】
ウェブ421は、送出ローラ422からウェブ圧接ローラ423に向けて送り出され、ウェブ圧接ローラ423に巻回されて定着ローラ40の表面に圧接した後、巻取りローラ424によって巻き取られるように設けられる。ウェブ421と定着ローラ40の表面との圧接部がクリーニングニップ部425である。
【0067】
ウェブ421としては、たとえば、耐熱性不織布を使用できる。耐熱性不織布としては特に制限されないけれども、たとえば、芳香族ポリアミド繊維と、高温で軟化するポリエステル繊維とを含み、適度の柔軟性と機械的強度とを併せ持つ不織布などが挙げられる。このような耐熱性不織布は市販されており、たとえば、ノーメックス(登録商標)、ヒメロン(商品名)などが挙げられる。また、ウェブ421の厚さも特に制限されないけれども、好ましくは30〜100μmである。本実施形態では、ウェブ421として厚み40μmのものを使用する。また、ウェブ421には離型効果などを有するオイルを含浸させ得る。オイルとしては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。本実施形態では、ウェブ421として、0.01m/s(10000センチストークス、25℃)程度の粘度を持つシリコーンオイルを含浸させたものを使用できる。
【0068】
送出ローラ422は、軸線まわりに従動回転可能に支持され、その表面にウェブ421を巻回して保持する。本実施形態では、送出ローラ422は、反時計回りの方向に従動回転してウェブ421を送り出すように構成される。
【0069】
ウェブ圧接ローラ423は、軸線方向の両端が図示しない軸受けによって従動回転可能に軸支されるローラ状部材である。ウェブ圧接ローラ423は、ばね部材などの押圧手段によってウェブ421を介して定着ローラ40の表面に圧接するように設けられる。ウェブ圧接ローラ423は、巻取りローラ424によるウェブ421の巻取り動作時に従動回転する。ウェブ圧接ローラ423としては、たとえば、金属製芯金と、金属製芯金の表面に形成される弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。弾性層を構成する弾性材料としては、たとえば、シリコーンゴムなどの耐熱性ゴム、その発泡体などが挙げられる。弾性層の表面硬度は特に制限されないけれども、好ましくは20°〜30°(Asker−c、アスカーC硬さ)である。また、定着ローラ40への押圧力は、好ましくは3793.6Pa(0.039kgf/cm)〜18967.9Pa(0.19kgf/cm)である。
【0070】
ウェブ圧接ローラ423の軸線方向の長さは、レンチキュラーレンズシート作製装置100において形成しようとする透明トナー層の最大幅よりも大きくすればよい。また、クリーニングニップ部425の幅(クリーニングニップ幅)は定着クリーニング部42のクリーニング性能に大きな影響を及ぼすので、適切な範囲に設計するのが好ましい。クリーニングニップ幅は、主に、ウェブ圧接ローラ423の定着ローラ40に対する押圧力、ウェブ圧接ローラ423のローラ径などによって決定される。本実施形態では、ウェブ圧接ローラ423の軸線方向の幅を透明トナー層の最大幅よりも長い310mm、ローラ径を20mmとする。
【0071】
巻取りローラ424は、図示しない駆動手段によって軸線まわりに回転可能に設けられ、定着ローラ40と接触した後のウェブ421を巻き取る。巻取りローラ424の回転駆動によって、ウェブ421が送出ローラ422から送り出され、クリーニング動作が開始される。
【0072】
定着クリーニング部42の動作は、図示しない制御手段によって制御される。制御手段は、定着ニップ部45を通過した透光性基材の枚数、または、定着ローラ40の回転回数が所定の閾値を超えた場合に、巻取りローラ424を回転駆動させる駆動手段(ここではレンチキュラーレンズシート作製装置100の本体内部に設けられるモータ)に、クリーニング動作を開始させる制御信号を送る。制御信号を受けた駆動手段は、巻取りローラ424を回転駆動させてウェブ421を一定量巻き取る。この巻取りによってウェブ421が送出ローラ422から送り出される。送り出されたウェブ421は、定着ローラ40の表面のオフセットトナーなどを取り込んで清浄化する。なお、巻取りローラ424によって間欠的にウェブ421の巻取りを行う動作例を示したけれども、それに限定されず、透光性基材が定着ニップ部45を通過するタイミングに合わせて連続的に巻取りを行ってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、定着ローラ40に近接するように、定着ローラ側サーミスタ47が設けられる。定着ローラ側サーミスタ47は、定着ローラ40の表面温度を検知する。定着ローラ側サーミスタ47による検知結果は、制御手段に入力される。制御手段は、定着ローラ側サーミスタ47の検知結果に基づいて、定着ローラ40の表面温度が、所定の設定温度(定着温度)の範囲内であるか否かを判定する。制御手段は、定着ローラ40の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも低い場合には、内部ヒーターランプ44に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒーターランプ44に電力を供給して発熱を促す。また制御手段は、定着ローラ40の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも高い場合には、内部ヒーターランプ44に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒーターランプ44に対する電力の供給を停止させる。
【0074】
また、本実施形態では、加圧ローラ41に近接するように、加圧ローラ側サーミスタ48が設けられる。加圧ローラ側サーミスタ48は、加圧ローラ41の表面温度を検知する。加圧ローラ側サーミスタ48による検知結果は、制御手段に入力される。制御手段は、加圧ローラ側サーミスタ48の検知結果に基づいて、加圧ローラ41の表面温度が、所定の設定温度(定着温度)の範囲内であるか否かを判定する。制御手段は、加圧ローラ41の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも低い場合には、内部ヒーターランプ46に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒーターランプ46に電力を供給して発熱を促す。また制御手段は、加圧ローラ41の表面温度が、所定の定着温度の設定範囲よりも高い場合には、内部ヒーターランプ46に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒーターランプ46に対する電力の供給を停止させる。
【0075】
定着部4では、定着ローラ40および加圧ローラ41はそれぞれの設定温度になるように加熱され、定着ローラ40および加圧ローラ41の近傍に設けられた各サーミスタ47,48が設定温度に到達したことを検知し、その検知結果が制御手段に入力される。そして、制御手段は、定着ローラ40を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、定着ローラ40を回転駆動させる。それに伴って加圧ローラ41が従動回転する。この状態で、透明トナー像が形成された透光性基材が転写部2から定着ニップ部45に搬送される。定着ニップ部45を通過する際に、透明トナー像が加熱加圧されて定着され、透光性基材の一方面に透明トナー層が形成される。本実施形態では、透光性基材の一方面に形成される透明トナー層の厚みは、20〜40μmであることが好ましい。
【0076】
ここで、定着ローラ40および加圧ローラ41の表面温度は、透明トナーを構成する結着樹脂の軟化温度よりも10〜80℃高い温度範囲、好ましくは180〜200℃に設定される。
【0077】
次に、定着ローラ40の回転駆動時の周速度の好適範囲を決定するために、以下の実験を行った。
【0078】
(実験1)
定着ローラ40および加圧ローラ41の表面温度、定着ローラ40の周速度を変化させて、透光性基材の一方面に厚み20μmの透明トナー層を形成した。
【0079】
[二成分現像剤]
<透明トナー>
・結着樹脂:環状オレフィン樹脂(軟化温度140℃)94.5重量部
・帯電制御剤:ベンジル酸誘導体の金属酸化物0.5重量部
・離型剤:ポリエチレンワックス5重量部
【0080】
<外添剤>
・シリカ:透明トナー100重量部に対して1重量部
・酸化チタン:透明トナー100重量部に対して1.5重量部
【0081】
<キャリア>
・二成分現像剤における透明トナーの濃度が8重量%となるように、フェライトキャリアを添加した。
【0082】
[透光性基材]
厚み550μmのA4サイズのPETシートを用いた。
【0083】
[定着部]
<定着ローラ>
定着ローラ40として、外径36mm、肉厚2mmの鉄製の芯金401上に、弾性体層402として厚み2mmのシリコーンゴム層を形成し、更に表面層403として厚み40μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラを用いた。
【0084】
<加圧ローラ>
加圧ローラ41として、外径38mm、肉厚1mmの鉄製の芯金411上に、弾性体層412として厚み1mmのシリコーンゴム層を形成し、更に表面層413として厚み40μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラを用いた。なお、加圧ローラ41の定着ローラ40に対する圧接荷重は、600Nとした。このときのニップ幅は約6mmであった。
【0085】
[評価]
透光性基材の一方面に形成された透明トナー層について以下の評価を行い、透明トナー層の定着性を確認した。その評価結果を表1に示す。
【0086】
<定着性評価>
透光性基材の一方面に形成された定着後の透明トナー層について、定着不良の発生状況、ホットオフセットの発生状況を目視にて確認した。定着不良およびホットオフセットの発生がない場合、透明トナー層の定着性が「○」であると判定し、定着不良またはホットオフセットの発生が確認された場合、透明トナー層の定着性が「×」であると判定した。
【0087】
【表1】

【0088】
表1の結果より、定着ローラ40および加圧ローラ41の表面温度をT1(℃)とし、定着ローラ40の周速度をV1(mm/秒)とした場合、T1/V1が6.7〜12.0の範囲を満たすことによって、ホットオフセットの発生を抑制することができるとともに、透光性基材に対する透明トナー層の接着強度を十分に確保することができる。
【0089】
定着部4において透明トナー層が形成された透光性基材は、レンズ形成部5に搬送される。図3は、レンズ形成部5の構成を示す図である。図4は、レンズ形成ローラ51の要部を拡大して示す図である。
【0090】
レンズ形成部5は、透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を加熱下で加圧して凹凸形状に成型し、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層を形成する。このレンズ形成部5は、レンズ形成ローラ51と、レンズ形成用加圧ローラ52とを含む。
【0091】
レンズ形成ローラ51は、レンズ形成部5に搬送される透光性基材の透明トナー層が形成されている側の一方面側に当接する。レンズ形成ローラ51は、軸線まわりに回転可能に設けられるローラ状部材であり、図示しない駆動手段により所定の周速度で回転駆動される。レンズ形成ローラ51は、レンズ形成用加圧ローラ52とともに、透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を凹凸形状に成型し、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層を形成する。
【0092】
レンズ形成ローラ51は、芯金511と離型層512とを含む。芯金511を構成する材料としては、たとえば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などが挙げられる。芯金511の形状は直円筒状であり、芯金511の軸線方向両端部には、絞り構造があってもよいし無くてもよい。さらに、芯金511の表面には、図4に示すように、透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を凹凸形状に成型できるように、凹形状の溝が多数形成されている。溝の形成方向は、レンズ形成ローラ51の軸線方向でも、或いは周方向に沿って形成されていても、どちらでも問題ない。溝の加工方法としては、金属製のバイトなどによる機械加工や、レーザによる加工などが挙げられる。なお、レンズ形成ローラ51の溝形状は、所望とするレンズ層の厚みとなるように、適宜設定される。
【0093】
離型層512は、芯金511の表面に被覆される層であり、透明トナーの離型性を確保する。離型層512を構成する材料としては、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料が挙げられる。あるいは、これらフッ素樹脂を含んだDLC(ダイヤモンドライクカーボン)材料などを用いてもよい。なお、離型層512の厚みは、10nm〜30μm程度が好ましい。離型層512の厚みが極端に薄い場合、耐久性が問題となり、厚くなり過ぎると、芯金511の溝部が埋まってしまうなど、溝形状が大きく変化する結果、レンズ成型が上手くできなくなるおそれがあるためである。
【0094】
なお、離型層512の代わりに、透明トナーの離型性を確保するために、シリコーンオイルなどの離型剤を、芯金511の表面に塗布する構成としてもよい。また、離型層512を形成しつつ、シリコーンオイルを塗布する構成としてもよい。シリコーンオイルとしては、粘度が1000〜10000CS程度のオイルを使用することができる。
【0095】
また、レンズ形成ローラ51の表面に付着した透明トナー等のクリーニングを行う機構として、クリーニングウェブのようなクリーニング機構を設けてもよい。
【0096】
また、ローラ形状のレンズ形成ローラ51の代わりに、ベルト形状としてもよい。ベルト形状とすることで熱容量を小さくできるので、ウォームアップ時間の短縮などが可能となる。本実施形態では、レンズ形成ローラ51は、外径40mm、肉厚2mm、胴部長さ(軸線方向長さ)315mmのアルミニウム製の芯金511に対して、その表面を機械加工して、ローラ周方向にピッチ254μm、深さ30μmの溝が300mmの幅で形成され、更に離型層512として厚み50nmのフッ素樹脂コート層を設けたローラである。
【0097】
レンズ形成ローラ51は、内部に内部ヒーターランプ53を備える。本実施形態では、内部ヒーターランプ53にはハロゲンランプが用いられるが、これに限らず、内部からレンズ形成ローラ51を加熱する任意の加熱手段を用いることができる。また、内部ヒーターランプ53は、レンズ形成ローラ51の中心軸(ここでは回転軸に同じ)に沿って配置されている。
【0098】
レンズ形成用加圧ローラ52は、レンズ形成部5に搬送される透光性基材の透明トナー層が形成されている側とは反対側の他方面側に当接する。レンズ形成用加圧ローラ52は、図示しない加圧機構によりレンズ形成ローラ51に圧接された状態で回転自在に設けられる。レンズ形成ローラ51とレンズ形成用加圧ローラ52との圧接部はレンズ形成ニップ部54となっている。レンズ形成用加圧ローラ52の軸線方向両端部には、ボールベアリングが挿着されており、レンズ形成用加圧ローラ52は、レンズ形成ローラ51の回転に伴って従動回転する。レンズ形成用加圧ローラ52は、レンズ形成ローラ51による透明トナー層の凹凸形状への加熱成型に際し、透明トナー層を透光性基材に対して押圧することによって、透明トナー層の凹凸形状への成型を促進する。レンズ形成用加圧ローラ52は、加圧機構によって、軸線方向において一様な押圧力であって総荷重が400Nである押圧力で、レンズ形成ローラ51を押圧している。
【0099】
レンズ形成用加圧ローラ52としては、芯金521、弾性体層522および離型層523を含むローラ状部材が使用できる。芯金521を構成する材料としては、たとえば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などが挙げられる。芯金521の形状は直円筒状であり、芯金521の軸線方向両端部には、絞り構造があってもよいし無くてもよい。
【0100】
弾性体層522は、レンズ形成ローラ51とレンズ形成用加圧ローラ52で形成されるレンズ形成ニップ部54を大きくするために設けられるもので、芯金521の外周面上に設けられる。弾性体層522を構成する材料としては、ゴム弾性を有するもの、より好ましくは、ゴム弾性を有し、耐熱性に優れるものを用いることができる。このような材料の具体例としては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴムなどが挙げられる。また、これら材料の発泡体としてもよいが、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムが好ましい。
【0101】
離型層523は、弾性体層522の外周面上に設けられる。離型層523を構成する材料としては、耐熱性および耐久性に優れ、透明トナーとの付着力が弱いものを用いることができる。離型層523を構成する材料の具体例としては、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂材料、フッ素ゴムなどが挙げられる。離型層523として、PFAやPTFEを用いる場合には、これら材料からなるチューブを被覆するようにしてもよいし、あるいはコートするようにしてもよい。なお、離型層523の厚さは、10〜50μmであることが好ましい。
【0102】
本実施形態では、レンズ形成用加圧ローラ52は、外径29.76mm、内径23.76mm、肉厚3mmの絞り構造のない鉄製の芯金521上に、弾性体層522として厚み5mmのシリコーンゴム(JIS−A硬さ:30度)層を形成し、更に離型層523として厚み50μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラである。また、レンズ形成用加圧ローラ52の芯金521の軸線方向長さは313mmであり、弾性体層522の軸線方向長さは312mmである。
【0103】
また、本実施形態では、レンズ形成ローラ51に近接するように、レンズ形成ローラ側サーミスタ55が設けられる。レンズ形成ローラ側サーミスタ55は、レンズ形成ローラ51の表面温度を検知する。レンズ形成ローラ側サーミスタ55による検知結果は、制御手段に入力される。制御手段は、レンズ形成ローラ側サーミスタ55の検知結果に基づいて、レンズ形成ローラ51の表面温度が、所定の設定温度(レンズ形成温度)の範囲内であるか否かを判定する。制御手段は、レンズ形成ローラ51の表面温度が、所定のレンズ形成温度の設定範囲よりも低い場合には、内部ヒーターランプ53に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒーターランプ53に電力を供給して発熱を促す。また制御手段は、レンズ形成ローラ51の表面温度が、所定のレンズ形成温度の設定範囲よりも高い場合には、内部ヒーターランプ53に接続される電源に制御信号を送り、内部ヒーターランプ53に対する電力の供給を停止させる。
【0104】
レンズ形成部5では、レンズ形成ローラ51は、所定のレンズ形成温度になるように加熱され、レンズ形成ローラ51の近傍に設けられたレンズ形成ローラ側サーミスタ55が所定のレンズ形成温度に到達したことを検知し、その検知結果が制御手段に入力される。そして、制御手段は、レンズ形成ローラ51を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、レンズ形成ローラ51を回転駆動させる。それに伴ってレンズ形成用加圧ローラ52が従動回転する。この状態で、透明トナー層が形成された透光性基材が定着部4からレンズ形成ニップ部54に搬送される。レンズ形成ニップ部54を通過する際に、透明トナー層が加熱加圧されて凹凸形状に成型され、透光性基材の一方面にレンズ層が形成される。
【0105】
ここで、レンズ形成ローラ51の表面温度は、透明トナーを構成する結着樹脂の軟化温度に対して0〜80℃高い温度範囲、好ましくは140〜200℃に設定される。
【0106】
次に、レンズ形成ローラ51の回転駆動時の周速度の好適範囲を決定するために、以下の実験を行った。
【0107】
(実験2)
レンズ形成ローラ51の表面温度、周速度を変化させて、透光性基材の一方面に形成された厚み約20μmの透明トナー層を形成し、その透明トナー層に対してレンズ形成ローラ51により厚みがほぼ30μmのレンズ形成を行った。なお、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する条件は、前述した実験1における、定着ローラ40の表面温度が200℃で、周速度が30mm/秒とした。
【0108】
[レンズ形成部]
<レンズ形成ローラ>
レンズ形成ローラ51として、外径40mm、肉厚2mm、胴部長さ(軸線方向長さ)315mmのアルミニウム製の芯金511に対して、その表面を機械加工して、ローラ周方向にピッチ254μm、深さ30μmの溝が300mmの幅で形成され、更に離型層512として厚み50nmのフッ素樹脂コート層を設けたローラを用いた。
【0109】
<レンズ形成用加圧ローラ>
レンズ形成用加圧ローラ52として、外径29.76mm、内径23.76mm、肉厚3mmの絞り構造のない鉄製の芯金521上に、弾性体層522として厚み5mmのシリコーンゴム(JIS−A硬さ:30度)層を形成し、更に離型層523として厚み50μmのPFAチューブ層を設けた外径がほぼ40mmのローラを用いた。また、レンズ形成用加圧ローラ52の芯金521の軸線方向長さは313mmであり、弾性体層522の軸線方向長さは312mmである。なお、レンズ形成用加圧ローラ52のレンズ形成ローラ51に対する圧接荷重は、400Nとした。このときのニップ幅は約2mmであった。
【0110】
[評価]
透光性基材の一方面に形成されたレンズ層について以下の評価を行い、レンズ層の表面平滑性を確認した。その評価結果を表2に示す。
【0111】
<表面平滑性評価>
レンズ間のピッチ254μmに対応した3D評価用画像を準備して、作成したレンチキュラーレンズシートと重ね合わせてレンズ形成状態を目視により評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:良好なレンズ層が形成され、3D画像が良好に確認できた。
△:ほぼ問題なく3D画像が確認できるが、ごく一部に透明トナーの溶融不良もしくはホットオフセットが原因で、3D再現性が低下する箇所が確認された。
×:ホットオフセットもしくは透明トナーの溶融不良により、シート全体にわたって3D画像が再現できない。
【0112】
【表2】

【0113】
表2の結果より、レンズ形成ローラ51の表面温度をT2(℃)とし、レンズ形成ローラ51の周速度をV2(mm/秒)とした場合、T2/V2が3.3〜10.7の範囲を満たすことによって、表面粗さが小さく表面平滑性に優れた高品質のレンズ層を形成することができる。
【0114】
レンズ形成部5において透光性基材の一方面にレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートは、シート排出部6に搬送される。このシート排出部6は、互いに圧接する一対の排出ローラ60,61を含む。レンチキュラーレンズシートは、一対の排出ローラ60,61の圧接部を通過して、装置外部に排出される。
【0115】
以上のような本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置100は、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する定着部4と、その透明トナー層を凹凸形状に成型してレンズ層を形成するレンズ形成部5とが、それぞれ別々に設けられているので、定着部4およびレンズ形成部5における加熱条件の設定の自由度を向上することができ、耐ホットオフセット性に優れ、かつ、透光性基材に対するレンズ層の接着強度が十分に確保されたレンチキュラーレンズシートを1つの装置で作製することができる。
【0116】
図5は、本発明の第2実施形態に係るレンチキュラーレンズシート作製装置200の構成を示す図である。本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置200は、前述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置100に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。レンチキュラーレンズシート作製装置200は、前述した定着部4の代わりに定着部7を備えること以外は、レンチキュラーレンズシート作製装置100と同様に構成される。
【0117】
レンチキュラーレンズシート作製装置200が備える定着部7は、所定の間隔をあけて互いに対向する2枚の板状の加熱ヒータ70,71を備える。加熱ヒータ70,71としては、たとえば、セラミックヒータなどを用いることができる。
【0118】
転写部2において透明トナー像が転写された透光性基材は、2枚の加熱ヒータ70,71の間を通過する。これによって、透光性基材の一方面に形成された透明トナー像が非接触で加熱溶融されて定着され、透光性基材の一方面に透明トナー層が形成される。
【0119】
以上のように、本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置200では、定着部7において透光性基材の一方面に転写された透明トナー像に対して非接触で加熱して、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成するので、定着部7におけるホットオフセットの発生を防止することができる。そのため、定着部7における加熱温度を高い値に設定することができ、定着部7は、厚みの大きな透明トナー層を高品質で形成することができる。したがって、レンチキュラーレンズシート作製装置200は、厚みの大きなレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを高品質で作製することができる。
【0120】
図6は、本発明の第3実施形態に係るレンチキュラーレンズシート作製装置300の構成を示す図である。本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置300は、前述した第1実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置100が備える透明トナー層形成部10を複数備え、各透明トナー層形成部10において透明トナーを順次形成して、透光性基材の一方面に、複数の透明トナー層を積層して形成する。本実施形態では、2つの透明トナー層形成部10が、透光性基材の搬送方向に沿って直列に設けられる。
【0121】
以上のように、本実施形態のレンチキュラーレンズシート作製装置300では、複数の透明トナー層形成部10により、透光性基材の一方面に、複数の透明トナー層を積層して形成するので、各透明トナー層形成部10において比較的厚みの小さな透明トナー層を形成し、それらを積層して厚みの大きな透明トナー層を形成することができる。そのため、各透明トナー層形成部10の定着部4における加熱温度を低い値に設定してホットオフセットの発生を抑制して、厚みの大きな透明トナー層を高品質で形成することができる。したがって、レンチキュラーレンズシート作製装置300は、厚みの大きなレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを高品質で作製することができる。
【0122】
レンズ間のピッチが一定で、厚みの大きなレンズ層、すなわち、レンズの凸部の高さが高いレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートでは、透光性基材の厚みを相対的に薄くすることができる。これによって、搬送ローラ33、定着ローラ40、レンズ形成ローラ51などの搬送関連のローラに対する負荷を低減することができるので、良好なレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートをロングライフで形成可能となる。なお、レンズ形成ローラ51の溝形状は、所望とするレンズ層の厚みとなるように、適宜設定される。
【符号の説明】
【0123】
1 透明トナー像形成部
2,602 転写部
3,603 シート供給部
4 定着部
5,605 レンズ形成部
6 シート排出部
7 非接触式定着部
10 透明トナー層形成部
11,611 感光体ドラム
12,612 帯電部
13,613 露光部
14,614 現像部
15,615 現像剤補給部
16,616 ドラムクリーナ
17,617 除電部
100,200,300,600 レンチキュラーレンズシート作製装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層が形成されたレンチキュラーレンズシートを作製するレンチキュラーレンズシート作製装置において、
透光性基材の一方面に、結着樹脂を含む透明トナーにより構成される透明トナー層を形成する透明トナー層形成部であって、
像担持体と、
前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、
前記像担持体に形成された静電潜像を前記透明トナーを用いて現像し、前記像担持体に透明トナー像を形成する現像部と、
前記像担持体に形成された透明トナー像を、透光性基材の一方面に転写する転写部と、
透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を加熱して定着させ、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成する定着部と、を含む透明トナー層形成部と、
透光性基材の一方面に形成された透明トナー層を加熱下で加圧して凹凸形状に成型し、透光性基材の一方面に凹凸形状のレンズ層を形成するレンズ形成部と、を備えることを特徴とするレンチキュラーレンズシート作製装置。
【請求項2】
前記定着部は、透光性基材の一方面に転写された透明トナー像を非接触で加熱して、透光性基材の一方面に透明トナー層を形成することを特徴とする請求項1に記載のレンチキュラーレンズシート作製装置。
【請求項3】
前記透明トナー層形成部を複数備え、各透明トナー層形成部において透明トナー層を順次形成して、透光性基材の一方面に、複数の透明トナー層を積層して形成することを特徴とする請求項1または2に記載のレンチキュラーレンズシート作製装置。
【請求項4】
前記複数の透明トナー層形成部が直列に配置されることを特徴とする請求項3に記載のレンチキュラーレンズシート作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−93592(P2012−93592A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241549(P2010−241549)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】